【0012】
(製造)
使用できるパルプ原料は、流動状態でもシート状でも可能である。パルプ漂白工程からの流動パルプを原料とする場合は、加水分解反応槽へ投入する前に、濃度を高める必要があり、スクリュープレスやベルトフィルターなどの脱水機で濃縮され、反応槽へ所定量が投入される。パルプのドライシートを原料とする場合は、ロールクラッシャーなどの解砕機などでパルプをほぐした後、反応槽へ投入する。
次に、酸濃度0.05〜2.0N、好ましくは0.1N〜1.5Nに調整した、パルプ濃度3〜10重量%(固形分換算)の分散液を、温度80〜100℃、時間30分間〜3時間の条件で処理する。パルプの加水分解処理後、脱水工程で加水分解処理されたパルプと廃酸とに固液分離される。加水分解処理されたパルプはアルカリ剤を添加して中和し、洗浄される。その後、乾燥機で乾燥され、粉砕機で規定の大きさに機械的に粉砕・分級される。
【実施例】
【0014】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本願は勿論、かかる実施例に限定されるものではない。本願の実施例における試験方法を、次に示す。
<平均粒子径測定>
マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定した。測定原理としてはレーザー散乱法を用いており、粒度分布の積算値が50%となる値を平均粒子径とした。
【0015】
<重合度>
第16改正日本薬局方解説書、結晶セルロース確認試験(2)記載の銅エチレンジアミンを用いた粘度測定法により、セルロース重合度を求めた。
【0016】
<篩い試験(100メッシュ通過率)>
JIS Z 8815に準拠し、ロータップ型篩振とう機(株式会社岩田工業製)、および、100メッシュ篩(東京スクリーン株式会社製、目開き150μm)を用いて、100メッシュ篩通過試料重量を測定し、100メッシュ通過率を算出した。
【0017】
<引張り強さ>
粉末状セルロース:コラーゲンの比が、各々乾燥重量に換算して、10:90となるように配合し、厚さ1.0mmのコラーゲンフィルムを作製し、フィルムを1.5mmの幅に切り取り、引張り試験機(東洋製機製)を用いて、引張り強度を測定した
【0018】
<実施例1>
晒し木材パルプシート(LBKP、日本製紙(株)製、平均重合度1600)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.1Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、トルネードミル(日機装株式会社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。得られた粉体は、平均粒子径が46.8μm、平均重合度が1300、篩い試験100メッシュ通過率が88.9%、引張り強さが15.3kgf/cmであった。
【0019】
<実施例2>
晒し木材パルプシート(LBKP、日本製紙(株)製、平均重合度1600)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.4Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、トルネードミル(日機装株式会社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が32.4μm、平均重合度が850、篩い試験100メッシュ通過率が100%、引張り強さが11.3kgf/cmであった。
【0020】
<実施例3>
晒し木材パルプシート(LBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1500)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.05Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、トルネードミル(日機装株式会社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が42.7μm、平均重合度が1000、篩い試験100メッシュ通過率が92.3%、引張り強さが13.2kgf/cmであった。
【0021】
<実施例4>
晒し木材パルプシート(LBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1500)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.3Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、トルネードミル(日機装株式会社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が32.1μm、平均重合度が650、篩い試験100メッシュ通過率が100%、引張り強さが13.2kgf/cmであった。
【0022】
<比較例1>
晒し木材パルプシート(LBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1500)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.2Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、ナイフミル(パルマン社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が44.8μm、平均重合度が750、篩い試験100メッシュ通過率が82.7%、引張り強さが9.7kgf/cmであった。
【0023】
<比較例2>
晒し木材パルプシート(LBSP、日本製紙(株)製、平均重合度1500)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度1.0Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、ナイフミル(パルマン社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が30.5μm、平均重合度が300、篩い試験100メッシュ通過率が100%、引張り強さが6.1kgf/cmであった。
<比較例3>
晒し木材パルプシート(LBKP、日本製紙(株)製、平均重合度1600)を原料として、パルプ濃度3.5%、塩酸濃度0.8Nにおいて、95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥し、乾燥後のサンプルを、ナイフミル(パルマン社製)を用いて機械的に粉砕を行い、粉末状セルロースを得た。
得られた粉体は、平均粒子径が33.8μm、平均重合度が550、篩い試験100メッシュ通過率が100%、引張り強さが7.9kgf/cmであった。
【0024】
【表1】