【実施例】
【0037】
以下、実施例として、製造例および試験例を挙げて本発明の実施の態様をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、実施例としての製造例および試験例に何ら限定されるものではない。
【0038】
製造例1:化合物1(1−(フェニルスルフォニル)−2−(トリメチルシリル)−1H−インドール)の合成
(1)1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドールの合成
200mL容の三口フラスコに、インドール(2.12g、18.1mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン20mLを加えて溶解した。これに水素化ナトリウムの60%鉱油分散物(0.928g、38.7mmol)を加え、0℃に冷却し、15分間撹拌した。その後、ベンゼンスルホニルクロライド(2.90mL、22.7mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に蒸留水20mLを加え、酢酸エチル40mLで3回抽出した。抽出液を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をn−ヘキサン/酢酸エチル=8/1で洗浄して不純物を除去し、1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール(分子式:C
14H
11NO
2S(mw257.31))3.82gを白色固体として得た(回収率87.0%)。
(2)化合物1(1−(フェニルスルフォニル)−2−(トリメチルシリル)−1H−インドール)の合成
200mL容の三口フラスコにジイソプロピルアミン(1.19mL、8.55mmol)とn−ブチルリチウム(1.64M ヘキサン中、4.76mL、7.77mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン20mLで溶解し、−78℃で30分間撹拌した。上記(1)で得られた1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール(2.08g、8.07mmol)を無水テトラヒドロフラン30mLに溶解し、その溶液を上記フラスコに滴下し30分間撹拌、その後さらにトリメチルシリルクロライド(1.30mL、10.1mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。反応溶液に蒸留水を加え、ジクロロメタンで2回抽出した。抽出液を合わせて蒸留水で2回、塩化ナトリウム飽和水溶液で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製して下記式(2)で示される1−(フェニルスルフォニル)−2−(トリメチルシリル)−1H−インドール(分子式:C
17H
19NO
2SSi(mw329.49))2.07gを無色油状物として得た(回収率81.0%)。得られた化合物については、NMRにより確認した。(
図1)
【化3】
【0039】
製造例2:化合物2(1−(フェニルスルフォニル)−2−(トリエチルシリル)−1H−インドール)の合成
100mL容の三口フラスコにジイソプロピルアミン(0.74mL、5.56mmol)とn−ブチルリチウム(1.64M ヘキサン中、2.50mL、4.05mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン15mLで溶解し、−78℃で30分間撹拌した。その後、上記製造例1(1)で得られた1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール(1.00g、3.90mmol)を無水テトラヒドロフラン20mLに溶解し、その溶液を上記フラスコに滴下し30分間撹拌し、その後さらにトリエチルシリルクロライド(0.85mL、5.05mmol)を加えて室温で一夜撹拌した。反応溶液に蒸留水を加え、ジクロロメタンで2回抽出した。抽出液を合わせて蒸留水で2回、塩化ナトリウム飽和水溶液で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製して下記式(3)で示される1−(フェニルスルフォニル)−2−(トリエチルシリル)−1H−インドール(分子式:C
20H
25NO
2SSi(mw371.14))1.10gを淡黄色油状物として得た(回収率75.7%)。得られた化合物についてはNMRにより確認した。(
図2)
【化4】
【0040】
製造例3:化合物3(2−(t−ブチルジフェニルシリル)−1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール)の合成
100mL容の三口フラスコにジイソプロピルアミン(0.74mL、5.56mmol)とn−ブチルリチウム(1.64M ヘキサン中、2.60mL、4.26mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン15mLで溶解し、−78℃で30分間撹拌した。その後、上記製造例1(1)で得られた1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール(1.00g、3.90mmol)を無水テトラヒドロフラン20mLに溶解し、その溶液を上記フラスコに滴下し30分撹拌、その後さらにtert−ブチルジフェニルシリルクロライド(1.3mL、5.06mmol)を加えて室温で一夜撹拌した。反応溶液に蒸留水を加え、ジクロロメタンで2回抽出した。抽出液を合わせて蒸留水で2回、塩化ナトリウム飽和水溶液で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=6/1)により精製して下記式(4)で示される2−(t−ブチルジフェニルシリル)−1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール(分子式:C
30H
29NO
2SSi(mw495.71))1.37gを黄褐色油状物として得た(回収率71.1%)。得られた化合物についてはNMRにより確認した。(
図3)
【化5】
【0041】
製造例4:化合物4(1,2−ビス((1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール−2−イル)ジメチルシリル)エタン)および化合物5(1,3−ビス(2−(ジメチル(1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール−2−イル)シリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)の合成
200mL容三口ナスフラスコの系内をアルゴン雰囲気下とした後、ジイソプロピルアミン(0.60mL、4.27mmol)とノルマルブチルリチウム(1.64Mヘキサン中、2.74mL、3.89mmol)を加え、無水テトラヒドロフラン20mLで溶解し、−78℃で30分間撹拌した。その後、上記製造例1(1)で得られた1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール(1.00g、3.66mmol)を無水テトラヒドロフラン30mLに溶解し、その溶液を混合液に滴下し30分間撹拌、その後さらに1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタン(1.53g、7.11mmol)を加えて室温で1時間撹拌した。反応溶液に水を加え、ジクロロメタンで2回抽出した。抽出液を合わせて水で2回、塩化ナトリウム飽和水溶液で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルTLC(展開溶媒:ジクロロメタン)で処理し、下方の2つのスポットの内、上部(Rfがおよそ0.4)を掻き取り、下記式(5)で示される1,2−ビス((1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール−2−イル)ジメチルシリル)エタン(分子式:C
34H
36N
2O
4S
2Si
2(mw656.96))49.7mgを白色固体として得た(回収率2.07%)。また、下部(Rf がおよそ0.2)を掻き取り、下記式(6)で示される1,3−ビス(2−(ジメチル(1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール−2−イル)シリル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(分子式:C
40H
52N
2O
5S
2Si
4(mw817.32))172mgを淡黄色オイルとして得た(回収率5.74%)。得られた化合物についてはNMRにより確認した。(
図4、5)
【化6】
【化7】
【0042】
製造例5:化合物6(1−(フェニルスルフォニル)−2−アセチル―1H−インドール)の合成
100mL容の三口フラスコに塩化アルミニウム(0.971g、7.28mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とし、無水ジクロロメタン10mLに溶解した後、無水酢酸(0.340mL、3.63mmol)を加え、15分間撹拌した。その後、上記製造例1で得られた化合物1である1−(フェニルスルフォニル)−2−(トリメチルシリル)−1H−インドール(0.426g、1.29mmol)を無水ジクロロメタン15mLに溶解し、その溶液を上記フラスコに滴下し1時間撹拌した。砕いた氷を加え、水層をジクロロメタンで2回抽出した。抽出液を合わせて、塩化ナトリウム飽和水溶液で2回、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で2回洗浄し、さらにもう1度塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製して下記式(7)で示される1−(フェニルスルフォニル)−2−アセチル―1H−インドール(分子式:C
16H
15NO
3S(mw301.36))0.235gを黄褐色固体として得た(回収率65.0%)。得られた化合物はNMRで確認した。(
図6)
【化8】
【0043】
製造例6:化合物7(2−エチル―2,3−エポキシ−1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール)の合成
100mL容の三口フラスコに塩化アルミニウム(0.366g、2.74mmol)とボラン‐tert−ブチルアミン錯体(0.288g、3.30mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とし、無水ジクロロメタン15mLに溶解した後、上記製造例1で得られた化合物1である1−(フェニルスルフォニル)−2−(トリメチルシリル)−1H−インドール(0.235g、0.790mmol)を無水ジクロロメタン15mLに溶解して加え、21時間撹拌した。砕いた氷を加え、水層を水酸化ナトリウム水溶液(1M、2.37mL)で塩基性として、ジクロロメタンで2回抽出した。抽出液を合わせて、塩化ナトリウム飽和水溶液で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製して下記式(8)で示される2−エチル―2,3−エポキシ−1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール(分子式:C
16H
15NO
3S(mw285.36))0.130gを黄褐色固体として得た(回収率57.0%)。得られた化合物はNMRで確認した。(
図7)
【化9】
【0044】
製造例7:化合物8(8−((2−ジメチル(2―プロペニル)シリル−1H−インドール−1−イル)スルフォニル)キノリン)の合成
(1)8−((1H−インドール−1−イル)スルフォニル)キノリンの合成
100mL容の三つ口フラスコに、インドール(1.01g、8.62mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン15mLを加えて溶解し、5分間撹拌した。その後0℃に冷却し、これに水素化ナトリウムの60%鉱油分散物(0.444g、11.0mmol)と無水テトラヒドロフラン10mLを順次加え、10分間撹拌した。その後、キノリン―8−スルフォニルクロライド(1.94mL、 8.52mmol)と無水テトラヒドロフラン5mLを順次加えて、室温で2.5時間撹拌した。反応液に蒸留水20mLを加え、酢酸エチル40mLで3回抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物中の不純物をn−ヘキサン/酢酸エチル=8/1により超音波抽出して除去し、残った固体を真空乾燥させて、8−(1H−インドール−1−イル)スルフォニル)キノリン(分子式:C
17H
12N
2O
2S(mw308.35))2.15gを白色固体として得た(回収率80.5%)。
(2)8−((2−ジメチル(2―プロペニル)シリル−1H−インドール−1−イル)スルフォニル)キノリンの合成
下記式(9)で示される8−((2−ジメチル(2―プロペニル)シリル−1H−インドール−1−イル)スルフォニル)キノリン(分子式:C
22H
22N
2O
2SSi(mw406.58))は、上記(1)で得られた8−((1H−インドール−1−イル)スルフォニル)キノリンとジメチル(2―プロペニル)シリルクロライドとを用いて、上記製造例1(2)と同様の手順により合成した。得られた化合物については、NMRにより確認した。(
図8)
【化10】
【0045】
製造例8:化合物9((E)−4−((1−((2−フルオロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール−2−イル)ジメチルシリル)−N−ヒドロキシブト−2−エナミド)の合成
(1)N−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロペンアミドの合成
10mL容のナス型フラスコにアクリル酸(99.3μL、1.37mmol)とO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシアミン(80.5mg、0.69mmol)をメタノール(1.5mL)に溶解した。そこに、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウム クロリド(288mg、1.03mmol)を加え、1時間室温で撹拌した。減圧濃縮によりメタノールを留去し、残留物を酢酸エチルに溶かし、溶かした溶液を炭酸ナトリウム飽和水溶液、水、1N塩酸、水、塩水の順で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル=2/1)により精製し、下記式(10)で表されるN−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロペンアミド61.3mgを白い結晶として得た(回収率52%)。
【化11】
【0046】
(2)1−(2−フルオロフェニルスルフォニル)−1H−インドールの合成
100mL容の二口フラスコにインドール(1.03g、8.79mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン15mLを加えて溶解し、5分間撹拌した。その後、0℃に冷却し、これに水素化ナトリウムの60%鉱油分散物(0.481g、12.0mmol)と無水テトラヒドロフラン10mLを順次加え、10分間撹拌した。その後、2−フルオロベンゼンスルホニルクロライド(1.67g、8.58mmol)と無水テトラヒドロフラン5mLを順次加えて、室温で2時間攪拌した。反応液に蒸留水20mLを加え、酢酸エチル40mLで3回抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物中の不純物を再結晶により精製し、残った固体を真空乾燥させて、下記式(11)で表される1−(2−フルオロフェニルスルフォニル)−1H−インドール1.69gを淡褐色固体として得た(回収率70%)。
【化12】
【0047】
(3)1−(2−フルオロフェニルスルフォニル)−2−アリルジメチルシリル−1H−インドールの合成
製造例7の(2)において8−((1H−インドール−1−イル)スルフォニル)キノリンの代わりに1−(2−フルオロフェニルスルフォニル)−1H−インドールを使用することにより、下記式(12)で表される1−(2−フルオロフェニルスルフォニル)−2−アリルジメチルシリル−1H−インドールを製造した。
【化13】
【0048】
(4)(E)−4−((1−((2−フルオロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール−2−イル)ジメチルシリル)−N−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ブト−2−エンアミドの合成
30mL容の二口ナスフラスコの系内をアルゴン雰囲気下とした後、1−(2−フルオロフェニルスルフォニル)−2−アリルジメチルシリル−1H−インドール(168mg、0.45mmol)とN−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロペンアミド(70.4mg、0.41mmol)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解した。その混合溶液に対して第二世代グラブス触媒(ベンジリデン(1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)(15.4mg、0.018mmol、4mol%)加え、混合溶液を3時間還流した。減圧濃縮により溶媒を除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製して、下記式(13)で表される(E)−4−((1−((2−フルオロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール−2−イル)ジメチルシリル)−N−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ブト−2−エンアミド155.8mgを白色結晶として得た(回収率73.0%)。
【化14】
【0049】
(5)化合物9((E)−4−((1−((2−フルオロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール−2−イル)ジメチルシリル)−N−ヒドロキシブト−2−エナミド)の合成
(E)−4−((1−((2−フルオロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール−2−イル)ジメチルシリル)−N−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ブト−2−エンアミド(155.8mg、0.3mmol)をメタノール(10mL)に溶解した。その混合溶液に対してパラトルエンスルホン酸一水和物(5.6mg、0.029mmol、0.1eq)を加え室温で1時間撹拌した。減圧濃縮により溶媒を除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製して、下記式(14)で表される(E)−4−((1−((2−フルオロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール−2−イル)ジメチルシリル)−N−ヒドロキシブト−2−エナミド92.1mgを白色結晶として得た(回収率71.0%)。得られた化合物については、NMRにより確認した。(
図9)
【化15】
【0050】
製造例9:化合物10((E)−4−(ジメチル(1−(キノリン−8−イルスルフォニル)−1H−インドール−2−イル)シリル)−N−ヒドロキシブト−2−エナミド)の合成
(1)4−(ジメチル(1−(キノリン−8−イルスルフォニル)−1H−インドール−2−イル)シリル)−N−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ブト−2−エンアミドの合成
30mL容の二口ナスフラスコの系内をアルゴン雰囲気下とした後、上記製造例7で得た8−((2−ジメチル(2−プロペニル)シリル−1H−インドール−1−イル)スルフォニル)キノリン(207.1mg、0.51mmol、1.5当量)とN−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)プロペンアミド(57.9mg、0.34mmol)を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解した。その混合溶液に対して第二世代グラブス触媒(ベンジリデン(1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(トリシクロヘキシルホシフィン)ルテニウム)(12.2mg、0.014mmol、4mol%)加え、混合溶液を5時間還流した。減圧濃縮により溶媒を除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/2)により精製して、下記式(15)で表される(E)−4−(ジメチル(1−(キノリン−8−イルスルフォニル)−1H−インドール−2−イル)シリル)−N−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ブト−2−エンアミド162.1mgを白色結晶として得た(回収率87.0%)。
【化16】
【0051】
(2)化合物10((E)−4−(ジメチル(1−(キノリン−8−イルスルフォニル)−1H−インドール−2−イル)シリル)−N−ヒドロキシブト−2−エナミド)の合成
(E)−4−(ジメチル(1−(キノリン−8−イルスルフォニル)−1H−インドール−2−イル)シリル)−N−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ブト−2−エンアミド(162.1mg、0.3mmolをジクロロメタン(5mL)に溶解した。その混合溶液に対してトリフルオロ酢酸(5μL、0.06mmol、0.2当量)を加え室温で終夜撹拌した。減圧濃縮により溶媒を除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/2)により精製して、下記式(16)で表される(E)−4−(ジメチル(1−(キノリン−8−イルスルフォニル)−1H−インドール−2−イル)シリル)−N−ヒドロキシブト−2−エナミド12.5mgを白色結晶として得た(回収率9.0%)。得られた化合物については、NMRにより確認した。(
図10)
【化17】
【0052】
試験例1
試験化合物として上記製造例で得られた化合物1〜8を用い、以下の腫瘍細胞増殖阻害活性試験を実施した。結果は下表のとおりである。
試験化合物としてN−スルフォニルインドール誘導体化合物(化合物1〜8)の10mg/mlDMSO溶液を調製した。これを必要に応じてメタノールで希釈し、検体溶液とした。マウス由来メラノーマ細胞であるB16細胞を10%のFBSを添加したDMEM培地に加えて、4×10
4cells/mlに調製した細胞懸濁液の200μlを96穴プレートに播種し、CO
2培養器(CO
25%、湿度100%、37℃)で2時間培養した。上記検体溶液を所定の濃度になるように添加し、CO
2培養器で120時間培養した。MTT比色法により生存細胞数を計測して、対照群に対する増殖率から50%細胞増殖阻害濃度(IC
50)を求めた。
【0053】
【表1】
【0054】
試験例2
培養したヒト由来前立腺癌細胞(LNCaP−FGC又はPC−3)に所定の濃度となるよう、試験化合物をジメチルスルホキシド溶液として添加し、37℃で3日間培養した。生存細胞数をCelltiter−glo法により測定し、IC
50(対照群に対する50%増殖阻害濃度)、TGI(化合物添加直前と同じ細胞数に増殖を抑制する濃度(見かけ上細胞数の増減がない濃度))及びLC
50(化合物添加直前の50%に細胞数を減少せしめる濃度)を求めた。結果を下記表に示す。
【表2】
上記の結果から、化合物9及び化合物10は、毒性を示さない濃度でヒト前立腺癌細胞の増殖を有意に阻害することが分かった。
【0055】
試験例3
ACE Kit−WST(#a502)(株式会社同仁科学研究所製)を用いて、製品添付の使用説明書に従って、化合物9及び化合物10のACE阻害活性を測定した。各群3回の試験を行い、その平均値から各化合物のある濃度における酵素の活性の割合を算出した。このとき、被験物質なしの場合を活性100%とした。結果を
図11に示す。
上記の結果から、化合物9及び化合物10は、ACE阻害作用を示すことが分かった。