特開2015-184890(P2015-184890A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-184890(P2015-184890A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】特典消費システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20150925BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20150925BHJP
【FI】
   G06Q30/02 140
   G07G1/12 321N
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-60190(P2014-60190)
(22)【出願日】2014年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】597005325
【氏名又は名称】ジー・アンド・ジーファルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 優
【テーマコード(参考)】
3E142
5L049
【Fターム(参考)】
3E142DA13
3E142EA04
3E142FA06
3E142FA18
3E142GA17
3E142JA01
3E142JA02
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】ポイントのようにデータとされていない金券のような特典を持参する必要がないと共に、顧客(会員)以外を客でも幅広く特典を獲得でき、そのうえ効率よく特典を消費させ、来店率の向上と販売促進を図ること。
【解決手段】特典消費システム1は、顧客データベース2A、商品データベース2Bを有したサーバ2と、店毎の特典の情報を蓄積した特典データベース3A、特典の情報を抽出する特典抽出部3B、特典の残期間等を算出する特典残算出部3C、特典の残期間等の優先順位を決定する特典優先決定部3Dを有した店毎の端末3と、特典の各情報を一覧に表示すると共に、この表示に消費有無と消費した価値、数量を入力可能とした特典表示部4Aを有したPOS端末4と、を備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイント、金券、割引券、優待券、引換券、といったあらゆる特典を管理して効率よく消費させるためのシステムであって、サーバと、このサーバに通信接続された店毎の端末と、この端末に通信接続されたPOS端末と、を備え、
前記サーバには、顧客の情報を蓄積した顧客データベースと、商品の情報を蓄積した商品データベースと、を有し、
前記店毎の各端末には、店毎の特典の情報を蓄積した特典データベースと、精算時に前記特典データベースから特典の情報を抽出する特典抽出部と、この特典抽出部で抽出された特典の残期間、残価値、残数量等を算出する特典残算出部と、この特典算出部で算出された当該特典の残期間、残価値、残数量の優先順位を決定する特典優先決定部とを有し、 前記POS端末には、前記特典抽出部、前記特典残算出部、前記特典優先決定部によって得られた各情報を一覧に表示すると共に、この表示に消費有無と消費した価値、数量を入力可能とした特典表示部を有し、たことを特徴とする特典消費システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、獲得した特典を確実に消費するよう促すことで販売促進を図ることができる特典消費システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より販売促進を目的としてPOSシステムにおいて蓄積された各種情報をデータマイニングすることが行われている。データマイニングでは、さまざまな切り口で抽出される「顧客」をグループ化し、ある条件に沿ったグループ(あるいはそのグループ内の特定の顧客)に対して販売促進を企図して特典を付与することがよく行われている。
【0003】
なお、本願で言う「特典」とは、特に個々に種類を記載しない限り、例えば商品券や割引券のような金券、清算時の割引(値引)の保証、金銭的価値を有するポイント、商品のプレゼント、商品の無料配送など、店から提供される顧客に有利なサービス全般を意味することとする。一方、本願で言う「顧客」とは(POS)システムに例えば住所や氏名が登録された当該システムでいわゆる囲い込みがなされた客、会員を意味することとする。
【0004】
データマイニングにより、例えば抽出された店に寄与(貢献)した顧客のうちさらに特定の個顧客に対して相応の特典を与えたり、様々な分析結果とその対応によって、顧客の、来店率の向上、購買意欲の向上、その店の注目度(認知度)の向上、などが見込め、これうした副次的効果として販売促進効果を得ることができる。例えば顧客に特典を付与することで販売促進を図るものとして例えば次の特許文献1〜4が知られている。
【0005】
特許文献1は、顧客に付与した特典(特許文献1ではポイント)が失効する前に、累積ポイントに応じた商品の案内を該顧客に提供することを目的とした構成が示されている。
【0006】
特許文献2は、顧客の特典(特許文献2ではポイント)を活かした、販売促進を図っていない商品、割引率の高く在庫の少ない商品を該商品を好む顧客に優先的に販売情報の提供がされない商品、のように特定商品に関する情報を、特定顧客に効率よくかつ適確に提供し、販売促進を図ることを目的とした構成が示されている。
【0007】
特許文献3は、顧客が保有する特典(特許文献3ではポイント)が少なくても高額な商品を入手できる可能性を与えると共にこのサービスを低コストで確実に販売の促進に寄与させることを目的とした構成が示されている。
【0008】
上記特許文献1〜3の構成を組み合わせて、例えば、顧客のポイントが失効する前に、当該顧客のポイントを活かした商品や割引率の高い商品について効率よく適確に案内でき、さらに、案内された商品がポイントとの相対価値で少ないポイントで高額な商品を入手できる可能性を与えうるようにしたならば、顧客満足度も向上し、販売促進に繋がる可能性もある。
【0009】
ところで、特許文献1〜3において特典を「ポイント」に特定している理由は、ポイントはシステム上で例えば金銭的な価値を有するデータとして扱うことができ、当該特許文献1〜3のシステム構成やアプリケーション構成において当該データの管理が可能かつ容易だからと考えられる。
【0010】
しかし、特許文献1〜3及びこれらを組み合わせた構成では、特典は「ポイント」であり、また、特典を得られる者が「顧客」と限定されていたので、販売促進効果も限定的となっていた。例えば、特典は、上述の「ポイント」に限らず、商品券や割引券のような金券、清算時の割引(値引)の保証、商品や役務(例えば配送無料とする等)の物理的なプレゼントが存在する。一方、店に訪れる客は、顧客に限らないのは言うまでもない。
【0011】
つまり、特許文献1〜3及びこれらを組み合わせた構成では、上記あらゆる特典を総合的に管理して積極的に消費させるようにはなっていない他、特典対象が顧客に限定されていたので、現状は顧客ではない客の、後に顧客としてシステムに登録される可能性を抑制することになっていた。
【0012】
ここで、上記、商品券や割引券、引換券といった特典が昨今においても存在する意味について考察する。「ポイント」は、上述のとおりデータとして取り扱えるめ、システムにおける本部サーバ(サービスの管理元)で一括的に管理できるが、例えばサーバ配下の店毎、支店毎の特典イベントにおいては、その店だけで特定期間の特定商品について、その店長、支店長の判断によるポイントを設定することが容易にできないというデメリットがある。
【0013】
また、店長、支店長の判断による特典イベントを本部で許容したとしても、本部サーバをその店のその有効期間(時間)でさらにその特定商品や特典内容に設定操作する必要があり、サーバ配下の系列店、支店等が多く存在すればそのように一部の店だけの特典イベントのために設定を変更するとなると、手間がかかり、また、操作ミス(設定ミス)が生じると顧客に重大な不利益を与えるリスクと、全体のシステム障害が生じるリスクとが伴う。
【0014】
このため、支店毎、店毎、の店長、支店長単位の判断による非常に限定された特典については、サーバの設定操作を必要としない(すなわちポイントのようなデータで管理されない)、商品券や割引券、引換券といった手段を講じて、店独自の特典を(顧客を含む)客に付与するようにしているのである。
【0015】
しかし、例えば(割引券を含む)金券は、通常、金券自体に有効期間が示されているため、客に渡った後は、有効期間の管理を客に委ねることになる。もちろん、清算時に、金券に記された、番号をPOSレジスタのキー入力したり、バーコードをPOSレジスタのスキャナで読み取ることで、金券に有した情報から期間の有効・無効を判断することができるが、これは客が金券を清算時に持参していてかつ提示した場合に限られる。
【0016】
したがって、清算時に、金券を提示しない場合は、当然、有効期間内であってもその金券を使うことができないということとなる。これは、金券(割引券)に限ったことではなく、プレゼント引換券、特殊なサービスを受けるための証書、といったような特典も同様な事態が生じる。
【0017】
また、いわゆるダイレクトメールで有効期間が切れる旨の通知をしたとしても、上記金券、引換券、証書を紛失していて、折角の特典を受けることができない場合もある。さらに、客がそれら特典を積極的に請求(提示)することに躊躇する場合もある。また、多くの店でそういった特典を多数有した客は、それら店毎の特典を顧客が覚えておいて管理しておく必要が生じるが、実際は店毎の特典について管理していない場合が多い。
【0018】
すなわち、従来、客に渡ったポイント以外の特典は、当該特典が客に渡ったときから、店の管理下を離れ、当該客の管理下に置かれることとなり、客が特典を受けられない場合が多々あった。これが転じて、客が、特典に対する興味や値打ち感が低下して、販売促進や来店意欲が低下することとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−243006号公報
【特許文献2】特開2005−352929号公報
【特許文献3】特開2003−6498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明が解決しようとする問題点は、特許文献1〜3では、「特典」をシステムでデータとして管理可能なポイントに限定し、また、特典を享受できる者がシステムに登録された「顧客」に限定されていたため、(顧客ではない)客に物理的に手渡された(ポイントではない)特典については客が管理し、客が積極的に特典を消費する旨の申し出及びその証書を提示しなければならず、特典が客にとってスムーズに消費されにくく、特典が効率よく販売促進や来店意欲に寄与しないといった点である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するため、本発明は、ポイント、金券、割引券、優待券、引換券、といったあらゆる特典を管理して効率よく消費させるためのシステムであって、サーバと、このサーバに通信接続された店毎の端末と、この端末に通信接続されたPOS端末と、を備え、
前記サーバには、顧客の情報を蓄積した顧客データベースと、商品の情報を蓄積した商品データベースと、を有し、
前記店毎の各端末には、店毎の特典の情報を蓄積した特典データベースと、精算時に前記特典データベースから特典の情報を抽出する特典抽出部と、この特典抽出部で抽出された特典の残期間、残価値、残数量等を算出する特典残算出部と、この特典算出部で算出された当該特典の残期間、残価値、残数量の優先順位を決定する特典優先決定部とを有し、 前記POS端末には、前記特典抽出部、前記特典残算出部、前記特典優先決定部によって得られた各情報を一覧に表示すると共に、この表示に消費有無と消費した価値、数量を入力可能とした特典表示部を有し、たことを特徴とした。
【発明の効果】
【0022】
本発明の特典消費システムは、サーバから抽出した顧客データベースを店毎に設定した特典データベースに照合させ、POS端末で精算するたびに、特典データベース中に該当していれば、獲得している特典を有効かつ効率よく消費できるようにしているので、自分の獲得している特典について意識する必要はなく、また、物理的に発券されて手渡された金券や割引券、引換券を管理し、来店時に持参する必要がない。
【0023】
また、本発明の特典消費システムは、特典データベースを店毎の端末に有しているから各店毎に独自の設定が可能となり、上記のとおり特典は顧客に限らず顧客ではない客であっても幅広く獲得できる一方、例えば系列各店で金券や割引券、引換券などの柔軟度の高い特典を設定でき、また、意識しなくても正確かつ有利に消費することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の特典消費システムの構成を示す図である。
図2】本発明の特典消費システムのサーバの構成を示す図である。
図3】本発明の特典消費システムの端末の構成を示す図である。
図4】本発明の特典消費システムのPOS端末の構成を示す図である。
図5】本発明の特典消費システムの特典イベントを特典データベースに登録する手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の特典消費システムの精算処理時における特典消費手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の特典消費システムの精算処理時における仮顧客登録手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、ポイントのようにデータとされていない、金券や割引券、引換券のような特典の管理を顧客が行う必要があり、折角獲得した特典を顧客が有効に活用できず、その結果、顧客の来店、購買動機が喪失し、販売促進の向上が見込めないという課題を、特に、店毎の端末に、特典の情報を蓄積した特典データベースと、特典の情報を抽出する特典抽出部と、特典の残期間、残価値、残数量等を算出する特典残算出部と、特典の残期間、残価値、残数量の優先順位を決定する特典優先決定部とを有することで解消し、ポイントに限らず、金券や割引券、引換券のようなデータされてい特典情報を柔軟に設定でき、かつこの特典情報を顧客に限定せず、幅広く客に提供できるようにした。
【実施例】
【0026】
上記実施形態について、以下、図面を参照して説明する。図1は、本発明の特典消費システム構成を示している。特典消費システム1は、例えば通信接続された環境下において、本部に設置されたサーバ2と、店毎に設置された端末3と、店毎に設置され、端末3に接続されたPOS端末4と、を備える。
【0027】
サーバ2、端末3は、サーバ向き、クライアント端末向き、で性能や仕様が異なるものの、構成としては、それぞれ、CPU、メモリ、ハードディスク、ディスプレイ、キーボード(及びマウス)、通信部2P,3P、を共通に備えたいわゆるコンピュータである。
【0028】
POS端末4は、端末3と(該端末3を介してサーバ2とも)と通信接続可能とされ、サーバ2、端末3と同じく、構成としては、それぞれ、CPU、メモリ、ハードディスク、ディスプレイ、キーボード(及びマウス)、通信部4P、を備えるが、商品バーコード等を読み取るためのスキャナ(スキャン部4A)、精算や特典の消費操作の演算処理を行う演算部4B、後述する特典優先決定部3Dによって得られた各情報を一覧に表示すると共に、この表示に消費有無と消費した価値、数量を入力可能とした特典表示部4Cを備える点が相違する。
【0029】
また、POS端末4は、通常のレジスタとして硬化や紙幣を貯留引き出しや、レシートを発行するためのプリンタ、精算する者が見る(単なる表示用)ディスプレイも有している。
【0030】
サーバ2、端末3、POS端末4のハードウェア構成自体は、既存の構成で大きく変わることがないが、本発明の特典消費システム1は、サーバ2には図2に示す顧客データベース2A、商品データベース2Bを備え、端末3には図3に示す特典データベース3A、特典抽出部3B、特典残算出部3C、特典優先決定部3Dを備えている。
【0031】
顧客データベース2Aは、サーバ2で管理される全ての顧客に関する情報、例えば氏名、住所、連絡先、購入履歴情報、顧客付随のポイント情報などデータ化可能な情報を蓄積している。顧客が商品を購入した時に付与されるポイント情報や(本部として)サーバ2が管理可能なデータとしての特典は、この顧客データベース2Aに顧客情報として蓄積している。
【0032】
商品データベース2Bは、サーバ2で管理される全ての商品に関する情報、例えば商品名、種類、供給メーカー、価格、購入履歴情報、商品付随のポイント情報などデータ化可能な情報を蓄積している。なお、商品データベース2Bにおける、購入履歴情報は顧客データベース2Aと同じものであるが、商品を主眼としてデータを蓄積している(顧客データベース2Aでは顧客を主眼としてデータを蓄積している)。また、商品データベース2Bにおけるポイント情報は、その商品自体に設定された、例えば購入すると付与されるポイント情報である。
【0033】
端末3における特典データベース3Aは、サーバ2の配下にある端末3毎(すなわち店毎、支店毎)に設定可能とされ、例えば店毎に開催されるイベントに伴う、金券及び割引券、商品券、引換券といった、従来は紙などに発行して配布していたポイント以外の特典についてデータ化している。
【0034】
特典データベース3Aは、特典情報、すなわち特典イベントの有効期間、特典内容、の情報と共に該特典を獲得あるいは付与されるための条件情報が蓄積されている。本発明の特徴は、特典イベントが、サーバ2の管理下を離れて店毎で設定でき、かつ、こうしたあらゆる特典をデータ化して顧客に積極的に消費させるよう促す点である。
【0035】
つまり、従来では、データ化可能な例えばポイントなどの特典情報は一括的に本部のサーバで行うことができるが、サーバ配下のある支店だけで例えばタイムバーゲンセールといった極めて限定的な特典イベントを行おうとすると、サーバの設定を操作して行う手間がかかるというデメリットがある。それゆえ、その店だけで有効な特典、例えば金券や割引券、商品引換券、は紙で発行して値引き処理等を行うようにしていた。
【0036】
本発明は、ある店だけで限定的に開催される特典イベントを、システム上はサーバ2の管理下にありながら、店毎の端末3で設定して情報管理が行えるようにしている。端末3は、特典データベース3Aと、この特典データベース3Aにおける条件情報に基づいて、獲得又は消費が可能な特典情報を抽出する特典抽出部3Bとを有している。
【0037】
また、端末3には、特典抽出部3Bにおいて抽出された特典情報の、残価、残期間、残数(以下、総称して「残値」という)を算出する特典残算出部3Cと、この特典残算出部3Cで算出された残値のうち、例えば有効期間が早く終了する特典イベントを表示の上位にリストアップするといったように優先される条件により特典を並び替える特典優先決定部3Dとを備えている。
【0038】
この特典優先決定部3DはPOS端末4にソート済みの特典リストを送り、この特典リストはPOS端末4における精算する者が見るディスプレイ上に決定(抽出)データを表示させると共にPOS端末4における特典表示部4Cにも表示される。
【0039】
また、特典優先決定部3Dは、例えば有効期間が早く終了する順にソートされた特典リストと共に店側で特にお知らせしたい特典に関する情報を生成し、このデータを特典表示部4Cにおくり、コメント欄に表示させ、特典の消費操作を効率よく行えるようにしている。
【0040】
ここで、本発明の特典消費システム1の処理について説明する。店の端末3では、図5に示すように、特典データベース3Aにおいて、客情報、商品情報、に関係する条件によりイベントを立案する。なお、イベントの立案において、顧客は例えば会員、メンバー、といったようにサーバ2の顧客データベース2Aに登録された者を意味する。
【0041】
イベントの立案時に、顧客を対象とした場合は、サーバ2の顧客データベース2Aの顧客情報、主として購入履歴に基づいて特典付与条件が勘案される。一方、顧客ではない客を対象とした場合は、主として商品情報に基づいて特典付与条件が勘案される。もちろん、顧客である場合は、顧客を対象とした特典と、顧客ではない客を対象とした特典の両方の付与条件に該当する場合があるため、自ずと優遇されることになる。
【0042】
ちなみに、顧客ではない客であっても、商品、例えば買い合わせ(セット買い、まとめ買い)による特典や、タイムサービスや、顧客として入会した際の初特典、規定額以上の購入による金券発行など、様々な特典が立案できる。
【0043】
上記のように、本発明は、イベントの立案は、各種、様々な条件を設定すればよく、この立案について、システム全体としてサーバ2に(プログラムとして)組み込む必要がなく、各店舗、各支店の端末3で毎に独自に立案、稼働できる。
【0044】
すなわち、例えば顧客ではない客が、金券を特典として取得した場合、この後、顧客となれば顧客データベース2Aにおいて(その顧客についてのレコードが存在するので)当該顧客情報に当該金券情報をデータとして含ませることができるが、顧客にはならない場合もある。
【0045】
顧客にはならない客であっても優遇された特典を得たい場合、あるいは顧客になるための例えば身分証明書得などを持ち合わせていないといった場合、本発明では「仮顧客」という地位を設けて、例えば金券等が発行された場合、例えば発券した店で管理する金券(特典)に対して何らかのコードや暗唱番号を設定し、これを特典情報に含まて特典データベース3Aに蓄積するようにしている。
【0046】
こうすることで、再来店して取得した金券を使用する場合、あるいは金券を忘れた場合、店が特典データベース3Aからその仮顧客の暗証番号に基づいて特典情報を抽出することができ、当該金券(特典)を消費させることができる。この暗唱番号は、本人(ここでは精算する者を意味する)と特典との照合が可能な情報であれば特に限定されない。
【0047】
このように、顧客ではない客に、金券のように紙で特典が付与された場合、従来であれば、金券そのものが特典と特典保有者を結びつける証書として機能するが、金券を所持した場合や紛失した場合は付与された特典を有効に消費できないことがあったが、本発明は、予めデータ化された特典情報に顧客あるいはその特典保有者として照合可能な簡易な客(本人)情報を付与することで、顧客でなく、かつ紙で付与されるような特典であっても有効に消費することができる。
【0048】
上記のように、本発明は、サーバ2ではなく、サーバ2の管理下にある端末3に特典データベース3Aを有するので、各店舗、各支店の端末3で毎に独自に立案した特典のイベントを、特に、顧客ではない客に付与した場合であっても管理できる。
【0049】
以下、上記の点をさらに詳細に説明する。本発明では、「顧客」はサーバ2で管理された当該管理下全体における客である一方、顧客ではない客を「顧客」化又は「仮顧客」化し、顧客ではない「客」と較べて優位な特典を付与することで、前記特典に伴う客足の増進を図るようにしている。その一方で、本発明は、特典をより多くの(顧客も顧客ではない客も含む)客に付与すると共に確実に消費できるようにして、購買意欲を増進させるようにしている。
【0050】
具体的には、「顧客」と「仮顧客」と「客」とに区分して得られる特典の優劣を次のように設定している。「顧客」は上記のとおりサーバ2の顧客データベース2Aで管理されており、(1)サーバ2に基づく特典と(2)端末3の特典データベース3Aに基づく再来店しても維持される特典及び(3)端末3の特典データベース3Aに基づく商品に関するその精算時に付与される特典を得ることができる。
【0051】
「仮顧客」は特典データベース3Aで管理されており、前記(2)及び(3)の特典を得ることができる。「客」はどこにも管理されておらず、前記(3)の特典のみを得ることができる。
【0052】
要するに、本発明では、特典データベース2Aに、顧客ではない客のうち、後述するが、現状では顧客になる気はないが、顧客ではない客に付与される特典より優位な特典だけを受けようとする「仮顧客」を設けて、この仮顧客と特典とを一定期間紐付けして蓄積することで、当該仮顧客が再来店を重ね、いずれ顧客となることを見込んでいる。
【0053】
以上の点を図5図7を参照して説明する。図5は特典が付与されるイベントを立案して特典データベース2Aに登録するまでの手順を示す。特典データベース2Aには、少なくとも、次の項目を設定して、特典イベントを立案する(図4の手順1、以下「#1」と記す)。なお、各項目における「客種」と「有効期間」以外は一例を示したものである。
【0054】
・「客種」−顧客、仮顧客、客
・「有効期間」−特典の効力発生日から効力失効日
・「特典種と特典内容」−金銭価値、商品、(配送無料といったような)サービス
・「特典付与形態」−紙券(レシート印字を含む)、データ(記憶)、商品贈呈
・「特典付与条件」−特定期間内での購入が1万円以上、
特定メーカーのシャンプーとリンスを購入
【0055】
#1の後、立案された特典イベントは、サーバ2の管理下にある支店やグループ店で統括的に実施されるサーバ2による特典イベントの情報と重複がないかが確認され(#2)、重複する場合(#2でYes)は#1に戻り、重複していない場合(#2でNo)は、特典データベース3Aに登録される(#3)。なお、#2では上記では重複していないことを前提としているが、重複を判断するだけとしてもよい(重複を排除するか、立案しなおすか、重複していても構わないとするか、は店の判断としてもよい)。
【0056】
次に、上記のように特典データベース3Aに登録された端末3が設置された店における処理について図6を参照して説明する。精算時、POS端末4は、例えば会員カードのスキャンで、又は会員であるが会員カードを忘れた場合にはサーバ2の顧客データベース2Aに登録された電子メールアドレスの入力で、顧客か否かを判断している(#11)。
【0057】
#11で顧客ではない場合(#11でNo)、POS端末4は、図6に示す仮顧客用の暗唱番号をスキャンで、又は入力で、仮顧客か否かを判断している(#12)。#12で仮顧客ではない場合(#12でNo)、POS端末4は客として精算処理を開始する(#16)。
【0058】
#11で顧客であった場合(#11でYes)、POS端末4は、サーバ2の顧客データベース2Aに問い合わせる(#13)。また、POS端末4は、#12で仮顧客であった場合(#12でYes)、端末3の特典データベース3Aに問い合わせる(#14)。
【0059】
#13で顧客データベース2Aに問い合わせて得た顧客情報及び該顧客情報に紐付けされたサーバ2で設定された特典情報、#14で特典データベース3Aに問い合わせて得た特典情報、は端末3の所定領域に当該POS端末4の固有識別情報と共にバッファされる(#15)。
【0060】
ここで、図7を参照して、#12における仮顧客設定手順について説明する。仮顧客とは、サーバ2で管理される顧客とは異なり、顧客ではない客ではあるが、客より優位な特典を受けようとする客で、また、付与される特典があれば、その特典については(有効期間内に)再来店して当該特典を享受しようと希望する客であって、自身の情報のうち特典期間中に限り、電子メールアドレスだけを登録してもよいという客を意味する。
【0061】
この仮顧客として登録された電子メールアドレスは、端末3における特典データベース3Aにおいて登録され、電子メールアドレスで紐付けされた特典の失効(又は消費)と共に当該電子メールアドレスと共に仮顧客の登録も抹消され、さらに、サーバ2での情報の共有化はされない。なお、仮顧客が顧客へ登録された場合は、サーバ2で改めて電子メールアドレス等が顧客データベース2Aに登録されることとなる。
【0062】
図6の#11において、仮顧客となるには、まず、現状で応答が可能な例えば携帯電話により、仮顧客受け付け用の電子メールアドレスを例えば店内に表示されたQRコード(登録商標)を読み取って復号してあるいは入力して、該宛先アドレスに本文や件名を入力しない、いわゆる空メールを送信する(#31)。
【0063】
上記空メールが客の携帯電話等から送信され、端末3で受信すると、端末3は、当該電子メールアドレスをバッファし(#32)、サーバ2の顧客データベース2Aに当該電子メールアドレスの登録があるか否かを確認し(#33)、ここで登録が確認できた場合は処理は、図5の#13に進む(#33でYes)。一方、#33でサーバ2の顧客データベース2Aに当該電子メールアドレスの登録がない場合(#33でNo)は、端末3の特典データベース2Aに重複登録が無いかを確認する(#34)。
【0064】
特典データベース2Aに当該電子メールアドレスの登録がない場合(#34でNo)、端末3は、いま問い合わせた客を仮顧客として、当該電子メールアドレスに基づいて固有の暗唱番号を生成したうえで、特典データベース2Aに登録する(#35)。
【0065】
そして、端末3は、暗唱番号が表示されたウェブページを生成すると共に、そのウェブページのURLアドレスを生成して、URLアドレスのリンクを設けた電子メールアドレスを生成し(#36)、仮顧客へ向けて電子メールを送信する(#37)。
【0066】
一方、端末3は、特典データベース2Aに当該電子メールアドレスの登録がある場合(#34でYes)、又は、いま問い合わせた客は仮顧客としてかつて登録し、仮顧客として現状有効期間にある特典が存在する場合、登録されている仮顧客としての暗唱番号を掲載した表示(ウェブページ)とそのウェブページのURLアドレスを生成し、URLアドレスのリンクを設けた電子メールアドレスを生成し(#36)、仮顧客へ向けて電子メールを送信する(#37)。
【0067】
仮顧客の携帯電話は、上記URLアドレスのリンクが記載された電子メールを受信し、該電子メールを開き、記載のリンクをクリックなど操作することで、URLアドレス先のウェブページが当該携帯電話のブラウザアプリケーションを介して画面に表示される。該ウェブページには暗証番号の例えばバーコードが表示されている。この画面の表示されたバーコードをPOS端末4でスキャンすることで、仮顧客として特典を受けることができると共に仮顧客として精算処理を行うことができるようになる(#38)。
【0068】
再度、図5に戻って説明を続けると、#11で会員カード(又は顧客情報として登録された電子メールアドレス)の入力がなく(#11でNo)、#12で仮顧客としての暗唱番号の入力もなければ(#12でNo)、処理は精算処理へと進む(#16)。
【0069】
POS端末4において、精算すべき商品のスキャンを行うと、端末3を介してサーバ2の商品データベース2Bに問い合わせ(#16)、全ての商品についてスキャンが完了した場合(#16でYes)、POS端末4は端末3の特典データベース3Aに商品に関する特典の有無を問い合わせる(#17)。なお、#16において商品をスキャンした結果、新たに発生した(条件に適合した)特典があれば、そうした新規付与特典も#17で抽出される。
【0070】
#18では、端末3の特典抽出部3Bは、上記のうち#15でバッファした情報と、#17において新規に付与された特典(商品に基づいた特典)も含め、全てを統合して特典があるか否かを判断している。#18において、特典抽出部3Bが特典を抽出しない場合、つまり特典が存在しない場合(#18でNo)は、#21の精算会計処理へ進む。
【0071】
#18において、端末3の特典抽出部3Bが特典を抽出した場合、つまり特典が存在する場合(#18でYes)は、端末3の特典残算出部3Cが特典の残期間、残価値、残数量等(以下、「残値」という)を算出し、これら算出値に基づいて特典優先決定部3Dが例えば有効期間が早く訪れる順(任意設定)でソートする(#19)。
【0072】
#19でソートされた特典に関する情報が当該処理中の(固有番号で識別されている)POS端末4に送られ、該POS端末4の精算しようとする者が見ることができるディスプレイに表示される。そして、精算しようとする者が見ているPOS端末4のディスプレイ上を見たうえで、特典を消費しないとの意思表示があれば(#20でNo)は、#21の精算処理へ進む。
【0073】
一方、精算しようとする者が見ているPOS端末4のディスプレイを確認し、精算しようとする者の申し出により、特典を消費する場合(#20でYes)は、特典の残値から消費しようとする数量の指定を受け、POS端末4の特典表示部4Cにおける操作により、特典消費処理を行ったうえで、#21の精算処理へ進む。
【0074】
なお、#20で、特典の内容によっては、特典の消費の意思とは関係なく、付与する特典もある(例えば試供品をプレゼントする等)が、この場合は#20ではYesとして処理を#21に進める。
【0075】
ここで、例えば3000円の金券が発行(後述)されていた場合は、例え金券の持参していなくても、金券は顧客か仮顧客に対して付与される特典であって、顧客データベース2A(顧客)か、特典データベース2A(仮顧客)に当該金券の情報が存在しているので、有効に利用することができる。
【0076】
また、上記で例示した3000円の金券を利用する場合、データ化しているので、金券提示(引き換え)により又は申し出により3000円全てを一括利用することもできるし、例えば1000円だけを利用して2000円を次回の精算のために残すこともできる。
【0077】
#21では、POSシステム上の精算処理において、例えば請求金額が変動するような特典を消費した場合は、その分を加味して精算を行う。#21の精算処理を終えると(#21でYes)、現状までの処理において特典が存在したか否かを端末3が判断し(#22)、特典が存在していた(あるいは新たに発生した)場合(#22でYes)、端末3は特典データベース3Aにおいて残値等の更新を行って蓄積する(#23)。
【0078】
一方、特典が存在しなかった、特典データベース3Aにおける特典が全て消費された、あるいは客であった場合(#22でNo)、特典データベース3Aから特典情報を削除する更新を行ったうえで、処理は#25へ進む。
【0079】
なお、#22では、仮顧客の全ての特典が消費された場合は該当していた特典と共に特典データベース2Aに登録されていた電子メールアドレスが削除される。また、仮顧客となったが維持すべき特典が付与されなかった場合は特典データベース2Aに登録されていた電子メールアドレスが削除される。客に対して付与された特典は基本的に商品に関するもの、あるいは一過性で当該精算で消費される特典であるため、特典データベース2Aには蓄積されない(登録するレコードが存在しない)。
【0080】
#23の後、端末3は当該精算が顧客であった場合は、サーバ2の顧客データベース2Aへ精算処理結果を送り、サーバ2は顧客データベース2Aの情報うち該サーバ2で管理すべき情報について更新したうえで蓄積する(#24)。
【0081】
そして、POS端末4は、精算結果、精算後の(付与されたり消費した)特典報告や今後のお買い得情報、特典イベントの情報等を、精算する者が見るディスプレイに表示したり、通常の購買履歴のレシートに、あるいは別のレシートに印字したり、電子メールアドレスが登録されている顧客や仮顧客には電子メールを送信し(#25)、全特典情報の使用によって電子メールアドレスが抹消された仮顧客は上記レシートに印字して、処理を終了する。
【0082】
また、#25において、新たに付与された特典のうち金券のような形態の特典は、データと共に証書的な別用紙に印字し、発券するようにしてもよい。このように発券された金券なども特典データベース2Aに(電子メールアドレスと共に)仮顧客情報と紐付けされてデータとして蓄積しているので、次回精算時に#12で暗唱番号を入力することで読み出して有効に利用することができる(つまり持参し忘れても利用可能である)。
【0083】
このように本発明の特典消費システム1は、サーバ2の管理下を離れて店毎に多種多様の特典イベントを設定することができ、かつサーバ2で管理されている顧客だけでなく該顧客でない客も店毎に設定した多くの特典を享受することができ、その特典が金券などであって精算時に例えば持参し忘れても、正しく利用することができる。
【0084】
なお、上記では、顧客ではない客であって仮顧客登録を希望する場合は精算(#18)に先立って#12において仮顧客の登録を行うようにしていたが、特典の内容によっては一過性ではなく、金券や引換券などの発行により次回精算時にも利用可能な特典が立案されている場合には、#12の処理をそのまま残したうえで、#22の後に#12の処理のうち新規の仮顧客登録処理を介在させるようにしてもよい。
【0085】
もちろん、#22の後に介在させた#12の処理のうち新規の仮顧客登録処理に加えてさらに新規の顧客登録処理を介在させてもよい。こうすることで、有効期間中持続する特典に関する関心が高くなり、再来店率の向上が見込める。
【符合の説明】
【0086】
1 特典消費システム
2 サーバ
2A 顧客データベース
2B 商品データベース
3 端末
3A 特典データベース
3B 特典抽出部
3C 特典残算出部
3D 特典優先決定部
4 POS端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7