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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-183836(P2015-183836A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】ライニング工法および更生管路
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20150925BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20150925BHJP
   B29C 63/34 20060101ALI20150925BHJP
   F16L 55/16 20060101ALI20150925BHJP
【FI】
   F16L1/00 J
   E03F7/00
   B29C63/34
   F16L55/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2014-63640(P2014-63640)
(22)【出願日】2014年3月26日
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】クボタシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】堀 智明
(72)【発明者】
【氏名】中村 良一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】越智 聡
(72)【発明者】
【氏名】西島 賢太朗
(72)【発明者】
【氏名】原田 孝知
【テーマコード(参考)】
2D063
3H025
4F211
【Fターム(参考)】
2D063EA06
3H025EA01
3H025EB07
3H025EC12
3H025ED02
4F211AD35
4F211AH43
4F211SA13
4F211SC03
4F211SD04
4F211SD06
4F211SD11
4F211SH18
4F211SP01
4F211SP21
(57)【要約】
【構成】 ライニング工法では、中空部を有する芯材(20)と、芯材(20)とは別体であって芯材(20)の中空部内を移動可能な拡径装置(60)を利用し、第1マンホール(102)を通したロープ(108)によって、各々が縮径したコイル成形体(10)を保持した複数の芯材(20)を、連結部材(90)連結した状態で、第2マンホール(104)から既設管(100)内に引き込む。第1マンホールに近い芯材から順に、1つの拡径装置によってコイル成形体を外すことによって拡径する。
【効果】 コイル成形体を既設管内へ敷設する作業をより簡単に行えるようになる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1マンホールと第2マンホールとの間に埋設されている既設管内にコイル成形体を敷設し、そのコイル成形体内にライニング材を挿入することによって更生管路を形成するライニング工法であって、
(a)各々が中空部を有し、その外面上に、前記既設管の内径に対応する外径を有するコイル成形体を縮径した状態で保持している、複数の芯材を連結して前記既設管内に引き込むステップ、
(b)先頭の芯材からコイル成形体を外すことによって当該先頭の芯材に保持されていたコイル成形体を拡径するステップ、
(c)後続する芯材をさらに移動させることによって当該後続する芯材をステップ(b)で拡径したコイル成形体に後続する位置に位置決めするステップ、
(d)位置決めした後続する芯材からコイル成形体を外すことによって当該位置決めした後続する芯材に保持されていたコイル成形体を拡径するステップ、および
(e)前記ステップ(c)および(d)を必要に応じて繰り返し、前記既設管内にコイル成形体を敷設するステップを含む、ライニング工法。
【請求項2】
前記ステップ(b)および(d)は、前記芯材の中空部内を移動する拡径装置によって実行される、請求項1記載のライニング工法。
【請求項3】
前記ステップ(a)では、前記先頭の芯材を前記第1マンホール側から引っ張ることによって前記第2マンホールから前記既設管内に芯材を順次引き込む、請求項1または2記載のライニング工法。
【請求項4】
さらに、(f)前記第1マンホールを通して、前記コイル成形体を外した芯材を取り出すステップを含む、請求項1ないし3のいずれかに記載のライニング工法。
【請求項5】
前記ステップ(f)では、前記ステップ(b)または(d)を実行する都度前記芯材を取り出す、請求項4記載のライニング工法。
【請求項6】
前記ステップ(f)では、前記ステップ(b)または(d)を実行した後複数の芯材を一度に取り出す、請求項4記載のライニング工法。
【請求項7】
前記ステップ(a)では、地上で予め連結している複数の芯材を前記第2マンホールを経て前記既設管内に順次引き込む、請求項1ないし6のいずれかに記載のライニング工法。
【請求項8】
前記ステップ(a)では、複数の芯材を前記第2マンホール内で連結しながら前記既設管内に順次引き込む、請求項1ないし6のいずれかに記載のライニング工法。
【請求項9】
前記ステップ(a)で、(a1)前記第1マンホール側から引っ張って複数の芯材を前記第1マンホールと前記第2マンホールとの間の第1区間において前記既設管内に順次引き込み、
前記ステップ(a1)の後、前記第1区間において前記ステップ(b)-(e)を実行し、
(g1)前記ステップ(e)の後前記第1マンホールと前記第2マンホールとの間の前記第1区間とは別の第2区間にある、コイル成形体を外した複数の芯材を前記第1マンホールから取出し、ついで
前記ステップ(a)で、(a2)前記第2マンホール側から引っ張って複数の芯材を前記第2区間において前記既設管内に順次引き込み、
前記ステップ(a2)の後、前記第2区間において前記ステップ(b)-(e)を実行し、
(g2)前記ステップ(e)の後前記第1区間にある、コイル成形体を外した複数の芯材を前記第2マンホールから取出す、請求項1記載のライニング工法。
【請求項10】
(h) 請求項1ないし9のいずれかに記載のライニング工法で敷設したコイル成形体の内部にライニング材を敷設するステップSをさらに実行する、ライニング工法。
【請求項11】
請求項10のライニング工法で更生された、更生管路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ライニング工法および更生管路に関し、特にたとえば、コイル成形体を用いて老朽化した既設管内に更生管路を形成するための、ライニング工法および更生管路に関する。
【背景技術】
【0002】
この発明の背景となる背景技術の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1の技術では、既設管内を自走できるコイル成形体敷設装置を用い、この縮径した状態のコイル成形体をチャックユニットでコイル成形体敷設装置上に固定し、既設管内に車輪移動し、既設管内の所定位置でチャックユニットから取り外してコイル成形体を復元させることによって、既設管内にコイル成形体を敷設する。
【特許文献1】特開2013‐226808号[B29C 63/34 F16L 55/16, 1/00]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の技術では、コイル成形体敷設装置に縮径したコイル成形体を保持し、コイル成形体敷設装置が自走して既設管内でコイル成形体を拡径して敷設するので、コイル成形体の敷設作業を簡単に行えるという利点はあるものの、1つのコイル成形体を敷設するのに1つのコイル成形体敷設装置が必要で、そのためのコストがかかる。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、ライニング工法および更生管路を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、コストを抑えながら施工性を改善できる、ライニング工法および更生管路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
第1の発明は、第1マンホールと第2マンホールとの間に埋設されている既設管内にコイル成形体を敷設し、そのコイル成形体内にライニング材を挿入することによって更生管路を形成するライニング工法であって、
(a)各々が中空部を有し、その外面上に、既設管の内径に対応する外径を有するコイル成形体を縮径した状態で保持している、複数の芯材を連結して既設管内に引き込むステップ、
(b)先頭の芯材からコイル成形体を外すことによって当該先頭の芯材に保持されていたコイル成形体を拡径するステップ、
(c)後続する芯材をさらに移動させることによって当該後続する芯材をステップ(b)で拡径したコイル成形体に後続する位置に位置決めするステップ、
(d)位置決めした後続する芯材からコイル成形体を外すことによって当該位置決めした後続する芯材に保持されていたコイル成形体を拡径するステップ、および
(e)ステップ(c)および(d)を必要に応じて繰り返し、既設管内にコイル成形体を敷設するステップを含む、ライニング工法である。
【0008】
第1の発明では、たとえば芯材(20)およびこの芯材(20)とは別体の拡径装置(60)を利用する。芯材(20)は、中空部を有する、たとえば円筒状に形成され、その外面上に、コイル成形体(10)を、縮径した状態で保持する。コイル成形体(10)の外径は更生すべき既設管(100)の内径よりやや大きく設定されている。拡径装置(60)は、芯材(20)の中空部内を移動可能な大きさ形状にされている。各々が縮径したコイル成形体を外面上に保持した複数の芯材をたとえば連結部材(90)を用いて連結して既設管内に引き込む。次いで、たとえば拡径装置を用いて、それらの芯材上のコイル成形体の保持を外して、コイル成形体を拡径する。詳しくいうと、既設管内に引き込んだ一連の芯材のうち、まず、先頭の芯材上のコイル成形体を外すことによってこのコイル成形体を拡径する。コイル成形体は拡径すると、芯材上に縮径していたときに比べて、軸方向長さが短くなる。したがって、拡径した先行するコイル成形体と、後続する芯材上の縮径したコイル成形体との間に大きな間隔が生じる。したがって、後続する芯材をさらに移動させることによって当該後続する芯材を、先に拡径したコイル成形体に後続する位置に位置決めした後、後続する芯材の中空部に拡径装置を移動させ、それによって、その芯材に保持されていたコイル成形体を拡径する。以降、このような、位置決め、拡径を繰り返して、既設管内にコイル成形体を敷設する。
【0009】
第1の発明によれば、それぞれにコイル成形体を縮径して保持するかつ互いに連結された複数の芯材を既設管内に連続して引き込んだ後、拡径装置を用いて各芯材上のコイル成形体を拡径することによって、既設管内への芯材すなわち縮径したコイル成形体の導入が容易であり、しかも、それぞれの芯材上のコイル成形体の拡径も連続して実行できるので、ライニング工法におけるコイル成形体敷設工程が効率的に行える。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、ステップ(b)および(d)は、芯材の中空部内を移動する拡径装置によって実行される、ライニング工法である。
【0011】
第2の発明では、拡径装置(60)は、芯材(20)の中空部内を移動可能な大きさ形状にされていて、後続する芯材を移動することによって当該後続する芯材を、先に拡径したコイル成形体に後続する位置に位置決めした後、後続する芯材の中空部に拡径装置を移動させ、その後続する芯材に保持されていたコイル成形体を拡径する。
【0012】
第2の発明によれば、拡径装置を芯材の中空部を通って、次に拡径すべきコイル成形体を保持している芯材内に移動させることができるので、拡径工程が効率的である。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、ステップ(a)では、先頭の芯材を第1マンホール側から引っ張ることによって第2マンホールから既設管内に芯材を順次引き込む、ライニング工法である。
【0014】
第3の発明では、たとえば、ロープ(108)を第1マンホール(102)からウィンチで引っ張るようにし、ロープ(108)には、たとえば第2マンホール(104)内において、先導管(110)が連結され、この先導管(110)の後ろに、コイル成形体(10)を縮径した状態で外面上に保持している芯材(20)を順次連結する。そして、ウィンチによってロープ(108)を第1マンホール(102)を通して引っ張ることによって、先導管(110)とそれに続く複数の芯材(20)が第2マンホール(104)から既設管(100)内に引き込まれる。
【0015】
第3の発明によれば、たとえば第1マンホールからロープを引っ張ることによって、順次芯材を既設管内に引き込むことができる。
【0016】
第4の発明は、第1ないし第3の発明のいずれかに従属し、さらに、(f)第1マンホールを通して、コイル成形体を外した芯材を取り出すステップを含む、ライニング工法である。
【0017】
第4の発明では、コイル成形体(10)を解放拡径した芯材(20)が、後続する芯材(20)を順次位置合わせするとき、後続する芯材(20)に押されて、第1マンホール(102)内に出てくる。そこで、連結部材(90)による芯材の連結を解除すれば、第1マンホール(102)の上部開口から地上に取り出すことができる。
【0018】
第4の発明によれば、空になった芯材を第1マンホールから順次回収することができるので、芯材の回収を効率的に行える。
【0019】
第5の発明は、第4の発明に従属し、ステップ(f)では、ステップ(b)または(d)を実行する都度芯材を取り出す、ライニング工法である。
【0020】
第5の発明では、後続する芯材(20)を順次位置合わせするとき、後続する芯材(20)に押されて、第1マンホール(102)内に出てくるので、その都度、第1マンホール(102)の上部開口から地上に取り出すことができる。
【0021】
第4の発明によれば、空になった芯材を第1マンホールから順次回収することができるので、芯材の回収を効率的に行える。
【0022】
第6の発明は、第4の発明に従属し、ステップ(f)では、ステップ(b)または(d)を実行した後複数の芯材を一度に取り出す、ライニング工法である。
【0023】
第6の発明では、コイル成形体(10)を解放拡径した芯材(20)が、後続する芯材(20)を順次位置合わせするとき、後続する芯材(20)に押されて、第1マンホール(102)内に出てくるので、第1マンホール(102)から複数の芯材を一度に地上に取り出すことができる。
【0024】
第6の発明によれば、空になった芯材の回収を効率的に行える。
【0025】
第7の発明は、第1ないし第6の発明のいずれかに従属し、ステップ(a)では、地上で予め連結している複数の芯材を第2マンホールを経て既設管内に順次引き込む、ライニング工法である。
【0026】
第7の発明では、連結部材(90)として、連結長さを伸縮できる連結部材(たとえば、図30)を用い、地上で先行する芯材と後続する芯材を順次連結しておく。そして、マンホールから既設管(100)に引き込むまで、連結長さを長くしておき、既設管内に引き込むときに連結長さを短くする。連結長さが長いまま既設管内に引き込んでもよいが、そうすると既設管内に一度に引き込める芯材の数が少なくなる。連結長さを短くして引き込むようにすれば、そのような問題は生じない。
【0027】
第7の発明によれば、縮径した状態のコイル成形体を保持している複数の芯材連結する作業が地上でできるので、施工の効率が上がる。
【0028】
第8の発明は、第1ないし第6の発明のいずれかに従属し、ステップ(a)では、複数の芯材を第2マンホール内で連結しながら既設管内に順次引き込む、ライニング工法である。
【0029】
第8の発明では、マンホール内で、先行する芯材と後続する芯材とを連結して、順次既設管内に引き込む。
【0030】
第8の発明によれば、地上で連結しないので、地上での作業が簡素化でき、そのための作業スペースが小さくてよい。
【0031】
第9の発明は、第1の発明に従属し、ステップ(a)で、(a1)第1マンホール側から引っ張って複数の芯材を第1マンホールと第2マンホールとの間の第1区間において既設管内に順次引き込み、ステップ(a1)の後、第1区間においてステップ(b)-(e)を実行し、(g1)ステップ(e)の後第1マンホールと第2マンホールとの間の第1区間とは別の第2区間にある、コイル成形体を外した複数の芯材を第1マンホールから取出し、ついでステップ(a)で、(a2)第2マンホール側から引っ張って複数の芯材を第2区間において既設管内に順次引き込み、ステップ(a2)の後、第2区間においてステップ(b)-(e)を実行し、(g2)ステップ(e)の後第1区間にある、コイル成形体を外した複数の芯材を第2マンホールから取出す、ライニング工法である。
【0032】
第9の発明では、第1マンホール(102)と第2マンホール(104)との間の所定区間をたとえば二分して第2マンホール(104)に近い第1区間(S1)および第1マンホール(102)に近い第2区間(S2)を設定する。たとえば、第1マンホール(102)からロープ(108)を引っ張って、既設管(100)の第1区間(S1)内に、第2マンホール(104)から、各々が縮径したコイル成形体を保持している複数の芯材を引き込む。次いで、この第1区間(S1)内の芯材(20a1‐20a5)から、コイル成形体(10a1‐10a5)を、後続の芯材を位置決めしながら、順次拡径する。その段階で、空の芯材(20a1‐20a5)が第2区間(S2)内に押し出されているので、次に、第1マンホール(102)から各芯材(20a1‐20a5)を地上に回収する。
【0033】
次に、芯材を除去した第2区間(S2)内へ、それぞれが縮径したコイル成形体(10b1‐10b5)を保持する複数の芯材(20b1‐20b5)を、たとえば、第2マンホール(104)からロープ(108)を引っ張って、第1マンホール(102)から、引き込む。次いで、この第2区間(S2)内の芯材(20b1‐20b5)から、コイル成形体(10b1‐10b5)を、後続の芯材を位置決めしながら、順次拡径する。その段階で、空の芯材(20b1‐20b5)が第1区間(S1)内に押し出されているので、次に、第2マンホール(104)から各芯材(20b1‐20b5)を地上に回収する。
【0034】
第9の発明によれば、たとえば各区間における、芯材の引き込みおよびコイル成形体の拡径工程の後に、時間的には独立して、芯材の回収工程を行うことができる。したがって、効率的であるし、2つの工程が時分割で行えるので、同じ作業員で2つの工程を実施することができるので、結果的に敷設コストが節約できる。
【0035】
第10の発明は、第1ないし第9の発明のいずれかに従属し、これらに従ったライニング工法で敷設したコイル成形体の内部にライニング材を敷設するステップをさらに実行する、ライニング工法である。
【0036】
第10の発明では、既設管(100)内に敷設したコイル成形体(10)の内部にライニング材(18)をライニングすることによって、既設管を更生できる。
【0037】
第11の発明は、第10の発明に従ったライニング工法で更生された、更生管路である。
【発明の効果】
【0038】
この発明によれば、連結した複数の芯材を既設管内に連続して引き込んだ後、各芯材上のコイル成形体を順次拡径することができるので、効率的である。
【0039】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1はこの発明の一実施例を利用したライニング工法に用いられるコイル成形体を示す概略図であり、図1(a)は縮径前のコイル成形体を示し、図1(b)は縮径した状態のコイル成形体を示す。
図2図2はライニング工法に用いられるライニング材を示す概略図であり、図2(a)はライニング材の平面図を示し、図2(b)は断面図を示す。
図3図3はこの発明の一実施例のコイル成形体敷設装置を構成する芯材の一例の概略図であり、前方から見た斜視図を示す。
図4図4図3の芯材の後方から見た斜視図を示す。
図5図5はこの発明の一実施例のコイル成形体敷設装置を構成する拡径装置の一例を示す概略図であり、図5(a)は前方上面から見た斜視図を示し、図5(b)は後方前方下面から見た斜視図を示す。
図6図6図3および図4に示す芯材の外面上に図1(a)に示すコイル成形体を縮径して保持した状態を示す概略図であり、図6(a)は芯材の前方から見た斜視図を示し、図6(b)は芯材の後方から見た斜視図を示す。る。
図7図7は2つの芯材を連結する連結部材の一例を示す概略図であり、図7(a)は2つの芯材を未だ連結していない状態を示し、図7(b)は後続する芯材の連結金具に先行する芯材の連結金具に取り付けられたITハンガの回転プレートが挿入された状態を示し、図7(c)はITハンガの回転プレートが回転して連結した状態を示す。
図8図8はこの発明の一実施例に従ったライニング工法におけるコイル成形体敷設方法の初期工程を示す概略図である。
図9図9はコイル成形体敷設方法の次の工程を示す概略図である。
図10図10はコイル成形体敷設方法の図9より後の工程を示す概略図である。
図11図11はコイル成形体敷設方法の図10より後の工程を示す概略図である。
図12図12は縮径したコイル成形体を外面上に保持している芯材の中空部に拡径装置が入った状態を示す概略図であり、図12(a)が斜視図であり、図12(b)が左側面から見た図であり、図12(c)は図12(b)の線XIIC‐XIICにおいて切断した芯材の内部を示す図である。
図13図13はコイル成形体敷設方法の図11より後の工程を示す概略図である。
図14図14図11図13の間の工程を示す概略図である。
図15図15はコイル成形体敷設方法の図13より後の工程を示す概略図である。
図16図16はコイル成形体敷設方法の最終工程を示す概略図である。
図17図17はこの実施例に従ったライニング工法におけるライニング材敷設方法を示す概略図である。
図18図18はこの発明の他の実施例に従ったライニング工法におけるコイル成形体敷設方法の初期工程を示す概略図である。
図19図19はコイル成形体敷設方法の次の工程を示す概略図である。
図20図20はコイル成形体敷設方法の図19より後の工程を示す概略図である。
図21図21はコイル成形体敷設方法の図20より後の工程を示す概略図である。
図22図22はコイル成形体敷設方法の図21より後の工程を示す概略図である。
図23図23はコイル成形体敷設方法の図22より後の工程を示す概略図である。
図24図24はコイル成形体敷設方法の図23より後の工程を示す概略図である。
図25図25はコイル成形体敷設方法の図24より後の工程を示す概略図である。
図26図26はコイル成形体敷設方法の図25より後の工程を示す概略図である。
図27図27はコイル成形体敷設方法の図26より後の工程を示す概略図である。
図28図28はコイル成形体敷設方法の図27より後の工程を示す概略図である。
図29図29はコイル成形体敷設方法の最終工程を示す概略図である。
図30図30はこの発明の他の実施例に用いる連結部材の一例を示す平面概略図である。
図31図31図30の連結部材によって先行する芯材の連結金具および後続する芯材の連結金具を連結した状態を示す断面概略図である。
図32図32図30の連結部材を用いて連結長さが伸縮できることを示す概略図であり、図32(a)は連結長さを最大に伸ばした状態を示し、図32(b)は連結長さを最小に縮めた状態を示す。
図33図33はこの実施例の連結部材を用いて連結した芯材を既設管内に引き込む状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1を参照して、この発明の一実施例に用いられるコイル成形体10は、コイル用線材12を螺旋状に巻いたものであり、コイル成形体10の外径D1は、更生すべき老朽化した既設管100(図1では図示せず。(図8))の内径と同じか、それよりやや大きく設定される。
【0042】
なお、この発明のライニング工法を利用して更生すべき既設管としては種々のものが考えられるが、たとえば、上下水道、ガス、通信ケーブル保護または電力ケーブル保護等の用途の既設管路であってよいし、また、鉄筋コンクリート管(ヒューム管)、陶管、鋳鉄管、鋼管ならびに塩ビ管のような合成樹脂管等の材料でから構成されるものであってよい。
【0043】
図1に示すコイル成形体10は、十分な剛性や弾性を有する材料、たとえばアルミニウム合金、鋼またはステンレス鋼などの金属、合成樹脂、ならびにGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの繊維強化プラスチックを素材として形成され、この実施例では、コイル成形体10の素材としてGFRPが使用される。
【0044】
コイル成形体10は、長さ方向に直交する断面が横長の長方形状の線材12を巻芯(図示せず)などに螺旋状に巻回することによって円筒状に形成される。ただし、コイル成形体10の成形方法は特に限定されず、繊維強化プラスチック管に螺旋状に切り込みを入れることによってコイル成形体10を形成するようにしてもよいし、専用の金型に樹脂等を流し込んで成形するようにしてもよい。コイル成形体10の呼び径D1は、上述のように既設管の内径に対応するサイズに設定されるが、一例として、300‐700mmであり、その軸方向の長さL1は、300‐700mmである。
【0045】
図1に示すコイル成形体10の線材12の一方端に雌ねじ14aが形成されている。図1では一方端だけが描かれているので図示はしていないが、他方端にも雌ねじが形成されている。後の説明で必要になるので、ここではその他方端の雌ねじを便宜上「14b」と呼ぶ。この雌ねじ14a(および14b)は、コイル成形体10を後述の芯材(図3図4)上で保持するために利用される。上述のように、コイル成形体10の線材12は、たとえばGFRPであり、そのままタッピングしても雌ねじは形成されにくい。そこで、発明者等は、雌ねじを形成した金属製のチップを準備し、それを線材12の該当位置に形成した穴の中に埋め込んで接着するという方法で、コイル成形体10の線材12の両端に雌ねじ14a(および14b)を形成した。ただし、雌ねじ14a(および14b)の形成方法はこのような方法に限られるものではない。
【0046】
コイル成形体10は、その特性(剛性、弾性など)により、巻回(されている)方向へ回転させたり、伸長方向に引っ張ったりすると、その回転力や引張力に応じて縮径できる。このような特性を利用して、この発明に従った実施例のコイル成形体敷設装置を用いるライニング工法では、図1(a)に示す外径D1、長さL1を有するコイル成形体10を、図1(b)に示すように、外径D2(D1>D2)、長さL2(L1<L2)を有するコイル成形体10として縮径して、既設管内に導入するようにしている。
【0047】
既設管を更生するためには、さらに、既設管内に後述のようにして敷設されたコイル成形体10の内面にライニング材をライニングしなければならない。一例として、図2に示すライニング材18は、縮径加工により周方向の一部が押し込まれた断面略ハート形状を有する縮径管である。ライニング材18は、たとえば合成樹脂(ポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレン、ナイロン、塩化ビニル等)や繊維強化プラスチックなどで形成することができるが、実施例では、ポリエチレンのライニング材18を用いる。
【0048】
ライニング材18は、所定の温度に加熱しかつ加圧されることにより円筒形に復元され、コイル成形体10の内面に密着して更生管路(ライニング管)を形成する。ライニング材18は、復元したときの外径がコイル成形体10の内径と等しいか略等しくなるように設定されている。
【0049】
このライニング材18は、公知の種々の方法によって製造することができるので、その製造方法の詳細な説明は省略するが、簡単に言えば、所定の径で押出成形された直管に対して、軟化点以上融点以下の範囲における所定の温度(この実施例では、たとえば約100℃程度)に加熱して、押し板やローラ等を用いて略U字状の押し込み部分を形成することによって製造される。したがって、ライニング材18を再び軟化点以上融点以下の温度に加熱し内部から加圧することにより、押し込み部分が外面側へ戻されて、ライニング材18は既設管内で所定形状(円筒形等)に復元する。
【0050】
図1に示すコイル成形体10を縮径して既設管内に導入するために、この実施例では、図3および図4に示す芯材20を用いる。芯材20は、中空の円筒形状に形成される。ただし、必ずしも円筒である必要はなく、図1(b)のように縮径したコイル成形体10を保持できれば、4角形や6角形などの多角形の中空筒状であってよい。
【0051】
図3および図4に示す円筒形の芯材20はたとえば鉄のような金属からなる円筒を用いて作るが、中空部に種々の構成部品を設ける必要上、必要な強度を確保しながら、円筒の適宜箇所を切除している。芯材20の外径は、縮径時のコイル成形体10の内径よりも小さく設定され、たとえば200‐600mmであり、その軸方向の長さは、コイル成形体10の縮径時の長さより長く設定され、たとえば400‐800mmである。
【0052】
この実施例では、芯材20は、軸方向に間隔を隔てた3つのリング状部22a、22bおよび22cとそれらを連結する任意数(実施例では5つ)の連結部24を含む。なお、実施例では、後端のリング状部22bの幅は他の2つのリング状部22aおよび22cの幅より大きく設定されている。
【0053】
芯材20の中空部内には、前端のリング状部22aから後端のリング状部22bまで芯材20の軸方向全長に延び、たとえばボルトなどによって各リング状部22a、22bおよび22cに固着された、2本のレール26および28が設けられる。各レール26および28の前端および後端はそれぞれ先端に向うにつれて外方に拡げられた易進入部30として形成されていて、それによって後述の拡径装置60のそり66および68(図5)がレール26および28上に容易に進入できるようにされている。レール26および28は、実施例では断面U字形状とされ、それぞれ幅方向両端に側板26aおよび28aを有し、この側板26aおよび28aが、レール26および28上に載ったそり66および68の周方向への移動、脱落を防止する。
【0054】
なお、レール26および28は、実施例では、後述の拡径装置60(図5)の走行の安定性を確保するために、それぞれ鉛直方向に対して45°の角度を有して、つまり芯材20の周方向に円弧角でいえばたとえば90°離れた位置に設けられている。ただし、レール26および28間の間隔はこれに限るものではない。
【0055】
芯材20の前端リング状部22aの内面には、たとえば180°離れて対向する位置にそれぞれ連結金具32がたとえばボルトによって固着される。連結金具32はたとえば、断面L字形状に形成され、L字の一辺がリング状部22aの内面に固着され、L字の他方辺には透孔32aが形成される。
【0056】
同じように、芯材20の後端リング状部22bの内面には、たとえば180°離れた対向する位置にそれぞれ連結金具34が設けられる。連結金具34はたとえば、断面L字形状に形成され、L字の一辺がリング状部22bの内面に固着され、L字の他方辺には透孔34aが形成される。
【0057】
これら連結金具32および34は、後述のように、多数の芯材20を連結するために連結部材90(図7)と協働する。
【0058】
芯材20の上記レール26および28の中間の位置における前端リング状部22aおよび後端リング状部22bには、図1に示すコイル成形体10を、縮径した状態で芯材20上に保持するための保持手段ないし保持機構36aおよび36bが設けられる。
【0059】
保持機構36aおよび36bは、逆U字状でかつ先端がともに外方に折り曲げられたアングル38aおよび38bを有し、アングル38aおよび38bの折り曲げ
部が前端リング状部22aおよび後端リング状部22bにボルト止めされている。アングル38aおよび38bの平坦部には透孔(これは雌ねじであってよい。)が形成されていて、この透孔にボルト40aおよび40bが挿通される。
【0060】
ボルト40aおよび40bの先端はリング状部22aおよび22bの内面に設けられたナットに螺合した後に、リング状部22aおよび22bにそれぞれ形成された透孔(図示せず)を通して、リング状部22aおよび22cの外面上に突出可能である。ボルト40aおよび40bの後端にはハンドル42aおよび42bが固着されていて、ハンドル42aおよび42b回すことによって、ボルト40aおよび40bをリング状部22aおよび22bの外面に出没させることができる。
【0061】
このボルト40aおよび40bは、図1に示すコイル成形体10の線材12の両端に設けた雌ねじ14a(および14b)に螺合できる。
【0062】
芯材20の中間のリング状部22cには、180°離れた対向位置(実施例では)に当たり棒44が内方に延びて取り付けられる。芯材20の中空部内を図5の拡径装置60が移動するので、その移動空間を確保するため、当たり棒44の長さは芯材20の半径より短く設定される。
【0063】
上述のレール26および28と図5に示す拡径装置60のそり66および68が、協働して、芯材20と拡径装置60との周方向の相対的位置の位置決め手段として機能するのに対して、係止部材として機能する当たり棒44は、係合部材として機能する図5に示す拡径装置60の起立片74と協働して、芯材20と拡径装置60との軸方向の相対的位置の位置決め手段として機能する。このように、位置決め手段によって芯材20と拡径装置60の相対的位置の位置決めが行われるので、芯材20と拡径装置60が別体で構成されていても、拡径装置60は確実に芯材20の所要部に作用することができる。さらに、位置決め手段によって芯材20と拡径装置60の相対的周方向位置および相対的軸方向位置の位置決めが行われるので、拡径装置60を、別体で構成されている芯材20の中空部内に確実に位置決めできる。ことのき、拡径装置60を芯材20の中空部内で軸方向に移動させるための手段(実施例でいえば、レール26および28とそり66および68)が周方向の相対的位置の位置決め手段に兼用されるので、周方向位置決め手段として特別な構成を設ける必要がない。
【0064】
芯材20のリング状部22aの外面上に出没可能なガイド46a、46bおよび46cが、芯材20の周方向の適宜の位置に設けられる。一方、芯材20のリング状部22bの外面上に出没可能なガイド48aおよび46bが、ガイド46aおよび46bと対応する位置に設けられる。
【0065】
ガイド46aと48aは連結杆50aの両端に取り付けられていて、この連結杆50aは、ばね52によって定常的には芯材20の径方向内方に押された状態で、芯材20の外周内面に取り付けられている。この状態ではガイド46aと48aはリング状部22aの外面より内方に沈んだままである。そして、連結杆50aをこのばね52の弾発力に抗して芯材20の径方向外方に押すことによって、ガイド46aおよび48aがリング状部22aおよび22bの外面上に突出させられる。
【0066】
同様に、ガイド46bと48bは連結杆50bの両端に取り付けられていて、連結杆50bもばね54によって定常的には径方向内方に押されている。したがって、ガイド46bと48bはリング状部22bの外面より内方に沈んだ状態である。そして、連結杆50bをこのばね54の弾発力に抗して芯材20の径方向外方に押すことによって、ガイド46bおよび48bがリング状部22aおよび22bの外面上に突出させられる。
【0067】
ガイド46cは芯材20の前端側にのみ設けられ、ガイド46cは、連結杆50cに取り付けられる。連結杆50cは、ばね56によって定常的には芯材20の径方向内方に押された状態で、芯材20の外周内面に取り付けられている。この状態ではガイド46cはリング状部22aの外面より内方に沈んでいる。そして、連結杆50cをばね56の弾発力に抗して芯材20の径方向外方に押すことによって、ガイド46cがリング状部22aの外面上に突出させられる。
【0068】
図5に示す拡径装置60は、芯材20の外面上に縮径された状態で保持されているコイル成形体10の両端を解放することによって、コイル成形体10を拡径するためのものである。マンホールからマンホールまでの1区間の更生工事において、芯材20は複数用いられるが、拡径装置60は、1台あればよい。
【0069】
拡径装置60は金属製のベース板62を含む。このベース板62の幅は、芯材20の中空部を移動可能な大きさに設定されている。ベース板62の前端および後端には、係止具64aおよび64bが固着される。この係止具64aおよび64bをたとえばロープ(図示せず)などで引っ張ることによって、拡径装置60を前方向または後方向に移動させることができる。
【0070】
ベース板62の下方には、ベース板62の幅方向両端において所定の角度で外方に拡がるそり66および68が設けられる。走行部材として機能するそり66および68は、たとえば、ベース板62の下面に固着された1枚の取り付け板67の端部に保持される。このそり66および68が上述のように芯材20のレール26および28に載ることによって、拡径装置60が芯材20の中空部内に留まることができ、あるいは係止具64aまたは64bが引っ張られることによって、芯材20の中空部内を軸方向に走行できる。
【0071】
ベース板62上の係止具64aおよび64bより内側には、それぞれが減速機構を内蔵する2つのエアモータ70aおよび70bが設置され、エアモータ70aおよび70bの出力軸には、ベース板62の下方において、回転板71aおよび71bが固着される。なお、エアモータは、一例として、エアー供給口から供給された圧縮空気がベーンで区切られた室に入ることによって、ロータを回転させる、そのようなモータである。
【0072】
回転板71aおよび71bは、たとえば平面矩形の平板であり、その上面がエアモータ70aおよび70bの回転軸に固着される。回転板71aおよび71bの下面には、両端に、回転棒72aおよび72bの上端が固着される。したがって、エアモータ70aおよび70bが回転駆動されると、回転板71aおよび71bは水平面内で回転し、応じて下面に取り付けられている回転棒72aおよび72bが、モータ軸を中心として互いに180°の間隔を保持して、回転する。
【0073】
回転棒72aは、先に説明した芯材20の前側のハンドル42aに作用するもので、芯材20の中空部の所定位置に拡径装置60が位置決めされているとき、エアモータ70aによって回転板71aが回転されると、回転棒72aが回転し、この回転棒72aはハンドル42aの側面に当たる。その状態で回転板71aがさらに回転されると、回転棒72aによってハンドル42aが回される。
【0074】
回転棒72aが左に回転されると、ハンドル42aも左に回転され、したがって、ボルト40aの先端がコイル成形体10の雌ねじ14aから外れる。つまり、ボルト40aとコイル成形体10の雌ねじ14aとの螺合が解除され、コイル成形体10の前端側の保持が解放される。回転棒72bが左に回転されると、ハンドル42bも左に回転され、したがって、ボルト40bの先端がコイル成形体10の雌ねじ14bから外れる。つまり、ボルト40bとコイル成形体10の雌ねじ14bとの螺合が解除され、コイル成形体10の後端側の保持が解放される。
【0075】
したがって、エアモータ70a、70bやそれによって回転されてハンドル42a、42bに作用する回転棒72a、72bはコイル成形体の保持を解放する解放手段として機能する
ベース板62上には、軸方向のほぼ中央の幅方向両端に、起立片74が設けられる。起立片74は、断面がたとえば「U」字状とされ、平面部とその両端から前方側に立ち上がる側板を含み、その側板が前方の軸76に固着される。軸76はベース板62上に固着された保持具78によって回動可能に保持される。
【0076】
起立片74の後方のベース板62上には、ストッパ80が設けられる。ストッパ80はたとえば「L」字状金具であり、その一方辺がベース板62に固定されている。
【0077】
起立片74が固着された軸76には、ねじりばね82が装着されている。したがって、起立片74は、そのねじりばね82によって、ストッパ80に当たるまで、後方に付勢されている。ただし、ストッパ80側(後方)から起立片74を押すと、起立片74はねじりばね82の弾発力に抗して倒れる。
【0078】
図3および図4に示す芯材20の中空部には前述のように当たり棒44が両側から内方に延びている。起立片74は起立したときの高さが、起立片74の少なくとも上端が当たり棒44に当たる高さに設定される。したがって、拡径装置60が芯材20の中空部内を、後方から前方へ移動するとき、起立片74はねじりばね82によって起立されているので、起立片74の前面上端が当たり棒44の後ろ側に当たる。そのまま拡径装置60が前方へ移動すると、起立片74が当たり棒44の後ろ側に当たった状態なので、芯材20も拡径装置60の移動につれて移動する。
【0079】
したがって、当たり棒44と起立片74は協働して、芯材20と拡径装置60の軸方向の相対的位置を固定する、位置決め手段として機能するとともに、芯材20を移動させる移動手段としても機能する。
【0080】
ただし、拡径装置60を前方から後方に移動させるときには、起立片74の後面上端が当たり棒44に当たるが、当たり棒44の当接力がねじりばね82の弾発力を超えると、起立片74は前方に倒れる。したがって、この場合には起立片74と当たり棒44は係合しない。
【0081】
つまり、拡径装置60を移動させるべきときには起立片74が倒れるので、拡径装置60は芯材20の中空部を自由に移動できる。一方、軸方向の位置決めが必要なとき、たとえば起立片74が当たり棒44に当たったままの状態になり、必要なときには確実に位置決めが行われ得る。
【0082】
拡径装置60のベース板62上には、軸方向中央部に「X」字状に交差して斜めに配置された2つのエシリンダ84aおよび84b、ならびに軸方向前方のベース板62の幅方向中央に直立した1つのエアシリンダ84cが設けられる。これらエアシリンダ84a、84bおよび84cのピストンロッドの先端は、それぞれ、先に説明した芯材20の連結杆50a、50bおよび50cに作用するように配置される。たとえば、給気ポート(図示せず)からエアシリンダ84aのピストンの後方に空気が供給されると、ピストンロッドが前方に押し出され、それによって連結杆50aが押され、この連結杆50aに固着されているガイド46aおよび48aを押し上げる。そのため、ガイド46aおよび48aが芯材20の外面上に突出する。同様に、エアシリンダ84bおよび84cの各ピストンの後方に空気を供給すると、ピストンロッドが連結杆50bおよび50cを押すので、連結杆50bおよび50cに固着されているガイド46bおよび46cが芯材20の外面上に突出する。
【0083】
このように、拡径装置60によって芯材20のガイド46a、46b、46c、48a、48bを操作することができるので、既設管100(後述)内に芯材20を導入した後でも必要なときに確実にガイド46a‐46cおよび48a‐48bを出没させることができる。
【0084】
ガイド46a、46bおよび46cは、図6に示すように、芯材20の外面上で縮径したコイル成形体10の前端を決めるための、前端側ガイド(第1ガイド)である。ガイド48aおよび48bもコイル成形体10の後端を決めるための、後端側ガイド(第2ガイド)であるが、このガイド48aおよび48bは、コイル成形体10を拡径するときにコイル成形体10の後端が揺動する(暴れる)のを防止するためのものである。
【0085】
図1を参照して説明したように、コイル成形体10の縮径時の長さL2は、拡径時の長さL1より長い。したがって、コイル成形体10が拡径するときコイル成形体10の後端が、距離(L2−L1)だけ前方に移動する。もしガイド48aおよび48bを、ガイド46a‐46cと同じように縮径時のコイル成形体10の後端に配置しておくと、後端ガイド48aおよび48bが拡径後のコイル成形体10の後端から離れてしまうので、結果的に、ガイド48aおよび48bがコイル成形体10の拡径時の後端規制として機能しない。
【0086】
そこで、この実施例では、図6に示すように、ガイド48aおよび48bの位置を、拡径時にコイル成形体10の後端になると予測される位置に配置する。つまり、縮径時のコイル成形体10の後端より上記距離(L2−L1)だけ前方に配置するようにした。そうすると、コイル成形体10の拡径時の後端位置にガイド48aおよび48bが位置することになり、ガイド48aおよび48bがコイル成形体10の拡径時のコイル成形体の後端の揺動を規制または抑制することができる。
【0087】
図7に示すように、隣接する芯材20どうし、すなわち先行する芯材20と後続する芯材20は、一緒に既設管100(図8)内に引き込む際に、連結部材90によって連結される。
【0088】
連結部材90は、図7の実施例では、ITハンガで構成される。ITハンガすなわち連結部材90は、ねじ本体92と、ねじ本体92の先端に軸94によって回動可能に支持され、かつねじ本体92と同径の回転プレート96を含む。この実施例では、さらに、ねじ本体92と回転プレート96に跨って、金属またはプラスチックからなるカラー98が被せられ、それによって図7(a)に示す未連結の状態では、回転プレート96がねじ本体92の軸線上で一直線の状態(アルファベットの「I」字状)に保持されている。
【0089】
ねじ本体92は、先行する芯材20の中空部後端に設けられている接続金具34の透孔34a(図4)に挿通され、ねじ部分に接続金具34の両面からナットが螺合され、それによってねじ本体92は、先行する芯材20の後端の連結金具34に強固に固定される。
【0090】
先行する芯材20に後続する芯材20を連結する場合、図7(a)の状態から図7(b)に示すように、連結部材90の回転プレート96が後続する芯材20の中空部前端に設けられている接続金具32の透孔32a(図3)中を挿通するように、後続する芯材20を先行する芯材20に近づける。このとき、カラー98は接続金具32の前面に押されてねじ本体92上に移動する。
【0091】
連結部材90の回転プレート96が後続する芯材20の接続金具32の透孔32aを通過すると、回転プレート96が自重で回転し、ねじ本体92に対して直角の状態、つまり、アルファベットの「T」字の状態になる。したがって、後続する芯材20の連結金具32に連結部材90の、垂直に回転した回転プレート96が係合する。つまり、先行する芯材20と後続する芯材20が連結部材90によって連結される。
【0092】
この実施例では、芯材20の前端側の連結金具32および後端側の連結金具34がともに、前述のように周方向に間隔を隔てて(実施例では180°で対向して)2箇所ずつに設けられる。したがって、先行する芯材の2つの連結金具34と後続する芯材の2つの連結金具32をそれぞれ連結部材90で連結すると、周方向の2箇所での連結によって、先行する芯材20と後続する芯材20が、周方向に拘束されてずれることがない。したがって、先行する芯材のレール26および28と後続する芯材のレール26および28がずれることなく直線を形成し、それによって拡径装置60を安定してレール上を走行させることができる。
【0093】
先に説明したように、先行する芯材の連結金具34と連結部材90(のねじ本体92)とは強固に固定されている。したがって、先行する芯材20と連結部材90は剛性を持って連結されているといえる。他方、後続する芯材の連結金具32と連結部材90とは、ねじ本体92が連結金具32の透孔32aを緩く挿通するだけなので、連結金具32は連結部材90に対して可撓性を持って連結されているといえる。したがって、連結部材90は連結金具32の透孔32aに対してその透孔32aの径方向に変位可能であるし、連結金具32と連結部材90は軸方向において一定長さ(連結部材90の長さに依存する。)分、相対的に変位可能である。つまり、この実施例では、先行する芯材の連結金具34と連結金具90とは相対的に変位しないが、後続する芯材の連結金具32と連結部材90とは相対的に変位可能である。
【0094】
図1(a)に示すコイル成形体10を、上で説明した芯材20と拡径装置60を用いて図8に示す既設管100内に敷設する。
【0095】
図8に示すように、たとえばヒューム管のような既設管100は、第1マンホール102と第2マンホール104との間(1区間)の地中に埋設される。そして、第1マンホール102内にローラ106を一時的に設置して、このローラ106を介してロープ108を地上に設置されたウィンチ(図示せず)に結ぶ。ローラ106はたとえば、第1マンホール102の上端開口縁に引っ掛けた部材にローラ106を設けておく、という方法で第1マンホール102内に一時的に設置できる。そして、ロープ108の後端には、たとえば第2マンホール104内において、先導管110が連結され、この先導管110が既設管100内に第2マンホール104から導入される。
【0096】
先導管110の後ろに、図6で示したようにコイル成形体10を縮径した状態で外面上に保持している芯材20を連結する。そして、ウィンチ(図示せず)によってロープ108を矢印A方向(図9)すなわち第1マンホール102の方向に引っ張る。応じて、まず、先導管110とそれに連結された1つの芯材20がマンホール104から既設管100内に引き込まれる。
【0097】
最初の芯材20が既設管100内に導入される前または後で、図7を参照して説明したように、最初の芯材20の後端側の連結金具34に固着されたたとえばITハンガのような連結部材90を、後続する芯材20の前端側の連結金具32に連結することによって、たとえば第2マンホール104内において、最初の芯材20と第2番目の芯材20を連結する。
【0098】
以後同様にして、先行する芯材20が既設管100内に導入される前または後で、その芯材20の後端側の連結金具34に固着されたたとえばITハンガのような連結部材90を、後続する芯材20の前端側の連結金具32に連結することによって、たとえば第2マンホール104内において、先行する芯材20と後続する芯材20を連結する。このような連結作業を繰り返すことによって、図11および図12に示すように、ロープ108を第1マンホール102側から引っ張ることによって、複数の芯材20(コイル成形体10を保持している。)を第2マンホール104側から既設管100内に引き込む。
【0099】
このとき、先行する芯材20の後端連結金具34と連結部材90は剛性を持って接続されているが、後続する芯材20の前端連結金具32と連結部材は可撓性を持って連結されている。したがって、連結部材90で連結した芯材20、20、…をロープ108で引っ張るとき、後続する芯材の前端は先行する芯材の後端に追従し易い。そのため、たとえば先行する芯材20が存在する既設管100の部位と後続する芯材20が存在する部位との間にたとえば上り段差があったとしても、後続する芯材の前端は、先行する芯材の後端連結金具34に強固に連結されている連結部材90によって引き上げられるので、後続する芯材は容易にその上り段差を越えることができる。
【0100】
ただし、連結部材90による連結方法は、先行する芯材とは剛性を持って連結し後続する芯材とは可撓性を持って連結するという実施例の方法以外にも、連結部材は先行する芯材および後続する芯材の両方とも可撓性を持って連結する方法が採用されてもよい。
【0101】
重要なことは、連結部材34と32との間において、図7の実施例の連結部材90(ITハンガ)のように剛性の高い部材を用いることである。そうすれば、連結部材90が連結金具34および32と可撓性を持って連結したとしても、後続する芯材の前端は先行する芯材の後端に追従できるので、上述のような上り段差だけでなく、既設管100が部分的に左右に振っていても、後続する芯材は容易にその部分を越えて引き込まれ得る。
【0102】
図9に示すように新たな芯材を先行する芯材に連結してロープ108を引っ張ることによって、コイル成形体10を保持しかつ連結された多数の芯材20が連続的に既設管100内に引き込まれる。そして、図10に示すように、既設管100の全長に亘って、つまり1区間すべてに、縮径したコイル成形体10を装荷した芯材20を連結部材90で連結した状態で引き込む。
【0103】
その後、第2マンホール104内にもローラ112を一時的に設置し、それを介してロープ114の先端を、第2マンホール104から各芯材20の中空部を通して、第1マンホール102内にもたらす。そして、第1マンホール102内において、芯材とは別体の、図5に示すような拡径装置60の後端側の係止具64bにロープ114の先端を係止し、ロープ114を矢印B方向すなわち第2マンホール104の方向に引っ張って、拡径装置60を、後端側から、先頭の(第1マンホール102側に最も近い)芯材20の中空部に引き入れる。
【0104】
図12は縮径したコイル成形体10を外面上に保持している芯材20の中空部に拡径装置60が入った状態を示し、図12(a)が斜視図であり、図12(b)が左側面から見た図であり、図12(c)は図12(b)の線XIIC‐XIICにおいて切断した芯材20の内部を示す図である。
【0105】
拡径装置60が芯材20に作用してコイル成形体10を拡径するためには、前述の周方向の位置決め手段(実施例ではレール26および28とそり66および68)によって芯材20の中空部において拡径装置60が芯材20に対して適正な周方向の相対的位置に位置決めされ、かつ軸方向の位置決め手段(実施例では当たり棒44と起立片74)によって芯材20の中空部において拡径装置60が芯材20に対して適正な軸方向の相対的位置に位置決めされる必要がある。
【0106】
周方向の位置決めは、レール26および28上にそり66および68を進入させることによって達成できる。
【0107】
軸方向の位置決めは、まず、拡径装置60をロープ114で引っ張って第2マンホール104の方向に移動させて、起立片74が倒れた状態で当たり棒44を通過させ、次いで、拡径装置60上の起立片74が芯材20の当たり棒44に当たるまで、拡径装置60をロープ114で引っ張って第1マンホール102の方向に移動させることによって達成できる。
【0108】
適正な相対的位置の位置決めがなされたとき、拡径装置60のエアシリンダ72a、72bおよび72cのピストンロッドの先端が、芯材20の連結杆50a、50bおよび50cに作用できる位置に位置決めされる。したがって、エアシリンダ72aおよび72bの各給気ポートに給気すると、連結杆50aおよび50bがばね52および54の弾発力に抗して押され、連結杆50aおよび50bに固着されているガイド46a、48aおよび46b、48bが芯材20の外面上に突出する。また、アシリンダ72cの給気ポートに給気すると、連結杆50cがばね56の弾発力に抗して押され、連結杆50cに固着されているガイド46cが芯材20の外面上に突出する。
【0109】
つまり、芯材20上に保持されているコイル成形体10の前端にガイド46a、46bおよび46cが当接し、同じくコイル成形体10の後端より内側(前述の距離(L2−L1)に依存する。)において、ガイド48aおよび48bが突出する。その状態で次に、芯材20上のコイル成形体10を拡径する。
【0110】
拡径装置60が芯材20に対して適正に位置決めされたとき、図12に示すように、拡径装置60の回転棒70aおよび70bが芯材20のハンドル42aおよび42bの位置に存在する。そして、回転棒70aおよび70bでハンドル42aおよび42bを回すことによって、コイル成形体10を芯材20から解放して拡径する。
【0111】
コイル成形体10を拡径するのは、最初に後端側の固定(保持)を解放し、次いで前端側の固定(保持)を解放するという順序で行う。
【0112】
したがって、まず、エアモータ66bを回転して回転棒70bを左に回転させると、回転棒70bがハンドル42bの側面に当たり、ハンドル42bすなわちハンドル42bが固着されているボルト40bが左回転される。そのため、ボルト40bがコイル成形体10の雌ねじ14bから脱落し、コイル成形体10の後方端における芯材20上での固定、保持が解放される。このとき、ガイド48aおよび48bによって、コイル成形体10の後端の「暴れ」を抑制することができる。
【0113】
ついで、エアモータ66aを回転して回転棒70aを左に回転させると、回転棒70aがハンドル42aの側面に当たり、ハンドル42aすなわちハンドル42aが固着されているボルト40aが左回転される。そのため、ボルト40aがコイル成形体10の雌ねじ14aから脱落し、コイル成形体10の前方端における芯材20上での固定、保持が解放される。
【0114】
このようにして、コイル成形体の両端での固定(保持)を解放することによって、コイル成形体10は自身の弾性によって、図1(b)の縮径状態から図1(a)の状態に拡径される。先に述べたように、拡径時のコイル成形体10の外径は既設管の内径よりやや大きくしているので、拡径されたコイル成形体10は、それを保持していた芯材20があった場所において、既設管100の内面にコイル成形体10の外周が密接するように敷設される。つまり、拡径装置60によってコイル成形体10を容易に拡径して敷設することができる。
【0115】
なお、最初にコイル成形体10の後端側を解放し、その後、前端側を解放するように時間差を設けることによって、先に解放されるコイル成形体の後端側が、未解放のために未だ固定されている前端側に引き寄せられる。したがって、コイル成形体の前端側の位置決めを確実に行えば、コイル成形体を隙間なく、既設管内に敷設することができる。
【0116】
このようにして、1区間全長に亘って連続的に引き込まれた芯材20のうち先頭の芯材20からコイル成形体10が解放され、コイル成形体10が図13に示すように、その位置にとどまる。
【0117】
図13に示すように、先行する芯材20からコイル成形体10を解放して拡径した状態が、図14(a)に示される。図14(a)では、先行する芯材から解放されて拡径したコイル成形体10の外面が既設管100の内面に密接して敷設されていることがわかる。そのとき、コイル成形体10の後端は、後端側のガイド48b(および48a)に規制されて、それより前にある。拡径されたコイル成形体を保持していた芯材20は元の位置にとどまっている。その先行する芯材20には連結部材90によって、後続する芯材20が連結されていて、後続する芯材20上にコイル成形体10が縮径されて保持されている。
【0118】
次に、後続する芯材20からコイル成形体10を解放して拡径する訳であるが、図14(a)の状態のまま後続する芯材20上のコイル成形体10を拡径すると、未拡径のコイル成形体10の前端と拡径済みのコイル成形体の後端との間が開いてしまう。コイル成形体を拡径するとき、後端をまず解放するので、前端側のガイド46b、46c(および46a)で位置を規制されている前端側は動かないからである。
【0119】
そこで、この実施例では、先行する芯材20からコイル成形体を解放して拡径した後、図14(b)に示すように、拡径済みのコイル成形体の後端と、後続する芯材20上の縮径した状態のコイル成形体10の前端との隙間を詰めるようにしている。
【0120】
具体的には、図14(a)の状態から、ロープ108を第1マンホール102側から引くことによって、後続する芯材20上のガイド46、46c(46aも)が拡径済みのコイル成形体10の後端に当接するまで、拡径済みのコイル成形体を保持していた先行する芯材を、それに連結されている後続する芯材とともに、第1マンホール102の方へ引き寄せる。つまり、先行する芯材からコイル成形体を解放して拡径した後、拡径していないコイル成形体を保持している後続する芯材を軸方向に位置合わせする。
【0121】
上述したように、連結部材(ITハンガ)90と連結金具32とは軸方向において相対的に変位可能に連結されているので、後続する芯材を第1マンホール102の方に引き寄せるとき、まず、後続する芯材だけが移動して先行する芯材に接近して当たり、ついで先行する芯材と後続する芯材が一緒に第1マンホール102の方に引き寄せられる。
【0122】
このような後続する芯材20の位置合わせを行うと、既にコイル成形体10を解放拡径した先行する芯材20は、たとえば図15に示すように後続する芯材20に押されて、その先頭部分が第1マンホール102内に入る。
【0123】
ただし、図14(b)の位置合わせをする前に、図15のように、拡径装置60をロープ114によって第2マンホール104側から引っ張って、拡径装置60を後続する芯材つまり次に拡径するコイル成形体を保持している芯材の中空部内に移動させておく。このとき、拡径装置60は、そり66および68によってレール26および28上を移動する。
【0124】
図14(b)の位置合わせをした後、図15のように、拡径装置60をロープ114によって第2マンホール104側から引っ張って、拡径装置60を後続する芯材つまり次に拡径するコイル成形体を保持している芯材の中空部内に移動させる。このとき、拡径装置60は、そり66および68によってレール26および28上を移動する。
【0125】
その後、図15の状態で、先に図12を参照して説明したような方法で、先行する(先頭の)芯材に後続する(2番目の)芯材20上からコイル成形体10を解放して拡径する。
【0126】
そして、図14を参照して説明した、後続する芯材の位置合わせを行う工程と、その後続する芯材上のコイル成形体を拡径する工程を繰り返し実行して、最終的に、第1マンホール102から第2マンホール104までの1区間内のすべてのコイル成形体を拡径する。その状態が図16に示される。
【0127】
先頭から2番目の芯材上のコイル成形体を拡径し、つぎに3番目の芯材上のコイル成形体を拡径するために、3番目の芯材を、2番目の芯材から既に拡径したコイル成形体の後端に位置合わせするとき、先頭の芯材は2番目の芯材に押されて第1マンホール102内に出てくる。そこで、連結部材90による先頭の芯材と2番目の芯材との連結を解除すれば、先頭の芯材を第1マンホール102の上部開口から地上に回収することができる。
【0128】
以後、同様に、空になった芯材を順次第1マンホール102から取り出せばよい。つまり、後続する芯材を位置合わせする都度、空になった芯材を地上に回収する。
【0129】
図16では、第1マンホール102から最後の芯材20が引き上げられ、第2マンホール104から拡径装置60が引き上げられて、コイル成形体敷設工程が終了する。
【0130】
上述の実施例によれば、拡径装置60を芯材20とは別体で構成しているので、それぞれにコイル成形体10を縮径して保持する複数の芯材20を既設管100内に連続して引き込んだ後、同じ拡径装置60を用いて各芯材20上のコイル成形体10を拡径することができる。したがって、拡径装置は1台でよく、経済的である。しかも、それぞれが縮径したコイル成形体10を保持する複数の芯材20を予め準備できるので、コイル成形体敷設工程が効率的に行える。
【0131】
その後、図17に示すように、既設管100内に敷設したコイル成形体の内面に、図2示すライニング材18をライニングする。具体的には、図2(b)のようにたとえばハート形に折り畳んだライニング材18をコイル成形体の内部に導入し、そのライニング材18内に高温高圧の蒸気を圧送することによって、ライニング材18の形状記憶特性を利用して、管状に復元したライニング材18をコイル成形体10の内面に敷設する。
【0132】
つまり、既設管100の更生は、図8図16のコイル成形体敷設工程と、それに続く図17に示すライニング工程を実施することによって行われる。図17が既設管内にコイル成形体を敷設し、さらにライニング材をライニングした更生管路を示す。
【0133】
なお、上で説明した実施例のコイル成形体敷設方法では、各々がコイル成形体10を縮径して保持する連結した複数の芯材20を連結部材90で互いに連結して、一度に既設管100内に引き込み、その後、各芯材上のコイル成形体を、後続する芯材の位置合わせをしながら、順次、拡径するようにしている。このとき、各コイル成形体を順次拡径するとき、第1マンホール102から空になった芯材を順次地上へ回収するが、空の芯材を回収するためには、その都度、連結部材90を取り外して地上へ引き上げる作業をしなければならず、芯材の回収が容易ではない。たとえば、芯材の回収のために第1マンホール102内やそれの上部開口付近の地上に作業員を待機させておく必要がある。
【0134】
これに対して、次に図18図27を参照して説明するこの発明の他の実施例に従ったコイル成形体敷設方法では、以下に説明するように、コイル成形体を縮径して保持する芯材を既設管内に引き込み、各芯材上のコイル成形体を順次拡径する工程と、空の芯材の回収の工程とを時分割的に実行するので、芯材の引き込み、拡径の作業をした作業員が、次に芯材回収のための作業を行えばよく、余分な作業員を待機させておく必要がない。
【0135】
なお、図18以下においては、第1マンホール102と第2マンホール104との間には合計10個のコイル成形体だけが敷設されるが、これは図8図17のように既設管100に「破断線」を描くと、この実施例の趣旨が理解し難くなるからである。実際には、先の実施例と同様に、第1マンホール102と第2マンホール104との間には多数のコイル成形体が敷設されるものである。
【0136】
他の実施例では、まず、図18に示すように、先の実施例の図8図9と同様にして、ロープ108で第1マンホール102側から引き込む先導管110に先頭の、縮径したコイル成形体10(以下では、便宜上、「10a1」の参照符号で示す。)を保持している芯材20(以下では、便宜上、「20a1」の参照符号で示す。)を連結して第2マンホール104から引き込む。ただし、このとき先導管110に続く芯材20a1の中空部には、拡径装置60を、前端が第1マンホール102側になり後端が第2マンホール104側になるように、予め導入しておく。つまり、芯材20a1のレール26および28上に拡径装置60のそり66および68を載せておく。そして、拡径装置60の係止具64aおよび64b(図5)の両方にロープ114を係止しておく。ただし、ロープ114のために第1マンホール102内にもローラ111を一時的に設置しておく。
【0137】
続いて、第2マンホール104において先頭の芯材20a1に、後続する、縮径したコイル成形体10(以下では、便宜上、「10a2」の参照符号で示す。)を保持している芯材20(以下では、便宜上、「20a2」の参照符号で示す。)を連結部材90(図7)で連結して、ロープ108を第1マンホール102から引っ張って、当該後続する芯材20a2を既設管100内に引き込む。以下、順次後続する芯材20a3、20a4(縮径したコイル成形体10a3、10a4を保持している。)を連結しながら、第1マンホール102側からロープ108を引っ張って、各芯材20a3、20a4を第2マンホール104から順次既設管100の第1区間S1内に引き込む。
【0138】
ただし、この実施例では、図18に示すように、第1マンホール102から第2マンホール104までの全区間に一度に芯材を引き込むことはせず、第1マンホール102と第2マンホール104との間の所定区間のうち、一方の(第2マンホール104側の)半分の区間S1(この区間を「第1区間」という。)だけに芯材を引き込む。第1マンホール102と第2マンホール104との間の所定区間のうち、他方の(第1マンホール102側の)半分の区間S2(この区間を「第2区間」という。)には芯材は引き込まない。
【0139】
その後、図19に示すように、第1区間S1に引き込んだ複数の芯材20のうち、先頭の芯材20a1からコイル成形体10a1を解放して拡径する。このとき、拡径装置60はその芯材20a1の中空部に存在するが、第2マンホール104からロープ114を引っ張って、拡径装置60の起立片74(図5)が当たり棒44(図3図4)を第2マンホール104の方向に一旦通り過ぎさせ、次いで、先に図12を参照して説明したように、起立片74の前端が芯材20の当たり棒44の後端に当たるまで、ロープ114を第1マンホール102側から引っ張ることによって、芯材20a1と拡径装置60との軸方向の相対的位置の位置決めを行なう。
【0140】
そして、エアモータ70b(図4)を駆動してコイル成形体10a1の後端の雌ねじ14bからボルト40bを外して、コイル成形体10a1の後端の固定を解放し、次いで、エアモータ70aを駆動してコイル成形体10a1の前端の雌ねじ14aからボルト40aを外して、コイル成形体10a1の前端の固定を解放する。つまり、先頭の芯材20a1からまず、コイル成形体10a1を解放して拡径する。拡径されたコイル成形体10a1は、図19に示すように、それの外面が既設管100の内面に密接して敷設される。
【0141】
次に、第2マンホール104からロープ114を引っ張って、拡径装置60を芯材20a2のレール26および28上に引き込む。
【0142】
その後、先に図14(b)を参照して説明したように、図20の工程において、先頭の芯材20a1から解放されて拡径したコイル成形体10a1の後端に後続する芯材20a2上に保持されているコイル成形体10a2の前端が当接するように、第1マンホール102側からロープ108を引っ張って、後続する芯材20a2の位置合わせを行う。そして、起立片74が一旦当たり棒44を通り過ぎるように、ロープ114をさらに第2マンホール104から引っ張る。そして、第1マンホール102からロープ114を引っ張り、起立片74を当たり棒44に当接させる。このようにして位置合わせされた後続する芯材20a2から、コイル成形体10a2が解放され拡径される。
【0143】
先に図1を参照して説明したように、コイル成形体10は縮径時の長さL1に比べて拡径時の長さL2が短くなるので、第1区間S1内の第2マンホール104側に余白(空きスペース)が生じる。そこで、図21に示すように、最後尾の芯材20a4に、第2マンホール104において別の芯材20a5を連結する。したがって、ロープ108を引き込むときに、その別の芯材20a5も既設管100の第1区間S1内に引き込まれる。以後、後続する芯材20a3、20a4、20a5の位置合わせを行い、コイル成形体10a3、10a4、10a5の解放、拡径を繰り返す。
【0144】
このようにして、第1区間S1内に引き込んだすべての芯材20a1‐20a5上のコイル成形体10a1‐10a5を拡径する。それによって、図22に示すように、第1区間S1内に5つのコイル成形体10a1‐10a5が敷設される。
【0145】
ここまでで、第1区間S1における、芯材の引き込みおよびコイル成形体の拡径工程が終了する。
【0146】
図22の状態では、既設管100の第1区間S1には拡径済みのコイル成形体10a1‐10a5が敷設され、第2区間S2内には、第1区間S1のコイル成形体10a1‐10a5を拡径する際に第2区間S2に引き込まれている、空の芯材20a1‐20a5が存在する。
【0147】
したがって、次の図23に示す次の工程では、第2区間S2に溜まっている5つの芯材20a1‐20a5を、第1マンホール102から地上に回収する。つまり、ロープ108で第1マンホール102内に空の芯材20a1‐20a5を順次引き込み、連結部材90による後続の空の芯材との連結を解除して、第1マンホール102の上端開口から地上に引き上げる。ただし、先導管110についてはその前の適当なタイミングで、第1マンホール102から地上に回収されている。
【0148】
このように、この実施例では、第1区間S1における、芯材の引き込みおよびコイル成形体の拡径工程の後に、時間的には独立して、芯材の回収工程を行うことができる。したがって、コイル成形体の拡径、芯材の回収を交互に行う先の実施例に比べて、効率的であるし、2つの工程が時分割で行えるので、同じ作業員で2つの工程を実施することができるので、結果的に敷設コストが節約できる。
【0149】
その状態が図23で示される。図23からよくわかるように、既設管100の第1区間S1にはコイル成形体が敷設されているが、第2区間S2にはまだコイル成形体は敷設されていない。
【0150】
図22で第2区間S2から空の芯材20a1‐20a5がすべて回収された後、次に、図24に示すように、第2マンホール104内にローラ106を一時的に設置して、第2マンホール104からロープ108を引っ張る。このロープ108に、第1マンホール102において、先導管110を連結し、その先導管110に、先頭の、縮径したコイル成形体10(以下では、便宜上、「10b1」の参照符号で示す。)を保持している芯材20(以下では、便宜上、「20b1」の参照符号で示す。)を連結して第1マンホール102から引き込む。ただし、このとき先導管110に続く芯材20b1の中空部には、拡径装置60を、前端が第2マンホール104側になり後端が第1マンホール102側になるように、予め導入しておく。つまり、芯材20b1のレール26および28上に拡径装置60のそり66および68を載せておく。そして、拡径装置60の係止具64aおよび64b(図5)の両方にロープ114を係止しておく。このとき、拡径装置60は、先に第1区間S1でコイル成形体10の拡径のために利用した同じものを使用することができる。ただし、ロープ114のためのローラ111は第2マンホール104内に、ローラ112は第1マンホール102内に設置される。
【0151】
続いて、第1マンホール102において先頭の芯材20b1に、後続する、縮径したコイル成形体10(以下では、便宜上、「10b2」の参照符号で示す。)を保持している芯材20(以下では、便宜上、「20b2」の参照符号で示す。)を連結部材90(図7)で連結して、ロープ108を第2マンホール104から引っ張って、当該後続する芯材20b2を既設管100内に引き込む。以下、順次後続する芯材20b3、20b4(縮径したコイル成形体10b3、10b4を保持している。)を連結しながら、第2マンホール104側からロープ108を引っ張って、各芯材20b3、20b4を第1マンホール102から順次既設管100の第2区間S2内に引き込む。
【0152】
その後、図25に示すように、第2区間S2に引き込んだ複数の芯材20のうち、先頭の芯材20b1からコイル成形体10b1を解放して拡径する。このとき、拡径装置60はその芯材20b1の中空部に存在するが、第1マンホール102からロープ114を引っ張って、拡径装置60の起立片74(図5)が当たり棒44(図3図4)を第1マンホール102の方向に一旦通り過ぎさせ、次いで、先に図12を参照して説明したように、起立片74の前端が芯材20の当たり棒44の後端に当たるまで、ロープ114を第2マンホール104側から引っ張ることによって、芯材20b1と拡径装置60との軸方向の相対的位置の位置決めを行なう。
【0153】
そして、先に説明したと同様にして、コイル成形体10b1の後端の固定を解放し、次いで、コイル成形体10b1の前端の固定を解放する。つまり、先頭の芯材20b1からまず、コイル成形体10b1を解放して拡径する。拡径されたコイル成形体10b1は、図25に示すように、それの外面が既設管100の内面に密接して敷設される。
【0154】
次に、第1マンホール102からロープ114を引っ張って、拡径装置60を芯材20b2のレール26および28上に引き込む。
【0155】
その後、先に図14(b)を参照して説明したように、図26の工程において、先頭の芯材20b1から解放されて拡径したコイル成形体10b1の後端に後続する芯材20b2上に保持されているコイル成形体10b2の前端が当接するように、第2マンホール104側からロープ108を引っ張って、後続する芯材20b2の位置合わせを行う。つまり、起立片74が一旦当たり棒44を通り過ぎるように、ロープ114をさらに第1マンホール102から引っ張る。そして、第2マンホール104からロープ114を引っ張り、起立片74を当たり棒44に当接させる。このようにして位置合わせされた後続する芯材20b2からコイル成形体10b2が解放され拡径される。
【0156】
コイル成形体10b1、10b2を拡径することによって、第2区間S2内の第1マンホール102側に空きスペースが生じるので、図27に示すように、最後尾の芯材20b4に、第1マンホール102において別の芯材20b5を連結する。したがって、ロープ108を引き込むときに、その別の芯材20b5も既設管100の第2区間S2内に引き込まれる。以後、後続する芯材20b3、20b4、20b5の位置合わせを行い、コイル成形体10b3、10b4、10b5の解放、拡径を繰り返す。
【0157】
このようにして、第2区間S2内に引き込んだすべての芯材20b1‐20b5上のコイル成形体10b1‐10b5を拡径する。それによって、図28に示すように、第2区間S2内にも5つのコイル成形体10b1‐10b5が敷設される。
【0158】
図28の状態では、既設管100の第2区間S2には拡径済みのコイル成形体10b1‐10b5が敷設され、第1区間S1内に既に敷設されているコイル成形体10には、第2区間S2のコイル成形体10b1‐10b5を拡径する際に第1区間S1に引き込まれている、空の芯材20b1‐20b5が存在する。
【0159】
したがって、次の図29に示す工程では、第1区間S1に溜まっている5つの芯材20b1‐20b5を、第2マンホール104から地上に回収する。つまり、ロープ108で第2マンホール104内に空の芯材20b1‐20b5を順次引き込み、連結部材90による後続の空の芯材との連結を解除して、第2マンホール104の上端開口から地上に引き上げる。ただし、先導管110についてはその前の適当なタイミングで、第2マンホール104から地上に回収されている。
【0160】
このように、第2区間S2においても、芯材の引き込みおよびコイル成形体の拡径工程の後に、時間的には独立して、芯材の回収工程を行うことができる。
【0161】
図28のように第1マンホール102と第2マンホール104との間の所定区間の既設管100内にコイル成形体10を敷設した後は、先の図17に示す最後の工程において、ライニング材18をコイル成形体10の内部に敷設する。
【0162】
さらに、上述のいずれの実施例でも、縮径した状態でコイル成形体を保持している芯材を既設管100内に引き込むときには、その都度、第1マンホール102や第2マンホール104内において、後続する芯材を先行する芯材に連結部材90で連結している。
【0163】
しかしながら、第1マンホール102や第2マンホール104を通して既設管100内に引き込む前に、複数の芯材(いずれも縮径したコイル成形体を保持している。)を地上で連結していてもよい。そうすれば、複数の芯材を既設管100内に引き込む際にその都度マンホール内で後続する芯材を連結する必要がなく、複数の芯材をより効率的に既設管内に引き込むことができる。ただし、このように複数の芯材を地上で連結し、その連結された複数の芯材を地上からマンホール内に搬入するときには、芯材どうしの間隔が長い方が扱い易いので、連結部材90は比較的長い方がよい。これに対して、マンホールから既設管内に引き込むときには、芯材どうしの間隔が短い方が扱い易いので、連結部材90は比較的短い方がよい。
【0164】
そのため、このような要求を満足するためには、たとえば図30に示すような、連結長さを伸縮可能な連結部材90を用いる。
【0165】
図30に示す連結部材90は、全体として細長い平板状に形成され、一方端側に孔91が形成され、他方端側から一方端側へ延びる長孔93が形成される。
【0166】
このような連結部材90を用いて連結金具34および32を連結する方法が図31に示される。
【0167】
図31を参照して、先行する芯材の後端側の連結金具34には、ボルト33aおよびナット33bを用いて、「L」字状の補助金具34Aが、L字の一辺が連結金具34の取り付け面に添い、他辺が上面となるように、取り付けられる。この補助金具34Aの上面には孔34Aaが形成される。後続する芯材の前端側の連結金具32には、ボルト31aおよびナット31bを用いて、「L」字状の補助金具32Aが、L字の一辺が連結金具32の取り付け面に添い、他辺が上面となるように、取り付けられる。この補助金具32Aの上面には孔32Aaが形成される。
【0168】
連結部材90の孔91が上記孔34Aaと重なるように配置して、ボルト95およびナット97を用いて、補助金具34Aの上面に連結金具90を固着する。このとき、必要ならボルト95に対してワッシャを装着してもよい。他方、長孔91を補助金具32Aの孔32Aaに合わせ、ボルト95およびナット97を用いて、補助金具32Aの上面に連結部材90を取り付ける。ただし、ボルト95の頭と連結部材90の上面との間において、ボルト95が緩挿されるようにコイルばね99を設置する。コイルばね99の弾発力に抗してボルト95の頭を押えることによって、ボルト95およびナット97による連結部材90の固定を一時的に解除できる。そのため、ボルト95の頭を押した状態で、ボルト95およびナット97で固定する位置を変更することによって、図30に示す連結部材90による連結長さを伸縮できる。
【0169】
図32(a)はボルト95が長孔93の他方端に位置されていて、連結長さが最大にされた状態を示す。図32(b)はボルト95が長孔93の一方端に位置されていて、連結長さが最小にされた状態を示す。ボルト95およびナット97による固定位置を変更することで、連結長さを、上記最大から最小までの範囲で伸縮できる。
【0170】
図33に示す実施例では、このような連結長さが可変の連結部材を用いて、各々が縮径したコイル成形体10を保持している複数の芯材20をたとえば地上で予め連結しておいて、その状態のままマンホールから既設管100内に引き込む。詳しくいうと、連結部材90を用いて、地上で、先行する芯材と後続する芯材を順次連結しておく。そして、たとえば第2マンホール104から既設管100に引き込むまでは、図32(a)のように連結長さを長くしておき、既設管100内に引き込むときに図32(b)のように結長さを短くする。連結長さが長いまま既設管100内に引き込んでもよいが、そうすると既設管100内に一度に引き込める芯材の数が少なくなる。これに対して、既設管100内に引き込むときに連結長さを短くして引き込むようにすれば、既設管100内に一度に引き込む芯材の数を少なくすることがない。
【0171】
このように、図33の実施例では、縮径した状態のコイル成形体を保持している複数の芯材どうしを連結する作業が地上でできるので、施工の効率が上がる。
【0172】
なお、上述の実施例では説明しなかったが、縮径したコイル成形体を装荷した芯材を連続的に既設管100内に引き込むときに、既設管100の内面にたとえば樹脂シートを予め設けておき、コイル成形体と既設管の内面との間の摩擦を軽減するようにしてもよい。
【0173】
また、上述の実施例では、ガイド46a、46bおよび46cならびにガイド48aおよび48bをいずれも芯材20に設けて拡径装置60側でそれを操作するようにした。しかしながら、これらガイドは拡径装置60に設け、芯材20上のコイル成形体10の前端や後端を規制するようにしてもよい。
【0174】
さらに、連結部材90として、実施例ではITハンガを用いたが、これに限るものではなく、他の任意の形状、構造の連結部材が利用可能である。
【0175】
上述の実施例ではまた、エアモータ70aおよび70bやエアシリンダ84a、84b、84cのように、エア駆動のものを用いた。しかしながら、これらは電気駆動のものでも、油圧駆動のものでもよい。
【0176】
また、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0177】
10、10a1‐10a5、10b1‐10b5 …コイル成形体
12 …線材
14a、14b …雌ねじ
18 …ライニング材
20、20a1‐20a5、20b1‐20b5 …芯材
60 …拡径装置
90 …連結部材
100 …既設管
102 …第1マンホール
104 …第2マンホール
108、114 …ロープ
110 …先導管
S1 …第1区間
S2 …第2区間
図1
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