特開2015-185627(P2015-185627A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-185627(P2015-185627A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】配電基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20150925BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20150925BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20150925BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20150925BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
   H02G3/16 A
   H01L23/36 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-59469(P2014-59469)
(22)【出願日】2014年3月24日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原口 章
【テーマコード(参考)】
5F136
5G361
【Fターム(参考)】
5F136BB01
5F136DA27
5F136FA14
5G361BA03
5G361BC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放熱部材とバスバーとの絶縁を確保できる配電基板を提供する。
【解決手段】スイッチング基板(配電基板)10は、バスバー30、40、50と、これらのバスバー30、40、50に重ねて配置される放熱ユニット70とを備える。放熱ユニット70は、放熱板71とフレーム72とを備える。放熱板71は、バスバー30、40、50に接着層78を介して重なる部材であって、バスバー30、40、50に対向する対向面と、対向面と垂直な4つの側面とを有している。フレーム72は、絶縁性を有し、放熱板71の側面に当接して配置される部材である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーと、前記バスバーに重ねて配置される放熱ユニットとを備え、
前記放熱ユニットが、
前記バスバーに対向する対向面と、前記対向面と角度をなす側面とを有し、前記バスバーに接着層を介して重ねて配置される放熱部材と、
絶縁性を有し、前記側面に当接して配置されるフレームとを備える部材である、配電基板。
【請求項2】
前記放熱ユニットが、絶縁性を有し、前記対向面と前記接着層との間に配置される絶縁層を備え、
前記フレームが、前記バスバーに当接する当接面を有し、
前記放熱部材が、前記当接面よりも前記バスバーから離間した位置に配置されており、
前記フレームが、前記対向面と前記当接面との間に、前記対向面と前記当接面に対して平行に配置される段差面を有している、請求項1に記載の配電基板。
【請求項3】
前記フレームが、前記放熱部材に対してインサート成形により形成された部材である、請求項1または請求項2に記載の配電基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電基板に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されてメインバッテリと補助電源との間で電力の供給形態を切り替える機能、あるいは電源から各種の車載電装品に電力を分配する機能を有する配電基板として、複数のバスバーを備える回路構成体と、この回路構成体に実装されるスイッチング素子等の電子部品とを備える基板が知られている。
【0003】
上記した配電基板には電源からの大電流が流れるため、回路構成体や電子部品からの発熱量はそれに応じて比較的大きなものとなる。そこで、回路構成体に放熱板を取り付け、発生する熱を放熱板から放散させるようにすることがある。
【0004】
特開2002−76204号公報には、金属板を打ち抜いて形成された複数の電極(バスバー)と、これら複数の電極のうち少なくとも一の電極の表面に実装されたパワー半導体と、これら複数の電極の裏面に配置された放熱板とを備えるパワー半導体デバイスが開示されている。
【0005】
放熱板は、絶縁層および接着層を介してバスバーに接着されており、これらの絶縁層および接着層によって、放熱板とバスバーとが絶縁されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−76204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の構成のデバイスでは、例えばバスバーに曲げが加わり、放熱板の側面に接触することにより、放熱板とバスバーとの絶縁が保たれなくなってしまうことが懸念される。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放熱部材とバスバーとの絶縁を確保できる配電基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の配電基板は、バスバーと、前記バスバーに重ねて配置される放熱ユニットとを備え、前記放熱ユニットが、前記バスバーに対向する対向面と、前記対向面と角度をなす側面とを有し、前記バスバーに接着層を介して重ねて配置される放熱部材と、絶縁性を有し、前記側面に当接して配置されるフレームとを備える部材である。
【0010】
上記の構成によれば、放熱部材の側面が絶縁性のフレームで覆われるから、バスバーに曲げ等が生じた場合でも、放熱部材とバスバーとの絶縁を確保できる。
【0011】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
【0012】
前記放熱ユニットが、絶縁性を有し、前記対向面と前記接着層との間に配置される絶縁層を備え、前記フレームが、前記バスバーに当接する当接面を有し、前記放熱部材が、前記当接面よりも前記バスバーから離間した位置に配置されており、前記フレームが、前記対向面と前記当接面との間に、前記対向面と前記当接面に対して平行に配置される段差面を有していてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、絶縁層の材料である樹脂等をフレームの内部に注入する際に、段差面と同じ高さまで注入することによって、段差面を目安として注入量を調整できる。つまり、絶縁層と接着層との厚さの制御が容易となり、バスバーと絶縁部材との間の絶縁性、および、放熱部材のバスバーへの接着性を確保できる。
【0014】
前記フレームが、前記放熱部材に対してインサート成形により形成された部材であってもよい。
【0015】
上記の構成によれば、フレームが放熱部材に対して一体化されるので、接着層や絶縁層の材料である接着剤や樹脂等をフレームに注入する際に、接着剤や樹脂等が放熱部材とフレームとの間から下にたれ落ちることを回避でき、放熱ユニットの製造およびバスバーへの組み付けが容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、放熱部材とバスバーとの絶縁を確保できる配電基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態のスイッチング装置の斜視図
図2】実施形態のスイッチング装置の平面図
図3】実施形態のスイッチング装置の分解斜視図
図4】実施形態の上部ケースおよびスイッチング基板の底面図
図5】実施形態のスイッチング基板の断面図
図6】実施形態の放熱ユニットの断面図
図7】実施形態のフレームの平面図
図8】実施形態のフレームの底面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を、図1図8を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態のスイッチング基板10(配電基板に該当)は、スイッチング装置1に備えられるものである。スイッチング装置1は、メインバッテリと補助バッテリとを備える車両において、メインバッテリおよび補助バッテリからの車載電装品への電力供給の切り替えを行うものであって、図1図2および図3に示すように、スイッチング基板10と、このスイッチング基板10に覆い付けられるケーシング80とを備えている。
【0020】
スイッチング基板10は、回路構成体11と、この回路構成体11に搭載される6つの半導体スイッチング素子60A、60Bと、放熱ユニット70とを備える。
【0021】
回路構成体11は、制御回路基板20と、この制御回路基板20に重なる3枚のバスバー30、40、50とを備えている。
【0022】
制御回路基板20は、ガラス基材またはガラス不織布基材からなる絶縁板の一面に、導電性材料からなる制御回路(図示せず)が配置されたプリント基板である。
【0023】
制御回路基板20は、図4に示すように、半導体スイッチング素子60A、60Bの搭載のための6つの実装窓21A、21Bを有している。各実装窓21A、21Bは、制御回路基板20において制御回路が配されている面から、その逆側の面まで貫通する、全体として矩形の開口部であって、その開口の大きさは、半導体スイッチング素子60A、60Bの外形よりも一回り大きい。6つの実装窓21A、21Bのうち3つは、第1実装窓21Aであって、1列に並んで配置されている。6つの実装窓21A、21Bのうち残り3つは、第2実装窓21Bであって、1列に並んで配置されている。
【0024】
3枚のバスバー30、40、50のうち1枚は入力バスバー30であり、他の1枚は出力バスバー40である。入力バスバー30は、導電性材料(本実施形態では銅または銅合金)により形成された矩形の厚板である。入力バスバー30は、スタッドボルト102Aを挿通するためのボルト挿通孔31を備えている。ボルト挿通孔31は、入力バスバー30の一方の板面から他方の板面まで貫通する貫通孔である。出力バスバー40も、入力バスバー30と同様に、導電性材料(本実施形態では銅または銅合金)により形成された矩形の厚板であって、スタッドボルト102Bを挿通するためのボルト挿通孔41を備えている。
【0025】
入力バスバー30と出力バスバー40とは、制御回路基板20において制御回路が配置された面とは逆側の面に、互いに間隔を空けて配置されている。図5に示すように、入力バスバー30および出力バスバー40は、一部が制御回路基板20と重なっており、ボルト挿通孔31、41が配置された部分が制御回路基板20から外れて配置されている。
【0026】
3枚のバスバー30、40、50のうち残りの1枚は、接続バスバー50である。接続バスバー50は、導電性材料(本実施形態では銅または銅合金)により形成された厚板であって、入力バスバー30と出力バスバー40との間に、入力バスバー30および出力バスバー40に対して隙間を空けて配置されている。
【0027】
複数の第1実装窓21Aは、それぞれ、入力バスバー30と接続バスバー50とにまたがる位置に配され、複数の第2実装窓21Bは、それぞれ、出力バスバー40と接続バスバー50とにまたがる位置に配されている。第1実装窓21Aの内側に、入力バスバー30の一部と、接続バスバー50の一部とが露出している。第2実装窓21Bの内側に、出力バスバー40の一部と、接続バスバー50の一部とが露出している。
【0028】
半導体スイッチング素子60A、60Bは、パワーMOSFETであって、図3図4および図5に示すように、ハウジング61と、このハウジング61に設けられたドレイン端子、ソース端子63およびゲート端子64を備えている。ドレイン端子は、詳細には図示しないが、ハウジング61の下面に配置されている。また、ソース端子63およびゲート端子64は、ハウジング61の側面から突出している。
【0029】
6つの半導体スイッチング素子60A、60Bのうち3つは、第1半導体スイッチング素子60Aである。6つの半導体スイッチング素子60A、60Bのうち残り3つは、第2半導体スイッチング素子60Bである。
【0030】
3つの第1半導体スイッチング素子60Aは、それぞれ、第1実装窓21Aの内側に配置されている。そして、第1実装窓21Aの内側に露出している入力バスバー30の一部にドレイン端子が、接続バスバー50にソース端子63がそれぞれ接続されている。ゲート端子64は、制御回路基板20上の制御回路に接続されている。同様に、3つの第2半導体スイッチング素子60Bは、それぞれ、第2実装窓21Bの内側に配置されている。そして、第2実装窓21Bの内側に露出している出力バスバー40の一部にドレイン端子が、接続バスバー50の一部にソース端子63がそれぞれ接続され、制御回路にゲート端子64が接続されている。
【0031】
このように配置されることによって、並列に接続された3つの半導体スイッチング素子60A、60Bが1組とされ、2組の半導体スイッチング素子60A、60Bが直列に接続される。2組の半導体スイッチング素子60A、60Bは、互いに背中合わせ(back to back)に配置されている。
【0032】
放熱ユニット70は、全体として矩形の板状であって、図5に示すように、バスバー30、40、50において制御回路基板20が配置されている面とは逆側の面に重なっている。放熱ユニット70は、図6に示すように、放熱板71(放熱部材に該当)と、フレーム72と、絶縁層77と、接着層78とを備える。
【0033】
放熱板71は、金属製の矩形の板であって、表裏面71A、71Bと、4つの側面71Cとを有している。放熱板71は、回路構成体11と平行に配置されており、表裏面71A、71Bのうち回路構成体11に向かう面が対向面71A、それとは反対側の面が放熱面71Bである。放熱板71は、回路構成体11において複数の半導体スイッチング素子60A、60Bが配置された領域のすべてをカバーする大きさとなっている。
【0034】
フレーム72は、合成樹脂等の絶縁性材料により形成された、絶縁性を有する矩形枠状の部材であって、放熱板71をその外周縁に沿って全周に亘って連続して包囲するように配置されている。フレーム72は、フレーム本体73と、段差面76Bを有する突出部76とを備えている。
【0035】
フレーム本体73は、放熱板71を放熱面71B側から支持する支持部74と、この支持部74から垂直に延びて放熱板71の側面71Cを覆う4つの側壁部75とを備え、断面形状がL字形となっている。
【0036】
支持部74は、4つの枠辺部74A、74Bを有する矩形枠状の部分である。4つの枠辺部74A、74Bのうち2つの枠辺部74Aは、放熱板71の対向する2つの辺に沿って配置されている。他の2つの枠辺部74Bは、放熱板71の上記した対向する2つの辺と垂直な他の2つの辺に沿って配置され、2つの枠辺部74Aの同じ側の端部同士をそれぞれ連結している。支持部74は、放熱板71の外周縁部に沿って全周にわたって配置され、4つの枠辺部74A、74B辺の内周側の部分が放熱面71Bに当接している。支持部74の内側の開口部分には、放熱面71Bが露出している。
【0037】
4つの側壁部75は、支持部74の4つの枠辺部74A、74B辺の外周側端縁から回路構成体11に向かって延び、放熱板71の4つの側面71Cにそれぞれ当接する部分である。側壁部75は、放熱板71の4つの側面71Cを全周にわたって覆って配置されている。側壁部75の回路構成体11側の端面は、バスバー30、40、50と当接する当接面75Aである。放熱板71は、当接面75Aよりもバスバー30、40、50から離間した位置に配置されている。
【0038】
突出部76は、側壁部75の内側面(放熱板71と当接する面)からは、内側に向かって突出する部位である。突出部76は、側壁部75の当接面75Aよりも支持部74に近接した位置(バスバー30、40、50から離間した位置)に配置され、対向面71Aに当接している。突出部76は、側壁部75の全周にわたって配置されている。この突出部76の内周面は、放熱板71の対向面71Aに対して放熱板71と反対側に立ち上がる立ち上がり面76Aであり、突出部76において放熱板71とは反対側の面は、立ち上がり面76Aから連なり、立ち上がり面76Aとの間で角部を形成するとともに、対向面71Aと当接面75Aとの間に、両者に対して段差を有して配置される段差面76Bである。段差面76Bは、対向面71Aと平行となっている。
【0039】
絶縁層77は、絶縁性を有する層であって、対向面71Aに密着して配置されている。絶縁層77は、突出部76の厚さ(対向面71Aに当接する面からその反対側の面までの距離)と等しい厚さを有し、一面が対向面に当接し、他面が段差面76Bと同一平面上に配置されている。絶縁層77は、樹脂に、アルミナ等の熱伝導性の高いフィラーが高密度に充填されている層であることが望ましい。
【0040】
接着層78は、放熱板71、絶縁層77およびフレーム本体73を回路構成体11に接着するための層であって、段差面76Bと絶縁層77の他面とで構成される面とバスバー30、40、50との間に配置されている。
【0041】
放熱ユニット70は、入力バスバー30および出力バスバー40において複数の半導体スイッチング素子60A、60Bが配置された領域と重なり、ボルト挿通孔31、41が配置された部分からは外れるように配置されている。
【0042】
ケーシング80は、上部ケース81と下部ケース91とを備えている。下部ケース91は、スイッチング基板10の外形よりも一回り大きい外形を有するトレイ状のケースである。下部ケース91の内部に、スイッチング基板10が収容される。上部ケース81は、下部ケース91とほぼ同じ外形を有するトレイ状のケースであって、下部ケース91の内部に収容されたスイッチング基板10を覆うように下部ケース91に装着されている。上部ケース81と下部ケース91とはいずれも合成樹脂により形成されている。
【0043】
上部ケース81は、スイッチング基板10と平行に配置される矩形の天板82と、この天板82の周縁からスイッチング基板10に向かって延びる側板83とを備えている。天板82は、放熱窓84と、2つの締結窓85A、85Bとを有している。
【0044】
放熱窓84は、天板82の一方の面から他方の面まで貫通する開口部であって、この放熱窓84から放熱板71が外部に臨んでいる。
【0045】
2つの締結窓85A、85Bのうち一方の締結窓85Aは、ボルト挿通孔31が配置される位置およびその周囲に配置されている。同様に、他方の締結窓85Bは、ボルト挿通孔31が配置される位置およびその周囲に配置されている。各締結窓85A、85Bは、天板82の一方の面から他方の面まで貫通する開口部である。締結窓85Aの内側に締結端子101Aが、締結窓85Bの内側に締結端子101Bが、それぞれ配置される。
【0046】
締結端子101Aは、メインバッテリにつながるワイヤーハーネス100Aの一端に接続された端子であって、スタッドボルト102Aとナット103Aとを用いて入力バスバー30に固定される。締結端子101Bは、補助バッテリにつながるワイヤーハーネス100Bの一端に接続された端子であって、スタッドボルト102Bとナット103Bとを用いて入力バスバー30に固定される。
【0047】
次に、放熱ユニット70の製造および回路構成体11への組み付け手順について説明する。
【0048】
金型内に放熱板71を挿入し、放熱板71の周りに樹脂を注入して硬化させることにより、放熱板71とフレーム本体73とが一体化した部材を形成する(インサート成形)。
【0049】
次に、アルミナ等のフィラーが混合された熱硬化性樹脂を、フレーム本体73に注入する。このとき、注入される熱硬化性樹脂の上面が段差面76Bと同じ高さになるようにする。注入後、熱硬化性樹脂を硬化させて絶縁層77を形成する。
【0050】
次いで、熱硬化性の接着剤をフレーム本体73に注入する。このとき、注入される接着剤の上面が当接面75Aと同じ高さになるようにする。注入後、フレーム本体73に回路構成体11を重ねて、接着剤を硬化させる。このようにして、放熱ユニット70が回路構成体11と接着される。
【0051】
上記のように本実施形態によれば、放熱板71の側面71Cが絶縁性を有するフレーム72によって覆われているから、バスバー30、40、50に曲げ等が生じた場合でも、バスバー30、40、50が放熱板71の側面71Cに接触することを回避し、放熱板71とバスバー30、40、50との絶縁を確保できる。特に、本実施形態のように電気的に分離されている複数のバスバー30、40、50が共通の放熱板71に接着されている場合において、バスバー30、40、50同士の短絡を回避することができる。
【0052】
また、フレーム72が、対向面71Aと当接面75Aとの間に、対向面71Aと当接面75Aに対して平行に配置される段差面76Bを有している。このような構成によれば、絶縁層77の材料である樹脂等をフレーム72の内部に注入する際に、段差面76Bと同じ高さまで注入することによって、段差面76Bを目安として注入量を調整できる。つまり、絶縁層77と接着層78との厚さの制御が容易となり、バスバー30、40、50と放熱板71との間の絶縁性、および、放熱板71のバスバー30、40、50への接着性を確保できる。
【0053】
さらに、フレーム72が、放熱板71に対してインサート成形により形成された部材である。このような構成によれば、フレーム72が放熱板71に対して一体化されるので、絶縁層77や接着層78の材料である樹脂や接着剤等をフレームに注入する際に、接着剤や樹脂等が放熱板71とフレーム72との間から下にたれ落ちることを回避でき、放熱ユニット70の製造および回路構成体11への組み付けが容易となる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態によれば、突出部76は側壁部75の内側面において全周にわたって配置されているが、突出部76が側壁部75の内側面において一部にのみ配置され、これにより、段差面が側壁部75の内側面において一部にのみ配置されていても構わない。
【0055】
(2)上記実施形態によれば、側壁部の内側面に、内側に向かって突出する突出部76が設けられることにより、段差面76Bが配置されていたが、例えば側壁部の内側面に、外側に向かって凹む凹部が設けられ、この凹部の内壁面のうち、対向面と平行な面が段差面とされていても構わない。
【0056】
(3)上記実施形態では、回路構成体11に半導体スイッチング素子が実装されていたが、回路構成体に実装される電子部品は上記実施形態の限りではなく、例えば機械式リレーであっても構わない。
【符号の説明】
【0057】
10…スイッチング基板(配電基板)
30…入力バスバー(バスバー)
40…出力バスバー(バスバー)
50…接続バスバー(バスバー)
60A、60B…半導体スイッチング素子
70…放熱ユニット
71…放熱板(放熱部材)
71A…対向面
71C…側面
72…フレーム
75A…当接面
76B…段差面
77…絶縁層
78…接着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8