特開2015-183720(P2015-183720A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-183720(P2015-183720A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】増速弁
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20150925BHJP
   F15B 11/024 20060101ALI20150925BHJP
【FI】
   F15B11/00 D
   F15B11/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-58737(P2014-58737)
(22)【出願日】2014年3月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100158355
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100192614
【弁理士】
【氏名又は名称】梅本 幸作
(72)【発明者】
【氏名】山口 正志
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA33
3H089BB27
3H089CC01
3H089DA02
3H089DB03
3H089DB33
3H089DB75
3H089HH05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】油圧回路において差動回路を形成したり解除したりするコンパクトな増速弁を提供する。
【解決手段】弁本体11と、供給路と、戻り路と、第一出力路63と、第二出力路64と、本弁体11に形成された第一貫通孔35と、第二出力路64が供給路に連通するように形成された第一分岐路と、第一出力路63が第一貫通孔35に連通するように形成された第二分岐路と、第一貫通孔35内に嵌挿されるスプール30及び第一ポペット31と、スプール30に形成された第二貫通孔36及び穿孔38と、第一分岐路に挟装された第二ポペットと、スプール30に作用する第一バネ部材20と、第一ポペット31に作用する第二バネ部材32と、第二ポペットに作用する第三バネ部材と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁切換弁を積層可能とする増速弁において、
弁本体と、
前記弁本体に形成され、液圧源に通じる供給路と、タンクに通じる戻り路と、シリンダのヘッド側作動室に通じる第一出力路と、前記シリンダのロッド側作動室に通じる第二出力路と、
前記弁本体の長手方向に形成されて前記第二出力路に通じる第一貫通孔と、
前記第一貫通孔が前記供給路に連通する第一分岐路と、
前記弁本体の一端で前記第一出力路が前記第一貫通孔に連通する第二分岐路と、
を有し、
前記第一貫通孔に前記第二出力路を開閉するスプール及び第一ポペットが長手方向に略同軸芯上に当接して嵌挿されており、
前記スプールに径方向の第二貫通孔が形成されており、
前記第二貫通孔に通ずるように長手方向に穿孔が形成されており、
前記第一分岐路に前記第二出力路と前記供給路の連通を開閉する第二ポペットが挟装されており、
前記スプールは、第一バネ部材の弾発力が作用して閉弁方向へ付勢し、前記第二分岐路の流体圧力が前記第一ポペットに作用して開弁方向へ付勢し、
前記第一ポペットは、第二バネ部材の弾発力が作用して閉弁方向へ付勢し、前記第二出力路の流体圧力が作用して開弁方向へ付勢する
増速弁であって、
前記第二ポペットが開閉して差動回路が形成又は解除すること
を特徴とする増速弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧回路において差動回路を形成したり解除したりするコンパクトな増速弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、油圧回路内のシリンダが前進する時に作動回路を形成してシリンダの有効面積差を利用して流体を早送りし、シリンダの出力が必要になったら差動回路を解除する方法が知られている(例えば、特許文献1図5参照)。
【0003】
例えば、差動回路を形成する油圧回路として、チェック弁付きシーケンス弁とチェック弁を組み合わせた油圧回路が特許文献1に開示されている。しかし、特許文献1に開示されている油圧回路は、差動回路を形成するために前記チェック弁付きシーケンス弁と前記チェック弁の2個を組み合わせて積層配置するために、大きなスペースが必要になるという問題があった。
【0004】
この解決方法として、例えば、図7に示すような、第一開閉弁84及び第二開閉弁86と、該開閉弁84、86を操作するパイロット操作用電磁切換弁81を一体化して収容し、第一出力路63が第二出力路64に連通するように分岐路82を穿設して、第二開閉弁86を開閉することにより、差動回路を形成したり、解除したりする積層形弁装置80が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6−47197号公報
【特許文献2】実開平5−3603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示されている積層形弁装置80は、パイロット操作するためにパイロット操作用電磁切換弁81を設ける必要があるため部品点数が多くなる。また、第一開閉弁84及び第二開閉弁86を操作するための通孔83A、83B、85A、85B、87等を確保する必要があるために構造が複雑になり、積層形弁装置80が高さ方向又は横方向に大きくなって、配置するために大きなスペースが必要になるという問題があった。
【0007】
本発明は、係る課題を解決するためになされたもので、差動回路を形成したり解除したりする従来の積層形弁装置よりもコンパクトな増速弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、
電磁切換弁を積層可能とする増速弁において、
弁本体と、
前記弁本体に形成され、液圧源に通じる供給路と、タンクに通じる戻り路と、シリンダのヘッド側作動室に通じる第一出力路と、前記シリンダのロッド側作動室に通じる第二出力路と、
前記弁本体の長手方向に形成されて前記第二出力路に通じる第一貫通孔と、
前記第一貫通孔が前記供給路に連通する第一分岐路と、
前記弁本体の一端で前記第一出力路が前記第一貫通孔に連通する第二分岐路と、
を有し、
前記第一貫通孔に前記第二出力路を開閉するスプール及び第一ポペットが長手方向に略同軸芯上に当接して嵌挿されており、
前記スプールに径方向の第二貫通孔が形成されており、
前記第二貫通孔に通ずるように長手方向に穿孔が形成されており、
前記第一分岐路に前記第二出力路と前記供給路の連通を開閉する第二ポペットが挟装されており、
前記スプールは、第一バネ部材の弾発力が作用して閉弁方向へ付勢し、前記第二分岐路の流体圧力が前記第一ポペットに作用して開弁方向へ付勢し、
前記第一ポペットは、第二バネ部材の弾発力が作用して閉弁方向へ付勢し、前記第二出力路の流体圧力が作用して開弁方向へ付勢する
増速弁であって、
前記第二ポペットが開閉して差動回路が形成又は解除することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、弁本体において、供給路と、戻り路と、第一出力路と、第二出力路と、本弁体の長手方向に形成された第一貫通孔と、第二出力路が供給路に連通するように形成された第一分岐路と、第一出力路が第一貫通孔に連通するように形成された第二分岐路と、圧力制御手段として第一貫通孔の長手方向に略同軸芯上に当接して嵌挿されているスプール及び第一ポペットと、スプールの径方向に形成された第二貫通孔と、第二貫通孔に直交してスプールの長手方向に形成された穿孔と、第一分岐路に挟装された第二ポペットと、スプールに閉弁方向の弾発力を作用する第一バネ部材と、第一ポペットに閉弁方向の弾発力を作用する第二バネ部材と、第二ポペットに閉弁方向の弾発力を作用する第三バネ部材と、を設けることにより、従来例のように開閉弁をパイロット操作するための電磁切換弁を設けなくてもスプール、第一ポペット及び第二ポペットを開閉することができる。
【0010】
弁本体内において、第一貫通孔が供給路に連通するように形成した第一分岐路に第二ポペットが挟装されており、第二ポペットが第二出力路と供給路の連通を開閉することができる。これにより、流体が第二出力路から供給路へ流れる一方向の流れを制御して、差動回路を形成したり、解除したりすることができる。
【0011】
また、弁本体外に電磁切換弁等の方向切換弁を設けるが、弁本体内にパイロット操作用の電磁切換弁を設ける必要がなく、弁本体内に取り付ける部品点数を減らすことができるので、増速弁の重量を減らして、軽量化することができる。
【0012】
さらに、スプール及び第一ポペットが互いに当接して第一貫通孔に嵌挿されており、スプールが摺動自在に開閉することで、ロッド側差動室からタンクに戻る流体を制御することができる。また、スプール内に流体が通る第二貫通孔及び穿孔を形成し、第一ポペットが穿孔を開閉することで、液圧源からシリンダのロッド側差動室に供給される流体を制御することができる。これらにより、第一貫通孔の略同軸上において流体の二方向の流れを制御することで、弁本体内に形成する流体の通孔を減らすことができ、従来例よりも通孔の長さを短くできるので、増速弁のサイズを小型化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は従来例の差動回路形成用の積層形弁装置と比べて、部品点数を減らすことで軽量化できる。また、流体の通孔を短くすることで増速弁のサイズを小型化できる。これらにより、第二ポペットが開閉して差動回路を形成又は解除する従来よりもコンパクトな増速弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態の一例である増速弁の平面図である。
図2図1の右下側から見た斜視図である。
図3図1のIII−III線の略縦断面図である。
図4図1のIV−IV線の略横断面図である。
図5図1のV−V線の略横断面図である。
図6】本発明の実施の形態の一例である増速弁の油圧回路図である。
図7】従来例の差動回路形成用の積層形弁装置の油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の増速弁10につき、好適な実施の形態を挙げ添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、増速弁10の外観は、基本的には直方体形状の弁本体11と、弁本体11に図示しないボルトで取り付けられた蓋12と、蓋12にネジ結合された調整ネジ部材13と、調整ネジ部材13の調整位置を固定する六角ナット14と、弁本体11にネジ結合された段付形状のブッシュ15と、弁本体11の上面70aから下面70b(図3図4図5参照)にかけて穿設されて、液圧源50(図6参照)と通じる供給路61(61a、61b)と、タンク53に通じる戻り路62(62a、62b)と、シリンダ55のヘッド側作動室56に通じる第一出力路63(63a、63b)と、ロッド側作動室57に通じる第二出力路64(64a、64b)と、弁本体11外の上面70aに積層配置して図示しない電磁切換弁54を取り付ける、図示しないボルトを通す挿通孔60と、を備える。
【0017】
また、図1に点線で示すように、弁本体11内に、段付円筒形状の第一貫通孔35と、第一貫通孔35を経由して第二出力路64(64b)が供給路61に連通するように穿設された第一分岐路39と、第一貫通孔35が第一出力路63(63a)に連通するように穿設された第二分岐路45と、が形成されている。
【0018】
図3に示すように、直方体形状の蓋12に段付貫通孔17が穿設されて、段付貫通孔17に調整ネジ部材13、プッシュロッド18、第一バネ部材20、リテーナ部材21及び鋼球22が略同軸芯上に並んで当接して押圧手段を構成しており、調整ネジ部材13及び六角ナット14を調整することで押圧する力を設定する。また、第一バネ部材20に予め設定された弾発力が段付円柱形状のスプール30に作用して、該スプール30が弁本体11に押し付けられて第二出力路64を閉弁している。
【0019】
また、弁本体11の長手方向に第一貫通孔35が穿設されて、第一貫通孔35にスプール30、段付円柱形状の第一ポペット31、第二バネ部材32及びブッシュ15が略同軸芯上に当接して嵌挿され、第一ポペット31は第二バネ部材32に予め設定された弾発力が作用してスプール30に当接する。これにより、第二貫通孔36及び穿孔38を経由して、上開口64aと下開口64bの連通を第一ポペット31が閉弁している。なお、弁本体11内の圧力に変動があるときは第一、二バネ部材20、32の弾発力につり合うように、スプール30及び第一ポペット31はそれぞれ摺動可能である。
【0020】
さらに、蓋12が弁本体11の一端(図3で上端)に取り付けられることにより、鋼球22はスプール30の一端に形成された断面円錐形状の凹部に係合する。また、六角穴33を有するブッシュ15は弁本体11の他端(図3で下端)にネジ結合され、ブッシュ15の穿孔38と第一ポペット31の穿孔38は第二バネ部材32を挟装する。さらにまた、第二分岐路45(図1点線参照)がブッシュ15及び第一ポペット31の穿孔38に連通するように、ブッシュ15の外周から穿孔38に向かって第四貫通孔42が穿設されている。
【0021】
また、スプール30及び第一ポペット31は軸芯方向に等間隔に全周にわたって溝34が刻まれており、溝34に流体を満たすことで潤滑性が増して摺動動作時に偏心しないようにすることができる。これにより、第一貫通孔35で発生する摩耗やかじりを防止することができる。さらに、溝34は、例えば、軸芯方向に等間隔に全周にわたって螺旋状に形成しても潤滑性が増して同様な効果が得られる。
【0022】
さらに、第一貫通孔35に略並行な第三貫通孔37を弁本体11内に穿設して、第二出力路64を段付貫通孔17に連通させることで、第二出力路64と段付貫通孔17の圧力を等しくすることができる。これにより、流体が上開口64aから第二貫通孔36及び穿孔38を経由して下開口64bへ流れるときに、スプール30を動かないように安定させることができるので、流体変動が発生しないようにすることができる。
【0023】
図4に示すように、第一貫通孔35が供給路61に連通するように第一分岐路39を穿設し、第一分岐路39に段付円柱形状のプラグ16がネジ結合されている。プラグ16は穿孔38を有しており、該穿孔38に第三バネ部材41及び第二ポペット40が挿入されている。これにより、第三バネ部材41に予め設定された弾発力が第二ポペット40に作用して、第二ポペット40は第一分岐路39と第三バネ部材41に挟装されて、第二出力路64及び第一貫通孔35と供給路61の連通を閉弁している。なお、弁本体11内の圧力に変動があるときは第三バネ部材41の弾発力につり合うように、第二ポペット40は摺動可能である。
【0024】
また、プラグ16は穿孔38に直交する第五貫通孔43が穿設され、第五貫通孔43を設けることで穿孔38に流体が満たされる。例えば、供給路61より第一貫通孔35の流体圧力が高くなると、第二ポペット40が開弁して、第二ポペット40に押されて第五貫通孔43から供給路61へ流体が流れ出る。また、供給路61よりも第一貫通孔35の流体圧力が低くなると、第二ポペット40が閉弁して、供給路61から第五貫通孔43へ流体が流れ込む。これにより、第二ポペット40の開閉動作を可能にして、開弁時に差動回路を形成し、閉弁時に差動回路を解除する。
【0025】
図5に示すように、第一出力路63が交差する上面70aと下面70bの中間部分に、第二分岐路45が穿設されて、第一貫通孔35に連通する。つまり、図1において点線で示すように、弁本体11の一端(図1の下端)であって、ブッシュ15がネジ結合している側で、第一貫通孔35に連通するように第二分岐路45が穿設されている。
【0026】
本発明の実施の形態に係る増速弁10は基本的には以上のように構成されるものであり、次に動作について説明する。
【0027】
図6に示す圧回路図において、圧源50から増速弁10に供給される流体圧力は予め設定されており、下限値はチェック弁51により、上限値はリリーフ弁52により決定される。
【0028】
流体圧力が下限値より低い場合は、チェック弁51が閉弁して流体が供給路61に流れない。また、上限値より高い場合はリリーフ弁52が開弁して流体がタンク53に流れる。これにより、油圧回路内に一定値以上の流体圧力を供給し、さらに、上限値以上の圧力がシリンダ55にかからないように制御している。
【0029】
シリンダ55を前進させる時、電磁切換弁54を操作して、例えばソレノイド54Aを励磁して、供給路61(61a、61b)を第一出力路63(63a、63b)に、戻り路62(62a、62b)を第二出力路64(64a、64b)に、連通させる。
【0030】
シリンダ55が前進する時、第一出力路63の圧力が第一バネ部材20の弾発力に予め設定された設定圧力より低い場合は、スプール30によって第二出力路64の下開口64bと上開口64aの連通が閉弁されている。これにより、第二ポペット40を閉弁しようとする供給路61の流体圧力及び第三バネ部材41が有する弾発力の合力に抗して、シリンダ55のロッド側差動室57の流体は、第二出力路64の下開口64bから第二出力路64、第一貫通孔35(図3参照)へ流れて、流体圧力により第二ポペット40が開弁する(図4参照)。そのため、差動回路が形成するので、流体は供給路61に還流してヘッド側差動室56に流れる。
【0031】
これにより、ロッド側差動室57の流体はタンク53に戻らず、ヘッド側作動室56に供給されるため、流体を早く送ることができるので、シリンダ55が前進する速度は仕事をさせるときよりも早送りになる。差動回路を形成している時のシリンダ55の出力は、(供給路61の圧力)×{(ヘッド側差動室56の断面積)−(ロッド側差動室57の断面積)}となる。
【0032】
また、シリンダ55が前進している時に、第一出力路63の圧力が第一バネ部材20の弾発力で予め設定された設定圧力より高くなると、第一出力路63の流体が第二分岐路45、ブッシュ15の第四貫通孔42を通って第一ポペット31(図3の下側)に作用してスプール30を開弁方向(図3の上側)に付勢する。これにより、第二出力路64の下開口64bから上開口64aへの連通が開弁されるので、第二出力路64は戻り路62と連通して流体はタンク53へ流れるため、第二出力路64が連通するロッド側差動室57に圧力は立たなくなる。
【0033】
これにより、供給路61は第二出力路64よりも圧力が高くなるので、第二ポペット40は閉弁して差動回路は解除される。この時、シリンダ55の出力は(供給路61の圧力)×(ヘッド側差動室56の断面積)となるので、差動回路を形成しているときよりも大きくなり、仕事をさせることができる。
【0034】
シリンダ55を後退させる時、電磁切換弁54を操作して、例えばソレノイド54Bを励磁して、供給路61(61a、61b)を第二出力路64(64a、64b)に、戻り路62(62a、62b)を第一出力路63(63a、63b)に、連通させる。
【0035】
シリンダ55が後退する時、第一出力路63は戻り路62に連通して流体はタンク53へ流れるため、第一出力路63が連通するヘッド側差動室56に圧力は立たなくなる。
【0036】
この時、第二出力路64の圧力が第二バネ部材32の弾発力で予め設定された設定圧力より低い場合は、第二出力路64の上開口64aから下開口64bへの連通は第一ポペット31によって閉弁されて、流体はロッド側差動室57に流れない。
【0037】
また、第二出力路64の圧力が第二バネ部材32の弾発力で予め設定された設定圧力より高くなると、流体はスプール30に形成された第二貫通孔36及び穿孔38から第一ポペット31(図3の上側)に作用して、該第一ポペット31が開弁方向(図3の下側)に付勢される。これにより、第二出力路64の上開口64aと下開口64bが第二貫通孔36及び穿孔38を経由して連通されるので、供給路61の流体はロッド側差動室57に流れて、シリンダ55は後退する。
【0038】
さらに、第二出力路64を流れる流体が第三貫通孔37を通って段付貫通孔17を満たすことで、段付貫通孔17と第二出力路64の圧力を等しくする。これにより、スプール30を固定して安定させることができるので、実機使用においてスプール30が振動することで発生する流体圧力変動による増速弁10の振動等の影響を小さくできる。
【0039】
また、図3に示すように、蓋12から流体が漏れないようにする為のOリング71、72と、第二出力路64を流れる流体が漏れないようにする為のOリング73と、第一出力路63を流れる流体が漏れないようにする為のOリング74と、弁本体11とブッシュ15の隙間から流体が漏れないようにする為のOリング75と、を備えるのがよい。
【0040】
さらに、図4に示すように、弁本体11とプラグ16の隙間から流体が漏れないようにする為のOリング76と、供給路61を流れる流体が漏れないようにする為のOリング77と、戻り路62を流れる流体が漏れないようにする為のOリング78と、を備えるのがよい。
【符号の説明】
【0041】
10 増速弁
11 弁本体
20 第一バネ部材
30 スプール
31 第一ポペット
32 第二バネ部材
35 第一貫通孔
36 第二貫通孔
38 穿孔
39 第一分岐路
40 第二ポペット
45 第二分岐路
50 液圧源
53 タンク
54 電磁切換弁
55 シリンダ
56 ヘッド側作動室
57 ロッド側作動室
61(61a、61b) 供給路(上開口、下開口)
62(62a、62b) 戻り路(上開口、下開口)
63(63a、63b) 第一出力路(上開口、下開口)
64(64a、64b) 第二出力路(上開口、下開口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7