(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-178588(P2015-178588A)
(43)【公開日】2015年10月8日
(54)【発明の名称】ディスプレイ用保護フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/02 20060101AFI20150911BHJP
C09J 183/04 20060101ALI20150911BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20150911BHJP
【FI】
C09J7/02 Z
C09J183/04
B32B27/00 101
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-187414(P2014-187414)
(22)【出願日】2014年9月16日
(62)【分割の表示】特願2014-54584(P2014-54584)の分割
【原出願日】2014年3月18日
(71)【出願人】
【識別番号】514067719
【氏名又は名称】株式会社オプティマムパフォーマンス
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(72)【発明者】
【氏名】坪内 良介
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AK52C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100CB05B
4F100CB05C
4F100DC15B
4F100EJ30
4F100GB41
4F100GB90
4F100JL13
4J004AA11
4J004AB01
4J004CB03
4J004CC02
4J004CC03
4J004CE01
4J004CE03
4J004EA05
4J004FA01
4J004FA04
4J040EK031
4J040JA09
4J040JB09
4J040LA06
4J040LA11
4J040MA10
4J040MB03
4J040NA17
4J040PA33
(57)【要約】
【課題】ディスプレイの表面に貼り合せられた状態で外部からの見栄えが悪くなるのを防止することができるディスプレイ用保護フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】保護フィルム100は、ディスプレイ200の表示領域210を覆う基材フィルム層110と、基材フィルム層110の一方の面111に貼り合せられた両面粘着層120とを備える。両面粘着層120は、基材フィルム層110の周縁部に貼り合せられた第1粘着層121と、シリコン粘着剤により形成され、第1粘着層121よりも弱い粘着力でディスプレイ200の表面に貼り合せられる第2粘着層122とが積層されることにより構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの表示領域を保護するためのディスプレイ用保護フィルムであって、
前記表示領域を覆う基材フィルム層と、
前記基材フィルム層の一方の面に貼り合せられた両面粘着層とを備え、
前記両面粘着層は、
前記基材フィルム層の周縁部に貼り合せられた第1粘着層と、
シリコン粘着剤により形成され、前記第1粘着層よりも弱い粘着力で前記ディスプレイの表面に貼り合せられる第2粘着層とが積層されることにより構成されていることを特徴とするディスプレイ用保護フィルム。
【請求項2】
ディスプレイの表示領域を基材フィルム層で覆って保護するためのディスプレイ用保護フィルムの製造方法であって、
第1粘着層、及び、当該第1粘着層よりも粘着力が弱く、シリコン粘着剤により形成された第2粘着層が積層された両面粘着層を部分的に切断することにより、前記基材フィルム層の周縁部に対応する枠状に形成する切断ステップと、
前記切断ステップにより形成された枠状の前記両面粘着層の前記第1粘着層を、前記基材フィルム層の周縁部に貼り合せる貼合ステップとを含むことを特徴とするディスプレイ用保護フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの表示領域を保護するためのディスプレイ用保護フィルム及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、ゲーム機又はタブレット端末などの各種機器のディスプレイには、少なくとも表示領域を保護するために保護フィルムが貼り合せられる場合がある。この種の保護フィルムの中には、単にディスプレイの表示領域を保護するためだけでなく、光反射防止機能などの他の機能を有するものもある。
【0003】
保護フィルムは、ディスプレイの表示領域を覆って保護する基材フィルム層に、粘着層が積層されることにより構成されている。粘着層上には剥離フィルム層が積層されており、当該剥離フィルム層を粘着層から剥離した後、粘着層をディスプレイの表面に貼り合せることができる。基材フィルム層の他方の面には、必要に応じて、各種機能に対応するフィルム層が積層される。
【0004】
一般的な保護フィルムでは、基材フィルム層の一方の面における全面にわたって粘着層が形成されている(例えば、下記特許文献1参照)。この場合、保護フィルムをディスプレイの表面に貼り合せる際には、ディスプレイの表示領域全体に粘着層が貼り合せられることとなる。そのため、表示領域と粘着層との間に気泡が入りやすく、保護フィルムを見栄えよく貼り合せるのが難しいという問題がある。
【0005】
そこで、近年では、保護フィルムの周縁部のみに粘着層が形成され、ディスプレイの表示領域に対向する部分には粘着層が形成されていないような構成のものも知られている。このような構成の場合、ディスプレイの表示領域には粘着層が貼り合せられないため、表示領域と粘着層との間に気泡が入るといったことがなく、ディスプレイの表面に対して保護フィルムを容易に貼り合せることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−206782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基材フィルム層の周縁部のみに粘着層を有する保護フィルムでは、通常、粘着層がアクリル系粘着剤により形成されている。一般的に、ディスプレイの表面に対して保護フィルムを正確な位置に1回で貼り合せることは困難であり、途中まで貼り合せた保護フィルムを剥離させて位置合わせを再度行う場合などもあるため、アクリル系粘着剤としては粘着力が比較的弱いものが用いられる。
【0008】
しかしながら、粘着力が比較的弱いアクリル系粘着剤をディスプレイの表面に貼り合せた場合には、その粘着面にドット状の不均一な模様が生じ、その模様が透明な基材フィルム層を介して外部から視認可能となる場合がある。そのため、外部からの見栄えをよくするためには、基材フィルム層におけるアクリル系粘着剤が塗布されている部分を着色しなければならず、基材フィルム層全体を透明にすることができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ディスプレイの表面に貼り合せられた状態で外部からの見栄えが悪くなるのを防止することができるディスプレイ用保護フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るディスプレイ用保護フィルムは、ディスプレイの表示領域を保護するためのディスプレイ用保護フィルムであって、前記表示領域を覆う基材フィルム層と、前記基材フィルム層の一方の面に貼り合せられた両面粘着層とを備える。前記両面粘着層は、第1粘着層と、第2粘着層とが積層されることにより構成されている。前記第1粘着層は、前記基材フィルム層の周縁部に貼り合せられている。前記第2粘着層は、シリコン粘着剤により形成され、前記第1粘着層よりも弱い粘着力で前記ディスプレイの表面に貼り合せられる。
【0011】
このような構成によれば、粘着力が比較的弱いシリコン粘着剤により形成された第2粘着層が、ディスプレイの表面に貼り合せられる。この場合、粘着力が比較的弱いアクリル系粘着剤をディスプレイの表面に貼り合せるような構成とは異なり、粘着面に不均一な模様が生じるといったことがない。そのため、基材フィルム層全体が透明であったとしても、保護フィルムがディスプレイの表面に貼り合せられた状態で外部からの見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0012】
また、シリコン粘着剤からなる粘着層を基材フィルム層の周縁部のみに直接形成することは困難であるが、第1粘着層及び第2粘着層が積層された両面粘着層を基材フィルム層の周縁部に貼り合せることにより、シリコン粘着剤を基材フィルム層の周縁部のみに容易に形成することができる。すなわち、両面粘着層の一方の面を第1粘着層により形成し、当該第1粘着層を介して両面粘着層を基材フィルム層の周縁部に貼り合せることができるとともに、両面粘着層の他方の面をシリコン粘着剤からなる第2粘着層により形成し、当該第2粘着層をディスプレイの表面に貼り合せることができる。
【0013】
本発明に係るディスプレイ用保護フィルムの製造方法は、ディスプレイの表示領域を基材フィルム層で覆って保護するためのディスプレイ用保護フィルムの製造方法であって、切断ステップと、貼合ステップとを含む。前記切断ステップでは、第1粘着層、及び、当該第1粘着層よりも粘着力が弱く、シリコン粘着剤により形成された第2粘着層が積層された両面粘着層を部分的に切断することにより、前記基材フィルム層の周縁部に対応する枠状に形成する。前記貼合ステップでは、前記切断ステップにより形成された枠状の前記両面粘着層の前記第1粘着層を、前記基材フィルム層の周縁部に貼り合せる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基材フィルム層全体が透明であったとしても、保護フィルムがディスプレイの表面に貼り合せられた状態で外部からの見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る保護フィルムの構成例を示した平面図である。
【
図2】
図1における保護フィルムのA−A断面図であり、保護フィルムがディスプレイに貼り合せられた状態を示している。
【
図3】保護フィルムを製造する際の態様について説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明に係る保護フィルムの実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態において図示された保護フィルムの各層は、説明を分かりやすくするために、実際の厚みよりも大きい厚みで示されている。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る保護フィルム100の構成例を示した平面図である。また、
図2は、
図1における保護フィルム100のA−A断面図であり、保護フィルム100がディスプレイ200に貼り合せられた状態を示している。本実施形態に係る保護フィルム100は、携帯電話機、ゲーム機又はタブレット端末などの各種機器のディスプレイ200に貼り合せられ、当該ディスプレイ200の少なくとも表示領域210を保護するためのディスプレイ用保護フィルムである。
【0018】
保護フィルム100は、基材フィルム層110と両面粘着層120とが積層されることにより構成されている。両面粘着層120は、基材フィルム層110の一方の面111に貼り合せられている。基材フィルム層110の他方の面112には、例えば光反射防止機能などの各種機能に応じた任意のフィルム層が積層されていてもよい。また、基材フィルム層110自体が、このような各種機能を有していてもよい。
【0019】
なお、保護フィルム100をディスプレイ200に貼り合せる前には、両面粘着層120における基材フィルム層110側とは反対側の面に、剥離フィルム層(図示せず)が貼り合せられている。当該剥離フィルム層を剥離して両面粘着層120の一方の面を露出させた後、その面をディスプレイ200の表面に貼り合せることにより、
図2に示すように保護フィルム100をディスプレイ200に貼り合せることができる。
【0020】
基材フィルム層110は、ディスプレイ200の表示領域210を覆うことができる形状を有している。より具体的には、基材フィルム層110は、ディスプレイ200の表示領域210と同一、又は、それよりも大きい形状を有している。基材フィルム層110は、例えば透明なPET(Polyethylene Terephthalate)により形成されている。基材フィルム層110の厚みは、例えば150〜250μm程度であることが好ましく、190μm程度であればより好ましい。
【0021】
この例では、基材フィルム層110がディスプレイ200の表示領域210よりも大きい長方形状に形成されている。しかし、このような構成に限らず、ディスプレイ200の表示領域210の形状に応じて、基材フィルム層110は、正方形状などの他の矩形状に形成されていてもよいし、矩形状に限らず円形や楕円形などの他の各種形状に形成されていてもよい。また、基材フィルム層110の材質についても、PETに限らず、他の材料を用いて基材フィルム層110が形成された構成であってもよい。
【0022】
両面粘着層120は、例えば第1粘着層121、第2粘着層122及び中間層123が積層されることにより構成されている。ただし、両面粘着層120は、少なくとも第1粘着層121及び第2粘着層122が積層された構成であれば、第1粘着層121と第2粘着層122との間に任意の1層又は複数層が介在するような構成を採用することができる。
【0023】
第1粘着層121は、基材フィルム層110の周縁部に貼り合せられている。具体的には、基材フィルム層110の一方の面111のうち、ディスプレイ200の表示領域210に対向する部分以外の領域に、第1粘着層121が貼り合せられている。第1粘着層121は、例えばアクリル系粘着剤により形成されている。第1粘着層121の厚みは、例えば10〜30μm程度であることが好ましく、20μm程度であればより好ましい。
【0024】
基材フィルム層110の一方の面111における第1粘着層121が貼り合せられていない領域113は、ディスプレイ200の表示領域210と同一の大きさであることが好ましい。ただし、このような構成に限らず、上記領域113がディスプレイ200の表示領域210よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。また、第1粘着層121の材質についても、アクリル系粘着剤に限らず、他の粘着剤を用いて第1粘着層121が形成された構成であってもよい。
【0025】
第1粘着層121における基材フィルム層110側とは反対側の面は、中間層123に貼り合せられている。中間層123は、例えばPETにより形成されている。中間層123の厚みは、例えば40〜60μm程度であることが好ましく、50μm程度であればより好ましい。第1粘着層121は、中間層123の面全体に形成されていることが好ましいが、このような構成に限らず、中間層123の一部のみに第1粘着層121が形成された構成であってもよい。また、中間層123の材質についても、PETに限らず、他の材料を用いて中間層123が形成された構成であってもよい。
【0026】
第2粘着層122は、中間層123における第1粘着層121側とは反対側の面に貼り合せられている。第2粘着層122は、シリコン粘着剤により形成されている。第2粘着層122の厚みは、例えば40〜60μm程度であることが好ましく、50μm程度であればより好ましい。第2粘着層122は、中間層123の面全体に形成されていることが好ましいが、このような構成に限らず、中間層123の一部のみに第2粘着層122が形成された構成であってもよい。
【0027】
第2粘着層122は、第1粘着層121よりも弱い粘着力でディスプレイ200の表面に貼り合せられる。具体的には、基材フィルム層110に対する第1粘着層121の粘着力は、9〜11N程度であるのに対して、ディスプレイ200の表面に対する第2粘着層122の粘着力は、20〜120mN程度である。
【0028】
このように、本実施形態では、粘着力が比較的弱いシリコン粘着剤により形成された第2粘着層122が、ディスプレイ200の表面に貼り合せられる。この場合、粘着力が比較的弱いアクリル系粘着剤をディスプレイ200の表面に貼り合せるような構成とは異なり、粘着面に不均一な模様が生じるといったことがない。
【0029】
すなわち、ディスプレイ200の表面のうち、第2粘着層122が貼り合せられている表示領域210の周縁部(
図1にハッチングを施した部分)において、第2粘着層122の粘着面とディスプレイ200の表面との間に不均一な模様が生じることがない。そのため、基材フィルム層110全体が透明であったとしても、不均一な模様が基材フィルム層110を通して視認されるといったことがなく、保護フィルム100がディスプレイ200の表面に貼り合せられた状態で外部からの見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0030】
また、シリコン粘着剤からなる粘着層を基材フィルム層110の周縁部のみに直接形成することは困難であるが、第1粘着層121及び第2粘着層122が積層された両面粘着層120を基材フィルム層110の周縁部に貼り合せることにより、シリコン粘着剤を基材フィルム層110の周縁部のみに容易に形成することができる。すなわち、両面粘着層120の一方の面を第1粘着層121により形成し、当該第1粘着層121を介して両面粘着層120を基材フィルム層110の周縁部に貼り合せることができるとともに、両面粘着層120の他方の面をシリコン粘着剤からなる第2粘着層122により形成し、当該第2粘着層122をディスプレイ200の表面に貼り合せることができる。
【0031】
図3は、保護フィルム100を製造する際の態様について説明するための概略断面図である。保護フィルム100を製造する際には、
図3(a)に示すように、例えば両面粘着層120の両面にそれぞれ剥離フィルム層124,125が貼り合せられた積層フィルムが準備され、当該積層フィルムに対して加工機300により打ち抜き加工が施される。
【0032】
その結果、両面粘着層120及び剥離フィルム層124,125が部分的に切断され、
図3(a)に二点鎖線で示すように、ディスプレイ200の表示領域210に対応する形状の開口126が形成される。これにより、両面粘着層120が、基材フィルム層110の周縁部に対応する枠状に形成される(切断ステップ)。
【0033】
その後、両面粘着層120の第1粘着層121に貼り合せられている剥離フィルム層124が剥離され、
図3(b)に示すように、枠状の両面粘着層120の第1粘着層121が、基材フィルム層110の一方の面111の周縁部に貼り合せられる(貼合ステップ)。これにより、
図3(c)に示すように、ディスプレイ200の表示領域210に対応する領域113に両面粘着層120が貼り合せられていない保護フィルム100が得られる。
【0034】
このようにして得られた保護フィルム100をディスプレイ200の表面に貼り合せる際には、剥離フィルム層125を剥離することにより第2粘着層122を露出させる。そして、露出した第2粘着層122をディスプレイ200の表面に貼り合せることにより、
図1及び
図2に示すように表示領域210を基材フィルム層110で覆うことができる。
【0035】
本実施形態では、
図1にハッチングで示すように、両面粘着層120が環状に形成されている。したがって、保護フィルム100がディスプレイ200の表面に貼り合せられた状態では、表示領域210の全周が環状の両面粘着層120で覆われ、保護フィルム100と表示領域210との間に埃などの異物が外部から入り込むのを防止することができる。ただし、両面粘着層120は、表示領域210の全周を覆うような構成に限らず、表示領域210の周囲に部分的に貼り合せられるような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
100 保護フィルム
110 基材フィルム層
111 一方の面
112 他方の面
113 第1粘着層が貼り合せられていない領域
120 両面粘着層
121 第1粘着層
122 第2粘着層
123 中間層
124 剥離フィルム層
125 剥離フィルム層
126 開口
200 ディスプレイ
210 表示領域
300 加工機