特開2015-182868(P2015-182868A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015182868-ボビンストッカ及び糸巻取機 図000003
  • 特開2015182868-ボビンストッカ及び糸巻取機 図000004
  • 特開2015182868-ボビンストッカ及び糸巻取機 図000005
  • 特開2015182868-ボビンストッカ及び糸巻取機 図000006
  • 特開2015182868-ボビンストッカ及び糸巻取機 図000007
  • 特開2015182868-ボビンストッカ及び糸巻取機 図000008
  • 特開2015182868-ボビンストッカ及び糸巻取機 図000009
  • 特開2015182868-ボビンストッカ及び糸巻取機 図000010
  • 特開2015182868-ボビンストッカ及び糸巻取機 図000011
  • 特開2015182868-ボビンストッカ及び糸巻取機 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-182868(P2015-182868A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】ボビンストッカ及び糸巻取機
(51)【国際特許分類】
   B65H 49/38 20060101AFI20150925BHJP
【FI】
   B65H49/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-62268(P2014-62268)
(22)【出願日】2014年3月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】谷川 保伸
【テーマコード(参考)】
3F109
【Fターム(参考)】
3F109CD01
3F109CD08
(57)【要約】
【課題】異なる長さの複数種類のボビンをストックすることができるボビンストッカ及びそのようなボビンストッカを備える糸巻取機を提供する。
【解決手段】ボビンストッカ70は、軸方向に第1長さL1を有する第1ボビンT1をストックし、第1長さL1に応じた幅を有する第1ストック部S1と、第1長さL1よりも長い第2長さL2を軸方向に有する第2ボビンT2をストックし、第2長さL2に応じた幅を有する第2ストック部S2と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に第1長さを有する第1ボビンをストックし、前記第1長さに応じた幅を有する第1ストック部と、
前記第1長さよりも長い第2長さを軸方向に有する第2ボビンをストックし、前記第2長さに応じた幅を有する第2ストック部と、を備える、ボビンストッカ。
【請求項2】
前記第1ストック部は、前記第1ボビンを支持する第1支持部を有しており、
前記第2ストック部は、前記第2ボビンを支持する第2支持部を有しており、
前記第1支持部は前記第2支持部よりも下方に位置する請求項1に記載のボビンストッカ。
【請求項3】
前記第2支持部は、前記第2ボビンの軸方向の第1端部を支持する第1端部支持部と前記第2ボビンの軸方向の第2端部を支持する第2端部支持部とを有し、
前記第1端部支持部と前記第2端部支持部との間には空間が形成されている、請求項2に記載のボビンストッカ。
【請求項4】
前記第1端部支持部と前記第2端部支持部とは水平面に対して傾斜しており、
前記第1端部支持部と前記第2端部支持部との間には、前記第1端部支持部及び前記第2端部支持部よりも低い位置で水平面に対して傾斜する前記第1支持部が設けられており、
前記第1ストック部及び前記第2ストック部の傾斜方向における低い方の端部には、受け渡される前記第1ボビン及び前記第2ボビンをストックする受け渡し領域が設けられており、
前記第1ストック部は前記第1ボビンを重力によって前記受け渡し領域に搬送するように構成されており、前記第2ストック部は前記第2ボビンを重力によって前記受け渡し領域に搬送されているように構成されている、請求項3に記載のボビンストッカ。
【請求項5】
前記第2ボビンがコーン形状である場合に、前記第2支持部は、前記第1端部支持部により前記第2ボビンの小径端部を支持し、前記第2端部支持部により前記第2ボビンの大径端部を支持し、
前記第2端部支持部は、少なくとも傾斜方向の高い方の端部において、前記第2ボビンの大径端部が前記第1支持部に落下するのを防止する落下防止ガイドを有する、請求項4に記載のボビンストッカ。
【請求項6】
前記落下防止ガイドは、前記受け渡し領域を除く領域に設けられている、請求項5に記載のボビンストッカ。
【請求項7】
前記落下防止ガイドは、前記受け渡し領域内の前記第1ボビンに隣接する2番目の前記第1ボビンのストック領域を除く領域に設けられている、請求項6に記載のボビンストッカ。
【請求項8】
前記受け渡し領域に前記第1ボビン及び前記第2ボビンを保持する保持ガイドを更に備え、
前記保持ガイドは、
前記第1支持部の傾斜方向において前記第1ボビンに対向する第1制止部と、
前記第2支持部の傾斜方向において前記第2ボビンに対向する第2制止部と、を有する、請求項4〜7のいずれか一項に記載のボビンストッカ。
【請求項9】
前記第1ストック部及び前記第2ストック部の少なくとも一方は、
前記第1ボビン又は前記第2ボビンの軸方向の両端部を規制可能な規制部と、
前記規制部の位置を前記軸方向に調整する位置調整部と、を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のボビンストッカ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のボビンストッカと、
前記ボビンストッカから前記第1ボビン又は前記第2ボビンを取り出して糸巻取ユニットに供給するボビン供給装置と、
前記ボビン供給装置によって供給された前記第1ボビン又は前記第2ボビンに糸を巻き取る前記糸巻取ユニットと、を備え、
前記糸巻取ユニットは、接触ローラと、前記接触ローラとは独立して設けられ、トラバース幅を自在に変更できるトラバース装置と、を有する巻取装置を備える、糸巻取機。
【請求項11】
前記ボビンストッカは、前記巻取装置に保持される前記第1ボビン又は前記第2ボビンの中央領域と、前記ボビンストッカにストックされる前記第1ボビン又は前記第2ボビンの中央領域とが対応するように配置される、請求項10に記載の糸巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボビンストッカ及び糸巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、糸巻取機は、巻取管であるボビンをストックするためのボビンストッカを備える。特許文献1に記載されたボビンストッカは、底板と、底板の一方の側部に着脱自在に取り付けられた側板と、この側板に対して摺動自在に設けられたスライド板とで構成されている。底板の他方の側部には、直角に折り曲げられて側板に対向する折り曲げ側部が形成されている。
【0003】
このボビンストッカでは、側板と折り曲げ側部との間で複数のボビンが整列される。底板の先端はボビンの周面に沿うように折り曲げられている。底板はシャフトを中心に回動可能である。回動レバーによって底板が下方に回動させられ、底板の先端に保持されたボビンが、ボビン押えロッドの作用を受けて、巻取装置のクレードルに順次供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−202521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボビンストッカでは、複数のボビンを整列させつつこれらのボビンが順次運び出されるため、ボビンストッカの底板の大きさが、ボビンの軸方向の長さに対応している必要がある。一方で、ボビンには複数の種類があり、種類ごとに、軸方向の長さが異なっている。糸巻取機における巻取りの仕様によって、ボビンの種類を変更することがある。ボビンの長さが変更される場合には、そのボビン専用のボビンストッカを用意して取り替える必要がある。この取り替え作業及び位置調整等には、工数を要する。そこで、異なる長さの複数種類のボビンをストックすることができるボビンストッカ及びそのようなボビンストッカを備える糸巻取機が求められている。
【0006】
本発明は、異なる長さの複数種類のボビンをストックすることができるボビンストッカ及びそのようなボビンストッカを備える糸巻取機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のボビンストッカは、軸方向に第1長さを有する第1ボビンをストックし、第1長さに応じた幅を有する第1ストック部と、第1長さよりも長い第2長さを軸方向に有する第2ボビンをストックし、第2長さに応じた幅を有する第2ストック部と、を備える。
【0008】
このボビンストッカによれば、第1ストック部は第1長さに応じた幅を有するので、第1ボビンは第1ストック部にストックされて、第1ストック部に沿ってスムーズに移動できる。第2ストック部は第2長さに応じた幅を有するので、第2ボビンは第2ストック部にストックされて、第2ストック部に沿ってスムーズに移動できる。したがって、ボビンストッカを交換することなく、異なる長さの複数種類のボビンを同じボビンストッカにストックすることができる。
【0009】
第1ストック部は、第1ボビンを支持する第1支持部を有しており、第2ストック部は、第2ボビンを支持する第2支持部を有しており、第1支持部は第2支持部よりも下方に位置する。この構成によれば、第1ストック部及び第2ストック部によって占める面積が小さくなる。よって、ボビンストッカの省スペース化が図られる。
【0010】
第2支持部は、第2ボビンの軸方向の第1端部を支持する第1端部支持部と第2ボビンの軸方向の第2端部を支持する第2端部支持部とを有し、第1端部支持部と第2端部支持部との間には空間が形成されている。この構成によれば、第1端部支持部及び第2端部支持部によって第2ボビンの軸方向の両端部を支持することができる。さらに、第1端部支持部と第2端部支持部との間に形成された空間を通して、第1ボビンを第1ストック部に載せることができる。
【0011】
第1端部支持部と第2端部支持部とは水平面に対して傾斜しており、第1端部支持部と第2端部支持部との間には、第1端部支持部及び第2端部支持部よりも低い位置で水平面に対して傾斜する第1支持部が設けられており、第1ストック部及び第2ストック部の傾斜方向における低い方の端部には、受け渡される第1ボビン及び第2ボビンをストックする受け渡し領域が設けられており、第1ストック部は第1ボビンを重力によって受け渡し領域に搬送するように構成されており、第2ストック部は第2ボビンを重力によって受け渡し領域に搬送されているように構成されている。この構成によれば、第1ストック部にストックされた第1ボビンは、支持部の傾斜によって受け渡し領域に搬送される。また、第1支持部の両側に形成された第1端部支持部及び第2端部支持部の傾斜によって、第2ストック部にストックされた第2ボビンは、受け渡し領域に搬送される。このように、それぞれの支持部に傾斜を持たせることにより、異なる長さの複数種類のボビンを受け渡し領域まで容易に搬送することができる。
【0012】
第2ボビンがコーン形状である場合に、第2支持部は、第1端部支持部により第2ボビンの小径端部を支持し、第2端部支持部により第2ボビンの大径端部を支持し、第2端部支持部は、少なくとも傾斜方向の高い方の端部において、第2ボビンの大径端部が第1支持部に落下するのを防止する落下防止ガイドを有する。第2ボビンがコーン形状である場合、第2ストック部にストックされる第2ボビンが多くなるほど、第2ボビンの大径端部の位置が、第1端部支持部に近づく方向にずれる。第2ボビンの大径端部の位置がずれた場合でも、落下防止ガイドによって、第2ボビンが第1支持部に落下することが防止される。よって、第2ボビンを適切に搬送することができる。
【0013】
落下防止ガイドは、受け渡し領域を除く領域に設けられている。この構成によれば、受け渡し領域では、第1ボビンが落下防止ガイドに干渉することが回避される。よって、受け渡し領域に第1ボビンを正確にセットすることができる。
【0014】
落下防止ガイドは、受け渡し領域内の第1ボビンに隣接する2番目の第1ボビンのストック領域を除く領域に設けられている。この構成によれば、2番目の第1ボビンが落下防止ガイドに干渉することが回避される。よって、第1ボビンを2番目の位置から受け渡し領域にスムーズに移動させることができ、受け渡し領域に第1ボビンをより正確にセットすることができる。
【0015】
ボビンストッカは、受け渡し領域に第1ボビン及び第2ボビンを保持する保持ガイドを更に備え、保持ガイドは、第1支持部の傾斜方向において第1ボビンに対向する第1制止部と、第2支持部の傾斜方向において第2ボビンに対向する第2制止部と、を有する。この構成によれば、第1制止部と第2制止部の少なくとも何れかの位置を調整することにより、受け渡し領域における第1ボビン及び/又は第2ボビンの姿勢(向き又は位置等)を調整することができる。
【0016】
第1ストック部及び第2ストック部の少なくとも一方は、第1ボビン又は第2ボビンの軸方向の両端部を規制可能な規制部と、規制部の位置を軸方向に調整する位置調整部と、を有する。この構成によれば、第1ボビン又は第2ボビンの軸方向の長さが変更される場合であっても、位置調整部によって規制部の位置が軸方向に調整されることにより、変更後のボビンをボビンストッカに適切にストックすることができる。
【0017】
本発明の糸巻取機は、上記のいずれかのボビンストッカと、ボビンストッカから第1ボビン又は第2ボビンを取り出して糸巻取ユニットに供給するボビン供給装置と、ボビン供給装置によって供給された第1ボビン又は第2ボビンに糸を巻き取る糸巻取ユニットと、を備え、糸巻取ユニットは、接触ローラと、接触ローラとは独立して設けられ、トラバース幅を自在に変更できるトラバース装置と、を有する巻取装置を備える。
【0018】
この糸巻取機では、トラバース装置において、トラバース幅を自在に変更できる。よって、第1ボビン又は第2ボビンの軸方向の長さが変更される場合であっても、トラバース幅の仕様変更が容易である。一方、ボビンストッカは、異なる長さの複数種類のボビンをストックできるので、ボビンストッカを交換する必要がない。したがって、糸巻取機におけるボビンの長さの仕様変更に容易に対応することができる。
【0019】
ボビンストッカは、巻取装置に保持される第1ボビン又は第2ボビンの中央領域と、ボビンストッカにストックされる第1ボビン又は第2ボビンの中央領域とが対応するように配置される。この構成によれば、ボビンストッカから第1ボビン又は第2ボビンを取り出して巻取装置(のクレードル)に保持させる場合に、第1ボビン又は第2ボビンの移動量を低減させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、異なる長さの複数種類のボビンをストックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態の糸巻取機である自動ワインダの正面図である。
図2図1の自動ワインダの糸巻取ユニットの正面図である。
図3】(a)及び(b)は、図2の糸巻取ユニットのクレードルの正面図である。
図4図1中のボビンストッカの斜視図である。
図5図4のボビンストッカの平面図である。
図6】(a)は図5のVIa−VIa線に沿った断面図、(b)は図5のVIb−VIb線に沿った断面図である。
図7図4のボビンストッカにコーン形状の4インチボビンがストックされた状態の一例を示す平面図である。
図8図4のボビンストッカにコーン形状の6インチボビンがストックされた状態の一例を示す平面図である。
図9】(a)及び(b)は、図4のボビンストッカにコーン形状の6インチボビンがストックされた状態、及び、コーン形状の4インチボビンがストックされた状態の一例を示す断面図である。
図10】ボビンストッカの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
図1に示されるように、自動ワインダ(糸巻取機)1は、機台制御装置2と、複数の糸巻取ユニット10と、1つの玉揚装置50と、を備えている。機台制御装置2は、設定部3と、表示部4と、を有している。設定部3は、オペレータが所定の設定値を入力したり適宜の制御方法を選択したりすることで、各糸巻取ユニット10に対する設定を行うためのものである。表示部4は、各糸巻取ユニット10における糸Yの巻取状況、及び発生したトラブルの内容等を表示可能である。なお、糸巻取ユニット10の数に応じて、自動ワインダ1に、複数の玉揚装置50を設けてもよい。
【0024】
糸巻取ユニット10は、給糸ボビンBから解舒された糸Yをトラバースしながら巻取管であるボビンT(図2参照)に巻き取ることにより、パッケージPを形成する。ボビンT及びパッケージPとしては、種々のサイズ及び形状のものが適用可能である。例えば、ボビンT及びパッケージPの形状は、コーン形状(円錐台形状)であってもよいし、チーズ形状(円柱形状)であってもよい。本実施形態では、機台高さ方向において、ボビンT及びパッケージPは、給糸ボビンBに対して鉛直方向上側に配置されており、糸Yは、下側から上側に向かって走行させられる。
【0025】
玉揚装置50は、例えば、糸巻取ユニット10においてパッケージPが満巻となった際に、当該糸巻取ユニット10の位置に移動し、当該糸巻取ユニット10から満巻のパッケージPを玉揚げすると共に、当該糸巻取ユニット10に空のボビンTを供給する。玉揚装置50によって玉揚げされたパッケージPは、各糸巻取ユニット10の後側(自動ワインダ1に対してオペレータ用の通路がある側を前側とし、その反対側を後側とする)に設けられた載置部(図示せず)に排出され、種々の手段で回収される。なお、玉揚装置50は、満巻のパッケージPだけでなく、満巻ではないパッケージP及び空のボビンTを適宜排出することができる。
【0026】
図2に示されるように、糸巻取ユニット10は、ユニット制御部11と、ユニット本体12と、を備えている。ユニット制御部11は、例えば、CPU、RAM、ROM、I/Oポート及び通信ポートを有している。ROMには、ユニット本体12の各構成を制御するためのプログラムが記録されている。I/Oポート及び通信ポートには、ユニット本体12の各構成及び機台制御装置2が接続されている。これにより、ユニット制御部11は、機台制御装置2と通信しながら、ユニット本体12の各構成の動作を制御することができる。
【0027】
ユニット本体12には、給糸ボビンBからボビンT及びパッケージPに至る糸Yの走行経路に沿って、糸解舒補助装置13、テンション付与装置14、糸継装置15及びヤーンクリアラ16が設けられている。ユニット本体12の下部には、給糸部17が設けられている。給糸部17は、ボビン搬送システム(図示せず)によって搬送されてきた給糸ボビンBを所定の位置において保持する。
【0028】
糸解舒補助装置13は、給糸ボビンBから解舒された糸Yによって給糸ボビンBの上側に形成されたバルーンを適切な大きさに制御することにより、糸Yの解舒を補助する。テンション付与装置14は、走行する糸Yに所定のテンションを付与する。テンション付与装置14としては、例えば、ゲート式のもの、ディスク式のもの等を用いることができる。糸継装置15は、ヤーンクリアラ16による糸切断時、給糸ボビンBからの糸Yの糸切れ時等に、給糸ボビンBからの下糸とパッケージPからの上糸とを継ぐ。ヤーンクリアラ16は、糸Yの太さを検出することにより、スラブ等の糸欠陥を検出する。ヤーンクリアラ16には、例えば糸欠陥を検出した場合に糸Yを切断するためのカッタが設けられている。なお、ヤーンクリアラ16は、糸Yに含まれる異物の有無を検出する場合もある。
【0029】
糸継装置15の下側には、給糸ボビンBからの下糸を捕捉して糸継装置15に案内する下糸捕捉案内装置18が設けられている。下糸捕捉案内装置18は、軸18aを中心として上下に回動するパイプアーム18bと、パイプアーム18bの先端に設けられた下糸吸引口18cと、を有している。パイプアーム18bには、負圧源(図示せず)が接続されており、下糸吸引口18cには、給糸ボビンBからの下糸を捕捉するための吸引流が発生させられる。糸継装置15の上側には、パッケージPからの上糸を捕捉して糸継装置15に案内する上糸捕捉案内装置19が設けられている。上糸捕捉案内装置19は、軸19aを中心として上下に回動するパイプアーム19bと、パイプアーム19bの先端に設けられた上糸吸引口19cと、を有している。パイプアーム19bには、負圧源(図示せず)が接続されており、上糸吸引口19cには、パッケージPからの上糸を捕捉するための吸引流が発生させられる。
【0030】
ユニット本体12には、糸Yをトラバースさせるトラバース装置20、及びトラバース装置20によってトラバースされている糸YをボビンT又はパッケージPに巻き取る巻取装置30が設けられている。トラバース装置20は、トラバースガイド21と、トラバース駆動モータ22と、ガイドプレート23と、トラバース支点部24と、を有している。トラバースガイド21は、パッケージPに巻き取られる糸Yを案内する。トラバース駆動モータ22は、トラバースガイド21を往復移動させる。ガイドプレート23は、トラバースされる糸Yを案内する。トラバース支点部24は、糸Yの走行方向におけるガイドプレート23の上流側において糸Yを案内する。トラバース駆動モータ22としては、例えば、サーボモータ又はステップモータ等を用いることができる。
【0031】
巻取装置30は、パッケージPを保持するクレードル(保持部)31と、パッケージPに接触して回転する接触ローラ(ドラム)32と、を有している。なお、クレードル31は、パッケージPのボビンTを挟持することにより、パッケージPを保持する。したがって、糸Yが巻かれているボビンTをクレードル31が保持している場合には、接触ローラ32は、パッケージPの外周面に接触して回転し、糸Yが巻かれていない空のボビンTをクレードル31が保持している場合には、接触ローラ32は、ボビンTの外周面に接触して回転する。以下の説明では、パッケージPとボビンTとを総称してパッケージPという。
【0032】
図3に示されるように、クレードル31は、一対の第1クレードルアーム33及び第2クレードルアーム34と、第1クレードルアーム33の基端部33aと第2クレードルアーム34の基端部34aとを連結する連結部35と、を有している。クレードル31は、連結部35を介して軸36に揺動自在に支持されており、保持したパッケージPが接触ローラ32に所定の圧力で接触するように付勢されている。第1クレードルアーム33は、その先端部33bが内側(第2クレードルアーム34の先端部34b側)と外側とに揺動自在となるように連結部35に取り付けられている。クレードル31がパッケージPを挟持して保持することができるように、第1クレードルアーム33は内側に付勢されている。第1クレードルアーム33には、パッケージPの着脱等を行うためにクレードル31を操作するためのクレードルレバー39が設けられている。
【0033】
本実施形態の自動ワインダ1では、異なる長さの2種類のボビンTである第1ボビンT1及び第2ボビンT2が用いられ得る。第1ボビンT1は、軸方向に長さ(第1長さ)L1を有する。第2ボビンT2は、軸方向に長さ(第2長さ)L2を有する。第2ボビンT2は、第1ボビンT1よりも長い。より詳細には、第1ボビンT1の長さL1は、約12cmである。第2ボビンT2の長さL2は、約17cmである。第1ボビンT1は、一般的に4インチボビンと呼ばれているボビンである。第2ボビンは、一般的に6インチボビンと呼ばれているボビンである。第1ボビンT1は、たとえばコーン形状である。第2ボビンT2は、たとえばコーン形状であり、小径端部T2aと、大径端部T2bとを有する。なお、上記した2種類のボビンは一例であり、第1ボビンT1及び第2ボビンT2の他にも、短いタイプのボビンとして、たとえば長さが約9.6cmのボビン(一般的に3インチボビンと呼ばれているボビン)が用いられてもよい。長いタイプのボビンとして、たとえば長さは6インチであるが、小径端部T2a及び大径端部T2bの直径が異なるボビンが用いられてもよく、チーズ形状のボビンが用いられてもよい。
【0034】
第1クレードルアーム33の先端部33bの内側には、第1ベアリングユニット37が取り付けられている。第2クレードルアーム34の先端部34bの内側には、第2ベアリングユニット38が取り付けられている。パッケージPは、第1ボビンT1又は第2ボビンT2の両端部に第1ベアリングユニット37及び第2ベアリングユニット38がそれぞれ嵌め込まれることにより、クレードル31に回転自在に保持されている。これにより、図3に示される(a)の場合と(b)の場合というように、一対の第1ベアリングユニット37及び第2ベアリングユニット38を種類の異なるものに交換することで、異なる長さを有する第1ボビンT1及び第2ボビンT2をクレードル31に保持させることができる。このとき、パッケージPが接触ローラ32に均一に接触するように、軸36に対するクレードル31の取付角度を調整することができる。このように、糸巻取ユニット10では、クレードル31を調整することにより、異なる長さを有する第1ボビンT1及び第2ボビンT2にパッケージPを形成することが可能となっている。なお、第1ベアリングユニット37及び第2ベアリングユニット38のいずれか一方を種類の異なるものに交換することで、異なる長さを有する第1ボビンT1及び第2ボビンT2をクレードル31に保持させることができるようにしてもよい。
【0035】
第1クレードルアーム33の先端部33bの外側には、巻取駆動モータ41が取り付けられている。巻取駆動モータ41の駆動軸は、第1クレードルアーム33の先端部33bの内側に取り付けられた第1ベアリングユニット37と相対回転不能に連結されている(いわゆるダイレクトドライブ方式)。これにより、巻取駆動モータ41が駆動すると、パッケージPは、第1ベアリングユニット37を介して回転させられ、接触ローラ32は、接触したパッケージPによって従動回転させられる。巻取駆動モータ41としては、例えば、サーボモータ又はステップモータ等を用いることができる。
【0036】
軸36には、角度センサ42が設けられている。角度センサ42は、ロータリエンコーダ又はレゾルバ等で構成されており、クレードル31の揺動角を検出する。パッケージPに糸Yが巻き取られてパッケージPの径が増大すると、軸36を中心としてクレードル31が揺動する。したがって、角度センサ42によって検出された揺動角に基づいて、パッケージPの径を算出することができる。なお、パッケージPに巻き取られた糸Yの総長(或いは、パッケージPに対する糸Yの巻取開始からの経過時間)、糸Yの巻取速度、及び糸Yの種類(太さ等)に基づいて、パッケージPの径を算出してもよい。また、給糸ボビンBと接触ローラ32との間の糸Yの走行経路における糸Yの走行速度、及びトラバース速度に基づいて綾角を算出し、糸Yの走行速度、及び算出した綾角に基づいてパッケージPの周速を算出し、更に、パッケージPの回転速度、及び算出したパッケージPの周速に基づいてパッケージPの径を算出してもよい。
【0037】
上述した巻取装置30では、トラバース装置20は、接触ローラ32とは独立して設けられている。トラバース装置20は、トラバースガイド21のトラバース幅を自在に変更できる。具体的には、トラバースガイド21がトラバース駆動モータ22のロータに間接的に取り付けられており、トラバース駆動モータ22のロータの正逆回転の量によって、トラバースガイド21のトラバース幅が自在に変更される。よって、ボビンTの軸方向の長さが変更される場合には、ボビンTの長さに応じて、トラバース幅を容易に変更できる。
【0038】
玉揚装置50について、より詳細に説明する。図1に示されるように、玉揚装置50は、本体フレーム51と、糸引出しアーム52と、ボビン供給装置53と、パッケージ排出装置54と、クレードルオープナー(操作部)60と、を備えている。玉揚装置50は、クレードルオープナー60及びパッケージ排出装置54を動作させることにより、糸巻取ユニット10から満巻のパッケージPを玉揚げして排出する。玉揚装置50は、ボビン供給装置53を動作させることにより、ボビンストッカ70から空のボビンTを取り出して、糸巻取ユニット10にそのボビンTを供給する。玉揚装置50は、糸引出しアーム52を動作させることにより、給糸ボビンBからの下糸を捕捉して空のボビンTに案内する。
【0039】
糸巻取ユニット10の上方には、糸巻取ユニット10が並べられた方向(図1の左右方向、以下、X方向という)に沿ってレール5が敷設されている。玉揚装置50の本体フレーム51は、レール5に沿って走行可能となっている。レール5には、各糸巻取ユニット10と対応した位置に位置決めブロック6が設置されている。玉揚装置50の本体フレーム51は、位置決めブロック6に係合した状態とその係合が解除された状態との間で回動自在なフラッパ機構(図示せず)を有している。玉揚装置50は、当該フラッパ機構を位置決めブロック6に係合させることにより、所望の糸巻取ユニット10の直上の適切な位置に停止する。なお、玉揚装置50は、糸巻取ユニット10に対して必要な操作が可能な位置であれば、糸巻取ユニット10の直上の位置とは異なる位置に停止してもよい。
【0040】
糸引出しアーム52は、径の異なる複数の棒状部材が同軸で入れ子状に配置された構成を有しており、エアシリンダによってテレスコープ状に伸縮自在となっている。糸引出しアーム52の先端には、給糸ボビンBからの下糸を捕捉するための糸捕捉部52aが設けられている。ボビン供給装置53は、ボビンストッカ70に保管されている空のボビンTを掴む位置と、糸巻取ユニット10のクレードル31にボビンTを取り付ける位置との間で、軸53aを中心として回動自在となっている。
【0041】
クレードルオープナー60は、軸60aを中心として上下に回動自在となっている。クレードルオープナー60は、糸巻取ユニット10においてパッケージPを保持するクレードル31に対し、解放操作及び移動操作を行う。解放操作は、クレードル31によるパッケージPの挟持を解放させるための操作である。移動操作は、パッケージPの巻取位置からパッケージPの着脱位置にクレードル31を移動させるための操作である。巻取位置は、パッケージPを接触ローラ32に接触させてパッケージPに糸Yを巻き取る際のクレードル31の位置である。着脱位置は、パッケージPを接触ローラ32から離間させてパッケージPを着脱する際のクレードル31の位置である。
【0042】
本実施形態では、クレードルオープナー60は、クレードル31によるパッケージPの挟持を解放させるために、クレードルレバー39を外側に開くことにより第1クレードルアーム33を外側に開く(図3を参照)。クレードルオープナー60は、巻取位置から着脱位置にクレードル31を移動させるために、クレードルレバー39を上側に引き上げることにより第1クレードルアーム33を上側に引き上げる。
【0043】
ボビンストッカ70について、より詳細に説明する。図1に示されるように、自動ワインダ1では、それぞれの糸巻取ユニット10に対して、ボビンストッカ70が設けられている。ボビンストッカ70は、巻取装置30の後側かつ上方に設定されている。ボビンストッカ70は、異なる長さの複数種類のボビンTをストック可能である。ボビンストッカ70は、軸方向に長さL1を有する第1ボビンT1をストック可能であり、軸方向に長さL2を有する第2ボビンT2をストック可能である。
【0044】
図4及び図5に示されるように、ボビンストッカ70は、糸巻取ユニット10に近づくにつれて下方に傾斜している。ボビンストッカ70は、たとえば鋼板からなる金属製であるが、樹脂製であってもよい。ボビンストッカ70は、略平行四辺形状の底板(支持部)71と、底板71のX方向の両側に形成された一対の段部(支持部)72及び72とを有する。底板71は、水平面(自動ワインダ1の設置面)に対して傾斜している。底板71は、前方に向かうにつれて下方に傾斜している。底板71の傾斜方向D1は、X方向に対して直交していてもよいし、90度以外の角度をなしていてもよい。
【0045】
底板71は、段部72と72間に設けられており、X方向に略一定の幅を有する。一方の段部72(図4では左側、糸巻取ユニット10においてクレードル31に巻取駆動モータ41が設けられていない側)は、底板71のX方向の一方の端部(第1底板端部)に垂直に連結された壁部77aと、壁部77aに垂直に連結されて底板71と平行に延びる第1支持板部(第1端部支持部)72aとからなる。第1支持板部72aのX方向の一方の端部(第1支持板端部)には、壁部87aが、第1支持板部72aに対して垂直に連結されている。他方の段部72(図4では右側、糸巻取ユニット10においてクレードル31に巻取駆動モータ41が設けられている側)は、底板71のX方向の他方の端部(第1底板端部とは反対側に位置する第2底板端部)に垂直に連結された壁部77bと、壁部77bに垂直に連結されて底板71と平行に延びる第2支持板部(第2端部支持部)72bとからなる。第2支持板部72bのX方向の他方の端部(第2支持板端部)には、壁部87bが、第2支持板部72bに対して垂直に連結されている。第1支持板部72aと第2支持板部72bとは、互いに平行に延びる。壁部87aと壁部87bとは、互いに平行に延びる。第1支持板部72aと72b及び壁部87aと87bは、平面視において、X方向に垂直かつ水平であるY方向に対して僅かな角度をなして延びている。
【0046】
図6(a)に示されるように、X方向に平行なVIa−VIa線に沿った断面図では、一方の第1支持板部72aと、他方の第2支持板部72bとは同じ高さに位置する。壁部77a、壁部87a、壁部77b及び壁部87bは、鉛直方向に延在する。底板71、段部72及び壁部87a及び87bは、一枚の板材を折り曲げ加工することによって形成されてもよいし、複数の板材を溶接等により接合することによって形成されてもよい。
【0047】
図4及び図5に示されるように、底板71の傾斜方向D1の低い方の端部(すなわち糸巻取ユニット10に近い方の端部)には、一対の支持板89a及び89bが取り付けられている。第1支持板部72a及び第2支持板部72bの傾斜方向D1の低い方の端部には、一対の支持板88a及び88bが取り付けられている。言い換えれば、一対の支持板88a及び88bの間に、一対の支持板89a及び89bが配置されている。支持板88a及び88bは、第1支持板部72a及び第2支持板部72bの端部からそれぞれ突出している。支持板89a及び89bは、底板71の端部からそれぞれ突出している。これらの支持板88a、88b、89a及び89bが突出する長さは、略等しい。
【0048】
X方向の外側に配置された支持板88a及び88bは、それぞれ、段部72の第1支持板部72a及び第2支持板部72bに略等しい傾斜角度をもって延びている。すなわち、第1支持板部72a及び第2支持板部72bの延長線上に支持板88a及び88bがそれぞれ形成されている。X方向の内側に配置された支持板89a及び89bは、底板71の傾斜角度よりも僅かに大きい傾斜角度をもって延びている。すなわち、支持板89a及び89bは、水平面を基準として、外側に配置された支持板88a及び88bよりも若干大きい角度をなしている。なお、支持板88bの上面には、規制板93bが固定されている。規制板93bは、平面視において支持板89bに近接するようにして、X方向に突出している。したがって、支持板88aは、支持板89aよりも高い位置に配置されている。支持板88b及び規制板93bは、支持板89bよりも高い位置に配置されている。
【0049】
支持板88a及び88bの基端部は、第1支持板部72a及び第2支持板部72bの下端に対してそれぞれ回動可能に取り付けられている。支持板88a及び88bの基端部には、たとえば、ばね(図示せず)がそれぞれ取り付けられており、これらのばねが、支持板88a及び88bを図4及び図5に示される初期位置に付勢する。支持板88a及び88bに対して下方に押し下げる力が加わった場合、支持板88a及び88bは、ばねの付勢力に抗して、X方向に沿う軸線を中心に下方に回動する。
【0050】
支持板89a及び89bの基端部は、底板71の下端に対して回動可能に取り付けられている。支持板89a及び89bの基端部には、たとえば、ばね(図示せず)が取り付けられており、これらのばねが、支持板89a及び89bを図4及び図5に示される初期位置に付勢する。支持板89a及び89bに対して下方に押し下げる力が加わると、支持板89a及び89bは、ばねの付勢力に抗して、X方向に沿う軸線を中心に下方に回動する。
【0051】
壁部87aの傾斜方向D1の低い方の端部には、L字状のブラケット91aとL字状のブラケット92aとが固定されている。ブラケット91aの基端部は、傾斜方向D1に沿って延びている。ブラケット91aの先端部には、第2制止板(第2制止部)82が取り付けられている。第2制止板82は、X方向に沿って延びており、第1支持板部72aに対して糸巻取ユニット10側(ボビンストッカ70の前端)からY方向に対向している。ブラケット92aの基端部は、ブラケット91aの基端部に重ね合されており、傾斜方向D1に沿って延びている。ブラケット92aの先端部には、第1制止板(第1制止部)81が取り付けられている。第1制止板81は、X方向に沿って延びており、底板71のX方向の一方の端部に対して糸巻取ユニット10側からY方向に対向している。第1制止板81は、ボビンストッカ70のX方向の一端から中央部に向けて、第2制止板82よりも突出するように延びている。第2制止板82は、第1制止板81よりも後側に配置されている。ブラケット91aは、壁部87aに対して傾斜方向D1にスライド可能である。ブラケット91aがスライドし、所定の位置で固定されることにより、第2制止板82の位置は傾斜方向D1に調整可能である。ブラケット92aは、壁部87aに対して傾斜方向D1にスライド可能である。ブラケット92aがスライドし、所定の位置で固定されることにより、第1制止板81の位置は傾斜方向D1に調整可能である。第2制止板82及び第1制止板81の少なくとも一方が、傾斜方向D1に移動不能であってもよい。なお、ブラケット91aの基端部には、規制板93aが固定されている。規制板93aは、平面視において支持板88aに近接するようにして、X方向に突出している。
【0052】
壁部87bの傾斜方向D1の低い方の端部には、ブラケット92bが固定されている。ブラケット92bは、傾斜方向D1に沿って延びている。ブラケット92bの先端部には、第3制止板83が固定されている。第3制止板83は、X方向に延びており、X方向の他方の端部に対して糸巻取ユニット10側からY方向に対向している。ブラケット92bは、壁部87bに対して傾斜方向D1にスライド可能である。ブラケット92bがスライドし、所定の位置で固定されることにより、第3制止板83の位置は傾斜方向D1に調整可能である。第3制止板83は、傾斜方向D1に移動不能であってもよい。第1制止板81、第2制止板82及び第3制止板83によって、後述する受け渡し領域Aに第1ボビンT1及び第2ボビンT2を保持する保持ガイド80が構成されている。
【0053】
図5及び図6に示されるように、ボビンストッカ70は、第1ボビンT1をストックする第1ストック部S1と、第2ボビンT2をストックする第2ストック部S2とを備えている。第1ストック部S1及び第2ストック部S2は、巻取装置30側の端部(すなわち前端部)において共通の受け渡し領域Aを有している。受け渡し領域Aは、ボビン供給装置53によって受け渡される第1ボビンT1又は第2ボビンT2をストックする領域である。
【0054】
第1ストック部S1は、第1ボビンT1を支持する第1支持部である底板71と、第1ボビンT1の軸方向の両端を規制する規制部である壁部77a及び77bとを有する。より詳細には、底板71上には、第1ボビンT1が載置される。第1ストック部S1は、第1ボビンT1の長さL1に応じた幅を有している。底板71の幅すなわち壁部77a及び77b間のX方向の距離は、第1ボビンT1の長さL1に対応している。言い換えれば、壁部77a及び77b間のX方向の距離は、第1ボビンT1の長さL1よりも多少長くなっている。よって、底板71上に第1ボビンT1を載置した場合に、壁部77a及び77bと第1ボビンT1との間には若干の隙間が形成される(図9(a)参照)。壁部77a及び77bによって、第1ボビンT1の軸方向の両端が規制される。
【0055】
図7に示されるように、第1ストック部S1は、傾斜方向D1に並列するように、複数の第1ボビンT1を収容する。第1ストック部S1は、傾斜方向D1の低い方の端部(すなわち糸巻取ユニット10に近い方の端部)に形成された受け渡し領域A(図5参照)に、これらの第1ボビンT1を順次、重力によって案内及び搬送する。
【0056】
第1ストック部S1は、受け渡し領域Aにおいて第1ボビンT1を支持する支持部である一対の支持板89a及び89bと、第1ボビンT1の軸方向の両端を規制する規制部である支持板88a及び規制板93bとを更に有する。より詳細には、受け渡し領域Aに到達した第1ボビンT1は、一対の支持板89a及び89b上に載置される。この第1ボビンT1は、X方向においては、一方の端部(第1端部)を支持板88aによって規制され、他方の端部(第2端部)を支持板88bに固定された規制板93bによって規制される。上記したように、支持板88aが、支持板89aよりも高い位置に配置されており、支持板88b及び規制板93bが、支持板89bよりも高い位置に配置されていることにより、受け渡し領域Aに配置された第1ボビンT1のX方向における位置が規制される。
【0057】
第1ストック部S1は、受け渡し領域Aにおいて第1ボビンT1を保持する保持ガイドである第1制止板81と、第3制止板83とを更に有する。第1制止板81及び第3制止板83は、重力により転がろうとする第1ボビンT1を制止する。より詳細には、第1制止板81は、底板71の傾斜方向D1において第1ボビンT1の第1端部に対向して、第1ボビンT1の第1端部を制止する。第3制止板83は、底板71の傾斜方向D1において第1ボビンT1の第2端部に対向して、第1ボビンT1の第2端部を制止する。
【0058】
自動ワインダ1において、ボビンストッカ70は、巻取装置30のクレードル31に保持された第1ボビンT1の中央領域と、受け渡し領域Aに保持された第1ボビンT1の中央領域とが対応するように配置されている。さらに、受け渡し領域Aに保持された第1ボビンT1の姿勢(向き又は位置等)は、第1制止板81と第3制止板83とによって調整されている。第1ボビンT1は、その軸方向が、クレードル31に保持される第1ボビンT1の軸方向と略平行になるように保持されている。
【0059】
ボビン供給装置53(図1参照)によって第1ボビンT1が掴まれ、下方に押し下げられた場合、一対の支持板89a及び89bが基端部を中心に回動して、第1ボビンT1の下方への通過を許容する。
【0060】
図5及び図6に示されるように、第2ストック部S2は、第2ボビンT2を支持する第2支持部である段部72と、第2ボビンT2の軸方向の両端を規制する規制部である壁部87a及び87bとを有する。より詳細には、一方の段部72の第1支持板部72aには、第2ボビンT2の小径端部T2a(図3(b)及び図8参照)が載置される。他方の段部72の第2支持板部72bには、第2ボビンT2の大径端部T2bが載置される。
【0061】
ここで、底板71の傾斜方向D1の高い方の端部には、第2ボビンT2の大径端部T2bが落下するのを防止する落下防止ガイド86が設けられている。落下防止ガイド86は、底板71から上方に突出して、底板71と平行に延びる棒状部材である。落下防止ガイド86は、第2支持板部72bに平行に延びており、第2支持板部72bからX方向に離間している。落下防止ガイド86は、第2支持板部72bよりも第1支持板部72a寄りに設けられている。より詳細には、落下防止ガイド86は、底板71の傾斜方向D1の中央付近まで延びて、第2支持板部72bと同じ高さの上面を有する平行部86a(図6(b)参照)と、平行部86aの前端に連結されて、第2支持板部72bの高さから底板71の高さまで緩やかに下降するように傾斜した傾斜部86bとを有する。
【0062】
図5に示されるように、落下防止ガイド86は、受け渡し領域Aを除く領域に設けられている。また、図7に示されるように、落下防止ガイド86は、受け渡し領域A内の第1ボビンT1に隣接する2番目の第1ボビンT1のストック領域を除く領域に設けられている。このようにして落下防止ガイド86が設けられることにより、第1ストック部S1にストックされた複数の第1ボビンT1のうち、後側にストックされた数個の第1ボビンT1(3番目以降の第1ボビンT1)の第2端部(第2支持板部72b寄りに位置する端部)は、落下防止ガイド86の平行部86aに乗り上げる(図9(b)参照)。この状態においても、第1ボビンT1の第1段部(第1支持板部72a寄りに位置する端部)は、壁部77aによって規制されている。落下防止ガイド86の一部が傾斜部86bであることにより、落下防止ガイド86に乗り上げた第1ボビンT1は、前方に搬送される過程で、緩やかに底板71に到達する。
【0063】
上記したように、第2ストック部S2において、第1支持板部72aは、第2ボビンT2の軸方向の第1端部(本実施形態では小径端部T2a)を支持する第1端部支持部である。第2支持板部72b及び落下防止ガイド86は、第2ボビンT2の軸方向の第2端部(本実施形態では大径端部T2b)を支持する第2端部支持部である。
【0064】
図6(a)及び(b)に示されるように、ボビンストッカ70では、第1ボビンT1を支持する第1ストック部S1の底板71は、第2ボビンT2を支持する第2ストック部S2の第1支持板部72a及び第2支持板部72bよりも下方に位置している。第1支持板部72aと第2支持板部72bとの間には空間73が形成されている。空間73の下方すなわち第1支持板部72a及び第2支持板部72bよりもよりも低い位置に、第1ストック部S1の底板71が設けられている。言い換えれば、第2ストック部S2の支持部である第1支持板部72a及び第2支持板部72bは、第1ストック部S1の支持部である底板71よりも所定の高さ高い位置に段状に形成されている。
【0065】
図9(a)に示されるように、第1支持板部72a及び第2支持板部72bと底板71との段差は、第1ボビンT1の直径よりも小さい。第1支持板部72a及び第2支持板部72bと底板71との段差は、第1ボビンT1の半径よりも小さい。このように、第2ボビンT2を支持する第1支持板部72aと第2支持板部72bとの間に空間73が形成され、その空間73を利用して第1ボビンT1が収容されているので、ボビンストッカ70ではスペース効率が向上されている。
【0066】
第2ストック部S2は、第2ボビンT2の長さL2に応じた幅を有している。壁部87a及び87b間のX方向の距離は、第2ボビンT2の長さL2に対応している。言い換えれば、壁部87a及び87b間のX方向の距離は、第2ボビンT2の長さL2よりも多少長くなっている。よって、第1支持板部72a及び第2支持板部72b上に第2ボビンT2を載置した場合に、壁部87a及び87bと第2ボビンT2との間には若干の隙間が形成される(図9(a)参照)。壁部87a及び87bによって、第2ボビンT2の軸方向の両端が規制される。
【0067】
図8に示されるように、第2ストック部S2は、傾斜方向D1に並列するように、複数の第2ボビンT2を収容する。第2ストック部S2は、傾斜方向D1の低い方の端部(すなわち糸巻取ユニット10に近い方の端部)に形成された受け渡し領域A(図5参照)に、これらの第2ボビンT2を順次、重力によって案内及び搬送する。第2ボビンT2はコーン形状であるため、複数の第2ボビンT2が第2ストック部S2に配列されると、後方の大径端部T2bは徐々に第1支持板部72aに近い位置に配置されるようになる。この場合でも、落下防止ガイド86が設けられていることにより、大径端部T2bが底板71に落下することは防止されている。大径端部T2bが落下防止ガイド86に支持されている状態では、第2ボビンT2は壁部87aによって規制されている。
【0068】
第2ストック部S2は、受け渡し領域Aにおいて第2ボビンT2を支持する支持部である一対の支持板88a及び88bと、第2ボビンT2の軸方向の両端部を規制する規制部である規制板93a及びブラケット92bとを更に有する。より詳細には、受け渡し領域Aに到達した第2ボビンT2は、一対の支持板88aと、支持板88に固定された規制板93bとの上に載置される。X方向においては、第2ボビンT2の小径端部T2aが規制板93aによって規制され、第2ボビンT2の大径端部T2bがブラケット92bによって規制される。
【0069】
第2ストック部S2は、受け渡し領域Aにおいて第2ボビンT2を保持する保持ガイドである第2制止板82と、第3制止板83とを更に有する。第2制止板82及び第3制止板83は、重力により転がろうとする第2ボビンT2を制止する。より詳細には、第2制止板82は、底板71の傾斜方向D1において、第2ボビンT2の小径端部T2aに対向して、当該小径端部T2aを制止する。第3制止板83は、底板71の傾斜方向D1において、第2ボビンT2の大径端部T2bに対向して、当該大径端部T2bを制止する。
【0070】
自動ワインダ1において、ボビンストッカ70は、巻取装置30のクレードル31に保持された第2ボビンT2の中央領域と、受け渡し領域Aに保持された第2ボビンT2の中央領域とが対応するように配置されている。さらに、受け渡し領域Aに保持された第2ボビンT2の姿勢(向き又は位置等)は、第2制止板82と第3制止板83とによって調整されている。第2ボビンT2は、その軸方向が、クレードル31に保持される第2ボビンT2の軸方向と略平行になるように保持されている。
【0071】
ボビン供給装置53(図1参照)によって第2ボビンT2が掴まれ、下方に押し下げられた場合、一対の支持板88a及び88bと一対の支持板89a及び89bとが基端部を中心に回動して、第2ボビンT2の下方への通過を許容する。
【0072】
以上説明したボビンストッカ70によれば、第1ストック部S1は長さL1に応じた幅を有するので、第1ボビンT1は第1ストック部S1にストックされて、第1ストック部S1に沿ってスムーズに移動できる。第2ストック部S2は長さL2に応じた幅を有するので、第2ボビンT2は第2ストック部S2にストックされて、第2ストック部S2に沿ってスムーズに移動できる。したがって、ボビンストッカ70を交換することなく、異なる長さの複数種類の第1ボビンT1及び第2ボビンT2を同じボビンストッカ70にストックすることができる。
【0073】
第1ボビンT1を支持する第1ストック部S1の底板71は、第2ボビンT2を支持する第2ストック部S2の段部72よりも下方に位置するため、第1ストック部S1及び第2ストック部S2によって占める面積が小さくなる。よって、ボビンストッカ70の省スペース化が図られる。
【0074】
第2ストック部S2は、第1支持板部72a及び第2支持板部72bによって第2ボビンT2の軸方向の両端部を支持することができる。さらに、第1支持板部72a及び第2支持板部72bの間に形成された空間73を通して、第1ボビンT1を第1ストック部S1に載せることができる。
【0075】
第1ストック部S1にストックされた第1ボビンT1は、底板71の傾斜によって受け渡し領域Aに搬送される。また、第1ストック部S1の底板71の両側に形成された第1支持板部72a及び第2支持板部72bの傾斜によって、第2ストック部S2にストックされた第2ボビンT2は、受け渡し領域Aに搬送される。このように、それぞれの支持部に傾斜を持たせることにより、異なる長さの複数種類の第1ボビンT1及び第2ボビンT2を受け渡し領域Aまで容易に搬送することができる。
【0076】
第2ボビンT2がコーン形状であるため、第2ストック部S2にストックされる第2ボビンT2が多くなるほど、第2ボビンT2の大径端部T2bの位置が、第1支持板部72aに近づく方向にずれる。第2ボビンT2の大径端部T2bの位置がずれた場合でも、落下防止ガイド86によって、第2ボビンT2が第1ストック部S1の底板71に落下することが防止される。よって、第2ボビンT2を適切に搬送することができる。
【0077】
落下防止ガイド86が受け渡し領域Aを除く領域に設けられているため、受け渡し領域Aでは、第1ボビンT1が落下防止ガイド86に干渉することが回避される。よって、受け渡し領域Aに第1ボビンT1を正確にセットすることができる。
【0078】
落下防止ガイド86は、受け渡し領域A内の第1ボビンT1に隣接する2番目の第1ボビンT1のストック領域を除く領域に設けられているため、2番目の第1ボビンT1が落下防止ガイド86に干渉することが回避される。よって、第1ボビンT1を2番目の位置から受け渡し領域Aにスムーズに移動させることができ、受け渡し領域Aに第1ボビンT1をより正確にセットすることができる。
【0079】
第1制止部である第1制止板81と第2制止部である第2制止板82とがそれぞれ設けられるため、第1制止板81と第2制止板82の少なくとも何れかの位置を調整することにより、受け渡し領域Aにおける第1ボビンT1及び/又は第2ボビンT2の姿勢(向き又は位置等)を調整することができる。
【0080】
自動ワインダ1では、トラバース装置20は、トラバース幅を自在に変更できる。よって、軸方向の長さが異なるボビン(第1ボビンT1又は第2ボビンT2)に新たにパッケージPを巻き取る場合であっても、トラバース幅の仕様変更が容易である。一方、ボビンストッカ70は、異なる長さの複数種類の第1ボビンT1及び第2ボビンT2をストックできるので、ボビンストッカ70を交換する必要がない。したがって、自動ワインダ1におけるボビンの長さの仕様変更に容易に対応することができる。たとえば、4インチと6インチのそれぞれの仕様で、最初に一度だけ調整を行えば、その後の仕掛け変更時には、ボビンストッカ70を調整することなくどちらの長さのボビンでも搭載ができる。
【0081】
ボビンストッカ70は、巻取装置30に保持される第1ボビンT1又は第2ボビンT2の中央領域と、ボビンストッカ70にストックされる第1ボビンT1又は第2ボビンT2の中央領域とが対応するように配置されるため、ボビンストッカ70から第1ボビンT1又は第2ボビンT2を取り出して巻取装置30のクレードル31に保持させる場合に、第1ボビンT1又は第2ボビンT2の移動量を低減させることができる。より具体的には、第1ボビンT1又は第2ボビンT2をほぼ平行に移動させるだけで済む。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。たとえば、第1ストック部及び第2ストック部の少なくとも一方が、第1ボビンT1又は第2ボビンT2の軸方向の両端部を規制可能な規制部を有し、この規制部の位置を軸方向に調整する位置調整部が設けられてもよい。すなわち、下段の規制部のみが調整可能であってもよい。上段の規制部のみが調整可能であってもよい。下段の規制部と上段の規制部とが調整可能であってもよい。上記実施形態を例に挙げれば、壁部77a、壁部77b、壁部87a、壁部87b、規制板93a、規制板93b及びブラケット92bの少なくとも一つの位置が軸方向に調整可能であってもよい。この構成によれば、第1ボビンT1又は第2ボビンT2の軸方向の長さが変更される場合であっても、位置調整部によって規制部の位置が軸方向に調整されることにより、変更後のボビンをボビンストッカに適切にストックすることができる。
【0083】
たとえば、下段の規制部のみを位置調整可能とすれば、ボビンストッカは、6インチボビンと4インチボビンの両方のボビンに対応しつつ、短い方のボビンの仕様が変更された場合に、6インチボビンと3インチボビンの両方に対応し得る。
【0084】
上記実施形態では、平行四辺形の底板71を用い、段部72がY方向に対して僅かな角度をなして延びている。しかし、図10に示されるように、ボビンストッカ70Aは、長方形の底板71Aと、底板71Aの両側部に形成された、Y方向に延びる段部72A及び72Aを備えていてもよい。特に、第2ボビンT2がチーズ形状である場合には、このようなボビンストッカ70Aが有効である。
【0085】
糸巻取ユニット10が、第2ボビンT2の大径端部T2bをクレードル31の左側で保持する構成の場合、すなわち、図3(b)に示される第2ボビンT2の保持態様とは逆の場合、ボビンストッカ70のレイアウトは、図4及び図5に示されるレイアウトとは反対としてもよい。
【0086】
上記実施形態では、第2ストック部S2の第1支持板部72a及び第2支持板部72bの下方に、第1ストック部S1の底板71が形成されている。しかし、これに限られない。たとえば、第1ストック部S1の支持部と第2ストック部S2の支持部とが同じ高さで二股に分かれるように形成されており、2つの支持部が傾斜方向の下流端において合流する形態でもよい。この場合、2つの支持部が合流する部分に受け渡し領域Aが形成されるようにすればよい。
【0087】
落下防止ガイド86を着脱可能としてもよい。その場合、落下防止ガイド86が取り外された底板71の全域に第1ボビンT1が載る。落下防止ガイドは、段部72の第2支持板部72bを延在させることで形成してもよい。
【0088】
制止部は、第1ストック部S1と第2ストック部S2とで共通に設けられてもよい。巻取装置30に保持される第1ボビンT1又は第2ボビンT2の中央領域と、ボビンストッカ70にストックされる第1ボビンT1又は第2ボビンT2の中央領域とがずれていてもよい。
【0089】
ボビンストッカは、第3長さを有する第3ボビンをストックする第3ストック部を有してもよい。すなわち、ボビンストッカに設けられる支持部は、3種類でもよい。たとえば、ボビンストッカを3段構成としてもよい。
【0090】
パッケージPは、巻取駆動モータ41によって直接回転させられる場合に限定されず、パッケージPの表面に接触させられた接触ローラ32の回転によって従動回転させられてもよい。パッケージPは、パッケージPの表面に接触させられたドラムの回転によって従動回転させられてもよい。その場合、当該ドラムにトラバース用の溝が形成されていてもよいし、或いは、当該ドラムにトラバース用の溝が形成されておらず、トラバース装置が別に設けられていてもよい。接触ローラ32の形状は、両端の径が異なるコーン形状に限定されず、両端の径が同一である円筒形状であってもよい。
【0091】
本発明の糸巻取機は、自動ワインダ1に限定されず、エアジェット精紡機、オープンエンド精紡機等の他の糸巻取機であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…自動ワインダ(糸巻取機)、10…糸巻取ユニット、20…トラバース装置、30…巻取装置、32…接触ローラ、53…ボビン供給装置、70…ボビンストッカ、71…底板(第1支持部)、72…段部(第2支持部)、72a…第1支持板部(第1端部支持部)、72b…第2支持板部(第2端部支持部)、73…空間、80…保持ガイド、81…第1制止板(第1制止部)、82…第2制止板(第2制止部)、86…落下防止ガイド、A…受け渡し領域、L1…長さ(第1長さ)、L2…長さ(第2長さ)、S1…第1ストック部、S2…第2ストック部、T1…第1ボビン、T2…第2ボビン、T2a…小径端部(第1端部)、T2b…大径端部(第2端部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10