【解決手段】モジュール100は、絶縁性のケース本体と、蓄電素子121と、回路素子122とを具備する。ケース本体は、第1のキャビティ111と、回路素子122を配置することが可能な第2のキャビティ112とを有し、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112が形成された開口面117と、開口面117の反対側の底面116とが設けられる。開口面117は、底面116からの高さが第1の高さであり第1のキャビティ111が形成された第1の領域と、底面116からの高さが第1の高さより高い第2の高さであり第2のキャビティが112形成された第2の領域とを有する。
第1のキャビティと、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを有し、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティが形成された開口面と、前記開口面の反対側の底面とが設けられた絶縁性のケース本体と、
液体又はゲル状のイオン導電体を含み、前記回路素子と電気的に接続されることが可能に構成され前記第1のキャビティに配置された蓄電素子と
を具備し、
前記開口面は、
前記底面からの高さが第1の高さであり前記第1のキャビティが形成された第1の領域と、
前記底面からの高さが前記第1の高さより高い第2の高さであり前記第2のキャビティが形成された第2の領域とを有する
モジュール用電源供給ユニット。
液体又はゲル状のイオン導電体を含む蓄電素子を配置することが可能な第1のキャビティと、前記蓄電素子と電気的に接続された回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを有し、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティが形成された開口面と、前記開口面の反対側の底面とが設けられた絶縁性のケース本体
を具備し、
前記開口面は、
前記底面からの高さが第1の高さであり前記第1のキャビティが形成された第1の領域と、
前記底面からの高さが前記第1の高さより高い第2の高さであり前記第2のキャビティが形成された第2の領域とを有する
ケース。
第1のキャビティと、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを有し、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティが形成された開口面と、前記開口面の反対側の底面とが設けられた絶縁性のケース本体と、
液体又はゲル状のイオン導電体を含み、前記第1のキャビティに配置された蓄電素子と、
前記第2のキャビティに配置され、前記蓄電素子に電気的に接続された回路素子と
を具備し、
前記開口面は、
前記底面からの高さが第1の高さであり前記第1のキャビティが形成された第1の領域と、
前記底面からの高さが前記第1の高さより高い第2の高さであり前記第2のキャビティが形成された第2の領域とを有する
モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るモジュール用電源供給ユニットは、絶縁性のケース本体と、蓄電素子とを具備する。
上記ケース本体は、第1のキャビティと、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを有し、上記第1のキャビティ及び上記第2のキャビティが形成された開口面と、上記開口面の反対側の底面とが設けられる。
上記蓄電素子は、上記液体又はゲル状のイオン導電体を含み、上記回路素子と電気的に接続されることが可能に構成され上記第1のキャビティに配置される。
上記開口面は、
上記底面からの高さが第1の高さであり上記第1のキャビティが形成された第1の領域と、
上記底面からの高さが上記第1の高さより高い第2の高さであり上記第2のキャビティが形成された第2の領域とを有する。
【0013】
上記モジュール用電源供給ユニットは、第1のキャビティには蓄電素子が配置されているが、第2のキャビティは開放されている。そこで、第2のキャビティに所定の回路素子を配置することで、蓄電素子から当該回路素子等への電源供給が可能となり、リアルタイムクロックIC等の電子デバイスの駆動が可能なモジュールを作製することができる。また、上記モジュール用電源供給ユニットによれば、液体またはゲル状のイオン導電体を含む蓄電素子と回路素子とを分離して配置することができる。したがって、上記モジュール用電源供給ユニットにより、液漏れのおそれがなく、所望の機能を有するモジュールを提供することが可能となる。また、ケース本体の開口面が第1の領域及び第2の領域を有することから、第1のキャビティと第2のキャビティとの間に段差が設けられることとなる。これにより、仮に第2のキャビティをリッド等により封止しようとする際に、作業性を高めることができる。
【0014】
上記モジュール用電源供給ユニットは、少なくとも上記第1のキャビティを封止するリッドをさらに具備してもよい。
【0015】
上記構成によれば、リッドによって第1のキャビティを確実に封止し、蓄電素子の液漏れを防止することができる。
【0016】
上記モジュール用電源供給ユニットは、上記ケース本体と上記リッドとの間に接合されたシール部材をさらに具備してもよい。
【0017】
上記構成によれば、キャビティを気密に封止することができる。したがって、上記ケースを用いることで、蓄電素子の液漏れをより確実に防止できるモジュールを、容易に製造することが可能となる。
【0018】
例えば上記リッドは、上記ケース本体に溶接されてもよい。
【0019】
また、上記リッドは、
周縁部に対して中央部が突出した表面と、
上記第1のキャビティに面し、上記表面に倣って中央部が陥没した裏面とを有してもよい。
【0020】
溶接時には、リッドが高温となり得るため、リッドが熱膨張し、あるいは冷却時に収縮する可能性がある。上記構成によれば、上記膨張又は収縮に伴いリッドに生じる応力を緩和し、リッドやケース本体との接合部位の破損等を防止することができる。
【0021】
本発明の一実施形態に係るケースは、絶縁性のケース本体を具備する。
上記ケース本体は、液体又はゲル状のイオン導電体を含む蓄電素子を配置することが可能な第1のキャビティと、上記蓄電素子と電気的に接続された回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを有し、上記第1のキャビティ及び上記第2のキャビティが形成された開口面と、上記開口面の反対側の底面とが設けられる。
上記開口面は、
上記底面からの高さが第1の高さであり上記第1のキャビティが形成された第1の領域と、
上記底面からの高さが上記第1の高さより高い第2の高さであり上記第2のキャビティが形成された第2の領域とを有する。
【0022】
本発明の一実施形態に係るモジュールは、絶縁性のケース本体と、蓄電素子と、回路素子とを具備する。
上記ケース本体は、第1のキャビティと、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを有し、上記第1のキャビティ及び上記第2のキャビティが形成された開口面と、上記開口面の反対側の底面とが設けられる。
上記開口面は、
上記底面からの高さが第1の高さであり上記第1のキャビティが形成された第1の領域と、
上記底面からの高さが上記第1の高さより高い第2の高さであり上記第2のキャビティが形成された第2の領域とを有する。
【0023】
また、上記モジュールは、少なくとも上記第1のキャビティを封止するリッドをさらに具備してもよい。
【0024】
上記モジュールは、上記ケース本体と上記リッドとの間に接合されたシール部材をさらに具備してもよい。
【0025】
上記リッドは、
上記第1のキャビティを封止する第1のリッドと、
上記第2のキャビティを封止する第2のリッドとを有してもよい。
【0026】
上記構成によれば、蓄電素子が配置された第1のキャビティのみならず、回路素子が配置された第2のキャビティも封止することができる。
【0027】
また、上記第1のリッドは、レーザ溶接法により上記ケースに接合されてもよい。
【0028】
上記構成によれば、液体又はゲル状のイオン導電体の染み出し等の問題が生じにくく信頼性の高いレーザ溶接を用いて第1のキャビティを確実に封止することができる。また、溶接代を大きく確保することなく、気密性の高い封止が可能となる。
【0029】
また、上記第1のリッドは、
周縁部に対して中央部が突出した表面と、
上記第1のキャビティに面し、上記表面に倣って中央部が陥没した裏面とを有してもよい。
【0030】
さらに、上記第1のリッドの表面は、
中央部に設けられた第1の平坦面と、
上記第1の平坦面の外縁に設けられたテーパ面とを含み、
上記第2のリッドは、
上記第1の平坦面と同一平面上に設けられた第2の平坦面を含む表面を有してもよい。
【0031】
上記構成によれば、モジュール全体として、略平坦な上面(表面)を有する構成とすることができ、他の電子機器等への実装を容易にすることができる。
【0032】
上記第2のリッドは、抵抗溶接法により上記ケース本体に接合されてもよい。
【0033】
上記構成によれば、ケース本体の開口面の第2の領域と第1の領域との高さが異なることから、第1の領域及び第2の領域の境界部も容易に溶接することができる。
【0034】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係るモジュールについて説明する。
【0035】
[モジュールの構成]
図1は、本実施形態に係るモジュール100の斜視図であり、
図2はモジュール100の平面図であり、
図3はモジュール100のS11−S11線(
図1)に沿う断面図である。
図1乃至
図3に示すように、モジュール100は、ケース本体11、蓄電素子121、回路素子122、金属層13、シール部材14及びリッド15を備える。なお、各図において、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに直交する方向を示し、Z軸方向はモジュールの厚み方向(上下方向)を示す。
【0036】
図2及び
図3に示すように、モジュール100は、ケース本体11に形成された第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112にそれぞれ蓄電素子121及び回路素子122が配置され、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112がリッド15(第1のリッド151及び第2のリッド152)によって封止された構成を有する。本実施形態に係るモジュール100は、例えばリアルタイムクロックIC等の電子デバイスを駆動するためのモジュールとして用いられ、蓄電素子121をバックアップ電源等として使用することができる。モジュール100の大きさや形状は特に限定されず、例えば直方体形状であるものとすることができる。
【0037】
(ケース本体)
図4は、ケース本体11の構成を示す図であり、Aは平面図、Bは断面図である。ケース本体11は、第1のキャビティ111、第2のキャビティ112、底部113、外壁114及び隔壁115を備え、底部113、外壁114及び隔壁115によって第1のキャビティ111、第2のキャビティ112が区画された構成を有する。本実施形態において、底部113は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112の底部を構成し、外壁114は、底部113の外縁に沿う枠状に構成される。隔壁115は、外壁114の対向する2面にそれぞれ接続される。
【0038】
ケース本体11には、さらに、開口面117と、底部113に形成され開口面117の反対側の底面116とが設けられる。開口面117は、ケース本体11の上面として構成される。開口面117には、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112が形成される。
【0039】
第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112は、ケース本体11の開口面117に形成された凹部として構成され、底部113、外壁114及び隔壁115によって区画される。第1のキャビティ111は、金属層13とシール部材14とともに蓄電素子121を配置する液室を形成する。外壁114は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112を囲み、隔壁115は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112を隔てる。
【0040】
開口面117は、第1のキャビティ111が形成された第1の領域117aと、第2のキャビティ112が形成された第2の領域117bとを有する。第1の領域117aと第2の領域117bとの境界部は、隔壁115に沿って設けられる。第1の領域117aは、
図4に示すように、底面116からの高さが第1の高さH1である。第2の領域117bは、
図4に示すように、底面116からの高さが第1の高さH1よりも高い第2の高さH2である。すなわち、開口面117には、隔壁115上に段差部117cが設けられている。
【0041】
ケース本体11は、絶縁性であって、例えばHTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)やLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックからなるものとすることができる。ケース本体11は、例えば
図4に示すような直方体形状に限定されず、円柱形状等、他の形状とすることも可能である。
【0042】
(蓄電素子)
蓄電素子121は、液体又はゲル状のイオン導電体を含み、
図3に示すように、第1のキャビティ111に配置される。イオン導電体は、液体であった場合、電解液として構成され得る。蓄電素子121は、例えば電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等であってもよい。蓄電素子121の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、イオン導電体と、このイオン導電体に浸漬される正極の電極シート及び負極の電極シートとを有するものとすることができる。より具体的には、正極の電極シート及び負極の電極シートは、セパレートシートを挟んでZ軸方向に積層された構成としてもよい。正極の電極シート及び負極の電極シートは、底部113に配設された図示しない配線や導電性のリッド15等を介して、回路素子122や外部端子等に接続される。これにより、蓄電素子121は、回路素子122に対し電源を供給することが可能となる。
【0043】
(回路素子)
回路素子122は、
図3に示すように、第2のキャビティ112に配置される。回路素子122は、蓄電素子121に電気的に接続され、蓄電素子121から電源を供給されることが可能に構成される。回路素子122は、本実施形態において、リアルタイムクロックICなどの集積回路及び発振子を含む。これらの構成や配置は特に限定されない。また、回路素子122は、集積回路及び発振子のうちのいずれか一方であってもよいし、他の素子であってもよい。
【0044】
第2のキャビティの回路素子122が占める領域以外の領域には、空気等の気体が封入されていてもよく、あるいは、樹脂等が埋設されていてもよい。また、回路素子122は、ケース本体11に配設された外部端子等に電気的に接続されることで、リアルタイムクロックを用いる電子デバイスや外部の制御基板等とも接続可能となる。
【0045】
なお、蓄電素子121及び回路素子122の電気的な接続方法についても特に限定されない。例えば、蓄電素子121及び回路素子122は、底部113及び外壁114等に形成された配線や、第1のリッド151及び第2のリッド152等を介して相互に電気的に接続されてもよい。
【0046】
(金属層)
図5は金属層13の構成を示す図であり、Aはシール部材14及びリッド15を取り除いた態様を示す平面図、Bはその断面図である。同図に示すように、金属層13は、ケース本体11の開口面117上に配設される。金属層13をケース本体11上に設けることにより、セラミックからなるケース本体11の上に、シール部材14やリッド15等の金属からなる部材を接合することが容易になる。
【0047】
金属層13は、
図5に示すように、第1の領域117aに配設された第1の金属層131と、第2の領域117bに配設された第2の金属層132とを有する。これにより、第1のリッド151及び第2のリッド152の双方をケース本体11に容易に接合することが可能となる。
【0048】
金属層13は、ロウ材(金−銅合金等)等の金属材料からなるメタライズ層130で構成される。これにより、シール部材141及び第2のリッド152をケース本体11にロウ付け(接着)することが可能となる。
【0049】
(シール部材)
図6は、シール部材14の構成を示す図であり、リッド15を取り除いた態様を示す平面図である。同図に示すように、シール部材14は、ケース本体11とリッド15との間に接合される。より具体的に、シール部材14は、開口面117の第1の領域117a及び第2の領域117bに接合される。シール部材14は、金属材料からなり、例えばコバール(鉄−ニッケル−コバルト合金)等の導電性材料からなるシールリングとすることができる。このようなシール部材14を用いることで、リッド15とケース本体11との気密性を高めることができる。なお、シール部材14には、NiメッキやAuメッキ等のメッキが施されていてもよい。
【0050】
シール部材14は、第1の金属膜131を介して第1の領域117aに接合された第1のシール部材141と、第2の金属膜132を介して第2の領域117bに接合された第2のシール部材142とを有する。これにより、第1のリッド151及び第2のリッド152各々の気密性を高めることが可能となる。
【0051】
(リッド)
リッド15は、
図1乃至
図3に示すように、第1のキャビティ111を封止する第1のリッド151と、第2のキャビティ112を封止する第2のリッド152とを有する。これにより、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112各々を別個に確実に封止することができる。リッド15は、例えば、各種金属等の導電性材料からなるものとすることができ、例えばコバール(鉄−ニッケル−コバルト合金)からなるものとすることができる。これにより、リッド15を蓄電素子121の導電経路として機能させることが可能となる。あるいは、リッド15は、導電性材料に限定されず、各種セラミックスや有機材料などの絶縁性材料や半導体材料などを適用可能である。
【0052】
リッド15は、金属層13及びシール部材14を介してケース本体11に溶接される。例えば、第1のリッド151は、レーザ溶接法により第1のシール部材141を介してケース本体11に接合されるものとすることができる。また、第2のリッド152は、抵抗溶接法により第2のシール部材142を介してケース本体11に接合されるものとすることができる。あるいは、第2のリッド152は、リフロー方式によるハンダ付け等を選択することができる。第1のリッド151が溶接された場合は、第1の金属層131、シール部材141及び第1のリッド151が一体化してケース本体11に接合された構成となり得、第2のリッド152が溶接された場合は、第2の金属層132及び第2のリッド152が一体化してケース本体11に接合された構成となり得る。
【0053】
図7は、レーザ溶接法により第1のリッド151をシール部材14に接合する際の態様を示す模式的な断面図である。同図に示すように、レーザ溶接法では、第1のリッド151及び第2のリッド152と、シール部材14との構成材料がレーザ照射によって溶融凝固することによってこれらの接合が行われる。図中のMは溶融凝固部を示し、Lはレーザ照射を行っているレーザ光を示す。レーザ溶接法によれば、溶接代を大きく確保することなく、気密性の高い封止が可能となるとともに、液体又はゲル状のイオン導電体の染み出し等の問題が生じにくく、信頼性の高い封止が可能となる。
【0054】
なお、第1のリッド151及び第2のリッド152の具体的な接合方法は上記に限定されず、蓄電素子121や回路素子122の特性、または所望の気密性等に応じて適宜選択することができる。
【0055】
第1のリッド151は、周縁部に対して中央部が突出した表面151aと、第1のキャビティ111に面し表面151aに倣って中央部が陥没した裏面151bとを有し、全体として上方へ突出した構成を有する。より具体的には、中央部に設けられた第1の平坦面151cと、第1の平坦面151cの周縁に設けられたテーパ面151dとを含む。テーパ面151dは、例えばシール部材141に接合される周縁部の略平坦な面と、第1の平坦面151cとの間を接続するものとすることができる。
【0056】
ここで、溶接時には、リッド15の周縁部が加熱されるため、熱膨張、あるいは冷却時に収縮する可能性があり、特にレーザ溶接では高温となり得る。このため、第1のリッド151に応力が付加され、第1のリッド151自体やシール部材141との接合部位が破損するおそれがある。本実施形態によれば、第1のリッド151が上記構成の表面151a及び裏面151bを有するため、上記応力が緩和され、第1のリッド151等の破損を防止することができる。
【0057】
また、裏面151bが表面151aに倣って陥没するため、第1のキャビティ111及び第1のリッド151a等によって形成される液室の容積を大きくすることができる。
【0058】
第2のリッド152は、第2の平坦面152bを含む表面152aを有する。第1の平坦面151cと第2の平坦面152bとの高さは特に限定されない。例えば、第1のリッド151の第1の平坦面151cと、第2のリッド152の第2の平坦面152bとが同一平面上に配置されていてもよい。これにより、第1のリッド151及び第2のリッド152により構成されるモジュール100の上面を略平坦に構成することができる。これにより、情報処理装置等の電子機器に、より実装し易いモジュール100を提供することができる。
【0059】
[モジュールの作用効果]
本実施形態に係るモジュール100は、蓄電素子121と回路素子122とが、それぞれ別個の第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112に配置される。これにより、蓄電素子121の液体又はゲル状のイオン導電体が回路素子122側へ漏れることを防止することができる。したがって、これらの蓄電素子121及び回路素子122を同一モジュールに搭載することが可能となり、リアルタイムクロックIC等の電子デバイスの駆動モジュールとして好適に用いることが可能となる。
【0060】
また
図8は、ケース本体11の作用効果を説明するための概略断面図であり、抵抗溶接法により第2のリッド152を開口面117の第2の領域117b(第2の金属層132)に接合する際の態様を示す。同図に示すように、抵抗溶接法では、ローラー電極Rを回転させながら、第2のリッド152の周縁に沿って移動させることで、第2のリッド152を接合する。
【0061】
本実施形態によれば、第1の領域117a及び第2の領域117bの境界部に段差部117cが形成され、第2の領域117bが第1の領域117aよりも高く構成される(
図4参照)。したがって、仮に第1のリッド151が先に接合されていた場合であっても、ローラー電極Rを隔壁115側の第2のリッド152周縁に沿って回転させることが容易になる。
【0062】
このように、本実施形態によれば、抵抗溶接法によっても、第2のリッド152が容易に接合されることができる。また、第2の領域117bが第1の領域117aよりも高く構成されることで、第1の領域117a及び第2の領域117bが離間される。したがって、抵抗溶接法に限定されず、レーザ溶接法、リフロー方式によるハンダ付け等の手法を用いる場合でも、第2のリッド152の接合が容易になる。
【0063】
また、本実施形態によれば、第1の領域117aが第2の領域117bよりも低く構成されるため、第1のリッド151の中央部が突出した構成であっても、上述のように第1のリッド151が第2のリッド152からは突出しない構成とすることができる。これにより、モジュール100全体を小型化し、情報処理装置等の電子機器に実装し易い構成とすることができる。
【0064】
さらに、以下に示すように、第2のキャビティ112を開放し、回路素子122を有さない構成とすることで、モジュール用電源供給ユニットを提供することができる。
【0065】
[モジュール用電源供給ユニットの構成]
図9は、本実施形態に係るモジュール用電源供給ユニットを示す断面図である。モジュール用電源供給ユニット10は、ケース本体11、蓄電素子121、第1の金属層(金属層)131、第1のシール部材(シール部材)141及び第1のリッド(リッド)151を備え、第1のキャビティ111が封止される。
【0066】
ケース本体11は、第1の実施形態と同様に、蓄電素子121が配置された第1のキャビティ111と、回路素子を配置することが可能な第2のキャビティ112とを有する。ケース本体11には、絶縁性であって、開口面117と、底面116の反対側の底面116とが設けられる。開口面117は、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112が形成される。また開口面117は、底面116からの高さが第1の高さH1であり第1のキャビティ111が形成された第1の領域117aと、底面116からの高さが第1の高さH1より高い第2の高さH2であり第2のキャビティ112が形成された第2の領域117bとを有する。
【0067】
蓄電素子121は、液体又はゲル状のイオン導電体を含み、回路素子と電気的に接続されることが可能に構成される。すなわち、ケース本体11には、予め回路素子と接続するための回路素子用端子や、蓄電素子121と当該回路素子用端子とを接続する配線が形成される。蓄電素子121は、配線等を介して回路素子用端子と電気的に接続されることにより、第2のキャビティ112に配置され得る回路素子と電気的に接続されることが可能となる。
【0068】
第1の金属層131は、開口面117の第1の領域117a上に配設され、第1のキャビティ111の周囲に形成される。第1の金属層131は、ロウ材等からなるメタライズ層で構成されてもよい。第1のシール部材141は、例えば第1の金属層131上に接合された金属材料からなり、第1のキャビティ111の周囲に接合される。第1のリッド15は、例えば第1のシール部材141に接合され、第1のキャビティ111を封止する。
【0069】
なお、モジュール用電源供給ユニット10は、金属層として、第1の金属層131及び第2の金属層132を有していてもよく、シール部材14として第1のシール部材141及び第2のシール部材142を有していてもよい。
【0070】
[モジュール用電源供給ユニットの作用効果]
本実施形態に係るモジュール用電源供給ユニット10は、第2のキャビティ112に所定の回路素子を配置することにより、一つのモジュールとして機能させることが可能となる。これにより、回路素子の選択性を高めることができ、所望の機能を有するモジュールを容易に作製することが可能となる。また、蓄電素子121の液漏れを防止できるため、より安定的な電源供給が可能となる。さらに、回路素子を配置した後、第2のキャビティ112を封止しようとする場合にも、上述のように、第2のリッド152を容易に接合することが可能となる。
【0071】
さらに、
図3に示すように、ケース本体11上に金属層13及びシール部材14が配設された構成を、ケース110としてもよい。
【0072】
[ケースの構成]
ケース110は、ケース本体11、金属層13及びシール部材14を備える。ケース本体11は、液体又はゲル状のイオン導電体を含む蓄電素子を配置することが可能な第1のキャビティと、上記蓄電素子と電気的に接続された回路素子を配置することが可能な第2のキャビティとを有する。ケース本体11には、絶縁性であって、第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112が形成された開口面117と、開口面117の反対側の底面116とが設けられる。開口面117は、底面116からの高さが第1の高さH1であり第1のキャビティ111が形成された第1の領域117aと、底面116からの高さが第1の高さH1より高い第2の高さH2であり第2のキャビティ112が形成された第2の領域117bとを有する。
【0073】
金属層13は、ケース本体11上に配設される。シール部材14は、金属層131上に接合された金属材料からなる。リッド15は、ケース本体11に溶接される。
【0074】
また上述のように、ケース本体11の材質等に応じて金属層13が省略されてもよい。この場合には、シール部材14は、直接ケース本体11に接合され得る。あるいは、ケース本体11自体をケースとして提供することも可能である。
【0075】
金属層13及びシール部材14が配設されている場合には、リッドによる封止も容易に行うことが可能となり、蓄電素子の液漏れを防止できるモジュールを容易に製造することが可能となる。さらに、回路素子を配置した後、第2のキャビティ112を封止しようとする場合にも、上述のように、第2のキャビティ112の周囲にリッドを容易に接合することが可能となる。
【0076】
<第2の実施形態>
図10は、本発明の第2の実施形態に係るモジュールの構成を示す断面図である。本実施形態に係るモジュール200は、第1の実施形態と同様に、ケース本体11、蓄電素子121、回路素子122、金属層13(メタライズ層130)、シール部材24、及びリッド15(第1のリッド151及び第2のリッド152)を備えるが、シール部材24の構成が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、既出の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
図11は、シール部材24の構成を示す図であり、Aはリッド15を取り除いた態様を示す平面図、Bは概略断面図である。同図に示すように、シール部材24は、ケース本体11とリッド15との間に接合され、より具体的には、開口面117の第1の領域117aに接合される。すなわち第1のリッド151は、シール部材24に接合されており、第2のリッド152は、第2の金属層132に接合される。
【0078】
これにより、気密性が特に重要となる第1のキャビティ111を確実に封止することが可能となるとともに、コストの低減が可能である。
【0079】
なお、本実施形態においても、第2のキャビティ112を開放し、回路素子122を有さない構成とすることで、モジュール用電源供給ユニットを提供することができる。また本実施形態においても、
図10に示すように、ケース本体11上に金属層13が配設され、かつケース本体11上に金属層13を介してシール部材24が接合されたケース210を提供することができる。あるいは、ケースとしては、金属層13及びシール部材24の少なくとも一方を備えている構成としてもよく、またケース本体11自体をケースとして提供することも可能である。
【0080】
<第3の実施形態>
図12は、本発明の第3の実施形態に係るモジュールの構成を示す断面図である。本実施形態に係るモジュール300は、主に、シール部材を有さない点で第1の実施形態に係るモジュール100と異なる。すなわち、モジュール300は、ケース本体11、蓄電素子121、回路素子122、金属層13、及びリッド15(第1のリッド151及び第2のリッド152)を備える。
【0081】
第1のリッド151及び第2のリッド152は、金属層13に直接接合されている。このように、金属層13やリッド15の材料、リッド15の接合方法、あるいは所望の気密性等に応じて、シール部材を省略することができる。これにより、部品数を減らし、生産性を高めることができる。
【0082】
なお、本実施形態においても、第2のキャビティ112を開放し、回路素子122を有さない構成とすることで、モジュール用電源供給ユニットを提供することができる。また本実施形態においても、
図12に示すように、ケース本体11上に金属層13が配設されたケース310を提供することができる。あるいは、ケース本体11自体をケースとして提供することも可能である。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿
論である。
【0084】
例えば、
図13の拡大断面図に示すように、金属層13は、シール部材14との接合面の周囲に形成されたフィレットFを有していてもよい。フィレットFは、シール部材14との接合面からはみ出したロウ材をいう。これにより、溶接時の熱等による応力の集中が低減され、シール部材14と金属層13との封止性が向上し得る。
【0085】
例えば、以上の実施形態において、第1のリッド151の第1の平坦面151cと、第2のリッド152の第2の平坦面152bとは、同一平面上に配置されていなくてもよい。例えば、底面からの高さは、第1の平坦面151cの方が高くてもよいし、第2の平坦面152bの方が高くてもよい。
【0086】
例えば、以上の実施形態において、第1のリッド151が第1の平坦面151cとテーパ面151dとを有すると説明したが、この構成に限定されない。例えば、第1のリッド151の表面151aが凸状の曲面を有することで周縁部に対して中央部が突出していてもよい。あるいは、第1のリッド151が突出しておらず、全体が平坦に構成されてもよい。また、第2のリッド152が第1のリッド151と同様に突出して構成されてもよい。
【0087】
また、開口面117の第1の領域117a及び第2の領域117bにおける底面116からの高さの差は、特に限定されない。
【0088】
また、以上の実施形態において、モジュール100,200,300は、ケース本体11の材質に応じて、金属層13を省略した構成とすることも可能である。これにより、製造工程を簡略化し、生産性を高めることができる。