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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-185522(P2015-185522A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20060101AFI20150925BHJP
   H01M 8/06 20060101ALI20150925BHJP
   H01M 8/12 20060101ALN20150925BHJP
【FI】
   H01M8/04 J
   H01M8/06 G
   H01M8/04 G
   H01M8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-63827(P2014-63827)
(22)【出願日】2014年3月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】安井 賢志
(72)【発明者】
【氏名】古川 英夫
【テーマコード(参考)】
5H026
5H127
【Fターム(参考)】
5H026AA06
5H127AA07
5H127AC05
5H127BA12
5H127BA36
5H127BA39
5H127BA57
5H127BA59
5H127BA64
5H127BB02
5H127BB07
5H127BB12
5H127BB37
5H127BB39
5H127DA20
5H127DB88
5H127DC12
5H127DC18
5H127DC32
5H127DC38
5H127DC88
(57)【要約】
【課題】付着したカーボンを除去する場合にも燃焼器の温度を過剰に上昇させず安定的に運用できる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】燃料電池システム1は、燃料電池11と、触媒上で燃料G1と水Wとを反応させて、燃料電池11に供給される改質ガスG2を生成する改質器12と、改質器12で生成された改質ガスG2が燃料電池11に向けて流通する改質ガス供給ラインL3と、燃料電池11から排出されるオフガスG3を燃焼する燃焼器13と、オフガスG3が燃焼器13に向けて流通する第一排気ラインL5と、燃焼器13から排出される燃焼排ガスG4を排出する第二排気ラインL6と、改質器12で生成された改質ガスG2又はオフガスG3が燃焼器13を介さずに排出されるバイパスラインL7と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
触媒上で燃料と水とを反応させて、前記燃料電池に供給される改質ガスを生成する改質器と、
前記改質器で生成された改質ガスが前記燃料電池に向けて流通する改質ガス供給ラインと、
前記燃料電池から排出されるオフガスを燃焼する燃焼器と、
前記オフガスが前記燃焼器に向けて流通する第一排気ラインと、
前記燃焼器から排出される燃焼排ガスを排出する第二排気ラインと、
前記改質器で生成された改質ガス又は前記オフガスが前記燃焼器を介さずに排出されるバイパスラインと、
を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記バイパスラインは、前記燃料電池及び前記燃焼器を介さずに前記改質器と屋外とを接続し、前記改質器で生成された改質ガスが流通する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記バイパスラインは、前記燃料電池及び前記燃焼器を介さずに前記改質ガス供給ラインと前記第二排気ラインとを連通し、前記改質器で生成された改質ガスが流通する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記バイパスラインへの前記改質器で生成された改質ガスの流入量を調整する流量調整部と、
前記流量調整部による前記改質器で生成された改質ガスの流入量の調整を制御する、制御部と、
を更に備える、請求項2又は3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記バイパスラインは、前記燃料電池と屋外とを接続し、前記オフガスが流通する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記バイパスラインは、前記第一排気ラインと前記第二排気ラインとを連通し、前記オフガスが流通する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記バイパスラインへの前記オフガスの流入量を調整する流量調整部と、
前記流量調整部による前記オフガスの流入量の調整を制御する、制御部と、
を更に備える、請求項5又は6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃焼器内の温度を測定する温度センサを更に備え、
前記制御部は、前記温度センサが所定の温度以上を計測した場合に、前記燃焼器内の温度が所定の温度以下になるように前記流量調整部の制御をする、
請求項4又は7に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素を含有する水素含有ガスと空気とを電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池(固体酸化物型燃料電池:SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)等)がある。このような燃料電池に加え、改質器と、燃焼器とを備えた燃料電池システムが知られている。燃料電池システムにおいては、改質器が都市ガス等の炭化水素系燃料を改質させて発生させた水素含有ガスを燃料電池に供給し、燃焼器が燃料電池から排気されるアノードオフガスを燃焼処理する。このような燃料電池システムは、安定的かつ長期的に運用できることが望まれている。
【0003】
特許文献1には、燃料電池から排出されるオフガスに含まれる水素を燃焼する際に、運転種別によって使用する触媒を変更することにより、オフガス水素の燃焼に用いられる触媒の消耗を極力抑え、かつ効率のよい熱交換をすることができる燃料電池システムが記載されている。このような特許文献1の発明によれば、安定的かつ長期的に燃料電池システムを運用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−17211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃料電池システムを長期的に運用すると、燃料電池のセル・スタック内に燃料ガスに由来するカーボンが付着することがある。このようなカーボンの付着は、燃料電池の発電効率を低下させ、改質器の生成効率を低下させ、配管を目詰まりさせることがある。
【0006】
そのため、燃料電池システムを安定的かつ長期的に運用するためには、付着したカーボンを除去する必要がある。そして、付着したカーボンを除去するために、蒸気リッチな燃料ガスを供給するリフレッシュ運転を行う燃料電池システムが考えられる。
【0007】
しかしながら、蒸気リッチな燃料ガスを供給することにより、付着したカーボンを除去した場合には、燃料電池から排出されるオフガスに、水素と一酸化炭素とが多く含まれている。これら多くの水素及び一酸化炭素を含むオフガスを燃焼させようとすると、燃焼器の温度が過剰に上昇することにより、燃料電池システム全体の温度が過剰に上昇してしまい、安定的に燃料電池システムを運用することができなかった。
【0008】
本発明は、付着したカーボンを除去する場合にも燃焼器の温度を過剰に上昇させず安定的に運用できる燃料電池システムを提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、燃料電池と、触媒上で燃料と水とを反応させて、前記燃料電池に供給される改質ガスを生成する改質器と、前記改質器で生成された改質ガスが前記燃料電池に向けて流通する改質ガス供給ラインと、前記燃料電池から排出されるオフガスを燃焼する燃焼器と、前記オフガスが前記燃焼器に向けて流通する第一排気ラインと、前記燃焼器から排出される燃焼排ガスを排出する第二排気ラインと、前記改質器で生成された改質ガス又は前記オフガスが前記燃焼器を介さずに排出されるバイパスラインと、を備える、燃料電池システムに関する。
【0010】
また、本発明は、前記バイパスラインは、前記燃料電池及び前記燃焼器を介さずに前記改質器と屋外とを接続し、前記改質器で生成された改質ガスが流通することが好ましい。
【0011】
また、本発明は、前記バイパスラインは、前記燃料電池及び前記燃焼器を介さずに前記改質ガス供給ラインと前記第二排気ラインとを連通し、前記改質器で生成された改質ガスが流通することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記バイパスラインへの前記改質器で生成された改質ガスの流入量を調整する流量調整部と、前記流量調整部による前記改質器で生成された改質ガスの流入量の調整を制御する、制御部と、を更に備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、前記バイパスラインは、前記燃料電池と屋外とを接続し、前記オフガスが流通することが好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記バイパスラインは、前記第一排気ラインと前記第二排気ラインとを連通し、前記オフガスが流通することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、前記バイパスラインへの前記オフガスの流入量を調整する流量調整部と、前記流量調整部による前記オフガスの流入量の調整を制御する、制御部と、を更に備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記燃焼器内の温度を測定する温度センサを更に備え、前記制御部は、前記温度センサが所定の温度以上を計測した場合に、前記燃焼器内の温度が所定の温度以下になるように前記流量調整部の制御をすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、付着したカーボンを除去する場合にも燃焼器の温度を過剰に上昇させず安定的に運用できる燃料電池システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態の燃料電池システム1を示す概略図である。
図2】本発明の第1実施形態のリフレッシュ運転制御の流れを示すフローチャートである。
図3】本発明の第2実施形態の燃料電池システム1Aを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の燃料電池システム1を示す概略図である。図1において、実線の矢印はラインを示し、点線の矢印は制御装置50からの信号を示している。
【0020】
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池11と、改質器12と、燃焼器13と、流量調整部21,22と、ポンプ30と、温度センサ40と、制御装置50とを備える。
【0021】
また、燃料電池システム1は、燃料ガス供給ラインL1と、水供給ラインL2と、改質ガス供給ラインL3と、空気供給ラインL4と、第一排気ラインL5と、第二排気ラインL6と、バイパスラインL7と、を備える。なお、「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
【0022】
[ラインの説明]
燃料ガス供給ラインL1においては、燃料ガス供給ラインL1の一端部は、都市ガス等の燃料ガス(燃料)G1を供給可能な燃料ガス供給部(図示せず)に接続され、燃料ガス供給ラインL1の他端部は改質器12に接続されている。燃料ガスG1は、燃料ガス供給部から燃料ガス供給ラインL1を流通して、改質器12に供給される。
【0023】
水供給ラインL2の一端部は、水貯留部(図示せず)に接続され、水供給ラインL2の他端部は、改質器12に接続されている。水供給ラインL2の途中には、ポンプ30が接続されている。ポンプ30は、改質器12に改質水Wを供給するために、水貯留部からの改質水Wを加圧する。水貯留部内の改質水Wは、ポンプ30の駆動によって、水貯留部から水供給ラインL2を流通して、改質器12へ供給される。ポンプ30は、ポンプ30の駆動力を増減することにより、改質水Wの供給量を調整する。
【0024】
改質ガス供給ラインL3においては、改質ガス供給ラインL3の一端部は改質器12に接続され、改質ガス供給ラインL3の他端部は燃料電池11に接続されている。改質器12において生成される水素を含む改質ガスG2は、改質ガス供給ラインL3を流通して、燃料電池11に供給され、発電に用いられる。
【0025】
空気供給ラインL4においては、空気供給ラインL4の一端部は、酸素を含む空気A1を燃料電池11に供給するための空気供給部としてのブロワ(図示せず)及びフィルタ(図示せず)に接続されている。空気供給ラインL4の他端部は燃料電池11に接続されている。空気A1は、ブロワからフィルタを通過し、空気供給ラインL4を流通して、燃料電池11に供給される。
【0026】
第一排気ラインL5においては、第一排気ラインL5の一端部は、燃料電池11に接続され、第一排気ラインL5の他端部は、燃焼器13に接続されている。また、第一排気ラインL5の途中には、流量調整部21が設けられている。流量調整部21は、燃焼器13への流量を調整するために機能し、例えば、電気的な制御によって開閉するバルブとして構成されていてもよい。オフガスG3は、流量調整部21が開いている場合に、第一排気ラインL5を流通して、燃焼器13に供給される。
【0027】
第二排気ラインL6においては、第二排気ラインL6の一端部は、燃焼器13に接続され、第二排気ラインL6の他端部は、屋外に接続されている。燃焼器13によって燃焼された燃焼排ガスG4は、第二排気ラインL6を流通して屋外に排出される。
【0028】
バイパスラインL7においては、バイパスラインL7の一端部は、燃料電池11に接続され、バイパスラインL7の他端部は、屋外に接続されている。また、バイパスラインL7の途中には、流量調整部22が設けられている。流量調整部22は、バイパスラインL7への流量を調整するために機能し、例えば、電気的な制御によって開閉するバルブとして構成されていてもよい。オフガスG3は、流量調整部22が開いている場合に、バイパスラインL7を流通して、燃焼器13を介さずに屋外に排出される。
【0029】
[各装置の説明]
燃料電池11としては、高温型の固体酸化物形燃料電池(SOFC)が用いられる。燃料電池11は、燃料電池スタック(図示せず)を有している。燃料電池スタックは、複数の発電セル(図示せず)とセパレータ(図示せず)とを交互に積層することで形成される。
【0030】
発電セルは、アノード(燃料極)と、カソード(空気極)と、アノードとカソードとの間に設けられた電解質層と、を有する。アノードは、ニッケル等から形成され、還元性ガスにより還元雰囲気に保たれている。燃料電池11は、改質器12から改質ガス供給ラインL3を介してアノードに供給される改質ガスG2と、空気供給ラインL4からカソードに供給される空気A1中の酸素とを反応させることにより、発電を行なうことができる。燃料電池11による発電時の温度である運転温度は、700℃〜1000℃程度の高温である。燃料電池11によって発電された電気は、パワーコンディショナ(図示せず)に送られ、AC電圧に変換される。
【0031】
燃料電池11は、アノードからのオフガスであるアノードオフガス、及びカソードからのオフガスであるカソードオフガスを含む、オフガスG3を排気する。
【0032】
改質器12は、燃料ガス供給ラインL1から供給された燃料ガスG1及び水供給ラインL2から供給された改質水Wに基づいて、触媒上で、水素を含む改質ガスG2を生成する。この際、燃料ガスG1は、800℃程度にまで加熱されて供給される。改質器12によって生成された水素を含む改質ガスG2は、改質ガス供給ラインL3を介して燃料電池11へ供給される。
【0033】
改質器12は、リフレッシュ運転時に、改質器12に供給される改質水Wの供給量が増加することにより、スチームと炭素との割合(S/C比率)についてスチームの割合が高い改質ガスG2を生成する。
このようなS/C比率の高い改質ガスG2は、スチームが多く含まれているがために、燃料電池11、改質器12及び第一排気ラインL5等の配管に付着したカーボンを、スチームと反応させることにより、除去する。
ここで、リフレッシュ運転は、燃料電池11による発電を休止している状況下で行われる。また、リフレッシュ運転は、燃料電池11、改質器12及び第一排気ラインL5等の配管に付着したカーボンを除去するために、カーボンが付着する所定の期間ごとに、又はカーボンが付着したことが原因と考えられる発電効率が低下した場合に、行われる。
【0034】
燃焼器13は、燃料電池11から排気されるオフガスG3を燃焼処理する。燃焼器13により燃焼されたオフガスG3は、燃焼器13の下流側に接続された第二排気ラインL6を通じて、燃焼排ガスG4として排出される。
【0035】
温度センサ40は、燃焼器13内の温度を計測可能に設置されており、燃焼器13内の温度を推定可能になっている。温度センサ40は、燃焼器13の適正な燃焼温度及び適正外の燃焼温度を含む温度帯を計測可能になっており、例えば、0℃から1400℃までの温度を計測可能になっている。
【0036】
制御装置50は、ポンプ30や流量調整部21,22を制御することを目的としたものであり、各種演算処理を行う制御部51や各種情報を記憶する記憶部に加え、キーボードやタッチパネル等により実現される入力部及びディスプレイによる表示部を備えた汎用パーソナルコンピュータである。
制御装置50は、図1で示すように、ポンプ30、流量調整部21,22及び温度センサ40と有線乃至無線で接続されており、各種信号を入出力することができるようになっている。
具体的に、制御装置50は、温度センサ40から温度情報を入力する。制御装置50の制御部51は、受け付けた温度情報に基づいて、流量調整部21,22及びポンプ30に対して命令信号を出力する。
【0037】
[リフレッシュ運転の制御処理]
続いて、図2を参照して、燃料電池システム1において、制御部51が制御するリフレッシュ運転の制御処理について説明する。図2は、燃料電池システム1において、制御部51が制御するリフレッシュ運転の制御処理の流れを示すフローチャートである。
燃料電池システム1を構成する制御装置50の制御部51は、燃料電池システム1のリフレッシュ運転の開始信号を受け付けることにより処理を開始する。制御部51は、リフレッシュ運転の終了信号を受け付けるまでは、処理を継続する。制御部51は、図示しない割込み処理によって、リフレッシュ運転の終了信号を受け付けて、処理を終了する。
なお、リフレッシュ運転の開始信号は、所定の期間ごとに受け付けてもよい。また、リフレッシュ運転の開始信号は、発電効率が低下した場合にカーボンが付着していると判断されて受け付けてもよい。ここで、所定の期間は、燃料電池システム1においてカーボンが付着すると考えられる期間や発電を休止するまでの期間が設定されていてもよい。
【0038】
制御部51は、リフレッシュ運転の開始信号を受け付けたことに応じて、リフレッシュ運転時以外の運転時よりも増加したポンプ30の駆動力になるように、命令信号をポンプ30に対して出力する(ステップS1)。ポンプ30は、命令信号を受け付けたことに応じて、リフレッシュ運転時の駆動力により、改質水Wを供給する。改質器12は、リフレッシュ運転時以外の運転時よりも改質水Wの供給が増加するため、S/C比率が高くなった(すなわち、スチーム及び水素が多く含まれる)改質ガスG2を生成する。
【0039】
続いて、制御部51は、温度センサ40からの温度情報の入力を受け付けて、燃焼器13の温度が所定の範囲内か否かを確認する(ステップS2)。温度が所定の範囲外の場合(NO)に、制御部51は、流量調整部21,22を調整するためにステップS3に処理を進める。温度が所定の範囲内の場合(YES)に、制御部51は、処理を最初に戻して、処理を継続する。
【0040】
ここで、温度が所定の範囲内とは、燃料電池11や改質器12等の燃料電池システム1内の各装置の運転温度や燃焼器13の種類に応じて設定され、燃料電池システム1が正常に運転できる範囲内の温度である。例えば、燃焼器13にバーナを採用する場合は、1000℃前後の温度帯が設定され、燃焼器13に触媒燃焼を採用する場合は、数百度(300〜700℃)の温度帯が設定される。
【0041】
このように、燃焼器13の温度が所定の範囲内かを確認する目的は、リフレッシュ運転時には、S/C比率の高い改質ガスG2が生成されるために、燃焼源となる水素が多く含有されているため、燃焼器13の温度が高くなることを検出することである。
また、リフレッシュ運転時には、S/C比率の高い改質ガスG2が燃料電池11、改質器12及び第一排気ラインL5等の配管に付着したカーボンを除去して燃焼器13に供給される。すなわち、燃焼源となるカーボンを多く含んだオフガスG3が供給される。そのため、燃焼器13の温度が高くなることを検出することである。
【0042】
続いて、制御部51は、流量調整部21,22に対して、流量調整信号を出力する(ステップS3)。具体的には、制御部51は、流量調整部21に対して、オフガスG3の流量を減少させる(バルブを閉じる)流量調整信号を出力する。制御部51は、流量調整部22に対して、オフガスG3の流量を増加させる(バルブを開く)流量調整信号を出力する。
【0043】
これにより、燃焼器13は、燃焼源となる水素及びカーボンの供給が減少するため、上昇した温度が低下する。
【0044】
本実施形態の燃料電池システム1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態の燃料電池システム1は、燃料電池11と、触媒上で燃料G1と水Wとを反応させて、燃料電池11に供給される改質ガスG2を生成する改質器12と、改質器12で生成された改質ガスG2が燃料電池11に向けて流通する改質ガス供給ラインL3と、燃料電池11から排出されるオフガスG3を燃焼する燃焼器13と、オフガスG3が燃焼器13に向けて流通する第一排気ラインL5と、燃焼器13から排出される燃焼排ガスG4を排出する第二排気ラインL6と、改質器12で生成された改質ガスG2又はオフガスG3が燃焼器13を介さずに排出されるバイパスラインL7と、を備える。
【0045】
このような燃料電池システム1においては、改質器12がスチームを多く含む改質ガスG2を生成して、生成した改質ガスG2により燃料電池11、改質器12及び第一排気ラインL5等の配管に付着したカーボンを除去する場合においても、水素等の燃焼源を多く含む改質ガスG2や、水素及び除去したカーボン等の燃焼源を多く含むオフガスG3が燃焼器13を経由せずに排出されるために、燃焼器13の温度を過剰に上昇させず安定的に運用できる。
【0046】
また、燃料電池システム1においては、バイパスラインL7は、燃料電池11と屋外とを接続し、オフガスG3が流通する。
【0047】
このような燃料電池システム1においては、改質器12がスチームを多く含む改質ガスG2を生成して、生成した改質ガスG2により改質器12、改質ガス供給ラインL3等の配管及び燃料電池11に付着したカーボンを除去し、水素や除去したカーボン等の燃焼源を多く含むオフガスG3が燃焼器13を経由せずに排出されるために、カーボンを除去することができ、かつ燃焼器13の温度を過剰に上昇させず安定的に運用できる。
【0048】
また、燃料電池システム1においては、オフガスG3の流入量を調整する流量調整部21,22と、流量調整部21,22によるオフガスG3の流入量の調整を制御する、制御部51と、を更に備える。
【0049】
このような燃料電池システム1においては、流量調整部21,22と流量調整部21,22を制御する制御部51とを備えるため、リフレッシュ運転が行われると自動的に燃焼器13にオフガスG3を流入されずに屋外に排出されるように流入量を調整することができる。このため、改質器12がスチームを多く含む改質ガスG2を生成して、生成した改質ガスG2により燃料電池11、改質器12及び第一排気ラインL5等の配管に付着したカーボンを除去する場合においても、水素や除去したカーボン等の燃焼源を多く含むオフガスG3が燃焼器13を経由せずに排出され、容易に燃焼器13の温度を過剰に上昇させず安定的に運用できる。
【0050】
また、燃料電池システム1においては、燃焼器13内の温度を測定する温度センサ40を更に備え、制御部51は、温度センサ40が所定の温度以上を計測した場合に、燃焼器13内の温度が所定の温度以下になるように流量調整部21,22の制御をする。
【0051】
このような燃料電池システム1においては、制御部51が温度センサ40に基づいて流量調整の制御を行うため、燃焼器13の温度が上昇し始めると流量調整部21,22を、自動的に燃焼器13にオフガスを流入されずに屋外に排出されるように流入量を調整することができる。このため、改質器12がスチームを多く含む改質ガスG2を生成して、生成した改質ガスG2により燃料電池11、改質器12及び第一排気ラインL5等の配管に付着したカーボンを除去する場合においても、リフレッシュ運転が行われて、水素や除去したカーボン等の燃焼源を燃焼させつつも、燃料電池システム1が不安定になる温度まで上昇したときに燃焼源を含むオフガスG3が燃焼器13を経由せずに排出され、容易に燃焼器13の温度を過剰に上昇させず安定的に運用できる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態における燃料電池システム1Aについて、図3を参照して説明する。図3は、本発明の第2実施形態における燃料電池システム1Aを示す概略図である。
【0053】
ここで、第2実施形態における燃料電池システム1Aは、第1実施形態における燃料電池システム1と比べて、バイパスラインL8及び流量調整部23を備えている点が異なる。前述した第1実施形態と同様な他の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0054】
バイパスラインL8においては、バイパスラインL8の一端部は、改質器12に接続され、バイパスラインL8の他端部は、屋外に接続されている。また、バイパスラインL8の途中には、流量調整部23が設けられている。流量調整部23は、バイパスラインL8への流量を調整するために機能し、例えば、電気的な制御によって開閉するバルブとして構成されていてもよい。改質ガスG2は、流量調整部23が開いている場合に、バイパスラインL8を流通して、燃焼器13を介さずに屋外に排出される。
【0055】
続いて、本実施形態におけるリフレッシュ運転の制御の流れを、第1実施形態における図2を流用して説明する。制御部51は、温度センサ40からの温度情報の入力を受け付けて、燃焼器13の温度が所定の範囲内か否かを確認する(ステップS2)。そして、制御部51は、流量調整部21,22,23に対して、流量調整信号を出力する(ステップS3)。具体的には、制御部51は、流量調整部22,23に対して、改質ガスG2及びオフガスG3の流量を増加させる(バルブを開く)流量調整信号を出力する。制御部51は、流量調整部21に対して、オフガスG3の流量を減少させる(バルブを閉じる)流量調整信号を出力する。
【0056】
第2実施形態の燃料電池システム1Aによれば、例えば、以下の効果が奏される。
第2実施形態の燃料電池システム1Aにおいては、バイパスラインL8は、燃料電池11及び燃焼器13を介さずに改質器12と屋外とを接続し、改質器12で生成された改質ガスG2が流通する。
【0057】
このような燃料電池システム1Aにおいては、改質器12が生成した改質ガスG2が燃料電池11を介さずに排出されるため、カーボンが含まれず屋外に排出されるガスが環境に与える影響を少なくできるとともに、スチームを多く含む改質ガスG2を生成して、生成した改質ガスG2により燃料電池11、改質器12及び第一排気ラインL5等の配管に付着したカーボンを除去する場合においても、水素等の燃焼源を多く含む改質ガスG2が燃焼器13を経由せずに排出されるために、燃焼器13の温度を過剰に上昇させず安定的に運用できる。
【0058】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0059】
例えば、上述の実施形態においては、バイパスラインL7について、バイパスラインL7の一端部は、燃料電池11に接続され、バイパスラインL7の他端部は、屋外に接続されていたが、これに限られず、バイパスラインL7の一端部は、第一排気ラインL5に接続されていてもよい。更に、バイパスラインL7の他端部は、第二排気ラインL6に接続されていてもよい。
【0060】
また、上述の実施形態においては、バイパスラインL8について、バイパスラインL8の一端部は、改質器12に接続され、バイパスラインL8の他端部は、屋外に接続されていたが、これに限られず、バイパスラインL8の一端部は、改質ガス供給ラインL3に接続されていてもよい。また、バイパスラインL8の他端部は、第二排気ラインL6に接続されていてもよい。
【0061】
また、上述の実施形態においては、燃焼排ガスG4は第二排気ラインL6を流通して屋外に排出され、オフガスG3はバイパスラインL7を流通して燃焼器13を介さずに屋外に排出されていたが、燃焼排ガスG4及びオフガスG3は、燃焼限界以下まで空気によって希釈されてから屋外に排出されることが好ましい。例えば、空気供給ラインL4と第二排気ラインL6とを連通させて燃焼排ガスG4を空気A1によって希釈させることにより、燃焼排ガスG4は燃焼限界以下まで希釈されて屋外に排出されてよい。また、例えば、空気供給ラインL4とバイパスラインL7とを連通させてオフガスG3を空気A1によって希釈させることにより、オフガスG3は燃焼限界以下まで希釈されて屋外に排出されてよい。
【符号の説明】
【0062】
1,1A 燃料電池システム
11 燃料電池
12 改質器
13 燃焼器
21,22,23 流量調整部
40 温度センサ
51 制御部
L5 第一排気ライン
L6 第二排気ライン
L7,L8 バイパスライン
G1 燃料ガス
G2 改質ガス
G3 オフガス
W 改質水(水)
図1
図2
図3