【課題】使用により内容物が少なくなった場合であっても、一定の噴射圧力で一定量を噴射することにより適用箇所を適切に刺激することができ、かつ、原液に溶解している炭酸ガスにより、継続的に血行促進効果を得ることのできる加圧式噴射製品を提供する。
【解決手段】原液と該原液に一部が溶解する炭酸ガスとが含まれる内容物を充填する容器本体と、前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体から前記原液を取り込み、加圧するポンプ機構とを備える加圧式噴射製品。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態の加圧式噴射製品が、図面を参照して説明される。
図1は、本実施形態の加圧式噴射製品1の模式的な断面図である。
図2および
図3は、
図1に示される本実施形態の加圧式噴射製品1の拡大図である。
図1に示される加圧式噴射製品1は、噴射動作が行われていない状態(非噴射時)である。加圧式噴射製品1は、内容物と、内容物を充填するための容器本体2と、容器本体2に取り付けられるポンプバルブ3(ポンプ機構の一例)と、ポンプバルブ3に取り付けられる噴射部材4とを備える。内容物は、原液5と、原液5に溶解する炭酸ガスとを含む。本実施形態の加圧式噴射製品1によれば、ポンプバルブ3により、炭酸ガスを含んだ原液5が、一定量噴射される。以下、それぞれの構成について説明する。なお、以下に示される実施形態は一例であり、加圧式噴射製品1の構成は、炭酸ガスを含む原液5を一定の噴射圧力で一定量噴射することのできる構成であれば特に限定されない。
【0020】
<容器本体2>
容器本体2は、内容物を充填するための耐圧容器であり、有底筒状の本体部21と、本体部21よりも小径であり本体部21の上部に一体的に設けられた筒状の首部22とを含む。首部22の上部には開口が形成されている。開口は、内容物を充填する際の充填口であり、内容物の充填後にポンプバルブ3により閉止される。
【0021】
容器本体2を構成する材料は、特に限定されない。容器本体2を構成する材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等の合成樹脂が例示される。他にも、たとえば、日光による内容物の劣化を防止するために紫外線吸収剤が含有されてもよく、炭酸ガスの透過を防止するために容器本体の外表面または内面に炭素やシリカなどが蒸着されてもよい。首部22の外周には、後述されるネジキャップ62と接続するための雄ネジ部23が形成されている。
【0022】
<ポンプバルブ3>
ポンプバルブ3は、容器本体2から原液5を取り込んで加圧するための部材であり、ハウジング6と、ハウジング6内に収容されるバルブ機構7と、ハウジング6とバルブ機構7とによって形成され、容器本体2内に空気を導入するための空気導入路を開閉する逆止弁機構8とを備える。バルブ機構7は、ハウジング6内を上下方向に摺動自在に収容されるステム71(内部ステム74および外部ステム75)を含む。なお、逆止弁機構は、本実施形態に好適に設けられる機構であり、必須ではない。
【0023】
(ハウジング6)
ハウジング6は、筒状のハウジング本体61と、ハウジング本体61に接続され、ハウジング本体61を容器本体2に取り付けるためのネジキャップ62とを備える。
【0024】
ハウジング本体61は、噴射される前の原液5が一時的に貯留される貯留空間S1と、後述する外部から導入される空気が通過する空気導入空間S2とを内部に備える円筒状の部材である。貯留空間S1と空気導入空間S2とは、後述するピストン部材72により区画される。ハウジング本体61は、後述する外部ステム75が出没する開口が形成された上端と、容器本体2に貯留される原液5を取り込むためのチューブ63が接続される下端とを有する。
【0025】
ハウジング本体61の上端には、径方向の外側へ突出するフランジ部61aが周設されている。フランジ部61aは、容器本体2にハウジング本体61を位置決めするための部位であり、フランジ部61aの大きさ(外径)は、容器本体2の首部22の外径と略一致する。フランジ部61aの下面と容器本体2の首部22の上端とは、ガスケット64を介して位置決めされる。ハウジング本体61は、フランジ部61aにより位置決めされた状態において、ハウジング本体61の外周壁と容器本体2の首部22の内周壁とは離間している。
【0026】
ハウジング本体61の下端近傍には、ハウジング本体61よりも径の小さな小径部61bが形成されている。小径部61bには、チューブ63が差し込まれる連結溝61cが形成されている。チューブ63は、容器本体2の内底近傍まで延びる比較的長尺の円筒状部材であり、小径部61bの連結溝61cに差し込まれる一端と、容器本体2に貯留された原液5中に浸漬され、原液5を取り込むための開口が形成された他端とを有する。
【0027】
小径部61bの中央には、容器本体2からチューブ63を介して取り込まれる原液5をハウジング本体61の貯留空間S1に導入するための液相連通孔61dが形成されている。液相連通孔61dと貯留空間S1との接続箇所には、ボール弁機構65が設けられている。
【0028】
ボール弁機構65は、容器本体2から貯留空間S1への一方向に原液5を取り込むための弁機構である。ボール弁機構65は、ハウジング本体61の下端近傍において、ハウジング本体61の内周壁が径方向の内側へ膨出することにより形成された凹部65aと、凹部65aに落とし込まれたボール65bとを含む。ボール65bは、噴射部材4を操作しないときは自重により液相連通孔61dと貯留空間S1との連通箇所を閉止する。一方、ボール65bは、噴射部材4を操作して容器本体2に貯留された原液5が貯留空間S1に取り込まれる際に発生する液流によって持ち上げられ、液相連通孔61dと貯留空間S1との連通箇所を開放する。
【0029】
ハウジング本体61の側周壁には、後述するピストン部材72により適宜開閉される空気導入孔61eが形成されている。空気導入孔61eは、外部の空気を容器本体2内に導入するための孔である。空気導入孔61eは、非噴射時にはピストン部材72により閉止され、噴射時にはピストン部材72が下方向に摺動されることにより開放される。
【0030】
ネジキャップ62は、フランジ部61aの上面を押さえ、中央に開口が形成された円盤状の天板62aと、天板62aの外周縁から下方へ設けられた側周部62bと、天板62aの内周縁から上方へ設けられた円筒状の装着部62cとを有する。側周部62bの内周壁には、首部22の雄ネジ部23と接続するための雌ネジ部62dが形成されている。装着部62cは、内周壁において径方向内側へ周設されたカバー部62eと、外周壁において径方向の外側へ突出するよう周設された係合部62fとを備える。カバー部62eは、ハウジング本体61に対して後述する逆止弁機構8を位置決めするための部位である。係合部62fは、噴射部材4をネジキャップ62に取り付けるための部位である。
【0031】
(バルブ機構7)
バルブ機構7は、貯留空間S1に取り込まれた一定量の原液5を加圧するための部材であり、ハウジング本体61内に上下方向に摺動自在に収容されるステム71と、ステム71と当接しつつ摺動し、ハウジング本体61の内部を貯留空間S1と空気導入空間S2とに区画するピストン部材72と、ステム71を上方に付勢するバネ部材73とを備える。
【0032】
ステム71は、ステム孔76が形成された内部ステム74と、内部ステム74の上部に装着され、ハウジング本体61の上端に形成された開口から出没する外部ステム75とを含む。内部ステム74と外部ステム75とは、同軸上に設けられており、ハウジング本体61内を一体的に上下方向に摺動する。
【0033】
内部ステム74は、下向きの椀状であり、下面にバネ部材73の上端が接続される比較的大径の椀状部74aと、椀状部74aよりも小径であり、椀状部74aの上面中央から上方に延びる円筒状の円筒部74bとを含む。
【0034】
椀状部74aの上面と円筒部74bとの接続箇所には、後述するピストン部材72の内側摺動部77の下端が当接する環状の当接溝74hが形成されている。椀状部74aの下面には、バネ部材73の上端が接続される環状の接続溝74cが形成されている。
【0035】
円筒部74bは、原液5の噴射時に貯留空間S1に貯留された原液5が通過する内部ステム内通路74dを有する。また、円筒部74bは、外周壁に、内部ステム内通路74dと貯留空間S1とを連通するステム孔76が形成された筒状の円柱部74eと、円柱部74eの上端から上方にかけて縮径された縮径部74fと、縮径部74fの上端から上方に延びる筒状の小径部74gとを含む。円柱部74eと縮径部74fと小径部74gとは、いずれも同軸上に形成されている。
【0036】
外部ステム75は、原液5の噴射時に内部ステム内通路74dを通過した原液5がさらに通過する外部ステム内通路75aを備え、小径部74gを取り囲む円錐台状のスカート部75bと、スカート部75bの上端から上方にかけて縮径された縮径部75cと、縮径部75cの上端から上方に延びる筒状部75dとを含む。筒状部75dの一部には、筒状部75dよりも外径の小さな小径部75eが形成されている。小径部75eは、非噴射時および噴射時ともに後述するシール材82の筒部82bの上端よりも上方となる位置に形成される上端と、非噴射時において後述するシール材82よりも上方となる位置であって、かつ、噴射時においてはシール材82の筒部82bの下端よりもわずかに上方となる位置に形成される下端とを有する。筒状部75dの上端は、容器本体2から突出しており、噴射部材4が取り付けられる。筒状部75dの外径は、ハウジング本体61の内径よりも小さい。そのため、外部ステム75の外周壁とハウジング本体61の内周壁とにより、外部から導入される空気が通過する空間(空気導入路)が画定される。
【0037】
スカート部75bは、原液5の噴射時に下端をピストン部材72の後述する連結環79に押し当てて、ピストン部材72を下方へ移動させるための部位である。スカート部75bの外径は、椀状部74aと同程度である。スカート部75bの内径は、小径部74gの外径よりも大きい。そのため、スカート部75bの内周壁と小径部74gの外周壁とは離間される。このように離間されて形成された空間には、後述するピストン部材72の上部内側摺動部77aが挿入される。
【0038】
筒状部75dの内径は、小径部74gの外径と同程度である。そのため、外部ステム75は、小径部74gの上部を筒状部75dの下端側から挿入することにより内部ステム74に装着される。装着された状態において、内部ステム内通路74dと外部ステム内通路75aとは連通される。
【0039】
ピストン部材72は、ハウジング本体61の内部空間を貯留空間S1と空気導入空間S2とに区画するとともに、ステム孔76および空気導入孔61eを適宜開閉するための部材であり、内部ステム74および外部ステム75と適宜摺動しながらハウジング本体61内を上下方向に移動する。ピストン部材72は、内部ステム74の外周壁と摺動する内側摺動部77と、ハウジング本体61の内周壁と摺動する外側摺動部78と、内側摺動部77と外側摺動部78とを連結する連結環79とを含む。連結環79は、内側摺動部77と外側摺動部78との中心近傍をつなぐ。
【0040】
内側摺動部77は、ステム孔76を適宜開閉するための部位であり、連結環79との接続箇所の上部に相当する上部内側摺動部77aと、連結環79との接続箇所の下部に相当する下部内側摺動部77bとを含む。内側摺動部77の内周壁の形状は、内部ステム74の外周壁の形状と相補的な形状であり、ステム孔76を非噴射時において、内側摺動部77は、内部ステム74の外周壁と密着する。
【0041】
上部内側摺動部77aの上端は、内部ステム74の外周壁とスカート部75bの内周壁との間に形成される空間に挿入され、噴射時に外部ステム75および内部ステム74が下方向へ変位されると、内部ステム74の外周壁と外部ステム75の内周壁とにより形成される空間により深く挿入される。
【0042】
下部内側摺動部77bは、バネ部材73により内部ステム74が上方向に付勢されると、椀状部74aの当接溝74hと下端とが当接し、上方向に付勢される。
【0043】
外側摺動部78は、空気導入孔61eを適宜開閉する円柱状の部材であり、ハウジング本体61の内周壁に沿って摺動する。また、外側摺動部78は、連結環79との接続箇所の上部に相当する上部外側摺動部78aと、連結環79との接続箇所の下部に相当する下部外側摺動部78bとを含む。
【0044】
上部外側摺動部78aの上端は、バネ部材73により内部ステム74を介して上方向に付勢されると、後述するスペーサ部81aの下端と当接する。
【0045】
連結環79は、内側摺動部77と外側摺動部78とを連結する部位である。また、連結環79は、上面において、スカート部75bの下端と当接する。そのため、ピストン部材72は、噴射時に外部ステム75が押し下げられることにより、スカート部75bが連結環79の上面に当接した後、下方に押し下げられる。
【0046】
ピストン部材72を構成する材料としては、合成樹脂、シリコーンゴム、合成ゴム等の弾性力のある材料が例示される。
【0047】
バネ部材73は、ステム71を上方に付勢するための部材であり、椀状部74aの下面に形成された接続溝74cと接続される上端と、凹部65aの周囲に取り付けられる下端とを有する。バネ部材73は、ハウジング本体61内において圧縮した状態で配置されており、内部ステム74を上方に付勢する。
【0048】
このように構成されたバルブ機構7は、雌ネジ部62dを雄ネジ部23に螺合させることにより、容器本体2に固定される。
【0049】
(逆止弁機構8)
逆止弁機構8は、外部から空気を容器本体2内に適宜導入するための機構であり、ネジキャップ62とハウジング本体61との間に設けられ、押さえ部材81とシール材82とを含む。
【0050】
押さえ部材81は、カバー部62eとともにシール材82を挟んで位置決めするための部材であり、ハウジング本体61の内周壁と密接する円筒状のスペーサ部81aと、スペーサ部81aの上端から径方向の外向きに延びる環状の外シール片81bと、スペーサ部81aの上端から径方向の内向きに延びる環状の内シール片81cとを含む。
【0051】
スペーサ部81aの下端は、上部外側摺動部78aの上端と当接し、非噴射時におけるピストン部材72の位置を決定する。外シール片81bは、シール材82を介してカバー部62eと連結される上面と、ハウジング本体61の上端と当接する下面とを有する。内シール片81cは、後述するシール材82の筒部82bの外周壁のうち、基部82aとの接続箇所近傍と当接する。スペーサ部81aの内周壁は、シール材82の筒部82bの外周壁と離間されている。スペーサ部81aの内周壁と筒部82bとが離間されて形成される空間は、後述されるとおり、筒部82bが閉状態から開状態に変位する際に撓むための空間として利用される。
【0052】
シール材82は、外部ステム75とハウジング本体61とにより形成される空気導入路を開閉するための部材であり、ネジキャップ62の内周壁に沿って取り付けられる外周縁と外部ステム75が挿通される挿通孔を画定する内周縁とを有する基部82aと、内周縁から下方に延設され、外部ステム75の外周壁と面接触する筒部82bとを含む。筒部82bの内径は、筒状部75dの外径よりもわずかに小さくなるよう調整されている。基部82aは、ネジキャップ62を首部22に螺合することにより、カバー部62eと外シール片81bおよび内シール片81cの上面とにより押圧状態で挟まれる。また、筒部82bの内径は、筒状部75dの外径よりもわずかに小さいため、筒部82bは、所定の面接触圧で空気導入路を閉止する(閉状態)。シール材82は、このように閉状態にある場合、容器本体2内と外部とを充分に遮断し、容器本体2内からの炭酸ガスの漏洩を防止することができる。
【0053】
ここで、筒部82bが外部ステム75を閉止する圧力(閉止圧)は、上記した面接触圧のほかに、容器本体2の内圧を含む。すなわち、容器本体2内と空気導入空間S2とは、空気導入孔61eにより連通されている。空気導入孔61eは、噴射時にピストン部材72が下方へ摺動されることにより開放される。この場合、開放された空気導入孔61eを介して容器本体2の気相部分と空気導入空間S2とが連通され、同じ圧力となる。したがって、シール材82は、面接触圧と容器本体2の内圧とを含む閉止圧により外部ステム75を閉止する。
【0054】
<噴射部材4>
噴射部材4は、外部ステム75に装着される噴射ノズル41と、ネジキャップ62に装着される操作部42とを含む。
【0055】
噴射ノズル41は、L字型の筒状体であり、筒状部75dの上端と接続される一端と、先端ノズル43が接続された他端とを備える。噴射ノズル41の外周壁には、後述するレバー42bの本体部42hに形成された軸受に軸支される回動軸41aが設けられている。
【0056】
先端ノズル43は、原液5の噴射方向や噴射形状等を調整するための治具であり、噴射ノズル41に接続される一端と、原液5が噴射される噴射口43aが形成された他端とを含む。先端ノズル43は、一端側から他端側にかけて外径が小さくなる縮径部43bと、外径が一定であるパイプ部43cとを備える。縮径部43bにおける内部通路の径は、一端側から他端側にかけて次第に狭くなるよう形成されている。そのため、噴射時に先端ノズル43の内部通路を通過する原液5は、噴射ノズル41内を通過するときよりも速度が速められ、かつ、適用箇所に適切に噴射される。なお、噴射口43aの断面積は0.01〜0.35mm
2が好ましく、特に0.05〜0.25mm
2にすることで流速が速くなり原液が勢いよく噴射される。なお、先端ノズル43は内部の通路が同径のチューブでもよく、先端にメカニカルブレークアップ機構を備えたノズルチップが装着されてもよい。
【0057】
操作部42は、貯留空間S1に貯留された原液5を噴射する操作を行うための部位であり、装着部62cに装着されるレバー支持部42aと、レバー支持部42aに軸支されたレバー42bとを含む。
【0058】
レバー支持部42aは、円筒状の本体部42cと、本体部42cの側壁から突出する支持アーム42dとを備える。本体部42cは、装着部62cが挿入される環状溝42eが形成されており、環状溝42eの内面には、装着部62cの係合部62fが係合する係合溝42fが形成されている。レバー支持部42aは、環状溝42eに装着部62cが挿入され、係合部62fと係合溝42fとが係合されることにより、ネジキャップ62に装着される。支持アーム42dの上端近傍には、後述するレバー42bに設けられる軸受(図示せず)に軸支される回動軸42gが形成されている。
【0059】
レバー42bは、使用者が噴射時に操作する部位であり、支持アーム42dに軸支される軸受が形成された一端と、先端ノズル43が露出される他端とを含む本体部42hと、本体部42hの他端から下方に延設されたトリガー部42iとを含む。本体部42hは、中央部分に、回動軸41aが軸支される軸受(図示せず)が形成されている。トリガー部42iは、噴射時に使用者によって操作される。
【0060】
このように構成された噴射部材4によれば、使用者がトリガー部42iを引くことにより、レバー42bは回動自在に軸支された後端を基点として回動し、かつ、中央部分に形成された軸受を介して噴射ノズル41を下方に押し下げる。
【0061】
(内容物)
内容物は、容器本体2に充填され、原液5と原液5に溶解する炭酸ガスとを含む。原液5としては、有効成分を溶媒に配合したものが例示される。
【0062】
有効成分としては、塩化カルプロニウムやトウガラシチンキなどの血行促進剤、酢酸トコフェロールやパンテノールなどのビタミン類、グリチルリチン酸ジカリウムなどの消炎剤、サリチル酸やレゾルシンなどの角質溶解剤、センブリ抽出液やローズマリー抽出液などの各種抽出物、ミントやメントールなどの清涼剤、塩化セチルピリジニウムやイソプロピルメチルフェノールなどの殺菌消毒剤、グリチルリチン酸ジカリウムやトラネキサム酸などの抗炎症剤、キシリトールなどの甘味料、グリセリンや1,3−ブチレングリコールなどの保湿剤、香料などが例示される。
【0063】
溶媒としては、精製水、イオン交換水、生理食塩水などの水、エタノールやイソプロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコール、およびこれらの混合物などが例示される。
【0064】
本実施形態の内容物には、用途や目的などに応じて、ポリソルベートなどの界面活性剤、ヒドロキシエチルセルロースやカルボキシビニルポリマーなどの水溶性高分子、クエン酸や乳酸などのpH調整剤、エデト酸二ナトリウムなどのキレート剤、パラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤などの添加材が配合されてもよい。
【0065】
原液5は、用途や目的など応じて選択された有効成分や添加剤を溶媒に添加して溶解または乳化させることにより調製することができる。
【0066】
原液5および炭酸ガスを充填する方法は、特に限定されず、容器本体2内に原液5を充填し、容器本体2の開口上端とフランジ部61aの下面に設けられるガスケット64との間に隙間を確保するようにポンプバルブ3を保持し、隙間から炭酸ガスを充填し、ネジキャップ62を取り付けて密封し、噴射部材4を取り付ける方法が例示される。
【0067】
なお、充填された炭酸ガスは時間経過とともに原液5中に溶解し、平衡状態になる。原液5中に溶解している炭酸ガスの濃度は、50ppm以上であることが好ましく、100ppm以上であることがより好ましい。また、原液5中に溶解している炭酸ガスは、30000ppm以下であることが好ましく、27000ppm以下であることがより好ましい。炭酸ガスの濃度が50ppmよりも少ない場合は、炭酸ガスによる効果が得られにくい傾向がある。一方、炭酸ガスの濃度が30000ppmよりも多い場合は、加圧式噴射製品1の圧力が高くなる傾向がある。
【0068】
炭酸ガスが充填された後の容器本体の内圧(平衡圧力(25℃でのゲージ圧))は、0.05MPa以上であることが好ましく、0.08MPa以上であることがより好ましく、0.1MPa以上であることがさらに好ましい。また、容器本体の内圧は、0.5MPa以下であることが好ましく、0.3MPa以下であることがより好ましく、0.2MPaであることがさらに好ましい。容器本体の内圧が0.05MPaよりも低い場合は、原液5中に溶解している炭酸ガス量が少なくなり、噴射された後に炭酸ガスによる血行促進効果が得られにくい傾向がある。一方、容器本体の内圧が0.5MPaよりも高い場合は、充填時の圧力が高くなり、容器本体2に高い耐圧性とシール性が必要となり、コストが高くなる傾向がある。
【0069】
(一定量の原液5を噴射する動作の一例)
次に、上記構成の加圧式噴射製品1を用いて原液5を噴射する場合の動作の一例が、
図1および
図2に加えて
図4および
図5を参照して説明される。
図4は、噴射動作において所定の長さ分だけ噴射ノズル41が押し下げられた状態を説明する模式的な断面図である。
図5は、噴射動作において噴射ノズル41が完全に押し下げられた状態を説明する模式的な断面図である。
【0070】
まず、噴射前の状態では、
図1および
図2に示されるように、バネ部材73により内部ステム74、外部ステム75およびピストン部材72は、上方へ付勢されている。この状態において、ステム孔76が閉止されている。使用者によりトリガー部42iが操作されて噴射ノズル41が押し下げられると、内部ステム74と外部ステム75とは、一体となって下方へ摺動し、
図4に示される状態に変位する。
図4に示されるように、内部ステム74と外部ステム75とは、スカート部75bの下端が連結環79に当接するまで一体的に下降する。この変位により、ステム孔76は、下部内側摺動部77bの外周壁による閉止から開放される。
【0071】
次いで、噴射ノズル41がさらに押し下げられると、内部ステム74と外部ステム75とピストン部材72とは、一体となって下方へさらに摺動し、
図5に示される状態に変位する。
図5に示されるように、空気導入孔61eは、外側摺動部78の外周壁による閉止から開放される。ピストン部材72が下方へ移動することにより、貯留空間S1の容積が狭められる。そのため、貯留空間S1内に貯留されていた原液(図示せず)は、加圧され、ステム孔76から内部ステム内通路74d、外部ステム内通路75aおよび噴射ノズル41の内部通路を経て先端ノズル43の噴射口43aから噴射される。ポンプバルブ3により原液5が加圧される程度は、貯留空間S1の容積や、内部ステム74、ピストン部材72および外部ステム75の形状等を調整することにより適宜調節することができる。本実施形態のポンプバルブ3は、中でも、原液5が0.5MPa以上に加圧されるよう調節されることが好ましく、0.6MPa以上に加圧されるよう調節されることがより好ましい。また、ポンプバルブ3は、原液5が1.5MPa以下に加圧されるよう調節されることが好ましく、1.3MPa以下に加圧されるよう調節されることがより好ましい。原液5は、0.5MPa以上に加圧されるようポンプバルブ3が調節されることにより、適切な噴射力で噴射され、適用箇所に充分な刺激を与えることができる。一方、原液5は、1.5MPa以下に加圧されるよう調節されることにより、適用箇所を過度に刺激することなく適切な刺激を与えるよう噴射されやすい。また、原液5は、1.5MPa以下に加圧されるよう調節されることにより、先端ノズル43の抜け飛びが防止され、安全である。
【0072】
その後、使用者によるトリガー部42iの操作が止められると、復帰動作および貯留空間S1への原液の取り込み動作が開始される。すなわち、バネ部材73の付勢力により、内部ステム74および外部ステム75は、一体となって上方へ押し上げられ、ステム孔76が下部内側摺動部77bの内周壁により再び閉止される。また、当接溝74hに、下部内側摺動部77bの下端が当接する。次いで、さらにバネ部材73の付勢力により、内部ステム74、ピストン部材72および外部ステム75は、一体となって上方へ押し上げられる。その結果、空気導入孔61eは、外側摺動部78の外周壁により再び閉止される。また、内部ステム74、ピストン部材72および外部ステム75の上方への移動は、上部外側摺動部78aの上端がスペーサ部81aの下端と当接することにより制止される。
【0073】
このように、バネ部材73により、内部ステム74、外部ステム75およびピストン部材72が一体となって押し上げられる際、ステム孔76は閉止されている。そのため、バネ部材73によりさらに内部ステム74、外部ステム75およびピストン部材72が上方へ押し上げられると、ボール65bも上方へ移動し、液相連通孔61dと貯留空間S1とを連通箇所を開放する。その結果、貯留空間S1には、容器本体2から新たに一定量の原液5が取り込まれる。このような一連の動作が繰り返されることにより、原液5は、一定量が貯留空間S1に取り込まれた後に、噴射される。
【0074】
(逆止弁機構8による空気の取り込み動作の一例)
上記のような一定量の原液5が噴射される動作が繰り返される場合、容器本体2内に貯留された原液5は、噴射される度に一部が貯留空間S1に取り込まれるため、容量が減少する。そのため、使用により容器本体2内の気相部分の容量が次第に増え、容器本体2の内圧が低下する。この場合、原液5に対する炭酸ガスの溶解量が低下し、炭酸ガスが容器本体2の気相部分に揮発しやすくなる。その結果、原液5は一定量噴射されるが、噴射された原液5に含まれる炭酸ガスの溶解量が少なくなる可能性がある。しかしながら、本実施形態の加圧式噴射製品1は、上記のとおり、空気導入路を閉止する閉状態と、空気導入路を開放する開状態とに変位する逆止弁機構8を備えている。逆止弁機構8は、容器本体2の内圧が低下した際に逆止弁機構8により外部から空気を取り込むことができる。そのため、原液5に対する炭酸ガスの溶解量が低下しすぎることがない。以下、逆止弁機構8による空気取り込み動作の一例が、
図3に加えて
図6を参照してより詳細に説明される。
図6は、開状態にあるシール材82の模式的な断面図である。
【0075】
まず、
図3に示されるように、シール材82は、筒部82bを外部ステム75の外周壁に面接触させることにより、所定の閉止圧(閉止圧P1)により空気導入路を閉止している(閉状態)。なお、閉状態において、筒部82bの下端は、噴射時であっても小径部75eの下端よりも下方に位置するよう設計されている。このときのシール材82による閉止圧は、面接触圧と容器本体2(
図1参照)の内圧とを含む。そのため、筒部82bは、小径部75eの外周壁と面接触状態が維持されている。一方、原液の噴射後の上記復帰動作において、バネ部材73により内部ステム74、ピストン部材72および外部ステム75が一体となって押し上げられる際に、貯留空間S1に一定量の原液5が取り込まれると、容器本体2内の気相部分の容積が増え、容器本体2の内圧が低下する。
【0076】
容器本体2の内圧が高い状態(たとえば加圧式噴射製品1の保管時や使用初期など)では、閉止圧P1は充分に大きく、内圧の低下量(一定量の原液5が貯留空間S1に取り込まれる際に生じる内圧の低下量 以下、内圧の低下量P2という)以上となる(P1≧P2)。そのため、シール材82は、閉状態が維持される。
【0077】
一方、使用により容器本体2の内圧が低下すると、上記のとおり、シール材82の閉止圧も低下する。そして、内圧の低下量P2が、低下した閉止圧(閉止圧P3、P1>P3)を上回る場合(P3<P2)、
図6に示されるように、筒部82bは径方向の外側に撓む。より具体的には、外部の空気は、矢印A1および矢印A2に示されるように、小径部75eの上端と、筒部82bの上端との間に形成された隙間から導入され、筒部82bの下端と外部ステム75の外周壁とが面接触していた箇所(面接触箇所Pa、
図3参照)に集中し、筒部82bの下端を径方向の外側に撓ませる。その結果、空気導入路が開放され、外部からの空気が容器本体2内に導入される。その後、上記のとおりバネ部材73により外部ステム75がさらに上方に付勢されることにより、上部外側摺動部78aによって空気導入孔61eが閉止され(
図2参照)、容器本体2内に導入された空気により、容器本体2の内圧は高められる。したがって、原液5に溶解した炭酸ガスは、揮発が抑制される。また、このような容器本体2の内圧の上昇に伴い、シール材82による閉止圧も増加する。そのため、筒部82bは、
図3に示されるように、外部ステム75の外周壁と面接触し、再び空気導入路を閉止する(閉状態)。
【0078】
以上、本実施形態の加圧式噴射製品1は、使用により内容物が少なくなった場合であっても、容器本体2の内圧の低下とは無関係に、ポンプバルブ3により、炭酸ガスの溶解した原液5を一定量取り込んで一定の噴射圧力で噴射することができる。その結果、本実施形態の加圧式噴射製品1は、一定の圧力で噴射された原液による刺激と、原液に溶解している炭酸ガスにより、安定して継続的に適用箇所を刺激することができる。
【0079】
また、本実施形態の加圧式噴射製品1は、使用により内容物が少なくなった場合において、逆止弁機構8により、外部から空気を容器本体2に導入して、容器本体2の内圧を高めることができる。そのため、容器本体2の内圧は、適宜高められ、原液5に溶解した炭酸ガスは、気相部分へ揮発しにくい。その結果、原液5における炭酸ガスの溶解量の低下を抑制することができる。したがって、噴射された炭酸ガスにより、充分な血行促進効果が安定して継続的に得られる。
【0080】
さらに、このような加圧式噴射製品1は、たとえば、頭皮に噴射する育毛剤、頭皮の皮脂汚れを除去するクレンジング剤、肩こりや腰痛、筋肉痛などの患部に噴射する消炎鎮痛剤、歯茎などの粘膜に噴射するマッサージ剤、歯間に噴射する洗浄剤、口腔内に噴射する口中清涼剤などに好適に用いることができる。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明したが、本発明の加圧式噴射製品は、たとえば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0082】
(1)上記実施形態では、容器本体の内圧を高めて、炭酸ガスの揮発を抑制するために、逆止弁機構を備えた加圧式噴射製品を例示した。本発明は、これに代えて、逆止弁機構が省略されてもよい。この場合、たとえばネジキャップとハウジングとの間にガスケットを設け、外部からの空気の流入を防ぐ構成を採用することができる。このような変形実施形態によれば、外部から空気が導入されないため、ハウジング本体の空気導入孔は不要となる。また、空気導入孔を閉止するためのピストン部材が省略され、外部ステムの内周壁により内部ステムのステム孔を開閉する構成が採用されてもよい。このような変形実施形態によれば、外部から空気が導入されないため、保管時や噴射時に炭酸ガスが特に漏洩されにくい。また、原液と炭酸ガスとが密封されるため、外部の空気や雑菌などが容器本体内に侵入することが防がれる。その結果、加圧式噴射製品は、長期間保管されても原液の品質が維持される。また、加圧式噴射製品は、部品点数が減らされ、低コスト化が図られる。
【0083】
(2)上記実施形態では、逆止弁機構として、ネジキャップの内周壁に沿って取り付けられる外周縁と外部ステムが挿通される挿通孔を画定する内周縁とを有する基部と、内周縁から下方に延設され、外部ステムの外周壁と面接触する筒部とを含むシール材を含む逆止弁機構を例示した。本発明は、これに代えて、基部の外周縁をハウジング本体の内周壁に取り付けるなどの設計変更を行うことができる。また、本発明に好ましくは設けられる逆止弁機構は、所定の閉止圧により容器本体内と外部とを連通する空気導入路を閉止することができ、かつ、使用により容器本体の内圧が低下したときに、適宜閉状態から開状態に変位して、容器本体内に空気を導入することのできる構成であればよい。このような変形実施形態の一例として、たとえば、外周壁において、シール材の基部よりも上方の位置に、径方向の外側に膨出した周状のフランジ部が形成された外部ステムを準備し、このような外部ステムに対して、筒部が省略され、シール材の外部ステムが挿通される挿通孔の径が外部ステムの筒状部の外径よりも大きく、かつ、フランジ部の外径よりも小さくなるように調整されたシール材が挙げられる。このような変形実施形態によれば、非噴射時にフランジ部の下面と基部の内周縁近傍の上面とが面接触する逆止弁機構を構成することができる。
【0084】
(3)上記実施形態では、レバーから先端ノズルが露出された噴射部材を例示した。本発明は、これに代えて、噴射時に先端ノズルの抜け飛びを防止するための機構を備えてもよい。
図7および
図8は、本発明の変形実施形態の噴射部材の模式的な上面図である。
図7および
図8を参照して抜け飛び防止機構の一例が説明される。なお、本変形実施形態において、上記実施形態と同様の構成については、同一の参照符号が付され、説明は適宜省略される。本変形実施形態では、先端ノズル43の外周壁に、係止突起44aが形成されている。また、先端ノズル43の一端には、噴射ノズル41の一端に形成された連結筒部45aが挿入される凹部44bが形成されている。先端ノズル43の凹部44bの内周壁には、先端ノズル43の長さ方向に対して斜めの方向に溝(図示せず)が形成されている。一方、噴射ノズル41の連結筒部45aの外周壁には、溝と対応する突条(図示せず)が形成されている。先端ノズル43は、係止突起44aが上方に向けられた
図7の状態から、先端ノズル43の軸方向に回転させることにより、係止突起44aが水平方向に向けられた
図8の状態に変位され、溝と突条とが係合されて、噴射ノズル41に取り付けられる。レバー42bの本体部42hの上面には、水平方向に向けられた係止突起44aの前方に立設される壁部46aを備えるガード部材46が設けられている。本変形実施形態によれば、斜め方向に形成された溝と突条とにより先端ノズル43と噴射ノズル41とが取り付けられているため、噴射時に先端ノズル43に前方向の応力が加えられる場合であっても、応力は先端ノズル43の前方に加わりにくく、先端ノズル43は抜け飛びにくい。また、仮に、溝と突条との係合が外れた場合であっても、先端ノズル43の係止突起44aは壁部46aと衝突する。その結果、先端ノズル43は、噴射ノズル41から完全に抜け飛ぶことがない。
【実施例】
【0085】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
【0086】
(実施例1)(歯間洗浄剤)
図1に示される容器本体(容器本体2、満注量100ml)に原液として水を60g充填し、25℃で平衡圧力が0.3MPaとなる量の炭酸ガスを充填し、ポンプバルブ3および噴射部材4を取り付けて、加圧式噴射製品1を製造した。なお、噴射部材4は噴射口43aの断面積が0.07mm
2のものを用いた。噴射前の原液中に溶解している炭酸ガスの濃度について、原液および炭酸ガスの充填量、炭酸ガス充填直後の圧力、炭酸ガスが溶解して平衡状態になったときの平衡圧力から算出したところ、6800ppmであった。
【0087】
(比較例1)
汎用のエアゾール容器(満注量100ml)に原液として水を60g充填し、25℃で平衡圧力が0.3MPaとなる量の炭酸ガスを充填し、エアゾールバルブおよび噴射部材を取り付けて、エアゾール製品を製造した。なお、噴射部材は実施例1の噴射部材4と同様のものを用いた。本比較例のエアゾール製品は、実施例1の加圧式噴射製品1と異なり、外部から空気を導入するための空気導入路が形成されていない。噴射前の原液中に溶解している炭酸ガスの濃度は、6800ppmであった。
【0088】
(実施例2)(歯茎のマッサージ剤)
図1に示される容器本体(容器本体2、満注量100ml)に原液として下記の組成の原液Aを60g充填し、25℃で平衡圧力が0.3MPaとなる量の炭酸ガスを充填し、ポンプバルブ3および噴射部材4を取り付けて、加圧式噴射製品1を製造した。なお、噴射部材4は噴射口43aの断面積が0.07mm
2のものを用いた。噴射前の原液中に溶解している炭酸ガスの濃度について、原液および炭酸ガスの充填量、炭酸ガス充填直後の圧力、炭酸ガスが溶解して平衡状態になったときの平衡圧力から算出したところ、7300ppmであった。
【0089】
(比較例2)
汎用のエアゾール容器(満注量100ml)に原液として下記の組成の原液Aを60g充填し、25℃で平衡圧力が0.3MPaとなる量の炭酸ガスを充填し、エアゾールバルブおよび噴射部材を取り付けて、エアゾール製品を製造した。なお、噴射部材は実施例1の噴射部材4と同様のものを用いた。本比較例のエアゾール製品は、実施例2の加圧式噴射製品1と異なり、外部から空気を導入するための空気導入路が形成されていない。噴射前の原液中に溶解している炭酸ガスの濃度は、7300ppmであった。
【0090】
(原液Aの組成 (wt%))
サッカリンナトリウム 0.1
ポリソルベート40 0.5
グリセリン 10.0
エタノール 20.0
精製水 69.4
(合計) 100.0
【0091】
(実施例3)(育毛剤)
図1に示される容器本体(容器本体2、満注量100ml)に原液として下記の組成の原液Bを60g充填し、25℃で平衡圧力が0.3MPaとなる量の炭酸ガスを充填し、ポンプバルブ3および噴射部材4を取り付けて、加圧式噴射製品1を製造した。なお、噴射部材4は噴射口43aの断面積が0.07mm
2のものを用いた。噴射前の原液中に溶解している炭酸ガスの濃度について、原液および炭酸ガスの充填量、炭酸ガス充填直後の圧力、炭酸ガスが溶解して平衡状態になったときの平衡圧力から算出したところ、9300ppmであった。
【0092】
(比較例3)
汎用のエアゾール容器(満注量100ml)に原液として下記の組成の原液Bを60g充填し、25℃で平衡圧力が0.3MPaとなる量の炭酸ガスを充填し、エアゾールバルブおよび噴射部材を取り付けて、エアゾール製品を製造した。なお、噴射部材は実施例1の噴射部材4と同様のものを用いた。本比較例のエアゾール製品は、実施例3の加圧式噴射製品1と異なり、外部から空気を導入するための空気導入路が形成されていない。噴射前の原液中に溶解している炭酸ガスの濃度は、9300ppmであった。
【0093】
(原液Bの組成 (wt%))
センブリエキス 5.0
イソプロピルメチルフェノール 0.2
メントール 0.3
ポリソルベート40 0.5
エタノール 50.0
精製水 44.0
(合計) 100.0
【0094】
(実施例4)(消炎鎮痛剤)
図1に示される容器本体(容器本体2、満注量100ml)に原液として下記の組成の原液Cを60g充填し、25℃で平衡圧力が0.3MPaとなる量の炭酸ガスを充填し、ポンプバルブ3および噴射部材4を取り付けて、加圧式噴射製品1を製造した。なお、噴射部材4は噴射口43aの断面積が0.20mm
2のものを用いた。噴射前の原液中に溶解している炭酸ガスの濃度について、原液および炭酸ガスの充填量、炭酸ガス充填直後の圧力、炭酸ガスが溶解して平衡状態になったときの平衡圧力から算出したところ、25000ppmであった。
【0095】
(比較例4)
汎用のエアゾール容器(満注量100ml)に原液として下記の組成の原液Cを60g充填し、25℃で平衡圧力が0.3MPaとなる量の炭酸ガスを充填し、エアゾールバルブおよび噴射部材を取り付けて、エアゾール製品を製造した。なお、噴射部材は実施例1の噴射部材4と同様のものを用いた。本比較例のエアゾール製品は、実施例4の加圧式噴射製品1と異なり、外部から空気を導入するための空気導入路が形成されていない。噴射前の原液中に溶解している炭酸ガスの濃度は、25000ppmであった。
【0096】
(原液Cの組成 (wt%))
サリチル酸メチル 2.0
メントール 2.0
プロピレングリコール 1.0
エタノール 95.0
(合計) 100.0
【0097】
(実施例5)(歯間洗浄剤)
図1に示される容器本体(容器本体2、満注量100ml)に原液として水を60g充填し、25℃で平衡圧力が0.25MPaとなる量の炭酸ガスを充填し、ポンプバルブ3および噴射部材4を取り付けて、加圧式噴射製品1を製造した。なお、噴射部材4は噴射口43aの断面積が0.07mm
2のものを用いた。噴射前の原液中に溶解している炭酸ガスの濃度について、原液および炭酸ガスの充填量、炭酸ガス充填直後の圧力、炭酸ガスが溶解して平衡状態になったときの平衡圧力から算出したところ、6200ppmであった。
【0098】
実施例1〜5、比較例1〜4で製造された各製品について、以下の方法により、表1に示す容器内圧力にした際の噴射圧力、噴射力および使用感を評価した。結果を表1に示す。
【0099】
(1)容器内圧力
各製品を25℃の恒温室に1日間保管し、容器内の圧力を測定した。
(2)噴射圧力
25℃において所定の平衡圧力に調整した製品を用い、噴射時に加わる圧力を測定した。測定箇所は、外部ステム75の先端とした。
(3)噴射力
25℃において所定の平衡圧力に調整した製品を用い、距離10cmから垂直下方に噴射したときに受ける力を荷重測定器((株)島津製作所製)を用いて測定した。
(4)使用感
25℃において所定の平衡圧力に調整した製品を用い、各適用部位(実施例1および比較例1は歯間、実施例2および比較例2は歯茎、実施例3および比較例3は頭皮、実施例4および比較例4は腕)に噴射したときの使用感を下記の基準で評価した。
○:炭酸ガスによるシュワシュワとした刺激が充分に得られた。
△:炭酸ガスによるシュワシュワとした刺激が得られた。
×:炭酸ガスによる刺激が得られなかった。
【0100】
【表1】
【0101】
表1に示されるように、噴射圧力に関して、実施例1〜5において製造された加圧式噴射製品は、容器内圧力が0.3MPa以下であっても、0.9MPaの噴射圧力を達成することができた。また、この噴射圧力は、使用により容器内圧力が0.1MPaまで低下した場合であっても維持された。一方、比較例1〜4において製造されたエアゾール製品は、容器内圧力が0.3MPaの場合には、噴射圧力が0.3MPaであった。また、この噴射圧力は、使用により容器内圧力が0.1MPaまで低下した場合に0.1MPaにまで低下した。
【0102】
噴射力に関して、実施例1〜5において製造された加圧式噴射製品は、容器内圧力が0.3MPa以下であっても、80mNの噴射力を達成することができた。また、この噴射力は、使用により容器内圧力が0.1MPaまで低下した場合であっても維持された。一方、比較例1〜4において製造されたエアゾール製品は、容器内圧力が0.3MPaの場合には、噴射力が40mN〜45mNであった。また、この噴射力は、使用により容器内圧力が0.1MPaまで低下した場合に30mN〜35mNにまで低下した。
【0103】
使用感に関して、実施例1〜5において製造された加圧式噴射製品は、容器内圧力が0.1MPa〜0.3MPaの場合に炭酸ガスによる刺激が得られた。特に、容器内圧力が0.2MPaに低下した場合であっても、充分な刺激が得られた。一方、比較例1〜4において製造されたエアゾール製品は、容器内圧力が0.3MPaの場合には、炭酸ガスによる充分な刺激が得られていたが、使用により容器内圧力が0.2MPaに低下すると、得られる刺激も低下し、0.1MPaにまで低下すると、刺激は得られなくなった。
【0104】
以上より、本発明によれば、使用により容器内圧力が低下した場合であっても、一定の噴射圧力で一定量噴射することができ、かつ、使用感の低下しにくい加圧式噴射製品が得られることが分かった。