特開2015-18063(P2015-18063A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-18063(P2015-18063A)
(43)【公開日】2015年1月29日
(54)【発明の名称】トナー飛散防止フィルム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20141226BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20141226BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20141226BHJP
【FI】
   G03G21/00 312
   G03G15/08 505A
   G03G15/00 556
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-144366(P2013-144366)
(22)【出願日】2013年7月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000150774
【氏名又は名称】株式会社槌屋
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 禎義
【テーマコード(参考)】
2H077
2H134
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AC04
2H077AD06
2H077AD13
2H077CA12
2H077GA13
2H134GA01
2H134GB02
2H134GB05
2H134HD01
2H134JA02
2H134KD04
2H134KE02
2H134KE07
2H134KF05
2H134KF07
2H134KH07
2H134KJ02
2H171FA02
2H171FA06
2H171FA24
2H171FA26
2H171GA29
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA31
2H171JA45
2H171NA06
2H171PA03
2H171PA06
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB03
2H171QB32
2H171QB37
2H171QB47
2H171QC03
2H171QC25
2H171TA01
2H171TA04
2H171TA17
2H171UA03
2H171UA13
(57)【要約】
【課題】接触した像保持体の汚染を抑制しつつ、像保持体と接触する先端縁部からのトナー飛散を防止することができるトナー飛散防止フィルムを提供する。
【解決手段】接着部材と、像保持体と対向する開口部を有するハウジングの一端縁部に貼着され先端部近傍の表面が前記像保持体の表面に接触する可撓性のフィルム部材と、からなり、前記フィルム部材が、ポリオレフィン樹脂を材料として押出し成形して得られる破断伸度が500%以上の未延伸フィルムである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着部材と、
像保持体と対向する開口部を有するハウジングの一端縁部に貼着され先端部近傍の表面が前記像保持体の表面に接触する可撓性のフィルム部材と、からなり、
前記フィルム部材が、ポリオレフィン樹脂を材料として押出し成形して得られる破断伸度が500%以上の未延伸フィルムである、
ことを特徴とするトナー飛散防止フィルム。
【請求項2】
前記フィルム部材が、厚さが0.1mmないし0.3mmであり、JIS−L1096に準じて45°カンチレバー法により測定した剛軟度が厚さ0.1mmにおいて30mm以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載のトナー飛散防止フィルム。
【請求項3】
前記フィルム部材が、帯電防止剤を含有しないポリオレフィン樹脂を用いて押出し成形される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のトナー飛散防止フィルム。
【請求項4】
前記ポリオレフィン樹脂が、すくなくともランダムポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエチレン系コポリマーのいずれかである、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のトナー飛散防止フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置におけるトナーの飛散防止フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーシングの開口端面に可撓性を有するフィルム状部材の基部を貼着したプロセスユニットにおいて、前記フィルム状部材が貼着された開口端面を、フィルム状部材の先端縁部が緊張する方向に変形させる変形手段を設けたプロセスユニットが知られている(特許文献1)。
【0003】
透明性を有するショアA硬度が90以上の熱可塑性ポリウレタンの単体樹脂又は混合樹脂100重量部に対して、少なくとも、メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレンの3元共重合体樹脂を5〜20重量部配合した熱可塑性ポリウレタン組成物をカレンダー成形して得られ、全光線透過率85%以上の透明性を有する透明ポリウレタンフィルムも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−143047号公報
【特許文献2】特開2011−21167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、接触した像保持体の汚染を抑制しつつ、像保持体と接触する先端縁部からのトナー飛散を防止することができるトナー飛散防止フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のトナー飛散防止フィルムは
接着部材と、
像保持体と対向する開口部を有するハウジングの一端縁部に貼着され先端部近傍の表面が前記像保持体の表面に接触する可撓性のフィルム部材と、からなり、
前記フィルム部材が、ポリオレフィン樹脂を材料として押出し成形して得られる破断伸度が500%以上の未延伸フィルムである、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のトナー飛散防止フィルムにおいて、
前記フィルム部材が、厚さが0.1mmないし0.3mmであり、JIS−L1096に準じて45°カンチレバー法により測定した剛軟度が厚さ0.1mmにおいて30mm以上である、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のトナー飛散防止フィルムにおいて、
前記フィルム部材が、帯電防止剤を含有しないポリオレフィン樹脂を用いて押出し成形される、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のトナー飛散防止フィルムにおいて、
前記ポリオレフィン樹脂が、すくなくともランダムポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエチレン系コポリマーのいずれかである、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、2に記載の発明によれば、像保持体とハウジングの開口部からのトナー飛散を防止することができる。
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、像保持体表面の汚染を抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比して、像保持体表面の汚染を抑制しつつ、像保持体とハウジングの開口部からのトナー飛散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】トナー飛散防止フィルム1が適用される画像形成装置100の画像形成部を示す断面模式図である。
図2】感光体ドラム121を含む感光体ユニット120の縦断面図である。
図3】(a)はトナー飛散防止フィルム1の正面図、(b)は側面図、(c)は具体的サイズの一例である。
図4】45°カンチレバー法による剛軟度測定方法を説明するための模式図である。
図5】実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1、比較例2のフィルム物性測定結果を示す図である。
図6】トナー飛散防止フィルム1の保管試験方法の一例を示す図である。
図7】保管試験A及び保管試験Bの結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0013】
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
(1.1)画像形成部の構成及び動作
図1は本実施形態に係るトナー飛散防止フィルム1が適用される一例としての画像形成装置100の画像形成部を示す断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、画像形成装置100の全体構成及び動作を説明する。
【0014】
画像形成装置100の画像形成部は、露光装置110、感光体ユニット120、現像装置130、転写装置140、用紙搬送装置150、定着装置160、とを備えて構成され、画像処理部(不図示)から受け取った画像情報を、用紙送り装置(不図示)から送り込まれた用紙P上にトナー画像として形成する。
【0015】
感光体ユニット120は、露光装置110の下方に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する像保持体としての感光体ドラム121を備えている。感光体ドラム121の回転方向にそって、帯電ローラ122、露光装置110、現像装置130、一次転写ローラ142、クリーニング装置124が配置されている。
【0016】
現像装置130には、感光体ドラム121に対向して配置された像保持体としての現像ローラ132と、現像ハウジング131内のトナーを現像ローラ132側へ供給する供給ローラ133が現像ローラ132に接触配置され、供給ローラ133から現像ローラ132へトナーが供給される。現像ローラ132には、トナーの層厚を規制する層規制ブレード134が接触して配置されている。
現像装置130各々は、現像ハウジング131に収容される現像剤を除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0017】
回転する感光体ドラム121の表面は、帯電ローラ122により帯電され、露光装置110から出射する潜像形成光により静電潜像が形成される。感光体ドラム121上に形成された静電潜像は現像ローラ132によりトナー像として現像される。
【0018】
転写装置140は、各感光体ユニット120の感光体ドラム121にて形成された各色トナー像が多重転写される像保持体としての中間転写ベルト141、各感光体ユニット120にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト141に順次転写(一次転写)する一次転写ローラ142、中間転写ベルト141上に重畳して転写された各色トナー像を用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ベルト143とから構成されている。
二次転写ベルト143は、二次転写ローラ144と剥離ローラ145とによって張架され、中間転写ベルト141の背面側に配置されたバックアップローラ146と二次転写ローラ144とに挟持されて二次転写部TRを形成する。
【0019】
各感光体ユニット120の感光体ドラム121に形成された各色トナー像は、所定の転写電圧が印加された一次転写ローラ142により中間転写ベルト141上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。
中間転写ベルト141上の重畳トナー像が二次転写部TRに搬送されると、そのタイミングに合わせて用紙送り装置から用紙Pが二次転写部TRに供給される。そして、二次転写ベルト143を介して二次転写ローラ144と対向するバックアップローラ146には、所定の転写電圧が印加され、用紙Pに中間転写ベルト141上の多重トナー像が一括転写される。
【0020】
感光体ドラム121表面の残留トナーは、クリーニング装置124により除去され、廃トナー収容部(不図示)に回収される。感光体ドラム121の表面は、帯電ローラ122により再帯電される。
【0021】
転写装置140においてトナー像が転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で用紙搬送装置150を経由して定着装置160に搬送される。定着装置160に搬送された用紙Pは、一対の定着ベルト161と加圧ローラ162により、圧着と加熱の作用でトナー像が定着される。
【0022】
このように構成される画像形成装置100の画像形成部においては、本実施形態に係るトナー飛散防止フィルム1がそれぞれ像保持体としての感光体ドラム121、現像ローラ132、中間転写ベルト141と対向して配置されている。
トナー飛散防止フィルム1は、それぞれの像保持体と接触して像保持体上に保持されたトナーのそれぞれのハウジング内への通過を許容すると共に、ハウジング内のトナーがハウジングの下部から外部へ漏出することを防止する。
【0023】
(1.2)感光体ユニット
図2は像保持体の一例としての感光体ドラム121を含む感光体ユニット120の縦断面図である。以下、本実施形態に係るトナー飛散防止フィルム1が適用される好適な一例として、感光体ユニット120について図面を参照しながら説明する。
【0024】
感光体ユニット120は、感光体ドラム121と対向するに位置に配設されたクリーニング装置124を備えている。クリーニング装置124は、感光体ドラム121の表面に接触して配置されたクリーニングブレード126と、クリーニング装置124のハウジング123内に回収された廃トナーを搬送するトナー回収オーガー125と、感光体ドラム121の回転方向におけるクリーニングブレード126の下流に配置された帯電ローラ122と、ハウジング123に設けられた開口の下縁部に帖着されたトナー飛散防止フィルム1と、で主要部が構成されている。
尚、この感光体ユニット120は、画像形成装置100に着脱可能とされている。
【0025】
ハウジング123は、クリーニングブレード126が感光体ドラム121の表面から除去したトナーや紙紛等を収容するものであり、感光体ドラム121と対向する位置に開口を有している。そして、この開口部分にクリーニングブレード126及びトナー飛散防止フィルム1が設けられ、感光体ドラム121と接触している。
【0026】
クリーニングブレード126は、耐磨耗性、耐欠け性、耐クリープ性などの機械的性質に優れる材料、例えば、熱硬化型ポリウレタンゴム等のウレタンゴムからなり、ハウジング123に断面形状がL字形の板金で固定支持されている。そして、クリーニングブレード126の先端126aは予め定められた接触圧で感光体ドラム121の表面に接触し、感光体ドラム121の表面からトナーや紙紛等を除去する。
【0027】
トナー回収オーガー125は、スクリューからなっており、感光体ドラム121の表面から除去されてハウジング123に収容された廃トナー等を撹拌しながら廃トナーボックス(不図示)に搬送する。
【0028】
トナー飛散防止フィルム1は、ハウジング123の下側の開口端部に帖着して固定されており、感光体ドラム121とハウジング123との間の隙間をシールして、ハウジング123内に回収された廃トナーの感光体ユニット120外への漏出を防止する。
【0029】
(2)トナー飛散防止フィルム
図3(a)はトナー飛散防止フィルム1の正面図、図3(b)は側面図、図3(c)は具体的サイズの一例である。尚、側面図において、トナー飛散防止フィルム1は、説明のために拡大して実際の厚みより厚く描いている。
トナー飛散防止フィルム1は、接着部材の一例としてのPET(ポリエチレンテレフタレート)基材を有する両面テープ1aと、可撓性のフィルム部材としてのフィルム1bとからなる。フィルム1bは、ポリオレフィン樹脂としてのランダムポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエチレン系コポリマーを材料として押出し成形して得られる破断伸度が500%以上の未延伸フィルムである。
尚、接着部材としては、不織布を基材として用いた両面テープを用いることもできる。
【0030】
押出し加工による成形方法としては特に限定されないが、一例としては、以下のようにして作成することができる。
まず、オレフィン樹脂としてのランダムポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエチレン系コポリマーを押出し機で、例えば200°Cないし300°Cで加熱混練して溶融し、ろ過フィルターを通した後、押出金型であるスリット状のT型ダイス吐出口より溶融押出しし、冷却固化させ0.1mmないし0.3mmの連続的な未延伸フィルムを得る。
【0031】
本実施形態に係るフィルム1bは、溶融押出し成形された後に、縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)に延伸、熱処理されない未延伸フィルムである。
そのために、構成する分子が折り曲げられることにより、丸まった状態になっている。従って、分子が折りたたまれ丸まった状態から引き伸ばされ方向が揃った状態になるまで伸びることができ、破断伸度が500%以上であり、延伸フィルムに比して大きい。
破断伸度は、短冊状のフィルムを引き伸ばした際に、破断までの長さの変化を引き伸ばす前の長さで除した値であり、試験方法は特定するものではないが、JIS
K7113に規定の引張試験方法に準じて測定されることが好ましい。
【0032】
フィルム1bは、厚さが0.1mmないし0.3mmであることが好ましい。フィルム1bの厚さが0.1mmよりも薄い場合には、像保持体としての感光体ドラム121に接触したときの接触圧が小さく、ハウジング123内に回収された廃トナーが感光体ユニット120外への漏出しやすくなる。また、フィルム1bの厚さが0.3mmよりも厚い場合には、感光体ドラム121に接触したときの接触圧が高く、感光体ドラム121の表面に損傷を与える虞がある。
【0033】
図4は45°カンチレバー法による剛軟度測定方法を説明するための模式図である。
JIS−L1096に準じて45°カンチレバー法により測定した剛軟度が厚さ0.1mmにおいて30mm以上であることが好ましく、フィルム1bのコシによって、感光体ドラム121表面に確実に接触して接触圧を保持することができる。
剛軟度は、剛軟性測定法のJIS−L1096に準じて、カンチレバー系試験機を用いて測定することができる。具体的には、剛軟度は、45°の斜面をもつ滑らかな水平台の上に、幅25mm、長さ150mmの帯状の試験片を置き、試験片を押さえて10mm/sの速度で静かに滑らせ、試験片の先端が斜面に接したときに押し出された長さで表される。
【0034】
フィルム1bは、帯電防止剤を含有しないポリオレフィン樹脂を用いて押出し成形されている。
ポリオレフィン樹脂を使用したフィルムにおいては、静電気を発生したり蓄積したりし易いために、汚染され易く表面にほこり等が付着することが多く、アニオン、カチオン、ノニオン等種々の界面活性剤を帯電防止剤としてポリオレフィン樹脂に含有することがあった。
しかるに、フィルム状に成形されたポリオレフィン樹脂においては、帯電防止性能を発揮させるために、表面層だけでなくコア層にも帯電防止剤を添加する必要があるため、添加量が多くなり経済的に不利な面があった。
また、帯電防止剤が、フィルム表面に析出して(ブリードアウト)、フィルム1bと接触した感光体ドラム121の表面を汚染する虞もあった。
【0035】
本実施形態に係るフィルム1bは、図3に示すようにフィルム1bの先端部が像保持体としての感光体ドラム121に接触して使用される。そのために、フィルム1bは、帯電防止剤を含有しないポリオレフィン樹脂を用いて押出し成形されている。
【0036】
(3)作用・効果
トナー飛散防止フィルム1は、PET(ポリエチレンテレフタレート)基材を有する両面テープ1aと、ポリオレフィン樹脂としてのランダムポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエチレン系コポリマーを材料として押出し成形して得られる破断伸度が500%以上の未延伸フィルムを用いたフィルム1bからなる。
そのために、ハウジング123に貼着した後に高温、高湿環境に保管された場合、像保持体としての感光体ドラム121表面と接触するフィルム1bの先端縁部に発生する波打ちが抑制され、ハウジング123内に回収された廃トナーの感光体ユニット120外への漏出を防止することができる。
【0037】
トナー飛散防止フィルム1のフィルム1bは、JIS−L1096に準じて45°カンチレバー法により測定した剛軟度が厚さ0.1mmにおいて30mm以上、厚さ0.2mmにおいて50mm以上、厚さ0.3mmにおいて60mm以上である。
その結果、ハウジング123に貼着されて、フィルム1bの先端縁部が像保持体としての感光体ドラム121表面と接触した場合に、フィルム1bのコシによる接触圧が確実に確保されて、ハウジング123内に回収された廃トナーの感光体ユニット120外への漏出を防止することができる。
【0038】
フィルム1bは、帯電防止剤を含有しないポリオレフィン樹脂を用いて押出し成形されている。
そのために、感光体ユニット120が高温、高湿環境に長期に亘って保持された場合であっても、帯電防止剤がフィルム表面に析出して(ブリードアウト)、フィルム1bと接触した感光体ドラム121の表面を汚染する虞がない。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
図5にフィルム1bのフィルム厚み(t)0.1mm、0.2mm、0.3mmを狙った実施例1、実施例2、実施例3のフィルム物性測定結果及び熱可塑性ポリウレタン樹脂を材料に用いたフィルム200bのフィルム厚み(t)0.1mm、0.2mmを狙った比較例1、比較例2の物性測定結果を示す。
【0041】
「フィルムの作成」
オレフィン樹脂としてのランダムポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン系コポリマーを押出し機のシリンダー内で加熱しスクリューで加圧した溶融状態の樹脂を、押出し機の先端に設置されたスリット状のT型ダイス吐出口より溶融押出しした。次に、冷却固化させ連続的な未延伸フィルムを形成した後、厚みを計測して0.1mmないし0.3mmのフィルムを得た。
【0042】
「トナー飛散防止フィルムの作製」
シート上にPET基材からなる両面テープを配置して、フィルム作成工程において得たフィルムを貼り合せた。そして、図3(c)に示した具体的サイズにビクトリアル型を用いて打ち抜いて、トナー飛散防止フィルム1とした。
【0043】
図5に示すように、実施例1、2、3におけるフィルム1bは、MD方向及びTD方向ともに破断伸度が500%以上で、比較例1、2におけるフィルム200bと比して、破断伸度が大きい結果となった。すなわち、比較例に比して、荷重が作用した際に伸びが大きく、例えば、感光体ドラム121と先端縁部が接触して保持された場合に、分子が折りたたまれ丸まった状態から引き伸ばされ方向が揃った状態になるまで伸びることができるために、波打ちの発生が抑制される。
【0044】
また、図5に示すように、実施例1、2、3におけるフィルム1bは、比較例1、2におけるフィルム200bと比して、MD方向及びTD方向ともにJIS−L1096に準じて45°カンチレバー法により測定した剛軟度が大きい結果となった。その結果、フィルム1bのコシによって、感光体ドラム121表面に確実に接触して接触圧を保持し、ハウジング123内に回収された廃トナーの感光体ユニット120外への漏出を防止することができる。
【0045】
「保管試験A」
図6にトナー飛散防止フィルム1の保管試験方法の一例を示す。
図6に示すように、トナー飛散防止フィルム1は、感光体ユニット120のハウジング123に接着部材としてのPET基材を有する両面テープ1aで貼着され、フィルム1bの先端縁部が感光体ドラム121表面と屈曲して接触することになる。本保管試験においては、感光体ドラム121に代えて平板上の金属プレートを用いて、それぞれの取付条件で保持して、所定の環境条件に制御された恒温槽内に貯留してフィルム1bの先端縁部の波打ち状態を観察した。
【0046】
「保管試験B」
感光体ドラム121の表面に作成されたそれぞれのフィルムを貼り当てて、所定の環境条件に制御された恒温槽内に30日間保管した後の感光体ドラム121を用いて画像形成装置100で画像作成を行い感光体ドラム121の汚染の有無を観察した。
【0047】
図7に保管試験A及び保管試験Bの結果の一例を示す。
フィルム1bの先端縁部の波打ち状態を観察した保管試験Aの結果によれば、実施例1及び実施例2によるフィルム1bを用いたトナー飛散防止フィルム1においては、50°C/95%RHの高温、高湿環境下に2時間放置した後において、いずれの取付条件においてもフィルム1bの先端縁部の波打ちは発生しなかった。
また、40°C/95%RHの高温、高湿環境下及び−20°Cの低温環境下に30日間の長期に亘って放置した後においても、同様にフィルム1bの先端縁部の波打ちは発生しなかった。
【0048】
実施例1及び実施例2によるフィルム1bを感光体ドラム121に貼り当てて、40°C/95%RHの高温、高湿環境下に30日間の長期に亘って放置した後においても、フィルム1bの接触による感光体汚染に起因する画像不良は発生しなかった。
フィルム1bは、帯電防止剤を含有しないポリオレフィン樹脂を用いて押出し成形されている。そのために、帯電防止剤がフィルム表面に析出して(ブリードアウト)、フィルム1bと接触した感光体ドラム121の表面を汚染する虞がない。
【0049】
以上、本発明に係る実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で種々の変更を行うことが可能である。
例えば、トナー飛散防止フィルム1は現像装置130の現像ハウジング131に帖着して、像保持体としての現像ローラ132と現像ハウジング131との間の隙間をシールすることにより、現像ハウジング131内に収容されたトナーの現像装置130外への漏出を防止することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・トナー飛散防止フィルム
1a・・・両面テープ
1b、200b・・・フィルム
100・・・画像形成装置
110・・・露光装置
120・・・感光体ユニット
121・・・感光体ドラム
122・・・帯電ローラ
123・・・ハウジング
124・・・クリーニング装置
125・・・トナー回収オーガー
126・・・クリーニングブレード
130・・・現像装置
131・・・現像ハウジング
132・・・現像ローラ
133・・・供給ローラ
140・・・転写装置
141・・・中間転写ベルト
142・・・一次転写ローラ
143・・・二次転写ベルト
144・・・二次転写ローラ
146・・・バックアップローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7