【課題】個々の基板の形成にコストと時間を要すること無く、光信号の送受信を行う基板相互の位置合わせを簡易に行うことができる基板間の光インターコネクションを実現すること。
【解決手段】光インターコネクション装置1における複数の基板10は、個々の基板10における発光素子11と受光素子12の配置パターンが共通しており、光信号の送受信を行う2つの基板10は、一つの基板10の配置パターンの方向が他の基板10の配置パターンの方向に対して設定角度回転しており、一つの基板10に設けた発光素子11の光軸上に他の基板10の受光素子12が配置されている。
前記配置パターンは、発光素子の位置を基板上の一点に対して設定角度回転した位置が受光素子の位置になることを特徴とする請求項1記載の光インターコネクション装置。
前記発光素子が基板の一面側から空間に光を出射する第1の発光素子であり、前記受光素子が基板の他面側から基板内に入射した光を基板の一面側で受光する第1の受光素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光インターコネクション装置。
前記発光素子が基板の一面側から基板内に出射した光を基板の他面側から空間に出射する第2の発光素子であり、前記受光素子が空間から基板の他面側に入射した光を基板の一面側で受光する第2の受光素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光インターコネクション装置。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置の基本構成を示した説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置の基板に形成される発光素子,受光素子の形態例を示した説明図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置の基板に形成される発光素子,受光素子の配置パターン例を示した説明図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置の基板に形成される発光素子,受光素子の配置パターンの他の例を示した説明図である。(a)は、基板の平面形状が矩形(正方形)の例であり、(b)は、基板の平面形状が矩形(長方形)の例であり、(c)は、ある形態の発光素子や受光素子の領域内に別の形態の発光素子や受光素子を形成した例である。
【
図5】本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置における基板の実装構造例を示した説明図である。(a)が単体の実装例であり、(b)が多段に積層した状態の実装例である。
【
図6】本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置における給電構造を示した説明図である。(a)がスルーホールを用いる構造、(b)が個別にワイヤ接続する構造を示している。
【
図7】本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置における発光素子又は受光素子の具体例を示した説明図である。(a)が第1の発光素子A,第2の受光素子Cを示しており、(b)が第1の受光素子B,第2の発光素子Dを示している。
【
図8】本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置の発光素子又は受光素子を形成する具体的な方法を示した説明図である。(a)〜(d)は各工程を示している。
【
図9】本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置の具体的な構成例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置の基本構成を示している。光インターコネクション装置1は、チップやボードなどの基板10(10a〜10d)を複数積層配置して、基板10間で光信号の送受信を行う装置である。
【0010】
ここで、複数の基板10(10a〜10d)は、個々の基板10における発光素子11と受光素子12の配置パターンが共通(例えば一致)している。ここでいう配置パターンは、一つの基板10上に配置された発光素子11と受光素子12の平面的な位置関係の態様を示している。ここでは、発光素子11,受光素子12の数は単数であっても複数であってもよいが、発光素子11と受光素子12は対で存在するものとする。
【0011】
そして、光信号の送受信を行う2つの基板10(例えば、基板10aと基板10b)は、一つの基板10aの配置パターンの方向Saが他の基板10bの配置パターンの方向Sbに対して設定角度θ回転しており、一つの基板10aに設けた発光素子11の光軸上に他の基板10bの受光素子12が配置されている。ここでは、複数の基板10a〜10dは、その一面が平行になるように積層されており、前述した「回転」は、基板10の一面に垂直な軸周りの回転である。
【0012】
図示の例では、基板10aと基板10bの間だけでなく、基板10bと基板10c間、基板10cと基板10d間でも光信号の送受信を行っており、基板10bの配置パターンの方向Sbが基板10cの配置パターンのScの方向に対して設定角度θ回転しており、基板10cの配置パターンの方向Scが基板10dの配置パターンのSdの方向に対して設定角度θ回転している。ここでの「回転」は、各基板10の一面に垂直な軸周りの同軸回転である。
【0013】
このような光インターコネクション装置1は、各基板10において発光素子11と受光素子12の配置パターンが共通しているので、同工程の繰り返しで発光素子11と受光素子12が配置された基板10を複数個形成することができる。これによって、発光素子11と受光素子12が配置された複数の基板10を低コスト且つ短時間に形成することが可能になる。また、複数の基板10間での発光素子11と受光素子12の位置関係を精度良く合わせることが可能になるので、クロストークを抑えた基板間の光インターコネクションを実現することができる。また、複数の基板10を積層配置する際には、各基板10を設定角度回転させる一方向の調整で済むので、装置組み立て時の調整作業を簡略化することができる。
【0014】
ここで、個々の基板10においては、発光素子11と受光素子12の配置パターンは、発光素子11の位置を基板10上の一点Osに対して設定角度θ回転した位置が受光素子12の位置になっている。個々の基板10の平面形状はどのような形状であっても良い。複数の基板10の平面形状が同一であり、その平面形状が一点Osを中心とした設定角度θの回転に対して不変である場合には、各基板10を同一形状の枠体で支持することができるので基板10の支持や位置合わせが容易になる。特に、基板10の平面形状を一点Os中心のn多角形(nは3以上の整数)にして、前述した設定角度θを360°/nに設定することで、複数の基板10を同一多角形の枠体で支持しながら、簡易に各基板10の配置パターン方向を位置決めすることが可能になる。
【0015】
図2は、基板10に形成される発光素子,受光素子の形態例を示している。図に示すように、基板10に配置する発光素子11と受光素子12は以下の4形態にすることができる。第1の発光素子Aは、基板10の一面側から空間に光を出射する形態である。第1の受光素子Bは、基板10の他面側から基板10内に入射した光を基板10の一面側で受光する形態である。第2の発光素子Dは、基板10の一面側から基板10内に出射した光を基板10の他面側から空間に出射する形態である。第2の受光素子Cは、基板10の他面側から基板10内に入射した光を基板10の一面側で受光する形態である。
【0016】
図示の例では、発光素子11は発光部11aと遮光部11bを備えており、受光素子12は受光部12aと遮光部12bを備えている。第1の発光素子Aは、基板10の一面側に発光部11aを備え、発光部11aの背面側に遮光部11bを備えている。第1の受光素子Bは、基板10の一面側に受光部12aを備え、基板10の一面側の表面に遮光部12bを備えている。第2の発光素子Dは、基板10の一面側に発光部11aを備え、基板10の一面側の表面に遮光部11bを備えている。第2の受光素子Cは、基板10の一面側に受光部12aを備え、受光部12aの背面側に遮光部12bを備えている。このような遮光部11b,12bを設けることで、ノイズとなる光の発光や受光を抑止することができる。
【0017】
このような発光素子11と受光素子12の形態では、光信号の送受信を行う2つの基板間では第1の発光素子Aと第1の受光素子Bが対になり、第2の発光素子Dと第2の受光素子Cが対になる。このように、発光素子11と受光素子12の全ての形態を基板10の一面側に形成することができれば、基板10に対して発光素子11と受光素子12を配置する工程を簡略化することが可能になる。この際、基板10の他面側には個々の発光素子11,受光素子12に対応してレンズ(マイクロレンズ)13を設けることができる。なお、このような形態の発光素子11と受光素子12を得るには基板10は光透過性であることが必要になる。基板10を透過させる光を赤外光とし、基板10として赤外光を透過可能な半導体基板(Siなど)を用いることで、このような発光素子11と受光素子12を形成することができる。
【0018】
図3は、基板10に形成される発光素子11と受光素子12の配置パターン例を示している。図示の例では、前述した第1の発光素子A,第1の受光素子B,第2の受光素子C,第2の発光素子Dの4形態を基板10に配置している。この配置パターンは、第1の発光素子Aの位置を基板10上の一点Osに対して設定角度θ回転した位置が第1の受光素子Bの位置になり、第2の受光素子Cの位置を基板10上の一点Osに対して設定角度θ回転した位置が第2の発光素子Dの位置になる。
【0019】
光インターコネクション装置1を得るには、基板10を一点Osが同軸上になるように2つ積層して、一つの基板10の配置パターンの方向Sが他の基板10の配置パターンの方向S’に対して設定角度θ回転しているように位置決めする。これによって、一つの基板10における第1の発光素子Aの位置と他の基板10における第1の受光素子Bの位置が平面的に重なり、第2の受光素子Cと第2の発光素子Dの位置が平面的に重なることになり、第1の発光素子Aと第1の受光素子Bとの間で光信号の送受信が可能になり、第2の受光素子Cと第2の発光素子Dとの間で光信号の送受信が可能になる。このように一つの基板10に第1の発光素子A,第1の受光素子B,第2の受光素子C,第2の発光素子Dの4形態の発光素子11と受光素子12を配置することで、2つの基板10間で光信号の双方向送受信が可能になる。
【0020】
図4は、基板10に形成される発光素子11と受光素子12の配置パターンの他の例を示している。(a)に示す例は、基板10の平面形状が矩形(正方形)であり、基板10上の一点Osから等距離の位置であって90°の角度毎に離れた位置に、第1の発光素子A,第1の受光素子B,第2の受光素子C,第2の発光素子Dがそれぞれ配置されている。この例では、光信号の送受信を行う2つの基板10を一点Osが重なるように積層配置して、一つの基板10の配置パターンの方向が他の基板10の配置パターンの方向に対して90°回転しているように位置決めすることで、一つの基板10における第1の発光素子Aと他の基板10における第1の受光素子Bの間で光信号の送受信が可能になり、一つの基板における第2の受光素子Cと他の基板における第2の発光素子Dの間で光信号の送受信が可能になる。
【0021】
(a)においては、複数基板10を積層配置する際に各基板10間の電気的な接続を行う電極構造が示されている。図示の例では、基板10の一面側には電源パッド14a,14bが配置され、基板10の他面側には電源バンプ15a,15bが配置されている。それぞれの基板10における配置パターン方向が90°回転するように2つの基板10を回転させて積層配置すると、一つの基板10における電源パッド14aと他の基板10における電源バンプ15aが接続され、一つの基板10における電源パッド14bと他の基板における電源バンプ15bが接続されて、それぞれの接続が+電源と−電源に接続される。ここで、電源パッド14a,14bは基板10の一面側に設置される発光素子11,受光素子12と基板10の一面上に形成された配線パターンを経由して接続されており、電源バンプ15a,15bはスルーホールなど基板10を貫通する配線を経由して、基板10の一面側に設置されている発光素子11,受光素子12と接続されている。なお、(+の)電源パッド14aと(+の)電源バンプ15aの位置関係は、第1の発光素子Aと第1の受光素子Bの位置関係と同じであり、(−の)電源パッド14bと(−の)電源バンプ15bの位置関係は第2の受光素子Cと第2の発光素子Dの位置関係と同じであれば、接続関係が成立する(ここでの+と−は逆でも可)。
【0022】
(b)に示す例は、基板10の平面形状が矩形(長方形)であり、基板10上の一点Osから等距離の位置であって180°の角度毎に離れた位置に、第1の発光素子Aと第1の受光素子Bの対、第2の受光素子Cと第2の発光素子Dの対がそれぞれ複数対配置されている。一つの対では一点Osから発光素子11までの距離と一点Osから受光素子12までの距離は等しい距離になっているが、異なる対では、一点Osから発光素子11,受光素子12までの距離を様々に設定することができる。
【0023】
この例では、光信号の送受信を行う2つの基板10を一点Osが重なるように積層配置して、一つの基板10の配置パターンの方向が他の基板10の配置パターンの方向に対して180°回転しているように位置決めすることで、一つの基板10における第1の発光素子Aと他の基板10における第1の受光素子Bの間で光信号の送受信が可能になり、一つの基板10における第2の受光素子Cと他の基板10における第2の発光素子Dの間で光信号の送受信が可能になる。
【0024】
(c)の例は、基本的には(a)の例と同様に、一つの基板10の配置パターンの方向が他の基板10の配置パターンの方向に対して90°回転しているように位置決めすることで、一つの基板10における第1の発光素子Aと他の基板10における第1の受光素子Bの間で光信号の送受信が可能になり、一つの基板における第2の受光素子Cと他の基板における第2の発光素子Dの間で光信号の送受信が可能になる。この例では、第1発光素子Aの領域内に第1の受光素子Bが配置され、第2の発光素子Dの領域内に第1の発光素子Aが配置され、第2の受光素子Cの領域内に第2の発光素子Dが配置され、第1の受光素子Bの領域内に第2の受光素子Cが配置されている。このようにある形態の発光素子11や受光素子12の領域内に別の形態の発光素子11や受光素子12を形成したものであってもよい。
【0025】
図5は、基板10の実装構造例を示した説明図である。(a)が単体の実装例であり、(b)が多段に積層した状態の実装例である。基板10はスペーサなどを介在させて所定間隔で直接積層配置することができるが、(a)に示す基板パッケージ100と間隔保持部材101を用いて基板10を積層配置することができる。基板パッケージ100は、光信号(赤外線など)を透過させる光透過窓部100aと基板10の発光素子11,受光素子12を駆動する給電を行うための外部配線100bを備えている。間隔保持部材101は間隔保持のための脚部101aと光信号(赤外線など)を透過させる光透過窓部101bを備えている。基板10は、基板パッケージ100の光透過窓部100a上に支持され、基板10の一面側に設けられる配線パターンと外部配線100bが接続される。
【0026】
そして、基板10を積層配置するには、一つの基板パッケージ100上に間隔保持部材101を載せ、この間隔保持部材101上に他の基板パッケージ100を載せる。これを繰り返すことで設定間隔を空けて基板10を多層に積層配置することができる。また、最下層の基板パッケージ100の光透過窓部100aを覆うようにフィルム状の赤外線透過フィルタ102を取り付け、最上層の間隔保持部材101の光透過窓部101bを覆うようにフィルム状の赤外線透過フィルタ103を取り付けることで、迷光の入射で発生するノイズを防ぐことができる。このような基板パッケージ100を用いると、基板10のハンドリングが容易になる、配線の引き回しの自由度が増える、基板10に設けるスルーホールが不要となるなどの有利な点が得られる。
【0027】
図6は、各基板又は基板パッケージへの給電構造を示した説明図である。(a)に示した例は、実装基板200上に基板10(又は基板パッケージ100)を積層して、バンプ210とスルーホール220を経由して、各基板10(又は基板パッケージ100)相互間の接続を行い、最上層の基板10(又は基板パッケージ100)上の電極と実装基板200上の電極とをワイヤ201で接続したものである。この例では、最上層(又は最下層)の基板10(又は基板パッケージ100)から中間の基板10(又は基板パッケージ100)を経由して最下層(又は最上層)の基板10(又は基板パッケージ100)に電気供給がなされる。(b)に示した例は、実装基板200と各基板10(又は基板パッケージ100)を個別にワイヤ201で接続している。各基板(又は基板パッケージ100)においては前述した設定角度θが90°であり、各基板10は発光素子11と受光素子12の配置パターン方向がそれぞれ90°回転した状態になっている。
【0028】
図7は、本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置における発光素子又は受光素子の具体例を示した説明図である。(a)が第1の発光素子A,第2の受光素子Cを示しており、(b)が第1の受光素子B,第2の発光素子Dを示している。
【0029】
発光素子11又は受光素子12は、基板(半導体基板)10にpn接合部10pnを囲む絶縁性の素子分離層20を備え、基板10の一面側において、素子分離層20の内側にp層電極とn層電極の一方になる第1電極21を配置すると共に、素子分離層20の外側にp層電極とn層電極の他方になる第2電極22を配置している。
【0030】
(a)に示した第1の発光素子A,第2の受光素子Cにおいては、第1電極21は光透過性のp層電極21pであり、第2電極22は金属製のn層電極22nであって、素子分離層20の外周部に第2電極22に接続されるn+拡散層23を備えている。第1電極21と第2電極22にはそれぞれ引き出し配線21a,22aが接続されており、この引き出し配線21a,22aを含めて第1電極21と第2電極22間の電気的な絶縁を確保するために、第1層間絶縁膜24と第2層間絶縁膜25が積層配置されている。このような構成を備える発光素子11又は受光素子12は、第1電極21上に発光部又は受光部が形成され、発光部又は受光部における基板10の他面側に遮光層30が形成されている。これによって、光透過性の第1電極21を経由した発光又は受光が可能になる。
【0031】
(b)に示した第1の受光素子B,第2の発光素子Dにおいては、第1電極21が光反射性の金属電極になり、基板10の他面側が光透過部10Sになる。これによって、基板10における光透過部10Sを経由した発光又は受光が可能になる。ここで、(a),(b)のいずれにおいても、第1電極21から第2電極22に向かう電流の流れは、pn接合部10pnを囲む素子分離層20の外周部に形成されるn+拡散層23に沿った流路が形成されるので、発光部又は受光部内で比較的均一な発光又は受光特性を得ることができる。
【0032】
図8は、本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置の発光素子又は受光素子を形成する具体的な方法を示した説明図である。ここでは、
図7(a)に示した発光・受光素子を例に説明する。
【0033】
先ず、(a)に示すように、基板(Si半導体基板)10を加工して素子分離層20を形成するための溝部20eを形成する。この溝部20eは例えば異方性エッチングなどによって形成することができ、発光部又は受光部を囲むように形成される。溝部20eの形成後には、n+拡散層23をn型不純物のイオン注入などによって形成する。n+拡散層23は、溝部20eの底部及び外側にチャネル拡散層23aを形成し、更に半導体基板10の表面に第2電極22との接続を取るためのコンタクト拡散層23bを形成する。
【0034】
次に、(b)に示すように、溝部20eに酸化膜などの絶縁膜を埋め込んで素子分離層20を形成する。そして、(c)に示すように、第1層間絶縁膜24を形成し、n+拡散層23へのコンタクト開口を形成した後、第2電極22のパターンを形成する。その後、第2層間絶縁膜25を形成して、発光部又は受光部となる素子分離層20の内側を開口し、13族元素、例えば、B(ボロン),Al(アルミニウム),Ga(ガリウム)から選択される不純物を注入して素子分離層20の内側にpn接合部10pnを形成する。
【0035】
その後、基板10上にITOなどの透明導電膜を成膜してパターニングすることで第1電極21を形成し、更にその他の回路構成を形成する。そして、第1電極21と第2電極22間に順方向電圧Vaを印加してpn接合部10pnに電流を流し、その電流によるジュール熱でのアニール処理で半導体基板10に注入した13族元素、例えば、B(ボロン),Al(アルミニウム),Ga(ガリウム)から選択される不純物を拡散させる過程で、透明導電膜である第1電極21側からpn接合部10pnに特定波長λの光を照射し、このようなアニール過程での光照射によってpn接合部10pn近傍にドレスト光子を発生させる。このようにドレスト光子が発生したpn接合部10pnは、pn接合部10pnに順方向電圧を印加すると、アニール処理過程で照射した光の波長λと同等の波長の光を放出する。また、pn接合部10pnは波長λの光にピーク感度を有する受光部として機能する。
【0036】
図7(b)に示した受光・発光素子を形成するには、基板10上に金属電極膜を成膜してパターニングすることで第1電極21を形成し、第1電極21と第2電極22間に順方向電圧Vaを印加してpn接合部10pnに電流を流し、その電流によるジュール熱でのアニール処理で半導体基板10に注入した13族元素、例えば、B(ボロン),Al(アルミニウム),Ga(ガリウム)から選択される不純物を拡散させる過程で、光透過部10S側からpn接合部10pnに特定波長λの光を照射し、このようなアニール過程での光照射によってpn接合部10pn近傍にドレスト光子を発生させる。
【0037】
ここで、異なる基板10間で光信号の送受信を行う一対の発光素子11と受光素子12をそれぞれ形成する際には、前述したアニール処理過程で照射する光の波長を同じ波長にする。これによって、アニール処理で照射される光の波長によって発光素子11の発光波長と受光素子12の受光波長が特定されることになる。ここで特定される光の波長は、基板10を透過することができる光の波長であり、基板10がSi半導体基板の場合には近赤外以上の長波長光が選択される。
【0038】
図9は、本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置の具体的な構成例を示している。光インターコネクション装置1は、複数の基板10(10−1,10−2,10−3)間で光信号の送受信を行っており、具体的には、基板10−1と基板10−2間で双方向に光信号の送受信を行い、基板10−2と基板10−3間で双方向に光信号の送受信を行っている。
【0039】
この例では、発光素子11が集合した発光素子アレイ領域50と受光素子が集合した受光素子アレイ領域60が矩形状の各基板10における四辺に沿って配置されており、基板10の中央部に駆動部70が配置され、駆動部70と発光・受光素子アレイ領域50,60間に配線パターンが形成されている。発光素子アレイ領域50には、各発光素子が第1の発光素子Aであるものと、各発光素子が第2の発光素子Dであるものが別領域に配置されており、受光素子アレイ領域60には、各受光素子が第1の受光素子Bであるものと、各受光素子が第2の受光素子Cであるものが別領域に配置されている。
【0040】
そして、各基板10においては、第1の発光素子Aの発光素子アレイ領域50(A)を基板10の中心に対して90°回転した位置に第1の受光素子Bの受光素子アレイ領域60(B)が配置され、第1の受光素子Bの受光素子アレイ領域60(B)を基板10の中心に対して90°回転した位置に第2の受光素子Cの受光素子アレイ領域60(C)が配置され、第2の受光素子Cの受光素子アレイ領域60(C)を基板10の中心に対して90°回転した位置に第2の発光素子Dの発光素子アレイ領域50(D)が配置されている。
【0041】
第1の受光素子Bの受光素子アレイ領域60(B)と第2の発光素子Dの発光素子アレイ領域50(D)には、基板10の一面側に遮光膜80が配置されており、第1の発光素子Aの発光素子アレイ領域50(A)と第2の受光素子Cの受光素子アレイ領域60(C)には、基板10の他面側に遮光膜(図示省略)が配置されている。ここでの遮光膜80としてはチタンブラックなどの金属膜を採用することができる。
【0042】
また、基板10−1における発光・受光素子アレイ領域の配置パターンの方向を90°回転したものが基板10−2における発光・受光素子アレイ領域の配置パターンになっており、基板10−2における発光・受光素子アレイ領域の配置パターンを90°回転したものが基板10−3の発光・受光素子アレイ領域の配置パターンになっている。
【0043】
このような光インターコネクション装置1によると、発光・受光素子アレイ領域の配置パターン自体は、全ての基板10(10−1,10−2,10−3)で共通しており、同工程の繰り返しで発光・受光素子アレイ領域を全ての基板10に簡易に形成することができる。そして、共通した配置パターンを有する基板における配置パターンの方向を基板10の中心周りに90°回転させて積層配置するだけで、異なる基板10間の発光素子と受光素子の位置決めを行うことができ、対面する基板10間で光信号の双方向送受信を行うことができる。
【0044】
このように本発明の実施形態に係る光インターコネクション装置1は、個々の基板10の形成にコストと時間を要すること無く、また光信号の送受信を行う基板10相互の位置合わせを簡易に行うことができるものであり、クロストークを抑えた光インターコネクションを簡易に実現することが可能になる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1:光インターコネクション装置,10:基板,10pn:pn接合部,
11:発光素子,11a:発光部,11b:遮光部,
12:受光素子,12a:受光部,12b:遮光部,
13:レンズ(マイクロレンズ),
14a,14b:電源パッド,15a,15b:電源バンプ,
20:素子分離層,20e:溝部,
21:第1電極,22:第2電極,21a,22a:引き出し配線,
23:n+拡散層,23a:チャネル拡散層,23b:コンタクト拡散層,
24:第1層間絶縁膜,25:第2層間絶縁膜,
50:発光素子アレイ領域,60:受光素子アレイ領域,
70:駆動部,80:遮光膜,
100:基板パッケージ,100a:光透過窓部,100b:外部配線,
101:間隔保持部材,101a:脚部,101b:光透過窓部,
102,103:赤外線透過フィルタ,
200:実装基板,201:ワイヤ,
210:バンプ,220:スルーホール,
A:第1の発光素子,B:第1の受光素子,
C:第2の受光素子,D:第2の発光素子,
Os:一点