特開2015-184313(P2015-184313A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-184313(P2015-184313A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】表示駆動回路
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20150925BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20150925BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 612K
   G09G3/20 621A
   G09G3/20 622G
   G09G3/20 631V
   G09G3/20 612T
   G09G3/20 642A
   G09G3/20 691D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-57976(P2014-57976)
(22)【出願日】2014年3月20日
(71)【出願人】
【識別番号】308017571
【氏名又は名称】シナプティクス・ディスプレイ・デバイス合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089071
【弁理士】
【氏名又は名称】玉村 静世
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和浩
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
5C006AA16
5C006AC25
5C006AF13
5C006AF52
5C006AF68
5C006AF72
5C006AF73
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC12
5C006BC20
5C006BF01
5C006BF02
5C006BF03
5C006BF24
5C006BF25
5C006EC02
5C006FA22
5C006FA36
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD05
5C080FF11
5C080GG01
5C080JJ02
5C080JJ04
(57)【要約】
【課題】1フレームの途中で表示駆動を中断する間欠動作を行う表示装置において、中断から再開した最初の走査線において輝度が低下することによる画質の劣化を抑える。
【解決手段】ゲート電極を走査するゲート駆動回路を有する表示パネルに接続される表示駆動回路であって、表示パネルのソース電極を駆動するソースドライバと、前記ゲート駆動回路にクロック信号を供給するゲート制御ドライバとを備える。表示駆動回路は、ソース電極を駆動する表示期間と駆動を中止する中断期間とを交互に有する間欠動作を行う。ゲート制御ドライバは、中断期間後の表示期間の開始時において、前記ゲート駆動回路に供給するクロック信号のパルス幅を拡げるか、または、表示期間の開始前にクロック信号を予備的に供給する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のソース電極と複数のゲート電極と前記複数のゲート電極を走査するゲート駆動回路を有する表示パネルに接続される表示駆動回路であって、
前記複数のソース電極を駆動するソースドライバと、前記ゲート駆動回路にクロック信号を供給するゲート制御ドライバとを備え、
前記複数のソース電極を駆動する表示駆動期間と駆動を中止する中断期間とを交互に有し、
前記ゲート制御ドライバは、前記中断期間後の表示駆動期間の開始時において、前記クロック信号のパルス幅を拡げるゲートパルス変更期間を有する、表示駆動回路。
【請求項2】
請求項1において、前記ゲート制御ドライバは、前記ゲートパルス変更期間に出力する前記クロック信号の振幅を拡大する、表示駆動回路。
【請求項3】
請求項2において、第1レジスタをさらに備え、前記ゲート制御ドライバは、前記中断期間が終了した時から前記第1レジスタに設定されるパラメータに基づいて規定される期間を、前記ゲートパルス変更期間として動作する、表示駆動回路。
【請求項4】
請求項2において、第1レジスタと第2レジスタをさらに備え、
前記ゲート制御ドライバは、前記第1レジスタと前記第2レジスタにそれぞれ設定されるパラメータに基づいて規定される期間の合計を、前記ゲートパルス変更期間として動作し、
前記第1レジスタに設定されるパラメータは、前記中断期間が終了した時から前記ゲートパルス変更期間が終了するまでの期間を規定し、
前記第2レジスタに設定されるパラメータは、前記ゲートパルス変更期間が開始してから前記中断期間が終了するまでの期間を規定する、表示駆動回路。
【請求項5】
請求項2において、第3レジスタをさらに備え、前記ゲート制御ドライバは、前記第3レジスタに設定されるパラメータに基づいて、前記ゲートパルス変更期間に出力する前記クロック信号のパルス幅と振幅の一方又は両方を変更する、表示駆動回路。
【請求項6】
請求項5において、第4レジスタをさらに備え、前記ゲート制御ドライバは、前記ゲートパルス変更期間のうちの一部の期間には、出力する前記クロック信号のパルス幅と振幅の一方又は両方を前記第3レジスタに設定されるパラメータに基づいて変更し、前記ゲートパルス変更期間のうちの他の一部の期間には、出力する前記クロック信号のパルス幅と振幅の一方又は両方を前記第4レジスタに設定されるパラメータに基づいて変更する、表示駆動回路。
【請求項7】
複数のソース電極と複数のゲート電極と前記複数のゲート電極を走査するゲート駆動回路を有する表示パネルに接続される表示駆動回路であって、
前記複数のソース電極を駆動するソースドライバと、前記ゲート駆動回路にクロック信号を供給するゲート制御ドライバとを備え、
前記複数のソース電極を駆動する表示駆動期間と駆動を中止する中断期間とを交互に有し、
前記ゲート制御ドライバは、中断期間の終了前から前記中断期間に続く表示駆動期間の開始までの期間に、前記クロック信号を出力する、ゲートパルス変更期間を有する、表示駆動回路。
【請求項8】
請求項7において、前記ゲート制御ドライバは、前記ゲートパルス変更期間に出力する前記クロック信号の振幅を拡大する、表示駆動回路。
【請求項9】
請求項8において、前記ゲート制御ドライバは、中断期間の終了前から前記中断期間に続く表示駆動期間の開始までの期間に加え、前記表示駆動期間の開始後の一定期間を、前記ゲートパルス変更期間とし、前記ゲートパルス変更期間に出力する前記クロック信号の振幅を拡大する、表示駆動回路。
【請求項10】
請求項9において、第1レジスタと第2レジスタをさらに備え、
前記ゲート制御ドライバは、前記第1レジスタと前記第2レジスタにそれぞれ設定されるパラメータに基づいて規定される期間の合計を、前記ゲートパルス変更期間として動作し、
前記第1レジスタに設定されるパラメータは、前記中断期間が終了した時から前記ゲートパルス変更期間が終了するまでの期間を規定し、
前記第2レジスタに設定されるパラメータは、前記ゲートパルス変更期間が開始してから前記中断期間が終了するまでの期間を規定する、表示駆動回路。
【請求項11】
請求項8において、第3レジスタをさらに備え、前記ゲート制御ドライバは、前記第3レジスタに設定されるパラメータに基づいて、前記ゲートパルス変更期間に出力する前記クロック信号の振幅を変更する、表示駆動回路。
【請求項12】
請求項11において、第4レジスタをさらに備え、前記ゲート制御ドライバは、前記ゲートパルス変更期間のうちの一部の期間には、出力する前記クロック信号の振幅を前記第3レジスタに設定されるパラメータに基づいて変更し、前記ゲートパルス変更期間のうちの他の一部の期間には、出力する前記クロック信号の振幅を前記第4レジスタに設定されるパラメータに基づいて変更する、表示駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示駆動回路に関し、特に、表示駆動のための走査を一時中断し、再開する表示駆動回路に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来は表示パネルとタッチパネルが独立したオンセル方式が主流であったが、近年、特にモバイル用パネルモジュールにおいて、より薄型化が可能な、表示パネルとタッチパネルを一体化したインセル方式が普及しつつある。タッチセンサを備えた表示パネルには、表示ドライバとタッチパネルコントローラが接続され、ホストプロセッサから入力される画像データを表示し、タッチされた位置を検出してホストプロセッサへ出力する。タッチ検出動作のためにタッチパネルに信号を印加するときに、同時に表示駆動が行われていると、タッチ検出のために印加した信号が表示のための信号に混入して、画質の低下を招く恐れがある。そのため、タッチ検出を行う期間は、表示駆動を一時停止する、時分割動作が提案されている。
【0003】
特許文献1には、中断と再開を繰り返すことにより間欠的な線順次走査を行う表示装置において、画質の低下を抑える技術が開示されている。同文献に開示される表示装置は、表示部と走査部を備え、走査部は走査線終端側の遷移時間が互いに等しくなるように、各走査信号を生成するとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−190719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1について本発明者が検討した結果、以下のような新たな課題があることがわかった。
【0006】
特許文献1に開示される表示装置の走査部は、ダイナミック回路で構成されるシフトレジスタを含む。走査部の間欠動作に伴う中断の期間に、シフトレジスタを構成する転送回路の内部ノードの電位がリークにより低下する。特許文献1の第1の実施形態には、上記のような内部ノードの電位の低下が発生する転送回路を、走査線を駆動する他の転送回路50とは別に、走査線を駆動しない転送回路60として設けることによって解決する技術が開示されている。さらに同文献の第2の実施形態には、上記のように走査線を駆動しない特別な転送回路60を設ける代わりに、中断期間からの再開のときにクロック信号の最初のパルスの振幅を大きくすることによって解決する技術が開示されている(第0141段落〜第0150段落)。
【0007】
本発明者が検討した結果、特許文献1の第1の実施形態に記載される技術は、走査線を駆動しない転送回路(同文献では転送回路60)をシフトレジスタの途中に挿入する必要があり、且つ、その箇所でのみ間欠動作の中断が許されるので、設計の自由度に乏しいという問題がある。一方同文献の第2の実施形態に記載される技術は、間欠動作における中断期間についての設計の自由度の問題はないが、振幅の大きなクロックパルスを印加するため、その振幅がシフトレジスタを構成するトランジスタの耐圧によって制限されるという問題がある。特に、同文献の図9図10等に記載されるように、転送回路ではブートストラップ動作による電圧の昇圧を行っているため、昇圧されたノードに接続される素子で、耐圧の問題が発生する可能性が高い。特に、図9に示された転送回路では、リークによって低下した電圧と再開後のクロックパルスの振幅とを加算するブートストラップ動作が行われるため、ブートストラップ動作後の昇圧電圧が、リークによってどの程度電圧が低下するかにも依存することとなる。リークによる電圧の低下は、製造ばらつきのみならず動作条件によっても大きく変動するため、ブートストラップ動作後の昇圧電圧が素子耐圧を超えないように設計するためには、十分な余裕を持たせる必要があることがわかった。また、十分な余裕を持って設計した場合に、ブートストラップ動作後の昇圧電圧が十分に高くすることができず、画質の劣化を十分に抑えられない恐れがあることがわかった。
【0008】
本発明の目的は、1フレームの途中で表示駆動を中断する間欠動作を行う表示装置において、中断から再開した最初の走査線において輝度が低下することによる画質の劣化を抑えることである。
【0009】
このような課題を解決するための手段を以下に説明するが、その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施の形態によれば、下記の通りである。
【0011】
すなわち、ゲート電極を走査するゲート駆動回路を有する表示パネルに接続される表示駆動回路であって、表示パネルのソース電極を駆動するソースドライバと、前記ゲート駆動回路にクロック信号を供給するゲート制御ドライバとを備える。表示駆動回路は、ソース電極を駆動する表示駆動期間と駆動を中止する中断期間とを交互に有する間欠動作を行う。ゲート制御ドライバは、中断期間後の表示駆動期間の開始時において、前記ゲート駆動回路に供給するクロック信号のパルス幅を拡げるか、または、表示駆動期間の開始前にクロック信号を予備的に供給する。
【発明の効果】
【0012】
前記一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0013】
すなわち、1フレームの途中で表示駆動を中断する間欠動作を行う表示装置において、中断から再開した最初の走査線において輝度が低下することによる画質の劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明のタッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)の一構成例を示すブロック図である。
図2図2は、表示パネルの電極構成を例示する平面図である。
図3図3は、タッチパネルの電極構成を例示する平面図である。
図4図4は、本発明のゲート制御ドライバの構成例を表すブロック図である。
図5図5は、ゲート制御ドライバの第1の動作例を表すタイミングチャートである。
図6図6は、ゲート制御ドライバの第2の動作例を表すタイミングチャートである。
図7図7は、ゲート制御ドライバの第3の動作例を表すタイミングチャートである。
図8図8は、ゲート制御ドライバの第4の動作例を表すタイミングチャートである。
図9図9は、ゲート制御ドライバの第5の動作例を表すタイミングチャートである。
図10図10は、実施形態2のゲート制御ドライバの構成例を表すブロック図である。
図11図11は、実施形態2のゲート制御ドライバの動作例を表すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0016】
〔1〕<パルス幅を拡大>
本願において開示される代表的な実施の形態は、複数のソース電極(S1〜Sn)と複数のゲート電極(G1〜Gm)と前記複数のゲート電極を走査するゲート駆動回路(80)を有する表示パネル(2)に接続される表示駆動回路(20)であって、以下のように構成される。
【0017】
表示駆動回路(20)は、前記複数のソース電極(S1〜Sn)を駆動するソースドライバ(21)と、前記ゲート駆動回路にクロック信号を供給するゲート制御ドライバ(25)とを備える。前記複数のソース電極を駆動する表示駆動期間と駆動を中止する中断期間とを交互に有し、前記ゲート制御ドライバは、前記中断期間後の表示駆動期間の開始時において、前記クロック信号のパルス幅を拡げるゲートパルス変更期間を有する。
【0018】
これにより、1フレームの途中で表示駆動を中断する間欠動作を行う表示装置において、中断から再開した最初の走査線において輝度が低下することによる画質の劣化を抑えることができる。特に、表示パネル(2)側のゲート駆動回路(80)には、特別の制御回路を追加する必要がない。
【0019】
〔2〕<パルス幅+振幅を拡大>
項1において、前記ゲート制御ドライバは、前記ゲートパルス変更期間に出力する前記クロック信号の振幅を拡大する。
【0020】
これにより、さらに効果的に画質の劣化を抑えることができる。
【0021】
〔3〕<ゲートパルス変更期間を指定するパラメータがセットされるレジスタ>
項2において、前記表示駆動回路は第1レジスタをさらに備え、前記ゲート制御ドライバは、前記中断期間が終了した時から前記第1レジスタに設定されるパラメータに基づいて規定される期間を、前記ゲートパルス変更期間として動作する。
【0022】
これにより、ゲートパルス変更期間を適宜調整することができる。
【0023】
〔4〕<中断期間に予備的に追加されるゲートパルス変更期間>
項2において、前記表示駆動回路は第1レジスタと第2レジスタをさらに備え、前記ゲート制御ドライバは、前記第1レジスタと前記第2レジスタにそれぞれ設定されるパラメータに基づいて規定される期間の合計を、前記ゲートパルス変更期間として動作する。前記第1レジスタに設定されるパラメータは、前記中断期間が終了した時から前記ゲートパルス変更期間が終了するまでの期間を規定し、前記第2レジスタに設定されるパラメータは、前記ゲートパルス変更期間が開始してから前記中断期間が終了するまでの期間を規定する。
【0024】
これにより、ゲートパルス変更期間を中断期間の終了前から予備的に開始し、その期間を第2レジスタによって適宜調整することができる。
【0025】
〔5〕<パルス幅と振幅を指定するパラメータがセットされるレジスタ>
項2において、前記表示駆動回路は第3レジスタをさらに備え、前記ゲート制御ドライバは、前記第3レジスタに設定されるパラメータに基づいて、前記ゲートパルス変更期間に出力する前記クロック信号のパルス幅と振幅の一方又は両方を変更する。
【0026】
これにより、ゲートパルス変更期間におけるクロック信号のパルス幅と振幅を適宜調整することができる。
【0027】
〔6〕<パルス幅と振幅を指定するパラメータがセットされるレジスタ>
項5において、前記表示駆動回路は第4レジスタをさらに備える。前記ゲート制御ドライバは、前記ゲートパルス変更期間のうちの一部の期間には、出力する前記クロック信号のパルス幅と振幅の一方又は両方を、前記第3レジスタに設定されるパラメータに基づいて変更する。前記ゲートパルス変更期間のうちの他の一部の期間には、出力する前記クロック信号のパルス幅と振幅の一方又は両方を、前記第4レジスタに設定されるパラメータに基づいて変更する。
【0028】
これにより、ゲートパルス変更期間におけるクロック信号のパルス幅と振幅を時間に伴って徐々に調整することができる。
【0029】
〔7〕<表示駆動期間再開前の準備期間>
本願において開示される代表的な実施の形態は、複数のソース電極(S1〜Sn)と複数のゲート電極(G1〜Gm)と前記複数のゲート電極を走査するゲート駆動回路(80)を有する表示パネル(2)に接続される表示駆動回路(20)であって、以下のように構成される。
【0030】
表示駆動回路(20)は、前記複数のソース電極(S1〜Sn)を駆動するソースドライバ(21)と、前記ゲート駆動回路にクロック信号を供給するゲート制御ドライバ(25)とを備える。前記複数のソース電極を駆動する表示駆動期間と駆動を中止する中断期間とを交互に有し、前記ゲート制御ドライバは、中断期間の終了前から前記中断期間に続く表示駆動期間の開始までの期間に、前記クロック信号を出力する、ゲートパルス変更期間を有する。
【0031】
これにより、1フレームの途中で表示駆動を中断する間欠動作を行う表示装置において、中断から再開した最初の走査線において輝度が低下することによる画質の劣化を抑えることができる。
【0032】
〔8〕<クロック振幅を拡大>
項7において、前記ゲート制御ドライバは、前記ゲートパルス変更期間に出力する前記クロック信号の振幅を拡大する。
【0033】
これにより、さらに効果的に画質の劣化を抑えることができる。
【0034】
〔9〕<表示駆動期間再開前の準備期間から再開後の一定期間にクロック振幅を拡大>
項8において、前記ゲート制御ドライバは、中断期間の終了前から前記中断期間に続く表示駆動期間の開始までの期間に加え、前記表示駆動期間の開始後の一定期間を、前記ゲートパルス変更期間とし、前記ゲートパルス変更期間に出力する前記クロック信号の振幅を拡大する。
【0035】
これにより、さらに効果的に画質の劣化を抑えることができる。
【0036】
〔10〕<中断期間に予備的に追加されるゲートパルス変更期間>
項9において、前記表示駆動回路は第1レジスタと第2レジスタをさらに備え、前記ゲート制御ドライバは、前記第1レジスタと前記第2レジスタにそれぞれ設定されるパラメータに基づいて規定される期間の合計を、前記ゲートパルス変更期間として動作する。前記第1レジスタに設定されるパラメータは、前記中断期間が終了した時から前記ゲートパルス変更期間が終了するまでの期間を規定し、前記第2レジスタに設定されるパラメータは、前記ゲートパルス変更期間が開始してから前記中断期間が終了するまでの期間を規定する。
【0037】
これにより、ゲートパルス変更期間を中断期間の終了前から予備的に開始し、その期間を第2レジスタによって適宜調整することができる。
【0038】
〔11〕<振幅を指定するパラメータがセットされるレジスタ>
項8において、前記表示駆動回路は第3レジスタをさらに備え、前記ゲート制御ドライバは、前記第3レジスタに設定されるパラメータに基づいて、前記ゲートパルス変更期間に出力する前記クロック信号の振幅を変更する。
【0039】
これにより、ゲートパルス変更期間におけるクロック信号の振幅を適宜調整することができる。
【0040】
〔12〕<パルス幅と振幅を指定するパラメータがセットされるレジスタ>
項11において、前記表示駆動回路は第4レジスタをさらに備える。前記ゲート制御ドライバは、前記ゲートパルス変更期間のうちの一部の期間には、出力する前記クロック信号の振幅を、前記第3レジスタに設定されるパラメータに基づいて変更する。前記ゲートパルス変更期間のうちの他の一部の期間には、出力する前記クロック信号の振幅を、前記第4レジスタに設定されるパラメータに基づいて変更する。
【0041】
これにより、ゲートパルス変更期間におけるクロック信号の振幅を時間に伴って徐々に調整することができる。
【0042】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0043】
〔実施形態1〕
図1は、本発明のタッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)の一構成例を示すブロック図である。図2は、表示パネルの電極構成を例示する平面図であり、図3は、タッチパネルの電極構成を例示する平面図である。
【0044】
タッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1は、タッチパネルコントローラ10と表示ドライバ20とMCU30を含んで構成され、表示パネル2とタッチパネル3からなる複合パネル4、及び、ホストプロセッサ5と、それぞれ接続されることができる。タッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1は、特に制限されないが、例えば、公知のCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)半導体製造技術を用いて、シリコンなどの単一半導体基板上に形成される。タッチパネルコントローラ10と表示ドライバ20とMCU30が、それぞれ別チップのICで構成されてもよい。さらに、表示ドライバ20が1チップのICではなく、複数のソースドライバチップとゲート制御ドライバチップなどの複数のICに分けて構成されても良い。
【0045】
図2には表示パネル2の構成が例示される。表示パネル2は横方向に形成された走査電極としてのゲート配線G1〜Gmと縦方向に形成された信号電極としてのソース配線S1〜Snとが配置され、その交点部分には選択端子が対応する走査電極に接続され、入力端子が対応する信号電極に接続された多数の表示セルが配置される。表示セルは、図中に破線で囲まれる領域に例示されるように、ゲート配線にゲート端子がソース配線にソース端子が接続されるトランスファゲートTrと、トランスファゲートTrのドレイン端子と共通電圧Vcomの間に形成された画素容量Cによって構成される。トランスファゲートTrの構造は対称であり、上述のドレイン端子とソース端子の関係は逆でもよい。走査電極であるゲート配線G1〜Gmは、表示パネル2の両側に形成されたゲート駆動回路80_1と80_2によって順次走査される。ゲート駆動回路80_1と80_2は、それぞれ、シフトレジスタ81_1と81_2と各ゲート配線G1〜Gmを駆動するためのアンプ82_1〜82_mを含んで構成される。ゲート駆動回路80_1と80_2を構成する回路素子は、例えば表示パネル2のガラス基板上に形成された薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を使って構成される。このとき、ゲート駆動回路80_1と80_2はゲートインパネル(GIP:Gate In Panel)と呼ばれる。ゲート駆動回路80_1と80_2を制御するための信号Gctlは、タッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1内の表示ドライバ20から供給される。信号電極としてのソース配線S1〜Snには、タッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1内の表示ドライバ20から、直接またはデマルチプレクサ83を介して、表示されるべき輝度に対応する電圧レベルの信号が印加され、走査電極によって選択されたラインの画素容量Cが並列に充電される。画素容量Cに保持される電荷によって形成される電界の大きさにより、液晶の偏光の大きさが決まり、光の透過量即ちその画素の輝度が決まる。画素容量Cは次のフレームで同じラインが選択され新たな表示レベルが充電されるまで、電荷を保持して同じ輝度を表示する。画素容量Cに表示レベルに対応する電荷を転送するために、走査電極と信号電極を上述のように駆動することを、表示駆動と称し、表示駆動期間(略して表示期間と言う場合も含む)は、表示駆動が行われる期間を意味する。表示パネル2の構成は、図示された例に制限されず任意である。例えば、ゲート駆動回路を備える代わりに、ゲート配線G1〜Gmがタッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1内の表示ドライバ20によって直接駆動される構成とすることもできる。
【0046】
図3にはタッチパネル3の電極構成が例示される。タッチパネル3はマルチタッチ検出を可能にする相互容量方式のタッチパネルであって、横方向に形成された多数の駆動電極(Y電極)Y1〜YM(Y電極Ymとも記す)と、縦方向に形成された多数の検出電極(X電極)X1〜XN(X電極Xnとも記す)とが相互に電気的に絶縁されて構成される。X電極とY電極の交差部には各電極の容量電極を介して交点容量が形成される。交点容量に指などの物体が近接すると、当該物体を容量電極とする浮遊容量が前記交点容量に加わることになる。Y電極Y1〜YMは、例えばその配列順に、タッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1内のタッチパネルコントローラ10から、タッチ検出駆動信号TOUTxが印加されて駆動される。これに伴って検出電極であるX電極X1〜XNから順次得られる信号に基づいて、各交差部における容量成分の変動に応じた検出データを得る。マイクロプロセッサ(MPU)30はタッチパネル3の駆動を制御し、タッチパネルコントローラ10が取得した検出データから、タッチの状態や座標を検出する処理を行う。例えば、検出データに対してディジタルフィルタ演算を行い、これによってノイズが除去されたデータに基づいて容量変動が生じた交差部の位置座標を演算する。要するに、交差部のどの位置で浮遊容量が変化したか、即ち、交差部のどの位置で指が近接したか(タッチされたか、接触イベントが発生したか)を示すために、接触イベントが発生したときの位置座標を演算する。タッチパネル3は透過性(透光性)の電極や誘電体膜を用いて構成され、例えば表示パネル2の表示面に重ねて配置される。図3には、電極形状が菱形のタッチパネル3が示されるが、電極形状は格子型等他の形状でもよい。
【0047】
図1についての説明に戻る。タッチパネル3と表示パネル2は重ね合せて実装されて複合パネル4とされる。表示・タッチパネルである複合パネル4は、例えば表示パネル2に表示されるアイコンに対応する座標が、タッチ操作されたことを、積層されるタッチパネルで検出するなどの、連携した動作に適する。表示・タッチパネルである複合パネル4の積層方法は、一体として実装されるインセル方式でも良いし、タッチパネル3と上面に設置されるカバーガラスとが一体化された、オンセル方式のカバーガラス一体構成であってもよい。また、図1において、表示のためにゲート配線を制御するための信号や表示データ信号、タッチ検出のために駆動電極を駆動するための信号や検出信号は、幅のある矢印で示され、IC内の各回路動作を制御するための主な制御信号やタイミング信号は、実線の矢印で示され、電源供給配線は図示が省略されている。また、図では信号線のバス表示は省略されているが、各信号線は1本または複数本のアナログまたはディジタル信号配線によって構成される。
【0048】
ホストプロセッサ5は表示データを生成し、表示ドライバ20はホストプロセッサ5から受け取った表示データを表示パネル2に表示するための表示制御を行う。ホストプロセッサ5は、接触イベントが発生したときの位置座標のデータをMPU30から取得し、表示パネル2における位置座標のデータと表示ドライバ20に与えて表示させた表示画面との関係から、タッチパネル3の操作による入力を解析する。特に制限されないが、ホストプロセッサ5には夫々図示を省略する、通信制御ユニット、画像処理ユニット、音声処理ユニット、及びその他アクセラレータなどが内蔵され或いは接続されることによって、例えば携帯端末が構成される。
【0049】
タッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1内のタッチパネルコントローラ10は、タッチ検出信号駆動回路(Txドライバ)11と、タッチ検出信号検出回路(Rxレシーバ)12と、タッチ検出制御部13と、A/D変換器(ADC)14と、メモリ15とを含んで構成される。タッチ検出信号駆動回路(Txドライバ)11は、駆動電極であるY電極Y1〜YMを、例えばその配列順に、タッチ検出駆動信号TOUTxを印加して駆動する。これに伴って検出電極であるX電極X1〜XNから順次得られる信号RINxは、Rxレシーバ12で検出・増幅され、ADC14でディジタル値に変換され、メモリ15に書き込まれる。検出されたディジタル値は、タッチ検出制御部13を介してMPU30に読み出され、MPU30は、タッチパネルコントローラ10が取得した検出データから、タッチの状態や座標を検出する処理を行う。
【0050】
タッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1内の表示ドライバ20は、システムインターフェース27と、表示インターフェース28と、表示制御部26と、ゲート制御ドライバ25と、メモリ24と、データラッチ回路23と、階調電圧選択回路22と、ソースドライバ21と、電源回路29とを含んで構成される。表示ドライバ20は、システムインターフェース27を介してシステムバスによりホストプロセッサ5と接続され、制御コマンドを受信し、MPU30が検出したタッチ位置や状態を始めとするデータを送信し、その他IC内の各種パラメータを送受信する。表示ドライバ20は、表示インターフェース28を介して、例えば表示デバイスの標準的な通信インターフェースの1つである、MIPI−DSI(Mobile Industry Processor Interface Display Serial Interface)に準拠するインターフェースにより、ホストプロセッサ5と接続され、表示パネル2に表示すべき画像データを高速に受信し、垂直同期信号(Vsync)及び水平同期信号(Hsync)などのタイミング情報も合わせて受信する。
【0051】
表示制御部26は、ホストプロセッサ5から受信した制御コマンドやパラメータを保持するコマンドレジスタ(不図示)とパラメータレジスタ(不図示)を備え、それに基づいて、各回路の動作を制御する。また、MPU30やタッチパネルコントローラ10に、ホストプロセッサ5から受信した制御コマンドやパラメータを転送し、MPU30からタッチ位置や状態などのデータをホストプロセッサ5に送信するための中継を行う。
【0052】
表示制御部26は、表示インターフェース28が受信する、垂直同期信号(Vsync)及び水平同期信号(Hsync)などのタイミング情報に基づいて、ゲート制御ドライバ25を制御し、表示パネル2のゲート駆動回路80_1〜80_2へ供給する制御信号Gctlを出力させる。ゲート駆動回路80_1と80_2を制御するための信号Gctlは、例えばシフトレジスタ81_1と81_2のシフト動作のためのクロックG_CLK、初段に入力される開始フラグG_ST、その他、シフトの方向を規定するG_UP/G_DN、シフト動作を一時停止させるG_EN(イネーブル)などの各信号で構成される。
【0053】
表示制御部26は、表示インターフェース28が受信する画像データを、メモリ24に書き込む。メモリ24はSRAM(Static Random Access Memory)であり、フレームメモリとして機能する。メモリ24から1ライン分の画像データがデータラッチ23に読み出される。階調電圧選択回路22は、データラッチ23からディジタル値で供給される1ライン分の画像データを、並列に、対応するアナログの階調電圧に変換してソースドライバ21に供給する。階調電圧選択回路22は、図示が省略されている階調電圧生成回路によって生成されて供給される多階調のアナログ階調電圧から、ディジタル値の画像データに対応する1つのアナログ階調電圧を選択して出力し、または複数の階調電圧から新たに中間の階調電圧を生成して、ソースドライバ21に供給する。ソースドライバ21は、入力された階調電圧を電流増幅して、表示ドライバ2の信号電極(ソース配線)S1〜Snを駆動する。
【0054】
電源回路29は、昇圧回路、降圧回路、安定化回路(レギュレータ)などを含んで構成され、外部から供給される電源から、タッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1内の各回路で使用される内部電源を生成する。
【0055】
上述の表示ドライバ20は、フレームメモリ24を内蔵する構成例について説明したが、フレームメモリを内蔵しない構成も採用し得る。フレームメモリ24を内蔵する構成例では、表示する画像が静止画の場合に、1フレームの静止画をフレームメモリ24に保持し、繰り返し読み出して表示することにより、静止画が表示される期間のホストプロセッサ5からの画像データの転送を省略することができる。一方、フレームメモリを内蔵しない構成ではチップ面積が小さくて済み、コストが低減される。
【0056】
表示駆動とタッチセンスの時分割動作について説明する。
【0057】
表示ドライバ20とタッチパネルコントローラ10は、1フレーム期間を表示駆動期間とタッチセンス期間に分けて、時分割動作を行う。例えば1フレームを4分割して4回の表示駆動期間を設け、各表示駆動期間の間に、タッチセンス期間を設ける。4回の表示駆動期間には、ゲート配線G1〜Gm/4、Gm/4+1〜Gm/2、Gm/2+1〜G3m/4、G3m/4+1〜Gmがそれぞれ駆動され、ソースドライバ21がソース配線S1〜Snを駆動する。その表示駆動期間には、タッチパネルコントローラ10は、タッチ検出信号駆動回路(Txドライバ)11からのタッチ検出駆動信号TOUTxの出力と、タッチ検出信号検出回路(Rxレシーバ)12の検出動作を停止する。タッチセンス期間には、タッチパネルコントローラ10は、タッチ検出信号駆動回路(Txドライバ)11からタッチ検出駆動信号TOUTxを出力し、タッチ検出信号検出回路(Rxレシーバ)12の検出動作を行うのに対し、表示ドライバ20は、ゲート配線とソース配線の駆動を停止する。
【0058】
上述の例に倣って、第1の表示駆動期間にゲート配線G1〜Gm/4が駆動され、タッチセンス期間(表示駆動が中断される中断期間)を経た後の第2の表示駆動期間にゲート配線Gm/4+1〜Gm/2が駆動される場合について検討する。前述の特許文献1には、中断後、再開された表示期間の最初のゲート配線を駆動する波形が鈍るおそれがあることが指摘されている(同文献の図17、第103段落など)。このような現象は、ゲート駆動回路80がダイナミック回路であり、内部の容量に蓄積された電荷が中断期間にリークによって減るために発生する。ゲート駆動回路80が表示パネル2上にTFTで形成され、特にコストを抑えるためにCMOSではなく一方の導電型のMOSのみを用いて構成された場合にはより顕著である。同文献に記載されるシフトレジスタ回路(同文献の図9参照)は、中断期間に電荷を保持する容量C2を有し、その容量C2はクロックCK1が入力されることにより、高電位にブートストラップされる。ブートストラップされた電位は出力ドライバであるトランジスタN6のゲート端子を駆動する。このとき、容量C2に保持される電荷が中断期間にリークにより減少することを課題として、第2の実施例では再開後最初のクロックCK1の振幅を大きくする、解決方法が示されている(図32と第0141段落〜第0143段落)。この解決方法によれば、ブートストラップによってトランジスタN6のゲート端子を駆動する電圧をより高くすることができ、容量C2からリークによって減少した電圧の減少分を相殺することができるとされる。しかしながら、容量C2の容量値の製造ばらつきはもとより、リークの大きさの製造ばらつきは極めて大きく、さらには、リークの大きさは使用される温度などの環境によっても大きく変動するので、印加するクロックの電圧をどの程度に設定すべきか、正確に設計することは極めて困難である。さらに、このとき、リークが小さく容量C2の電圧の低下が小さい場合には、ブートストラップによって非常に高い電圧がトランジスタN6のゲート端子に印加されることになるため、ゲート耐圧の問題も考慮する必要がある。このように、ゲート駆動回路80の構成を、特許文献1に示される回路に限定した場合であっても、上述のような問題があることがわかる。
【0059】
一般に、表示駆動回路20或いはそれを含むタッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1は、多品種の表示パネル2に接続することができるように、自由度をもって設計される必要がある。このとき、ゲート駆動回路80の回路構成には、例えばリークによって電圧が低下するものの他、逆に上昇するもの、ブートストラップ動作を利用しないもの、表示とタッチセンスの時分割動作に合わせた表示領域毎にシフトレジスタを備えるものなど、種々の変形例が考えられる。本発明の大きな目的は、上述の通り、1フレームの途中で表示駆動を中断する間欠動作を行う表示装置において、中断から再開した最初の走査線において輝度が低下することによる画質の劣化を抑えることであるが、さらなる目的は、種々の表示パネルされたときに、上記目的を達成することができる、自由度の高い表示駆動回路20或いはそれを含むタッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1を提供することにある。
【0060】
図4は、本発明のゲート制御ドライバ25の構成例を表すブロック図である。図4には、タッチパネルコントローラ10と、ゲート制御ドライバ25を含む表示駆動回路(表示ドライバ)20の一部が示される。表示ドライバ20は、表示パネル2のソース電極(S1〜Sn)を駆動するためのソースドライバ21と階調電圧選択回路22とデータラッチ23と、ゲート電極(G1〜Gm)を動作させるためのゲート制御ドライバ25と、それらを制御する表示制御部26とを含んで構成される。表示制御部26からは、表示駆動中断制御信号HALT_DPが出力され、タッチパネルコントローラ10とソースドライバ21等とゲート制御ドライバ25に供給される。表示駆動中断制御信号HALT_DPは、表示駆動とタッチセンスの時分割動作を制御するタイミング制御信号であるため、同じ信号に基づいて同期して制御されていればよく、同様の制御信号がタッチパネルコントローラ10側で生成されて表示ドライバ20に供給されても良い。タッチパネルコントローラ10がタッチ検出動作を行う間、表示ドライバ20は表示駆動を中断する。
【0061】
ゲート制御ドライバ25は、表示パネル2内のゲート駆動回路80を動作させるための制御信号Gctlを供給する。接続され得る表示パネル2の仕様に合わせて、制御信号Gctlは、ゲート駆動回路80を構成するシフトレジスタのシフト動作のためのクロックG_CLK、シフトレジスタの初段に入力される開始フラグG_ST、その他、シフトの方向を規定するG_UP/G_DN、シフト動作を一時停止させるG_EN(イネーブル)などの各信号で構成される。ゲート制御ドライバ25は、ゲート駆動回路制御信号(Gctl)生成回路31と、ゲート駆動回路制御信号(Gctl)制御回路32と、パルス幅調整回路33と、レベルシフト回路(L/S)34と、電源スイッチ35と36と備える。
【0062】
ゲート駆動回路制御信号(Gctl)生成回路31は、Gctlを構成する各信号の基本的な波形を出力する。例えば、クロックG_CLKは水平同期信号(Hsync)に同期するクロックで、1相、ノンオーバーラップ2相、4相などの形態から選択される。開始フラグG_STは、基本的には垂直同期信号(Vsync)に同期するパルスであるが、表示パネル2のシフトレジスタの構成に合わせて変更される。1フレーム全体を順次走査する1個のシフトレジスタの場合は、開始フラグG_STは垂直同期信号(Vsync)にと同じく、1フレームに1パルスだけ出力される。時分割表示のための表示期間毎に分割して複数のシフトレジスタが設けられている場合には、表示駆動期間が開始される度に1パルスが出力される。シフト動作を一時停止させるG_EN(イネーブル)を有するシフトレジスタには、表示駆動中断制御信号HALT_DPに同期する信号をG_EN(イネーブル)として出力する。シフトイネーブルを有するシフトレジスタは、G_EN(イネーブル)がディセーブルされているときは、シフトデータが次のステージに転送されずに現ステージにフィードバックされ、ゲート配線への出力は無効化される。
【0063】
パルス幅調整回路33は、ゲート駆動回路制御信号(Gctl)制御回路32による制御に基づいて、Gctlを構成する各信号について、ゲート駆動回路制御信号(Gctl)生成回路31から出力される基本的な波形のパルス幅を調整する。例えばクロックG_CLKがノンオーバーラップ2相の場合、ノンオーバーラップ量を調整する。この他、本発明では、中断期間後の表示駆動期間の開始時において、適宜基本的な波形のパルス幅を調整する。例えばクロックG_CLKのパルス幅を拡げ、または、開始フラグG_STのパルス幅を拡げる。
【0064】
レベルシフト回路(L/S)34は、電源スイッチ35と36からそれぞれ高電位側と低電位側電源が供給され、パルス幅調整回路33でパルス幅を調整された後の、Gctlを構成する各信号について、その振幅を調整して出力する。電源スイッチ35は高電位側電源を、通常のVGH0とそれよりも高いVGH1との間で切替え、電源スイッチ36は低電位側電源を、通常のVGL0とそれよりも低いVGL1との間で切替える。本発明では、中断期間後の表示駆動期間の開始時において、Gctlを構成する信号の振幅を適宜調整する。例えばクロックG_CLKや開始フラグG_STの振幅を通常のVGL0からVGH0までの間から、VGL1からVGH1の間へ拡げて出力する。
【0065】
パルス幅の調整と振幅の拡大について、以下に詳述する。
【0066】
図5は、ゲート制御ドライバ25の第1の動作例を表すタイミングチャートである。横軸は時間であり表示駆動期間と中断期間と次の表示駆動期間が示され、縦軸方向には上から順に、表示駆動中断制御信号HALT_DP、垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync、ソース線駆動信号S1〜Sn、及び、ゲート駆動回路制御信号(Gctl)の一例としてシフトレジスタのクロックG_CLKが示される。表示駆動中断制御信号HALT_DPと垂直同期信号Vsyncと水平同期信号Hsyncは、振幅を明示せず負論理の論理波形で示される。ソース線駆動信号S1〜Snは個々にはアナログ信号であるが、水平同期信号Hsyncに同期して1ライン毎に変化することが模式的に示される。クロックG_CLKは、ディジタル波形であるが、振幅も例示される。
【0067】
表示駆動中断制御信号HALT_DPは、時刻t1〜t2の期間と時刻t4以降の期間の表示駆動期間にハイであり、時刻t2〜t4の中断期間にロウである。垂直同期信号Vsyncはフレームの開始である時刻t1にロウパルスを発生した後、図示されない次のフレームまで、ハイを維持される。水平同期信号Hsyncは、表示駆動期間には、ライン毎にロウパルスを発生し、それに同期してソース線駆動信号S1〜Snが出力され、中断期間にはハイに維持されソース線駆動信号S1〜Snの出力は停止される。
【0068】
図5についての以上の説明は、本明細書の図6〜9と11に示される他のタイミングチャートについても同様であるので、それぞれ図についての説明箇所では、同じ説明を省略する。
【0069】
時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間には、クロックG_CLKは、VGL0からVGH0の範囲の通常振幅で出力される。時刻t2に中断期間に入ると出力が停止される。その後、時刻t4から次の表示駆動期間が開始されると、時刻t4からt6までのゲートパルス変更期間には、クロックG_CLKは、パルス幅調整回路33により、ハイ期間が拡大されて出力される。その後時刻t6以降は、時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間と同様に、通常の出力に戻る。ゲートパルス変更期間、即ち、ハイ期間を拡大する期間(図では時刻t4〜t6の期間)は、例えばレジスタによって設定することができる。表示駆動期間の開始時点から水平同期信号Hsyncをカウントし、レジスタに設定された値と一致した時点でパルス幅の拡大を停止して、通常のパルス幅に戻す。以上は、表示パネル2のゲート駆動回路80内のシフトレジスタ81が、クロックG_CLKのハイ期間に、その長さに応じた電荷量を内部容量に充電するような回路方式である場合に有効である。これに対してG_CLKのロウ期間の長さに応じて内部の電圧レベルを回復するような回路方式の場合には、G_CLKのロウ幅を拡張するように設定すればよい。ゲート駆動回路制御信号(G_ctl)制御回路32内にレジスタを設けることにより、これらの設定ができるような構成とすることができる。
【0070】
図6は、ゲート制御ドライバ25の第2の動作例を表すタイミングチャートである。
【0071】
時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間には、クロックG_CLKは、VGL0からVGH0の範囲の通常振幅で出力され、時刻t2に中断期間に入ると出力が停止される。その後、時刻t4から次の表示駆動期間が開始されると、時刻t4からt6までのゲートパルス変更期間には、クロックG_CLKは、パルス幅調整回路33により、ハイ期間が拡大されて出力される。時刻t4からt6までのゲートパルス変更期間には、さらに、クロックG_CLKの振幅は、VGL0からVGH0の範囲の通常振幅からVGL1からVGH1の範囲の拡大された振幅に変更される。その後時刻t6以降は、時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間と同様に、通常の出力に戻る。ハイ期間を拡大し振幅を拡大するゲートパルス変更期間(時刻t4〜t6)は、例えばレジスタによって設定することができる。図5に示される動作例と比較すると、ゲートパルス変更期間にハイ期間を拡大するだけでなく、振幅も拡大する点が異なる。表示パネル2のゲート駆動回路80内のシフトレジスタ81が、クロックG_CLKのハイ期間に、その長さに加えその振幅に応じた電荷量を内部容量に充電するような回路方式である場合に有効である。これに対してG_CLKのロウ期間の長さと負極方向の振幅に応じて内部の電圧レベルを回復するような回路方式の場合には、G_CLKのロウ幅を拡張するとともに負極方向の振幅を拡大するように、設定すればよい。ゲート駆動回路制御信号(G_ctl)制御回路32内にレジスタを設けることにより、これらの設定ができるような構成とすることができる。
【0072】
図7は、ゲート制御ドライバ25の第3の動作例を表すタイミングチャートである。
【0073】
時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間には、クロックG_CLKは、VGL0からVGH0の範囲の通常振幅で出力され、時刻t2に中断期間に入ると出力が停止される。その後、上述の第1と第2の動作例よりも早い、即ち次の表示駆動期間の開始よりも早い時刻t3から時刻t5までの期間が、ゲートパルス変更期間となる。時刻t3からt5までのゲートパルス変更期間には、クロックG_CLKの振幅は、VGL0からVGH0の範囲の通常振幅からVGL1からVGH1の範囲の拡大された振幅に変更される。その後時刻t5以降は、時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間と同様に、通常の出力に戻る。振幅を拡大するゲートパルス変更期間(時刻t3〜t5)は、例えばレジスタによって設定することができる。ゲートパルス変更期間の開始前と開始後の期間をそれぞれ独立に規定することができるように、複数のレジスタを備えることもできる。表示パネル2のゲート駆動回路80内のシフトレジスタ81が、クロックG_CLKの振幅に応じた電荷量を内部容量に充電するような回路方式である場合に有効であり、特に、実際の表示駆動のためのゲート配線の駆動を再開する以前の期間に、シフトレジスタ81の動作を開始することができるために、ゲート配線の駆動を開始するまでに、シフトレジスタ81の内部ノードを確実に通常の電圧レベルに戻すことができ、ゲート配線を駆動する電圧を安定させることができる。このとき、シフトレジスタ81のシフト動作を必要以上に進行させないように、シフトレジスタ81内にゲート配線を駆動しない転送回路を設け、或いは、イネーブル信号などの制御信号によってシフト動作をディセーブルする。または、表示期間毎に対応するシフトレジスタ81を設けて、対応するシフトレジスタ81に対するスタートフラグを供給するタイミングを適正化することによって、実現することができる。
【0074】
図8は、ゲート制御ドライバ25の第4の動作例を表すタイミングチャートである。
【0075】
時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間には、クロックG_CLKは、VGL0からVGH0の範囲の通常振幅で出力され、時刻t2に中断期間に入ると出力が停止される。その後、上述の第3の動作例と同様に、次の表示駆動期間の開始よりも早い時刻t3から時刻t5までの期間が、ゲートパルス変更期間となる。時刻t3から表示駆動期間が開始される時刻t4までの、ゲートパルス変更期間の前半には、クロックG_CLKの振幅は、VGL0からVGH0の範囲の通常振幅であり、後半の時刻t4〜t5の期間には、VGL1からVGH1の範囲の拡大された振幅に変更される。その後時刻t5以降は、時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間と同様に、通常の出力に戻る。ゲートパルス変更期間を開始する時刻と終了する時刻、また、それぞれの期間におけるクロックG_CLKの振幅を規定するパラメータは、例えばレジスタによって設定することができる。それぞれの期間と振幅を自由に設定することができるように構成されることにより、種々の表示パネル2に適応することができる。
【0076】
図9は、ゲート制御ドライバ25の第5の動作例を表すタイミングチャートである。
【0077】
時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間には、クロックG_CLKは、VGL0からVGH0の範囲の通常振幅で出力され、時刻t2に中断期間に入ると出力が停止される。その後、上述の第4の動作例と同様に、次の表示駆動期間の開始よりも早い時刻t3からゲートパルス変更期間が開始されるが、次の表示駆動期間が開始される時刻t4にゲートパルス変更期間が終了される。図9には、ゲートパルス変更期間にクロックG_CLKの振幅が拡大される例が示されるが、通常振幅のままでもよい。ゲートパルス変更期間を開始する時刻と終了する時刻、また、それぞれの期間におけるクロックG_CLKの振幅を規定するパラメータは、例えばレジスタによって自由に設定することができる。
【0078】
以上のように、図4に示されるゲート駆動回路制御信号制御回路32に、ゲートパルス変更期間の開始と終了時刻を規定するレジスタを設け、またそれぞれの期間におけるハイ幅をロウ幅の大きさ及び/又は振幅を規定するレジスタを設け、パルス幅調整回路33、スイッチ35と36を制御することができるように構成することによって、自由度の高い表示駆動回路20或いはそれを含むタッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1を提供することができる。
【0079】
〔実施形態2〕
図10は、実施形態2のゲート制御ドライバ25の構成例を表すブロック図である。図10には図4と同様に、タッチパネルコントローラ10と、ゲート制御ドライバ25を含む表示駆動回路(表示ドライバ)20の一部が示される。実施形態2のゲート制御ドライバ25は、レベルシフト回路(L/S)34に供給される電圧が、電源スイッチ35により電圧VGH0、VGH1に加えその間のVGH2の3通りに切り替え可能とされ、電源スイッチ36により電圧VGL0、VGL1に加えその間のVGL2の3通りに切り替え可能とされる。その他の構成は、図4を引用して説明した実施形態1と同様であるので、説明を省略する。クロックG_CLKなどのゲート駆動回路制御信号(Gctl)の振幅は、通常振幅のVGL0〜VGH0と、拡大された振幅VGL2〜VGH2と、さらに拡大された振幅VGL1〜VGH1との間で、切り替え制御される。
【0080】
図11は、実施形態2のゲート制御ドライバ25の動作例を表すタイミングチャートである。
【0081】
時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間には、クロックG_CLKは、VGL0からVGH0の範囲の通常振幅で出力され、時刻t2に中断期間に入ると出力が停止される。その後、時刻t4から次の表示駆動期間が開始されると、時刻t4からt6までのゲートパルス変更期間には、クロックG_CLKは、パルス幅調整回路33により、ハイ期間が拡大されて出力される。時刻t4からt6までのゲートパルス変更期間のうち前半の期間には、さらに、クロックG_CLKの振幅は、VGL0からVGH0の範囲の通常振幅からVGL1〜VGH1の拡大された振幅に変更され、後半の期間にはそれよりも拡大幅の小さいVGL2〜VGH2の振幅に変更される。その後時刻t6以降は、時刻t1〜t2の最初の表示駆動期間と同様に、通常の出力に戻る。ハイ期間を拡大し振幅を拡大するゲートパルス変更期間(時刻t4〜t6)は、例えばレジスタによって設定することができる。図6に示される動作例と比較すると、ゲートパルス変更期間にハイ期間と振幅を拡大するだけでなく、振幅の拡大幅を途中で変更する点が異なる。これに加えて、図7〜9を引用して説明したように、ゲートパルス変更期間の設定を変更可能とすることもできる。これにより、選択することができる振幅の自由度がさらに拡大される。
【0082】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0083】
例えば、タッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバ(複合IC)1は主に液晶表示パネルに接続される場合について説明したが、OLEDを駆動するための複合IC1に変更することは可能である。また、図1に示される複合IC1の詳細な構成例では、フレームメモリ24を内蔵する構成例を示したが、それらを含まない簡易な構成にも、さらに他の機能を含む高機能の構成にも、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 タッチパネルコントローラ内蔵表示ドライバIC(複合IC)
2 表示パネル
3 タッチパネル
4 表示・タッチパネル(複合パネル)
5 ホストプロセッサ
10 タッチパネルコントローラ
11 タッチ検出信号駆動回路(Txドライバ)
12 タッチ検出信号検出回路(Rxレシーバ)
13 タッチ検出制御部
14 A/D変換器(ADC)
15 メモリ
20 表示ドライバ
21 ソースドライバ
22 階調電圧選択回路
23 データラッチ回路
24 メモリ
25 ゲート制御ドライバ
26 表示制御部
27 システムインターフェース
28 表示インターフェース
29 電源回路
30 MPU
31 ゲート駆動回路制御信号(Gctl)生成回路
32 ゲート駆動回路制御信号(Gctl)制御回路
33 パルス幅調整回路
34 レベルシフタ(L/S)
35、36 スイッチ
80 ゲート駆動回路
81 シフトレジスタ
82 アンプ
83 デマルチプレクサ
G1〜Gm 走査電極(ゲート配線)
S1〜Sn 信号電極(ソース配線)
Tr トランスファゲート
C 画素容量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11