【実施例】
【0013】
図1は、海況データ総合管理システムAのシステム構成を示すブロック図である。
海況データ総合管理システムAは、海況データ総合処理システム1と、観測装置管理システム2と、簡易観測装置管理システム3と、ユビキタス観測装置管理システム4と、気象予報情報提供システム5と、ユーザが用いるユーザ端末7,8で構成されている。
【0014】
海況データ総合処理システム1は、閲覧用観測データ13を保存する観測データ総合データベース12を管理し観測データ閲覧画面作成プログラム11aによってWEBサーバ17に閲覧用データ17b等のデータをアップロードして海況データ閲覧画面作成装置としても機能する観測情報総合処理サーバ11(所定層予測水温算出装置、コンピュータ)と、観測情報総合処理サーバ11に対するデータ処理や内部閲覧処理等を行う操作端末14と、閲覧プログラム17aが閲覧用データ17bおよびグラフ画像17cを用いて外部向けのWEBページや内部向けのWEBページを提供して利用者に観測データの閲覧を許容するWEBサーバ17とを備えている。
【0015】
観測情報総合処理サーバ11および操作端末14は、通信監理装置であるスイッチングハブ10にLAN接続されており、このスイッチングハブ10から通信監理装置であるルータ20を介して公衆通信網であるインターネット9に接続されている。観測情報総合処理サーバ11には、多数多種類の観測データを一括して表示できる観測データ閲覧画面を作成する観測データ閲覧画面作成プログラム11aと、各ブイ(ブイロボ23、簡易ブイ33、ユビキタスブイ43)で測定された観測データを各観測装置情報提供サーバ(21,31,41)から受信して閲覧用データ13に記録し観測データの「無効値」と「有効値」を管理するとともに強制的にデータ欠測とする「強制欠測」の処理を行う管理プログラム11bと、将来の水温予測を行う予測プログラム11c(所定層予測水温算出プログラム)と、気象と連動した予測をするための演算式を作成する気象連動型予測演算式作成プログラム11dと、過去の実測値に基づく自己回帰型の予測をするための演算式を作成する自己回帰型予測演算式作成プログラム11eとが記憶装置にインストールされている。
WEBサーバ17は、レンタルサーバ等の外部のネットワークに設けられており、インターネット9に直接接続されている。これにより、WEBサーバ17は、閲覧プログラム17aを動作させて閲覧用観測データ13に基づく閲覧用データ17bおよびグラフ画像17cを、ブラウザプログラムを有するユーザ端末7,8に対してWEBページとして出力し閲覧を許容する。
【0016】
観測装置管理システム2は、観測装置情報提供サーバ21と、複数の観測装置(以下、ブイロボという)23とで構成されている。観測装置情報提供サーバ21は、ルータ20を介してインターネット9に接続されている。なお、図示する構成では、観測装置情報提供サーバ21を海況データ総合処理システム1のLAN内に接続しているが、これに限らず、観測装置情報提供サーバ21を海況データ総合処理システム1とは別のLANに接続して別経路でインターネット9に接続する構成にしてもよい。
【0017】
ブイロボ23は、電源部の電力によって駆動し、水温を測定する水温測定部と、塩分を測定する塩分測定部と、溶存酸素を測定する溶存酸素測定部と、流向および流速を測定する流向流速測定部とを有する複数(図示の例では4つ)の水中測定部、および、気温を測定する気温測定部と、風向を測定する風向測定部と、風速を測定する風速測定部とを有する気中測定部を有し、これらの水中測定部と気中測定部で測定した各種の観測データ(水温、塩分濃度、溶存酸素、流向、流速、気温、風向、風速)を制御部が記憶部に一時記憶し通信部によってインターネット9を介して観測装置情報提供サーバ21へ送信する。水中測定部は、例えば、第1水中測定部が水深1m層、第2水中測定部が水深15m層、第3水中測定部が水深30m層、第4水中測定部が底層を測定する構成とすることができるが、これに限らず適宜の水深と層数にすることができる。
【0018】
簡易観測装置管理システム3は、簡易観測装置情報提供サーバ31と、観測装置の一種である複数の簡易観測装置(以下、簡易ブイという)33とで構成されている。
簡易ブイ33は、電源部の電力によって駆動し、水温を測定する水温測定部を有する複数(図示の例では4つ)の水中測定部を有し、これらの水中測定部で測定した各種の観測データ(水温)を制御部が記憶部に一時記憶し通信部によってインターネット9を介して簡易観測装置情報提供サーバへ送信する。水中測定部は、例えば、第1水中測定部が水深1m層、第2水中測定部が水深10m層、第3水中測定部が水深20m層を測定する構成とすることができるが、これに限らず適宜の水深と層数にすることができる。
【0019】
ユビキタス観測装置管理システム4は、ユビキタス観測装置情報提供サーバ41と、観測装置の一種である複数のユビキタス観測装置(以下、ユビキタスブイという)43とで構成されている。
ユビキタスブイ43は、電源部の電力によって駆動し、水温を測定する水温測定部を有する4つの水中測定部、および、気温を測定する気温測定部を有する気中測定部を有し、これらの水中測定部で測定した各種の観測データ(水温)を制御部が記憶部に一時記憶し通信部によってインターネット9を介してユビキタス観測装置情報提供サーバ41へ送信する。水中測定部は、例えば、第1水中測定部が水深1m層、第2水中測定部が水深10m層、第3水中測定部が水深15m層、第4水中測定部が水深20m層、第5水中測定部が水深28m層となっている。
【0020】
気象予報情報提供システム5は、気象予報情報提供サーバ51と、HUB52とを備えている。
気象予報情報提供サーバ51は、気象庁の天気予報を記憶しているサーバであり、今日明日天気予報データと週間天気予報データを気象予報データベースに記憶している。この今日明日天気予報データと週間天気予報データには、最高気温、最低気温、風速、降水確率等の情報(予測気象情報)が含まれている。
【0021】
HUB52は、天気予報提供サーバ51の気象予報データベースに記憶されている今日明日天気予報データと週間天気予報データの少なくとも一方が更新されたときに、更新されたことを示す更新通知をプッシュ配信する装置である。
従って、総合処理サーバ11の制御装置は、HUB52から更新通知を受け取ると、即座に気象予報情報提供サーバ51にアクセスして今日明日天気予報データおよび週間天気予報データをダウンロードすることで、最新の気象予報データ(今日明日天気予報データおよび週間天気予報データ等の各種データ)を得ることができる。このときの総合処理サーバ11の制御装置は、予測気象情報取得手段として機能する。
【0022】
ユーザ端末7は、タッチパネル等の入力装置、液晶ディスプレイ等の表示装置、携帯電話網を用いる通信装置、データやプログラムを記憶する記憶装置、およびこれらを制御する制御装置を有しており、WEBサーバ17にアクセスして観測データを閲覧することができる。
ユーザ端末8は、コンピュータで構成され、WEBサーバ17にアクセスして観測データを閲覧することができる。
【0023】
なお、ユーザ端末7,8、観測情報総合処理サーバ11、操作端末14、WEBサーバ17、観測装置情報提供サーバ21、簡易観測装置情報提供サーバ31、およびユビキタス観測装置情報提供サーバ41は、いずれもパーソナルコンピュータまたはサーバコンピュータ等のコンピュータで構成されており、キーボードとマウスまたはタッチパネル等の入力装置、データ通信を行う通信処理、CRTや液晶ディスプレイ等の表示装置、ハードディスク等の記憶装置、およびCPUとROMとRAMで構成される制御装置を備えており、制御装置が記憶装置に記憶されているプログラムに従って演算や各種ハードウェアの動作制御を実行する。
【0024】
図2は、観測情報総合処理サーバ11が観測装置情報提供サーバ21、簡易観測装置管理システム3、ユビキタス観測装置管理システム4、及び気象予報情報提供システム5から取得する観測データ及び気象予報データのデータ形式を説明する説明図である。
【0025】
図2(A)は、観測装置情報提供サーバ21の記憶装置に記憶されているブイロボファイル85(観測データ)のフォルダ構造を示す構成図である。
ブイロボファイル85が保存されているフォルダは、データ種別(毎時:HOUR,日平均:DAY,半旬:HSON)を特定するデータ種別特定フォルダ81の下位に観測項目(水温:WT、塩分:SLT、気温:AT、溶存酸素:DOP、流向:ADCPD、流速:ADCPS、風向:WD、風速:WS)を示す観測項目フォルダ82が設けられている。この観測項目フォルダ82の下位に、単位時間である1時間単位で観測値を記録するブイロボファイル85が保存されている。このブイロボファイル85は、過去から現在の分に加えて適宜の年数分だけ将来のファイルも予め用意されて保存されている。また、ブイロボファイル85は、ブイ名、年、層等を識別できるファイル名に設定されている。このファイル名は、例えば、「“1時間毎のデータ”_“観測項目+層番号”_“ブイ名+年”.csv」という形式で「HOUR_WT1_AO2013.CSV」のように設定することができる。ブイロボファイル85にはタイムスタンプ86が設定されている。ブイロボファイル85のデータ内容が更新されると、観測装置情報提供サーバ21の制御装置が、タイムスタンプ86の日時(日付、時刻)を更新日時に更新する。なお、ブイロボファイル85を保存するフォルダの階層とファイル名の構成はこれに限らず、適宜の構成とすることができる。
【0026】
図2(B)は、観測装置情報提供サーバ21の記憶装置に記憶されているブイロボファイル85のデータ内容を示す構成図である。
図示するように、ブイロボファイル85は、IDと状態と観測値で構成されている。IDは測定毎に付与されものであり、このIDによって何月何日の何時に測定した観測値であるのか判別できる。状態は、正常に測定できたか、測定値に異常があったか等、測定状態を表す記号が数値によって記録されている。観測値は、そのブイロボファイル85の観測項目に応じた観測値が記録されており、例えば観測項目が水温のブイロボファイル85であれば水温が摂氏温度で記録される。
【0027】
図2(C)は、本システムでは簡易ブイ33の一種として扱う波高ブイの観測データを示す波高ブイメール本文データ91(観測データ)の説明図である。波高ブイメール本文データ91は、観測データを予め定めた文字数で予め定めた順序に並べたデータで構成され、観測日時や観測データ等の必要データを有している。簡易観測装置情報提供サーバ31は、電子メール送信サーバ(SMTPサーバ)として機能し、波高ブイメール本文データ91を有する電子メールを、予め登録されている電子メールアドレスへ送信する。なお、この受信側の電子メールを管理する電子メール受信サーバ(POPサーバ)は図示省略している。
【0028】
図2(D)は、簡易ブイ33による観測データを電子メールの本文に記載して簡易観測装置情報提供サーバ31が送信する簡易ブイメール本文データ92(観測データ)の説明図である。簡易ブイメール本文データ92は、簡易ブイ33で観測した日時、各層の水温、内部圧力、内部温度、太陽電池、バッテリ、計測間隔、次回通信日時等のデータを記録している。
【0029】
図2(E)は、簡易ブイメール本文データ92に添付される簡易ブイ添付ファイル93(観測データ)の説明図である。図示するように、簡易ブイ添付ファイル93は、日時、各層の水温、内部圧力、内部温度、太陽電池、及びバッテリの各項目からなるデータを記録している。
【0030】
図2(F)は、ユビキタス観測装置情報提供サーバ41が記憶装置に記憶しているユビキタスブイ43のユビキタスブイダウンロードファイル95(観測データ)を示す説明図である。ユビキタスブイダウンロードファイル95は、共通データとしてブイID、別名、オーナー、運用開始年月日、運用終了年月日、緯度、および経度を記録し、測定データとして各ブイロボ23の測定データを記録している。このユビキタスブイダウンロードファイル95は、ユビキタス観測装置情報提供サーバ41の記憶装置に記憶されている。観測情報総合処理サーバ11は、ユビキタス観測装置情報提供サーバ41からユビキタスブイダウンロードファイル95を取得する。このダウンロードは、PHPプログラムによってHTTPダウンロードする、あるいはFTPでダウンロードする等、適宜の方法によって取得する。
【0031】
図2(G)は、気象予報データの1つである今日明日天気予報データを気象予報情報提供システム5からダウンロードした今日明日天気予報ダウンロードファイル97を示す説明図である。
【0032】
今日明日天気予報ダウンロードファイル97は、予報対象の地域を示す地域データ、今朝、日中、今夜、明日、明後日等の予報対象時期を示す時期データ、晴れ、くもり、雨等の天気を示す天気データ、日中の最高気温を示す最高気温データ、裁定気温を示す最低気温データ、風の方向を示す風向データ、風の強さを示す風速データ、降水確率を示す降水確率データ、波の高さを示す波高データ、津波を示す津波データ等をXML形式で記録している。
【0033】
これらの観測データ及び気象予報データは、管理プログラム11bによって随時取得されて記録されていく。管理プログラム11bは、例えば毎正時の5〜10分後、好ましくは7分後に各観測装置情報提供サーバ21,31,41から観測データの取得を実施し、HUB52から更新通知を受信すると気象予報提供サーバ51から気象予報データを取得する。気象予報データの取得について詳述すると、管理プログラム11bは、30秒毎にフィードの確認を行い、フィードがあれば随時XML形式の気象予報データを取得する。そして、管理プログラム11bは、取得した各データを、次に説明する
図3に示すように適切な形に加工して観測データ総合データベース12およびWEBサーバ17の記憶装置に保存する
【0034】
図3は、取得した観測データを加工した後に観測情報総合処理サーバ11の観測データ総合データベース12およびWEBサーバ17の記憶装置に閲覧用データ17b(
図1参照)として保存する設定データ(101,102)、優先順位決定用データ103、閲覧用データ(104,105,106,107,108)、およびグラフ画像データ109bの構造を説明する説明図である。なお、WEBサーバ17は、その都度演算して表示するためのデータとしてブイロボ閲覧用データ106を記憶しておけば良く、グラフ画像17cやHTMLデータを記憶しておけば他の閲覧用データ(104,105,107,108)を記憶しなくても良い。
【0035】
図3(A)は、気象連動型予測演算用設定データ101の構造を示す。気象連動型予測演算用設定データ101は、X項目、Y項目、水温半旬、気温半旬、始半旬、終半旬、平年値係数、上流要素係数、(self−α)項目係数、および切片の各項目で構成されている。
【0036】
X項目は、気温などの上流要素(上流の実測値または上流予測情報)を示す。つまり、演算対象となっている所定層が第1層であれば気温を示し、演算対象となっている所定層が第2層以下であれば1つ上流の層の水温(所定層予測水温情報)を示す。なお、上流要素は、この実施例では1つ上流としているが、これに限らず、各層の計算時に使用可能な種々の上流要素を使用する構成としてもよい。この場合、その層における予測に最適な上流要素を自由に選択して演算することができる。
Y項目は、どのブイのどの層の水温を予測するのかを示す。
水温半旬は、何半旬前の自身(Y項目)の値(水温の実測値)を使用するのかを示す。ここで指定された水温が、演算における所定層実測水温情報となる。
気温半旬は、X項目として何半旬前のものを使用するのかを示す。
【0037】
始半旬は、本データを使用する期間の始期を示す。
終半旬は、本データを使用する期間の周期を示す。この始半旬と終半旬により、例えば1年の全期間に渡って使用するデータなのか、それとも春季、夏季、秋季、冬季等の所定の時期にのみ使用するデータなのかを示す。従って、季節ごとにデータを異ならせることを可能としている。
【0038】
平年値係数は、平年値に乗算するための係数を示す。
上流要素係数は、上流要素に乗算するための係数を示す。ここで上流とは、「気温半旬」で指定される半旬の「X項目」で指定される要素であり、自身が第1水深となる1m層であれば上流は気温、自身が第2水深となる15m層であれば上流は第1水深である1m層の水温、自身が第3水深となる30m層であれば上流は第2水深である15m層の水温といったように、自身より1つ上の層(自身が最上層の場合は気温、そうでなければ自身より1層上の水温)を指す。
【0039】
(self−α)項目係数は、「水温半旬」で指定される半旬の「Y項目」で指定されるブイの水温(測定値)に対して乗算する係数を示す。
切片は、そのデータを用いた演算結果に加算する数を示す。
【0040】
これらのデータを用いて、予測プログラム11cにより気象連動型水温予測モデルで演算する場合に、次の演算式を用いて演算する。
【0041】
Y = 「平年値係数」×「予測対象半旬の自身の水温平年値」
+「上流要素係数」×「指定半旬前の上流の実測値または予測値」
+「(self−α)項目係数」×「指定半旬前の自身の水温」
+切片
※Y:Y項目で指定されるブイ及び層の予測対象半旬の予測水温を示す。
※予測対象半旬の平年値:「Y項目」で指定されるブイの予測対象半旬の水温平年値
※指定半旬前の上流の実測値または予測値:「気温半旬」で指定される半旬前(つまり、指定される過去の半旬)の「X項目」で指定されるブイの実測値または予測値(気温または水温)
※指定半旬前の自身の水温:「水温半旬」で指定される半旬前(つまり、指定される過去の半旬)の「Y項目」で指定されるブイの実測値(水温)
【0042】
この演算式では、「指定半旬前」が「0」であれば、現在の半旬を示す。例えば、現在の半旬の一日目に演算する場合であれば、今日明日天気予報データの今日と明日の予想最高気温及び予想最低気温と、週間天気予報データの2日後から4日後までの予想最高気温及び予想最低気温を取得し、この期間の半旬(つまり現在の半旬)の予想平均気温を算出する。現在の半旬の3日目に演算するなど半旬の途中の場合は、過去の気象予報データも用いて、該当する半旬の各日の予想最高気温及び予想最低気温を取得して該当期間の半旬の予想平均気温を算出する。なお、過去については実測値が得られているような場合には、この実測値を用いる構成としても良いし、実測値を使わずに過去の気象予報データをそのまま用いても良い。
【0043】
このようにしても求めた予測平均気温を0半旬前の上流の予測値とし、第1層である1m層の水温予測値を算出できる。第2層である15m層の水温予測値を算出するときは、上述のようにして先に第1層の水温予測値を算出しておくことで、何半旬前の上流の予測値を使う場合でも演算することができる。
【0044】
なお、平年値係数、上流要素係数、(self−α)項目係数、及び切片の値は、気象連動型予測演算式作成プログラム11dが、過去のブイ別層別の水温と予想気温とを用いて重回帰分析によって予め算出しておく。
【0045】
図3(B)は、自己回帰型予測演算用設定データ102の構造を示す。自己回帰型予測演算用設定データ102は、項目と係数で構成されている。項目には、自己回帰型水温予測モデルの各係数を意味するa1,a2,…と、各ブイと層の固有ベクトル(変動の度合い)を意味するwt1_ta,wt2_ta,wt3_ta,…が記憶され、それぞれに係数が設定されている。
【0046】
これらのデータを用いて、予測プログラム11cにより自己回帰型水温予測モデルで演算する場合に、次の演算式(式1)〜(式4)を用いて演算する。
【0047】
(式1)
ある半旬の主成分スコアZ
1 = 「係数A」×「第1ブイ第1層平均偏差」
+「係数B」×「第1ブイ第2層平均偏差」
+「係数C」×「第1ブイ第3層平均偏差」
+「係数D」×「第1ブイ第4層平均偏差」
+「係数E」×「第2ブイ第1層平均偏差」
+「係数F」×「第2ブイ第2層平均偏差」
+ …
(式1の一例)
Z
1 = 0.275
TA1 + 0.263
TA15 + 0.250
TA30
+ 0.223
TAb + 0.317
AO1 + 0.309
AO15
+ 0.309
AO30 + 0.270
AOb + 0.334
TO1
+ 0.314
TO15 + 0.303
TO30 + 0.278
TOb
(※数値は係数。TA1は平舘ブイ1m層、TA15は平舘ブイ15m層、TA30は平舘ブイ30m層、TAbは平舘ブイ底層。同様に、AO1〜bは青森ブイ1m層〜底層、TO1〜bは東湾ブイ1m層〜底層。)
【0048】
(式2)
予測対象半旬の自己回帰値スコア値Z
n
=「係数a1」×「対象の層の1半旬前の主成分スコア」
+「係数a2」×「対象の層の2半旬前の主成分スコア」
+「係数a3」×「対象の層の3半旬前の主成分スコア」
+「係数a4」×「対象の層の4半旬前の主成分スコア」
+「係数a5」×「対象の層の5半旬前の主成分スコア」
(式2の一例)
Z
n = 1.09983×Z
n−1 − 0.24522×Z
n−2
+0.08854×Z
n−3 − 0.08006×Z
n−4
+0.07005×Z
n−5
(※数値は係数。Z
n−1〜Z
n−5は指定半旬前の主成分スコア)
【0049】
(式3)
予測偏差 =「対象の層の固有ベクトル」×予測対象半旬の自己回帰値スコア値
【0050】
(式4)
予測水温 =「予測偏差」+「平年水温」
【0051】
以下、上記(式1)〜(式4)による演算について説明する。
まず、自己回帰型水温予測モデルとは、測定した水温から将来の予測水温を求めるモデル、つまり自らのデータを用いて未来の自らを予測するモデルをいう。このモデルでは、まず、変動のパターンを把握するために主成分分析を行う。
【0052】
主成分分析は、多くの変量の値をできるだけ情報の損失なしに、1個または少数個の総合的指標で代表させる分析方法である。主成分の選択には、各主成分の固有値と寄与率を比較する必要がある。
【0053】
主成分選択の目安としては、(1)固有値が1以上であること、(2)直近の寄与率との差が大きいこと、(3)累積寄与率が80%以上であることがあげられる。自己回帰型水温予測モデルの主成分の中でこれに該当するのは第1主成分(z
1)のみであるため、これを採用している。この結果を利用し、第1主成分を使用した水温予測のための自己回帰モデルとして、上述した(式1)を用いて計算する。
【0054】
次に、赤池情報量基準を用いて、モデルの次数を行う。なお、AICはモデルの当てはまりの良さを示す統計量であり、数値が小さいほど良くなる。AICの結果から、水温予測には例えば5半旬前(一例)までの主成分スコアの採用が適当とされれば、水温予測自己回帰モデルは、上述した(式2)のようになる。なお、ここでは5半旬前までが適当として説明したが、それ以外にも他の半旬前が適当の場合もある。その場合には、必要な半旬前の係数を準備しておくと良い。
【0055】
(式3)に示すように、この自己回帰スコア値Z
nに固有ベクトルを乗じ、(式4)に示すように平年値(平年水温)を加算することで、予測値(予測水温)を算出できる。
【0056】
このように、自己回帰型水温予測モデルは、1〜5半旬前(過去の複数の期間別)の全層のデータを用いて予測を行うことができる。なお、全ブイの全層を用いることに限らず、特定のブイについてそのブイの全層(あるいは所定数の層)のデータを用いて予測する構成としてもよい。この場合は、その特定のブイについて3〜8半旬前までのデータを用いて予測すればよい。
【0057】
図3(C)は、優先順位決定用データ103(優先順位決定情報)の構造を示す。優先順位決定用データ103は、Y、wt_HJ、AT_HJ、Method、R^2の各項目を有しており、1レコード(1行)に1つの演算設定データ(演算設定情報)が記録されている。
【0058】
Yは、どのブイのどの層の水温の予測に対する優先順位であるかを示す。
wt_HJは、自身の何半旬前の水温データを演算に使用するのかを示す実測指定情報である。
【0059】
AT_HJは、上流の何半旬前の水温データ(又は気温データ)を演算に使用するのかを示す上流指定情報である。
【0060】
Methodは、水温予測モデルとして気象連動型水温予測モデル(値が2のとき)と自己回帰型水温予測モデル(値が1のとき)のどちらを使用するのかを示す算出手法指定情報である。
【0061】
R^2は、wt_HJとAT_HJとMethodで指定された内容で演算した場合の一致度を示す。この一致度は、過去のデータを用いた演算シミュレーションにより算出されたものであり、最大値である1に近い(つまり値が大きい)ほど一致度が高いことを示す。
【0062】
優先順位決定用データ103内のデータは、R^2に記憶されている一致度の高い順にソートされており、上から順にサーチして利用される。具体的には、演算したい所定のブイの所定の層と「Y」が一致し、かつ、「wt_HJ」と「AT_HJ」でそれぞれ指定された各データが得られているデータ(レコード)を一致度の高いデータから順にサーチしてヒットした時点のデータを用いて、そのデータで指定された水温予測モデルにより演算する。
【0063】
この優先順位決定用データ103は、全てのブイ及び層別に演算設定データが記録されている。また、優先順位決定用データ103は、1つのブイ及び層について、気象予測データのいつの半旬を用いるか(AT_HJ)、および、自身の観測データのいつの半旬を用いるか(wt_HJ)を異ならせて、それに応じて他の値も異ならせた複数種類の演算設定データが記録されている。従って、あるブイのある層の水温予測を行う際には、そのブイ及び層のために存在する複数種類の演算設定データの中から現在得られるデータで計算できて最も一致度の高いものが選択される。
【0064】
この優先順位決定用データ103は、水温予測モデルやどの半旬のデータを使うか等でグループ化することなく一致度のみでソートされているため、最も精度の良い演算方法を容易かつ適切に選択できる。
【0065】
図3(D)は、水温を保存するブイロボ閲覧用データ104の構造を示し、
図3(E)は、観測データから演算により求めた日平均の値を保存するブイロボ閲覧用データ105の構造を示し、
図3(F)は、日平均から演算により求めた半旬平均のブイロボ閲覧用データ106の構造を示す。なお、半旬とは、旬日の半分すなわち5日を指し、本実施形態では所定時間単位として半旬を用いている。ブイロボ閲覧用データ104,105,106は、ブイロボファイル85(
図2(B)参照)と同じ構造を有しており、IDと状態と観測値で構成されている。なお、水温以外の他の観測項目については、ブイロボ閲覧用データ104と同じ構造で保存されるため、図示による説明を省略する。
【0066】
図3(G)は、簡易ブイ閲覧用データ107のデータ構造を示す。この簡易ブイ閲覧用データ107は、
図2と共に説明した波高ブイメール本文データ91、簡易ブイメール本文データ92、および簡易ブイ添付ファイル93を基にブイロボ閲覧用データ104,105,106と同じ形式に加工したデータであり、IDと状態と観測値(1mの水温等)で構成されている。なお、メール本文の時刻はメール送信時刻であるため正時ではないが、観測はGPSから得る時刻等によって正時に正確に行われているため、電子メールから得たデータを正時に測定されたデータとして取り扱う。なお、正時とは、毎時0分のことを指す。
【0067】
図3(H)は、ユビキタスブイ閲覧用データ108のデータ構造を示す。このユビキタスブイ閲覧用データ108は、ユビキタスブイダウンロードファイル95(
図2(F)参照)から必要な観測データ(日付、時刻、外気温、各層の水温)を抽出し、ブイロボ閲覧用データ104,105,106と同じ形式に加工したデータであり、IDと状態と観測値(1mの水温等)で構成されている。ユビキタスブイ閲覧用データ108のデータは、測定時刻が基準時(正時)と異なるために基準時の値に補正した値を保存している。
【0068】
これらの簡易ブイ閲覧用データ107とユビキタスブイ閲覧用データ108も、ブイロボ閲覧用データ104,105,106と同じように、データ種別特定フォルダの下位に観測項目を示す観測項目フォルダが設けられ、その下位に、単位時間である1時間単位でデータを記録するファイルが保存されており、各ファイルは、ブイ名、年、層等を識別できるファイル名に設定されている。
【0069】
図3(I)は、ホームページの出力置換テーブル109aのデータ構造を示す。この出力置換テーブル109aは、変数名と値を並べたテキストデータであり、1レコードに1つの変数名と値を並べている。なお、出力置換テーブル109aは、カンマ区切りで変数名と値が記憶されているデータであるが、図示では分かり易いように表形式にして表示している。この出力置換テーブル109aには、各ブイの各層の予測値、各ブイの各層での実測値、及び気象等、HTMLのひな形から適宜置換をするための全ての情報を記憶している。これにより、観測データ閲覧画面作成プログラム11aは、実測値と予測値を容易に画面表示することができる。
【0070】
図3(J)は、水温予測を示す予測グラフ画像109bの構成図である。縦軸を観測項目の値(水温)とし、横軸を日時としている。この予測グラフ画像109bは、実測値を黒、予測値を赤で表示するといったように線色や線種等を用いて実測値と予測値を種類分けして1画面内に表示している。予測値の演算をした際にこの予測グラフ画像109bを作成してWEBサーバ17の記憶装置等に記憶しておくことで、現在までの実測値とこれからの予測値を表示した予測グラフ画像109bを、WEBサイトにアクセスしてきた利用者に即座に提供することができる。
【0071】
図4は、WEBサーバ17の閲覧プログラム17aがユーザ端末7,8に表示させる水温予測表示画面110の画面構成図である。この水温予測表示画面110は、半旬予測水温データ表示部111と、ブイ及び層別に予測水温をグラフ表示する複数の予測水温グラフ表示部115と、ブイ及び層別に過去のデータによる予測の一致度と的中率を示す予測精度データ表示部119とを備えている。
【0072】
半旬予測水温データ表示部111は、直近の半旬の実測値を示す実測値表示部112と、6半旬先までの予測値を示す予測値表示部113とを有している。実測値表示部112と予測値表示部113は、ブイ及び層別に実測水温または予測水温をそれぞれ表示している。
【0073】
予測水温グラフ表示部115は、縦軸を水温、横軸を半旬とするグラフであり、過去6半旬の実測値グラフ116と、現在を含む将来の6半旬の予測値グラフ117を一続きの折れ線グラフで表示する。実測値グラフ116と予測値グラフ117は、一続きでありながら明確に区別できるように、例えば値を示す点(プロット)と線の太さと形状は同じでありながら色を異ならせるなど、共通要素と差異要素を持たせて表示する。
【0074】
また、過去の平年値を示す平年値グラフ118を実測値グラフ116および予測値グラフ117とは異なる形(例えば色と線種を変える)で表示する。
予測精度データ表示部119は、ブイ及び層別に一致度と的中率を表示する。
【0075】
図5は、観測情報総合処理サーバ11の制御装置が予測プログラム11cによって予測処理を実行する動作のフローチャートである。
【0076】
制御装置は、HUB52から更新信号を受信するまで待機する(ステップS1:No)。更新信号を受信すると(ステップS1:YES)、制御装置は、気象予報提供サーバ51から今日明日天気予報データと週間天気予報データを取得する(ステップS2)。
制御装置は、閲覧用観測データ13から予測に必要な範囲の観測データを取得する(ステップS3)。このとき、観測情報総合処理サーバ11の制御装置は、所定層実測水温情報取得手段として機能する。
【0077】
制御装置は、所定ブイの所定層の所定半旬の予測値を算出するために、まず、優先順位決定用データ103を参照して、この予測値を算出するためのデータが得られていて最も一致度の高い演算方式を決定する(ステップS4)。このとき、制御装置は、一致度の高い演算方式を選択する選択手段として機能する。
【0078】
制御装置は、決定した演算方式と得られているデータにより予測値を算出する(ステップS5)。このとき、自己回帰型水温予測モデルと気象連動型水温予測モデルのうち優先順位決定用データ103で決定されたモデルと、得られたデータを利用して予測値を算出する。気象連動型水温予測モデルを用いる場合、制御装置は気象連動型所定層予測水温算出手段として機能し、自己回帰型水温予測モデルを用いる場合、制御装置は自己回帰型所定層予測水温算出手段として機能する。
【0079】
制御装置は、必要範囲の予測値の計算が完了するまで(ステップS6:No)、予測対象を次に進め(ステップS7)、ステップS4に戻って処理を繰り返す。このとき、予測値を算出している現在の層よりも下流の層が存在していれば、1つ下流の層を予測対象とし、最下層の層(例えば底)まで到達していれば、1つ先の半旬の最上流層(例えば1m層)を予測対象とする。そして、現在のブイに関して予測限界となる将来の半旬(例えば6半旬先)の全層についての予測が完了すれば、別のブイについて直近の最上層から順番に予測値の算出を実行する。
【0080】
制御装置は、必要範囲の予測値の計算が完了すると(ステップS6:Yes)、得られたブイ別層別時期別の予測データとしてWEBサーバ17の閲覧用データ17bに記録するように出力する(ステップS8)。このとき、制御装置は、予測水温グラフ表示部115も作成し、WEBサーバ17の記憶装置に保存する。
【0081】
以上の構成及び動作により、将来の水温を精度よく予測することができる。
水温を層別に予測するため、1m層等の水温に日照の影響を受けやすい層と、底層等の水温に日照の影響を受けにくい層をいずれも高精度に予測することができる。
【0082】
また、上流の予測値を用いて算出するため、予測気温を用いて最上流層(例えば1m層)を予測し、その予測結果を用いて直下の下流層(例えば15m層)を予測するといったように、深い層まで順次予測していくことができる。
【0083】
また、自己回帰型予測演算式作成プログラム11eを用いることにより、少なくとも1〜5半旬前の全層のデータを用いて過去の水温変化に基づいた高い精度で安定した予測を比較的長期間(例えば4〜6半旬先)に渡って実施することができる。
【0084】
また、自己回帰型予測演算式作成プログラム11eを用いることで、気象予測が得られなくとも水温だけで算出することができる。また、自己回帰型予測演算式作成プログラム11eは、通年の水温カーブを忠実に再現することができる。
【0085】
また、予測プログラム11cの気象連動型水温予測モデルを用いることにより、直近(例えば2〜3半旬先、長ければ4〜5半旬先)の水温を急激な気象変動にも対応して高精度に予測できる。
【0086】
また、予測プログラム11cの気象連動型水温予測モデルを用いることにより、未経験の水温にも対応することができ、1〜5半旬前の全層のデータが得られなくとも少ないデータで予測ができる。
【0087】
また、気象連動型水温予測モデルで演算する予測プログラム11cは、上流の予測値と、自身の実測値に加えて、過去の平年値も用いた演算とすることで、より高精度の予測を実現することができる。
【0088】
また、気象連動型水温予測モデルで演算する予測プログラム11cは、演算式に演算対象となっている所定層の水温平年値(平年水温情報)をさらに代入して演算するため、より安定した高精度の予測を実現できる。
【0089】
また、予測プログラム11cは、気象連動型水温予測モデルと自己回帰型水温予測モデルのうち予測精度の高い方をブイ別層別に選択する構成であるため、両モデルの良いところを取って高精度な予測を実現することができる。
【0090】
特に、概ね0.96等の高い一致度での計算ができる自己回帰型水温予測モデルで、一致度が0.75や0.89と下がってしまう夏季のピーク水温についても、気象連動型水温予測モデルを用いることで0.91や0.95といった一致度に精度向上することができる。
【0091】
これにより、夏季以上高水温によって大量へい死が問題となっている帆立貝の養殖について、精度の高い予測によって養殖している深さを早目に移動させてへい死を防止することができる。つまり、従来であれば、帆立貝の成長が止まる20℃を超えて体力消耗が始まる23℃からへい死の危険が出てくる25℃までの間に移動させていた。これは、それより早くに移動させると結局水温がそれほど上昇せずに無駄な作業となることもあり、しかも水深が深い方へ移動させると帆立貝の餌が少なく成長も悪くなるため、この水温でするのが作業効率上最適であったことによっている。これに対して、本発明により、この先の水温がどの程度まで上昇するか予測して示せるため、従来よりも早い時点で移動の要否を判断して移動指示を行うことができる。これにより、無駄な作業を発生させずに帆立貝のへい死を防止することができる。
【0092】
また、優先順位別に並べた優先順位決定用データ103を用いて、得られるデータを用いて算出できる演算方式のうち最も一致度の高い(精度の高い)演算方式で予測を行うため、全層の全期間に渡って高精度の予測を実現することができる。
【0093】
また、優先順位決定用データ103は、1つのブイ及び層について、演算に用いる気象予報データ及び観測データについて、どの半旬の気象予報データとどの半旬の観測データを用いるかを異ならせた複数種類の演算設定データを記録していて、一致度の高い順に選択できるようになっている。このため、観測データに欠測がある場合であっても、観測できている半旬の観測データと気象予報データを用いて予測することができる。しかも、得られた観測データおよび気象予報データで演算可能な演算設定データのうち最も一致度の高い演算設定データを選択して演算するため、得られたデータでベストの予測を行うことができる。
【0094】
水温予測表示画面110は、既に観測済みの観測データと、その先の予測データを一続きの折れ線グラフとして表示し、かつ、観測データ部分と予測データ部分を色分けする等によって差異要素を持たせて表示するため、利用者が実際の水温推移とその先の予測水温推移を直観的に容易に理解することができる。
【0095】
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、観測データ閲覧画面作成装置としての観測情報総合処理サーバ11とWEBサーバ17を別個のサーバとして構築したが、これに限らず一台のサーバコンピュータに両方の機能を兼ね備える構成とするなど、適宜の構成にすることができる。
【0096】
また、ブイロボ23、簡易ブイ33、およびユビキタスブイ43の3種類に対応し、データ形式もFTPでダウンロードする形式と電子メールで受信する形式に対応したが、この中の一部に対応する、あるいはこれよりも多くのものに対応するなど、適宜の構成とすることができる。
【0097】
また、観測データと気象予報データを半旬単位で演算し出力する構成としたが、これに限らず、適宜定めた期間単位(例えば1日単位、1週間単位等)で実測値と予測値を出力する構成してもよい。この場合は、定めた期間単位で予測値を算出することができる。
また、予測気象情報として予想最高気温と予想最低気温の平均値をさらに半旬で平均した予想気温を用いたが、これに限らず得られる情報に応じて適宜の予測気象情報を用いる構成とすることができる。
また、気象予報データとして異常天候早期警戒情報を取り込み、予測精度を向上させる構成としてもよい。
【0098】
また、上流と下流を重力方向(鉛直方向)としたが、これに限らず水平方向としてもよい。この場合、例えば同じ水深で入口側の水温を上流、奥部側の水温を下流として演算を行えばよい。これにより、鉛直方向に予測を進めるよりも水平方向に予測を進める方が高精度となるような海の環境に対応でき、高精度な予測をより多種類の環境でも実現することができる。