【解決手段】燃料電池システム1は、アノードオフガス検出ラインL4に接続され、第2の燃料電池41と、第2の燃料電池41のアノードと電気的に接続される外管43と、第2の燃料電池41のカソードと電気的に接続される内管42と、を有する燃料利用率センサ40を備える。第2の燃料電池41のアノードは、直接又はアノードオフガス検出ラインL4を介して、アノードオフガスラインL3を流通するアノードオフガスG3に接触し、内管42は、内管内壁423及び内管外壁424を備える筒状を有し、内管内壁423により、大気A1に連通する内管内空間421が形成され、第2の燃料電池41のカソードは、内管42の一端開口を塞ぐように載置される。
前記外管は、外管内壁及び外管外壁を備える筒状を有し、前記外管の一端開口は、前記第2の燃料電池のアノードによって塞がれ、前記外管は、前記内管を囲むように配置されて、前記外管と前記内管とにより二重管構造が構成される、請求項1に記載の燃料電池システム。
前記燃料利用率センサは、前記内管内空間に大気を流通させる貫通孔を有し、前記アノードオフガス検出ラインの延出端の開口を塞ぐ弾性変形可能な蓋体を更に含む、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
前記アノードオフガス検出ラインの途中には、前記アノードオフガス検出ラインの外周を取り囲むように断熱材が設けられ、前記内管は、前記断熱材を境に、前記内管の一端側の高温領域と、前記内管の他端側の常温領域とに分けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態による燃料電池システム1を示す概略図である。
図2は、本発明の実施形態による燃料電池システム1における燃料利用率センサ40を示す拡大断面図である。
図3は、本発明の実施形態による燃料電池システム1における燃料利用率センサ40の安全装置48の周辺を示す要部拡大断面図である。
図4は、本発明の実施形態による燃料電池システム1における燃料利用率センサ40の検出用燃料電池41の周辺を示す要部拡大断面図である。
以下の説明において、「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
【0018】
図1に示すように、燃料電池システム1は、第1の燃料電池としての燃料電池11と、検出部としての電圧計13と、制御部14と、改質器15と、燃焼器16と、燃料ガス供給部21と、改質水供給部22と、空気供給部23と、燃料利用率センサ40と、を有する。
【0019】
また、燃料電池システム1は、アノードガス供給ラインL1と、カソードガス供給ラインL2と、アノードオフガスラインL3と、アノードオフガス検出ラインL4と、カソードオフガスラインL5と、大気開放ラインL6と、燃料ガス供給ラインL7と、改質水供給ラインL8と、排ガスラインL9と、を有する。
【0020】
アノードガス供給ラインL1の一端部は、改質器15に接続されている。アノードガス供給ラインL1の他端部は、燃料電池11に接続されている。アノードガス供給ラインL1には、改質器15において生成された水素や一酸化炭素、未反応のメタン、未利用の水蒸気等のアノードガスG1が流通する。
【0021】
カソードガス供給ラインL2の一端部は、ブロワ(図示しない)やフィルタ(図示しない)等で構成された空気供給部23に接続されている。カソードガス供給ラインL2の他端部は、燃料電池11に接続されている。カソードガス供給ラインL2には、空気供給部23から供給された空気等のカソードガスG2が流通する。
【0022】
アノードオフガスラインL3の一端部は、燃料電池11に接続されている。アノードオフガスラインL3の他端部は、燃焼器16に接続されている。アノードオフガスラインL3の途中には、分岐部J1としての穴が設けられている。分岐部J1には、筒状のアノードオフガス検出ラインL4の一端部の開口が、この穴と連通するように、アノードオフガスラインL3に接続されている。アノードオフガス検出ラインL4は、アノードオフガスラインL3から分岐されて下方へ延出している。アノードオフガス検出ラインL4の他端部(下端部)である延出端部の外周面には、
図2及び
図3に示すように、雄ネジ49が設けられている。アノードオフガス検出ラインL4の他端部である延出端部の開口は、燃料利用率センサ40を構成するキャップ47及び蓋体46により塞がれている。アノードオフガスラインL3、アノードオフガス検出ラインL4は、例えば、セラミックチューブで形成されている。
【0023】
アノードオフガス検出ラインL4の途中には、断熱材51が設けられている。断熱材51は、アノードオフガス検出ラインL4の外周を取り囲むように設けられている。これにより、アノードオフガス検出ラインL4、燃料利用率センサ40を構成する内管42及び外管43は、断熱材51を境に、アノードオフガス検出ラインL4、内管42、及び外管43の一端側の高温領域Hと、アノードオフガス検出ラインL4、内管42、及び外管43の他端側の常温領域Lとに分けられている。アノードオフガスラインL3及びアノードオフガス検出ラインL4には、燃料電池11から排出されるアノードオフガスG3が流通する。
【0024】
図1に示すように、カソードオフガスラインL5の一端部は、燃料電池11に接続されている。カソードオフガスラインL5の他端部は、燃焼器16に接続されている。カソードオフガスラインL5には、燃料電池11から排出されるカソードオフガスG4が流通する。
【0025】
大気開放ラインL6の一端部は、燃料利用率センサ40を構成する蓋体46の貫通孔463に接続されている。大気開放ラインL6の他端部は、大気開放されている。大気開放ラインL6には、大気A1が流通する。大気開放ラインL6は、例えば、セラミックチューブで形成されている。
【0026】
燃料ガス供給ラインL7の一端部は、都市ガス等の燃料ガスG5を供給可能な燃料ガス供給部21に接続されている。燃料ガス供給ラインL7の他端部は、改質器15に接続されている。燃料ガス供給ラインL7には、燃料ガス供給部21から供給された燃料ガスG5が流通する。
【0027】
改質水供給ラインL8の一端部は、改質水(水蒸気)W1を供給可能な改質水供給部22に接続されている。改質水供給ラインL8の他端部は、改質器15に接続されている。改質水供給ラインL8には、改質水供給部22から供給された改質水(水蒸気)W1が流通する。
【0028】
排ガスラインL9の一端部は、燃焼器16に接続されている。排ガスラインL9の他端部は、図示しない熱交換器等に接続されている。排ガスラインL9には、燃焼器16から排出される排ガスG6が流通する。
【0029】
燃料電池11は、高温型の燃料電池であるSOFC(固体酸化物型燃料電池)である。燃料電池11は、複数の燃料電池セルが積層配置されて、燃料電池スタックとされたものである。燃料電池11は、改質器15から供給されたアノードガスG1及び空気供給部23から供給されたカソードガスG2を使用して発電する。より具体的には、燃料電池11は、アノードガスG1に含まれる水素及びカソードガスG2に含まれる酸素を使用して発電する。
【0030】
図2〜
図4に示すように、燃料利用率センサ40は、第2の燃料電池としての検出用燃料電池41と、内管42及びセル台44と、外管43と、ガラスシール45と、蓋体46と、キャップ47と、安全装置48とを有している。燃料利用率センサ40は、アノードオフガス検出ラインL4に接続され、アノードオフガスラインL3の下方に配置されている。
【0031】
蓋体46は、ゴム製であり、弾性変形可能である。蓋体46は、上部筒状部461と栓部462とを有している。上部筒状部461は、上方に延びる円筒状を有している。栓部462は、上部筒状部461の下端部の開口を塞いでいる。栓部462には、栓部462を上下方向に貫通する貫通孔463が形成されている。貫通孔463は、大径部464と小径部465とを有する。大径部464は、栓部462の上部に位置する。大径部464の下部は、徐々に縮径して小径部465に接続されている。小径部465は、栓部462の下部に位置する。貫通孔463は、内管42の内周面により囲まれて形成された内管内空間421に大気A1を連通させる。
【0032】
キャップ47は、キャップ筒状部471と下端蓋板472とを有している。キャップ筒状部471は、栓部462の外径よりも大きな内径を有する円筒状を有している。キャップ筒状部471の内周面には、雌ネジ473が設けられており、雌ネジ473は、アノードオフガス検出ラインL4の延出端部の外周面に設けられた雄ネジ49に噛合っている。この噛合いにより、キャップ47はアノードオフガス検出ラインL4に固定されている。また、アノードオフガス検出ラインL4の内周面が栓部462の外周面に密着しているため、アノードオフガス検出ラインL4を流通するアノードオフガスG3は、アノードオフガス検出ラインL4の外部へ流出しないようにシールされている。下端蓋板472は、円盤状を有している。下端蓋板472の中央には、キャップ貫通孔474が形成されている。キャップ貫通孔474には、蓋体46の下部が貫通している。
【0033】
外管43は、ステンレス鋼等により構成されている。外管43は、外管43の内周面を有する外管内壁431、及び、外管43の外周面を有する外管外壁432を備える円筒状を有している。外管43の軸心方向における外管43の長さは、200mm程度であり、外径は17mm程度である。外管43は、内管42を囲むように配置されている。これにより、外管43と、内管42とにより、二重管構造が構成される。
【0034】
外管43の他端部としての下端部の外周面は、蓋体46の上部筒状部461の内周面に密着している。外管43の下端部の開口は、蓋体46の栓部462により塞がれている。外管43の下端部は、電圧計13に電気的に接続されている。外管43の一端部としての上端部は、セル固定部433を有している。セル固定部433の中央には、上下方向にセル固定部433を貫通するアノードオフガス流通孔434が形成されている。アノードオフガス流通孔434の上部は、上方に向かって拡径するすり鉢状部435を有している。
【0035】
アノードオフガス流通孔434よりも下側のセル固定部433の部分は、下方へ向かって2段階に拡径している。1段目に拡径している部分には、ガラスシール45を介して、検出用燃料電池41の端縁、及び、検出用燃料電池41の上面全面に設けられ検出用燃料電池41の上面のアノードに密着した集電体412の端縁が固定されている。また、ガラスシール45を介して、環状を有するマイカ413の端縁が固定されている。環状を有するマイカ413の中央には、集電体414が嵌め込まれている。集電体414は、検出用燃料電池41の下面の中央部のカソードに密着すると共に、フランジ部441の中央の開口部に密着して開口部を塞いでいる。集電体412及び集電体414は、導電性を有すると共に、気体透過性を有している。アノードは、集電体412を介してセル固定部433に電気的に接続されている。カソードは、集電体414を介してフランジ部441に電気的に接続されている。
【0036】
2段目に拡径している部分には、ガラスシール45を介して、セル台44のフランジ部441の端縁が固定されている。即ち、ガラスシール45は、集電体412を介してアノードと電気的に接続される外管43と、集電体414を介してカソードと電気的に接続される内管42及びセル台44と、の間に配置されており、アノードと電気的に接続される外管43と、カソードと電気的に接続される内管42及びセル台44と、の間の短絡を防止する。また、セル固定部433は、検出用燃料電池41のアノードに電気的に接続されている。従って、アノードと電気的に接続される外管43の一端部の開口は、検出用燃料電池41のアノードによって塞がれている。アノードは、アノードオフガス検出ラインL4を介してアノードオフガスラインL3を流通するアノードオフガスG3に接触する。
【0037】
内管42は、ステンレス鋼等により構成されている。内管42は、内管42の内周面を有する内管内壁423、及び、内管42の外周面を有する内管外壁424を備える円筒状を有している。内管42の他端部としての下端部は、
図3に示すように、蓋体46の大径部464と小径部465との接続部分を形成している蓋体46の部分から上方に離れて、蓋体46の大径部464に挿入されている。内管42の下部には、割ピン425が設けられている。割ピン425は、内管42の外方に向かって内管外壁424から突出している。また、内管42を取り巻くようにして、圧縮バネ426が設けられている。圧縮バネ426の上端部は、割ピン425に当接している。割ピン425に代えて、内管外壁424に切り欠きが形成され、切り欠きに圧縮バネ426の上端部が固定されてもよい。圧縮バネ426の下端部は、大径部464の上部に形成された段部467に当接している。内管42は、圧縮バネ426の付勢力により、上方へ付勢されている。これにより、後述のセル台44のフランジ部441が集電体414に密着させられる。内管42の下端部と、蓋体46の大径部464と小径部465との接続部分を形成している蓋体46の部分との間には、内管下方空間466が形成されている。
【0038】
内管42の下端部は、電圧計13に電気的に接続されている。内管42の内周面により形成される空間は、内管内空間421を構成する。内管内空間421は、大気開放ラインL6を通して大気A1に連通する。内管42の一端部としての上端部は、外形が縮径する上端縮径部422を有している。上端縮径部422は、セル台44の下端部の開口に挿入されている。
【0039】
セル台44は、ステンレス鋼等により構成されており、円筒状を有している。セル台44の上部は、フランジ部441を有している。フランジ部441より上のセル台44の部分に、検出用燃料電池41のカソードは、電気的に接続されて載置されている。従って、第2の燃料電池としての検出用燃料電池41のカソードは、セル台44の上端開口を塞ぐことにより、内管42の一端開口を塞ぐように載置されている。
【0040】
安全装置48は、常温領域Lに位置している内管42の内周面に存在している。安全装置48は、溶融部材481と、落下部材482と、受止部材483とを有している。溶融部材481は、内管42の常温領域Lの内管内壁423(内管42の内周面)に設けられている。溶融部材481は、内管内壁423から突出しているが、内管42を一周するようには設けられておらず、内管42の直径位置において対をなして設けられている。溶融部材481は、例えば、ロウ材や、ガラス材により構成され、例えば100〜700℃程度の融点(軟化点)を有する。溶融部材481は、検出用燃料電池41が破損した場合に、内管内空間421にアノードオフガスG3が流入することで溶融する。
【0041】
落下部材482は、内管42の内径よりも径の小さい球形を有している。落下部材482は、溶融部材481の上方側に、溶融部材481に当接して載置される。落下部材482は、アノードオフガスG3の熱により溶融されない材料、例えば金属材料により形成される。落下部材482は、溶融部材481が溶融することで内管内空間421を落下する。受止部材483は、溶融部材481の下方側に存在しており、内管42の内径が縮径するように、内管42の内方へ突出している。受止部材483は、内管42と一体成形されて構成されている。受止部材483は、内管内壁423の周方向に沿って全周にわたって形成されている。
【0042】
受止部材483は、溶融部材481が溶融することにより落下部材482が落下した場合に、上方側から落下する溶融部材481及び落下部材482を受け止める。これにより、落下部材482は、受止部材483との間に隙間がない状態で、受止部材483の全周にわたって当接する。そして、内管内空間421は、受止部材483、溶融部材481、及び落下部材482によって塞がれ、受止部材483は、落下した落下部材482と共に内管内空間421の大気A1への連通を遮断する。
【0043】
検出用燃料電池41は、アノードとカソードとの間に固体電解質を挟んだ一つの燃料電池セルであるボタンセルで構成されている。例えば、燃料電池セルは、燃料電池11を構成する燃料電池セルと同じ組成のものが使用される。
【0044】
図2において、矢印で示されるように、アノードオフガスG3は、アノードオフガスラインL3及びアノードオフガス検出ラインL4を流通し、大気A1は、大気開放ラインL6を流通する。
このように検出用燃料電池41を配置することによって、検出用燃料電池41のアノードは、アノードオフガス検出ラインL4を介してアノードオフガスラインL3を流通するアノードオフガスG3に接触し、検出用燃料電池41のカソードは、大気開放ラインL6を介して大気A1に接触する。
【0045】
検出用燃料電池41は、アノードに接触するアノードオフガスG3及びカソードに接触する大気A1を使用して発電する。より具体的には、検出用燃料電池41は、アノードオフガスG3に含まれる水素及び大気A1に含まれる酸素を使用して発電する。
【0046】
電圧計13は、内管42、外管43及びセル台44を介して検出用燃料電池41のカソード及びアノードに電気的に接続されており、検出用燃料電池41で発生した電圧を検出値V1として検出する。電圧計13は、制御部14に電気的に接続されており、検出値V1を制御部14に出力する。
制御部14は、燃料ガス供給部21及び燃料電池11に電気的に接続されている。制御部14は、電圧計13から出力された検出値V1に基づいて、制御信号を生成し、この制御信号を燃料ガス供給部21及び燃料電池11に出力する。
【0047】
燃料ガス供給部21は、燃料ガス供給ラインL7に都市ガス等の燃料ガスG5を供給する。また、燃料ガス供給部21は、制御部14から出力される制御信号に応じて、燃料ガス供給ラインL7に供給する燃料ガスG5の量を調整することが可能な構成となっている。例えば、燃料ガス供給部21は、制御信号に基づいて燃料ガスG5の流量を調整することができる流量調整弁等を含んで構成される。
また、燃料電池11は、制御部14から出力される制御信号に応じて、発電量を調整することが可能な構成となっている。
【0048】
改質器15は、図示しない熱交換器を有している。改質器15は、熱交換器によって発生した800℃程度の高温において、燃料ガス供給部21から供給された燃料ガスG5と、改質水供給部22から供給された改質水(水蒸気)W1とから、アノードガスG1を生成する。このアノードガスG1は、燃料電池11に供給される。
燃焼器16は、燃料電池11から排出されるアノードオフガスG3及びカソードオフガスG4を燃焼させて、排ガスG6として排ガスラインL9に排出する。
【0049】
本実施形態による燃料電池システム1は、以下のように動作する。
燃料電池システム1が起動されると、燃料ガスG5は、燃料ガス供給部21から燃料ガス供給ラインL7を介して改質器15に供給される。また、改質水W1は、改質水供給部22から改質水供給ラインL8を介して改質器15に供給される。改質器15は、燃料ガスG5と改質水W1とから、アノードガスG1を生成し、アノードガス供給ラインL1を介して、このアノードガスG1を燃料電池11に供給する。空気供給部23は、カソードガス供給ラインL2を介して、カソードガスG2を燃料電池11に供給する。
【0050】
燃料電池11は、アノードガスG1及びカソードガスG2を使用して発電する。発電に使用されなかったアノードガスG1は、アノードオフガスG3として燃料電池11からアノードオフガスラインL3に排出される。発電に使用されなかったカソードガスG2は、カソードオフガスG4として燃料電池11からカソードオフガスラインL5に排出される。
アノードオフガスG3及びカソードオフガスG4は、燃焼器16で燃焼し、排ガスG6として排ガスラインL9に排出される。
【0051】
アノードオフガスラインL3に排出されたアノードオフガスG3は、アノードオフガス検出ラインL4を介して検出用燃料電池41のアノードに接触する。一方、大気開放ラインL6を介して、大気A1が検出用燃料電池41のカソードに接触する。これにより、検出用燃料電池41は、アノードオフガスG3及び大気A1を使用して発電する。
【0052】
電圧計13は、検出用燃料電池41で発生した電圧の値を検出値V1として検出し、この検出値V1を制御部14に出力する。制御部14は、検出値V1が、所定の範囲を下回る値であるか、所定の範囲を上回る値であるか、あるいは、所定の範囲に収まる値であるか、を判断する。ここで、所定の範囲とは、燃料電池システム1が正常に動作している状態(以下、正常な状態ということがある。)において、検出用燃料電池41から発生する電圧の値が、取り得る範囲のことである。所定の範囲は、例えば、以下のように決定される。作業者が、燃料電池システム1が、所定の状態であることを確認した上で、検出用燃料電池41で発生する電圧の値を測定する。そして、この電圧の値に許容誤差等のマージンが加味されて、所定の範囲は決定される。なお、所定の状態としては、例えば、燃料電池11が発電する前の初期状態等のアノードオフガスG3の量及びカソードオフガスG4の量が既知の状態が考えられる。
所定の範囲の決定は、燃料電池システム1が起動されるたびに、毎回行われるようにしてもよい。
【0053】
制御部14は、検出値V1が所定の範囲を下回る値であると判断した場合、燃料ガス供給部21に対して、改質器15に供給する燃料ガスG5の量を増加させるための制御信号を出力する。この制御信号によって、燃料ガス供給部21は、改質器15に供給する燃料ガスG5の量を増やすように制御されるため、改質器15に供給される燃料ガスG5は増加する。
【0054】
制御部14が、このような制御信号を出力する理由は以下の通りである。検出値V1が所定の範囲を下回るということは、検出用燃料電池41のアノードに接触するアノードオフガスG3の水素濃度が、正常な状態におけるアノードオフガスG3の水素濃度に比べて低いということを意味する。また、アノードオフガスG3の水素濃度が、正常な状態における水素濃度に比べて低いということは、アノードオフガスG3の量が、正常な状態における量に比べて少ないということを意味し、すなわち、燃料電池11へのアノードガスG1の供給量が不足していることを意味する。そして、アノードガスG1の供給量は、改質器15への燃料ガスG5の供給量によって決まる。よって、制御部14は、燃料電池11へのアノードガスG1の供給量を増加させるために、燃料ガス供給部21に対して、改質器15に供給する燃料ガスG5の量を増加させるための制御信号を出力する。
【0055】
同様の理由により、制御部14は、検出値V1が所定の範囲を上回る値であると判断した場合には、燃料ガス供給部21に対して、改質器15に供給する燃料ガスG5の量を減少させるための制御信号を出力する。
また、制御部14は、検出値V1が所定の範囲に収まる値であると判断した場合には、燃料ガス供給部21に対して、改質器15に供給する燃料ガスG5の量を現在の状態に維持させるための制御信号を出力する。
なお、燃料電池システム1の起動時においては、制御部14は、燃料ガス供給部21に対して所定の初期制御信号を出力する。燃料ガス供給部21は、この所定の初期制御信号に基づいた量の燃料ガスG5を改質器15に供給する。
【0056】
燃料電池システム1において、燃料電池11へのアノードガスG1の供給量が不足していると、燃料電池11のスタックが破損することがある。そのため、燃料電池システム1において、検出値V1が所定の範囲を下回った場合、改質器15に対する燃料ガスG5の供給量を増加させる必要がある。
一方、燃料電池11へのアノードガスG1の供給量が過剰になっても、燃料電池11は、必ずしも破損しない。そのため、制御部14は、検出値V1が所定の範囲を上回る値であると判断した場合に、燃料ガス供給部21に対して、改質器15に供給する燃料ガスG5の量を現在の状態に維持させるための制御信号を出力してもよい。
【0057】
そのため、所定の範囲は、上限を有さず、下限のみを有する範囲とされてもよい。上述したように、検出値V1が所定の範囲を上回る値である場合及び検出値V1が所定の範囲に収まる値である場合において、制御部14は、同じ制御(燃料ガス供給部21に対して、現在の状態に維持させる制御)を行うことがあるからである。
例えば、所定の範囲は、0.9V以上である範囲に設定されてもよい。このように所定の範囲が設定された場合、制御部14は、所定の範囲を下回る値(すなわち、所定の範囲外の値)であるか、所定の範囲に収まる値(すなわち、所定の範囲内の値)であるかを判断し、制御信号を出力することになる。
表1は、所定の範囲が0.9V以上である範囲に設定された場合における制御部14の動作を例示した表である。
【0059】
さらに、制御部14は、燃料電池11に対しても、制御信号を出力する。制御部14は、検出値V1が所定の範囲を下回る値であると判断した場合、燃料電池11に対して、燃料電池11の出力を低下させるための制御信号を出力する。この制御信号によって、燃料電池11は、発電量が減少するように制御されるため、燃料電池11の発電量は減少する。検出値V1が所定の範囲を下回るということは、燃料電池11が、アノードガスG1の供給量に対して、過剰な発電量で発電していることを意味する。よって、制御部14は、燃料電池11の発電量を減少させるために、燃料電池11に対して、燃料電池11の出力を低下させるための制御信号を出力する。
【0060】
そして、制御部14は、検出値V1が所定の範囲を上回る値であると判断した場合及び検出値V1が所定の範囲に収まる値であると判断した場合においては、燃料電池11に対して、現在の状態に維持させるための制御信号を出力する。検出値V1が所定の範囲を上回るということは、燃料電池11が、アノードガスG1の供給量に対して、不足する発電量で発電していることを意味する。しかし、燃料電池11の発電量が不足していても、燃料電池11は、必ずしも破損しない。よって、制御部14は、検出値V1が所定の範囲を上回る値であると判断した場合、燃料電池11に対して、現在の状態に維持させるための制御信号を出力する。
【0061】
なお、制御部14は、燃料ガス供給部21及び燃料電池11の両方に制御信号を出力してもよいし、燃料ガス供給部21及び燃料電池11のいずれか一方に制御信号を出力してもよい。
【0062】
本実施形態の燃料電池システム1によれば、一つの燃料電池セルで構成された検出用燃料電池41を一つ使用して、アノードオフガスラインL3を流通するアノードオフガスG3の量が適量か否かを判断することができる。そのため、本実施形態の燃料電池システム1によれば、アノードオフガスラインL3におけるアノードオフガスG3の量が適量か否かを判断できる燃料電池システムが、簡単な構成で実現される。
【0063】
即ち、上記構成の実施形態に係る燃料電池システム1によれば、以下のような効果を得ることができる。上述のように、燃料電池システム1は、第1の燃料電池11と、第1の燃料電池11に接続され、第1の燃料電池11からのアノードオフガスG3が流通するアノードオフガスラインL3と、アノードオフガスラインL3から分岐されて延出するアノードオフガス検出ラインL4と、アノードオフガス検出ラインL4に接続され、第2の燃料電池としての検出用燃料電池41と、検出用燃料電池41のアノードと電気的に接続される外管43と、検出用燃料電池41のカソードと電気的に接続される内管42と、を有する燃料利用率センサ40と、外管及び内管と電気的に接続され、検出用燃料電池41において発生する電圧を検出値として検出する検出部13と、を備える。検出用燃料電池41のアノードは、アノードオフガス検出ラインL4を介して、アノードオフガスラインL3を流通するアノードオフガスG3に接触し、内管42は、内管内壁423及び内管外壁424を備える筒状を有し、内管内壁423により、大気A1に連通する内管内空間421が形成され、第2の燃料電池としての検出用燃料電池41のカソードは、内管42の一端開口を塞ぐように載置される。
【0064】
この構成により、アノードオフガスG3と大気中の酸素とを用いて簡単な構成により検出用燃料電池41において電圧を発生させることができる。これにより、検出用燃料電池41において発生する電圧を検出することにより、アノードオフガスラインL3を流通するアノードオフガスG3の量が適量か否かを判断することができる。
【0065】
また、外管は、外管内壁431及び外管外壁432を備える筒状を有し、外管としての外管43の一端開口は、検出用燃料電池41のアノードによって塞がれ、外管43は、内管42を囲むように配置されて、外管43と内管42とにより二重管構造が構成される。
【0066】
この構成により、アノードオフガスG3が大気に漏れること、及び、大気がアノードオフガスラインL3に流入することを、容易に防止することができる。
【0067】
また、燃料利用率センサ40は、内管内壁423の内管内空間421に大気A1を流通させる貫通孔463を有し、アノードオフガス検出ラインL4の延出端の開口を塞ぐ弾性変形可能な蓋体46を更に含む。
【0068】
この構成により、アノードオフガスG3が大気に漏れること、及び、大気がアノードオフガスラインL3に流入することを、確実に防止することができる。
【0069】
また、アノードオフガス検出ラインL4の途中には、アノードオフガス検出ラインL4の外周を取り囲むように断熱材51が設けられている。この構成により、断熱材51を境にして内管42を、内管42の一端側の高温領域Hと、内管42の他端側の常温領域Lとに分けることができる。
【0070】
また、燃料利用率センサ40は、アノードオフガスラインL3の下方に配置される。この構成により、常温領域Lで結露により生じた水を燃料利用率センサ40の下部に溜めることができる。
【0071】
また、燃料利用率センサ40は、溶融部材481と、落下部材482と、受止部材483と、を有する安全装置48を更に備え、溶融部材481は、内管42の常温領域Lの内管内壁423に設けられ、落下部材482は、溶融部材481の上方側に溶融部材481に当接して載置され、受止部材483は、溶融部材481の下方側に配置される。
【0072】
この構成により、検出用燃料電池41が破損した場合に、内管内空間421にアノードオフガスG3が流入することで溶融部材481を溶融させることができる。溶融部材481が溶融することで落下部材482を、内管内空間421において落下させることができる。また、受止部材483は、落下した落下部材482と共に内管内空間421の大気A1への連通を遮断することができる。
【0073】
また、燃料利用率センサ40は、セル台44と外管43との間に配置されたガラスシール45を備える。この構成により、内管と外管との間の短絡を防止することができる。
【0074】
本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。例えば、本実施形態において、制御部14は、燃料ガス供給部21や燃料電池11の制御を行っていたが、これに限定されない。例えば、空気供給部23や空気調整弁等の制御を行ってもよい。本発明において、検出用燃料電池41で得られた検出値V1は、燃料ガス供給部21や空気供給部23や燃料電池11の制御に限られず、様々な用途に使用され得る。例えば、制御部14は、検出値V1が、所定の範囲を下回った場合や上回った場合に、アラーム信号を出力して、作業者に注意を促すようにし、燃料ガス供給部21や空気供給部23や燃料電池11を制御しないこともあり得る。また、制御部14は、検出値V1が、所定の範囲を下回った場合や上回った場合に、燃料電池システム全体を停止させる制御を行うこともあり得る。
すなわち、本発明においては、アノードオフガスラインL3におけるアノードオフガスG3が適量か否かを判断した後、その判断結果を様々な用途に使用可能である。
【0075】
本実施形態においては、検出値として電圧が使用されていたが、電流又は抵抗値が使用されてもよい。また、電圧、電流及び抵抗値から選択されるいずれか2つ又はすべてが使用されてもよい。例えば、電力が検出値として使用されてもよい。すなわち、検出値は、電流、電圧及び抵抗値のいずれか一つ以上が使用されていればよい。
【0076】
また、本実施形態においては、検出用燃料電池41のアノードは、アノードオフガス検出ラインL4を介してアノードオフガスラインL3を流通するアノードオフガスG3に接触したが、この構成に限定されない。例えば、第2の燃料電池としての検出用燃料電池41のアノードは、アノードオフガスラインL3を流通するアノードオフガスG3に、直接接触してもよい。
【0077】
本実施形態においては、燃料電池11は、SOFC(固体酸化物型燃料電池)であったが、これに限定されない。また、検出用燃料電池41は、一つの燃料電池セルで構成されていたが、2つ以上の燃料電池をスタック化したものであってもよい。検出用燃料電池41を構成する燃料電池セルは、燃料電池11を構成する燃料電池セルと同じ構成のものを用いていたが、これに限定されない。例えば、検出用燃料電池41を構成する燃料電池セルは、燃料電池11を構成する燃料電池セルと異なる種類のものであってもよい。