【実施例】
【0014】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本願は勿論、かかる実施例に限定されるものではない。本願の実施例における試験方法を、次に示す。
【0015】
<平均粒子径測定>
マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定した。測定原理としてはレーザー散乱法を用いており、粒度分布の積算値が50%となる値を平均粒子径とした。
【0016】
<重合度>
第16改正日本薬局方解説書、結晶セルロース確認試験(2)記載の銅エチレンジアミンを用いた粘度測定法により、セルロース重合度を求めた。
【0017】
<アルカリ溶出率>
試料5gと、pH13に調整した水酸化ナトリウム水溶液100mlを、マヨネーズ瓶に加え充分攪拌し、50℃の恒温槽に3日間放置した。その後、ガラスフィルターにて濾過して得られた濾液の絶乾重量を測定し、濾液固形分を試料仕込み絶乾重量で割り、100を掛けたものをアルカリ溶出率(%)として算出した。この値が小さいほど、アルカリ耐性に優れていることを意味する。なお、アルカリ溶出率は3.50%以下であれば、実用上問題のないレベルである。
【0018】
<白色度>
試料5gをpH13に調整した水酸化ナトリウム水溶液100ml中で充分攪拌し、50℃の恒温槽に3日間放置した後の原料を乾燥させた後、JIS P8148に準拠し、ハンター白色度計を用いて白色度を測定した。
【0019】
<濾過速度>
試料5gを、所定のpH(6.5、13)に調整した溶液約500mlに分散させ、一定流速で25分間循環送液し、濾過塔内にプレコート層(0.5g/cm
2)を形成した。プレコート層形成後、3.0kgf/cm
2の圧力下で濾過し、濾過速度を測定した。
【0020】
<実施例1>
晒し木材パルプシート(LBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1500)を原料として、竪型ローラーミル(シニオン(株)社製)にて、原料仕込み量100kg、生産量60kg/hrの条件で粉砕し、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が33.4μm、平均重合度が1300であり、アルカリ溶出率は0.83%、白色度は90.1%であり、pH6.5に調整した液を用いて測定した濾過速度は、15.4ml/secであった。
【0021】
<実施例2>
晒し木材パルプシート(LBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1500)を原料として、竪型ローラーミル(シニオン(株)社製)にて、原料仕込み量100kg、生産量60kg/hrの条件で粉砕し、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が33.4μm、平均重合度が1300であり、アルカリ溶出率は0.83%、白色度は90.1%であり、pH13に調整した液を用いて測定した濾過速度は、14.1ml/secであった。
【0022】
<実施例3>
晒し木材パルプシート(LBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1300)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.05Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、トルネードミル(日機装株式会社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が39.6μm、平均重合度が1000であり、アルカリ溶出率は2.64%、白色度は85.3%であり、pH6.5に調整した液を用いて測定した濾過速度は、14.2ml/secであった。
【0023】
<実施例4>
晒し木材パルプシート(LBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1300)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.2Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、トルネードミル(日機装株式会社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が39.6μm、平均重合度が1000であり、アルカリ溶出率は2.64%、白色度は85.3%であり、pH13に調整した液を用いて測定した濾過速度は、12.5ml/secであった。
【0024】
<実施例5>
晒し木材パルプシート(LBKP、日本製紙(株)製、平均重合度1500)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.2Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、トルネードミル(日機装株式会社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が32.1μm、平均重合度が900であり、アルカリ溶出率は3.33%、白色度は73.4%であり、pH6.5に調整した液を用いて測定した濾過速度は、10.1ml/secであった。
【0025】
<実施例6>
晒し木材パルプシート(LBKP、日本製紙(株)製、平均重合度1500)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.2Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、トルネードミル(日機装株式会社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が32.1μm、平均重合度が900であり、アルカリ溶出率は3.33%、白色度は73.4%であり、pH13に調整した液を用いて測定した濾過速度は、8.0ml/secであった。
【0026】
<比較例1>
晒し木材パルプシート(LBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1300)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.3Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、ナイフミル(パルマン社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が37.8μm、平均重合度が400であり、アルカリ溶出率は3.98%、白色度は68.9%であり、pH6.5に調整した液を用いて測定した濾過速度は、10.2ml/secであった。
【0027】
<比較例2>
晒し木材パルプシート(LBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1300)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.3Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、ナイフミル(パルマン社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が37.8μm、平均重合度が400であり、アルカリ溶出率は3.98%、白色度は68.9%であり、pH13に調整した液を用いて測定した濾過速度は、6.9ml/secであった。
【0028】
<比較例3>
晒し木材パルプシート(LBKP、日本製紙(株)製、平均重合度1500)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.5Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、ナイフミル(パルマン社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が32.1μm、平均重合度が550であり、アルカリ溶出率は4.76%、白色度は63.3%であり、pH6.5に調整した液を用いて測定した濾過速度は、7.1ml/secであった。
【0029】
<比較例4>
晒し木材パルプシート(LBKP、日本製紙(株)製、平均重合度1500)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.5Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、ナイフミル(パルマン社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が32.1μm、平均重合度が550であり、アルカリ溶出率は4.76%、白色度は63.3%であり、pH13に調整した液を用いて測定した濾過速度は、3.3ml/secであった。
【0030】
【表1】