特開2015-178618(P2015-178618A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧
特開2015-178618電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー
<>
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000033
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000034
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000035
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000036
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000037
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000038
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000039
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000040
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000041
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000042
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000043
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000044
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000045
  • 特開2015178618-電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー 図000046
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-178618(P2015-178618A)
(43)【公開日】2015年10月8日
(54)【発明の名称】電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20150911BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20150911BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20150911BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20150911BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20150911BHJP
   C07D 495/22 20060101ALN20150911BHJP
【FI】
   C08G61/12
   C07D519/00
   H01L29/78 618B
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 250G
   C07D495/22
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-66088(P2015-66088)
(22)【出願日】2015年3月27日
(62)【分割の表示】特願2013-556640(P2013-556640)の分割
【原出願日】2012年2月13日
(31)【優先権主張番号】13/036,269
(32)【優先日】2011年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ミンチエン ハァ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス マーク レスリー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイジュン ニウ
(72)【発明者】
【氏名】アダマ タンディア
【テーマコード(参考)】
4C071
4C072
4J032
5F110
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071AA08
4C071BB03
4C071BB05
4C071CC24
4C071EE13
4C071FF23
4C071GG04
4C071JJ07
4C071KK11
4C071LL03
4C071LL05
4C071LL07
4C072MM08
4C072UU03
4C072UU05
4C072UU08
4J032BA04
4J032BA05
4J032BB01
4J032BB04
4J032BB09
4J032BC03
5F110CC07
5F110EE08
5F110FF02
5F110GG05
5F110GG06
5F110GG57
5F110GG58
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発光素子及び半導体素子等の電子用途に使用するための、縮合チオフェン環を含有する化合物およびそのポリマーの提供。
【解決手段】式4aで表される芳香族環および環化されたβ置換縮合チオフェンからなる5環縮合ヘテロ芳香族コアを有する化合物及びポリマー。対称3環縮合チオフェンフェニルを対称5環縮合チオフェンフェニルに増加させ、その対称5環縮合チオフェンフェニルのハロゲン化物とチオフェンの二スズ化合物とを反応させて、4aで表されるポリマーを作成する方法。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式4a:
【化1】
のポリマー、またはその塩、もしくはそれらの混合物:
式中、
nは、約3から約30の整数である。
【請求項2】
請求項1のポリマーを製造する方法であって、
式2b:
【化2】
のジハロゲン化合物を、
式:
【化3】
の二スズ化合物と接触させる工程を含む方法。
【請求項3】
式4:
【化4】
の少なくとも1つのポリマーを含むデバイスであって、
1はCH3であり、R2はC1735であり、G1は、−(チオフェン)−、−(チオフェン)2−、−(ベータ−C17−置換−チオフェン)−、または−(ベータ−C17−置換−チオフェン)2−から選択され、nは5から20である、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2011年2月28日に出願された米国特許出願第13/036269号の米国法典第35編第120条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、芳香族環および環化された縮合チオフェンからなるコアを有する化合物およびポリマーに関し、またその化合物とポリマーを含有する組成物、物品、並びにその製造方法と使用方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、芳香族環および環化されたβ置換縮合チオフェンからなる5環縮合ヘテロ芳香族コアを有する化合物およびポリマー、例えば、発光素子および半導体素子などの電子用途に使用できる化合物およびポリマーを含む組成物、物品およびデバイス、並びにその化合物およびポリマーを製造する方法および使用する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示に関連する置換および非置換3環縮合ヘテロ芳香族化合物の公知の例を示す化学式
図2図1の3環縮合ヘテロ芳香族化合物を含む半導体ポリマーの公知の例の化学式
図3】出願人の従来技術の高性能半導体ポリマーP2TDC13FT4の一例および部分的な合成経路を示す説明図
図4】式2および2’のα−,α’−非置換,β−,β’−アルキル置換5環縮合環ヘテロ芳香族化合物の部類の例示の合成を示す説明図
図5】式Aのα−,α’−アルキル置換5環縮合環ヘテロ芳香族化合物への公知の経路の一例を示す説明図
図6】式2aのα−,α’−非置換,β−,β’−アルキル置換5環縮合環ヘテロ芳香族化合物への例示の経路の説明図
図7】α−,α’−芳香族環置換,β−,β’−アルキル置換5環縮合環ヘテロ芳香族コアを含有する式4および5の半導体ポリマーへの経路の一例を示す説明図
図8】式4aの半導体ポリマーへの経路の一例を示す説明図
図9】式3aのα−,α’−アルキル置換5環縮合環ヘテロ芳香族化合物の失敗した合成の一例の説明図
図10】β−,β’−C1735置換基の化合物、およびβ−,β’−C1735置換基を有する公知のDC17FT4に関する例示の溶液の紫外線−可視線吸収スペクトルを示すチャート
図11図8の式4aの半導体ポリマーの溶液と固体の紫外線−可視線吸収スペクトルの例を示すチャート
図12】モデリングから演繹した、荷電粒子移動度における再配向エネルギーと移動積分を示すグラフ
図13】モデリングから演繹した、様々な内部再配向成分(λ=λ0+λ+)の関数としての正孔移動に関する内部再配向エネルギーおよびイオン化ポテンシャル(IP=E*+−E)を示すグラフ
図14】選択された縮合コアモデル化合物に関するモデリングから得られた正孔再配向エネルギーを列挙した表1
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義
開示のポリマーまたはコポリマーの関連における「単位」、「重合可能単位」などの用語は、ポリマーまたはコポリマーの別個の繰り返しセグメント(n)内の異なるコア単位および同様の他の共役単位の数を称する。例えば、
−{−(β−R2−FT2ArFT2−β−R2)−G1−}n−、および
−{−G1−(β−R2−FT2ArFT2−β−R2)−G1−G2−}n−、または
−{−(β−R2−FT2ArFT2−β−R2)−G121−}n
などの、
一般式:−{−(コア)−(Ar)m−}n−、または−{−(β−R2−FT2ArFT2−β−R2)−(Ar)m−}n
のポリマーまたはコポリマーなどの、例えば、1つ以上の−G1−、−G2−、または−G1−G2−G1−、およびそれらの組合せからなる、中央アリール環または芳香族環(Ar)および一般式β−R2−FT2ArFT2−β−R2の少なくとも2つの反対に配置された環化β置換縮合チオフェン(β−R2−FT2)からなるコア、および少なくとも1つの非縮合主鎖アリールまたはヘテロアリール単位、−(Ar)m−(式中、mは、1から約6である)を有するコア単位を参照のこと。
【0006】
実施の形態において、繰り返し単位またはセグメント(n)は、ポリマーの別個の繰り返しセグメント内に1つ以上の同様のコア単位および1つ以上の追加の共役単位(すなわち、G1、−G1−G2−)を有し得る。
【0007】
「炭化水素」、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビレン」、「ヒドロカルビルオキシ」、および同様の用語は、−Rなどの一価部分、または二価の−R−部分を称し、例えば、アルキル炭化水素、芳香族またはアリール炭化水素、アルキル置換アリール炭化水素、アルコキシ置換アリール炭化水素、ヘテロアルキル炭化水素、ヘテロ芳香族またはヘテロアリール炭化水素、アルキル置換ヘテロアリール炭化水素、アルコキシ置換ヘテロアリール炭化水素、および同様の炭化水素部分、並びにここに示されたものを含み得る。
【0008】
「アルキル」は、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、およびシクロアルキルを含む。「置換アルキル」または「必要に応じて置換されたアルキル」は、アルキル置換基を称し、これは、例えば、ヒドロキシル(−OH)、ハロゲン、アミノ(−NH2または−NR2)、ニトロ(−NO2)、アシル(−C(=O)R)、アルキルスルホニル(−S(=O)2R)、アルコキシ(−OR)、および同様の置換基から選択される1から4の随意的な置換基を有する、例えば、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、またはシクロアルキルを含み得、ここで、随意的な置換基のRは、ヒドロカルビル、アリール、Het、または1から約10の炭素原子を有する一価アルキルまたは二価アルキレンなどの同様の部分であり得る。例えば、ヒドロキシ置換アルキルは、式−CH2−CH(OH)−CH2−の2−ヒドロキシ置換プロピレンであり得、アルコキシ置換アルキルは、式−CH2−CH2−O−CH3の2−メトキシ置換エチルであり得、アミノ置換アルキルは、式−CH(NR2)−CH3の1−ジアルキルアミノ置換エチルであり得、オリゴ−(オキシアルキレン)、ポリ−(オキシアルキレン)、またはポリ−(アルキレンオキシド)置換アルキルは、例えば、xが、例えば、1から約50、および1から約20であり得る、部分的な式−(R−O)x−、およびR5が水素もしくはアルキルなどの置換または非置換(C1-8)ヒドロカルビルであり、xが1から約50までの整数である、式−(CR5−CHR5−O)x−のものなどの同様の置換オキシアルキレン置換基であり得る。
【0009】
「アリール」は、一価または二価のフェニルラジカルまたは少なくとも1つの環が芳香族である、約9から20の環原子を有するオルト縮合二環式炭素環式ラジカルを含む。アリール(Ar)は、1から5の置換基、例えば、アルキル、アルコキシ、ハロ、および同様の置換基を有するフェニルラジカルなどの置換アリールを含み得る。「アリール」コアは、置換または非置換(すなわち、1位および4位において、一方で、2位と3位、および5位と6位は、それぞれ、FT2基などのヘテロアリール置換基である)、ビス環化、ビスオルト縮合フェニルラジカル、または少なくとも1つの環が芳香族である、約9から20の環原子を有するオルト縮合二環式炭素環式ラジカルを含む。アリール(Ar)置換基またはコアは、置換または非置換,ヘテロアリールまたは複素環式化合物を含み得る。
【0010】
「Het」は、オキシ、チオ、スルフィニル、スルホニル、セレン、テルル、および窒素からなる群より選択される1,2,3,または4のヘテロ原子を有し、その環が必要に応じてベンゼン環に縮合されている、四−(4)、五−(5)、六−(6)、または七−(7)員の飽和または不飽和複素環を含む。Hetはまた、「ヘテロアリール」を含み、これは、各々が、非酸化物オキシ、チオ、およびXがないかまたはH、O、(C1-4)アルキル、フェニル、またはベンジルであるN(X)からなる群より選択される1,2,3,または4のヘテロ原子および炭素からなる5または6環原子を含有する単環式芳香族の環炭素を介して結合したラジカル、およびそれから誘導された約8から10の環原子のオルト縮合二環式複素環のラジカル、特にベンゾ−誘導体またはプロピレン、トリメチレン、またはテトラメチレンジラジカルをそれに縮合させることにより誘導されたものを含む。特に有用なアリール(Ar)主鎖部分は、置換または非置換,二価チオフェンを含む。
【0011】
実施の形態において、ハロまたはハロゲン化物は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを含む。アルキル、アルコキシ等は、直鎖と分岐鎖両方の基を含む。しかし、「プロピル」などの個々のラジカルへの言及は、直鎖ラジカルのみを包含し、「イソプロピル」などの分岐鎖異性体は具体的に言及される。
【0012】
あるいは、様々な炭化水素含有(すなわち、ヒドロカルビル)部分の炭素原子の含有量は、その部分における炭素原子の下限と上限の数を表す接頭文字により表すことができる。すなわち、接頭文字Ci-jは、整数「i」から整数「j」までの炭素原子の部分を表す。それゆえ、例えば、C1からC8アルキル、(C1〜C8)アルキルまたはC1-8アルキルは、1から8までの炭素原子のアルキルを称し、(C1〜C8)アルコキシまたはC1-8アルコキシなどのヒドロカルビルオキシは、1から8までの炭素原子のアルキル基を有するアルコキシラジカル(−OR)を称する。別の例において、C1からC40アルキル、(C1〜C40)アルキル、(C1-40)アルキル、またはC1-40アルキルは、1から40までの炭素原子のアルキルを称し、(C1〜C40)アルコキシまたはC1-40アルコキシなどのヒドロカルビルオキシは、1から40までの炭素原子のアルキル基を有するアルコキシラジカル(−OR)を称する。
【0013】
具体的には、C1-8アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、3−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルであり得;(C3〜C12)シクロアルキルは、二環式、三環式、または多環式置換基、および同様の置換基を含む、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどであり得る。
【0014】
特定の「ヒドロカルビル」は、例えば、全ての中間の鎖長および値を含む、(C1-40)ヒドロカルビルであり得る。好ましい「ヒドロカルビル」基は、例えば、全ての中間の鎖長および値、並びにそれらの混合物、例えば、(C16-40)ヒドロカルビル、(C20-40)ヒドロカルビル、(C22-36)ヒドロカルビル、(C22-40)ヒドロカルビル、(C26-40)ヒドロカルビル、(C30-40)ヒドロカルビルを含む、(C16)ヒドロカルビル、(C17)ヒドロカルビル、(C18)ヒドロカルビル、(C20)ヒドロカルビル、(C22)ヒドロカルビル、(C24)ヒドロカルビル、(C26)ヒドロカルビル、(C28)ヒドロカルビル、(C30)ヒドロカルビル、(C32)ヒドロカルビル、(C34)ヒドロカルビル、(C36)ヒドロカルビル、(C38)ヒドロカルビル、(C40)ヒドロカルビル、などのモノマーまたはコモノマー出発材料、もしくは結果として生じたポリマーに、向上した溶解度を与えられるそれらのR1基およびR2基であり得る。
【0015】
1-8アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、3−ペントキシ、ヘキシルオキシ、1−メチルヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、および同様の置換基であり得る。
【0016】
H−C(=O)(C3-7)アルキル−または−(C2-7)アルカノイルは、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、4−メチルペンタノイル、ヘキサノイル、またはヘプタノイルであり得る。アリール(Ar)は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、テトラヒドロナフチル、またはインダニルであり得る。Hetは、例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、またはヘテロアリールであり得る。ヘテロアリールは、例えば、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(またはそのN−オキシド)、チエニル、ピリミジニル(またはそのN−オキシド)、インドリル、イソキノリル(またはそのN−オキシド)またはキノリル(またはそのN−オキシド)であり得る。
【0017】
Hetに関する特定の値は、1,2,3,または4のヘテロ原子、例えば、非過酸化物のオキソ、チオ、スルフィニル、スルホニル、セレン、テルル、および窒素を含有する五−(5)、六−(6)、または七−(7)員の飽和または不飽和環;およびそれから誘導された約8から12の環原子のオルト縮合二環式複素環のラジカル、特にベンゾ−誘導体またはプロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、または別の単環式Hetジラジカルをそれに縮合させることにより誘導されたものを含む。
【0018】
ここに開示され、説明されたような、様々な出発材料または中間体からの、本開示の化合物、オリゴマー、ポリマー、複合体または同様の生成物の形成および修飾に適した他の条件が利用できる。例えば、Feiser and Feiser, "Reagents for Organic Synthesis", Vol. 1, et seq., 1967; March, J. "Advanced Organic Chemistry," John Wiley & Sons, 4th ed. 1992; House, H. O., "Modem Synthetic Reactions," 2nd ed., W. A. Benjamin, New York, 1972; およびLarock, R. C., "Comprehensive Organic Transformations," 2nd ed., 1999, Wiley-VCH Publishers, New Yorkを参照のこと。ここに記載された調製方法に使用される出発材料は、例えば、市販されている、科学文献に報告されている、または当該技術分野に公知の手法または実施例に与えられた手法を使用して容易に入手可能な出発材料から調製できる。上述したまたは代わりの調製手法の全てまたは部分の最中に、保護基を必要に応じて使用することが望ましいかもしれない。そのような保護基およびその導入方法と除去方法が、当該技術分野において公知である。Greene, T. W.; Wutz, P. G. M. "Protecting Groups In Organic Synthesis," 2nd ed., 1991, New York, John Wiley & Sons, Inc. を参照のこと。
【0019】
「含む」または同様の用語は、限られないが、包含する、すなわち、包括的であって、排他的ではないことを意味する。
【0020】
「モノマー」、「マー(mer)」または同様の用語は、目的のポリマーの同種(ホモポリマー)または異種(例えば、コポリマー、ターポリマー、および同様のヘテロポリマー)の鎖を形成するために、同様のまたは異なる構造の他のモノマーと共有結合または連結できる(または既にされた)化合物を称する。「ポリマー」または同様の用語はコポリマーを含む。ここに開示された示されたような適切なモノマーは、例えば、二スズ縮合チオフェン化合物、二ハロゲンチオフェン化合物、二ハロゲンオリゴチオフェン化合物、および同様の化合物などの、ここに開示された二価または二官能性反応性化合物を含む、約50から約200ダルトンなどの、低分子量重合性化合物、および約200から約10,000ダルトンなどのより高分子量の化合物を含み得る。
【0021】
実施の形態における「から実質的になる」は、例えば、本開示の化合物と、ポリマーまたはコポリマー組成物と、その化合物、ポリマー、コポリマー、配合物、まは組成物を製造する方法または使用する方法と、本開示の物品、デバイス、または任意の装置を称し、請求項に列記された成分または工程に加え、特定の反応体、特定の添加剤または成分、特定の試薬、特定のモノマー、コモノマーまたは条件、または同様の構造、材料、または選択されたプロセス変数などの、本開示の組成物、物品、装置、または製造方法および使用方法の基本的性質および新規の性質に実質的に影響しない他の成分または工程を含んで差し支えない。本開示の成分または工程の基本的性質に実質的に影響するであろう事柄、または本開示に望ましくない特徴を与えるであろう事柄の例としては、早まったポリマー鎖の停止、過剰な架橋、結果として得られるポリマーの過度に高い温度への長期間のまたは不要な曝露、および同様の不利な工程が挙げられる。
【0022】
ここに用いたような不定冠詞および対応する定冠詞は、別記しない限り、少なくとも1つ、すなわち1つ以上を意味する。
【0023】
当業者によく知られている省略形を使用してもよい(例えば、時、時間について「h」、「hr」、グラムについて「g」、「gm」、ミリリットルについて「mL」、および室温について「rt」、ナノメートルについて「nm」、および同様の省略形)。
【0024】
成分、反応体、試薬、材料、添加剤、開始剤、金属触媒、架橋剤、および同様の態様について開示された特定の値と好ましい値、およびその範囲は、説明のためだけである。それらは、他の所定の値または所定の範囲の他の値を排除するものではない。本開示の組成物および方法は、ここに記載された値、特定の値、より特定の値、および好ましい値の内の任意の値または任意の組合せを有するものも含む。付随の特許請求の範囲に挙げられた任意の態様、特徴、または実施の形態は、付随の特許請求の範囲に挙げられた任意の1つ以上の態様、特徴、または実施の形態と、任意の組合せまたは順序で使用しても差し支えない。
【0025】
オリゴマーおよびポリマーを含む有機半導体化合物(OSC)は、その興味深い電子特性と光電子工学特性のために、学術研究および産業研究の焦点となってきている。これらの有機材料には、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光ダイオード(OLED)、および電気光学(EO)用途を含む様々な用途がある。縮合芳香族化合物およびそれらのオリゴマー誘導体と高分子誘導体が、固体状態における良好なパイ・スタッキング、良好な熱安定性、および高いデバイス性能のために、価値のある有機薄膜トランジスタとして広く使用されてきた。中央のフェニル環および2つの外側のチオフェン環を有する3環縮合ヘテロ芳香族化合物(図1)が30年以上昔に発見されたが(Hebert, M.,等, Preparation of 2,3-[di(2-thienyl)butane-2,3-diol and 4,8-dimethylbenzo[1,2-b;4,5,-b']dithiophene,” Comptes Rendus des Seances de l'Academie des Sciences, Serie C: Sciences Chimiques (1971), 273(14), 825-8; Caullet, C.,等, “Identification of a product obtained by the electrochemical reduction of 2-acetylthiophene in an acid medium in a water-tetrahydrofuran mixture,” Comptes Rendus, Serie C: Sciences Chimiques, (1967), 264(2), 228-31を参照)、半導体ポリマーにおける繰り返し単位として使用されてきたのは、ごく最近になってからである(図2)(例えば、Pan, H.,等, “Low-Temperature, Solution-Processed, High-Mobility Polymer Semiconductors for Thin-Film Transistors,” J. Am. Chem. Soc., (2007), 129(14), 4112-4113; Ong, B.,等, “Electronic devices comprising poly(dithienyl-benzodithiophenes) as semiconductors,” EP 1916250; Pan, H.,等, “Benzodithiophene copolymer - a low-temperature, solution-processed high-performance semiconductor for thin-film transistors,” Advanced Functional Materials, (2007) 17(17), 3574-3579; Li, Y.,等, “Functionalized heteroacenes and polymers,” 米国特許出願公開第2007/260069号明細書; Li, Y.,等, “Poly[bis(ethynyl)heteroacene]s and electronic devices generated therefrom,”米国特許出願公開第2007/235726号明細書; およびHeeney, M.,等, “Polybenzodithiophenes useful for semiconductors or charge transport materials in optical, electro-optical or electronic devices,” 米国特許出願公開第2005/082525号明細書を参照)。これらの高性能の半導体ポリマー1は、0.1cm2/V・sより大きい電界効果移動度を有する。公表された研究結果の比較によって、この半導体ポリマー中に芳香族が少ないために、このポリマーの熱安定性が大きくなったことも示された。本出願人の以前の高性能の縮合チオフェンポリマー(図3に示されるように調製した)は、その縮合チオフェン環コアに芳香族プロトンがないために、空気中における熱安定性が高い(Fong, H.-H.,等, “Tetrathienoacene Copolymers As High Mobility, Soluble Organic Semiconductors,” J. Am. Chem. Soc., (2008), 130(40), 13202-13203も参照のこと)。
【0026】
実施の形態において、本開示は、小分子、そのオリゴマーとポリマーを含み、図4の式2または2’の一般コア構造を有する種類の化合物を提供するために中央フェニル環および合計で4つの縮合または環化チオフェン環を有する一群のα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物を提供する。
【0027】
実施の形態において、本開示は、図4の式2の一般コア構造を有する上述したα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物を製造する合成方法も提供する。
【0028】
最近の刊行物に、図5の式Aのコア構造を持つ化合物を有するα−,α’−アルキル(またはアリール)置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物の合成が記載された(Kastler, M.,等, “High performance solution processible semiconductor based on dithieno[2,3-d:2',3'-d']benzo[1,2-b:4,5-b']dithiophene,”国際公開第2010/000670号パンフレットを参照のこと)。図5の目的の5環縮合ヘテロ芳香族化合物を形成するための最後の閉環工程では、チオフェンのα位をアルキル側鎖で保護したにもかかわらず、26%から43%の収率しか達成されなかった。この最後の工程における1つの厄介な問題は、分子間重合の可能性である(Sirringhaus, H.,等, “Dibenzothienobisbenzothiophene a novel fused-ring oligomer with high field-effect mobility,” Journal of Materials Chemistry (1999), 9(9), 2095-2101を参照のこと)。
【0029】
最近、有機分子用途のための半導体ポリマーの合成に関心が寄せられている(例えば、Kastler, M.,等, Polybenzothiophene polymers and process for their preparation and their use as semiconductors or charge transport materials,”国際公開第2010/018081号パンフレット; Liu, M.,等, “A Polymer with a Benzo[2,1-b;3,4-b']dithiophene Moiety for Photovoltaic Applications,” ChemSusChem,(2010), 3(1),106-111; Kastler, M.,等, “Poly(5,5'-bis(thiophen-2-yl)-benzo[2,1-b;3,4-b']dithiophene) and its use as high performance solution processible semiconducting polymer,”国際公開第2010/000669号パンフレット; Kastler, M.,等, “Solution-processible semiconducting donor-acceptor copolymers,”国際公開第2010/000755号パンフレット; Rieger, R.,等, “Rational Optimization of Benzo[2,1-b;3,4-b']dithiophene-Containing Polymers for Organic Field-Effect Transistors,” Advanced Materials (Weinheim, Germany) (2010), 22(1), 83-86, ISSN:0935-9648を参照のこと)。
【0030】
実施の形態において、本開示は、芳香族中心および環化縮合チオフェンを含むコアを有する化合物、ポリマー組成物、物品およびその化合物とポリマーを製造する方法と使用する方法を提供する。
【0031】
実施の形態において、本開示は、芳香族中心およびその中心の反対側にある少なくとも2つの環化縮合チオフェンを有する化合物、並びにここに定義された化合物を製造する方法を提供する。
【0032】
実施の形態において、本開示は、芳香族中心および少なくとも2つの環化縮合チオフェンを含むコアであって、隣接するコアの間に位置する芳香族置換基またはヘテロ芳香族置換基(−G1−または−G1−G2−G1−などの)を1つ以上さらに含むコアを有するポリマーまたはコポリマー組成物を提供する。
【0033】
実施の形態において、本開示は、芳香族中心および環化縮合チオフェンを有するポリマーまたはコポリマー組成物を有する物品を提供する。
【0034】
実施の形態において、本開示は、ここに定義されたプロセスのいずれかにより調製されたポリマーまたはコポリマー組成物、およびその物品を提供する。
【0035】
実施の形態において、本開示は、ここに定義されたポリマー、コポリマー、またはポリマー物品を含む物品またはデバイスを提供する。
【0036】
開示された組成物、物品、および方法を使用して、数多くの様々な電気光学デバイス、例えば、OLED、OFET、OTFT、および例えば、J. Am. Chem. Soc., 2008, 130, 13202-13203に開示されたような同様のデバイスを調製することができる。
【0037】
実施の形態において、本開示は、例えば、図4の式2および2’の化合物に具体化されたようなコア構造を有するα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物、およびその化合物を製造する合成方法を提供する。3環コア出発材料およびそのポリマーが公知である(Hebert, M.,等, Preparation of 2,3-[di(2-thienyl)butane-2,3-diol and 4,8-dimethylbenzo[1,2-b;4,5,-b']dithiophene,” Comptes Rendus (1971),前出を参照のこと)。
【0038】
実施の形態において、本開示は、この種類のα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物の図6の式2aの化合物を製造する方法を提供する。式2の一般構造を有するそのようなヘテロ芳香族化合物は入手できるので、図7に示されるような式4および5の一般構造のモノマーまたはコモノマーを有する半導体ポリマーの調製も、開示され、明示される。例えば、図8の式4aの構造の、この種類の半導体ポリマーの合成および特徴付けが明示される。
【0039】
実施の形態において、本開示は、縮合芳香族繰り返し単位、例えば、図7の式4および5の化合物を含有する有機半導体ポリマーも提供する。
【0040】
実施の形態において、本開示は、図6に示されるようなこのα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物の式2aの化合物を製造する方法も提供する。化合物2aおよびその前駆体は、実施例に記載されるように精製し、1H NMRデータにより特徴付けした。化合物2aは、潜在的に高い移動度の化合物であることを示唆した分子モデリングの結果として調製された。長いアルキル側鎖(「DC17」R=C1735)は、優れた結晶充填特性を提供し、転じて、移動度を増加させ、精製用途、印刷用途、およびデバイス製造用途などの、対応して優れた溶解処理のための優れた溶解性を提供する目的のために選択された。図3に示されたP2TDC13FT4ポリマーを製造するために使用した公知の(2010年11月23日に発行された同一出願人の米国特許第7838623号明細書を参照のこと)合成手法を適用して、図8の式4aのポリマーなどの、この種類の半導体ポリマーの第1の例の合成および特徴付けを明示した。図7に示されたような、C2対称繰り返し単位を有するこれらの有機半導体ポリマーには、例えば、有機電子工学における用途がある。分子モデリングにより、図8の式4aのポリマーが、以下に論じるように、本出願人の以前の高性能ポリマーであるP2TDCXFT4と比べて優れた移動度を有するはずであることが予測された。式4aのポリマーの溶液と固体の紫外線−可視線スペクトルデータは、これがおそらく高性能OTFTの候補であることを示した。
【0041】
開示された化合物、ポリマー、および調製方法は、有機半導体材料の開発努力を継続し、数多くの調製の利点と性能の利点を提供する(He, M., “Preparation of fused thiophenes,”国際公開第2006/031893号パンフレット; He, M., “Fused thiophenes, methods for making fused thiophenes, and uses thereof,”米国特許出願公開第2007/161776号明細書; He, M., “Fused thiophene monomers, oligomers and polymers for use in electronic devices,”国際公開第2008/106019号パンフレット; およびHe, M., “Fused thiophenes, methods for production and use in electronic devices,”国際公開第2009/123695号パンフレットを参照のこと)。本出願人の以前の4環縮合チオフェンの小分子と比べると(2010年11月23日に発行された同一出願人の米国特許第7838623号明細書を参照のこと)、図4の式2のコア構造を有するこの種類のα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物における追加のフェニル環の存在により、共役が延び、デバイス性能を増加させるであろう。小分子有機電子部品の比較により、一般に、同様の構造における縮合フェニル環の数が多くなると、移動度が増加することが示される。同一出願人の国際公開第2008/106019号パンフレット(前出)に開示された縮合チオフェンポリマーは、ジブロモ縮合チオフェンモノマーと二スズ非縮合芳香族モノマー(またはビニル二スズモノマー)との間のスティルカップリングにより合成された。開示された化合物、ポリマー、および調製方法のいくつかの利点が以下に論じられている。
【0042】
本出願人の以前の高性能のβ−,β’−アルキル置換縮合チオフェンポリマー(FT4−FT7ポリマー)(Fong, H. H., “Tetrathienoacene Copolymers As High Mobility, Soluble Organic Semiconductors,” J. Am. Chem. Soc., (2008), 130(40), 13202-13203を参照のこと)と同様に、図7に示されたようなこれらのα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物を含有するC2対称繰り返し単位の半導体ポリマーは、モデリングを使用して、高いデバイス性能を有することが予測されるが、それらは、おそらく、中央の縮合フェニル環の存在のために、異なる電子特性を提供するであろう。
【0043】
図4に示された方法を使用して、これらのα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物の合成を行った。このα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物(2a)の第1の化合物をこの方法によって合成し、図6に示されるように精製し、特徴付けた。公表された実施例により、縮合芳香族化合物においてチオフェン環をフェニル環で置換すると、移動度が著しく増加することが示されているので(Anthony, J., “Functionalized acenes and heteroacenes for organic electronics,” Chemical Reviews (US), (2006), 106(12), 5028-5048)、化合物2aは、DC17FT4の移動度よりも大きい移動度を有することが予測される。このことは、本出願人のモデリングデータと整合性がある。
【0044】
高性能のβ−,β’−アルキル置換縮合チオフェンポリマーを製造するための本出願人の以前の方法(Fong, H. H.,前出を参照のこと)に従って、図7におけるこれらのα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物を含有する半導体ポリマーを合成することができる。
【0045】
図7の化合物4および5のこれらの半導体ポリマーの溶解度および固体状態充填は、アルキル側鎖R1の長さを変えるだけでなく、アルキル側鎖R2の長さも変える、開示の融通の利く合成方法を使用して、変更することができる。
【0046】
図8の式4aの潜在的な高移動度のポリマーを合成し、特徴付けた。モデリングの結果により、式4aのポリマーが、本出願人の以前の高性能ポリマーであるP2TDC17FT4と比べて、優れた移動度および優れた安定性を有するはずであることが示された。このポリマーの溶液最大吸収から固体状態最大吸収への69nmの赤方偏移は、このポリマーがおそらく高性能OTFTであることを示唆した。
【0047】
実施の形態において、本開示は、C2対称を有するα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物を製造する方法を提供する(図4)。実施の形態において、本開示は、式4および5の対応する半導体ポリマーを製造する方法も提供する(図7)。これらの有機半導体ポリマーは、有機電子デバイスにおいて有用性を有する。最近の刊行物により、高性能有機薄膜トランジスタの設計におけるC2対称性の重要性が強調された(He, M.,等, “Importance of C2 Symmetry for the Device Performance of a Newly Synthesized Family of Fused-Ring Thiophenes,” J. Chem. Materials, (2010), 22(9), 2770-2779; Anthony,前出も参照のこと)。したがって、図4の式2のここに開示された5環縮合ヘテロ芳香族化合物を、C2対称性を有するように設計し、調製した。文献の実施例により、同じ数の縮合環について、縮合芳香族化合物においてチオフェン環をフェニル環で置換すると、移動度が著しく増加することが示されているので(Anthony,前出)、図6の化合物2aは、DC17FT4の移動度より大きい移動度を有することが予測できる。式2aの化合物は、DC17FT4よりも1つ環を多く有するので(すなわち、合計で5つの縮合環について、追加の芳香族化合物)、DC17FT4よりも高度に共役していると予測される。この予測は、それぞれの紫外線−可視線スペクトル(図10)を比較することにより支持された。この種類の対称5環縮合ヘテロ芳香族化合物の合成に関心が示されているが(Kastler, M.,等, “High performance solution processible semiconductor based on dithieno[2,3-d:2',3'-d']benzo[1,2-b:4,5-b']dithiophene,”国際公開第2010/000670号パンフレット)、図4の式2のこれらのα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物の合成は報告されていない。図9に示されるような式3aのこれらのα−,α’−アルキル置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物への最初に試みた合成経路では、最後の閉環工程に
おける2つのチオフェン環の形成をおそらく促進させるために、アルキル鎖によりα−,α’−位が保護された。しかしながら、最後の閉環工程を行うためのいくつかの試みにより、式3aの目的の化合物は、形成されず、分離不可能な粗製混合物中に約10%未満の収率で微量生成物としてしか形成されなかったことが示された。図9に示された最後の閉環反応は失敗したので、このα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物の構築は、裏返し(inside-out)から行われるかもしれないと推測した。すなわち、フェニル環を含む内側の3つの縮合環を最初に構築し、次いで、2つの外側の縮合チオフェン環を加えられるであろう。この手法を使用した一般的な合成経路が図4に示されている。式2aの化合物を、図6に示された経路にしたがって調製した。式2aの純粋な化合物を約15%の全体の単離収率で得た。これらのα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物は入手できるので、式3のポリマー前駆体を形成するための式2aの化合物のNBSを使用する公知の臭素化手法(図7の工程1)は成功するはずである(Fong, H.-H., “Tetrathienoacene Copolymers As High Mobility, Soluble Organic Semiconductors,” J. Am. Chem. Soc., (2008), 130(40), 13202-13203)。前駆体構造3の二スズ化合物とのスティルカップリング(図7の工程2)により、式4および5のα−,α’−非置換5環縮合ヘテロ芳香族化合物を含有する所望の半導体ポリマーが容易に形成されるはずである。この手法を使用することによって、図8に示された式4aの潜在的な高移動度のポリマーを調製し、特徴付けることができた。モデリング研究により、式4aのポリマーは、本出願人の以前の高性能ポリマーであるP2TDCXFT4と比べて、両方のポリマーの繰り返し単位に基づく正孔再配向エネルギー(the Hole Reorganization Energy)により示されるように、移動度と熱安定性が良好なはずであることが示された。様々な縮合芳香族化合物の構造を、以下に論じるマーカス(Marcus)モデルにおいて、最低の正孔再配向エネルギー(最も大きい移動度)から、最高の正孔再配向エネルギー(最も小さい移動度)まで分類した。これらのモデリング結果により、添付の図14の表1におけるポリマー4aに関するモデル化合物9が、本出願人の以前の高性能ポリマーであるP2TDCXFT4に関するモデル化合物19よりも低い正孔再配向エネルギーを有することが示された。これらの結果は、式4aのポリマーは、本出願人の以前の高性能ポリマーであるP2TDCXFT4よりも良好な移動度を有するはずであることを示唆している。モデル化合物10の正孔再配向エネルギーよりもわずかに低いモデル化合物9の正孔再配向エネルギーは、C2対称性の重要性を示している。
【0048】
図10は、式:
【0049】
【化1】
【0050】
のβ−,β’−C1735置換基を有する式2aの図8の化合物:DC17PhFT2FT2(1010)に関する例示の紫外線−可視線スペクトル(実線)、および式:
【0051】
【化2】
【0052】
のβ−,β’−C1735置換基を有する公知のDC17FT4(1020)に関する例示の紫外線−可視線スペクトル(点線)を示しており、両方ともCH2Cl2中で測定した。波長における偏移は、化合物2a(1010)が、加えられた中央の縮合フェニル環に帰因する、DC17FT4(1020)よりも大きい共役を有することを示している。図11は、図8の式4aの半導体ポリマーの溶液(1100)と固体(1120)の紫外線−可視線スペクトルの例を示している。このポリマーに関する溶液の最大吸収から固体状態の最大吸収への約69nmの観察された赤方偏移は、このポリマーが最も可能性が高い高性能OTFTであることを示している。
【0053】
実施の形態において、本開示は、式2、2’、3または3’:
【0054】
【化3】
【0055】
の化合物、またはその塩、もしくはそれらの混合物を提供するものであり、式中、R1およびR2は、独立して、水素、および置換または非置換、分岐または非分岐、(C1-40)アルキルから選択される。
【0056】
式2、2’、3または3’の化合物は、例えば、
【0057】
【化4】
【0058】
またはその塩、もしくはそれらの混合物であって差し支えない。
【0059】
式2aまたは2bの化合物は、例えば、
【0060】
【化5】
【0061】
またはその塩、もしくはそれらの混合物であって差し支えない。
【0062】
実施の形態において、本開示は、式4、4’、5または5’:
【0063】
【化6】
【0064】
のポリマー、またはその塩、もしくはそれらの混合物を提供するものであり、式中、例えば、
nは、約3から約30の整数であり得、
1およびR2は、独立して、水素、および置換または非置換、分岐または非分岐、(C1-40)アルキルから選択され得、
1およびG2は、二価の、置換または非置換、芳香族またはヘテロ芳香族基であり、各々独立して、例えば、
【0065】
【化7】
【0066】
または同様の基、およびそれらの組合せから選択され得、この式中、R2は、独立して、水素、および置換または非置換、分岐または非分岐、(C1-20)アルキルから選択され得、sは0から40の整数である。
【0067】
式4、4’、5または5’のポリマーは、例えば、
【0068】
【化8】
【0069】
またはその塩、もしくはそれらの混合物であって差し支えなく、式中、n、R、R1、R2、R2、G1、およびG2はここに定義されたものである。
【0070】
式4aのポリマーは、例えば、
【0071】
【化9】
【0072】
またはその塩、もしくはそれらの混合物であって差し支えなく、式中、nは約3から約30の整数であり得る。
【0073】
実施の形態において、式4aのポリマーは、中間値および中間範囲を含む、例えば、約0.0192から約0.0772cm2/V・sの移動度を有し得る。
【0074】
実施の形態において、本開示は、式2、2’、3または3’の化合物、またはその塩、もしくはそれらの混合物を製造する方法であって、
式:
【0075】
【化10】
【0076】
の化合物および少なくとも2当量のジハロゲンまたはNBSなどの他の適切なハロゲン化試薬を接触させて、それぞれ、式:
【0077】
【化11】
【0078】
の化合物であって、式中、Xがハロゲンである化合物を提供する工程、
結果として生じたハロゲン化生成物をα,α’−ジアシル化して、それぞれ、式:
【0079】
【化12】
【0080】
の化合物を提供する工程、
結果として生じたジアシル化生成物をβ−チオール酢酸エステルでビス環化して、それぞれ、式:
【0081】
【化13】
【0082】
の5環コア化合物であって、式中、−R3が(C1-4)アルキルである化合物を提供する工程、
結果として生じたジエステルを加水分解して、それぞれ、式:
【0083】
【化14】
【0084】
の二酸化合物を提供する工程、
結果として生じた二酸からカルボキシル基を除去して、それぞれ、式2または2’:
【0085】
【化15】
【0086】
のα,α’−非置換化合物を提供する工程、および
式2または2’の化合物をジハロゲンと接触させて、それぞれ、式3または3’:
【0087】
【化16】
【0088】
の化合物を提供する工程、
を有してなる方法を提供する。
【0089】
あるいは、実施の形態において、α,α’−ジアシル化は、ハロゲン化アシルと直接反応させる代わりに、式:
【0090】
【化17】
【0091】
の中間体を提供するために当量のアルデヒドと反応させ、その後の酸化による二工程で行っても差し支えない。
【0092】
実施の形態において、本開示は、上述した式4または5のポリマーを製造する方法であって、例えば、
式3:
【0093】
【化18】
【0094】
のジハロゲン化合物であって、式中、Xがハロゲンである化合物を、式(R)3Sn−G1−Sn(R)3または式(R)3Sn−G1−G2−G1−Sn(R)3の二スズ化合物と接触させて、それぞれ、式4または5:
【0095】
【化19】
【0096】
の化合物を形成する工程、
を含む方法を提供する。
【0097】
式3のジハロゲン化合物は、式2b:
【0098】
【化20】
【0099】
のものであり得、
(R)3Sn−G1−Sn(R)3は、例えば、式:
【0100】
【化21】
【0101】
のビスチオフェンであり得、
式4のポリマーは、特別な式4a:
【0102】
【化22】
【0103】
のものであり得る。
【0104】
実施の形態において、本開示は、式4または5:
【0105】
【化23】
【0106】
の少なくとも1つのポリマーを含むデバイスを提供するものであり、式中、R1は、例えば、CH3であり得、R2は、例えば、C1735であり得、G1およびG2は、例えば、独立して、−(チオフェン)−、−(チオフェン)2−、−(ベータ−C17−置換−チオフェン)−、または−(ベータ−C17−置換−チオフェン)2−から選択され得、nは5から20である。あるいは、実施の形態において、R1は、ここに定義されたような−OR1であり得る。
【0107】
分子設計:マーカスモデル
電荷移動特性は、π系の配向の程度または固体状態における分子配向並びに粒径および転位などの構造欠陥、化学不純物の密度、もしくはそれらの組合せに依存する(Garnier, F.,等, Science (1994) 265, 1684; Katz, H. E., J. Mater. Chem., (1997) 7, 369; and Horowitz, G., Adv. Mater. (1998) 10, 365を参照のこと)。電子レベルでは、有機共役材料における移動特性を制御するより重大な要因の内の2つは、鎖間移動積分β、および再配向エネルギーλである。移動積分は、相互作用する鎖の間の電荷の移動の容易さを表す。再配向エネルギーという用語は、電子−フォノン・カップリングの強度を表す。これは、個々の中立単位に関する帯電分子の幾何学的緩和エネルギーに比例する。準古典的な電子移動理論に関して、電子移動(ホッピング)速度は:
【0108】
【数1】
【0109】
と単純化された項でマーカス理論から方程式(1)により表すことができ、式中、Tは温度であり、λは再配向エネルギーであり、βは移動積分であり、hとkBは、プランク定数とボルツマン定数である(Marcus, R. A., Rev. Mod. Phys. (1993) 65, 599を参照のこと)。
【0110】
電荷移動速度に対する両方のパラメータの相対的な影響を特徴付けるために、方程式(1)をより単純な式(2):
【0111】
【数2】
【0112】
により置き換える。方程式(2)は、2変数関数を表しており、電荷移動速度、それゆえ移動度への変数の相対的な重要性を評価することができる。図12の結果は、移動積分の5つの異なる値を考えた(すなわち、ある移動積分について計算移動度(μ)が約0.4eVから約2eVに及ぶ)場合、再配向エネルギーの関数として移動度がどのように変動するかを示している。これらは、小分子有機半導体に関する非常に現実的な移動積分値である。Dengは、ヘリンボン型充填によるペンタセンに関する移動積分を計算した(Deng, W.-Q., et al., J. Phys. Chem. B, (2004), 108, 8614-8621)。方程式(1)を使用して計算した移動度の結果により、単結晶について測定した移動度との妥当な一致が生じた。結晶質ペンタセンにおいて異なる方向での移動積分の最大値は、0.2eVと0.32eVの間であった。最適な場合とそれを超える場合を含めるために、この場合の計算には、広い範囲を使用した。図12から、様々な移動積分に関する移動度の差は、再配向エネルギーの小さい値についてだけ著しいことが明らかである。再配向エネルギーが小さくない限り、移動積分が大きく増加しても、移動度に著しい変動は生じない。このことは、移動度の任意の最適化は、再配向エネルギーが非常に小さい分子の設計から始めるべきであることを暗示している。
【0113】
モデリングの詳細
再配向エネルギーは、電荷ホッピングに関連する2つの寄与を含む。第1の寄与は、1つの分子内の幾何学的変化により導入され、内部部分を示す。第2の寄与は、周囲の媒質の再分極変化から生じる。この最後の寄与は、再配向エネルギーの評価において無視される。凝縮相における電荷移動中に著しい溶媒再配向が生じないので、そのような概算は有効である。方程式(1)において考えられるような正孔移動に関する再配向エネルギーは、2つの部分の合計として方程式(3):
【0114】
【数3】
【0115】
により予測することができる。
【0116】
図13は、再配向エネルギーの計算を示している。各分子について、中性状態とイオン状態の両方について量子力学を使用して、その幾何学的配置が最適化される。その結果、分子ワイヤにおける基本的ホッピングステップは、4つのエネルギーにより定義される:E0およびE+は、それぞれ、最低のエネルギー配置における中性種とカチオン種のエネルギーを表すのに対し、E*0はカチオンの最適化配置を有する中性種のエネルギーを表し、E*+は中性種の最適化配置を有するカチオン種のエネルギーを表す。これらの上述した数量を決定するための量子力学計算では、VAMP(登録商標)(Accelrys Software, Inc.)に実装された実験的にパラメータ化されたHamiltoniam PM6が使用された。正孔再配向エネルギー(RE)計算を確認するために、基準としてペンタセンを使用した。ペンタセンREに関する実験データは、VAMPからの0.114eVと比べて、約0.12eVである。図14は、表1に、半導体用途および半導体ポリマーのための良好な候補として提案されたポリマー(P2TDC13FT4、表1のモデル化合物19)の繰り返し単位にある程度の構造的類似性を有する選択された分子(モデル化合物9)に関する正孔再配向エネルギーを列挙している。提案されたポリマーのモノマーは、P2TDC13FT4に関する0.243eVと比べて、0.199eVの再配向エネルギーを有する。これは、正孔再配向エネルギーの約18%の改善に相当する。
【0117】
他の公知と関連する化合物およびポリマーに基づいて、開示された化合物およびポリマーは、増加した熱安定性および酸化安定性などの優れた有機半導体特性、並びに増加した溶解度に基づく増大した製造の容易さおよびより少ない工程などの増加した合成効率を有すると見込まれる。
【0118】
この調製方法の利点の例としては、多種多様な新規のポリマーおよびコポリマー、特に、芳香族中心およびそれに環化した少なくとも2つの縮合チオフェンを含むコア部分を有するポリマーへの比較的複雑ではない経路が挙げられる。二スズ縮合チオフェンモノマー化合物は、その高い結晶度と溶解度の特徴のために、調製するのに都合よい。
【0119】
開示された調製方法は、任意の縮合芳香族二スズモノマーに拡張することができる。開示されたポリマーまたはコポリマー調製方法は、芳香族中心およびそれに環化した少なくとも2つ縮合チオフェンを含む同様のコアを有する共役ポリマーの合成に拡張できる。
【実施例】
【0120】
これらの実施例は、本開示の範囲を制限するものではなく、説明目的のために提示されていることが理解されよう。
化合物2a(図6)およびポリマー4a(図8)に関する実験データ
実施例1
化合物Cの合成: 暗闇において、氷酢酸HOAc(20mL)とCH2Cl2(4mL)の混合溶媒中の化合物B(0.28g、1.28ミリモル)の濁った溶液に、0.92g(5.8ミリモル)のBr2を加えた。その結果として生じた混合物を3日間に亘り室温で撹拌した。氷冷したNaOH水溶液を加えた。次いで、減圧下で塩化メチレンを除去して、沈殿物を含有する溶液を生成した。次いで、この沈殿物を濾過により収集し、炭酸ナトリウム水溶液、水、MeOH、およびCH2Cl2で連続して洗浄した。化合物Cを灰色がかった固体(0.68g、68%)として収集した。1H NMR (300 MHz, d8-THF): δ 3.10 (s, 6 H). GC/MS 535[M+]。
【0121】
実施例2
化合物Dの合成: 無水THF(55mL)中の化合物C(1.60g、3.00ミリモル)の濁った溶液に−78℃で、ヘキサン(2.25M)中の2.66mLのn−BuLi溶液を窒素流下で滴下した。出発材料がGC/MSによって少量しか検出できなくなるまで、この溶液を約3時間に亘り−78℃で撹拌した。この混合物に、無水THF(8mL)中の1.77g(6.59ミリモル)のn−C1735CHOの溶液を迅速に加えた。この溶液を一晩でゆっくりと室温まで暖めた。次いで、水により反応を停止させた。THFを除去した後、淡黄色がかった固体を濾過により収集し、水と、次いで、MeOHで洗浄した。この固体のカラムクロマトグラフィーにより、約90%の純度で1.05グラム(38%)の化合物Dが生成された。1H NMR (300 MHz, d8-THF): δ 5.14 (t, 2 H), 3.11 (s, 6 H), 1.82 (p, 4 H), 1.70-1.43 (m, 64 H), 0.89 (t, 6H)。
【0122】
実施例3
化合物Eの合成: 還流アセトン(200mL)中の化合物D(5.83g、6.38ミリモル)の溶液に、19.1mLのジョーンズ試薬を滴下した。その結果として生じた混合物を一晩、還流した。約25℃に冷却した後、緑色がかった沈殿物を収集し、これを高温の4NのHCl水溶液と混合し、約3時間に亘り撹拌した。この固体をさらにアセトンで洗浄して、4.42グラム(75%)の化合物Eを生成した。1H NMR (300 MHz, d8-THF): δ 3.22 (s, 6 H), 3.17 (t, 4 H), 1.79-1.42 (m, 60 H), 0.89 (t, 6H)。
【0123】
実施例4
化合物Fの合成: DMF(50mL)中の化合物E(4.42g、4.86ミリモル)の撹拌溶液に、K2CO3(6.72g、48.6ミリモル)および触媒量の18−クラウン−6を加えた。60〜70℃でメルカプト酢酸エチル1.17g(9.72ミリモル)を滴下した。この混合物を3日間に亘り撹拌した。次いで、この混合物を水(400mL)中に注ぎ入れ、形成した沈殿物を収集した。淡黄色がかった沈殿物を水と、次いで、MeOH(3.70g、80%)で洗浄した。1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): δ 4.38 (q, 4 H), 3.20 (t, 4 H), 2.89 (s, 6 H), 1.78 (p, 4 H), 1.54-1.08 (m, 62 H), 0.87 (t, 6 H)。
【0124】
実施例5
化合物Gの合成: 化合物F(2.89g、3.04ミリモル)、LiOH(水中10%、8.0mL)、THF(150mL)、水(10mL)、メタノール(10mL)、および触媒量のヨウ化テトラブチルアンモニウムの混合溶液を約24時間に亘り還流した。次いで、混合物を約25℃に冷却し、THFおよびMeOHのほとんどを除去した。その結果として生じた濁った溶液を水(50mL)中に注ぎ入れた。この水性残留物に塩酸水溶液(4N、200mL)を加えた。固体を濾過し、水で洗浄した(3×300mL)。化合物Gの淡黄色の固体をメタノール(150mL)で洗浄し、真空下で一晩乾燥させた(2.64g、97%)。
【0125】
実施例6
化合物2aの合成: 乾燥管が取り付けられたフラスコ内で、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(40mL)中の化合物G(1.38g、1.54ミリモル)、Cu2O(0.100g)およびグリシン(0.100g)の混合物を220〜230℃に加熱した。3時間後に反応を停止させた。この高温の反応混合物をできるだけ素早く濾過して、酸化銅または任意の他の固体残留物を除去した。次いで、濾過した溶液を約25℃に冷却し、短経路カラムクロマトグラフィー精製後に、黄白色の沈殿物を得た。この黄白色がかった固体をヘキサンから再結晶化させて、黄白色がかった固体として所望の生成物である化合物2a(1.01g、81%の収率)を得た。1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): δ 7.23 (s, 2 H), 2.92 (s, 6 H), 2.83 (t, 4 H), 1.84 (p, 4 H), 1.56-1.10 (m, 56 H), 0.89 (t, 6 H)。
【0126】
実施例7
化合物2bの合成: 50mLのCH2Cl2中の化合物2a(0.75g、0.93ミリモル)の濁った溶液に、25mLのDMF中の0.364g(2.04ミリモル)のNBSの溶液を加えた。結果として生じた溶液を2日間に亘り約25℃で撹拌した。水(1mL)を加えることによって、この反応を停止させた。減圧下で塩化メチレンを除去し、150mLの水を加えた。黄白色の沈殿物が形成され、これを収集し、次いで、水で、その後、MeOHで洗浄した。この物質をトルエン(20mL)から再結晶化させて、黄白色の固体として化合物2b(0.87g、97%の収率)を得た。1H NMR (300 MHz, CD2Cl2): δ 2.83 (s, 6 H), 2.83 (t, 4 H), 1.79 (p, 4 H), 1.50-1.18 (m, 56 H), 0.87 (t, 6 H)。
【0127】
実施例8
ポリマー4aの合成: 化合物2b(440.9mg、0.457ミリモル)および1,1’−[2,2’−ジチオフェン]−5,5’−ジイルビス[1,1,1−トリメチルスタナン](225mg、0.457ミリモル)をフラスコ内のトルエン(25mL)中に溶解させた。数分間に亘りこのフラスコを窒素で泡立てた。この混合物にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(52.8mg、0.0457ミリモル)を加えた。この混合物を16時間に亘り窒素雰囲気下で還流し、次いで、メタノール(300mL)および濃塩酸(5mL)溶液中に注ぎ入れ、約25℃で16時間に亘り撹拌した。沈殿物を濾過し、各々24時間に亘りアセトンと次いでヘキサンで連続的にソックスレー抽出した。収集したえんじ色のポリマーを真空中で乾燥させて、0.34グラム(76.6%)のポリマー4a(CH2Cl2溶液中のλmax=465nm、薄膜におけるλmax=534nm)を得た。GPC(1,2,4−トリクロロベンゼン)Mn=8,000、Mw=10,300;およびポリスチレン基準に対してPDI=1.28。
【0128】
実施例9
デバイス製造および特徴付け: 有機半導体チャンネルとしてポリマー4aを使用した全トップコンタクト・ボトムゲート型トランジスタを空気中で製造した。Si<100>ウェハーをゲート電極として、二酸化シリコンをゲート誘電体として使用した。1,2−ジクロロベンゼン中のポリマー4aに基づくOFETを、HMDS蒸気処理Si/SiO2ウェハー上に製造した。ポリマー膜を150℃でアニールした。実測移動度は0.0192から0.0772cm2/V・sに及んだ。オン/オフ比は104から105に及んだ。
【0129】
本開示は、様々な特定の実施の形態および技法を参照して記載されてきた。しかしながら、多くの改変および変更が、本開示の範囲内にありながら、可能であることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14