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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-18558(P2015-18558A)
(43)【公開日】2015年1月29日
(54)【発明の名称】単一サイクルの調停
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/362 20060101AFI20141226BHJP
【FI】
   G06F13/362 510E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-143456(P2014-143456)
(22)【出願日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】13/940,915
(32)【優先日】2013年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】513031706
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スプレート ジェロカ
(72)【発明者】
【氏名】サンダンマレー ニルミニ アベイラテ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ジョージ ドレスリンスキー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】レートゥパルナ ダス
(72)【発明者】
【氏名】トレヴァー ナイジェル マッジ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド テオドア ブラーウ
【テーマコード(参考)】
5B061
【Fターム(参考)】
5B061BA01
5B061BB09
5B061BB16
5B061BC06
5B061BC08
(57)【要約】
【課題】集積回路2内の相互接続部6は、信号出力に接続するための複数の信号入力の1つを選択するために調停を提供する。
【解決手段】適用された調停は、第1の調停パラメータ値をタイムスタンプ値の形で使用し、2つ以上の信号入力がこのようなタイムスタンプ値を共有する場合は、第2の調停パラメータを最長時間未許可値の形で使用する。信号入力が信号出力にアクセスを許可されたときに、それぞれの信号入力に関連付けられたタイムスタンプ値に適用された時間増分は、その信号入力に関連付けられるサービスの質を反映するために選択される。タイムスタンプ値の間で比較がなされるときは、最低タイムスタンプ値に優先権が与えられる。大きい時間増分値は、低い優先度(サービスの質)に対応する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個の信号入力の選択された1つと信号出力との間にデータのための通信経路を提供するための相互接続回路であって、Nは2以上の整数であり、前記相互接続回路は、
前記N個の信号入力の1つを選択された信号入力として選択信号に従って選択し、前記選択された信号入力を所与のデータを送信する前記信号出力に接続するように構成されたマルチプレクサ回路と、
送信するデータをそれぞれが有する複数の前記N個の信号入力間の単一サイクル内で調停を実行するように、前記選択信号を発生するように構成された調停回路と
を含み、
前記調停は、
(i)前記複数の前記N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第1の調停パラメータのそれぞれの値と、
(ii)2つ以上の前記複数の前記N個の信号入力が、前記第1の調停パラメータの共通値を有する際に、前記2つ以上の複数の前記N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第2の調停パラメータであって、前記第2の調停パラメータは、前記2つ以上の前記複数の前記N個の信号入力のそれぞれに対して異なる値を有する、第2の調停パラメータと
に従って実行される、相互接続回路。
【請求項2】
前記N個の信号入力は、それぞれのデータソース回路に結合され、前記信号出力はデータ宛先回路に結合され、前記相互接続回路、前記データソース回路および前記データ宛先回路のすべては、単一集積回路上に形成される、請求項1に記載の相互接続回路。
【請求項3】
M個の信号出力を備え、Mは1以上の整数である、請求項1に記載の相互接続回路。
【請求項4】
M=Nである、請求項3に記載の相互接続回路。
【請求項5】
第1の調停パラメータは、対応する信号入力から送信されたデータに関連付けられたサービスレベルの質を表す値を有する、請求項1に記載の相互接続回路。
【請求項6】
前記第1の調停パラメータは、タイムスタンプ値であり、前記選択された信号入力に対する前記タイムスタンプ値は、前記選択された信号入力がデータを送信する際に更新される、請求項5に記載の相互接続回路。
【請求項7】
前記選択された入力に対する前記タイムスタンプ値は、時間増分値を前記選択された入力に対する前記タイムスタンプ値に追加することによって更新され、前記時間増分値は、前記選択された信号入力に関連付けられたサービスレベルの質に従って変化する、請求項6に記載の相互接続回路。
【請求項8】
前記調停回路は、送信するデータを有する複数の信号入力のタイムスタンプ値を比較し、送信するデータを有する1つ以上の他の前記複数の信号入力より高いタイムスタンプ値を有する、送信するデータを有する前記複数の入力のいずれかを前記選択された信号入力として選択から除去するように構成される、請求項7に記載の相互接続回路。
【請求項9】
所与の信号入力増分に関連付けられた前記時間増分値が増加するにつれて、前記N個の信号入力間の前記所与の信号入力により、前記信号出力にアクセスするための相対優先度が低減する、請求項8に記載の相互接続回路。
【請求項10】
前記調停回路は、前記N個の信号入力に関連付けられた少なくとも1つの前記タイムスタンプ値が閾値に達した際に、すべての前記タイムスタンプ値を2で除するように構成される、請求項6に記載の相互接続回路。
【請求項11】
前記第2の調停パラメータは、前記N個の信号入力のそれぞれに割り当てられて、前記N個の信号入力が、前記選択された信号入力として以前に選択された相対的な順番を表す、請求項1に記載の相互接続回路。
【請求項12】
前記第1の調停パラメータおよび前記第2の調停パラメータは、組み合わせた調停パラメータを形成するために連結され、前記第2の調停パラメータは、前記組み合わせた調停パラメータの最下位ビット位置を制御する、請求項1に記載の相互接続回路。
【請求項13】
前記調停回路は、それぞれの温度計コード化された調停パラメータを生成するために、前記N個の信号入力のそれぞれの前記組み合わせた調停パラメータを温度計コード化するように構成された、温度計コード化回路を含む、請求項12に記載の相互接続回路。
【請求項14】
前記調停回路は、前記N個の信号入力のどれが前記選択された信号入力として選択されるかを識別するために、前記温度計コード化された調停パラメータを比較するように構成された比較回路を含む、請求項13に記載の相互接続回路。
【請求項15】
前記比較回路は、それぞれが所定の信号レベルにプリチャージされ、前記温度計コード化された調停パラメータに従って選択的に放電される、複数の信号線を備える、請求項14に記載の相互接続回路。
【請求項16】
前記複数の信号線は、信号線の2群に分割され、それぞれは、前記第1の調停パラメータの異なる値に関連付けられ、Xは前記第1の調停パラメータのビット長であり、N個の信号入力のいずれかが、所与の群の第1の調停パラメータより高い優先度を示す第1の調停パラメータを有する場合は、前記比較回路は、前記所与の群の信号線内のすべての信号線を放電するように構成される、請求項15に記載の相互接続回路。
【請求項17】
信号線の各群は、前記第2の調停パラメータの異なる値に対応する、信号線のそれぞれの群内に異なる信号線をもつN個の信号線を含み、前記比較回路は、閾値群内の単一の信号線が充電されたままであり、それによって前記N個の信号入力のどれが前記選択された信号入力として選択されるべきかを識別するように、前記N個の信号入力に関連付けられた前記第2の調停パラメータのそれぞれの独自の値に従って、より高い優先度の第1の調停パラメータに関連付けられた前記閾値群内の前記異なる信号線を放電するように構成される、請求項16に記載の相互接続回路。
【請求項18】
前記信号線は、前記データを通信するためにも使用される、請求項15に記載の相互接続回路。
【請求項19】
N個の信号入力の選択された1つと信号出力との間にデータのための通信経路を提供するための相互接続回路であって、Nは2以上の整数であり、前記相互接続回路は、
前記N個の信号入力の1つを選択された信号入力として選択信号に従って選択し、前記選択された信号入力を所与のデータを送信する前記信号出力に接続するための、マルチプレクサ手段と、
送信するデータをそれぞれが有する複数の前記N個の信号入力間の単一サイクル内で調停を実行するように、前記選択信号を発生するための調停手段と
を含み、
前記調停は、
(i)前記N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第1の調停パラメータのそれぞれの値と、
(ii)2つ以上の前記N個の信号入力が、前記第1の調停パラメータの共通値を有する際に、前記2つ以上の前記N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第2の調停パラメータであって、前記第2の調停パラメータは、前記2つ以上の前記N個の信号入力のそれぞれに対して異なる値を有する、第2の調停パラメータと
に従って実行される、相互接続回路。
【請求項20】
N個の信号入力の選択された1つと信号出力との間にデータのための通信経路を提供する方法であって、Nは2以上の整数であり、前記方法は、
前記N個の信号入力の1つを選択された信号入力として選択信号に従って選択し、前記選択された信号入力を所与のデータを送信する前記信号出力に接続するステップと、
送信するデータをそれぞれが有する複数の前記N個の信号入力間の単一サイクル内で調停を実行するように、前記選択信号を発生するステップと
を含み、
前記調停は、
(i)前記複数の前記N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第1の調停パラメータのそれぞれの値と、
(ii)2つ以上の前記複数の前記N個の信号入力が、前記第1の調停パラメータの共通値を有する際に、前記2つ以上の前記N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第2の調停パラメータであって、前記第2の調停パラメータは、前記2つ以上の前記N個の信号入力のそれぞれに対して異なる値を有する、第2の調停パラメータと
に従って実行される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理システムの分野に関する。より詳細には、本発明は、調停ポリシーを適用することによって、複数の信号入力の選択された1つと信号出力との間に通信を提供するための相互接続回路の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の信号入力の選択された1つと信号出力との間にデータのための通信経路を提供するために、相互接続回路を提供することは公知である。このようなマルチプレクサ回路は、いくつかの信号入力が信号出力に確実にアクセスする優先度を与えられるように、調停ポリシーを適用してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような相互接続回路内の課題は、調停に取られる時間を低減する(それによって、調停に取られるサイクル数を低減する、またはより高いクロック周波数の使用が可能になる)一方で、例えば2つ以上のパラメータが調停を制御する場合に、信号入力間の公平を確実にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様から見ると、本発明は、N個の信号入力の選択された1つと信号出力との間にデータのための通信経路を提供するために、相互接続回路を提供し(但し、Nは2以上の整数である)、該相互接続回路は、
該N個の信号入力の1つを選択された信号入力として選択信号に従って選択し、該選択された信号入力を所与のデータを送信する該信号出力に接続するように構成されたマルチプレクサ回路と、
送信するデータをそれぞれが有する複数の該N個の信号入力間の単一サイクル内で調停を実行するように、該選択信号を発生するように構成された調停回路とを含み、
該調停は、
(i)該複数の該N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第1の調停パラメータのそれぞれの値と、
(ii)2つ以上の該複数の該N個の信号入力が、該第1の調停パラメータの共通値を有する際に、該2つ以上の複数の該N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第2の調停パラメータであって、該第2の調停パラメータは、該2つ以上の該複数の該N個の信号入力のそれぞれに対して異なる値を有する、第2の調停パラメータとに従って実行される。
【0005】
この技法は、第1の調停パラメータおよび第2の調停パラメータに基づいて調停を実行する。2つ以上の信号入力が、第1の調停パラメータに対する共通値を有するときは、次いで第2の調停パラメータを使用して、2つ以上の信号入力がそれらの第1の調停パラメータに結びつく、2つ以上の信号入力の少なくともそれぞれに対して異なる値を有するように、第2の調停パラメータが配置されるので、そうでなければ同じ優先順位を有する信号入力間を解決する。一部の実施形態では、第2の調停パラメータは、第1の調停パラメータといかなる結びつきが生じるかどうかに関わらず、それぞれの信号入力に対して独自の値を有するように配置されてもよい。
【0006】
複数の信号入力は、それぞれのデータソース回路に接続されてもよく、信号出力は、データ宛先回路に結合されてもよい。データソース回路および宛先回路は、単一集積回路上の相互接続回路と共に形成されてもよい。集積回路内のイントラ回路通信は、集積回路がそれらの設計の精度、および集積回路内に提供された異なる機能ブロック(例えば、システムオンチップ集積回路内)の数が増加するので、重要な処理ボトルネックである。
【0007】
この技法は、単一信号出力のみが存在する状況に使用されてもよいことが理解されるが、この技法は、複数の信号出力が存在する実施形態に良好に適し、信号出力のそれぞれへのアクセスは、その独自の調停優先度(その独自の調停優先度が異なる信号出力間で同じであろうとなかろうと)に従って個別に調停される。入力数は、対称配置を提供する出力数と同じであってもよいが、入力数が出力数と異なる場合に、他の配置が可能である。
【0008】
第1の調停パラメータは、対応する入力から送信されたデータに関連付けられた、サービスレベルの質を表す値を有するように配置されてもよい。このような方法で、第1の調停パラメータを使用する調停は、それぞれの信号入力に関連付けられたサービスレベルの所望の質に一致する手法で、信号出力にアクセスを提供するように配置されてもよい。
【0009】
様々な異なる形の第1の調停パラメータが可能であり、例えば、所与の入力を一定期間中に送信できたデータのパケット数に基づいて、第1の調停パラメータを形成することが可能であるはずである。サービスレベルの質を表す一方で、異なる信号入力間で信号出力へのアクセスを適正に割り当てる調停を提供するために使用され得る、第1の調停パラメータの1つの形は、第1の調停パラメータがタイムスタンプ値であり、選択された信号入力に対するタイムスタンプ値は、その選択された信号入力がデータを送信するときに更新されるものである。各信号入力がデータを送信するときに、タイムスタンプを各信号入力に関連付けることは、複数の信号入力間で信号出力へのアクセスを適正に分割するのに役立つ方法として使用されてもよい。タイムスタンプは、データが送信されたとき、または該当する信号入力が次にデータを送信できると予測されるときを、信号出力に関連付けられた帯域幅のその適正割当に従って示す。
【0010】
選択された信号入力に関連付けられたサービスレベルの質に従って変化する、時間増分値によりタイムスタンプ値を更新することは、異なる信号入力間で信号出力の利用可能な帯域幅を分割する方法である。増分したタイムスタンプ値は、所与の信号入力が次に信号出力にアクセスするとかなり予測できるときに表すことができる。高い優先度の信号入力は、信号出力にアクセスできるために比較的迅速に再認定するように、適用された小さい時間増分を有するはずである。反対に、低い優先度の信号入力は、比較的長期間が過ぎてから信号出力へのアクセスが認定されるように、適用された比較的大きい時間増分を有することになる。信号出力へのアクセスに対する競合が存在しないときは、送信するデータを有する信号入力のいずれかが、信号出力の関連付けられたタイムスタンプ値に関係なく、信号出力へのアクセスを許可されてもよい。
【0011】
調停回路は、送信するデータを有し、信号出力へのアクセスに競合する信号入力に関連付けられたタイムスタンプ値を比較するように構成されてもよい。調停回路は、送信するデータを有する1つまたは複数の他の複数の信号入力より高いタイムスタンプ値を有する、送信するデータを有する複数の入力のいずれかを、選択された信号入力として選択の可能性から除去することができる。したがって、単一の信号入力がより低いタイムスタンプ値を有する場合は、すべてのその他の信号入力は除去されることになる。タイムスタンプはアクセスの履歴を反映する。低いタイムスタンプ値は、関連付けられた信号入力が、その他の信号入力に対して、信号出力へのアクセスの信号入力の公平な共有を受領していないことを示す。2つ以上の信号入力がより低いタイムスタンプ値を共有する場合、すべての他の残りの信号入力は除去されることになる。
【0012】
タイムスタンプ値の保管および操作ならびにタイムスタンプ値の最終的なオーバーフローに関連付けられたサイズ制限に対処するために、調停回路は、信号入力の1つに関連付けられた少なくとも1つのタイムスタンプ値が閾値に達したときに、すべてのタイムスタンプ値を2で除する(1ビット位置だけ右シフトされる)ように構成されてもよい。このような手法は、記憶されるタイムスタンプ値間の識別において一部の解決策を失うが、失ったレゾリューションのレベルを超えるタイムスタンプ値の粗いレベルの相対的な順番が維持される。
【0013】
信号入力のそれぞれに関連付けられた第2の調停パラメータは、第2の調停パラメータ値が、共通の第1の調停パラメータ値を共有し得る、少なくともそれらの信号入力によって異なる、様々な異なる形を有することができる。公平性を提供し、どの信号入力を選択するべきかを決定する解決策を保証する第2の調停パラメータのそのような1つの形は、第2の調停パラメータが、信号入力が選択された信号入力として役立つように以前に選択された相対的な順番を表すものである。例えば、第2の調停パラメータは、最高の優先度の第2の調停パラメータを有する信号出力にアクセスを以前許可されて以来、最も長い期間を有する信号をもつ、最長時間未許可(LRG)のパラメータの形で相対的な順番を表してもよい。また第2の調停パラメータの他の形を使用してもよく、例えば、第2の調停パラメータが、静的優先度、ラウンドロビンアルゴリズムなどに基づいて割り当てられてもよい。
【0014】
第1の調停パラメータおよび第2の調停パラメータは、少なくとも論理的に組み合わせた調停パラメータを形成するために連結されてもよく、第2の調停パラメータは組み合わせた調停パラメータの最下位ビット位置を制御する。2つの調停パラメータをこの方法で連結することにより、それらの比較を単純化し加速する一方で、それらの相対的重要性、すなわち、それによって2つの調停パラメータが特定の信号入力の選択を選択された信号入力として制御する作用をする階層を維持する。
【0015】
組み合わせた調停パラメータの比較は、調停回路が、論理的に組み合わせた調停パラメータを温度計コード化(thermometer coding)して温度計コード化された調停パラメータを生成する働きをする、温度計コード化回路を含む際に加速されてもよい。温度計コード化された調停パラメータは、最高の優先度のこのような温度計コード化された調停パラメータを単一サイクル内で同定し得る手法で、互いに並列比較するのに非常に適している。組み合わせた調停パラメータの異なる部分は、実際には異なる構造内に記憶されてもよいが、すべての温度計コード化を提供するために共に作用する。
【0016】
温度計コード化された調停パラメータ間の比較を実行するために使用される比較回路は、複数の信号線を備えてもよく、それぞれはこれらの信号線で決定された信号レベルにプリチャージされ、次いでそれぞれは温度計コード化された調停パラメータに従って選択的に放電される。
【0017】
放電するように選択された複数の信号線は、なされる選択の間にN個の信号入力が存在する場合は、それぞれが第1の調停パラメータの異なる値に関連付けられた信号線の2群であるように、群に分割されてもよい(但し、Xは第1の調停パラメータのビット長であり、その際これは温度計コード化されている)。比較回路は、N個の信号入力のいずれかが、その所与の群に関連付けられた第1の調停パラメータより高い優先度を示す、第1の調停パラメータを有する場合は、所与の群の信号線内のすべての信号線を放電するように構成されてもよい。したがって、より高い優先度の信号入力は、実行することが望まれる優先順位の比較を表す手法で、より低い優先度の信号入力に関連付けられた信号線を放電することになる。
【0018】
信号線の各群は、第2の調停パラメータの異なるそれぞれの独自の値に対応する、信号線のそれぞれの群内に異なる信号線をもつN個の信号線を含んでもよい。比較回路は、N個の信号入力に関連付けられた第2の調停パラメータに従って、閾値群、すなわち、最高の優先度の第1の調停パラメータに関連付けられた群内の異なる信号線を放電するように構成されてもよく、その結果、閾値群内の単一の信号線は充電されたままであり、それによってN個の信号入力のどれが選択された信号出力として選択されるべきかを識別する。したがって、第1の調停パラメータは、総じて第1の調停パラメータのより低い優先度値に対応する、群の放電を制御するようにみなされてもよく、2つ以上の信号が第1の調停パラメータの値を共有する場合、単一の信号入力がその第2の調停パラメータに従って選択され得るように、閾値群内の放電は、第2の調停パラメータに従って実行される。
【0019】
上述の調停を提供するために使用される信号線は、信号入力と調停が一旦、解決された信号出力との間でデータ通信もするために好都合に再使用されてもよい。
【0020】
別の態様から見ると、本発明は、N個の信号入力の選択された1つと信号出力との間にデータのための通信経路を提供するために、相互接続回路を提供し(但し、Nは2以上の整数である)、該相互接続回路は、
該N個の信号入力の1つを選択された信号入力として選択信号に従って選択し、該選択された信号入力を所与のデータを送信する該信号出力に接続するためのマルチプレクサ手段と、
送信するデータをそれぞれが有する複数の該N個の信号入力間の単一サイクル内で調停を実行するように、該選択信号を発生するための調停手段とを含み、
該調停は、
(i)該複数の該N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第1の調停パラメータのそれぞれの値と、
(ii)2つ以上の該複数の該N個の信号入力が、該第1の調停パラメータの共通値を有する際に、該2つ以上の複数の該N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第2の調停パラメータであって、該第2の調停パラメータは、該2つ以上の該複数の該N個の信号入力のそれぞれに対して異なる値を有する、第2の調停パラメータとに従って実行される。
【0021】
別の態様から見ると、本発明は、N個の信号入力の選択された1つと信号出力との間にデータのための通信経路を提供するための方法を提供し(但し、Nは2以上の整数である)、該方法は、
該N個の信号入力の1つを選択された信号入力として選択信号に従って選択し、該選択された信号入力を所与のデータを送信する該信号出力に接続するステップと、
送信するデータをそれぞれが有する複数の該N個の信号入力の間の単一サイクルにおいて調停を実行するように、該選択信号を発生するステップとを含み、
該調停は、
(i)該複数の該N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第1の調停パラメータのそれぞれの値と、
(ii)2つ以上の該複数の該N個の信号入力が、該第1の調停パラメータの共通値を有する際に、該2つ以上の複数の該N個の信号入力のそれぞれに関連付けられた第2の調停パラメータであって、該第2の調停パラメータは、該2つ以上の該複数の該N個の信号入力のそれぞれに対して異なる値を有する、第2の調停パラメータとに従って実行される。
【0022】
本発明の前述および他の目的、特徴、ならびに利点は、添付の図面とともに読んで、以下に詳細に記載されている例示的実施形態から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】複数のデータソース回路を複数のデータ宛先回路に接続する、スウィズルスイッチ(swizzle switch)相互接続部を含む集積回路を概略的に示す図である。
図2】組み合わせた調停パラメータを形成するために連結され、次いで組み合わせた調停パラメータ自体が温度計コード化されて、温度計コード化された調停パラメータを形成する、第1の調停パラメータおよび第2の調停パラメータを概略的に示す図である。
図3】送信するデータの選択および調停値の更新を概略的に示す流れ図である。
図4】調停を概略的に示す流れ図である。
図5】プリチャージされ、次いで第1の調停パラメータおよび第2の調停パラメータに従って選択的に放電された、信号線の形で提供された調停回路を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、相互接続回路6を介して複数のデータ宛先回路8に接続された、複数のデータソース回路4を含む集積回路2を概略的に示す。相互接続回路6の形は、同時継続の米国特許出願第13/438,920号に記載されたようなスウィズルスイッチ相互接続の形であってもよく、この内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
スウィズルスイッチ相互接続6は、データソース回路4のいずれかをデータ宛先回路8のいずれかに接続する能力を提供する。この例では、4つのデータソース回路4および同数のデータ宛先回路8が存在している。しかし、これらの数は、異なることが可能である。また、データソース回路4およびデータ宛先回路8が別の実体として示されているが、実際にはこれらの1つまたは複数が、共通の実体であってもよく、例えば、相互接続回路6に接続された汎用プロセッサが、データソースおよびデータ宛先の両方としての役目を果たしてもよい。
【0026】
上記の同時継続出願に記載されているように、相互接続回路6は、プリチャージされ、次いでソースと宛先との間の調停タスクを実行するために選択的に放電され、ならびに、後続のサイクルにおいて、ソースと宛先との間でデータ値を転送してもよい、信号線を提供される。データソース回路4のいずれかは、データ宛先回路8のいずれかに接続されでもよく、したがって、図1に示された交点にマルチプレクサ回路が提供される。図2に示されたマルチプレクサ回路の列は、データ宛先回路8に該列の下部で接続するために、N個のデータソース回路4の1つを選択する役目を果たす。調停回路は、相互接続回路6内に存在し、プリチャージされ、次いで選択的に放電される信号線を提供する層の下の層内に提供される。したがって、本明細書における図は、調停回路と線(信号線)を並んで示しているが、実際には調停回路は、線を提供する金属層の下の集積回路の層内にあり、そのため、いかなる追加の回路領域も費やさないことになる。この調停回路については、後に記載する。
【0027】
図2は、pビットの第1の調停パラメータ10およびqビットの第2の調停パラメータ12を概略的に示す。第1の調停パラメータ10は、信号出力のそれぞれに対して実行される調停に関して維持され更新された、仮想クロック値に従って割り当てられたタイムスタンプ値の形を取ってもよく、仮想クロック値はサンプリングされ、データ値を信号出力に送信できる信号入力によってトリガーされる該信号入力のそれぞれに関連付けられる。第2の調停パラメータ12は、信号入力のどれが信号出力へのアクセスを最も長時間許可されていないかを表す値の形であってもよい。したがって、信号入力の1つがアクセスを許可される度に、その他の信号入力に関連付けられた最長時間未許可の値のすべてが、更新されて新しい相対的な順番を反映する。最長時間未許可の状態を表すこのような第2の調停パラメータの使用により、信号入力のそれぞれが異なる第2の調停パラメータ値を有する、第2の調停パラメータが提供される。これにより、第2の調停パラメータ値は、信号入力が第1の調停パラメータ値を共有する際に、該信号入力間の調停を解決するために使用することができることが確保される。
【0028】
図2に示したように、第1の調停パラメータ10および第2の調停パラメータ12は、組み合わせた調停パラメータ14を形成するために連結されてもよく、第2の調停パラメータは、この組み合わせた調停パラメータ14の最下位部分を形成する。第1の調停パラメータ10と第2の調停パラメータ12をこの方法で組み合わせることにより、第1の調停パラメータ10のより高い電流値に対応するより高次のビット位置が、2つ以上の異なる信号入力に共通する際に、第2の調停パラメータ12が、優先順位間の区別のみに有効になることを確保する。
【0029】
調停パラメータ値間の比較を加速するために、組み合わせた調停パラメータ値14を温度計コード化して、2p+qを有する温度計コード化された調停パラメータ16を生成する。このような温度計コード化された調停パラメータ値は、どの信号入力が信号出力にアクセスされるべきかを迅速に決定できる、単一サイクル内で並列比較するのにより良好に適している。
【0030】
図3は、データの送信および調停値の更新に適用された制御を概略的に示す流れ図である。ステップ18では、処理は、少なくとも1つの信号入力が信号出力に通信されるデータ値を有し、スウィズルスイッチ相互接続によって提供されたデータチャネルが空く(利用可能である)まで待機する。ステップ20は、いつでも送信できるデータをもつ2つ以上の信号入力があるかどうかを判定する。いつでも送信できるデータをもつ2つ以上の信号入力がある場合は、ステップ22は、これらの信号入力間の調停(以下に記載する)を実行して、単一の信号入力をそのデータを送信することを許可されるべき選択された信号入力として選択する。ステップ24では、信号入力を選択し、信号入力がそのデータ値を信号データ出力に通過させることを許可する(またはこれが特定の実施形態によって許可された場合は、データ値をバーストする)ために、図1に示されたマルチプレクサ回路を制御する選択された信号入力のために選択信号を発生する。データのこの転送はステップ26で実行される。ステップ28では、選択された信号入力のタイムスタンプが、選択された信号入力に関連付けられたサービスレベルの質を表す時間増分によって増加される。サービスレベルの質が高い信号入力(信号入力に割り当てられる高レベルの帯域幅)は、比較的小さいタイムスタンプ増分に関連付けられる。逆に、優先度が比較的低くサービスレベルの質が低い(比較的低い帯域幅の割当てに対応する)信号入力は、信号入力に適用された比較的高いタイムスタンプ増分を有する。信号入力に関連付けられたタイムスタンプ値を比較すると、最低タイムスタンプ値に優先権が与えられる。信号入力に関連付けられたタイムスタンプ値は、信号出力にアクセスするための信号入力間に競合が存在する際に、該信号が、その優先順位および帯域幅の割当を与えられた信号出力にアクセスされるとかなり予想できるときを表すとみなすことができる。競合が存在しない場合は、送信するデータのあらゆる信号入力が該データを送信し、そのタイムスタンプ値を更新できる。2つ以上の信号入力が送信するデータを有するときは、それらの信号入力のタイムスタンプ値は、第1の調停パラメータとしての役目を果たし、それらの信号入力のどれを信号出力にアクセスするべきかを決定するために比較されてもよい。
【0031】
ステップ28において適用されたタイムスタンプの増分に続いて、処理はステップ30に進み、信号入力のそれぞれに関連付けられた最長時間未許可値を更新して、ステップ24で選択信号によって選択された信号入力に、信号出力へのアクセスの許可を反映する。最長時間未許可値のすべては、最長時間未許可値が信号出力にアクセスを許可された新しい相対的順序を反映するために更新されることになる。最長時間未許可値は、第2の調停パラメータとしての役目を果たし、すべてが異なる。
【0032】
図4は、ステップ22で実行される調停を概略的に示す流れ図である。ステップ32は、調停が求められるまで待機する。次いでステップ34は、タイムスタンプ値を比較する。ステップ36は、最低タイムスタンプ値をもつ信号入力が2つ以上存在するかどうかを判定する。ステップ36において、最低タイムスタンプ値をもつ信号入力が1つのみ存在すると判定する場合、この信号入力がステップ38で選択され、処理はステップ32に戻る。ステップ36において、最低タイムスタンプ値をもつ信号入力が2つ以上存在すると判定する場合、処理はステップ40に進み、最低タイムスタンプ値をもつそれらの信号入力に関連付けられた最長時間未許可値を比較する。したがって、第2の調停パラメータは、信号入力が第1の調停パラメータ(最低タイムスタンプ値)に対して共通値を共有する際に効力を発揮する。ステップ42は、信号出力に通信するためにこの信号サイクルの評価中に、最高優先度の最長時間未許可値をもつ信号入力を選択する。最高優先度をもつ最長時間未許可値は、該当する信号入力が最も長時間信号出力にアクセスを許可されなかったことを示すものである。
【0033】
図5は、図1に示した相互接続回路6の信号出力の1つへのアクセスを制御するための調停回路44を概略的に示す。仮想クロック・カウント値の最上位ビットは、第1の調停パラメータとしての役目を果たし、温度計コード化回路46により温度計コード化されて、相互接続部6を通過する信号線48のそれぞれの群に関連付けられた、1ビット位置を有する温度計コード値を生成する。センス増幅器イネーブルラッチ50は、図5に示した調停回路44の一部によって駆動され、第1の調停値および第2の調停値が信号入力0に関連付けられるときに、アクティブが信号出力にアクセスできる信号入力0を選択する働きをする際に、第1の調停値および第2の調停値は(サービスのそれらの質に関連付けられた)最高優先度を有するので、調停を勝ち取る。温度計コード化回路46によって生成された温度計コード化調停値は、その時点で信号入力0に関連付けられた調停パラメータである。この調停パラメータ値の第1の部分は、図5においてビット(0)〜(15)を含むように示され、これらのビットのそれぞれは、群内の信号線48のいずれも放電しない、群内のすべての信号線48を放電する、または最長時間未許可値を表す温度計コード化された最下位部によって与えられ、レジスタ54内に記憶された第2の調停パラメータに従って信号線の一部を放電する、マルチプレクサ装置52の切り替えを制御する。
【0034】
図5に示したように、タイムスタンプ値が飽和状態に近いレベルに達した時、または少なくとも1つのタイムスタンプ値が飽和状態に近いときは、そのビット長の半分だけの右シフトは、温度計コード化回路46、レジスタ60、および仮想クロック・カウンタの最下位ビット内にも記憶された温度計コード化調停値に行われる。比較回路は、温度計コード化調停値に従って、プリチャージされた信号線を選択的に放電するゲート56によって提供される。図5は、単一信号入力に関する信号線48の選択的放電を示すが、実際には同じ信号線48の選択された放電がその他の信号入力に関しても実行され、その他の信号入力はそれらの独自の温度計コード化調停値を有することになることが理解されよう。全般的効果は、所与の信号入力に対する比較回路56が、より低い優先度の調停値に関連付けられた信号線の群を放電し、より高い優先度の調停値に関連付けられた信号線48の群を放電しないことである。2つの信号入力が、第1の調停値パラメータを共有する調停値を有する場合は、放電される信号線の群と放電されない信号線の群との間の境界は、それらの2つの信号入力に対して同じになる。したがって、温度計コード化調停値内の「1」ビットと「0」ビットとの間の境界で、信号線の群内のマルチプレクサ装置52によって実行された信号線の部分放電は、それらの個別の最長時間未許可値(第2の調停パラメータ値)により、それらの線を選択的に放電し、したがって、最高優先度の最長時間未許可値をもつ信号入力が識別されるように、これらの最長時間未許可値間で比較がなされる。マルチプレクサ装置58は、レジスタ60内に記憶された2進形式で第1の調停パラメータによって制御され、その信号入力があらゆる調停を勝ち取ったと判定されるかどうかを、その信号入力に対して所与の第2の調停パラメータ値で示す信号線の群の1つを選択する役目を果たす。示された信号入力に対するマルチプレクサ装置58の入力は、信号線0、4、8、…60に接続される。次の信号入力に対するマルチプレクサ装置58への入力、すなわち信号入力1は、信号線1、5、9、…61に対応し、信号線1、5、9、…61から取られる。
【0035】
全般的なレベルにおいて、調停回路44は、タイムスタンプ値(タイムスタンプ値は、サービスレベルの関連した質に従って許可されると時間増分を受ける)に対応する第1の調停パラメータ値、ならびに第1の調停パラメータ値を比較する同じサイクルにおいて、タイブレーク解決法のために提供される第2の調停パラメータ値(LRG値)の両方を使用して、単一サイクルの調停を提供する。信号線48のプリチャージおよび選択的放電は、単一サイクル内の複数のこのような調停パラメータ値の並列比較をサポートする機構を提供する。
【0036】
本明細書において、添付の図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれらの正確な実施形態に限定されず、様々な変更および修正が、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者によってその中にもたらされ得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】
2015018558000001.pdf