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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-184425(P2015-184425A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】レンズアレイ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20150925BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20150925BHJP
【FI】
   G02B3/00 A
   G02B5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-59933(P2014-59933)
(22)【出願日】2014年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 敦
(72)【発明者】
【氏名】秋山 良造
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042AA06
2H042AA09
2H042AA22
2H042AA23
2H042AA24
2H042AA25
2H042AA26
2H042AA29
2H042AA30
2H042AA31
(57)【要約】
【課題】遮光膜の遮光性能と硬化膜性能を両立できる紫外線硬化型インクを使用して遮光膜を形成するレンズアレイを提供する。
【解決手段】透明基板に形成された複数のレンズと、複数のレンズの周辺に形成した遮光膜と、を含み、遮光膜として、熱酸発生剤を含む紫外線硬化インクを用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板に形成された複数のレンズと、
前記複数のレンズの周辺に形成した遮光膜と、を含み、
前記遮光膜として、熱酸発生剤を含む紫外線硬化インクを用いたレンズアレイ。
【請求項2】
前記紫外線硬化インクからなる前記遮光膜は、紫外線を照射して硬化する請求項1記載のレンズアレイ。
【請求項3】
前記紫外線硬化インクからなる前記遮光膜は、紫外線照射と加熱処理を併用して硬化する請求項1記載のレンズアレイ。
【請求項4】
前記紫外線硬化インクからなる前記遮光膜は、紫外線を照射して硬化した後に加熱処理をすることで硬化する請求項3記載のレンズアレイ。
【請求項5】
光を出射する光源と、
前記光源から出射した光が通過する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレンズアレイと、
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レンズの周辺に紫外線硬化型インクを使用して遮光膜を形成するレンズアレイ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、複合機(MFP)、ファクシミリ、スキャナ等の画像形成装置、或いは液晶表示装置、固体撮像素子、共焦点型レーザー顕微鏡等においては、レンズアレイが用いられており、レンズアレイには、迷光を防止するため、非レンズ部分に遮光膜を設けたものがある。レンズアレイの応用分野としては、画像表示分野に限らず、光通信分野、光ディスク分野、画像転送・結合分野、光計測、光センシング分野、光プロセシッシング分野等がある。レンズアレイとしては、特に迷光のない高品質(高分解能)のレンズアレイが要求されている。
【0003】
特許文献1には、遮光部一体型のマイクロレンズアレイが開示されており、透明基板に複数個のマイクロレンズを形成し、各マイクロレンズ間に、インクジェット法を用いて、インク材料にて遮光膜を形成する例が記載されている。
【0004】
特許文献1のマイクロレンズアレイの形成法は、金型を使用し、射出成型法等でマイクロレンズアレイを作製する。次に、各レンズ要素の間に、インクジェット法により黒色インクを吐出し、インクを各レンズ間に満たす。ここでインクに適度の流動性を持たせることによって、レンズ間の狭い部分にもインクが自然に行き渡る様にすることが可能である。使用するインクとしては、固形インク、油性インク、水性インク、紫外線硬化インク、電子線硬化インクの例が開示されている。
【0005】
しかしながら、固形インクの場合は、レンズ間での適度な流動性を持たせるための加熱手段が必要であり、マイクロレンズアレイの樹脂材料が限定される。水性インク、油性インクはその溶媒を蒸発乾燥させる必要があり、乾燥手段によりマイクロレンズアレイの樹脂材料が限定され、さらには溶媒の乾燥時に顔料等の遮光材料が流動してしまい均一な遮光膜の形成は難しい。電子線硬化インクは、安全面から大規模な設備となる。したがって、上記のインクは製造コストに影響があり、材料、性能に制約を受ける。
【0006】
一方、紫外線硬化インクはマイクロレンズアレイの遮光膜の特性から紫外線自体も遮光してしまい、十分な硬化膜を得ることが難しく、その硬化方法の詳細は開示されていない。即ち、マイクロレンズアレイの遮光膜の遮光性能を上げると迷光等を遮断できるものの、紫外線硬化時にはその硬化エネルギーが遮光膜の深さ方向にまで届かなくなり十分な効果膜が得られないことになる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−330709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明が解決しようとする課題は、遮光膜の遮光性能と硬化膜性能を両立できる紫外線硬化型インクを使用して遮光膜を形成するレンズアレイ及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係るレンズアレイは、透明基板に形成された複数のレンズと、前記複数のレンズの周辺に形成した遮光膜と、を含み、前記遮光膜として、熱酸発生剤を含む紫外線硬化インクを用いたものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るレンズアレイの一例を示す構成図。
図2】一実施形態におけるレンズアレイの遮光膜形成装置の一例を示す構成図。
図3】一実施形態における遮光膜形成装置の紫外線硬化インクの吐出しを示す説明図。
図4】一実施形態における遮光膜形成装置の紫外線照射を示す説明図。
図5】一実施形態における遮光膜形成装置の紫外線硬化インクの硬化処理を示す説明図。
図6】一実施形態における遮光インクの配合比を示す説明図。
図7】一実施形態における遮光インクの硬化度の評価を示す説明図。
図8】遮光インクの塗布膜厚を変更したときの硬化度の評価を示す説明図。
図9】第2の実施形態における遮光膜形成装置を示す構成図。
図10】第2の実施形態における遮光膜形成装置の紫外線硬化インクの吐出しを示す説明図。
図11】第2の実施形態における遮光膜形成装置の紫外線照射を示す説明図。
図12】第2の実施形態における遮光膜形成装置の加熱処理を示す説明図。
図13】一実施形態における遮光膜の厚さと透過濃度を示す特性図。
図14】一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図。
図15】一実施形態における画像形成装置の画像読取部を示す概略構成図。
図16】一実施形態における画像形成装置の画像形成部を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための実施形態について、図面を参照して説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付す。
【0012】
(第1の実施形態)
先ず、一実施形態のレンズアレイの構成について図1を参照して説明する。図1は、レンズアレイ10の構成図であり、(a)はレンズアレイ10の平面図、(b)は(a)の一点鎖線A−A’に沿う断面図、(c)は(b)の一部を拡大して示す拡大図である。
【0013】
図1に示すように、レンズアレイ10(マイクロレンズアレイとも言う)は、例えば透明な基板11上に配列した複数のレンズ12を備える。レンズアレイ10は、各レンズ12の間に、例えば膜厚12μmの黒色の遮光膜13を形成している。各レンズ12の間に遮光膜13を形成することにより、遮光膜13で覆われたレンズ部分は非レンズ部分となる。遮光膜13は、本実施形態の遮光インクである紫外線硬化インクを用いて形成する。基板11及びレンズ12は、例えば金型成形される。
【0014】
図1(c)の遮光膜13は、遮光性が高いほどレンズアレイ10の特性に有利である。即ち、遮光膜13により迷光を遮断できる。遮光性は、例えば透過濃度を測定することで求めることができる。透過濃度は、例えばX−rite社製361Tを用いることで測定可能であり、透過濃度6以上であれば透過光をほぼ遮光することができる。
【0015】
尚、図1では、基板11の片面にレンズ12を配置した例を示しているが、両面にレンズ12を形成することも可能である。以下の説明では、レンズアレイ10と遮光膜13を合わせてレンズアレイユニットと称することもある。
【0016】
(遮光膜の形成)
遮光膜13の形成には、例えばインクジェットヘッドを備える遮光膜形成装置20が用いられる。図2は、遮光膜形成装置20の概略構成図を示す。図2に示すように、遮光膜形成装置20は、レンズアレイ10を搬送する搬送台21と、紫外線硬化インク25を吐出するインクジェット印刷部22と、紫外線照射部23、及びインクジェット印刷部22と紫外線照射部23を制御する制御部24を備える。
【0017】
搬送台21は、複数のレンズ12を備える透明な基板11からなるレンズアレイ10を固定支持して、矢印X方向に移動し、レンズアレイ10の透明基板11をインクジェット印刷部22の位置及び紫外線照射部23の位置へと搬送する。制御部24は、搬送台21の搬送速度と搬送タイミングを制御する。
【0018】
図2の例では、遮光膜13を形成するために紫外線硬化インクを用いる。紫外線硬化インクの遮光材はカーボンブラックとし、遮光材は3.5重量%とした。また、紫外線照射部23は、照度:2000mW/cm、積算光量:400mJ/cm、波長:365nmとし、遮光膜13の厚さは12μmとした。
【0019】
以下、図3図5を参照して遮光膜の形成動作を説明する。図3に示すように、搬送台21を移動して透明基板11がインクジェット印刷部22の位置まで移動すると、インクジェット印刷部22は、基板11の上方から各レンズ12の間に紫外線硬化インク25を吐出する。制御部14は、インクジェット印刷部22からレンズ12の間に吐出するインク量を制御し、例えば遮光膜の厚さが12μmになるように制御する。
【0020】
紫外線硬化インク25の吐出量は、例えばインクを吐出させる電圧を調整して制御する。他の制御方法として、インクジェット印刷部22から吐出される微小な紫外線硬化インク滴を複数回、同一位置に滴下させるマルチドロップ印刷により、その液滴数を調整して紫外線硬化インクの吐出量を制御することも可能である。
【0021】
次に制御部24は、図4で示すように、搬送台21を紫外線照射部23の位置まで搬送し、レンズアレイ10に塗付された紫外線硬化インク25を紫外線照射部23から照射される紫外線26によって硬化する。制御部24は、紫外線26の照射量や紫外線の波長等を制御する。こうしてレンズ12間に遮光膜13が形成される。
【0022】
さらに制御部24は、図5で示すように、搬送台21を紫外線照射部23から外れる位置まで搬送する。この状態で放置することで、熱酸発生剤(後述)の熱分解が生じ、紫外線硬化インクで形成された遮光膜を内部まで硬化することが可能となる。
【0023】
尚、遮光膜形成装置20は、インクジェット方式ではなく、塗布によって紫外線硬化インクの供給を行うこともできる。また、搬送台21を固定して、インクジェット印刷部22と紫外線照射部23をレンズアレイ10に対して走査する態様としてもよい。また、上述した実施形態では、レンズアレイ10は、片面にレンズ12を形成する例を説明したが、基板11の両面にレンズ12を配置することもできる。
【0024】
基板11の両面にレンズ12を配置する場合には、片面(表面)への遮光膜13の形成の後、基板を反転して搬送台21にセットし、同様の操作を行うことで、もう一方の面(裏面)に遮光膜13を形成することができる。また、インクジェット印刷部22と紫外線照射部23をそれぞれ複数設けた態様としてもよい。さらに、紫外線硬化インク25を効率よく硬化させるため、搬送台21の透明基板11を取り付ける部分は、例えばガラス板として裏面側からも紫外線を照射するように構成することもできる。
【0025】
また、レンズ12間にインクが行き渡るようにするため、印刷してから硬化までの時間を2秒以上とすることが望ましい。そのためにインクジェット印刷部22でインクを吐出した後に搬送台21を一定時間停止(時間待ち)しても良い。
【0026】
次に紫外線硬化インクについて説明する。
【0027】
(遮光材料)
レンズアレイ用の遮光膜を形成するための遮光材料としては、光学的な遮光性および反射特性が第一に求められる。次にインクジェット紫外線硬化インクの特性として飛翔性能、分散安定性などが求められ、このような材料としては光吸収性の顔料を挙げることができる。
【0028】
例えば、カーボンブラック、カーボンリファインド、及びカーボンナノチューブのような炭素系顔料、鉄黒、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化クロム、及び酸化鉄のような金属酸化物顔料、硫化亜鉛のような硫化物顔料、フタロシアニン系顔料、金属の硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、及びリン酸塩のような塩からなる顔料、並びにアルミ粉末、ブロンズ粉末、及び亜鉛粉末のような金属粉末からなる顔料を例示することができる。
【0029】
(反応性材料)
遮光膜の骨格となる材料は光硬化型材料であり、重合性官能基を有する反応性モノマー、オリゴマーなどの光で重合する反応性の材料と、それらの重合を開始させる光開始剤からなる。本実施形態で使用するカチオン型反応性材料ついて説明する。
【0030】
カチオン型はエポキシやオキセタン化合物に代表される環状エーテル化合物、またビニルエーテル基を有するビニルエーテル化合物などが挙げられ、光開始剤として光照射によるプロトン発生を利用し重合を開始させるものである。これらの中で環状エーテル化合物は重合後の体積収縮が少なく、それに伴い基材との密着性が優れていることが特徴に挙げられる。また、酸素阻害を生じることなく重合でき、薄膜の形成能に優れていることもラジカル型とは異なる点である。
【0031】
マイクロレンズ用の遮光膜としては、上述した特性を踏まえた上でインクジェット紫外線硬化インクとしてのインク特性を両立する材料を適宜選択して使用することができる。即ち、本実施形態のインク材料は、遮光膜としての遮光性、反射特性、硬化膜強度、紫外線硬化条件などの性能と、インクジェット紫外線硬化インクの特性としての粘度、表面張力などの物性および遮光材の分散安定性、ヘッド部材との適合性などを満足することができるものであれば、特に制限はない。以下、具体例を列挙する。
【0032】
カチオン型の材料は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物などが挙げられる。
【0033】
エポキシ化合物は、2価の脂肪族骨格または脂環式骨格を有する炭化水素基、あるいは、脂肪族鎖または脂環式骨格を一部に有する2価の基の一方あるいは両方に、エポキシ基あるいは脂環式エポキシ基を有する化合物を挙げることができる。
【0034】
例えば、ダイセル化学社製のセロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000に例示される脂環式エポキシ、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物であるサイクロマーA200、サイクロマーM100、MGMAのようなメチルグリシジル基を有するメタクリレート、低分子エポキシ化合物であるグリシドール、β−メチルエピコロルヒドリン、α−ピネンオキサイド、C12〜C14のα−オレフィンモノエポキシド、C16〜C18のα−オレフィンモノエポキシド、ダイマックS−300Kのようなエポキシ化大豆油、ダイマックL−500のようなエポキシ化亜麻仁油、エポリードGT301、エポリードGT401のような多官能エポキシなどを挙げることができる。
【0035】
さらに、サイラキュアのような米国ダウケミカル社の脂環式エポキシや、水素添加し且つ脂肪族化した低分子フェノール化合物の水酸基末端を、エポキシを有する基で置換した化合物、エチレングリコールやグリセリン、ネオペンチルアルコールやヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどの多価脂肪族アルコール/脂環アルコールなどのグリシジルエーテル化合物、ヘキサヒドロフタル酸や、水添芳香族の多価カルボン酸のグリシジルエステルなどを使用することができる。
【0036】
オキセタン化合物としては、例えば、(ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、〔(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕シクロヘキサン、ビス〔(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕シクロヘキサンや、ビス〔(1−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕ノルボルナンなどの脂環に1以上のオキセタン含有基が導入された化合物、エチレングリコールやプロピレンゴリコール、ネオペンチルアルコールなど脂肪族多価アルコールに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのようなオキセタン含有アルコールを脱水縮合させたエーテル化合物)などが挙げられる。
【0037】
また、芳香族骨格を含むオキセタン化合物としては、例えば1,4−ビス((1−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ベンゼン、1,3−ビス((1−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ベンゼン、4,4‘−ビス((3−エチル−3オキセタニル)メトキシ)ビフェニル、フェノールノボラックオキセタン類があげられる。
【0038】
ビニルエーテル化合物としては、2-エチルヘキシルビニルエーテル、ブンタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジチレングリコールモノビニルエーテル、ジチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0039】
また硬化速度の向上に加えてさらなる粘度の低下と硬化硬度の向上が要求される場合には、液体インク中に下記式(1)で表わされるビニルエーテル化合物を、単独または組み合わせて配合することが好ましい。前記した脂肪族グリコール誘導体やシクロヘキサンジメタノールなどのメチレン基に結合したビニルエーテル化合物は、顔料による重合阻害が顕著なため、これまでインクとして使用することが難しかった。
【0040】
しかしながら、下記式(1)で示される、脂環式骨格、テルペノイド骨格や芳香族骨格に直接ビニルエーテル基を有する化合物は、顔料と同時に具備しても硬化性能に優れる。かかる化合物の配合量は、熱可塑性を維持するためには液体インク全体に対して50重量部以下の割合とすることが望ましいが、熱可塑性を損なってもより高い溶剤耐性と硬度が要求される場合はさらに酸で硬化する溶剤の全量まで増加しても構わない。
【0041】
R13−R14−(R13)p …(1)
上記式(1)中、R13は、少なくとも1つはビニルエーテル基であり、ビニルエーテル基、水酸基から選択される置換基を示す。R14は、脂環式骨格または芳香環を有する骨格から選択されるp+1価の基であり、pは0を含む正の整数である。ただし、R14がシクロヘキサン環骨格で、かつpが0の場合、環上の少なくとも一つの炭素はケトン構造を有する。(p+1)価の有機基R14としては、例えば、ベンゼン環やナフタレン環、ビフェニル環を含む(p+1)価の基、シクロアルカン骨格や、ノルボルナン骨格、アダマンタン骨格、トリシクロデンカン骨格、テトラシクロドデカン骨格、テルペノイド骨格、コレステロール骨格などの誘導される(p+1)価の基などが挙げられる。
【0042】
より具体的には、シクロヘキサン(ポリ)オール、ノルボルナン(ポリ)オール、トリシクロデカン(ポリ)オール、アダマンタン(ポリ)オール、ベンゼン(ポリ)オール、ナフタレン(ポリ)オール、アントラセン(ポリ)オール、ビフェニル(ポリ)オールなどの脂環ポリオールやフェノール誘導体おける水酸基の水素原子が、ビニル基に置換された化合物などが挙げられる。
【0043】
また、ポリビニルフェノールやフェノールノボラックなどのポリフェノール化合物における水酸基の水素原子が、ビニル基に置換された化合物などが挙げられる。上記化合物は、水酸基の一部が残留していても、脂環式骨格の一部のメチレン原子が、ケトン基などに置換されていても、揮発性が低減するため望ましいものとなる。特に、シクロヘキシルモノビニルエーテル化合物は揮発性に富むため、シクロヘキシルモノビニルエーテル化合物が用いられる場合は、シクロヘキサン環は少なくともシクロヘキサノン環に酸化されていることが望ましい。
【0044】
次に、光開始剤の例としてカチオン系に用いられる一般的なものを列挙する。
【0045】
カチオン系は、オニウム塩、ジアゾニウム塩、キノンジアジド化合物、有機ハロゲン化物、芳香族スルフォネート化合物、バイスルフォン化合物、スルフォニル化合物、スルフォネート化合物、スルフォニウム化合物、スルファミド化合物、ヨードニウム化合物、スルフォニルジアゾメタン化合物、およびそれらの混合物などを使用することができる。
【0046】
具体的には、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、2,3,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムp−エチルフェニルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウム2−ナフチルスルフェート、4−N−フェニルアミノ−2−メトキシフェニルジアゾニウムフェニルスルフェート、2,5−ジエトキシ−4−N−4'−メトキシフェニルカルボニルフェニルジアゾニウム−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、2−メトキシ−4−N−フェニルフェニルジアゾニウム−3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルスルフェート、ジフェニルスルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタン、ジフェニルジスルホン、α−メチルベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ベンゾイントシレート、などが挙げられる。
【0047】
次に、熱酸発生剤について説明する。熱酸発生剤とは、熱により酸が発生する化合物であり、インクの硬化を促進するもので、好ましくは熱分解点が50°C以上のものである化合物が挙げられる。 熱酸発生剤としては、例えば、加熱によりスルホン酸、カルボン酸、ジスルホニルイミドなどの低求核性の酸を発生する化合物である。これらの選定は、レンズアレイを形成している材料のガラス展移点以下に熱分解点があることが望ましい。また、熱酸発生剤は、室温で放置すると徐々に熱分解が進むため、紫外線硬化インクに入れた際は、冷暗所で保管することが望ましい。
【0048】
熱酸発生剤の具体例を示す。熱酸発生剤としては、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素アミン錯体、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、塩化鉄(III)、塩化亜鉛などのルイス酸や、アンモニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ホスホニウム塩、ベンジルオニウム塩などのオニウム塩や、リン酸アミドエステルなどがある。
【0049】
これらの材料を用いて、マイクロレンズの遮光用紫外線硬化インクを作成するには、遮光材をモノマーに分散する工程と、得られた分散液と適切なモノマー、オリゴマー、光開始剤、熱酸発生剤、さらに必要に応じて重合禁止剤を加えて混合攪拌する工程を経て、最終的に粗粒子や不要な固形分を除去する濾過あるいは遠心分離などの精製工程を行いインクジェット紫外線硬化インクとする。
【0050】
以下に、本実施形態の紫外線硬化インク25の具体例を示し、さらに詳細に説明する。
【0051】
[遮光材分散液の調製]
以下に示す遮光材料、分散剤、及び溶媒分としての反応性重合化合物を混合し、遮光材料の配合比の異なる混合液を得た。なお、遮光材料としてカーボンブラック顔料を用いた。
【0052】
・遮光材料(カーボンブラック顔料)… 20.0重量%
・分散剤(アビシア・ソルスパース32000)… 5.5重量%
・分散剤(アビシア・ソルスパース22000)… 0.7重量%
・反応性重合化合物(ダイセル・C3000:リモネンジオキサイド)… 73.8重量%
得られた混合液を、それぞれ循環式のサンドミルに0.5mm径のビーズを充填して、約1時間の分散処理を施した。分散処理後、孔径5μmのフィルターを用いて粗粒子を除去し、カーボンブラック顔料の遮光材分散液を得た。なお、本実施形態においてはインクジェットインクを例とするため、平均粒径を小さくすることと、粒子径分布をシャープにするべくフィルターによる処理を行ったが、インクジェットインクとして使用しない場合にはフィルター処理を省略してもよい。
【0053】
[遮光インクの調製]
調製した遮光性分散液に反応性重合化合物、光酸発生剤、熱酸発生剤、および増感剤を配合し、ホノジナイザーなどの攪拌機を用いて約1時間混合攪拌した。得られた混合液を5μmのメンブレンフィルターで濾過することにより、図6に示すように反応性重合化合物の含有量の異なる遮光インク(紫外線硬化インク)No.1〜No.12を調製した。なお、インクジェットによるインク塗布以外の方法で、レンズを作成する場合は、この濾過工程を省略することも可能である。
【0054】
図6は、No.1〜No.12の各インクの配合比を示す。図6は遮光材分散液を含めた遮光インクの配合比であり、分散剤についてはC3000(反応性重合化合物)に含めた。尚、図6においては、反応性重合化合物として、ダイセル社のC2021を使用し、光酸発生剤としてランバーティ社のESACUE1064を使用し、増感剤DBAとして、川崎化成社のジブトキシアントラセンを使用し、熱酸発生剤として楠本化成社のCXC1738を使用した。
【0055】
次に得られたインクを用いて、硬化度の評価を行った。硬化度の評価は、バーコータを用いてマイクロレンズと同じプラスチック材の板上にインク塗布膜厚が10μmになるように塗布する。塗布したプラスチック板は、紫外線照射部23を用いてUV光を照射する。照射したインク塗布膜は、直ちに感光し膜の硬化が進行する。ここで、UV光照射強度を2000mW/cm(365nm)、積算光量800mJ/cmを照射条件とした。さらに、UV照射後に加熱工程を設けて硬化具合がどうなるか、また、さらにそのサンプルを室温保管し、経時の硬化具合も合わせて確認した。硬化具合の判定は鉛筆硬度による膜の硬さ判定を行った。遮光インクの硬化判定結果を図7に示す。
【0056】
さらに、遮光インクの塗布膜厚を変更して同様に硬化判定を行った結果を図8に示す。図8の結果から、熱酸発生剤を添加したときの特に厚膜時のインク硬化特性が向上していることがわかる。15μm厚のNo.1インクは熱酸発生剤が無く、4Bを示しているが、15μm厚のNo.5インクでは2Bまで硬度が上がっている。これは、内部硬化がより進んだ証拠と考えられる。また、さらに遮光材を10%にまで増加したNo.11インクでも3Bまでの硬化が確認でき、熱酸発生剤の効果が現れていると考えられる。図7図8の評価結果からすると、熱酸発生剤は、少なくとも2%以下とするのが好ましい。
【0057】
紫外線硬化インク物性値として、遮光材の平均粒子径は300nm以下にすれば飛翔性能に影響を与えることがない。また、粘度値は25°Cにおいて5〜30mPa・s、表面張力値は22〜40mN/mの範囲に、モノマー、オリゴマー或いは界面活性剤などの配合により設定することが望ましい。
【0058】
さらにレンズアレイの各レンズ間の狭い部分にもインクが自然に行き渡る様にするためにレンズアレイの透明基材と紫外線硬化インクの接触角は20度以下に設定することが望ましい。
【0059】
尚、紫外線硬化インクの遮光性能は顔料濃度を変更して変える例を示したが、遮光材の材料を変えても同様に実現できる。例えば遮光材としては、カーボンブラック以外に、黒鉛、無機金属顔料、酸化チタンを含む顔料があり、これ等で同様に実現できる。また、遮光材に使用する顔料は複数種混合しても良く、その場合は、混合比率を変えることで紫外線硬化インクにより形成された遮光膜の遮光性能を変更できる。
【0060】
また第1の実施形態では、インクジェット法を用いて紫外線硬化インクを塗布し、紫外線照射後に加熱することで遮光膜が形成される例で説明したが、インクジェット法以外の方法、例えばディスペンサーを用いて微量液体を塗布するようにしても同様の効果が得られる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に遮光膜を形成するための他の実施形態について図面に基づき説明する。図9は、レンズアレイに対する遮光膜形成装置の他の構成図である。図9の遮光膜形成装置は、透明基板11に複数個のレンズ12を形成してなるレンズアレイ10に、インクジェット法により遮光膜を形成するもので、インクジェット印刷部22、紫外線照射部23、加熱部27を有する。またインクジェット印刷部22と紫外線照射部23と加熱部27を制御する制御部24を備える。
【0062】
図9の例では、遮光膜を形成するために紫外線硬化インクの遮光材はカーボンブラックとし、遮光材は7.5重量%とした。また、紫外線照射部23は、照度:2000mW/cm、積算光量:400mJ/cm、波長:365nmとし、遮光膜13の厚さは12μmとする。インクジェット印刷部22では、レンズアレイ10の各レンズ12の間に遮光膜13を印刷する。
【0063】
搬送台21は、レンズアレイ10を固定支持して、矢印X方向に移動し、図10図12に示すように、レンズアレイ10の透明基板11をインクジェット印刷部22の位置、紫外線照射部23の位置及び加熱部27の位置へと搬送する。制御部24は、搬送台21の搬送速度と搬送タイミングを制御する。
【0064】
図10に示すように、透明基板11がインクジェット印刷部22の位置まで移動すると、制御部14は、インクジェット印刷部22から紫外線硬化インク25を吐出する。制御部14は、インクの吐出量を制御し、インクジェット印刷部22は、基板11の上方から各レンズ12の間に紫外線硬化インク25を吐出する。制御部24は、インクジェット印刷部22からレンズ12の間に吐出するインク量を制御し、例えば遮光膜13の厚さが12μmになるように制御する。インク量の制御は、インク吐出させる電圧を調整する方法やマルチドロップでその液滴数を可変する方法等で可能である。
【0065】
次に制御部24は、図11で示すように、搬送台21を紫外線照射部23の位置にまで搬送し、レンズアレイ10に塗付された紫外線硬化インク25を紫外線照射部23から照射される紫外線26によって硬化する。制御部24は、紫外線26の照射量や紫外線の波長等を制御する。こうしてレンズ12間に遮光膜13が形成される。
【0066】
さらに制御部24は、図12で示すように、搬送台21を加熱部27の位置まで搬送し、紫外線硬化インクに対して加熱部27から赤外線28を照射して加熱処理する。加熱することで紫外線硬化インクを内部まで硬化させることができる。
【0067】
加熱部27で加熱したあとは、搬送台21を加熱部27の位置から外れた位置まで搬送して終了する。
【0068】
図13は、遮光材料としてカーボンブラックを使用した場合の遮光膜13の厚さと遮光特性を示している。紫外線硬化は、照度:2000mW/cm、積算光量:400mJ/cm、波長:365nmで行った。図13において、縦軸は透過濃度で、横軸は遮光膜の厚さである。遮光特性の評価では、遮光材(カーボンブラック)の濃度を7.5重量%とする紫外線硬化インクを使用した。遮光材7.5重量%では約12μm以上の膜厚で十分な遮光性能が得られることが確認できる。
【0069】
第2の実施形態では、レンズ12間にインクが行き渡るようにするため、印刷してから硬化までの時間を2秒以上とすることが望ましい。そのためにインクジェット印刷部22でインクを吐出した後に、搬送台21を一定時間停止(時間待ち)しても良い。
【0070】
また第2の実施形態では、紫外線照射部23はレンズアレイ10のインクジェット印刷面からのみ紫外線を照射する例を説明したが、搬送台21のレンズアレイ10を取り付ける部分を例えばガラス板にして裏面側から硬化することもできる。また、搬送台21にレンズアレイ10と設置した後に、搬送台21を動かしながらインクジェット印刷部22で紫外線硬化インクを吐出させ、紫外線照射部23で紫外線硬化インクを硬化した後、加熱部27で加熱処理をして遮光膜13を形成する例を説明したが、搬送台21に対してインクジェット印刷部22、紫外線照射部23および加熱部27を走査する方法でも実現できる。
【0071】
また紫外線硬化インクの遮光性能は顔料濃度を変更することで変わる例を示したが、遮光材の材料を変えても同様に実現できる。このとき遮光材としては、カーボンブラック以外に、黒鉛、無機金属顔料、酸化チタンを含む顔料があり、これ等でも同様に実現できる。また、遮光材に使用する顔料は複数種混合しても良く、その場合は、混合比率を変えることで紫外線硬化インクにより形成された遮光膜の遮光性能を変更できる。
【0072】
さらに第2の実施形態では、インクジェット法を用いて紫外線硬化インクを塗布し、紫外線照射後に加熱することで遮光膜が形成される例で説明したが、インクジェット法以外の方法、たとえばディスペンサーを用いても同様の効果が得られる。また、加熱方法は、搬送台に固定したまま赤外線を照射する例を述べたが、この限りではない。例えば、レンズアレイ10を紫外線照射部23で表面を硬化した後に、搬送台21から取り外し、温度槽、またはホットプレートで一括して加熱処理しても同様の効果が得られる。
【0073】
(画像形成装置)
図14は、一実施形態に係るレンズアレイ10を用いた光学装置の一例である画像形成装置の構成図である。図14に示すように、画像形成装置100は、原稿等の画像を読み取るスキャナ部(画像読取部)30と、スキャナ部30で生成された画像データ等を処理して用紙に画像を形成するプリンタ部(画像形成部)40と、プリンタ部40に用紙を給紙する給紙部70を備えている。
【0074】
スキャナ部30は、画像形成装置100の上部に設けられており、自動原稿搬送装置31によって送られる原稿または原稿台32上に置かれた原稿を読み取って画像データを生成するもので、イメージセンサ33を備えている。
【0075】
図15は、画像読取部のイメージセンサ33を拡大して示す断面図である。イメージセンサ33は主走査方向(図7,8では奥行き方向)に配置された1次元のセンサであり、筐体34を有する。筐体34は基板35上に配置され、筐体34の原稿台32側の上面には、原稿の方向に光を照射する光源(発光素子)36,37を主走査方向に延びるように設けている。
【0076】
光源36,37は、例えばLED、蛍光管、キセノン管、冷陰極管又は有機EL等を挙げることができる。筐体34上部の光源36と37の間には、レンズアレイ10が支持され、筐体34の底部にある基板35には、CCDやCMOSなどで構成されるセンサ38が実装されている。
【0077】
光源36,37は、原稿台32上の原稿の画像読み取り位置を照射し、画像読み取り位置で反射した光は、レンズアレイ10に入射する。レンズアレイ10は、正立等倍レンズとして機能し、レンズアレイ10に入射した光は、レンズアレイ10の出射面から出射され、センサ38上に結像する。結像した光は、センサ38によって電気信号に変換され、電気信号は、基板35のメモリ部(図示せず)に転送される。
【0078】
プリンタ部40は、画像形成装置100の中央部に設けられており、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成部41Y,41M,41C,41Kと、これら画像形成部に対応する走査ヘッド51Y、51M、51C、51Kを有する露光装置50を備えている。画像形成部41Y,41M,41C,41Kは、中間転写ベルト42の下側に、上流から下流側に沿って並列に配置している。
【0079】
図16は、画像形成部41Y,41M,41C,41Kのうち、画像形成部41Kを拡大して示す構成図である。なお、以下の説明において各画像形成部41Y,41M,41C,41Kは同じ構成であるため、画像形成部41Kを代表に説明する。
【0080】
図16に示すように、画像形成部41Kは、像担持体である感光体ドラム43Kを有する。感光体ドラム43Kの周囲には、回転方向tに沿って帯電チャージャ44K、現像器45K、1次転写ローラ46K、クリーナ47K、ブレード48K等を配置している。感光体ドラム43Kの露光位置には、走査ヘッド51Kから光を照射し、感光体ドラム43K上に静電潜像を形成する。
【0081】
帯電チャージャ44Kは、感光体ドラム43Kの表面を一様に全面帯電する。現像器45Kは、現像バイアスが印加される現像ローラによりブラックのトナー及びキャリアを含む二成分現像剤を感光体ドラム43Kに供給する。クリーナ47Kは、ブレード48Kを用いて感光体ドラム43K表面の残留トナーを除去する。
【0082】
次に露光装置50の走査ヘッド51Kの構成を説明する。走査ヘッド51Kは、感光体ドラム43Kと対向する。感光体ドラム43Kは、予め設定した回転速度で回転し、表面に電荷を蓄えることができ、走査ヘッド51Kからの光を感光体ドラム43Kに照射して露光し、感光体ドラム43Kの表面に静電潜像を形成する。
【0083】
走査ヘッド51Kは、レンズアレイユニット10Kを有し、レンズアレイユニット10Kは保持部材52Kに支持されている。また保持部材52Kの底部には支持体53Kを有し、支持体53Kには、LED等の光源である発光素子54Kを配置している。発光素子54Kは主走査方向に直線状に等間隔で設けている。
【0084】
また、支持体53Kには発光素子54Kの発光を制御するドライバICを含む基板(図示せず)を配置している。ドライブICは制御部を構成し、画像データに基づいて走査ヘッド51Kの制御信号を発生し、制御信号に従って所定の光量で発光素子54Kを発光させる。発光素子54Kから出射した光線は、レンズアレイユニット10Kに入射し、レンズアレイユニット10Kを通過して感光体ドラム43K上に結像し、像が感光体ドラム43K上に形成される。また走査ヘッド51Kの上部(出射側)にはカバーガラス55Kを取り付けている。
【0085】
図14に示すように、画像形成部41Y,41M,41C,41Kの上部には、現像器45Y,45M,45C,45Kにトナーを供給するトナーカートリッジ49を設けている。トナーカートリッジ49は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーカートリッジ49Y,49M,49C,49Kを含む。
【0086】
中間転写ベルト42は、循環的に移動する。中間転写ベルト42は、駆動ローラ61及び従動ローラ62に張架される。また中間転写ベルト42は感光体ドラム43Y,43M,43C,43Kに対向して接触している。中間転写ベルト42の感光体ドラム43Kに対向する位置には、1次転写ローラ46Kにより1次転写電圧が印加され、感光体ドラム43K上のトナー像を中間転写ベルト42に1次転写する。
【0087】
中間転写ベルト42を張架する駆動ローラ61には、2次転写ローラ64を対向して配置している。駆動ローラ61と2次転写ローラ64間を用紙Sが通過する際に、2次転写ローラ64により2次転写電圧が用紙Sに印加される。そして中間転写ベルト42上のトナー像を用紙Sに2次転写する。中間転写ベルト42の従動ローラ62付近には、ベルトクリーナ65を設けている。
【0088】
給紙部70は、各種サイズの用紙を収容する複数の給紙カセット71を有する。給紙カセット71から2次転写ローラ64に至る間には、給紙カセット71内から取り出した用紙Sを搬送する搬送ローラ72を設けている。さらに2次転写ローラ64の下流には定着器66を設けている。
【0089】
また定着器66の下流には搬送ローラ73を設けている。搬送ローラ73は用紙Sを排紙トレイ74に排出する。さらに、定着器66の下流には、反転搬送路75を設けている。反転搬送路75は、用紙Sを反転させて2次転写ローラ64の方向に導くもので、両面印刷を行う際に使用する。
【0090】
以上説明した実施形態によれば、紫外線硬化型インクを使用して遮光膜を形成することにより、遮光膜の遮光性能と硬化膜性能を両立できる。また紫外線硬化型インクにより形成された遮光膜を有するレンズアレイを利用した画像形成装置を提供することができる。
【0091】
尚、本発明のいくつかの実施形態を述べたが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
10…レンズアレイ
11…透明基板
12…レンズ
13…遮光膜
100…画像形成装置
30…スキャナ部
33…イメージセンサ
50…露光装置
51Y,51M,51C,51K…走査ヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16