【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 「和田聡子(東京都千代田区神田駿河台1−8−13 学校法人日本大学歯学部内)」平成26年2月19日販売 「戸原玄(東京都文京区湯島一丁目5番45号 国立大学法人東京医科歯科大学内)」平成26年2月24日販売 「http://kai−kou.com/」平成26年1月4日掲載 「http://kai−kou.com/movie/movie.html」平成26年1月30日掲載 「開口力トレーナーKT2014 カタログ」平成26年2月18日発行(出荷) 「第19回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会」平成25年9月23日開催 株式会社照林社「エキスパートナース 増刊 11 摂食ケアと口腔ケア」平成25年10月19日頒布、平成25年10月20日発行
【解決手段】開口力測定器10は、着用者の頭部に配置可能なヘッドギア部材11と、上面が顎に接するように配置可能な顎受け部131を有する顎受け部材13と、端部がヘッドギア部材11と連結され、顎受け部材13を保持するベルト状部材12と、ヘッドギア部材11、顎受け部材13又はベルト状部材12のいずれかに設けられ、着用者の顎の開口力を測定可能な開口力測定部材14と、を備える。顎受け部材13は、顎受け部131の両側部に形成されたベルト状部材12が貫通可能な一対の貫通部132を有し、開口力測定部材14は、顎受け部材13の下面側に配置され、顎受け部131を介して開口力を測定可能な測定部141と、貫通部132を貫通させたベルト状部材12に連結されるベルト連結部142と、を有するのが好ましい。
前記ヘッドギア本体は、一端部が、一方の頭側連結部と連結され、他端部が他方の頭側連結部と連結され、着用者の頭頂部の前方を通る位置に配置される第1の帯状部材と、
一端部が、一方の頭側連結部と連結され、他端部が他方の頭側連結部と連結され、着用者の頭頂部の後方を通る位置に配置される第2の帯状部材と、
一端部が、一方の頭側連結部と連結され、他端部が他方の頭側連結部と連結され、一方の頭側連結部側において、前記第1の帯状部材の一端部及び前記第2の帯状部材の一端部と連結され、他方の頭側連結部側において、前記第1の帯状部材の他端部及び前記第2の帯状部材の他端部と連結され、着用者の頭頂部を通る位置に配置される第3の帯状部材と
を備える、請求項3記載の開口力測定器。
【発明を実施するための形態】
【0015】
舌骨挙上及び喉頭挙上に関わる筋肉は、嚥下時に食道入口部の開大が改善することから、嚥下の強さを推し量るための重要な指標である。これらの筋肉のうち、顎舌骨筋、顎二腹筋前腹、オトガイ舌骨筋は、開口筋である。そのため、開口力を測定することによって、嚥下の強さを評価することが可能である。本発明の開口力測定器によると、簡便に開口力を測定することができるため、簡便に嚥下の強さを評価することが可能である。
以下、本発明の開口力測定器の好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。
実施形態1の開口力測定器10は、
図1に示すように、ヘッドギア部材11と、ベルト状部材12と、顎受け部材13と、開口力測定部材14と、を備える。
【0016】
ヘッドギア部材11は、ヘッドギア本体111と、一対の頭側連結部112とによって構成される。
ヘッドギア本体111は、
図2に示すように、着用者の頭部に配置可能な部材であり、着用者の頭部を覆うように配置される。また、ヘッドギア本体111は、第1の帯状部材1111と、第2の帯状部材1112と、第3の帯状部材1113と、第1のパッド部1115と、第2のパッド部1116とを備える。
【0017】
第1の帯状部材1111は、
図1に示すように、一端部が、第3の帯状部材1113の一方の頭側連結部側1114と連結され、他端部が第3の帯状部材1113の他方の頭側連結部側1114と連結される。第1の帯状部材1111は、
図2及び
図3に示すように、着用者の頭頂部の前方を通る位置に配置される。
【0018】
第1のパッド部1115は、
図1に示すように、長手方向に沿う両側部が外側に膨らんだ形状を有し、長手方向に第1の帯状部材1111が貫通可能な空洞部を有する。第1の帯状部材1111は、該空洞部を通るように配置され、第1のパッド部1115は、着用者の頭頂部の前方を覆うように配置される。
【0019】
第2の帯状部材1112は、
図1に示すように、一端部が、第3の帯状部材1113の一方の頭側連結部側1114と連結され、他端部が第3の帯状部材1113の他方の頭側連結部側1114と連結される。第2の帯状部材1112は、
図2及び
図3に示すように、着用者の頭頂部の後方を通る位置に配置される。
【0020】
第2のパッド部1116は、
図1に示すように、長手方向に沿う両側部が外側に膨らんだ形状を有し、長手方向に第2の帯状部材1112が貫通可能な空洞部を有する。第2の帯状部材1112は、該空洞部を通るように配置され、第2のパッド部1116は、着用者の頭頂部の後方を覆うように配置される。
【0021】
第3の帯状部材1113は、
図1に示すように、一端部が一方の頭側連結部112と連結され、他端部が他方の頭側連結部112と連結される。また、第3の帯状部材1113は、一方の頭側連結部側1114において、第1の帯状部材1111の一端部及び第2の帯状部材1112の一端部と連結され、他方の頭側連結部側1114において、第1の帯状部材1111の他端部及び第2の帯状部材1112の他端部と連結される。
【0022】
頭側連結部112は、一方が、第3の帯状部材1113の一端部と連結され、他方が、第3の帯状部材1113の他端部と連結される。また、一対の頭側連結部112は、
図2、3に示すように、それぞれヘッドギア本体111における着用者の頭側面側部に対応する位置(具体的には、着用者のこめかみ近傍)に配置され、ベルト状部材12の一端部121と連結される。
【0023】
ベルト状部材12は、
図2に示すように、端部がヘッドギア部材11と連結され、顎受け部材13を保持する部材である。本実施形態では、ベルト状部材12の両端部がヘッドギア部材11と連結されるように構成した。また、本実施形態では、開口力測定器10は、
図1及び2に示すように、2本のベルト状部材12を備え、顎受け部材13は、ベルト状部材12に保持される一対の保持部として、
図4に示すように、顎受け部131の両側部に貫通部132を有する。また、ベルト状部材12は、
図2及び3に示すように、各々のベルト状部材12の一端部121が、ヘッドギア部材11の対応する頭側連結部112に連結され、各々の他端部が、貫通部132を貫通し、対応する開口力測定部材14のベルト連結部142に連結される。開口力測定部材14のベルト連結部142(詳細は後述する)は、ベルト状部材12の他端部が貫通可能な空間を形成しており、該空間をベルト状部材12の他端部が貫通し、固定部122によって、ベルト状部材12の他端部がベルト連結部142に固定されて連結される。また、ベルト状部材12は、
図2、3に示すように、各々が対応する顎受け部材13の貫通部132(詳細は後述する)を貫通するように配置され、かつ、第3の帯状部材1113の延長線上であって、着用者の耳の前方を通る位置に配置される。
【0024】
顎受け部材13は、
図1、4に示すように、顎受け部131と、一対の貫通部132と、凹部133と、延出部134と、を備える。また、顎受け部材13に、ベルト状部材12を介して、後述する開口力測定部材14が設けられる。
顎受け部131は、上面が顎に接するように配置可能な部位であり、
図4に示すように、下方に曲面状に凹んだ形状を有する。また、顎受け部131は、
図1に示すように、上面の中央にスポンジ部1311を備え、該スポンジ部1311が顎の頂部に接するように配置される。
貫通部132は、顎受け部131の両側部に形成され、ベルト状部材12が貫通可能な空間を形成する。
凹部133は、
図4に示すように、顎受け部材13の下面の顎受け部131に対応する位置において上方に凹んで形成される。
延出部134は、顎受け部材13の上方から下方に向かって、開口力測定部材14の測定部141のケース部1413の外側を被嵌するように延出する。
また、延出部134の延出した長さは、
図4に示すように、ケース部1413(詳細は後述する)の高さより短く構成される。これにより、開口力の測定時にプッシャー部1414の下面が、ロードセル部1411に真っ直ぐに接触することが可能となり、開口力の正確な測定が可能となる。
【0025】
開口力測定部材14は、ヘッドギア部材11、顎受け部材13又はベルト状部材12のいずれかに設けられる、着用者の開口力を測定可能な部材である。この開口力測定部材14は、顎受け部材13の位置と着用者の頭頂部と着用者の両耳の前方とを結ぶ略同心円上の位置に配置される。本実施形態では、開口力測定部材14は、ベルト状部材12を介して顎受け部材13に設けられ、顎受け部材13の下面側に配置される。
開口力測定部材14は、
図4に示すように、測定部141と、一対のベルト連結部142とを備える。
測定部141は、顎受け部材13の下面側に配置され、顎受け部131を介して開口力を測定可能な部位である。測定部141は、
図4に示すように、ロードセル部1411と、ベース部1412と、ケース部1413と、プッシャー部1414と、を備える。
ロードセル部1411は、直方体状の形状により構成され、開口力を測定する部位である。ロードセル部1411は、
図4に示すように、ベース部1412の上面に配置される。
ベース部1412は、
図4に示すように、板状であり、上面にロードセル部1411とケース部1413とが配置される。
ケース部1413は、
図4に示すように、ロードセル部1411と、プッシャー部1414の下端側を囲むように形成される。また、ケース部1413は、ベース部1412の上面に配置され、ケース部1413の上面に開口が形成される。該開口の径は、
図4に示すように、プッシャー部1414の下側の先端の径より小さい。
プッシャー部1414は、下端側がケース部1413の内部に位置すると共に、ケース部1413の上面の開口よりも大きな径に形成される。ケース部1413と、プッシャー部1414とをこのように構成することで、プッシャー部1414の下端側が、ケース部1413の外側に移動できなくなり、ケース部1413の内部に固定される。
また、プッシャー部1414の上面と下面は、
図4に示すように、平面により構成される。また、プッシャー部1414の上面と下面は、プッシャー部1414の下面がロードセル部1411の上面に接触するときに、ロードセル部1411の上面に対して略平行となるように構成される。
ベルト連結部142は、
図4に示すように、測定部141の両側部(より具体的には、ベース部1412におけるケース部1413と接する位置より外側の部位)に配置される。ベルト連結部142は、ベルト状部材12の他端部が貫通可能な空間を形成する。上述のとおりに、ベルト連結部142が形成する空間を、ベルト状部材12の他端部が貫通し、固定部122によって、ベルト状部材12の他端部がベルト連結部142に固定されて連結される。
【0026】
次に、実施形態1の開口力測定器10の使用方法について説明する。
実施形態1の開口力測定器10を用いて、着用者の開口力を測定するには、
図2、3に示すように、着用する。
具体的には、まず、ヘッドギア部材11を、ヘッドギア本体111が着用者の頭部を覆うよう、かつ、頭側連結部112が着用者のこめかみ近傍に位置するように配置する。次に、2本のベルト状部材12の各々の一端部121を、対応するヘッドギア部材11の頭側連結部112と連結する。ベルト状部材12の各々の他端部を、対応する顎受け部材13の貫通部132を通るように配置し、開口力測定部材14のベルト連結部142が形成する空間を通るように配置して、固定部122によって、各々をベルトの他端部をベルト連結部142に連結する。このとき、ベルト状部材12を、着用者の耳の前方を通る位置に配置する。なお、上記のとおりに各々の部材を連結し、顎受け部材13を顎に密着させるために、ベルト連結部142の下方に設けたベルト状部材12の長さの調節部(図示せず)を用いて、ベルト状部材12の長さを調節する。
【0027】
図2、3に示した状態から、開口力を測定するためには、
図5に示すように、着用者が開口する。そうすると、
図4に示すプッシャー部1414の下面が、ロードセル部1411の上面に接触し、該上面に、着用者の開口力に基づく力がかかる。これによって、本発明の開口力測定器10は、着用者の開口力を簡便に測定することができる。
【0028】
以上説明した実施形態1の開口力測定器10によれば、以下のような効果を奏する。
【0029】
開口力測定器10を、着用者の頭部に配置可能なヘッドギア部材11と、顎受け部131を有する顎受け部材13と、端部がヘッドギア部材11と連結され、顎受け部材13を保持するベルト状部材12と、開口力測定部材14と、を備えて構成した。また、開口力測定部材14を、顎受け部材13に設けた。これにより、着用者の開口力を簡便に測定して嚥下の強さを評価することができる。
【0030】
開口力測定部材14を、顎受け部材13の位置と着用者の頭頂部と着用者の両耳の前方とを結ぶ略同心円上の位置に配置して構成した。これにより、着用者の開口力が、開口力測定部材14に正確に伝わりやすくなり、着用者の開口力を正確に測定することができる。
【0031】
開口力測定部材14を、顎受け部材13の下面側に配置され、顎受け部131を介して開口力を測定可能な測定部141と、貫通部132を貫通させたベルト状部材12に連結される2つのベルト連結部142と、を有するように構成した。これにより、着用者の開口力が、開口力測定部材14により正確に伝わりやすくなり、着用者の開口力をより正確に測定することができる。
【0032】
ベルト連結部142を、測定部141の両側部に配置されるように構成した。これにより、測定部141の両側の下側から、ベルト状部材12の長さを調節することができるので、ベルト状部材12を下側に同時に引っ張ることによって調節でき、かつ、両側にバランスよく引っ張る力をかけやすくなる。そのため、ベルト状部材12の長さの調節が容易となり、開口力測定器10の着用も容易となる。
【0033】
顎受け部材13を、顎受け部131の両側部に形成されベルト状部材12が貫通可能な一対の貫通部132を有するように構成した。これにより、貫通部132を貫通するベルト状部材12が顎受け部材13を両側から拘束し、測定時に着用者の顎に安定して保持することができるので、開口力の測定を安定して行うことができる。
【0034】
ベルト状部材12を2本で構成した。また、ヘッドギア部材11を、ヘッドギア本体111と、ベルト状部材12の一端部121と連結される一対の頭側連結部112とを、備えて構成した。これにより、2本のみのベルト状部材12によって、開口力測定器10を着用することができるので、着用が簡便となり、開口力の測定を簡便に行うことができる。
また、上記のとおり、顎受け部材13を測定時に着用者の顎に安定して保持することができるので、ベルト状部材12を2本のみにしても、開口力の測定を安定して行うことができる。
また、頭側連結部112と、ベルト連結部142とが、それぞれ1本のベルト状部材12によって連結されるため、ベルト状部材12の長さを調節する際に、各部材を配置する位置を自然にあわせやすい。
また、ベルト状部材12が2本のみであるため、多数のベルト状部材12を要さず、また、各部材が多数の連結部を要さないことから、開口力測定器10を安価に製造することでき、量産をしやすい。
【0035】
ヘッドギア本体111を、着用者の頭頂部の前方を通る位置に配置される第1の帯状部材1111と、着用者の頭頂部の後方を通る位置に配置される第2の帯状部材1112と、を備えて構成した。これにより、開口力測定器10の着用時にヘッドギア本体111が安定し、第1の帯状部材1111と第2の帯状部材1112との頭頂部方向への合力が、頭頂部近傍で略なくなるため、ベルト状部材12を2本のみにしても、ヘッドギア部材11を着用者の頭部により安定して保持することができ、開口力の測定をより安定して行うことができる。
【0036】
ヘッドギア本体111を、一端部が一方の頭側連結部112と連結され、他端部が他方の頭側連結部112と連結される第3の帯状部材1113を備えて構成した。これにより、頭頂部にヘッドギア本体111をより一層安定して保持することができる。
また、着用者の頭頂部を通る位置に配置された第3の帯状部材1113の延長線上にベルト状部材12が配置され、開口力測定部材14までが一直線上になるため、開口力の測定がより正確なものとなる。
【0037】
ヘッドギア本体111を、長手方向に沿う両側部が外側に膨らんだ形状を有し、長手方向に第1の帯状部材1111が貫通可能な空洞部を有する第1のパッド部1115と、長手方向に沿う両側部が外側に膨らんだ形状を有し、長手方向に第2の帯状部材1112が貫通可能な空洞部を有する第2のパッド部1116とを備えて構成した。また、第1の帯状部材1111を第1のパッド部1115の空洞部を通るように配置し、第2の帯状部材1112を第2のパッド部1116の空洞部に通すように配置して構成した。これにより、ヘッドギア本体111において頭頂部の前方と後方を覆う面積が大きくなるため、頭頂部にヘッドギア本体111をより一層安定して保持することができる。
【0038】
ベルト状部材12を、着用者の耳の前方を通る位置に配置されるように構成した。これにより、開口力が、ロードセル部1411の上面に対して垂直な方向に力が加わりやすくなり、より正確に測定することができる。また、開口時に顎受け部材13に加わる力と、開口力測定器10が固定するために働く力とが、いずれも同じ平面上の方向に働く力となるため、開口力測定器10をより、安定して保持することができる。
また、耳の前方にベルト状部材12が配置されることで、耳にベルト状部材12があたらないため、ベルト状部材12が耳にあたることによって耳が痛くなることを抑制することができる。
【0039】
頭側連結部112の位置が顎に近いほど、開口力測定器10の装着時の安定性が高くなり、開口力の測定を安定して行うことができる。実施形態1においては、ヘッドギア部材11の頭側連結部112を、着用者のこめかみ近傍に配置して構成した。これにより、頭側連結部112の位置が顎に近くなるため、開口力測定器10の装着時の安定性がまし、開口力の測定を安定して行うことができる。
また、ヘッドギア部材11の頭側連結部112が、着用者のこめかみ近傍に配置されているので、ヘッドギア部材11の頭側連結部112と、ベルト状部材12とを連結する際に、頭側連結部112が視野より下に位置するようになり、視野に入りにくいので、着用者がストレスを感じにくい。
【0040】
測定部141を、ベース部1412と、ベース部1412の上面に配置されたロードセル部1411と、ロードセル部1411を覆うようにベース部1412の上に配置され、上面に開口が形成されたケース部1413と、該開口を貫通するように配置され、下端側がケース部1413の内部に位置すると共にケース部1413の開口よりも大きな径に形成されており、上端側が顎受け部材13の下面側の顎受け部131に対応するように位置するプッシャー部1414と、を備えて構成した。また、顎受け部材13を、顎受け部材13の上方から下方に向かって、ケース部1413の外側を被嵌するように延出した延出部134を備えて構成した。これにより、開口力の測定時において、顎受け部材13が下側に押され、プッシャー部1414を介してロードセル部1411に力が加わる際に、顎受け部材13がぶれにくいため、ロードセル部1411の上面に対して垂直な方向のみに力が加わりやすくなる。そのため、測定部141が、測定時におけるデジタル補正を行う手段を要さず、センサーが1つのみでも安定して測定を行うことができる。
また、プッシャー部1414の上面と下面を、平面により構成した。また、プッシャー部1414の下面がロードセル部1411の上面にあたるときに、プッシャー部1414の上面と下面とがロードセル部1411の上面に対して平行となるように構成した。これにより、更にロードセル部1411の上面に対して垂直な方向のみに力が加わりやすくなる。
【0041】
以上、本発明の開口力測定器の実施形態1につき説明したが、本発明は、上述の実施形態1に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、実施形態1では、顎受け部材13に開口力測定部材14を設けて構成したが、これに限らない。すなわち、着用者の開口力を測定可能となるように構成すれば、本発明の開口力測定器を、ヘッドギア部材11に設けてもよく、ベルト状部材12に設けてもよい。また、開口力測定部材14は、顎受け部材13の位置と着用者の頭頂部と着用者の両耳の前方とを結ぶ略同心円上のいずれかに配置してもよく、例えば、頭頂部に配置してもよい。開口力測定部材14は、開口力を測定可能な部材であれば、特に限定されず、例えば、顎受け部材13に設けられない場合は、着用者の開口時にベルト状部材12に生じる引張力によって開口力を測定可能な部材であってもよい。
【0042】
実施形態1では、ヘッドギア部材11を、ヘッドギア本体111と、ヘッドギア本体111における着用者の頭側面側部に対応する位置に配置され、ベルト状部材12の一端部121と連結される一対の頭側連結部112とを、備えて構成したがこれに限らない。すなわち、ヘッドギア部材11が、ベルト状部材12と連結されれば、その態様は特に限定されず、例えば、2本超の連結部位があってもよく、連結部位の位置も特に限定されない。
【0043】
実施形態1においては、ヘッドギア部材11の頭側連結部112を、着用者のこめかみ近傍に配置して構成したが、特にこれに限定されず、いずれの位置に配置してもよい。ただし、前述のとおり、頭側連結部112の位置が顎に近いほど、開口力測定器10の装着時の安定性が高くなる。そのため、頭側連結部112を、着用者のこめかみ近傍から顎までのいずれかの部位に配置するのが好ましい。
【0044】
実施形態1では、ヘッドギア本体111を、一端部が、第3の帯状部材1113の一方の頭側連結部側1114と連結され、他端部が第3の帯状部材1113の他方の頭側連結部側1114と連結され、着用者の頭頂部の前方を通る位置に配置される第1の帯状部材1111と、一端部が、第3の帯状部材1113の一方の頭側連結部側1114と連結され、他端部が第3の帯状部材1113の他方の頭側連結部側1114と連結され、着用者の頭頂部の後方を通る位置に配置される第2の帯状部材1112と、一端部が一方の頭側連結部112と連結され、他端部が他方の頭側連結部112と連結される第3の帯状部材1113とを備えて構成したが、これに限らない。例えば、第3の帯状部材1113を備えずに、構成してもよい。
また、第1の帯状部材1111を、一端部が、一方の頭側連結部112と連結され、他端部が他方の頭側連結部112と連結され、着用者の頭頂部の前方を通る位置に配置されるように構成し、第2の帯状部材1112を、一端部が、一方の頭側連結部112と連結され、他端部が他方の頭側連結部112と連結され、着用者の頭頂部の後方を通る位置に配置されるように構成してもよい。
なお、頭側連結部112は、第3の帯状部材1113の頭側連結部側1114を含んで構成してもよい。
【0045】
実施形態1では、第1の帯状部材1111と、第2の帯状部材1112と、第3の帯状部材1113とを別体として設けたが、特に限定されず、一体として設けてもよい。一体として構成することで、該一体の部材によって着用者の頭頂部の前方と後方とを覆うことができる。
【0046】
実施形態1では、第1のパッド部1115と第2のパッド部1116とを備えて構成したが、これに限定されず、有さなくてもよい。
【0047】
ヘッドギア部材11の素材は、特に限定されないが、例えば、ヘッドギア本体111の部材として、ナイロン、ポリエステル等を使用してもよい。ヘッドギア本体111の各部材(第1の帯状部材1111、第2の帯状部材1112、第3の帯状部材1113、第1のパッド部1115、第2のパッド部1116等)の素材は、いずれも同じであってもよく、それぞれが異なっていてもよい。また、頭側連結部112の素材としては、例えば、樹脂等を使用することができる。
【0048】
実施形態1では、顎受け部材13は、顎受け部131の両側部に一対の貫通部132を有するように構成したが、これに限られない。すなわち、貫通部132は、顎受け部131の両側部に限らずベルト状部材12に隣接する位置に形成すればよく、貫通部132を有さないようにしてもよい。また、貫通部132にかえて、ベルト状部材12を挟むことができる引掛部(例えば、C文字型の切欠き等)を備えて保持部を構成し、該引掛部を介して顎受け部材13がベルト状部材12に保持されるようにしてもよい。
また、ベルト状部材12によって、顎受け部材13を保持する必要があるため、顎受け部材13が、貫通部132等のベルト状部材12を固定する部位を有さない場合は、顎受け部材13に開口力測定部材14を設ける必要がある。これにより、ベルト状部材12は、開口力測定部材14を介して(例えば、開口力測定部材14のベルト連結部142を介してベルト状部材12と開口力測定部材14を連結し、開口力測定部材14の上に顎受け部材13を保持することで)、顎受け部材13を保持することができる。開口力測定部材14が、顎受け部材13に設けられない場合は、ベルト状部材12が顎受け部材13を保持するために、顎受け部材13が、貫通部132等のベルト状部材12を固定する手段を有する必要がある。
【0049】
実施形態1では、顎受け部131は、スポンジ部1311を有するように構成したが、有さなくてもよい。スポンジ部1311の素材は、特に限定されず、従来のスポンジとして使用される素材を使用できるが、スポンジとして使用される素材以外のものを用いてもよい。スポンジ部1311のかわりに、顎受け部131の上面を覆うようなパッドを使用してもよい。
【0050】
実施形態1では、顎受け部材13において凹部133を設けたが、設けなくてもよい。例えば、顎受け部材13の下面の形状は、プッシャー部1414の形状や大きさ等に応じて、適宜変更することができる。
【0051】
顎受け部材13の素材は、特に限定されないが、例えば、樹脂、金属等を用いることができる。硬い素材を用いると、開口力をより安定して測定することができるので、この点で金属等を用いるのが好ましい。また、顎受け部材13は、複数の素材から構成されてもよく、例えば、延出部134を金属で構成し、顎受け部131を樹脂で構成してもよい。
【0052】
実施形態1では、ベルト状部材12を2本で構成したが、これに限らない。すなわち、ベルト状部材12を2本超の本数で構成してもよく、1本で構成してもよい。1本で構成する態様としては、例えば、実施形態1のベルト状部材12の、ベルト連結部142の下側に位置する部分の各々の先端部が連結した態様が挙げられる。
【0053】
ベルト状部材12の素材は、特に限定されず、ベルト部分については、ベルトとして使用される従来の公知の素材を使用することができる。また、ヘッドギア部材11との連結する部分や、固定部122の素材としては、例えば、樹脂等を使用してもよい。
【0054】
開口力測定部材14において、測定部141は、実施形態1の構成に特に限定されない。例えば、ロードセル部1411の形状は、実施形態1では直方体状の形状で構成したが、形状は特に限定されず、立方体、円柱等の形状であってよい。また、ロードセル部1411は、上面に加えられる力を測定できるものであれば、従来の公知のいずれのものも使用することができる。
【0055】
ベース部1412の形状は、実施形態1では、板状で構成したが、これに特に限定されず、適宜変更することができる。また、ベース部1412の素材も、特に限定されず、樹脂、金属等を使用することができる。
【0056】
ケース部1413の形状は、特に限定されず、ロードセル部1411やプッシャー部1414の形状等に応じて適宜設定することができる。また、ケース部1413の素材も、特に限定されず、樹脂、金属等を使用することができる。
【0057】
プッシャー部1414の形状は、顎受け部131の下面からの開口力を、その上面に受け、その下面から開口力をロードセル部1411の上面に加えることができるように構成すれば、特に限定されない。プッシャー部1414の素材は、特に限定されず、樹脂、金属等を使用することができるが、開口力をロードセル部1411の上面により正確に伝えるためには、硬い素材を使用するのが好ましい。
【0058】
実施形態1では、ベルト連結部142を測定部141の両側に配置されるように構成したが、特にこれに限定されず、ベルト状部材12を連結可能に構成すれば、ベルト連結部142はいずれの位置に配置してもよい。
【0059】
また、実施形態1の測定部141以外の、ロードセル部1411の上面に対して垂直な方向のみに力が加わりやすいような方向規制部材を使用してもよい。なお、測定部141がデジタル補正を行う手段を有するように構成してもよい。
【実施例】
【0060】
実施形態1の開口力測定器10と、比較形態の開口力測定器10Aを用いて、開口力の測定を行った。
比較形態の開口力測定器10Aは、
図6に示すとおりであり、ヘッドギア部材11は、ヘッドバンド部114と、ベルト状の2本の頭覆部115と、2対のクリップ部113とを備える。
図6に示すように、クリップ部113に、ヘッドバンド部114と、ベルト状の2本の頭覆部115と、2本のベルト状部材12の各々の一端とが連結される。ベルト状の2本の頭覆部115は、それぞれの中央部が着用者の頭頂部で交差するように配置される。ベルト状部材12は、中央部が台部143に連結され、台部143を介して、他端部が反対側のクリップ部113に連結される。
【0061】
<同一の検者及び異なる検者による開口力測定>
健常成人7名(男性4名、女性3名、平均年齢は29.8±4.0歳)を対象として、実施形態1の開口力測定器10を用いて、開口力測定の経験のある2名の歯科医師(検者A、検者B)により開口力の測定を実施した。
【0062】
開口力の測定方法を以下に説明する。
【0063】
まず、検者は、被験者を接地させた状態で、開口力測定器10を着用させ、出来るだけ強く開口するように指示した。また、頭部を前後に振る等、視診で明らかに分かる代償的な運動を行った場合は、再度測定を行った。測定は3回行い、その平均値を測定値とした。なお、信頼係数の基準は、「検者内および検者間のReliability(再現性,信頼性)の検討.呼吸と循環41(3):945−952,1993.(桑原洋一、齋藤敏弘・他.)」に記載のとおりとした。具体的には、以下の表1のとおりである。
【0064】
【表1】
【0065】
(試験例1)
検者Aは、対象者に対して、3日以上空けて二度測定を行った。測定結果から、検者内信頼性を評価するために、ICC(1.1)を算出した。
【0066】
(試験例2)
検者Bは、検者Aの二度目の測定から3日以上空けて、一度だけ測定を行った。測定結果から、検者間信頼性を評価するために、ICC(2.1)を算出した。
【0067】
試験例1と試験例2の測定結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
試験例1の検者内信頼性の評価及び試験例2の検者間信頼性の評価を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
表3の結果から、検者内一致率は、0.97であり、「優秀」なレベルであることが確認された。検者間一致率は0.68であり、「可能」なレベルであることが確認された。
【0072】
<実施形態1の開口力測定器10と比較形態の開口力測定器10Aとを用いた開口力測定>
(試験例3)
11人(男性7名、女性4名、平均年齢29.1±3.7歳)の健常成人を対象として、検者Aによる実施形態1の開口力測定器10による1回目の測定と同日に、比較形態の開口力測定器10Aを用いて、実施形態1の開口力測定器10による測定と同様の手法で開口力の測定を行った。この測定値と、試験例1の測定値との関係を調べるために、これらの測定値からスペアマンの相関係数を求めた。これらの統計処理は、SPSS11.0Jにより行い、危険率を5%未満とした。開口力の測定方法は、試験例1、2と同様とした。その結果を表4、
図7に示す。
【0073】
【表4】
【0074】
表4に示すとおり、実施形態1の開口力測定器10の平均値は、7.10±1.76kgであり、比較形態の開口力測定器10Aの平均値は6.85±2.17kgであることが確認された。これらの相関係数はr=0.82であり、実施形態1の開口力測定器10と比較形態の開口力測定器10Aとは、有意に強い相関があることが認められた。
【0075】
実施形態1の開口力測定器10は、比較形態の開口力測定器10Aより、連結される部位が少なく、簡便な構成であるため、着用しやすい。にもかかわらず、上記の結果のとおり、実施形態1の開口力測定器10の測定結果は、比較形態の開口力測定器10Aの測定結果と有意に強い相関があることが認められたことから、実施形態1の開口力測定器10によると、簡便に、かつ、比較形態の開口力測定器10Aと同程度に安定して開口力を測定できることが確認された。