【解決手段】電線モジュール10は、少なくとも1本の電線14と、複数の板状部分の間に中空構造が形成された中空板材50が、少なくとも1本の電線14を収容可能な収容形状に曲げられて構成された保護部材20とを備える。保護部材20が、収容形状をなした状態で、重ね合される第1重ね合せ部分(例えば、第1蓋部26)及び第2重ね合せ部分(例えば、第1蓋部28)を含み、第1重ね合せ部分のうち第2重ね合せ部分側の部分に第1スリットが形成されると共に、第2重ね合せ部分のうち第1重ね合せ部分側の部分に第2スリットが形成され、第1重ね合せ部と第2重ね合せ部とがスリットを介して相互に中空構造内に入り込んだ状態で、重ね合されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、成形プロテクタは、樹脂の金型成形品であるため、各種ワイヤーハーネスの経路毎に別々の金型を起工して、成形プロテクタを金型成形する必要がある。このため、製造コストが高くなる傾向にある。
【0006】
また、コルゲートチューブは、曲げ容易であるため、ワイヤーハーネスを経路規制する用途には不向きである。
【0007】
そこで、中空板材を、ワイヤーハーネスを収容可能な筒形状に折曲げて保護部材とする技術が提案されている。
【0008】
しかしながら、例えば、中空板材を筒形状に保つためには、その両側部同士を連結状態に維持する何らかの構成が必要となる。例えば、中空板材の両側部同士を、接着剤又は溶着によって接合する構成では、加工コスト高となるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、中空板材によって電線の保護部材を形成する際において、中空板材同士なるべく低コストで連結できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、第1の態様は、少なくとも1本の電線と、複数の板状部分の間に中空構造が形成された中空板材が、前記少なくとも1本の電線を収容可能な収容形状に曲げられて構成された保護部材と、を備え、前記保護部材が、前記収容形状をなした状態で、重ね合される第1重ね合せ部分及び第2重ね合せ部分を含み、前記第1重ね合せ部分のうち前記第2重ね合せ部分側の部分に第1スリットが形成されると共に、前記第2重ね合せ部分のうち前記第1重ね合せ部分側の部分に第2スリットが形成され、前記第1重ね合せ部が前記第2スリットを介して部分的に前記第2重ね合せ部の中空構造内に入り込むと共に、前記第2重ね合せ部が前記第1スリットを介して部分的に前記第1重ね合せ部内に入り込んだ状態で、前記第1重ね合せ部と前記第2重ね合せ部とが重ね合されているものである。
【0011】
第2の態様は、第1の態様に係る電線モジュールであって、前記中空板材は、複数の板状部分と、前記複数の板状部分の間に並列状に介在する複数の介在部分とを含み、前記第1重ね合せ部分では、前記第1スリットが、前記複数の板状部分のうち前記第2重ね合せ部分側の板状部分に対して前記複数の介在部分の間に形成され、前記第2重ね合せ部分では、前記第2スリットが、前記複数の板状部分のうち前記第1重ね合せ部分側の板状部分に対して前記複数の介在部分の間に形成されているものである。
【0012】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る電線モジュールであって、前記保護部材は、前記中空板材が、底部と、前記底部の両側部に立設された一対の側壁部と、前記一対の側壁部の一方から他方に向けて延出する第1蓋部と、前記一対の側壁部の他方から一方に向けて延出しする第2蓋部とを含む形状となるように折曲げて形成されており、前記第1蓋部が前記第1重ね合せ部分を含み、前記第2蓋部が前記第1重ね合せ部分と重なり合う前記第2重ね合せ部分を含むものである。
【0013】
第4の態様は、第3の態様に係る電線モジュールであって、前記第1蓋部及び前記第2蓋部は、前記一対の側壁部の間で、それぞれの全体で重なり合うものである。
【0014】
第5の態様は、少なくとも1本の電線を収容可能な保護部材であって、複数の板状部分の間に中空構造が形成された中空板材が、前記少なくとも1本の電線を収容可能な収容形状に曲げられて構成され、前記保護部材が、前記収容形状に曲げられた状態で、重ね合される第1重ね合せ部分及び第2重ね合せ部分を含み、前記第1重ね合せ部分のうち前記第2重ね合せ部分側の部分に第1スリットが形成されると共に、前記第2重ね合せ部分のうち前記第1重ね合せ部分側の部分に第2スリットが形成され、前記第1重ね合せ部を、前記第2スリットを介して部分的に前記第2重ね合せ部の中空構造内に入り込ませると共に、前記第2重ね合せ部を、前記第1スリットを介して部分的に前記第1重ね合せ部内に入り込ませた状態で、前記第1重ね合せ部と前記第2重ね合せ部とを重ね合せ可能とされている。
【発明の効果】
【0015】
第1〜第5の態様によると、中空板材の第1重ね合せ部分に第1スリットを形成し、第2重ね合せ部分に第2スリットを形成し、第1重ね合せ部分及び第2重ね合せ部分を、第1スリット及び第2スリットを介して、互いの中空構造内に入り込ませることで、第1重ね合せ部と第2重ね合せ部とを重ね合せることができ、中空板材によって電線の保護部材を形成する際において、中空板材の部分同士をなるべく低コストで連結できる。
【0016】
第2の態様によると、第1重ね合せ部分のうち第1スリットによって分断された部分が、第2スリットを介して第2重ね合せ部分のうち複数の介在部分間に入り込み、第2重ね合せ部分のうち第2スリットによって分断された部分が、第1スリットを介して第1重ね合せ部分のうち複数の介在部分間に入り込む。これにより、第1重ね合せ部分と第2重ね合せ部分とを重ね合せ状態をより確実に維持できる。
【0017】
第3の態様によると、第1蓋部の第1重ね合せ部分と第2蓋部の第1重ね合せ部分との重なり合い構造によって、中空板材が電線を収容可能な形状を維持することができる。
【0018】
第4の態様によると、前記第1蓋部及び前記第2蓋部は、前記一対の側壁部の間全体で重なり合うため、その部分で保護性能を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態に係る電線モジュール及び保護部材について説明する。
【0021】
図1は電線モジュール10を示す概略斜視図であり、
図2は電線モジュール10の完成前の状態を示す概略斜視図である。
図3は
図1の部分正面図であり、
図4は
図2の部分正面図である。
図5は保護部材を構成する中空板材50の一例を示す概略斜視図である。
【0022】
電線モジュール10は、少なくとも1本の電線14と、保護部材20とを備える。
【0023】
電線14は、導線の周囲に絶縁被覆等が押出成形等された構成されている。ここでは、電線モジュール10は、複数の電線14が束ねられた電線束12を備えている。電線束12は、本保護部材20の延在方向中間部又は外部で分岐していてもよい。
【0024】
保護部材20は、次に説明するように、複数の板状部分52の間に中空構造が形成された中空板材50が、前記少なくとも1本の電線14を収容可能な収容形状に曲げられることによって構成されている。
【0025】
ここで、
図5を参照して、中空板材50の例について説明しておく。
【0026】
中空板材50は、複数(ここでは2つ)の板状部分52と、複数の板状部分52の間に挟み込まれた介在部分54とを備える。ここでは、中空板材50は、複数の板状部分52の間に並列状に介在する複数の介在部分54を備える。
【0027】
板状部分52は、平板状に形成されている。複数の板状部分52が介在部分54を介して間隔をあけた状態で連結されている。
【0028】
複数の介在部分54は、2つの板状部分52の間で、間隔をあけて並列状態に配設されている。各介在部分54は、細長板状に形成されており、2つの板状部分52に対して垂直姿勢で配設されている。そして、各介在部分54の一側部が1つの板状部分52に連結され、その他側部が他の1つの板状部分52に連結されている。これにより、2つの板状部分52と複数の介在部分54とが、介在部分54の延在方向に対して直交する面においてはしご状断面を呈するように一体的に連結される。
【0029】
なお、複数の板状部分52及び介在部分54を形成する材質は特に限定されない。複数の板状部分52及び介在部分54は、紙によって形成されていてもよいし、樹脂によって形成されていてもよいし、また、これらの組み合わせによって構成されていてもよい。複数の板状部分52及び介在部分54の少なくとも1つを紙によって形成する場合には、その表面に撥水処理等を施すことが好ましい。
【0030】
なお、本中空板材50を樹脂によって成形する場合には、例えば、前記はしご状断面に応じた押出孔から樹脂を押出す押出成型装置によって、連続的に中空板材50を製造することができ、これにより、中空板材50を容易に低コストで製造することができる。介在部分54は、接着剤又は溶着等によって板状部分52に連結されていてもよい。
【0031】
このような中空板材50によると、複数の板状部分52が間隔をあけて、介在部分54によって連結されているため、曲り難い。また、板状部分52間に介在部分54が介在しているため、当該介在部分54によっても中空板材50が曲り難くかつ凹み難いように補強される。特に、本例では、介在部分54の延在方向において、中空板材50が曲り難いようにすることができる。
【0032】
従って、本中空板材50によって、保護部材20を製造することで、電線14を十分に保護でき、かつ、十分に経路規制することもできる。また、中空板材50の複数の板状部分52の間には中空構造が形成されているため、その分、軽量化及び材料費の低減を図ることもできる。
【0033】
なお、上述した中空板材50の少なくとも一部に、金属箔(アルミ箔)等の電磁シールド部材が設けられていてもよい。
【0034】
また、各中空板材が3枚以上の板状部分を含む場合には、各間に介在部分が設けられていることが好ましい。これにより、中空板材の強度をより向上させることができる。
【0035】
上記中空板材50を曲げることによって、保護部材20が形成されている。
【0036】
ここでは、保護部材20は、底部22と、一対の側壁部24と、第1蓋部26と、第2蓋部28とを備える。
【0037】
底部22は、細長板状部分に形成されている。一対の側壁部24は、細長板状に形成されており、底部22の両側部から底部22の一主面側に突出するように立設されている。そして、底部22と一対の側壁部24とで囲まれる空間内に、上記電線束12が収容される。
【0038】
第1蓋部26及び第2蓋部28は、細長板状に形成されている。第1蓋部26は、一方の側壁部24から他方の側壁部24に向けて延出するように形成されている。第2蓋部28は、他方の側壁部24から一方の側壁部24に向けて延出するように形成されている。
【0039】
すなわち、保護部材20を形成する前の中空板材50は、方形状に形成されており、その中空板材50が、間隔をあけて並列する複数の直線状の折目で折曲げられることで、上記底部22と一対側壁部と第1蓋部26及び第2蓋部28とを含む上記形状に形成される。
【0040】
なお、保護部材20は、完成形態では、四角筒形状をなしている。ここでは、保護部材20は、直線状に延在しているが、その途中で曲っていてもよい。保護部材を曲げる構成としては、例えば、その延在方向中間部に蛇腹構造を作り込む構成、或は、保護部材の延在方向中間部を、その外周周りの一部を除いて切除して曲げる構成等を採用することができる。また、保護部材の延在方向中間部に、内部の電線束の一部を分岐させて外方に導くための開口が形成されていてもよい。
【0041】
また、ここでは、第1蓋部26及び第2蓋部28は、底部22と同幅の細長板状に形成されており、それぞれ一対の側壁部24の先端部の間の開口をその幅方向全体に亘って閉塞可能な形状に形成されている。そして、第1蓋部26及び第2蓋部28は、一対の側壁部24の先端部の間で、それぞれの全体の間で重なり合うように構成されている。ここでは、第1蓋部26が一対の側壁部24の先端部の間全体に亘って配設され、第2蓋部28が当該第1蓋部26の外側全体に被さるように当該第1蓋部26に重ね合される。
【0042】
また、本保護部材20は、上記収容形状に曲げられた状態で、重ね合される第1重ね合せ部分及び第2重ね合せ部分を含む。本実施形態では、第1蓋部26が第1重ね合せ部分を含み、第2蓋部28が第2重ね合せ部分を含む。より具体的には、本実施形態では、第1蓋部26の全体が第1重ね合せ部分であり、第2蓋部28の全体が第2重ね合せ部分である。
【0043】
第1蓋部26のうち第2蓋部28側の部分、即ち、外側の板状部分52に第1スリット26Sが形成されている。ここでは、外側の板状部分52のうち複数の介在部分54の間、より具体的には、複数の介在部分54の中央位置に、当該介在部分54の延在方向に沿って複数の第1スリット26Sが形成されている。ここでは、第1蓋部26の幅方向全体において、各介在部分54間に第1スリット26Sが形成されている。
【0044】
第1蓋部26では、複数の介在部分54は、内側の板状部分52を介して並列状態に維持されている。また、複数の介在部分54の外側部分には、外側の板状部分52が第1スリット26Sによって分断されることによって形成された細長板状片52pが残存した状態となり、各介在部分54と細長板状片52pとは、第2蓋部28側(外側)で幅広となるT字状断面形状を呈する。
【0045】
また、第2蓋部28のうち第1蓋部26側の部分、即ち、内側の板状部分52に第2スリット28Sが形成されている。ここでは、内側の板状部分52のうち複数の介在部分54の間、より具体的には、複数の介在部分54の中央位置に、当該介在部分54の延在方向に沿って複数の第2スリット28Sが形成されている。ここでは、第2蓋部28の幅方向全体において、各介在部分54間に第2スリット28Sが形成されている。
【0046】
第2蓋部28では、複数の介在部分54は、外側の板状部分52を介して並列状態に維持されている。また、複数の介在部分54の内側部分には、内側の板状部分52が第2スリット28Sによって分断されることによって形成された細長板状片52qが残存した状態となる。各介在部分54と細長板状片52qとは、第1蓋部26側(内側)で幅広となるT字状断面形状を呈する。
【0047】
なお、上記第1スリット26S及び第2スリット28Sは、中空板材50をその厚み方向途中まで切込むことができる打抜き刃等によって形成することができる。中空板材を打抜く際に、第1スリット26S及び第2スリット28Sを一括して形成することが好ましい。
【0048】
そして、底部22に対して一対の側壁部24を折曲げ、さらに、一対の側壁部24の先端部から第1蓋部26と第2蓋部28とを折曲げて、第1蓋部26と第2蓋部28とを重ね合せる。この際、第1蓋部26と第2蓋部28とを、互いの複数の介在部分54が交互に配設されるように重ね合される(
図4参照)。
【0049】
この状態で、第1蓋部26と第2蓋部とを突合わせる方向に力Fを加えると、第1蓋部26の各介在部分54の細長板状片52pが、第2蓋部28の内側の板状部分52のうち第2スリット28Sが形成された部分に押し当てられる。そして、第1蓋部26の細長板状片52pの両側部が介在部分54の基端側に弾性変形すると共に、第2蓋部28の内側の板状部分52のうち第2スリット28Sの両側部が押広げられるように弾性変形する。これにより、第1蓋部26の各介在部分54の先端部及び細長板状片52pの部分が、第2蓋部28の第2スリット28Sを介してその中空構造内に入り込む。
【0050】
同様に、第2蓋部28の各介在部分54の細長板状片52qが、第1蓋部26の外側の板状部分52のうち第1スリット26Sが形成された部分に押し当てられる。そして、第2蓋部28の細長板状片52qの両側部が介在部分54の基端側に弾性変形すると共に、第1蓋部26の外側の板状部分52のうち第1スリット26Sの両側部が押広げられるように弾性変形する。これにより、第2蓋部28の各介在部分54の先端部及び細長板状片52qの部分が、第1蓋部26の第1スリット26Sを介してその中空構造内に入り込む。
【0051】
この状態では、第1蓋部26側の介在部分54と第2蓋部28側の介在部分54とが交互に並び、また、それぞれの細長板状片52p、52qが互いに内面同士が対向し合うように係止、即ち、抜止め方向に係止し合うようになる。これにより、第1蓋部26と第2蓋部28とが重ね合された状態に維持される。
【0052】
底部22と一対の側壁部24との間に、上記電線束12を収容した状態で、上記のように、第1蓋部26と第2蓋部28とを重ね合せ状態で維持することで、電線モジュール10が完成する。
【0053】
以上のように構成された電線モジュール10によると、保護部材20内に電線束12が収容されているため、電線束12を外部(例えば、電線束12の配索経路の周辺にある部材のエッジ部分)から保護することができると共に、電線束12を所定の配線経路に沿って規制することができる。また、電線束12を配線経路における経路スペースに応じた形状(ここでは、方形状)に維持することもできる。
【0054】
特に、保護部材20は、中空板材を、電線束12を収容可能な形状に折曲げることによって形成されるため、軽量な構成することができる。また、汎用性のある中空板材を折曲げて適宜電線束12の収容に適した形状に形成することができるため、低コスト化も可能となる。
【0055】
また、中空板材50を、電線14を収容可能な保護部材の形状に組立てる前の形態、即ち、中空板材50を所定形状に打抜き、第1スリット26S及び第2スリット28Sを形成した形態では、平板状をなしているため、その保管、搬送を省スペースで行えるという利点がある。
【0056】
また、中空板材50の第1重ね合せ部分である第1蓋部26に第1スリット26Sを形成し、第2重ね合せ部分である第2蓋部28に第2スリット28Sを形成し、これらの第1蓋部26と第2蓋部28とを、第1スリット26Sと第2スリット28Sとを介して、互いの中空構造内に入り込ませることで、第1蓋部26と第2蓋部28との重ね合せ状態を維持しているため、中空板材50によって電線14の保護部材20を形成する際において、中空板材50の部分同士をなるべく低コストで連結できる。
【0057】
特に、中空板材を溶着或は接着剤で接着する場合と比較して、溶着設備が不要であり、或は、接着剤が不要であるという点で、低コスト化が可能となる。
【0058】
また、例えば、中空板材の一側部に表裏に貫通するスリットを形成し、他側部に前記スリットに貫通差込み可能な爪部を形成するような構成では、爪部が抜けないように、爪部を複雑な形状に切抜く必要があるし、また、その爪部の切抜き箇所を確保するためレイアウト上の制約も大となる。しかしながら、本実施形態では、重なり合い部分の相互にスリットを形成すればよいため、そのレイアウト上の制約を少なくすることができ、また、貫通打抜き形状の簡素化も可能となる。
【0059】
また、本実施形態では、中空板材50は、複数の板状部分52と、複数の板状部分52の間に並列状に介在する複数の介在部分54とを含む構成とされ、第1重ね合せ部分である第1蓋部26では、第1スリット26Sが、第2蓋部28側の板状部分52に対して複数の介在部分54の間に形成され、第2重ね合せ部分である第2蓋部28では、第2スリット28Sが、第1蓋部26側の板状部分52に対して複数の介在部分54の間に形成されているため、第1蓋部26のうち第1スリット26Sによって分断された部分である細長板状片52pが、第2スリット28Sを介して第2蓋部28のうち複数の介在部分54間に入り込み、第2蓋部28のうち第2スリット28Sによって分断された部分である細長板状片52qが、第1スリット26Sを介して、第1蓋部26のうち複数の介在部分54間に入り込む。これにより、第1蓋部26と第2蓋部28との重ね合せ状態をより確実に維持できる。
【0060】
もっとも、中空板材50の構成は上記例に限られず、例えば、複数の板状部分がそれらの間に散点状に介在する介在部分によって間隔をあけて維持される構成であってもよい。この場合であっても、中空板材の重ね合せ部分にスリットを形成することによって、当該スリットを介して互いの中空構造内に入り込ませることができる。
【0061】
また、ここでは、第1重ね合せ部分が第1蓋部26であり、第2重ね合せ部分が第2蓋部28とされているため、第1蓋部26と第2蓋部28とを重ね合せることによって、中空板材50を、角筒状をなして閉じた状態、即ち、中空板材50が電線14を収容可能な形状を維持することができる。
【0062】
また、第1蓋部26と第2蓋部28とが全体的に重なり合っているため、その部分で保護性能を高めることができる。このため、本電線モジュール10を組立てた後、車両に設置する際には、第1蓋部26と第2蓋部28との重なり合い部分を底側、即ち、車両への取付部品(例えば、フロア等)に接触するように組付けるとよい。これにより、保護部材20と車両における相手側部品との干渉による耐摩耗性を向上させることができる。
【0063】
なお、第1蓋部と第2蓋部とが全体的に重なっていることは必須ではない。例えば、第1蓋部が一対の側壁部間全体に亘って延在し、第2蓋部が一対の側壁部間の途中に至る程度に延在していてもよい。この場合には、第1蓋部のうち第2蓋部が重なり合う場所にのみ、スリットを形成すればよい。
【0064】
なお、上記した中空板材の重ね合せ状態の維持構造は、第1蓋部と第2蓋部との重ね合せ部分以外にも適用可能である。
【0065】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。