【解決手段】プラグ挿入口100に連なるプラグ収容室110を有し、内部にプラグに電気的機械的に接続する端子20を収容するための端子空間130を備えたジャックJCであって、プラグ挿入口100は厚み方向に携帯機器のケースの側面形状に沿った傾斜部を有するプラグ挿入面に備わり、プラグ挿入面は回路基板が接続する平坦な下面13、携帯機器のケースに接する平坦な上面12、及び左右側面14、15につながり、上面12には、端子空間130に連設する開口部160が備わり、下面13には端子空間130に連なるスリットを備え、端子20はジャックJCに組み付くための固定部200、固定部200から上方に延びる湾曲部、固定部200の下方にスリットに臨む接触部230を備え、端子20は上面12側から端子空間130に組付けられる。
携帯機器に組み付く、プラグ挿入口に連なるプラグ収容室と、対応するプラグに電気的機械的に接続する端子を収容するための端子空間とが形成された平面視矩形状のハウジングと、前記端子とを備えたジャックであって、
前記プラグ挿入口は厚み方向に前記携帯機器のケースの側面内壁形状に沿った形状の曲面又は平面を含む傾斜部を有するプラグ挿入面に備わり、
前記プラグ挿入面は回路基板が接続する平坦な下面、前記携帯機器のケースに接する部分の少なくとも一部は平坦な上面、及び左右側面につながり、
前記上面には、前記端子空間に連設する開口部が備わり
前記下面には前記端子空間に連なるスリットを備え、
前記端子は前記ハウジングに組み付くための固定部、この固定部から一方向に延びる曲げ部、この固定部の前記一方向の反対側に前記スリットに臨む接続部を備え、
前記端子は前記接続部側から前記開口部に挿入され、前記端子空間に組み付けられるところに特徴を有するジャック。
前記上面から前記プラグ挿入口が備わる前面にかけて、この全面又はこの全面の周縁部に気密性を確保するための弾性部材を装着するための構造を備えるところに特徴を有する請求項1記載のジャック。
前記全面の周縁部の構造が、平面視矩形状の前記ハウジングの前壁、後壁、左壁、右壁をつなぎ合わせ、この上端面が所定の幅を有する表面が滑らかな一連の壁からなるところに特徴を有する請求項2記載のジャック。
【背景技術】
【0002】
携帯機器の防水性を確保するために、ジャックのハウジング構造、或いは、ジャックと、ケースとの組み付け構造に工夫がなされた技術が知られている。たとえば特許文献1記載の技術によれば、携帯機器のプラグ挿し込み口が備わるケースの内側に、ジャックを収容するための前方、及び四方が壁で塞がれた箱状の収容室が形成され、この収容室にジャックが組み付けられ、最後に、後方に開けられた開口部を蓋板で隙間なく塞ぐことで確保するものである。このように、密閉された収容室が形成されるので、ジャックの気密性が確保されることとなる。
【0003】
しかし、この方法では、ジャックの周囲に隙間なく収容室を構成する壁をめぐらせる必要があり、特にジャックの実装面である収容室の底面にも壁が必要になる。壁は気密性を確保するとともに、収容室を構成するための強度が要求されるので、所定の肉厚が確保され、結果、携帯機器の厚み方向の寸法が拡大されることとなる。これにより、この方法では、ジャック部分の気密性は確保できても、携帯機器の小型化が阻まれることとなる。
【0004】
携帯機器の特に厚み方向の小型化を考慮に入れたものとして、ジャックの組み付け段階で、ハウジングに防水カバー部品を装着する方法が知られている。この技術によれば、ジャックを収容室に収容する構造は不要になり、特に厚み方向の小型化の妨げになる底壁が省略できるので、携帯機器の厚み方向の拡大を防ぐことができる。
しかし、この技術によれば、ジャックの実装面であるハウジングの底面に、端子を組み付けるために、特徴的な形状の開口部を要するとともに、この開口部を含む底面の気密性を確保するために密閉蓋状の防水カバー部品を装着するものである。その結果、この方法では、部品点数が増えるとともに、組み付けのための工数も増えることとなる。また、防水カバー部品自体の厚みにより、厚み方向の寸法にも少なからず影響を及ぼすものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであって、次に上げる少なくともその一つを目的とし、一つは携帯機器の厚み方向の小型化を妨げることなく、気密性が確保できる構造を備えたジャックを提供することであり、一つは部品点数を増すことなく、気密性が確保できる構造を備えたジャックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るジャックは、(1)携帯機器に組み付く、プラグ挿入口に連なるプラグ収容室と、対応するプラグに電気的機械的に接続する端子を収容するための端子空間とが形成された平面視矩形状のハウジングと、前記端子とを備えたジャックであって、前記プラグ挿入口は厚み方向に前記携帯機器のケースの側面内壁形状に沿った形状の曲面又は平面を含む傾斜部を有するプラグ挿入面に備わり、前記プラグ挿
入面は回路基板が接続する平坦な下面、前記携帯機器のケースに接する部分の少なくとも一部は平坦な上面、及び左右側面につながり、前記上面には、前記端子空間に連設する開口部が備わり、前記下面には前記端子空間に連なるスリットを備え、前記端子は前記ハウジングに組み付くための固定部、この固定部から一方向に延びる曲げ部、この固定部の前記一方向の反対側に前記スリットに臨む接続部を備え、前記端子は前記接続部側から前記開口部に挿入され、前記端子空間に組み付けられるところに特徴を有するジャック。
【0008】
この発明によれば、回路基板に接続するための、端子の接続部は、ジャックの下面側に形成されたスリットから臨む。その周囲には、気密性を一層向上させるための封止材、たとえば熱硬化性樹脂などで封止してもよい。また、開口部を有するジャックの上面、及び前面は、ケースの内壁の形状に沿う形状を備えている。これにより、ジャックと、ケース内壁との接合面の密着性が増すので、携帯機器が厚み方向に拡大されることがなく、気密性の優れたジャックが得られこととなる。
【0009】
端子は、固定部がスリットに組み付くことで、接続部がスリットの下面側に臨み、曲げ部、その先に連なる接触部が、端子空間に収まる。ハウジングの上面には、端子空間に連なる開口部が形成されている。上面から前面にかけてはプラグ収容室が一部露出している。下面には、端子の接続部が臨むスリットが形成されている。左右側面、及び後面は、穴や凹凸構造がない概ね平坦な壁からなる。
【0010】
ジャックの前面の傾斜は、ケースの対応する内壁形状に沿うものであってよく、曲面で構成される場合、或いは平面で構成される場合があってよい。また、ジャックの前面から上面への連なりは、対応するケースの内壁の形状に沿うものであってよい。このような整合性のある傾斜構造をとることで、ジャックと、ケースとの密着性は向上する。
【0011】
さらに好ましくは、本発明に係るジャックは、(2)前記上面から前記プラグ挿入口が備わる前面にかけて、この全面、又はこの全面の周縁部に気密性を確保するための弾性部材を装着するための構造を備えるところに特徴を有する(1)記載のものである。
【0012】
この発明によれば、ジャックの前面から上面にかけて、対応するケース内壁との密着性を確保するための弾性部材が装着されたジャックが得られる。これにより、ジャックの前面、及び上面と対応するケース内壁との密着性が確保され、その結果、ジャックの気密性が向上する。
【0013】
弾性部材は、ジャックの前面、及び上面の全面に装着されるものであってよく、その全面の周縁部にだけ装着されるものであってもよい。また弾性部材は、予め成形されたものが組み付け工程で組み付けられるものであってよく、場合によっては、組み付け工程で形成されるものであってもよい。たとえば粘性のある液状、或いはゲル状の弾性材料を所定の場所に塗布し、その後硬化させる方法で所定の場所に形成されるものであってもよい。
【0014】
さらに好ましくは、本発明に係るジャックは、(3)前記全面の周縁部の構造が、平面視矩形状の前記ハウジングの前壁、後壁、左壁、右壁をつなぎ合わせ、この上端面が所定の幅を有する表面が滑らかな一連の壁からなるところに特徴を有する(2)記載のものである。
【0015】
この発明によれば、弾性部材が装着される構造が所定の幅を有する、表面が滑らかな壁からなるので、弾性部材を安定して全面の周縁部に装着することができる。これにより、ジャックの前面から上面にかかる部分と、対応するケース内壁との密着性が確保され、その結果、ジャックの気密性が向上する。
【0016】
さらに好ましくは、本発明に係るジャックは、(4)前記弾性部材がシリコーンラバーであるところに特徴を有する(2)又は(3)記載のものである。
【0017】
この発明によれば、ジャックの前面から上面にかかる部分と、対応するケースの内壁との隙間が、シリコーンラバーで埋められる。これにより、組み付けが容易にでき、且つ耐熱性にも優れた気密性を備えたジャックが得られる。
【0018】
さらに好ましくは、本発明に係るジャックは、(5)前記下面に形成された、前記端子の接続部が臨むスリットに気密性を確保するための封止材が充填された(1)から(4)のうち一項記載のものである。
【0019】
この発明によれば、ハウジング下面の接続部が臨むスリットも隙間が封止材で充填されるので、特に、携帯機器の厚さ方向の小型化を妨げることなく、気密性が確保されたジャックが得られる。封止材は熱硬化性の樹脂であってよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〈ジャック概説〉 ジャックJCについて図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の本実施形態に係るジャックの分解斜視図である。
図2は、同ジャックの外観斜視図である。
図3は、同ジャックの底面側の外観斜視図である。
図4は、同ジャックの底面側のスリットに封止材が充填された外観斜視図である。
なお、説明中の指示方向は、図中に示す方向定義に従う。
【0022】
ジャックJCは、
図1に示されるように、合成樹脂からなる非導電性のハウジング10と、主に銅合金が用いられる良導電性の端子20とを備えている。端子20は、本実施形態の場合、電極用の端子21、22、23と、対応するプラグを保持するための保持用の端子24、25とを備える。電極用の端子21、22、23は、正規挿入位置にあるプラグの第1極から第3極の各極に対応する位置に備わる。端子20はハウジング10の所定の位置に圧入方式で固定される。
【0023】
ハウジング10は、
図1、
図2に示されるように、前後方向に延びる平面視矩形状の略箱体で、内側には必要な空間が形成されている。ハウジング10の側面視は、左右側面とも後方から中央にかけては上下面が平行に延び、これより前方にかけては、上面12が前方にいくにしたがい下方に傾くように曲面を画いている。上面12の先端は垂直に延びる前面11の概ね中心線に当たり、ここで連続的につながっている。
【0024】
ハウジング10の内側に備わるプラグ収容室110は、
図1、
図2に示されるように、上面12の傾斜によって上部が欠け、プラグ収容室110の前半部分が露出している。ハウジング10の内側の左右側面14、15付近には、
図1、
図2に示されるように、端子
20を組み付け固定するための端子空間130が備わる。端子空間130は、対応する端子20に応じた特徴的な形状をもつ。端子20は、接続の信頼性を確保するために弾性変形可能な曲げ部210が備わり、この曲げ部210も含めて端子20全体が端子空間130に収容される。そのために、端子空間130は、ハウジング10内で比較的大きな範囲を占め、開口部160も上面12に比較的大きく形成されている。
【0025】
端子空間130は、
図1、
図2に示されるように、上面12に開口部160が形成されている。開口部160は、各端子21〜25の形状に対応した構造と、特徴的な輪郭とが形成され、概ね前後方向に延びている。
ハウジング10の下面13は、
図3に示されるように、概ね平坦で中央部にやや盛り上がる台地が形成されている。また、下面13の左右側縁部に、隙間幅を一定に保つスリット120が形成されている。スリット120は、前後方向に直線的に延び、奥部ではハウジング10の上面12から内方に形成されている端子空間130に連通している。このように、スリット120と、端子空間130とは、連続した空間を形成している。
【0026】
ハウジング10の前面11は、
図1、
図2に示されるように、下向きに傾斜する上面12に滑らかにつながり、プラグ挿入口100の上半分は欠け、下半分からプラグ収容室110が露出している。また、最も前方に形成されている端子空間130は、その一部が前面11によって切り落とされ、そこから内部が一部露出している。このような露出部分が生じているが、前面11から上面12にかかる全面の周縁部がシリコーンラバー50を介してケース30の内壁に、押圧力をともなって接合されるので、ジャックJCの気密性は確保されることとなる。
【0027】
〈端子〉 端子20は、
図1に示されるように、図示しないプラグの電極に対応する第1から第3までの3個の電極用の端子21、22、23が備わる。後方の左右方向には、正規嵌合位置にあるプラグの先頭部に対して保持力を生じさせる保持用の端子24、25が備わる。保持用の端子24、25は、
図1に示されるように、銅合金の圧延材の打ち抜きからなる四角の枠組240を備え、この四角の枠組240の内側に前方の枠の側縁から後方に延びる保持片250を備えている。左右一対の保持片250、250は、ともに後方で内向きに山形に湾曲し、その頂点部で正規嵌合位置にあるプラグ先頭部を挟持する。
【0028】
保持用の端子24、25は、
図1に示されるように、四角の枠組240がハウジング10に形成されたスリット120に嵌ることによって、湾曲形状の保持片250が端子空間130に収容される。これにより、スリット120を通してハウジング10の下面13から下方に、下枠の一部を構成する接続部220が露出する。接続部220は、半田固着によって回路基板40に接続する。
【0029】
端子空間130は、ハウジング10の内側でプラグ収容室110に連通している。これにより、所定位置に組み付けられた保持用の端子24、25は、正規嵌合位置にあるプラグの先頭部に、保持片250を弾性的に当接させることができ、また、電極用の端子21、22、23は、プラグの対応する電極に電気的機械的に接続することができる。
【0030】
電極用の第1端子21、第2端子22、第3端子23は、ともに矩形状の固定部200の上縁から上方に延びる曲げ部210を備えている。曲げ部210は、上方に山形に湾曲し、その先端は下方に進み90度向きを変えて前方に延びる。延びる先端は内向きに傾きを増し、頂部に至って凸部を備える。このようにして、電極用の第1端子21、第2端子22、第3端子23は、ともに曲げ部210の先端に弾性的に変位可能な接触部230が備わる。接触部230は、正規嵌合位置にあるプラグの対応する電極に電気的機械的に接続する。本発明は、端子20の形状を本実施形態に示される形状に限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0031】
電極用の第1端子21、第2端子22、第3端子23の矩形状の固定部200は、
図1に示されるように、対応するスリット120に嵌ることで、曲げ部210、及び接触部230が端子空間130に収容される。これにより、ハウジング10のスリット120に圧入された固定部200は、その先端に備わる接続部220をスリット120からハウジング10の下面13に露出させる。
【0032】
〈端子組み付け完了〉 端子20がハウジング10の所定の位置に組み付いたジャックJCは、
図2、
図3に示されるように、ハウジング10の下面13のスリット120に板厚相当分の接続部220が露出し、接続部220の周面とスリット120の内周面との間には隙間が形成される。この隙間は、
図4に示されるように、封止材60で封止される。封止材60は、熱硬化性の樹脂であってよく、場合によっては、楕円状に成形されたゴム製のパッキング材を隙間に嵌め合わせてもよい。何れの方法によっても隙間を封止することによって、ハウジング10の下面13の気密性は確保されることとなる。
【0033】
ハウジング10の上面12から前面11にかかる部分は、
図2に示されるように、プラグ収容室110、及び端子空間130に連なる開口部160が形成されている。これら開口部160が形成されている範囲は、上面12から前面11の概ね中心線にかけての部分であって、その周縁部には及んでいない。ハウジング10の前面11、及び上面12のこれら全面の周縁部は、
図2に示されるように、ハウジング10を構成する前壁、後壁、左右側壁を連ねた、上端面が滑らかで所定の幅を備えた一連の壁180で構成されている。
【0034】
この周縁部に張り巡らされた壁180は、ハウジング10の中央部に形成された特徴的な輪郭を有する島状の台地と同じ高さで形成されるか、或いは若干ではあるが高めに形成されることが好ましい。本実施形態の場合、この周縁部の壁180が弾性部材であるシリコーンラバー50を介して対応するケース30内側に対して密着接合することで、ジャックJCの気密性が確保されるものである。
【0035】
この周縁部に張り巡らされた壁180は、ジャックJCがケース30の所定の位置に組み付けられた際、ケース30の内壁の形状に沿うように形成されている。本実施形態の場合、ケース30内壁の形状が前方にいくにしたがって下方に傾斜するので、ジャックJCの壁180もそれに倣う形で傾斜している。このように、対応する双方形状が整合することで、その接合面の気密性が確保されることとなる。
【0036】
この周縁部に張り巡らされた壁180には、
図2に示されるように、その形状に沿うように成形されたシリコーンラバー50が装着される。シリコーンラバー50は、シリコーンゴムの加圧成形によるもので、シリコーンラバー50の物理的化学的特性として熱や、その他腐食性環境に対しても比較的耐性を有するとともに、設計自在な硬度を備え、電子機器のパッキング材として適した素材である。シリコーンラバー50は、周縁部の壁180と、対応するケース30内壁との間に形成された隙間をその弾性によって分断し、縮小することができる。
シリコーンラバー50は、所定の幅と厚みを備えている。幅と厚みはジャックJCをケース30に押圧する力、ゴム硬度、要求する気密度など物理的要因によって決定しうるものであり、適宜最適値が設計されるものである。
【0037】
本実施形態では、弾性部材にシリコーンラバー50を使用するが、本発明は、これに限定するものではなく、適宜材料は選択しうるものである。たとえば、ウレタン等の合成ゴム、エラストマなど選択してもよい。また、シリコーンラバー50は、周縁部だけではなく、ハウジングの前面から上面にかけて全面を覆うものであってもよい。さらに、弾性部材として基材が防水性を備えた両面テープを使用してもよい。
【0038】
〈ジャックの組み付け〉 ジャックJCのケース30への組み付けについて図面にしたがって説明する。
図5は、本実施形態に係るジャックのケースへの組み付けの状態を示す斜視図である。
図6は、同ジャックのケースへの組み付けの状態を示す透視図である。
図7は、同ジャックのケースへの組み付け完了状態を示す透視図である。
図8は、同ジャックのケースへの組み付け完了状態を示す側面図である。
図9は、同ジャックのケースへの組み付け完了状態を示す透視図である。
【0039】
ジャックJCは、
図5に示されるように、下面13が回路基板40に接続する実装面である。回路基板40は、FPC(Elexible printed circuits)のように柔軟性を有する材料であってよい。回路基板40に形成された電極ターミナルに、ジャックJCの下面13に露出する接続部220が半田固着によって接続する。このとき、接続部220は、前後方向に長いので実装強度の向上が図られる。ジャックJCは、このようにして回路基板40の所定の位置に固定される。
【0040】
回路基板40に固定されたジャックJCは、
図6に示されるように、プラグ挿入口320が備わるケース30側面の内壁に組み付けられる。ケース30側面の内壁には、シリコーンラバー50に対応する位置に一段高められた据付用の台座330が形成されている。台座330の表面は、平坦で滑らかに形成されている。正規位置に組み付けられたジャックJCのプラグ挿入口100は、ケース30の側面300に備わる、プラグ挿入口320に重なる。
【0041】
ケース側面300の内壁は、
図8に示されるように、ジャックJCの前面11、及び上面12の前半部分が合わさる部分であって、微妙に曲率が変化する曲面の組み合わせで構成されている。このような曲面同士の密着性を確保する上で、弾性を有するシリコーンラバー50は効果的に作用し、双方の整合性を補足する。
【0042】
ジャックJCは、
図8に示されるように、ケース30に対して上方、及び前方に押圧力が加えられている。押圧力の発生源は、ジャックJCと、ケース30とに備わる係合片同士の重なりで生じるものであってよく、或いは、ケース30をジャックJCに固定するためのネジ締めで生じるものであってもよい。
ケース30に組み付けられたジャックJCは、
図7に示されるように、前面11、及び上面12の開口部160が全てシリコーンラバー50によって覆われ、その周囲に対して気密性が確保されている。
【0043】
〈原理〉 ハウジング10の上面12側から端子20を組み付けることによって、下面13側には小さなスリット120が形成されるだけで、比較的容易に気密性が確保でき、これにより、複雑な部品構成をとることなく、携帯機器の小型化の妨げにならない、気密性のよいジャックJCが得られる。ハウジング10の上面12側に形成される、プラグ収容室110、端子空間130などの開口部160は、ケース30の内壁と、ジャックJCとの密着性を向上させることで塞ぐことができ、特別な部材を用いることなく、小型化の妨げにならない、気密性が確保されたジャックが得られる。
【0044】
〈効果〉
・本実施形態に係るジャックJCは、ハウジング10の上面12側から端子20を挿入するので、ジャックJCの下面13側には、板状片の接続部220が露出できるだけの幅細のスリット120が形成されるのみである。これにより、下面13側の封止手段が比較的容易にできるので、小型化の妨げにならない気密性のよいジャックJCが得られる。
【0045】
・本実施形態に係るジャックJCは、前面11から上面12にかけての密着構造がシリコ
ーンラバー50を介して構成されるので、たとえジャックJCと、ケース30との間に隙間が生じる部分があっても、弾性変形可能なシリコーンラバー50によってその部分が塞がれる。これにより、気密性が確保されたジャックJCが得られる。
・本実施形態に係るジャックJCは、押圧力により、ジャックJCをケース30の内壁に密着させるので、たとえジャックJCと、ケース30との間に隙間が生じる部分があっても、隙間が分断され、縮小するので、容易に気密性のよいジャックJCが得られる。
【0046】
・本実施形態に係るジャックJCは、ハウジング10の上面12から端子20を組み付けるので、従来技術では必要としていた下面13側の開口部を塞ぐための防水カバーの装着が不要になる。これにより、部品点数、及び組立工数の少ない気密性のよいジャックJCが得られる。
・本実施形態に係るジャックJCは、上面12側の密着性を確実にすることによって、気密性を確保する構造である。これにより、ハウジング10の最も前方にある端子空間130を形成する前壁の一部が構造上欠けることがあっても、気密性が確保されたジャックJCが得られる。
【0047】
・本実施形態に係るジャックJCは、上面12側の密着性を確実にすることによって、気密性を確保する構造なので、最も前方に備わる端子20の位置をハウジング10の前壁の近くに設けることができる。これにより、ケース30の対応する側面の壁の厚みを比較的確保し易くなるので、所定の強度が確保された携帯機器ケース30が得られる。
・本実施形態に係るジャックJCは、ジャックJCと、ケース30との間にシリコーンラバー50を装着して気密性を確保する構造なので、携帯機器の小型化が可能なジャックJCが得られる。
【0048】
・本実施形態に係るジャックJCは、前面11から上面12にかけての周縁部に弾性部材を装着することで、ジャックJCの気密性を確保する構造であるので、たとえば、基材が防水性の両面テープを弾性部材に使用することができる。これにより、予めジャックJCに防水テープを組み付けることができるので、ケース30への組み付けが容易な気密性ジャックJCが得られる。
【0049】
〔その他の実施形態〕
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、発明思想の範囲内で種々の変更が可能である。