特開2015-180711(P2015-180711A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-180711(P2015-180711A)
(43)【公開日】2015年10月15日
(54)【発明の名称】インキ組成物、積層塗膜
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/102 20140101AFI20150918BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20150918BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20150918BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20150918BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20150918BHJP
   B41M 1/06 20060101ALI20150918BHJP
【FI】
   C09D11/102
   B32B3/30
   B32B27/00 101
   B05D5/06 104K
   B05D7/24 302Y
   B41M1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-94602(P2014-94602)
(22)【出願日】2014年5月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-43826(P2014-43826)
(32)【優先日】2014年3月6日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】中原 昭
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慎一郎
【テーマコード(参考)】
2H113
4D075
4F100
4J039
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113AA03
2H113AA06
2H113BA05
2H113BA27
2H113BB22
2H113BC09
2H113BC10
2H113CA05
2H113DA64
2H113EA19
4D075AC41
4D075AE06
4D075CB21
4D075EB22
4D075EB36
4D075EB43
4F100AA20
4F100AK41
4F100AK52C
4F100AT00A
4F100CC00D
4F100DD01C
4F100EJ65B
4F100EJ863
4F100HB31C
4F100JA12
4J039AE06
4J039AE11
4J039BA21
4J039BE22
4J039CA04
4J039CA07
4J039EA36
4J039EA42
4J039EA43
4J039GA02
(57)【要約】
【課題】ハジキ状の凹凸形状を連続大量生産、少量多品種生産に係らず、枚葉印刷のようなシート印刷に好適に用いられる塗料樹脂組成物、該樹脂を基材上に形成し、積層した積層塗膜を提供すること。
【解決手段】基材の下塗り層上面にポリシロキサンを含むテクスチャーインキからなる中間層を形成した後、上塗り塗料を形成することで、中塗り塗膜と上塗り塗膜が一体化して意匠性よく凹凸形状を形成することを特徴とする凹凸形状が形成された積層塗膜の製造方法、ポリシロキサン構造を有する化合物を含有するテクスチャーインキ組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシロキサン構造を有する化合物を含有するテクスチャーインキ組成物。
【請求項2】
基材の下塗り層上面に、ポリシロキサンを含むテクスチャーインキからなる中間層を形成した後、中間層上面に上塗り塗料を用いて形成した上塗り層が形成された積層塗膜。
【請求項3】
基材の下塗り層上面に、請求項1記載のテクスチャーインキと上塗り塗料とを、乾燥せずに重ね塗りした後、両層を乾燥させることを特徴とする凹凸形状が形成された積層塗膜の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載のテクスチャーインキ層をオフセット印刷で形成させることにより、部分的な凹凸形状が形成された積層塗膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、枚葉印刷のようなシート印刷に好適なハジキ模様を発現するインキに有用な樹脂組成物、これを基材に塗布した積層塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
凹凸模様を有する印刷物としては、エンボス処理を施した基材を用いることにより、表面に凹凸模様を形成したり、基材上部に撥油性のある下塗りインキ又は塗料を塗設してハジキ層を設けたりしている技術が提案されている(例えば特許文献1〜3参照。)。
【0003】
しかしながら、これらの技術は、不定形で変化にとんだハジキ模様を同一パターンで大量に生産するには、効果があるものの、少量印刷の場合や、部分的な凹凸を形成するには不向きな技術であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第05349116号
【特許文献2】特許第05349117号
【特許文献3】特開平11−276986
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、ハジキ状の凹凸形状を連続大量生産、少量多品種生産に係らず、枚葉印刷のようなシート印刷に好適に用いられる塗料樹脂組成物、該樹脂を基材上に形成し、積層した積層塗膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、シリコーン樹脂の表面張力が低いことを利用して他の塗料成分をはじくことから、基材の下塗り層上面にポリシロキサンを含むテクスチャーインキからなる中間層を形成した後、上塗り塗料を形成することで、中塗り塗膜と上塗り塗膜が一体化して意匠性よく凹凸形状を形成することを見出し発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、ポリシロキサン構造を有する化合物を含有するテクスチャーインキ組成物を提供する。
【0008】
また、本発明は、基材の下塗り層上面に、ポリシロキサンを含むテクスチャーインキからなる中間層を形成した後、中間層上面に上塗り塗料を用いて形成した上塗り層が形成された積層塗膜をも提供する。
【0009】
また、前記基材の下塗り層上面に、テクスチャーインキと上塗り塗料とを、乾燥せずに重ね塗りした後、両層を乾燥させることを特徴とする凹凸形状が形成された積層塗膜の製造方法を提供する。
【0010】
また、中塗り層であるテクスチャーインキ層をオフセット印刷で形成させることにより、部分的な凹凸形状が形成された積層塗膜の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特に、オフセット印刷を用いると、枚葉印刷のようなシート印刷時に、連続大量生産、少量多品種生産を問わず、凹凸模様を有する印刷物を得ることができる。また、凹凸を発現させるために、色調などの制約が少なく、上塗り塗料も制約が少ない印刷デザインを遮断しない透明インキ仕様も可能で、デザインと連携した部分的な凹凸形状の再現が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記ポリシロキサンを含むテクスチャーインキは、バインダー樹脂、ポリシロキサン構造を有する化合物を必須成分とし、必要に応じて、顔料類、有機溶剤、ドライヤー等を含有する。
【0013】
本発明に用いるテクスチャーインキ組成物に含まれるポリシロキサン構造を有する化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロポリシロキサン、シリコーンオイルまたはシリコーンワニスを溶剤に溶かしたもの、水中油型に分散させたもの、オルガノクロルシラン、シラノール反応性シリコーンモノマー、アクリルポリマーとジメチルポリシロキサンからなるグラフト共重合体、(メタ)アクリロイル基含有アクリルポリマーとジメチルポリシロキサンからなるグラフト共重合体等をあげられる。
【0014】
前記バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系、酢酸ビニル系、スチレン系、塩化ビニル系、オレフィン系、ウレタン系樹脂や、スチレンブタジエンゴム系、アクリロニトリルブタジエンゴム系、メチルメタクリレートブタジエンゴム系等のラテックス樹脂、ウレタン系、エポキシ系、メラミン系、尿素系、フェノール系、ポリエステル系、アルキド系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂、アクリレート系、不飽和ポリエステル系等の紫外線硬化型樹脂、金属アルコキシド系等の有機無機複合高分子材料等が挙げられる。
【0015】
本発明の積層塗膜は、下部に形成された中塗り層の影響で上塗り層側が影響を受けて、凹凸を発現するので、本発明に用いる上塗り塗料は、前記の現象を妨げなければ、特に限定されず、例えば、前記のバインダー樹脂が挙げられる。
【0016】
本発明に用いる下塗り層は特に限定されず、種々のものが使用可能である。また、下塗り層を設けない場合もあり得る。
【0017】
本発明に下塗り層に用いる下塗り塗料も、基材、及び中塗り層との密着性が良好となれば特に限定されないが、例えば、アクリル系、酢酸ビニル系、スチレン系、塩化ビニル系、オレフィン系、ウレタン系等のエマルジョン樹脂や、スチレンブタジエンゴム系、アクリロニトリルブタジエンゴム系、メチルメタクリレートブタジエンゴム系等のラテックス樹脂、ウレタン系、エポキシ系、メラミン系、尿素系、フェノール系、ポリエステル系、アルキド系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂、アクリレート系、不飽和ポリエステル系等の紫外線硬化型樹脂、金属アルコキシド系等の有機無機複合高分子材料等を使用することができる。
【0018】
本発明の基材の下塗り層上面に、ポリシロキサンを含むテクスチャーインキからなる中間層を形成した後、中間層上面に上塗り塗料を用いて形成した上塗り層が形成された積層塗膜について説明する。
【0019】
前記下塗り層の厚さは、これらの層の上部に形成される中塗り層、上塗り層の密着性等に影響を及ぼさなければ特に限定されない。
【0020】
具体的な形成方法としては、基材の表面を下塗り塗装した後、ポリシロキサン構造を有する化合物を含むテクスチャーインキ組成物で中塗りし、中塗り塗膜形成後、上塗り塗装を施し、上塗り塗膜が形成された凹凸模様を有する積層塗膜を得る。
【0021】
その際、基材の上塗り層上面に、請求項1記載のテクスチャーインキと上塗り塗料とを、乾燥せずに重ね塗りした後、両層を乾燥させることが好ましい。
【0022】
なお、上塗り塗料の塗工膜厚により凹凸形状の大小を制御することが可能である。
【0023】
前記積層塗膜に用いる基材としては、下塗り層との密着性が良好で、且つ乾燥時熱により変形・変質・消滅等変化しない素材であれば、特に限定されない
【実施例】
【0024】
実施例1
下記表1に記載された各成分組成の塗料、インキを用いて、基材に積層塗膜を形成した。表内の数値は重量%である。
アルキド樹脂;DIC(株)製アルキド樹脂
体質顔料;非晶質二酸化珪素
【0025】
シリコンアクリレート;下記式に示される有機変性シリコンアクリレート
【0026】
【化1】
【0027】
ドライヤー;金属塩
その他の助剤;TBHQ
溶剤;石油系溶剤
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
前記の評価項目に関する評価方法は、下記の通り。
・塗膜概観(凹凸形状の発現性)評価:目視評価による
・塗膜性能評価(一例)
(1)滑性 鋼球3点接触による動摩擦係数値
(2)鉛筆硬度 三菱ユニ鉛筆による引っ掻き硬度
(3)耐衝撃性 デュポン衝撃試験機で1Kg−30cmで凹凸加工
(4)ブロッキング性 60℃−3kg−2時間加圧後の状態をデソート法(脱離までの落下回数)で評価
(5)密着性 2×2mm盤目セロハンテープ密着性
・塗装方法
(1)下塗り DDR法
(2)テクスチャーインキ RIテスターによるオフセット印刷
(3)上塗り ナチュラルコーター(9インチテストコーター)