特開2015-185373(P2015-185373A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015185373-電池スタック用配線部材 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-185373(P2015-185373A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】電池スタック用配線部材
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20150925BHJP
【FI】
   H01M2/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-60847(P2014-60847)
(22)【出願日】2014年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】松本 真
(72)【発明者】
【氏名】角田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】藤本 剛
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】松本 敏寿
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA20
5H043BA11
5H043CA05
5H043FA04
5H043FA22
5H043FA36
5H043FA37
5H043FA40
(57)【要約】
【課題】電池セル同士を電気的に接続する作業を簡略化できる電池スタック用配線部材を提供すること。
【解決手段】プラス端子211とマイナス端子212が交互に並ぶように設けられた複数の電池セル21を含む電池スタック20と、複数の電池セル21それぞれの端子間電圧を測定する電圧測定手段30と、を繋ぐ配線部材であって、プラス端子211とそれに隣接するマイナス端子212の両方に接続され、両端子を電気的に接続する電池側端子部11を有する電池スタック用配線部材1とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラス端子とマイナス端子が交互に並ぶように設けられた複数の電池セルを含む電池スタックと、前記複数の電池セルそれぞれの端子間電圧を測定する電圧測定手段と、を繋ぐ配線部材であって、
前記プラス端子とそれに隣接する前記マイナス端子の両方に接続され、両端子を電気的に接続する電池側端子部を有することを特徴とする電池スタック用配線部材。
【請求項2】
前記電圧測定手段に接続される測定手段側端子部、および前記電池側端子部と前記測定手段側端子部の間に介在される中継部を有し、
当該中継部は、三次元的に変位可能な変位吸収部を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池スタック用配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルから構成される電池スタック用の配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に記載されるように、電池スタックを構成する複数の電池セルは、バスバーなどと称される接続部品により互いに電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−235754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されるように、バスバー等によって電池セル同士を電気的に接続する作業は煩雑であり、製造コストが嵩む。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電池セル同士を電気的に接続する作業を簡略化できる電池スタック用の配線部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる電池スタック用配線部材は、プラス端子とマイナス端子が交互に並ぶように設けられた複数の電池セルを含む電池スタックと、前記複数の電池セルそれぞれの端子間電圧を測定する電圧測定手段と、を繋ぐ配線部材であって、前記プラス端子とそれに隣接する前記マイナス端子の両方に接続され、両端子を電気的に接続する電池側端子部を有することを特徴とする。
【0007】
前記電圧測定手段に接続される測定手段側端子部、および前記電池側端子部と前記測定手段側端子部の間に介在される中継部を有し、当該中継部は、三次元的に変位可能な変位吸収部を含むとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる電池スタック用配線部材の電池側端子部は、電池スタックにおけるプラス端子とそれに隣接するマイナス端子の両方に接続される。つまり、電池スタック用配線部材は、電池セルの端子間電圧を測定するために各電池セルと電圧測定手段とを電気的に接続する役割だけでなく、隣接する電池セル同士を電気的に接続する接続部品(バスバー)を兼ねる。そのため、電池セル同士を電気的に接続するためだけの作業が不要になる。また、電池セル同士を電気的に接続するためだけに用いられる接続部品が不要になる。
【0009】
電池スタック用配線部材の電池側端子部は二つの端子に接続されるものであるため、電池セル同士の相対的な位置(プラス端子とマイナス端子の相対的な位置)がずれていると、電池側端子部を二つの端子に接続する作業が困難になるおそれがある。これに対し、電池スタック用配線部材が三次元的に変位可能な変位吸収部を有する構成であれば、多少の位置ずれが生じていたとしても、変位吸収部を変位させることにより、電池側端子部を二つの端子に接続可能な位置に位置させることができるから、電池側端子部と二つの端子を接続する作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる電池スタック用配線部材の外観図である。
図2図1に示した電池スタック用配線部材が用いられた電池ユニット(電池スタック用配線部材によって電池スタックと電圧測定手段が接続されたもの)の平面図である。
図3図1に示した電池スタック用配線部材が用いられた電池ユニット(電池スタック用配線部材によって電池スタックと電圧測定手段が接続されたもの)の断面を模式的に示した図である。
図4】別の実施形態にかかる電池スタック用配線部材の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明における上下方向とは図3における上下方向をいい、幅方向(左右方向)とは図3における左右方向をいい、長手方向とは上下方向および幅方向に直交する方向をいうものとする。なお、これらの方向は、電池スタック20の設置方向を限定するものではない。図1に示す本発明の一実施形態にかかる電池スタック用配線部材1は、電池スタック20と電圧測定手段30とを電気的に接続するための部材である。
【0012】
図2および図3に示す電池スタック20は、上面に端子210が設けられた複数の電池セル21が並べられて構成される。具体的には、電池スタック20の幅方向一方側および他方側において、プラス端子211とマイナス端子212が交互に並ぶように電池セル21が並べられる。本実施形態における各端子210は、電池の上面から突出した軸状の部分であって、その周囲には雄ねじが形成されている。
【0013】
各電池セル21(端子210を除く)は、直方体形状を有する。電池スタック20は、複数の電池セル21が略直方体形状を構築するように並べられている。電池スタック20における端子210が位置する面(上面)は、略矩形状であり、その幅方向一方側および他方側に端子210が位置する。電池スタック20の平面視は(電池スタック20を上方から見ると)、上記略矩形状の端子210が位置する面(上面)の中心(対角線を結んだ交点)に関して点対称となるように、幅方向一方側および他方側にプラス端子とマイナス端子が交互に並べられている。
【0014】
図2および図3に示す電圧測定手段30は、複数の電池セル21それぞれの端子間電圧を測定するものである。本実施形態における電圧測定手段30は、基板に構築された回路である。基板には、回路を構成する導電パターンの一部であるランド部31が形成されている(図2においてランド部31以外は図示略)。かかるランド部31に、電池スタック用配線部材1を含む複数の配線部材の一端(後述する測定手段側端子部12)が接続される。ランド部31は、基板の幅方向両側に、長手方向(電池セル21の並列方向)に沿って複数並ぶように形成されている。なお、かかる電圧測定手段30(基板)の固定構造は特定の構造に限定されるものではないから詳細な説明を省略する。図3等に示されるように、電池スタック20に電圧測定手段30が固定される構造(電池スタック20に固定された支持部22に電圧測定手段30が固定される構造)としてもよいし、図示されない別の部材(筐体等)に電圧測定手段30が固定される構造としてもよい。
【0015】
配線部材は、電圧測定手段30と電池スタック20を構成する電池セル21の端子210を繋ぐための部材である。つまり、各電池セル21の端子間電圧が測定可能となるように複数の配線部材が用いられる。複数の配線部材のうち、電池スタック20の一方側端部に位置する電池セル21のプラス端子211と電圧測定手段30を接続する配線部材と、他方側端部に位置する電池セル21のマイナス端子212と電圧測定手段30を接続する配線部材を除き、次のような形状を有する(以下で説明する配線部材が本発明の一実施形態にかかる電池スタック用配線部材1に相当する)。
【0016】
電池スタック用配線部材1は、中継部10とその両端に設けられた電池側端子部11および測定手段側端子部12を有する。つまり、両端子部が中継部10を介して接続された構造を有する。電池側端子部11は、硬質の導電性材料で形成された板状の部材であって、電池スタック20を構成する一の電池セル21のプラス端子211と、当該一の電池セル21に隣接する電池セル21のマイナス端子212の両方に接続することができる端子である。本実施形態では、プラス端子211とそれに隣接するマイナス端子212の両方に接続可能となるよう、電池側端子部11には両端子210の距離に応じた二つの貫通孔111が形成されている。具体的には、二つの貫通孔111の中心間の距離が両端子210の中心軸間の距離と一致するように形成されている。また、各貫通孔111は、各端子210が挿通可能な大きさである。本実施形態では、端子210が各貫通孔111に挿通された上で、端子210に形成された雄ねじにナットを螺合させることにより、電池側端子部11が二つの端子210に接続される。
【0017】
かかる電池側端子部11は、中継部10の一端に設けられている。本実施形態における中継部10は電線であり、当該電線(電線の芯線)の一端に電池側端子部11が固定されている。中継部10の他端には、測定手段側端子部12が設けられている。測定手段側端子部12は、電圧測定手段30(基板に形成された各ランド部31)に接続される端子である。その形状はどのようなものであってもよい。電線の芯線が測定手段側端子部12となる(電線の芯線が直接電圧測定手段30に接続される)構成としてもよい。
【0018】
本実施形態における中継部10は電線であるため、それ自体は容易に変位する(変形する)ことが可能である。つまり、電池セル21の各端子210と電圧測定手段30(基板に形成された各ランド部31)間の距離に対して余裕をもたせた長さの電線を中継部10とすれば、電線はあらゆる方向に一定量変位可能となる(三次元的に変位可能となる)。
【0019】
このような電池スタック用配線部材1を用いて、電池スタック20と電圧測定手段30とを接続する。具体的には、電池スタック用配線部材1の電池側端子部11が、あるプラス端子211とそれに隣接するマイナス端子212の両方に接続される。長手方向で見ると、幅方向一方側と他方側において各電池スタック用配線部材1の電池側端子部11が交互に位置するように接続される。つまり、ある電池セル21のプラス端子211とそれに隣接する別の電池セル21のマイナス端子212がある電池スタック用配線部材1の電池側端子部11に接続され、当該別の電池セル21のプラス端子211とそれに隣接するさらに別の電池セル21のマイナス端子212が別の電池スタック用配線部材1の電池側端子部11に接続される。
【0020】
このように電池スタック用配線部材1が接続されることで、各電池セル21が直列に接続される。つまり、各電池スタック用配線部材1の電池側端子部11により、各電池セル21同士が電気的に接続される。このように、電池側端子部11は、各電池セル21の端子の電位を検出するためだけでなく、いわゆるバスバーとして機能する。
【0021】
以上説明したように、本実施形態では、電池スタック20を構成する各電池セル21の端子間電圧を測定するために用いられる電池スタック用配線部材1を、各電池セル21を直列に接続するための部材としても利用している。なお、あるプラス端子211とそれに隣接するマイナス端子212の電位は同じであるため、電池側端子部11を当該プラス端子211とそれに隣接するマイナス端子212の両方に接続される構造としても、端子間電圧の測定に問題は生じない。
【0022】
電池スタック20の一方側端部に位置する電池セル21のプラス端子211と、他方側端部に位置する電池セル21のマイナス端子212は、直列に接続された電池セル21(電池スタック20)の両端の端子210であるから、本実施形態にかかる電池スタック用配線部材1を用いる必要がない。つまり、電池セル21の端子210と電圧測定手段30(対応する基板のランド部31)を接続する単純な配線部材を用いればよい。このようにして、電池スタック20と電圧測定手段30が電池スタック用配線部材1で接続された電池ユニット1uが得られる。
【0023】
以上説明したように、本実施形態にかかる電池スタック用配線部材1によれば、その電池側端子部11が、電池スタック20におけるプラス端子211とそれに隣接するマイナス端子212の両方に接続される。つまり、電池スタック用配線部材1は、電池セル21の端子間電圧を測定するために各電池セル21と電圧測定手段30とを電気的に接続する役割だけでなく、隣接する電池セル21同士を電気的に接続する接続部品(バスバー)を兼ねる。そのため、電池セル21同士を電気的に接続するためだけの作業が不要になる。また、電池セル21同士を電気的に接続するためだけに用いられる接続部品(バスバー機能のみを有するもの)が不要になる。
【0024】
また、電池スタック用配線部材1の電池側端子部11は二つの端子210に接続されるものであるため、電池セル21同士の相対的な位置(プラス端子211とマイナス端子212の相対的な位置)がずれていると、電池側端子部11を二つの端子210に接続する作業が困難になるおそれがある。これに対し、本実施形態にかかる電池スタック用配線部材1は、電線によって構成される中継部10が三次元的に変位可能な構成である(電線によって構成される中継部10自体が変位吸収部101となる)ため、多少の位置ずれが生じていたとしても、電線によって構成される変位吸収部101を変位させることにより、電池側端子部11を二つの端子210に接続可能な位置に位置させることができるから、電池側端子部11と二つの端子210を接続する作業が容易になる。
【0025】
上記実施形態にかかる電池スタック用配線部材1の中継部10(変位吸収部101)とは異なる中継部(変位吸収部)の構成としては、以下のような構成が例示できる。図4に示す電池スタック用配線部材1aは、中継部10aが線状の導電性材料で形成されており、中継部10aの一部がコイルばねとなっているものである。かかるコイルばね部分が変位吸収部101aとなる。つまり、コイルばね部分は、伸縮することにより、上下方向に変位することが可能である。また、コイルばね部分は、上下方向に交差する方向に変位することも可能である。このように、変位吸収部101aであるコイルばね部分は、三次元的に変位することが可能である。
【0026】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1(1a) 電池スタック用配線部材
10(10a) 中継部
101(101a) 変位吸収部
11 電池側端子部
12 測定手段側端子部
20 電池スタック
21 電池セル
210 端子
211 プラス端子
212 マイナス端子
30 電圧測定手段(基板)
図1
図2
図3
図4