【課題】耐候性、および、太陽電池モジュールの製造時に用いられる封止材に対する接着力が高い太陽電池モジュール用裏面保護シート、並びに、太陽電池モジュールおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シート10は、基材シート11を備え、太陽電池セルを封止し、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む封止材に積層され、基材シート11の封止材側となる面にフッ素樹脂層12が設けられ、フッ素樹脂層12は、アクリロイル基を2個以上有する化合物を含むことを特徴とする。
透明な前面基板と、太陽電池セルと、該太陽電池セルを封止し、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む封止材と、請求項1に記載の裏面保護シートと、を備えた太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記封止材に、前記フッ素樹脂層を圧着させ、130℃以上に加熱して、前記封止材に前記裏面保護シートを接着する工程を有することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る太陽電池モジュールの裏面に接着して用いられる太陽電池モジュール用裏面保護シート、並びに、その太陽電池モジュール用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールおよびその製造方法の実施形態について説明する。
なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0012】
「太陽電池モジュール用裏面保護シート」
図1は、本発明に係る太陽電池モジュール用裏面保護シートの一実施形態を示す概略断面図である。
太陽電池モジュール用裏面保護シート10は、基材シート11と、基材シート11における、太陽電池モジュールの封止材側となる面(以下、「一方の面」と言う。)11aに形成されたフッ素樹脂層12と、を必須として構成されている。
以下、太陽電池モジュール用裏面保護シート10を、裏面保護シート10と略すこともある。
【0013】
基材シート11としては、フッ素樹脂層12を積層可能なものであれば、太陽電池モジュール用裏面保護シートに使用される公知のものを用いることができる。基材シート11としては、例えば、樹脂フィルムなどが挙げられる。
【0014】
基材シート11に用いられる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルブチラール系樹脂などの樹脂からなる樹脂のフィルムまたはシートが挙げられる。これらの樹脂フィルムの中でも、ポリエステルからなるフィルムが好ましく、より具体的にはPETフィルムが好ましい。
【0015】
基材シート11の厚さは、太陽電池モジュールに要求される電気絶縁性に基づいて適宜設定される。例えば、基材シート11が樹脂フィルムである場合、その厚さが10μm〜300μmの範囲であることが好ましい。より具体的には、基材シート11がPETフィルムである場合、軽量性および電気絶縁性の観点から、その厚さが10μm〜300μmの範囲であることが好ましく、20μm〜250μmの範囲であることがより好ましく、30μm〜200μmの範囲であることが特に好ましい。
【0016】
フッ素樹脂層12は、アクリロイル基を2個以上有する化合物を含む。
フッ素樹脂層12を構成するフッ素樹脂は、フルオロオレフィンおよび硬化性官能基含有モノマーの共重合体であり、その他の共重合可能なモノマーを含有することができる。
フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレンなどが挙げられる。
硬化性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基などが挙げられる。これらのなかでも、硬化性に優れることから、水酸基が好ましい。
フルオロオレフィンと共重合可能で、水酸基を有するモノマーとしては、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエステルなどが挙げられる。
その他の共重合可能なモノマーとしては、アルキルビニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル、α−オレフィンなどが挙げられる。
【0017】
フッ素樹脂は、機械的強度を高めるため、硬化されることが好ましい。硬化剤としては、イソシアネート、メラミンなどが挙げられる。硬化性官能基が水酸基である場合には、イソシアネートが好ましい。イソシアネートのなかでも、黄変しない点で、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、または、これらの変性体が好ましい。
フッ素樹脂の市販品としては、例えば、ゼッフルGKシリーズ(ダイキン工業社製)、ルミフロンLFシリーズ(旭硝子社製)、フルオネートシリーズ(DIC社製)などが挙げられる。
【0018】
これらの中でも、フッ素樹脂層12を構成するフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレンやクロロトリフルオロエチレンなどのフルオロオレフィンと、ヒドロキシアルキルビニルエーテルなどの硬化性官能基含有モノマーとの共重合体が、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの硬化剤で硬化しているものが好ましい。
【0019】
アクリロイル基を2個以上有する化合物としては、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの形態のものであっても用いることができる。
これらの中でも、アクリロイル基を2個以上有する化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどのアクリルモノマーが好ましい。
【0020】
フッ素樹脂とアクリロイル基を2個以上有する化合物との配合比は、フッ素樹脂100質量部に対して、アクリロイル基を2個以上有する化合物が0.1質量部〜5質量部であることが好ましく、0.5質量部〜3質量部であることがより好ましい。
アクリロイル基を2個以上有する化合物の配合量が0.1質量部以上であれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む封止材に対するフッ素樹脂層12の接着力が向上する効果が十分に得られる。一方、アクリロイル基を2個以上有する化合物の配合量が5質量部以下であれば、フッ素樹脂の配合量が少なくなりすぎることがなく、フッ素樹脂層12の耐候性が低下することがない。
【0021】
また、フッ素樹脂層12は、着色顔料、ブロッキング防止剤などを含んでいてもよい。
着色顔料の色には特に制限はないが、美観の観点から白色顔料または黒色顔料が好ましい。
白色顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどが用いられる。
これらのなかでも、その白色度による美観の点で、二酸化チタンが好ましい。
黒色顔料としては、その黒色度による美観の点で、カーボンブラックが好ましい。
ブロッキング防止剤としては、シリカが好適に用いられる。
【0022】
太陽電池モジュール用裏面保護シート10によれば、基材シート11の一方の面11aに、アクリロイル基を2個以上有する化合物を含むフッ素樹脂層12が設けられているので、裏面保護シート10を太陽電池モジュールに適用した場合、太陽電池モジュールの耐候性を向上するとともに、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む封止材との接着力を向上することができる。
【0023】
なお、本実施形態では、基材シート11の一方の面11aに、フッ素樹脂層12が直接形成された太陽電池モジュール用裏面保護シート10を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明にあっては、基材シートの一方の面に、接着層を介してフッ素樹脂層が設けられていてもよい。
【0024】
「太陽電池モジュール用裏面保護シートの製造方法」
次に、太陽電池モジュール用裏面保護シート10の製造方法の概略を説明するが、本発明は、この製造方法に限定されるものではない。
【0025】
(フッ素樹脂層の形成工程)
フッ素樹脂層12の形成工程では、基材シート11の一方の面11aに、例えば、フッ素樹脂、アクリロイル基を2個以上有する化合物および硬化剤を含むフッ素樹脂塗料組成物を塗布し、そのフッ素樹脂塗料組成物からなる塗膜を乾燥および硬化させて、フッ素樹脂層12を形成する。
【0026】
フッ素樹脂塗料組成物を調製するには、上記のフッ素樹脂、アクリロイル基を2個以上有する化合物および硬化剤に溶媒を加えて、攪拌、混合する。
【0027】
フッ素樹脂塗料組成物に用いられる溶媒としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノエチルエーテルおよびダイアセトンアルコールの群から選択される1種または2種以上の有機溶媒を含む溶媒が好適に用いられる。
これらの中でも、フッ素樹脂塗料組成物中の含有成分の溶解性および樹脂層12への残留性の低さ(低い沸点温度)の観点から、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよび酢酸ブチルから選択される1種または2種以上の有機溶媒を含む溶媒が好ましい。
【0028】
硬化剤としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されるものではなく、メラミン樹脂、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが好適に用いられる。耐候性の観点から、硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が好ましい。
【0029】
また、フッ素樹脂塗料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で硬化用触媒、分散剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
【0030】
フッ素樹脂層12を形成するには、まず、ロッドコーターなどを用いた公知の塗布方法により、基材シート11の一方の面11aに、所定の厚さとなるように、上記のフッ素樹脂塗料組成物を塗布する。
【0031】
次いで、温度60℃〜150℃で、1分〜5分間乾燥することにより、溶媒を除去する。その後、温度20℃〜40℃で、4日間養生することにより、フッ素樹脂層12を硬化させる。
【0032】
このようにして、基材シート11の一方の面11aにフッ素樹脂層12が形成される。
以上の工程により、裏面保護シート10が得られる。
【0033】
「太陽電池モジュール」
図2は、本発明の太陽電池モジュールの一実施形態を示す概略断面図である。
太陽電池モジュール100は、太陽電池セル101と、太陽電池セル101を封止する封止材102と、封止材102の一方の面(表面)102aに積層された前面基板103と、封止材102の他方の面(裏面)102bに積層された裏面保護シート104と、裏面保護シート104の封止材102と接している面とは反対側の面(一方の面)104aに、シーリング材105を介して接着されたジャンクションボックス106とから概略構成されている。
【0034】
太陽電池セル101としては、結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などからなるものが挙げられる。
太陽電池セル101が結晶シリコンである場合には、
図2に示すように、前面基板103、封止材102、太陽電池セル101、封止材102、裏面保護シート104の順に積層し、真空状態で加熱圧着した後、シーリング材105を介してジャンクションボックス106が固定される。
太陽電池セル101が、アモルファスシリコンや化合物半導体のように、前面基板103に直接、接するように形成される場合には、前面基板103、太陽電池セル101、封止材102、裏面保護シート104の順に積層される。
【0035】
封止材102を構成する樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が用いられる。
また、封止材102を構成する樹脂は、有機過酸化物を含有することが好ましい。
有機過酸化物としては、100℃ 以上でラジカルを発生するものであれば、いかなるものでも使用できるが、配合時の安定性を考慮すると、半減期10時間の分解温度が70℃以上であるものが好ましい。このような有機過酸化物としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,4−ビス〔(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル〕ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンズエート、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
これらの有機過酸化物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0036】
封止材102を構成する樹脂が有機過酸化物を含有していれば、裏面保護シート104のフッ素樹脂層に含まれるアクリロイル基を2個以上有する化合物と、封止材102を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体とを共重合させる際、共重合反応が十分に進行し、封止材102に対して裏面保護シート104をより強固に接着することができる。
【0037】
エチレン−酢酸ビニル共重合体に対する有機過酸化物の配合量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部であることが好ましく、0.5質量部〜3質量部であることがより好ましい。
有機過酸化物の配合量が0.1質量部未満では、封止材102の架橋が不十分となり、太陽電池モジュール100の耐熱性が低下することがある。一方、有機過酸化物の配合量が5質量部を超えると、封止材102の収縮が大きくなり、太陽電池モジュール100の外観不良を引き起こすことがある。
【0038】
前面基板103としては、光を透過するものであれば特に限定されるものではなく、ガラスやプラスチックなど公知のものが挙げられるが、機械的強度や耐候性に優れることからガラスが好ましい。
裏面保護シート104としては、上述の裏面保護シート10が用いられる。
【0039】
シーリング材105としては、シリコーンを主成分とし、室温で硬化するものが好ましい。
室温で硬化する反応としては、縮合が一般的である。縮合反応は、副生成物の種類によって、アルコール型、オキシム型、アセトン型、酢酸型がある。
このようなシーリング材は、チューブやカートリッジなどの容器に充填され、吐出口から押し出されると、空気中の湿気と反応して硬化する。
【0040】
ジャンクションボックス106は、太陽電池セル101から電流を引き出す端子を保護する箱であり、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定されるものではなく、太陽電池モジュールに用いられる公知のものが挙げられる。
【0041】
太陽電池モジュール100によれば、裏面保護シート104として、上述の裏面保護シート10が用いられているので、耐候性に優れるとともに、裏面保護シート104のフッ素樹脂層に含まれるアクリロイル基を2個以上有する化合物と、封止材102を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体とを共重合させることにより、封止材102に対して裏面保護シート104を強固に接着することができる。
【0042】
「太陽電池モジュールの製造方法」
図2を参照して、本発明の太陽電池モジュールの製造方法の実施形態を説明する。
本実施形態の太陽電池モジュールの製造方法は、太陽電池セル101を封止した封止材102の裏面102bに、裏面保護シート104を、加熱することによって接着する。
ここで、裏面保護シート104を構成するフッ素樹脂層を封止材102の裏面102bに接して圧着させた状態で、加熱装置によって太陽電池モジュール100全体を加熱することにより、裏面保護シート104を構成するフッ素樹脂層に含まれるアクリロイル基を2個以上有する化合物と、封止材102を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体とを共重合させることにより、封止材102の裏面102bに、裏面保護シート104を強固に接着することができる。
【0043】
加熱装置によって太陽電池モジュール100全体を加熱する温度(加熱処理温度)は、裏面保護シート104を構成するフッ素樹脂層に含まれるアクリロイル基を2個以上有する化合物と、封止材102を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体との共重合が開始する温度以上であり、具体的には130℃以上であり、150℃以上であることが好ましい。
太陽電池モジュール100の加熱処理温度が上記の範囲であることにより、裏面保護シート104を構成するフッ素樹脂層に含まれるアクリロイル基を2個以上有する化合物と、封止材102を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体との共重合反応を十分に進行させることができ、結果として、封止材102の裏面102bに、裏面保護シート104を十分熱接着することができる。
【0044】
加熱装置による加熱処理の時間は、裏面保護シート104のフッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂の種類や、封止材102を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体に含まれる有機過酸化物の種類などに応じて、適宜調整すればよい。通常、加熱処理の時間は、15分〜60分程度である。
加熱装置としては、一般の太陽電池モジュールの製造に用いられる公知の加熱装置を用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
[実施例1]
基材シートとして、PETフィルム(商品名:テイジン テトロン フィルム S、厚さ125μm、帝人デュポンフィルム社製)を用い、この基材シートの一方の面に、ロッドコーターを用いた塗布方法により、フッ素樹脂、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよび硬化剤を含む樹脂塗料組成物を塗布し、その樹脂塗料組成物からなる塗膜を乾燥および硬化させて、フッ素樹脂層を形成し、裏面保護シートを作製した。
フッ素樹脂としては、ゼッフルGK510(商品名、ダイキン工業社製、固形分50質量%、水酸基価60mgKOH/g)を用いた。
硬化剤としては、スミジュールN3300(商品名、住化バイエルウレタン社製、イソシアネート基含有量21.8質量%)を用いた。
フッ素樹脂100質量部に対して、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの配合量を1質量部、硬化剤を1質量部とした。
【0047】
[実施例2]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの替わりに、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを用いた以外は実施例1と同様にして、裏面保護シートを作製した。
【0048】
[実施例3]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの替わりに、ペンタエリスリトールトリアクリレートを用いた以外は実施例1と同様にして、裏面保護シートを作製した。
【0049】
[実施例4]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの替わりに、トリメチロールプロパントリアクリレートを用いた以外は実施例1と同様にして、裏面保護シートを作製した。
【0050】
[比較例1]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いずに、フッ素樹脂および硬化剤を含む樹脂塗料組成物によりフッ素樹脂層を形成した以外は実施例1と同様にして、裏面保護シートを作製した。
【0051】
[比較例2]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの替わりに、ブチルアクリレートとアクリル酸の共重合体(ブチルアクリレート90質量%、アクリル酸10質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、裏面保護シートを作製した。
【0052】
[比較例3]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの替わりに、ポリメチルメタクリレートを用いた以外は実施例1と同様にして、裏面保護シートを作製した。
【0053】
上記の通り作製した実施例1〜4および比較例1〜3のそれぞれの裏面保護シートについて、下記の測定方法に従って、封止材に対する裏面保護シートの接着力を測定した。これらの結果をまとめて表1に示す。
【0054】
<試験体の作製>
厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止材(スタンダードキュア型、サンビック社製)の一方の面に、フッ素樹脂層が接するように、実施例1〜4または比較例1〜3の裏面保護シートを配置した。
同様にして、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止材の他方の面に、実施例1〜4または比較例1〜3の裏面保護シートを配置し、2枚の裏面保護シートでエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止材を挟持した積層体を形成した。
次に、太陽電池モジュール用真空ラミネータを用いて、前記の積層体を135℃で脱気ラミネートした後、150℃で30分間加熱することにより、実施例1〜4または比較例1〜3の試験体を作製した。
【0055】
<裏面保護シートの接着性>
実施例1〜4または比較例1〜3の試験体を裁断して、25mm×200mmの矩形体を成形した。
この矩形体を用いて、JIS K6854−3:1999(ISO11339:1993)「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第3部:T形はく離」に準じて、矩形体の裏面保護シートの一方をはく離して、その裏面保護シートを構成するフッ素樹脂層と封止材の界面のはく離接着強さを測定した。
この測定は、23℃、50%RH雰囲気中で行った。また、はく離速度を50mm/分とした。
結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1の結果から、実施例1〜4で作製した裏面保護シートは、フッ素樹脂層がアクリロイル基を2個以上有する化合物を含んでいるので、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる基材に対する接着性が優れていることが確認できた。
一方、比較例1〜3で作製した裏面保護シートは、フッ素樹脂層がアクリロイル基を2個以上有する化合物を含んでいないので、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる基材に対する接着性が劣ることが確認できた。