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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-185132(P2015-185132A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】セキュリティ機器
(51)【国際特許分類】
   G08B 13/189 20060101AFI20150925BHJP
   G08B 25/14 20060101ALI20150925BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20150925BHJP
【FI】
   G08B13/189
   G08B25/14 A
   H05K5/03 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-63843(P2014-63843)
(22)【出願日】2014年3月26日
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 成幸
(72)【発明者】
【氏名】大川 ▲芳▼利
【テーマコード(参考)】
4E360
5C084
5C087
【Fターム(参考)】
4E360BB02
4E360BC03
4E360BC04
4E360BC06
4E360EA18
4E360EC05
4E360ED03
4E360ED12
4E360GA43
4E360GB89
5C084AA02
5C084DD42
5C087DD03
5C087DD05
5C087GG02
(57)【要約】
【課題】アッパケースの開放検出用の光センサを備えたセキュリティ機器において、光センサが不正に壊されることを回避し、光センサが外部光によって誤動作することを回避する。
【解決手段】ロアケース3に、光センサ9を設け、アッパケース4に光センサ9を囲繞する囲繞壁部11を設ける。この囲繞壁部11は矢印M1方向に強い外力を受けたときに同方向に傾倒する。囲繞壁部11には、光センサ9の光透過路9eに介在する被検出部16が設けられている。この被検出部16は囲繞壁部11の傾倒に応じて前記光透過路9eを開通する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状をなすロア主板部(3a)及びその各辺縁部から相互に連続して立ち上がる4つのロア側板部(3b1〜3b4)を有するロアケース(3)と、
矩形状をなすアッパ主板部(4a)及びその各辺縁部から相互に連続して立ち上がる4つのアッパ側板部(4b1〜4b4)を有するアッパケース(4)と、
前記4つのロア側板部(3b1〜3b4)の一つのロア側板部(3b1)に前記4つのアッパ側板部(4b1〜4b4)の一つのアッパ側板部(4b1)を回動可能に係合することにより前記アッパケース(4)をロアケース(3)に開閉可能に設けた構成であり、閉塞状態で前記ロア側板部(3b1〜3b4)に対して前記アッパ側板部(4b1〜4b4)が接合した形態となり、内部にセキュリティ機能を実現するための電子部品及び表示器(8)を備えたケース(2)と、
光透過路(9e)を有し当該光透過路(9e)における被検出部の有無に応じて検出信号を出力し、前記ロアケース(3)において前記一つのロア側板部(3b1)とは反対側である開放側のロア側板部(3b3)の近くに、前記光透過路(9e)が前記開放側のロア側板部(3b3)と前記一つのロア側板部(3b1)との対向方向とは直交する方向に光を透過させる向きとなるように設けられたアッパケース開放検出用の光センサ(9)と、
前記光センサ(9)を囲繞するための囲繞壁部(11)であって、前記アッパケース(4)の前記アッパ主板部(4a)の内面における前記開放側のアッパ側板部(4b3)の近傍に、前記アッパ主板部(4a)の内面から前記ロア主板部(3a)内面方向へ突出する形態に形成され、前記光センサ(9)と前記開放側のアッパ側板部(4b3)及びこれの両側に連なるアッパ側板部(4b2、4b4)との間に介在する壁板部(11a〜11c)を有し、前記一つのアッパ側板部(4b1)方向への外力が作用したときに当初の形態から前記一つのアッパ側板部(4b1)方向へ傾倒する囲繞壁部(11)と、
この囲繞壁部(11)に形成され、アッパケース(4)の閉塞時において前記囲繞壁部(11)が非傾倒状態であるときに前記光センサ(9)の前記光透過路(9e)に介在して当該光透過路(9e)を遮断し前記アッパケース(4)の閉塞時において前記囲繞壁部(11)が傾倒したときに当該傾倒に伴って前記光透過路(9e)から外れて当該光透過路(9e)を開通させる被検出部(16)と、
前記囲繞壁部(11)が傾倒したとき当該囲繞壁部(11)が前記光センサ(9)に当たる前に当該囲繞壁部(11)の傾倒を止める傾倒規制手段(17、18)と、
を備えたセキュリティ機器。
【請求項2】
前記アッパケース(4)の前記一つのアッパ側板部(4b1)は前記ロアケース(3)の前記一つのロア側板部(3b1)に係合手段(5)により回動可能に係合され、
前記係合手段(5)は、前記一つのアッパ側板部(4b1)に形成した被係合部(5b)と、前記一つのロア側板部(3b1)に形成した係合部(5a)とから構成され、前記被係合部(5b)は前記係合部(5a)に対して側方から係脱可能に係合しロアケース(3)に対してアッパケース(4)が離反する方向には外れない構成であり、
前記開放側のロア側板部(3b3)及び前記開放側のアッパ側板部(4b3)には前記ロアケース(3)に対する前記アッパケース(4)の閉塞状態をロックするロック手段(6)を備え、
前記ケース(2)には特定操作により前記ロック手段(6)のロックを解除するためのロック解除部(15a)を備えた請求項1記載のセキュリティ機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティシステムのホームコントローラ等のセキュリティ機器に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋等の建物に備えられるセキュリティシステムにおいては、防災用、防犯用の各種のセンサやスイッチ等を建物や敷地に設けると共に、それらセンサ等の全体を統括管理するホームコントローラを建物に設けて構成される。セキュリティ機器としてのホームコントローラは、薄形のケース内にセキュリティ機能を実現するための電子部品や、設定内容を表示したり監視状況を表示したりする表示器を備えている。前記ケースは、ロアケースと、一端部がロアケースの一端部に回動可能に係合されて当該一端部を中心として開閉可能に設けられたアッパケースとから構成されている。
【0003】
このホームコントローラは、前記各種センサ等からの信号を監視し、異常検出時に、ユーザーに対する報知や、警備会社への通報を行うようになっている。
この種のセキュリティシステムにあっては、例えば建物内に侵入した賊(空き巣等)が、システムによる監視を解除させたり、セキュリティを無効化させたりするために、前記ホームコントローラのロアケースとアッパケースとの接合部をドライバのような不正道具を挿入してアッパケースを無理やりこじ開けることが想定される。その対策として、ロアケースに例えば光透過型の光センサを設け、ロアケースに光センサの透過光を遮断する被検出部を設ける構成とし、システムの監視時においてアッパケースがこじ開けられると前記光センサがアッパケースの不正開放を検出し、警備会社等に知らせるようにしている。
【0004】
前記光センサは、ロアケースにおいて前記回動中心とは反対側である開放側の他端部に設けられていて、アッパケースの開放角度が小さくても早くアッパケースの不正開放を検出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−185860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近では、表示器が薄形で大型化しており、監視状況を映し出すことも容易となっている。このような大型の表示器をケースに搭載する場合、表示器の外周縁部がケースの周縁部近くまで到達する形態となるため、ケースにおける余白部分が当該ケースの周縁部近くのみとなってしまう。このため、前記光センサを設置する部分もロアケースの周縁部近くとなってしまう。すると、前記不正道具が光センサに届きやすくなって、アッパケースの不正開放が検出される前に当該光センサが壊されてしまうおそれがある。光センサが壊されると、光センサが開放検出信号を出力できなくなってしまう。このためアッパケースが不正に開放されてもこれを検出できなくなってしまい、警備会社などへの通報ができなくなってしまう。
又、光センサがロアケースの周縁部(ロアケースとアッパケースとの接合部分)近くに位置することで、ホームコントローラを窓際等に設置した場合にケース外部からの強い光(太陽光)がケース内に入りやすくなってしまい、光センサが誤動作するおそれもある。
【0007】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アッパケースの開放検出用の光センサを備えたセキュリティ機器において、光センサが不正に壊されることを回避できると共に、光センサが不正に壊される前及びアッパケースが不正開放されるまえに、光センサ及びセキュリティ機器に対する破壊行為を検知することが可能であり、さらに光センサが外部光によって誤動作することを回避できるセキュリティ機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明においては、ケース(2)の内部に表示器(8)を備えている。表示器(8)は前述したように大型化してきていることから、大型の表示器(8)を採用することを考慮すると、アッパケース開放検出用の光センサ(9)は、ロアケース(3)において開放側のロア側板部(3b3)の近くに設けられる。
【0009】
このように光センサ(9)が、ロアケース(3)の開放側のロア側板部(3b3)の近くに設けられると、賊が不正道具を用いてロアケース(3)とアッパケース(4)との接合部でアッパケース(4)をこじ開けるようとしたときに、不正道具が光センサ(9)に届きやすくなって当該光センサ(9)を壊してしまうおそれがある。
【0010】
この場合、常習的な賊であると、不正道具を入れて光センサ(9)の破壊行為を行う場合、アッパケース(4)が僅かでも開くと、どこが開放側のロア側板部であるか見当をつけ、開放側のロア側板部(3b3)及びアッパ側板部(4b3)の接合部から不正道具を差し込んで光センサ(9)を壊すことが予測される。
【0011】
この点、請求項1の発明では、囲繞壁部(11)において光センサ(9)と開放側のアッパ側板部(4b3)との間に壁板部(11a)が介在するので、光センサ(9)の近くである開放側のロア側板部(3b3)及びアッパ側板部(4b3)の接合部から不正道具がケース(2)内部に進入し得たとしても、この不正道具が壁板部(11a)に当たる。この時、不正道具が強い力で差し込まれると、囲繞壁部(11)が一つのアッパ側板部(4b1)方向へ傾倒する。しかし、囲繞壁部(11)が光センサ(9)に当たる前に傾倒規制手段(17、18)が、当該囲繞壁部(11)のそれ以上の傾倒を阻止するため、不正道具の外力がこの囲繞壁部(11)を介して光センサ(9)に及ぶことがないと共に、不正道具が光センサ(9)当たることも阻止できる。従って光センサ(9)を不正道具から防御でき、光センサ(9)が壊されることを回避できる。
【0012】
しかも、囲繞壁部(11)が傾倒することで、この囲繞壁部(11)に設けられた被検出部(16)が光センサ(9)の光透過路(9e)から外れ、当該光透過路(9e)が開通する。これにより光センサ(9)が、未だアッパケース(4)が開放されていない状態でも、不正開放と同様に検出信号を出力する。これにより、ユーザーに対する報知や、警備会社への通報がなされる。この結果、アッパケース(4)がこじ開けられる前に、光センサ(9)に対する破壊行為ひいてはセキュリティ機器に対する破壊行為を検知することが可能となる。従って、光センサ(9)ひいてはセキュリティ機器に対する賊の破壊行為自体を看過することがない。
【0013】
又、この請求項1の発明では、囲繞壁部(11)を、開放側のロア側板部(3b3)の両側に連なるロア側板部(3b2、3b4)と、光センサ(9)との間に介在する壁板部(11b、11c)を有する構成としたので、不正道具がこのロア側板部(3b2、3b4)方向から向かってきたとしても、この壁板部(11b、11c)によって、光センサ(9)を不正道具から防御でき、光センサ(9)の破壊防止に一層効果的である。なお、光センサ(9)は、回動支点側である一つのロア側板部(3b1)及び一つのアッパ側板部(4b1)とは遠いので、この方向から光センサ(9)が壊されることはない。
【0014】
又、光センサ(9)が、ロアケース(3)の前記開放側のロア側板部(3b3)の近くに位置することで、セキュリティ機器を窓際等に設置した場合にケース(2)外部から太陽光などの外部光が光センサ(9)に入りやすくなることが懸念されるが、この請求項1の発明によれば、前記開放側のロア側板部(3b3)及びその両側のロア側板部(3b2、3b4)と光センサ(9)との間に介在する囲繞壁部(11)の壁板部(11a〜11c)により光センサ(9)に外部光が入ることを防止できる。従って、光センサ(9)の誤動作も防止できる。
【0015】
又、アッパケース(4)が回動支点を中心として開放された場合に当該アッパケース(4)の前記開放側のアッパ側板部(4b3)が先にロアケース(3)に対して離間(開放)する。そして被検出部(16)をアッパケース(4)の前記開放側のアッパ側板部(4b3)側に設け、光センサ(9)をロアケース(3)の前記開放側のロア側板部(3b3)側に設けているので、アッパケース(4)の開放角度が小さくても、当該アッパケース(4)の開放(不正開放)を直ちに検出することができる。
【0016】
請求項2の発明においては、前記アッパケース(4)の一つのアッパ側板部(4b1)は前記ロアケース(3)の一つのロア側板部(3b1)に係合手段(5)により回動可能に係合し、前記係合手段(5)は、前記一つのアッパ側板部(4b1)に形成した被係合部(5b)と、前記一つのロア側板部(3b1)に形成した係合部(5a)とから構成され、前記被係合部(5b)は前記係合部(5a)に対して側方から係脱可能に係合しロアケース(3)に対してアッパケース(4)が離反する方向には外れない構成であり、前記開放側のロア側板部(3b3)及び前記開放側のアッパ側板部(4b3)には前記ロアケース(3)に対する前記アッパケース(4)の閉塞状態をロックするロック手段(6)を備え、前記アッパケース(4)又はロアケース(3)には特定操作により前記ロック手段(6)のロックを解除するためのロック解除部(15a)を備えている。
【0017】
これによれば、アッパケース(4)が閉塞された状態では、当該アッパケース(4)はロアケース(3)に対して離反する方向には外れない。つまり、係合手段(5)部分ではアッパケース(4)がロアケース(3)に係合されていて当該アッパケース(4)を外せない。そこで、前記開放側のロア側板部(3b3)及び前記開放側のアッパ側板部(4b3)に前記ロアケース(3)に対する前記アッパケース(4)の閉塞状態をロックするロック手段(6)を備えることで、1つのロック手段(6)によりアッパケース(4)の全体的な閉塞をロックできる。
【0018】
さらに、本請求項2の発明においては、特定操作によりロック手段(6)のロックを解除するためのロック解除部(15a)を備えることにより、ユーザーの特定操作により簡単にロックを解除でき且つ賊に対して簡単にロックを解除できないようにできる。
【0019】
ところが上述の構成においては、常習的な賊の場合、最初から、このロック解除部(15a)が有る前記開放側のロア側板部(3b3)を狙って不正道具を差し込むことも懸念される。この場合、このロック解除部(15a)が存在する前記開放側のロア側板部(3b3)及び前記開放側のアッパ側板部(4b3)部分に上述の光センサ(9)も存在するため、この光センサ(9)が前記不正道具によって壊される確率も高くなることが予想される。しかし、この請求項2の発明では、光センサ(9)に対する破壊行為確率が高い場合でも、前述したように囲繞壁部(11)により光センサ(9)を有効に防御できる共に、アッパケース(4)がこじ開けられる前に、光センサ(9)に対する破壊行為ひいてはセキュリティ機器に対する破壊行為を検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態によるセキュリティ機器の斜視図
図2】アッパケースを取り外した状態のセキュリティ機器の斜視図
図3】セキュリティ機器の縦断側面図
図4】ロック部部分の分解斜視図
図5】光センサ部分の斜視図
図6】光センサ部分の平面図
図7】囲繞壁部部分の下面図
図8】囲繞壁部部分の斜視図
図9】光センサ及び囲繞壁部部分の縦断側面図
図10図9の線Q−Qによる横断平面図
図11】不正道具が差し込まれた場合の一例を示す光センサ及び囲繞壁部部分の平面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第1実施形態について図1図11を参照して説明する。図1には、例えばセキュリティシステムのホームコントローラなどに採用されるセキュリティ機器1を示している。セキュリティ機器1のケース2は、合成樹脂製のロアケース3とアッパケース4とを有して構成されている。なお、上記ケース2は建物などの垂直な壁面などに配設されるが、以下の構成説明においては、便宜上、ロアケース3が適宜の水平面に置かれていると仮定して説明する。
【0022】
ロアケース3は、矩形状をなすロア主板部3aと、当該ロア主板部3aの各辺縁部から相互に連続して立ち上がる4つのロア側板部3b1〜3b4を有する構成としている。なお、ロア側板部3b1を第1のロア側板部3b1と称し、ロア側板部3b2を第2のロア側板部3b2と称し、ロア側板部3b3を第3のロア側板部3b3と称し、ロア側板部3b4を第4のロア側板部3b4と称する。
【0023】
一つのロア側板部に相当する前記第1のロア側板部3b1には、係合手段5(図2及び図3参照)の係合部に相当する二つの係合孔部5a、5aが形成されている。前記第1のロア側板部3b1とは反対側である開放側のロア側板部に相当する第3のロア側板部3b3には、ロック手段6(図2図4参照)の一部を構成するロック片部6aを上方へ延出するように形成しており、このロック片部6aは、図3に二点鎖線で示すように可撓変形可能である。このロック片部6aには係止孔部6bが形成されている。
【0024】
上記ロアケース3のロア主板部3a内面には、図示しないセキュリティ機能を実現するための電子部品(図示せず)を実装した制御基板7が配設されていると共に、この制御基板7に矩形状をなす表示器8が搭載されている。この表示器8は、例えば液晶ディスプレーから構成され、一面に表示面8aを有する。この表示器8は、平面的な大きさが大きく、外周縁部はロアケース3の各ロア側板部3b1〜3b4の近くまで到達する。このため、表示器8の外周縁部とロアケース3の各ロア側板部3b1〜3b4との間(余白部分)は比較的狭くなっている。
【0025】
図2図3図5に示すように、光センサ9は、前記ロアケース3において、表示器8と開放側の第3のロア側板部3b3と間となる部位に、後述するセンサ用基板10及び取り付けボス部3dにより取り付けられている。この光センサ9はアッパケース開放検出用である。この場合、表示器8の外周縁部と第3のロア側板部3b3との間が狭いことからこの光センサ9は第3のロア側板部3b3の近くに位置する。
【0026】
この光センサ9は光透過型であり、図5及び図6に示すように、橋架部9hの両端部に一対のほぼ平行なアーム部9a、9bを一方向に突出した形態をなす。前記アーム部9a、9bの内部にそれぞれ発光部9c及び受光部9dを備えており、このアーム部9a、9bの間に発光部9cから受光部9dへ光が透過する光透過路9e(一点鎖線で示す)を有している。そして、この光センサ9の一面(アーム部9a、9b先端面と反対側の面)を基板取付面9iとしている。この基板取付面9iにはセンサ用基板10が取り付けられている。当該センサ用基板10と光センサ9とは一体物(センサユニット9A)とされている。
【0027】
前記センサ用基板10は、光センサ9より上下方向に長い寸法であり、当該センサ用基板10の上部に光センサ9が位置する。
前記ロア主板部3aにおいて開放側の第3のロア側板部3b3の近傍部には取り付けボス部3dが形成されており、この取り付けボス部3dに前記センサ用基板10の下端部が挿入固定されている。これにより、光センサ9がロアケース3において開放側のロア側板部である第3のロア側板部3b3の近くに設けられている。この光センサ9は、この取付状態において、光透過路9eが第3のロア側板部3b3と第1のロア側板部3b1との対向方向(図6の矢印M方向)とは直交する方向(図6の矢印M´方向)に光を透過させる向きとなる。
【0028】
一方、前記アッパケース4は、矩形状をなすアッパ主板部4aと、このアッパ主板部4aの各辺縁部から相互に連続して立ち上がる4つのアッパ側板部4b1〜4b4を有する。なお、アッパ側板部4b1を第1のアッパ側板部4b1と称し、アッパ側板部4b2を第2のアッパ側板部4b2と称し、アッパ側板部4b3を第3のアッパ側板部4b3、アッパ側板部4b4を第4のアッパ側板部4b4と称する。
【0029】
又、このアッパ主板部4aには、表示器用窓4cが設けられており、この表示器用窓4cには透明パネル4dが装着されている。なお、この透明パネル4dは無くても良い。
前記第1のアッパ側板部4b1には、前記係合孔部5a、5aとで、前記係合手段5を構成する被係合部としての係合突起部5b、5bが形成されている。この係合突起部5b、5bは前記係合孔部5a、5aに横方向(側方、図3の矢印B方向)から挿入係合可能であり、挿入係合されると上下方向(アッパケース4がロアケース3と離反する方向)には外れない形態に係合される。
【0030】
又、前記第3のアッパ側板部4b3の内面には、図2図4に示すように、前記ロック片部6a及び係止孔部6bとでロック手段6を構成する係止爪部6cが形成されている。前記係止爪部6cは前記係止孔部6bに挿入されて係止される。
【0031】
図7及び図8に示すように、アッパケース4のアッパ主板部4aの内面における開放側のアッパ側板部である第3のアッパ側板部4b3の近傍には、光センサ9を囲繞するための囲繞壁部11が形成されている。この囲繞壁部11は、前記アッパ主板部4aの内面からロア主板部3a内面方向へ突出する形態に形成されている。この囲繞壁部11は、光センサ9と第3のアッパ側板部4b3及びこれの両側に連なるアッパ側板部4b2、4b4との間に介在する壁板部11a〜11cを有する。
【0032】
そして、前記壁板部11a〜11cのうち、中央の壁板部11aが前記アッパ主板部4aの内面に連続している。つまり、両側の壁板部11b、11cはアッパ主板部4aの内面に対して離間している。これにより、中央の壁板部11aに図7図9及び図11に示すように、第1のアッパ側板部4b1方向(矢印M1方向)の外力(賊による強い外力)を受けたときには、図11に示すように、中央の壁板部11aの根元部分で屈曲することにより囲繞壁部11は当初の形態(非傾倒状態)から矢印M1方向へ傾倒するようになっている。
【0033】
囲繞壁部11が傾倒した場合、両側の壁板部11b、11cにおけるアッパ主板部4aに近い角部11b1、11c1が、囲繞壁部11が光センサ9に当たる前に、当該アッパ主板部4a内面に当たる構成となっており、これら囲繞壁部11の角部11b1、11c1により傾倒規制手段17、18が構成されている。
【0034】
この囲繞壁部11には、被検出部16が形成されている。この被検出部16は、中央の壁板部11aの裏面から突出する突出片部11dの先端部に、この突出片部11dからロア主板部3a内面方向へ突出する形態に形成されている。この被検出部16と前記中央の壁板部11aの裏面との間には隙間Gが形成されている。この被検出部16は、後述するが、アッパケース4の閉塞時において囲繞壁部11が当初の形態(傾倒しない状態)であるときに光センサ9の光透過路9eに介在して当該光透過路9eを遮断し、アッパケース4の閉塞時において囲繞壁部11が傾倒したときに当該傾倒に伴って光透過路9eから外れて当該光透過路9eを開通させる。
【0035】
又、前記第3のアッパ側板部4b3においてロック片部6aの上部と対応する部分には、ロック解除部としてのロック解除用孔部15aが形成されている。又、この実施形態では、このロック解除用孔部15aに差し込むための解除器具15bを備えている。
【0036】
上記アッパケース4をロアケース3に取り付ける場合には、係止突起部5b、5bを、ロアケース3の前記係止孔部5a、5aに側方(図3の矢印B方向)から挿入係合し、この係合部分を回動支点としてアッパケース4を回動させてロアケース3に被せる(ロアケース3を閉塞する)。すると係止爪部6cがロック片部6aを図3の二点鎖線のように変形させ、そしてロック片部6aが係止孔部6bに遭遇したところでロック片aが変形状態から復帰して係止爪部6cが係止孔部6bに係止される。この係止によりロアケース3に対するアッパケース4の閉塞状態をロックする。この閉塞状態のケース2において、ロアケース3の各のロア側板部3b1〜3b4に対してアッパケース4のアッパ側板部4b1〜4b4が板厚方向で接合された形態となる。
【0037】
前記アッパケース4をロアケース3に対して開放する場合には、ロック解除用孔部15aに対して解除器具15bを挿入して(特定操作をして)ロック片部6aを図3の二点鎖線に示すように変形させ、つまり係止孔部6bを係止爪部6cから外して係合を解除し、この状態で、アッパケース4の第3のロア側板部3b3部分を二点鎖線で示すように開放させる。この後、二点鎖線状態のアッパケース4を図3の反矢印B方向へ動かすことで、係合突起部5bを係合孔部5aから外せば、アッパケース4をロアケース3から分離できる。
【0038】
又、上記アッパケース4の閉塞時には、図9及び図10に示すように被検出部16が光透過路9eに介在する。さらに、囲繞壁部11の中央の壁板部11aが光センサ9の一面側(基板取付面9iと反対側の面)と第3のアッパ側板部4b3との間に介在し、両側の壁板部11b、11cが夫々光センサ9の両側面と第2のアッパ側板部4b2、第4のアッパ側板部4b4との間に介在する。
【0039】
なお、アッパケース4が第1のアッパ側板部4b1側の係合手段5を中心として開放された場合に当該アッパケース4の第3のアッパ側板部4b3が先にロアケース3に対して離間(開放)する。この場合、被検出部16をアッパケース4の第3のアッパ側板部4b3側に設け、光センサ9をロアケース3の第3のロア側板部3b3側に設けているので、アッパケース4の開放角度が小さくても、当該アッパケース4の開放つまり不正開放を直ちに検出することができる。
【0040】
上述した実施形態においては、大型の表示器8を採用している。このような大型の表示器8を採用する場合、ロアケース3において表示器8と第3のロア側板部3b3との間の余白部分がどうしても狭くなる。このような事情下では、アッパケース開放検出用の光センサ9は、ロアケース3において上記狭い余白部分に設けられることになる。
【0041】
光センサ9は、上記余白部分のうちでも、アッパケース4が第1のアッパ側板部4b1側を回動支点として開閉される場合、早くにアッパケース4の開放を検出できる第3のロア側板部3b3側に設けられることになる。この場合、上記余白部分が狭いことから光センサ8は当然当該ロア側板部3bの近くとなる。
【0042】
このように光センサ9が、ロアケース3の第3のロア側板部3b3の近くに設けられると、賊が不正道具を用いてロアケース3とアッパケース4との接合部でアッパケース4をこじ開けるようとしたときに、不正道具が光センサ9に届きやすくなって当該光センサ9を壊してしまうおそれがある。
【0043】
この場合、常習的な賊であると、不正道具を入れて光センサ9の破壊行為を行う場合、アッパケース4が僅かでも開くと、どこが開放側のロア側板部であるか見当をつけ、開放側のロア側板部3b3及びアッパ側板部4b3の接合部から不正道具を差し込んで光センサ9を壊すことが予測される。
【0044】
この点、この実施形態では、囲繞壁部11において光センサ9と開放側のアッパ側板部である第3のアッパ側板部4b3との間に中央の壁板部11aが介在するので、光センサ9の近くである第3のロア側板部3b3及び第3のアッパ側板部4b3の接合部から不正道具がケース2内部に進入し得たとしても、この不正道具が中央の壁板部11aに当たる。この時、不正道具が強い力で差し込まれると、図11に示すように、囲繞壁部11が矢印M1方向へ傾倒する。しかし、囲繞壁部11が光センサ9に当たる前に傾倒規制手段17、18がアッパ主板部4a内面に当たって、当該囲繞壁部11のそれ以上の傾倒が阻止されるため、不正道具による外力が囲繞壁部11を介して光センサ9に及ぶことがなく、且つ、不正道具が光センサ9に当たることも阻止できる。従って、当該光センサ9を不正道具から防御でき、光センサ9が壊されることを回避できる。
【0045】
しかも、この実施形態では、囲繞壁部11が傾倒することで、被検出部16が光センサ9の光透過路9eから外れ、相対的に光透過路9eが前記隙間Gで開通する。これにより光センサ9が、未だアッパケース4が開放されていない状態でも、不正開放と同様に検出信号を出力する。これにより、ユーザーに対する報知や、警備会社への通報がなされる。この結果、アッパケース4がこじ開けられる前に、光センサ9に対する破壊行為ひいてはセキュリティ機器に対する破壊行為を検知することが可能となる。従って、光センサ9ひいてはセキュリティ機器に対する賊の破壊行為自体を看過することがない。
【0046】
又、この実施形態では、囲繞壁部11を、第3のロア側板部3b3の両側に連なるロア側板部3b2、3b4と、光センサ9との間に介在する壁板部11b、11cを有する構成としたので、ロア側板部3b2、3b4から向かってきたとしても、これら壁板部11b、11cによって、光センサ9を不正道具から防御でき、光センサ9の破壊防止に一層効果的である。なお、光センサ9は、回動支点側である第1のロア側板部3b1及び第1のアッパ側板部4b1とは遠いので、この方向から光センサ9が壊されることはない。
【0047】
又、光センサ9が、ロアケース3の第3のロア側板部3b3の近くに位置することで、セキュリティ機器を窓際等に設置した場合にケース2外部から太陽光などの外部光が光センサ9に入りやすくなることが懸念されるが、この実施形態によれば、第3のロア側板部3b3及びその両側のロア側板部3b2、3b4と、光センサ9との間に介在する囲繞壁部11の壁板部11a〜11cにより光センサ9に外部光が入ることを防止できる。従って、光センサ9の誤動作も防止できる。
【0048】
又、アッパケース4が回動支点を中心として開放された場合に当該アッパケース4の開放側のアッパ側板部である第3のアッパ側板部4b3が先にロアケース3に対して離間(開放)する。そして被検出部16をアッパケース4の第3のアッパ側板部4b3側に設け、光センサ9をロアケース3の第3のロア側板部3b3側に設けているので、アッパケース4の開放角度が小さくても、当該アッパケース4の開放つまり不正開放を直ちに検出することができる。
【0049】
又、本実施形態においては、係合手段5を、第1のアッパ側板部4b1に形成した係合突起部5b、5bと、第1のロア側板部3b1に形成した係合孔部5a、5aとから構成し、前記係合突起部5b、5bを前記係合孔部5aに対して側方から係脱可能に係合しロアケース3に対してアッパケース4が離反する方向には外れない構成とし、第3のロア側板部3b3及び第3のアッパ側板部4b3にはロアケース3に対するアッパケース4の閉塞状態をロックするロック手段6を備え、アッパケース4又はロアケース3には特定操作によりロック手段6のロックを解除するためのロック解除用孔部15aを備えている。
【0050】
これによれば、アッパケース4が閉塞された状態では、当該アッパケース4はロアケース3に対して離反しない。つまり、係合手段5部分ではアッパケース4がロアケース3に係合されていて当該アッパケース4を外せない。そこで、第3のロア側板部3b3及び第3のアッパ側板部4b3に、ロアケース3に対するアッパケース4の閉塞状態をロックするロック手段6を備えることで、1つのロック手段6によりアッパケース4の全体的な閉塞をロックできる。
さらに、この実施形態では、特定操作によりロック手段6のロックを解除するためのロック解除部であるロック解除用孔部15aを備えることにより、ユーザーの特定操作により簡単にロックを解除でき且つ賊に対して簡単にロックを解除できないようにできる。
【0051】
ところが上述の構成とすると、賊がわざわざこのロック解除用孔部15aがある第3のロア側板部3b3を狙って不正道具を差し込むことも懸念される。この場合、このロック解除用孔部15aが存在する第3のロア側板部3b3及び第3のアッパ側板部4b3部分に上述の光センサ9も存在するため、この光センサ9が前記不正道具によって壊される確率も高くなることが予想される。しかし、この実施形態では、光センサ9に対する破壊行為確率が高い場合でも、前述したように囲繞壁部11により光センサ9を有効に防御できる。
【0052】
なお、囲繞壁部11の壁板部を、第1〜第3の壁板部11a〜11cから平面的に見てコ字状に構成したが、円弧状などでも良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
図面中、1はセキュリティ機器、2はケース、3はロアケース、3aはロア主板部、3b1〜3b4はロア側板部、4はアッパケース、4aはアッパ主板部、4b1〜4b4はアッパ側板部、5は係合手段、6はロック手段、8は表示器、9は光センサ、10はセンサ用基板、11は囲繞壁部、11a〜11cは壁板部、15aはロック解除部、16は被検出部、17、18は傾倒規制手段を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11