【解決手段】ガラスからなるコア11、コア11の外周を被覆するガラスからなるクラッド12、及びクラッド12の外周を被覆するポリマー被覆13、を備え、ポリマー被覆13が、23℃でのヤング率:30〜700MPa、ガラス転移温度(Tg):30〜90℃、及び120℃での架橋密度:0.1〜3.0mmol/cm
なる特性を有する、光ファイバ20。前記ポリマーの全重量を基準として、エポキシ(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種のオリゴマー:30〜90重量%;不飽和基含有モノマー:5〜65重量%;及び光重合開始剤:0.1〜10重量%;を含有する紫外線硬化樹脂組成物の硬化物で被覆されている光ファイバー。
前記ウレタン(メタ)アクリレートが、ポリオール、ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート及びモノオールの反応生成物を含有する、請求項4記載の光ファイバ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本実施形態の光ファイバは、ガラスからなるコア、コアの外周を被覆するガラスからなるクラッド、及びクラッドの外周を被覆するポリマー被覆、を備え、ポリマー被覆が、23℃でのヤング率:30〜700MPa、ガラス転移温度(Tg):30〜90℃、及び120℃での架橋密度:0.1〜3.0mmol/cm
3なる特性を有している。このような特性を有することにより、高温環境に曝された場合でも良好な信頼性を維持することができる。すなわち、光ケーブルの外被中に可塑剤としてDOP(ジオクチルフタレート)やDINP(ジイソノニルフタレート)等のフタル酸エステルが含まれている場合でも、あるいは光ケーブルの周囲にさらに上記可塑剤を含む外被を用いたメタルケーブルがある場合でも、あるいは光ケーブルの外被中には上記可塑剤が含有されておらず周囲のメタルケーブルの外被中に上記可塑剤が含有されている場合でも、当該可塑剤による被覆の破壊を抑制することができる。
【0012】
(2)ここで、ポリマー被覆が、95℃での破断伸び:30〜300%なる特性をさらに有することが好ましい。これにより、被覆除去性をさらに良好とすることができる。
【0013】
(3)また、ポリマー被覆が、95℃でのガラス密着力:15N/m以下であることが好ましい。これにより、被覆除去性をさらに良好とすることができる。
【0014】
(4)また、ポリマー被覆が紫外線硬化樹脂組成物の硬化物であり、紫外線硬化樹脂組成物は、全重量を基準として、エポキシ(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のオリゴマー:30〜90重量%、不飽和基含有モノマー:5〜65重量%、及び光重合開始剤:0.1〜10重量%を含有することが好ましい。これにより、高温環境に曝された場合でもさらに良好な信頼性を維持することができる。
【0015】
(5)ここで、ウレタン(メタ)アクリレートが、ポリオール、ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート及びモノオールの反応生成物を含有することが好ましい。これにより、より良好な信頼性を維持することができる。
【0016】
(6)なお、ポリオールが、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。これにより、さらに耐熱性が向上し、より良好な信頼性を維持することができる。
【0017】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明を実施するための形態についてさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ガラスの外周を特定のポリマー被覆でコーティングすることで、可塑剤移行による被覆の亀裂を抑制でき、さらに良好な光学特性を維持できることを突き止めた。本発明は可塑剤の移行を抑制する技術についての開示ではなく、可塑剤が移行しても亀裂の発生を抑制できる技術を開示するものである。なぜなら、可塑剤の移行が本質的な問題ではなく、可塑剤移行による被覆の亀裂発生が問題だからである。被覆に亀裂が発生すると、振動等によりガラスが破断する恐れがあり、信頼性上問題である。以下に、発明の詳細を述べる。
【0019】
図2に、本実施形態の光ファイバの断面模式図を示す。具体的には、本実施形態の光ファイバ20は、コア11、コアの外周を被覆するクラッド12、及びクラッドの外周を被覆するポリマー被覆13、を備えている。
【0020】
本実施形態のポリマー被覆は、23℃におけるヤング率が30〜700MPaであるが、100〜600MPaであることが好ましい。ヤング率が30MPa未満では、樹脂のタック性が出てくるため、ボビンに光ファイバを巻き取ると、被覆同士がくっつきやすくなってしまう。また、ヤング率が700MPaを超えると、ボビンに巻き取った際に、光ファイバに側圧が加わり、マイクロベンドロスが生じるため、伝送損失が悪化してしまう。従来の光ファイバでは、ソフト層のヤング率が0.1〜10MPa程度であり、タック性を有するため、同一工程でソフト層の外周に低タック性のハード層を被覆する必要がある。しかし、ヤング率が上記範囲である本実施形態のポリマー被覆は単層で使用することが可能であるため、ハード層のような層を別途設けるための工程を要しない。但し、本実施形態の光ファイバは、当該ポリマー被覆の外周にさらに他の層を備えていてもよい。
【0021】
なお、本実施形態におけるヤング率の測定方法は下記の通りである。すなわち、まず初めに光ファイバを溶剤に浸漬し、被覆層のみを筒状に抜き出す。次に、真空乾燥により溶剤を除いた後、23℃の恒温室にて、引張試験(引張速度は1mm/min)を行う。そして、2.5%歪の割線式によりヤング率を求めることができる。
【0022】
また、本実施形態のポリマー被覆は、Tgが30〜90℃であるが、40〜80℃であることが好ましい。Tgが30℃未満では、タック性が出てくるため、ボビンに光ファイバを巻き取ると、被覆同士がくっつきやすくなってしまう。また、耐熱性が低下する。Tgが90℃を超えると、被覆除去性が悪化する。光ファイバの被覆は、例えば、加熱リムーバー(例えば、住友電気工業株式会社製JR−6)を用いて、90℃以上に被覆を加熱し、軟化させてから除去される。しかし、Tgが90℃を超えると、軟化しにくくなり、被覆のカスが残りやすくなってしまう。また、Tgが90℃を超えると、結果的にヤング率の上昇を招き、ヤング率を700MPa以下に抑えることが困難である。
【0023】
本実施形態におけるTgの測定方法は下記の通りである。まず、ヤング率の測定時と同様にして、被覆層の筒状サンプルを用意する。次に、昇温速度5℃/min、測定周波数11Hzで動的粘弾性測定を実施する。そして、tanδのトップピークをTgとして求めることができる。
【0024】
また、本実施形態のポリマー被覆は、120℃での架橋密度が0.1〜3.0mmol/cm
3であるが、0.2〜2.5mmol/cm
3であることが好ましい。120℃での架橋密度を上記範囲にすることで、高温下で可塑剤が移行しても亀裂の発生を抑制することができる。なお、架橋密度が0.1mmol/cm
3未満では、可塑剤により被覆が膨潤し、亀裂が発生する。一方、架橋密度が3.0mmol/cm
3を超えると、可塑剤による被覆の膨潤は小さいが、破断伸びが低下するため、亀裂が発生する。
【0025】
本実施形態における120℃での架橋密度の測定方法は下記の通りである。まず、前述の動的粘弾性測定の際に得られる、120℃の貯蔵弾性率E’の値を読み取る。次に、下記式により架橋密度を計算することができる。
n=E’/3RT
n:120℃での架橋密度[mmol/cm
3]
E’:120℃での貯蔵弾性率[dyn/cm
2]
R:8.31×10
4[dyn・cm/mmol・K]
T:393.15[K]
【0026】
また、本実施形態のポリマー被覆の95℃での破断伸びは、30〜300%であることが好ましく、40〜250%であることがより好ましい。破断伸びがこの範囲にあることで、被覆除去性が良好となる。破断伸びが30%未満では、被覆除去時に、被覆がガラスから剥離する前に破壊されてしまい、ガラス表面に被覆のカスが残りやすい。また、破断伸びが300%を超えると、被覆が強靭であるため破壊されにくくなる。その結果、ファイバが上下にぶれて、加熱リムーバーの刃に当たり破断しやすくなる。
【0027】
本実施形態における破断伸びの測定方法は下記の通りである。まず、ヤング率の測定時と同様にして、光ファイバから抜き取った被覆層の筒状サンプルを用意する。次に、引張試験機に筒状サンプルをセットし、サンプルボックス内を95℃に加温して、引張試験(引張速度は50mm/minで)を実施し、破断伸びを求めることができる。尚、標線間距離は25mmとして試験を行う。
【0028】
また、本実施形態のポリマー被覆の95℃でのガラス密着力は、15N/m以下であることが好ましく、10N/m以下であることがより好ましい。ガラス密着力がこの範囲にあることで、被覆除去性が良好となる。ガラス密着力が15N/mを超えると、被覆がガラスから剥がれにくく、カス残りやファイバの破断が起こりやすくなる。なお、温度変化によりガラスが被覆から突き出すことを抑制し易くするという観点から、当該ガラス密着力は2N/m以上であることが好ましい。
【0029】
本実施形態におけるガラス密着力の測定方法は下記の通りである。まず、板ガラス(大型スライドガラス、76×52mm)に、ポリマー被覆の形成に用いられるものと同様の紫外線硬化樹脂組成物を厚さ100μmになるようにスピンコーティングし、100mJ/cm
2のUV光を照射して硬化させて、板ガラス上に樹脂フィルムを作製する。常温でフィルムを一昼夜以上放置後、樹脂フィルムに切り込みを入れ、樹脂フィルムを1cm剥がし、樹脂フィルム端を引張試験機にセットする。サンプルボックス内を95℃に加温し、90度剥離試験(引張速度は100mm/min)を実施し、ガラス密着力(剥離するときの力をサンプル幅で割った値)を求めることができる。
【0030】
また、本実施形態のポリマー被覆は、紫外線硬化樹脂組成物の硬化物であって、当該紫外線硬化樹脂組成物は、組成物の全重量を基準として、エポキシ(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のオリゴマーを30〜90重量%、不飽和基含有モノマーを5〜65重量%、及び光重合開始剤を0.1〜10重量%含有することが好ましい。なお、ポリマー被覆として紫外線硬化樹脂を適用する場合、線速を2000m/min程度まで上げて線引きすることができるため、従来技術に対して生産性が著しく改善される傾向にある。というのも、例えば熱可塑性樹脂を適用する場合、せいぜい線速を150m/min程度までしか上げることができないためである。
【0031】
エポキシ(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートの総含有量が30重量%未満では、耐熱性が劣りやすくなる。また、エポキシ(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートの総含有量が90重量%を超えると、紫外線硬化樹脂組成物の粘度が高くなり、塗布不良が発生しやすくなり、生産性が劣りやすい。このような観点から、当該含有量は40〜80重量%であることがより好ましい。
【0032】
不飽和基含有モノマーは、ヤング率、破断伸び、Tg、架橋密度や粘度等を適宜調整するために、紫外線硬化樹脂組成物において5〜65重量%の範囲で使用される。不飽和基含有モノマーの含有量が5重量%未満では、樹脂液(紫外線硬化樹脂組成物)の粘度が高くなり、塗布不良が発生しやすく、65重量%を超えると、当該粘度が低くなり、コーティング直後に樹脂液が変形しやすく塗布不良が発生しやすい傾向がある。このような観点から、当該含有量は10〜60重量%であることがより好ましい。
【0033】
光重合開始剤の含有量が0.1重量%未満では、樹脂の硬化が不十分となりやすく、10重量%を超えると、樹脂の硬化が進み過ぎてポリマー被覆の破断伸びが小さくなったり、未反応の光重合開始剤がブリードしたりしやすくなるため好ましくない。このような観点から、当該含有量は0.2〜5重量%であることがより好ましい。
【0034】
エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレートの酸変性物、ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルジ(メタ)アクリレートの酸変性物、水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレートの酸変性物、水添ビスフェノールFのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジグリシジルジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジグリシジルジ(メタ)アクリレートの酸変性物、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート(フェノールノボラックエポキシと不飽和基含有モノカルボン酸の反応物)などが挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールA骨格を有するものが好ましい。
【0035】
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることで得ることができる。一例として、ポリイソシアネートにTDI(2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物)、水酸基含有(メタ)アクリレートにHEA(ヒドロキシエチルアクリレート)を使用した場合、HEA−TDI−HEAとなり、両端にアクリロイル基を有するウレタンアクリレートができる。また、ポリオール、ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させてもよい。一例として、ポリオールにPPG、ポリイソシアネートにTDI、水酸基含有(メタ)アクリレートにHEAを使用すると、HEA−TDI−(PPG−TDI)n−HEAという両端にアクリレートを有するウレタンアクリレートができる。
【0036】
本実施形態のウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール、ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレートに加え、モノオールを用いて合成されてもよい。一例として、ポリオールにPPG、ポリイソシアネートにTDI、水酸基含有(メタ)アクリレートにHEA、モノオールにEtOH(エタノール)を使用すると、
(1)HEA−TDI−(PPG−TDI)n−HEA
(2)HEA−TDI−(PPG−TDI)n−EtOH
(3)EtOH−TDI−(PPG−TDI)n−EtOH
という3種類の反応生成物を含む混合物が出来る。この時、(3)は紫外線硬化が起こらないため、出来るだけ少なくなるように調整することが好ましい。(2)のウレタンアクリレートは、1官能であるため、架橋密度を下げる効果があり、被覆除去性を改善できる。
【0037】
本実施形態のウレタン(メタ)アクリレートの合成時に、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属触媒を用いることが好ましい。この際、当該触媒を、反応物100重量部に対して、0.01〜1重量部使用することが好ましい。
【0038】
このようにウレタン(メタ)アクリレートとしては種々のものが使用可能であるが、本実施形態においては、ウレタン(メタ)アクリレートの官能基数を制御できる、すなわち架橋密度のコントロールが容易になるという観点から、ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール、ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート及びモノオールの反応生成物を含有することが好ましい。
【0039】
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールの例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などが挙げられる。ポリオレフィンポリオールの例としては、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールの例としては、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール、ポリメチルペンタンアジペートグリコール、ポリカプロラクトングリコールなどが挙げられる。ポリカーボネートポリオールの例としては、ポリブチレンカーボネートポリオール、ポリネオペンチルカーボネートポリオール、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、1,6−ヘキサンジオールと1,4−ブチレンジオールの共重合物を骨格に有するポリカーボネートポリオール、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールの共重合物を骨格に有するポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これら、ポリオールの数平均分子量は300〜8000であることが好ましい。この内、耐熱性の観点からポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選択される少なくとも1種を、ウレタン(メタ)アクリレートの合成に用いることが好ましい。
【0040】
ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネートなどが挙げられる。これらの中では、特に、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートが好ましい。
【0041】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中では、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0042】
モノオールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、メチルブタノール、ネオペンタノール、アミルアルコール、分枝および非分枝ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、シクロペンタノール、メチルシクロペンタノール、シクロペンタンメタノール、シクロペンチルプロパノール、シクロヘキサノール、シクロヘキシルエタノール、シクロヘキシルプロパノール、シクロヘキシルブタノール、メチルブチルヘキサノール、エチルブチルヘキサノール、プロピルブチルヘキサノールおよびブチルヘキサノール、シクロヘプタノールおよびシクロオクタノールなどが挙げられる。
【0043】
次に、不飽和基含有モノマーの例を以下に記載する。アルキル基含有モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n‐ブチル(メタ)アクリレート、s‐ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n‐ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n‐オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
環状構造含有モノマーとしてはフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0045】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
窒素含有モノマーとしては、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等のモルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等の複素環を有する複素環含有(メタ)アクリレート;マレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、3−(3−ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー等が挙げられる。
【0047】
2官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16−ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,20−エイコサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソペンチルジオールジ(メタ)アクリレート、3−エチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート等があげられる。
【0048】
3官能以上のモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクロイルオキシエチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート等があげられる。
【0049】
また、前述のウレタン(メタ)アクリレートの合成時に使用する水酸基含有(メタ)アクリレートを不飽和基含有モノマーとして使用してもよい。
【0050】
光重合開始剤の例としては、イルガキュアー184、907、369、127、2959、651、819、LUCIRIN TPO、DAROCUR 1173(BASF社製)、等が挙げられる。これらを1種あるいは複数種を組み合わせて使用してもよいが、アシルフォスフィンオキサイド系である、LUCIRIN TPOまたはイルガキュアー819を含有することが好ましい。
【0051】
その他、本実施形態の紫外線硬化樹脂組成物は、シランカップリング剤、光酸発生剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤等を含有してもよい。シランカップリング剤としては、紫外線硬化樹脂組成物の硬化の妨げにならないものであれば、特に限定されることなく、公知公用のものを含めあらゆるものを用いることができるが、具体的には、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド等が挙げられる。シランカップリング剤を使用することで、ガラス密着力を調整したり、動疲労特性を改善したりすることができる。光酸発生剤はA
+B
−の構造をしたオニウム塩であることが好ましい。光酸発生剤の例としては、UVACURE1590(ダイセル・サイテック製)、CPI−100P、110P(サンアプロ製)、などのスルホニウム塩やIRGACURE250(BASF社製)、WPI−113(和光純薬製)、Rp−2074(ローディア・ジャパン製)等のヨードニウム塩が挙げられる。
【0052】
本実施形態の光ファイバは、従来の二層被覆の光ファイバと異なり、ポリマー被覆単層でも使用することができるが、ポリマー被覆の外周にさらに他の層が積層されていても構わない。具体的には、ポリマー被覆の外周にさらに他の紫外線硬化樹脂がコーティングされていてもよい。識別性の観点から、このようなコーティングは1〜20μm厚程度の、紫外線硬化樹脂を用いて形成される着色層であることが好ましい。ただし、同様の観点から言えば、例えば紫外線硬化樹脂組成物に顔料を含有させることで、ポリマー被覆自体を着色しても構わない。
【0053】
本実施形態のポリマー被覆の外径は、150〜400μmであることが好ましい。この範囲にあることで、光学特性や被覆除去性が良好となる。150μm未満では、ボビン巻取時に、マイクロベンドロスが生じ、光学特性が悪化しやすい。また、400μmを超えると、被覆除去時に必要な力が強くなり、作業性が悪化する。
【0054】
本実施形態において、コア及びクラッドは、いずれもガラス(石英ガラス)からなるものであれば特に制限なく用いることができる。
【0055】
本実施形態の光ファイバはシングルモードファイバであっても、マルチモードファイバであっても、ガラスの構造は問わないが、実装精度緩和の観点からマルチモードファイバであることが好ましい。コア径は20〜90μm、クラッド径は80〜130μm、NAは0.20〜0.30であることが好ましい。また、曲げ時の伝送損失を低減するために、ディプレスト部を有した屈折率プロファイルにしてもよい。また、曲げ時の光ファイバの破断確率を低減するために、疲労特性は18以上、好ましくは22以上であることが好ましい。動疲労特性は、FOTP−28の試験方法に従い、測定することができる。
【0056】
本実施形態の光ファイバは、最終的に光ケーブル化されて使われる。光ケーブル構造の一例を
図3に示す。当該光ケーブル100は、外被50とテンションメンバー40と本実施形態の光ファイバ30とからなる光ケーブルである。なお、外被50を構成する材料としては、PVC、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられ、またテンションメンバー40を構成する材料としては、ケブラー(デュポン社の登録商標)等のアラミド繊維、ザイロン(東洋紡績社の登録商標)等のポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維(PBO繊維)等が挙げられる。
図3は、2本の光ファイバを用いた態様が示されているが、光ケーブル中の光ファイバは1本でも3本以上でも構わない。本実施形態の光ファイバであれば、例えば、DINP(ジイソノニルフタレート)やDOP(ジオクチルフタレート)のような可塑剤が含まれる外被を用いた場合や、あるいは光ケーブルの周囲にさらに上記可塑剤を含む外被を用いたメタルケーブルがある場合であっても、高温環境において良好な信頼性を維持することが可能である。
【実施例】
【0057】
次に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0058】
エポキシ(メタ)アクリレートには、以下の材料を使用した。
Photomer4028(Sartomer社製)・・・ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジアクリレート
ビスコート#540(大阪有機化学工業株式会社製)・・・ビスフェノールAのジグリシジルジアクリレート
【0059】
ウレタン(メタ)アクリレートは次のように調整した。
<ウレタン(メタ)アクリレート UA−1の合成>
ポリオールに数平均分子量1000のポリプロピレングリコール(PPG)、ポリイソシアネートにTDI(2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物)、水酸基含有(メタ)アクリレートに2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、モノオールにエタノール(EtOH)を使用した。そして、化学量論比でPPGのOH基/TDIのNCO基/HEAのOH基/EtOHのOH基=1/2.05/0.8/0.3になるように各原料を準備した。また、上記原料の合計100重量%に対し、0.1重量%のジブチル錫ジラウレートを準備した。
【0060】
初めに、PPGとTDIとジブチル錫ジラウレートを反応容器に入れ、40℃で1時間撹拌した。その後に、液温度が20℃以下の状態で、HEAとEtOHの混合液体を滴下した。IRにより、NCOピークが消失するまで撹拌し、ウレタン(メタ)アクリレートUA−1を得た。
【0061】
<ウレタン(メタ)アクリレート UA−2の合成>
ポリオールに数平均分子量1000のポリブチレンアジペートグリコール(PBAG)、ポリイソシアネートにTDI(2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物)、水酸基含有(メタ)アクリレートに2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、モノオールにエタノール(EtOH)を使用した。そして、化学量論比で、PBAGのOH基/TDIのNCO基/HEAのOH基/EtOHのOH基=1/2.05/0.8/0.3になるように各原料を準備した。また、上記原料の合計100重量%に対し、0.1重量%のジブチル錫ジラウレートを準備した。UA−1と同様にウレタン(メタ)アクリレートを合成し、UA−2を得た。
【0062】
<ウレタン(メタ)アクリレート UA−3の合成>
ポリオールに数平均分子量1000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(PHMCD)、ポリイソシアネートにTDI(2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物)、水酸基含有(メタ)アクリレートに2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、モノオールにエタノール(EtOH)を使用した。そして、化学量論比で、PHMCDのOH基/TDIのNCO基/HEAのOH基/EtOHのOH基=1/2.05/0.8/0.3になるように各原料を準備した。また、上記原料の合計100重量%に対し、0.1重量%のジブチル錫ジラウレートを準備した。UA−1と同様にウレタン(メタ)アクリレートを合成し、UA−3を得た。
【0063】
<ウレタン(メタ)アクリレート UA−4の合成>
ポリオールに数平均分子量1000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(PHMCD)、ポリイソシアネートにTDI(2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物)、水酸基含有(メタ)アクリレートに2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を使用した。そして、化学量論比で、PHMCDのOH基/TDIのNCO基/HEAのOH基=1/2.05/1.1になるように各原料を準備した。また、上記原料の合計100重量%に対し、0.1重量%のジブチル錫ジラウレートを準備した。
【0064】
まず、PHMCDとTDIとジブチル錫ジラウレートを反応容器に入れ、40℃で1時間撹拌した。その後に、液温度が20℃以下の状態で、HEAを滴下した。IRにより、NCOピークが消失するまで撹拌し、ウレタン(メタ)アクリレートUA−4を得た。
【0065】
<ウレタン(メタ)アクリレート UA−5の合成>
ポリオールに数平均分子量5000のポリプロピレングリコール(PPG)、ポリイソシアネートにTDI(2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物)、水酸基含有(メタ)アクリレートに2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を使用した。そして、化学量論比で、PPGのOH基/TDIのNCO基/HEAのOH基=1/2.05/1.1になるように各原料を準備した。また、上記原料の合計100重量%に対し、0.1重量%のジブチル錫ジラウレートを準備した。UA−4と同様にウレタン(メタ)アクリレートを合成し、UA−5を得た。
【0066】
<光ファイバの作製>
上記エポキシ(メタ)アクリレート及び/又はウレタン(メタ)アクリレートに、表1に示す不飽和基含有モノマー及び光開始剤を加え、撹拌し、紫外線硬化樹脂組成物を得た。この紫外線硬化樹脂組成物をコア径50μm、クラッド径125μm、NA0.20のGI型マルチモードファイバに塗布して硬化し、ポリマー被覆とした。これにて被覆外径245μmの光ファイバを得た。なお、同表に示すポリマー被覆の物性は、上述の記載に従い測定をした。
【0067】
上記で得られた光ファイバの評価方法を以下に示す。また、評価結果を表1にまとめて示す。なお、比較例2において、従来の光ファイバとして、クラッドの外周に23℃におけるヤング率が0.5MPaのプライマリ樹脂と同ヤング率が800MPaのセカンダリ樹脂の2層を有する光ファイバの評価も合わせて実施した。尚、プライマリ径200μm、セカンダリ径245μmとした。
【0068】
<光ファイバ協調性評価>
ポリプロピレンを主成分とする材料を外被の材料として、円筒状の外被内に2本の光ファイバと複数本のアラミド繊維(テンションメンバー)が配置された、
図3に示す構造の光ケーブルを作製した。続いて、ワイヤーハーネス形態すなわち、光ケーブルとPVC被覆絶縁電線をそれぞれ3本ずつ混在させた、混在光ケーブル・電線束の外周に、PVC系粘着剤付きテープを巻き付けした。これを、120℃で300時間熱老化させた後、混在光ケーブル・電線束より任意の光ケーブル試験片を1本取り出し、直径5mmのマンドレルに巻き付けを行った。そして、更に光ケーブルより任意の光ファイバ1本を抜き取り、直径5mmのマンドレルに巻き付けを行った後、光ファイバの外観を目視で観察した。その結果、被覆に亀裂なきものを「A」、被覆に亀裂はないが、筋が入ったものを「B」、被覆に亀裂があったものを「C」とした。B以上を合格とした。
【0069】
<光学特性評価>
光ファイバ1000mを張力40gでボビンに巻き、波長850nmの光パルス試験器(OTDR)で伝送損失をした。測定温度は23℃とした。ダミーファイバ、すなわち、光源から測定試料の光ファイバまで光を伝える光ファイバとしては、コア径50μm、クラッド径125μm、NA0.20のGI型マルチモードファイバを用いた。ダミーファイバの長さは、1kmとした。評価基準は、下記の通りである。B以上を合格とした。
A・・・3.0dB/km未満
B・・・3.0dB/km以上〜4.0dB/km未満
C・・・4.0dB/km以上
【0070】
<被覆除去性評価>
住友電気工業製加熱リムーバー「JR−6」を用いて、ポリマー被覆の除去を10回行った。加熱条件は95℃で5秒間とした。評価基準は、下記の通りである。B以上を合格とした。
A・・・カス残りやファイバの断線なし。
B・・・カス残りがあるが、エタノールで湿らせた、日本製紙クレシア製のキムワイプで拭き取ることで除去可能。
C・・・カス残りがあり、エタノールで湿らせた、日本製紙クレシア製のキムワイプで拭き取っても除去不可能。または、ファイバの断線が発生。
【0071】
<耐熱性評価>
光ファイバを溶剤に浸漬し、被覆を筒状に抜き取った。筒状サンプルを120℃で30日間劣化させ、初期と劣化後の破断伸びを測定した。尚、測定は23℃の恒温室で行った。評価基準は、下記の通りである。B以上を合格とした。
A・・・(劣化後の破断伸び−初期の破断伸び)/初期の破断伸び、が±15%未満
B・・・(劣化後の破断伸び−初期の破断伸び)/初期の破断伸び、が±15%以上±30%未満
C・・・(劣化後の破断伸び−初期の破断伸び)/初期の破断伸び、が±30%以上
【0072】
【表1】
【0073】
実施例は、全ての評価項目で合格であったが、比較例では、光ファイバ協調性が全て不合格であった。
【0074】
比較例1は、架橋密度が高いため、光ファイバ協調性がCであった。また、ヤング率が高いため、光学特性がCであった。また、Tgが高く、95℃での破断伸びが低いため、被覆除去性がCであった。
【0075】
比較例2は、従来の光ファイバのソフト層(プライマリ)の評価結果であり、架橋密度が小さく、プライマリ層が膨潤して、プライマリ層、セカンダリ層ともに亀裂が発生するため、光ファイバ協調性がCであった。また、ポリオールにPPGを使用しているため、耐熱性がBであった。