【解決手段】フレキシブルダクト1の主ダクト10における連通穴18にダクト接続部30を設ける。ダクト接続部30の分岐部材31の分岐管31aが、主ダクト10の外側へ突出して分岐ダクト20と接続される。分岐管31aの基端部には取付部31bが設けられている。この取付部31bが、断熱層13と芯材11との間に挿入されて芯材11と直接当接している。また、固定部材32が、内膜体12の内周面に宛がわれ、これら取付部31bと固定部材32とが、内膜体12及び芯材11を挟んで連結手段34にて連結される。
管状の内膜体の外周に螺旋状の芯材が止着されるとともに、これら内膜体及び芯材の外周が断熱層にて囲まれ、前記断熱層の外周が外膜体にて囲まれた主ダクトと、前記主ダクトから分岐する分岐ダクトとを備え、前記主ダクトの周側部に連通穴が形成され、前記連通穴に設けられたダクト接続部を介して前記主ダクトと前記分岐ダクトとが接続されたフレキシブルダクトにおいて、
前記ダクト接続部が、分岐部材と、前記分岐部材を前記主ダクトに固定する固定部材とを含み、
前記分岐部材が、前記連通穴に挿入されるとともに先端部が前記主ダクトの外側へ突出して前記分岐ダクトと接続される分岐管と、前記分岐管の基端部から径方向外側へ突出された取付部とを有し、
前記取付部が、前記連通穴の周辺部における前記断熱層と前記芯材との間に挿入されて前記芯材と直接当接し、
前記固定部材が、前記連通穴の周辺部における前記内膜体の内周面に宛がわれ、
前記取付部と前記固定部材とが、前記芯材及び前記内膜体を挟んで連結手段にて連結されていることを特徴とするフレキシブルダクト。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前掲特許文献1では、分岐管の爪部と固定部材とが、主ダクトを該主ダクトの内周面と外周面とから挟み付けている。したがって、爪部と固定部材との間に主ダクトの断熱層が介在されている。この断熱層は、柔軟で伸縮可能なグラスウールにて構成されており、変形し易く、形状及び厚さが不安定である。そのため、爪部と固定部材の対向距離や相対姿勢が一定せず、主ダクトに対する分岐管の取付角度や取付位置が不正確になりやすい。その結果、主ダクトに対する分岐ダクトの取付精度が悪くなる。
本発明は、前記事情に鑑み、分岐ダクトの主ダクトへの取付精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明は、管状の内膜体の外周に螺旋状の芯材が止着されるとともに、これら内膜体及び芯材の外周が断熱層にて囲まれ、前記断熱層の外周が外膜体にて囲まれた主ダクトと、前記主ダクトから分岐する分岐ダクトとを備え、前記主ダクトの周側部に連通穴が形成され、前記連通穴に設けられたダクト接続部を介して前記主ダクトと前記分岐ダクトとが接続されたフレキシブルダクトにおいて、前記ダクト接続部が、分岐部材と、前記分岐部材を前記主ダクトに固定する固定部材とを含み、前記分岐部材が、前記連通穴に挿入されるとともに先端部が前記主ダクトの外側へ突出して前記分岐ダクトと接続される分岐管と、前記分岐管の基端部から径方向外側へ突出された取付部とを有し、前記取付部が、前記連通穴の周辺部における前記断熱層と前記芯材との間に挿入されて前記芯材と直接当接し、前記固定部材が、前記連通穴の周辺部における前記内膜体の内周面に宛がわれ、前記取付部と前記固定部材とが、前記芯材及び前記内膜体を挟んで連結手段にて連結されている。
これによって、取付部と固定部材との間に断熱層が介在されないようにでき、かつ取付部を芯材に直接的に(内膜体等を介さずに)当てることができる。したがって、断熱層や内膜体の変形状態に拘わらず、分岐部材を主ダクトに正確にかつ安定的に設置することができる。ひいては、分岐ダクトの主ダクトへの取付精度を向上させることができる。
【0007】
前記取付部が、前記主ダクトの延び方向及び周方向の複数箇所において前記芯材と直接当接していることが好ましい。これによって、取付部ひいては分岐部材を主ダクトに一層安定させて設置することができ、分岐ダクトの主ダクトへの取付精度を一層向上させることができる。
【0008】
前記取付部が、前記分岐管の周方向に沿う環状に形成され、かつ前記主ダクトの周方向に沿うように湾曲されており、前記芯材が前記取付部にて外周側から覆われた部分の略全域において、前記取付部と前記芯材とが互いに直接当接していることが好ましい。これによって、取付部ひいては分岐部材を主ダクトに一層安定させて設置することができ、分岐ダクトの主ダクトへの取付精度を一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フレキシブルダクトにおいて分岐ダクトの主ダクトへの取付精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、例えばオフィスビル等の建物の空調設備の配管として用いられるフレキシブルダクト1を示したものである。フレキシブルダクト1は、アルミダクトより軽量で、柔軟かつ伸縮可能な空調用配管であり、主ダクト10と、分岐ダクト20とを備えている。図示しない冷暖房機や換気装置から主ダクト10が延びている。この主ダクト10から分岐ダクト20が分岐している。この分岐ダクト20が各空調エリア(図示せず)へ延びている。
【0012】
図1〜
図3に示すように、主ダクト10は、芯材11と、内膜体12と、断熱層13と、外膜体14とを備えている。芯材11は、鋼、鉄等の金属にて構成され、螺旋状になっている。内膜体12は、不織布や樹脂シートにて構成されている。この内膜体12の外周に芯材11が止着されることによって、内膜体12が管状に保形されている。内膜体12の内部に気体流路19が画成されている。気体流路19内を、温調(冷暖房)された空気や換気対象の空気等の気体が通される。
【0013】
断熱層13は、柔軟なグラスウールにて構成され、管状になっている。この断熱層13が、内膜体12及び芯材11の外周を囲んでいる。
【0014】
外膜体14は、例えばポリエチレン等の樹脂単層又はポリエチレンテレフタレート等の樹脂層とアルミニウム等の金属層とを積層することによって構成され、管状になっている。この外膜体14が、断熱層13の外周を囲んでいる。
なお、
図2及び
図3において、内膜体12及び外膜体14の厚さは、断熱層13の厚さに対して誇張されている。
【0015】
図1〜
図3に示すように、主ダクト10の周側部から分岐ダクト20が分岐されている。分岐ダクト20は、主ダクト10と同様の構造になっている。すなわち、分岐ダクト20は、芯材21と、内膜体22と、断熱層23と、外膜体24を有している。芯材21は、螺旋状の金属にて構成されている。内膜体22は、不織布や樹脂シートにて構成され、外周側から芯材21に止着されることによって管状に保形されている。内膜体22の内部に気体流路29が画成されている。断熱層23は、柔軟なグラスウールにて構成され、内膜体22及び芯材21の外周を囲んでいる。外膜体24は、樹脂層と金属層との積層体にて構成され、断熱層23の外周を囲んでいる。
図2及び
図3において、内膜体22及び外膜体24の厚さは、断熱層23の厚さに対して誇張されている。
【0016】
図2〜
図4に示すように、主ダクト10の周側部における分岐ダクト20の分岐部分には、概略円形の連通穴18が形成されている。
図2及び
図3に示すように、連通穴18は、内膜体12、断熱層13、及び外膜体14を貫通している。連通穴18内に芯材11の一部が露出されている。この連通穴18にダクト接続部30が設置されている。ダクト接続部30を介して主ダクト10と分岐ダクト20とが接続され、ひいては気体流路19と気体流路29とが連通されている。気体流路19の気体が、ダクト接続部30内を経て、気体流路29へ分流される。
【0017】
ダクト接続部30は、分岐部材31と、固定部材32とを含む。固定部材32によって分岐部材31が主ダクト10に固定され、分岐部材31を介して主ダクト10から分岐ダクト20が分岐される。
【0018】
分岐部材31は、分岐管31aと、取付部31bとを一体に有している。これら分岐管31a及び取付部31bの材質は、アルミニウム、鉄、鋼等の金属であるが、硬質樹脂等であってもよい。分岐管31aは、円筒状になっている。この分岐管31aが、主ダクト10の連通穴18に挿通されることによって断熱層13及び外膜体14を貫通するとともに、主ダクト10の外側(
図2及び
図3において上)へ突出されている。
【0019】
分岐管31aの前記突出部分の外周に環状の接続断熱層33が嵌められている。接続断熱層33は、硬質(非柔軟性)のグラスウール等にて構成されている。この接続断熱層33が、分岐管31aの外周面と主ダクト10の外側面との隅角部に配置されることによって、ダクト接続部30の断熱性(保温性)が確保されている。なお、接続断熱層33の先端面(
図2及び
図3において上面)には、グラスウールの小片飛散防止用のペースト35が塗布され、接続断熱層33の外周面には、アルミ箔等の被覆シート36が被覆されている。また、接続断熱層33と主ダクト10との間には、コーキング剤等の粘着性充填剤41,42が塗布されるとともに、粘着テープ37が貼り付けられている。
【0020】
分岐管31aの先端部(
図2及び
図3において上端部)は、接続断熱層33から外側へ突出されている。この分岐管31aの先端部に分岐ダクト20が接続されている。
【0021】
図2及び
図3に示すように、分岐管31aの基端部(
図2及び
図3において下端部)は、連通穴18の内部における断熱層13と内膜体12との境付近に位置している。この分岐管31aの基端部に取付部31bが設けられている。取付部31bは、分岐管31aから径方向外側へ突出されるとともに分岐管31aの周方向に沿う環状の鍔又はフランジ状になっている。さらに、
図3に示すように、取付部31bは、主ダクト10の延び方向(
図3において紙面と直交する方向)から見て、芯材11の曲率ひいては主ダクト10の内周面の曲率に合わせて主ダクト10の周方向に沿って円弧状に湾曲している。
図2及び
図3に示すように、この取付部31bが、連通穴18の周辺部における断熱層13の内周面と芯材11及び内膜体12の外周面との間に挿し入れられている。したがって、取付部31bの内側面(主ダクト10の内側を向く面、
図2及び
図3において下面)が、芯材11と直接的に当接している。
【0022】
図4に示すように、取付部31bの外直径φ
31bは、芯材11の螺旋ピッチP
11の数倍以上である(φ
31b>n×P
11、好ましくはn=1〜30)。また、取付部31bにおける分岐管31aからの突出幅W
31bは、芯材11の螺旋ピッチP
11より大きい(W
31b>P
11)。したがって、
図2に示すように、取付部31bは、主ダクト10の延び方向の数ヶ所以上において芯材11と直接当接し、分岐管31aを挟んで主ダクト10の延び方向の両側部分においても少なくとも2箇所において、芯材11と直接当接している。また、
図3に示すように、取付部31bは、芯材11の曲率に合わせた円弧状になっているために、分岐管31aを挟んで主ダクト10の周方向の両側部分においても、芯材11と直接当接している。さらには、
図4に示すように、芯材11が分岐部材31にて外周側から覆われた部分(
図4の破線部分)の略全域において、取付部31bと芯材11とが互いに直接当接している。具体的には、芯材11における前記覆われた部分(
図4の破線部分)のうち好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、一層好ましくは99%以上が、取付部31bと直接当接している。
【0023】
図2及び
図3に示すように、固定部材32は、円環状の板形状になっている。また、
図3に示すように、固定部材32は、主ダクト10の延び方向(
図3において紙面と直交する方向)から見て、主ダクト10の内周面の曲率に合わせて円弧状に湾曲している。固定部材32の外直径は、連通穴18の直径より大きく、かつ取付部31bの外直径φ
31bと略等大であるが、取付部31bの外直径φ
31bより多少大きくてもよく小さくてもよい。固定部材32の内直径は、連通穴18の直径より少し小さいが、連通穴18の直径以上であってもよい。
【0024】
固定部材32の材質は、アルミニウム、鉄、鋼等の金属であるが、硬質樹脂等であってもよい。好ましくは、固定部材32は、変形させて連通穴18に出し入れ可能な程度の弾性を有している。この固定部材32が、気体流路19内に収容されるとともに、連通穴18の周辺部における内膜体12の内周面に宛がわれている。したがって、取付部31bと固定部材32との間に、芯材11及び内膜体12が挟まれている。
【0025】
取付部31bには、挿通穴31dが厚さ方向に貫通するように形成されている。挿通穴31dは、取付部31bの周方向に間隔を置いて複数設けられている。同様に、固定部材32には、挿通穴32dが周方向に間隔を置いて複数設けられている。これら挿通穴31d,32dが一対一に位置合わせされるとともに、互いに同一位置の挿通穴31d,32dにリベット34(連結手段)が挿通されている。リベット34の中間部は内膜体12を貫通している。リベット34の両端部は、それぞれ取付部31bの外側面(
図2及び
図3において上面)及び固定部材32の内側面(
図2及び
図3において下面)に係止されている。これによって、取付部31bと固定部材32とが、リベット34にて連結されている。ひいては、分岐部材31が、主ダクト10に支持されている。
【0026】
分岐管31aの基端部と固定部材32の内周縁との間には、粘着性充填剤43が充填されている。粘着性充填剤43は、分岐管31a及び固定部材32の内周縁の全周にわたって環状に延びている。この粘着性充填剤43によって分岐管31aと固定部材32との間が気密にシールされている。粘着性充填剤43として、好ましくはコーキング剤又はパッキンが用いられている。コーキング剤の材質は、合成ゴム系又はシリコーン系等が好ましい。
【0027】
主ダクト10に分岐ダクト20を接続する手順の一例を説明する。
主ダクト10における分岐ダクト20が分岐されるべき部分の外膜体14と断熱層13と内膜体12とを円形に切除し、連通穴18を形成する。
この連通穴18を通して主ダクト10の内部に固定部材32を差し入れる。このとき、固定部材32は連通穴18よりも大径であるが、固定部材32を例えば折り曲げるように弾性変形させたり、主ダクト10における連通穴18の周辺部を拡幅するように変形させたりすることによって、固定部材32を連通穴18から主ダクト10内に容易に挿入できる。その後、変形力を解除することによって、固定部材32又は主ダクト10を、それ自体の弾性力によって元の形状に復帰させることができる。なお、主ダクト10の延び方向の端部の開口から連通穴18までの距離によっては、固定部材32を前記開口から主ダクト10の内部に入れてもよい。
【0028】
次に、連通穴18の周辺の断熱層13及び外膜体14を変形させながら、分岐管31aの基端部及び取付部31bを連通穴18に挿入するとともに、取付部31bを断熱層13の内周面と芯材11及び内膜体12の外周面との間に挿し入れる。そして、取付部31bと固定部材32とを、内膜体12及び芯材11を挟んでリベット34によって連結する。分岐管31aの基端部と固定部材32の内周縁との間には、粘着性充填剤43を塗布する。
【0029】
分岐管31aにおける主ダクト10から突出した部分の外周には接続断熱層33を嵌める。この接続断熱層33の基端面を主ダクト10の外側面に宛がう。そして、分岐ダクト20を分岐管31aに接続する。
【0030】
前記フレキシブルダクト1によれば、取付部31bを主ダクト10の断熱層13と芯材11との間に差し入れることによって、取付部31bと固定部材32との間に断熱層13が介在されないようにできる。しかも、取付部31bを芯材11に直接的に当接することができ、これら取付部31bと芯材11との間に内膜体12が介在されないようにできる。したがって、断熱層13や内膜体12の変形状態に拘わらず、取付部31bひいては分岐部材31を主ダクト10に正確かつ安定的に設置することができる。例えば、不織布等からなる内膜体12が変形されたとしても、取付部31bが傾いたり歪んだりするのを回避できる。たとえ、内膜体12の変形によって固定部材32が傾いたり歪んだりしたとしても、取付部31bについては傾いたり歪んだりしないようにできる。また、取付部31bが主ダクト10の延び方向及び周方向の数ヶ所以上において芯材11と直接当接するために、取付部31bひいては分岐部材31を主ダクト10に一層正確かつ安定的に設置することができる。さらに、取付部31bを主ダクト10の周方向に沿って円弧状に湾曲させることによって、取付部31bと芯材11とが直接当接する領域を拡張でき、芯材11が取付部31bにて覆われた部分(
図4の破線部分)の略全域において、取付部31bと芯材11とが直接当接するようにできる。よって、分岐管31aひいては分岐ダクト20の主ダクト10に対する取付角度や取付位置を正確化かつ安定化させることができる。この結果、分岐ダクト20の主ダクト10への取付精度及び取付強度を向上させることができる。
【0031】
また、気体流路20内の気体の流れ等によって分岐部材31が振動したとしても、その振動が内膜体12に直接伝わるのを避けることができる。したがって、内膜体12が痛んだり破れたりするのを抑制又は防止できる。
【0032】
また、取付部31b及びリベット34が断熱層13によって覆われているため、気体流路19内の熱(又は冷熱)が、取付部31b及びリベット34を伝ってフレキシブルダクト1の外側面に達するのを防止できる。これによって、フレキシブルダクト1の保温性を高めたり、フレキシブルダクト1の外側面に結露が出来るのを防止したりすることができる。
【0033】
本発明は、前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変をなすことができる。
例えば、取付部31bは、必ずしも分岐管31aの全周にわたる環形状である必要はなく、分岐管31aから径方向外側に突出する複数の凸片によって構成され、これら凸片が、互いに分岐管31aの周方向に間隔を置いて配置されていてもよい。
固定部材32は、必ずしも連通穴18の周方向に沿う環形状である必要はなく、1つのリベット34の頭部を係止可能な程度の小さい環形状のワッシャにて構成されていてもよく、このワッシャが、連通穴18のまわりに間隔を置いて複数配置されていてもよい。
取付部31b及び固定部材32を連結する連結手段として、リベット34に代えて、ボルト及びナットを用いてもよい。また、前記連結手段として、取付部31b及び固定部材32の何れか一方に係止爪が突出するように設けられ、他方に前記係止爪を係止する穴等の係止部が設けられていてもよい。
本発明の主ダクト及び分岐ダクトは相対的であり、分岐ダクト20から更に第2の分岐ダクトが分岐されている場合は、分岐ダクト20が、第2の分岐ダクトに対して「主ダクト」となり得、第2の分岐ダクトが「分岐ダクト」となり得る。