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特開2015-185840エッチング液組成物及びこれを用いた回路パターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-185840(P2015-185840A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】エッチング液組成物及びこれを用いた回路パターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20150925BHJP
   C23F 1/16 20060101ALI20150925BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20150925BHJP
【FI】
   H01L21/308 F
   C23F1/16
   H05K3/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-118484(P2014-118484)
(22)【出願日】2014年6月9日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0033516
(32)【優先日】2014年3月21日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ジェ・フン
(72)【発明者】
【氏名】土橋 誠
【テーマコード(参考)】
4K057
5E339
5F043
【Fターム(参考)】
4K057WA12
4K057WB04
4K057WE01
4K057WE02
4K057WE03
4K057WE04
4K057WE08
4K057WE09
4K057WE11
4K057WE12
4K057WE15
4K057WE25
4K057WF01
4K057WG03
4K057WG10
4K057WN01
4K057WN02
5E339BC02
5E339BE13
5E339BE17
5E339CC01
5E339GG02
5F043AA22
5F043AA25
5F043BB15
5F043BB17
5F043CC16
5F043EE07
5F043GG02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エッチング液組成物及びこれを用いた回路パターンの製造方法を提供する。
【解決手段】酸化剤、添加酸及び水を含むエッチング水溶液100重量部と、水より低い粘度を有する有機溶媒5〜40重量部と、を含むエッチング液組成物を用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤、添加酸及び水を含むエッチング水溶液100重量部と、
水より低い粘度を有する有機溶媒5〜40重量部と、
を含む、エッチング液組成物。
【請求項2】
前記有機溶媒は、0.8cP以下の粘度を有する、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項3】
前記エッチング水溶液に含まれた酸化剤の濃度は、前記エッチング水溶液を基準に50〜200g/Lである、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項4】
前記エッチング水溶液に含まれた添加酸の濃度は、前記エッチング水溶液を基準に0.1〜5mol/Lである、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒は、沸点が70℃以上である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項6】
前記有機溶媒は、アセトニトリル、ニトロエタン、メチルエチルケトン及びエチルアセテートのうち一つ以上を含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項7】
前記酸化剤は、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、水酸化第二銅、酢酸第二銅、塩化第二鉄、臭化第二鉄、ヨウ化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄及び酢酸第二鉄のうち一つ以上を含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項8】
前記添加酸は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸及びスルホン酸のうち一つ以上を含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項9】
前記エッチング水溶液は、過酸化水素(H)及び塩素酸ナトリウム(NaClO)のうち一つ以上をさらに含む、請求項1に記載のエッチング液組成物。
【請求項10】
金属層を設ける段階と、
前記金属層の一面にレジスト層を形成する段階と、
前記レジスト層を露光及び現像してレジストパターンを形成する段階と、
前記金属層の一面にエッチング液をノズル噴射して金属層をエッチングする金属パターン形成段階と、
前記レジストパターンを除去する段階と、
を含み、
前記エッチング液は、酸化剤、添加酸及び水を含むエッチング水溶液100重量部、及び水より低い粘度を有する有機溶媒5〜40重量部を含む、回路パターンの製造方法。
【請求項11】
前記有機溶媒の粘度は0.8cP以下である、請求項10に記載の回路パターンの製造方法。
【請求項12】
前記金属層をエッチングして形成された金属パターンのエッチングファクターは4以上である、請求項10に記載の回路パターンの製造方法。
【請求項13】
前記エッチング水溶液に含まれた酸化剤の濃度は、前記エッチング水溶液を基準に50〜200g/Lである、請求項10に記載の回路パターンの製造方法。
【請求項14】
前記エッチング水溶液に含まれた添加酸の濃度は、前記エッチング水溶液を基準に0.1〜5mol/Lである、請求項10に記載の回路パターンの製造方法。
【請求項15】
前記有機溶媒は、沸点が70℃以上である、請求項10に記載の回路パターンの製造方法。
【請求項16】
前記有機溶媒は、アセトニトリル、ニトロエタン、メチルエチルケトン及びエチルアセテートのうち一つ以上を含む、請求項10に記載の回路パターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング液組成物及びこれを用いた回路パターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック、ガラス等の基板上には、電極又は配線材として多様な導電性物質、例えば、金、銀、銅、アルミニウム又はこれらの合金等の金属からなる金属パターンが配置される。
【0003】
回路基板に金属パターンを形成するためには、基板上に金属薄膜を形成し、上記金属薄膜上に所定のパターンを有するレジストパターンを形成し、これをマスクとして金属薄膜をエッチングする。エッチングには、それぞれの金属特性によるエッチング液が用いられる。
【0004】
金属薄膜のエッチングは、エッチング液をノズル噴射して行われる。しかしながら、噴射されるエッチング液の粒子サイズが大きい場合は、形成される金属パターンの側面がエッチングされる側面エッチングが発生して金属パターンの幅が均一ではないという問題が発生する可能性がある。
【0005】
上記問題を設備的な観点で解決するためにノズルから噴射されるエッチング液の粒子サイズを減らして物理的な打撃圧力を高くしようとする二流体噴射方式が提案されているが、設備の製作が困難で設備本体及びユーティリティーの規模が大きくなって設置及び運営費が増加するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特開2002‐299326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、エッチング液組成物及びこれを用いた回路パターンの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態によれば、酸化剤、添加酸及び水を含むエッチング水溶液100重量部と、水より低い粘度を有する有機溶媒5〜40重量部と、を含むエッチング液組成物が提供される。
【0009】
上記有機溶媒は、0.8cP以下の粘度を有することができる。
【0010】
上記エッチング水溶液に含まれた酸化剤の濃度は、上記エッチング水溶液を基準に50〜200g/Lであれば良い。
【0011】
上記エッチング水溶液に含まれた添加酸の濃度は、上記エッチング水溶液を基準に0.1〜5mol/Lであれば良い。
【0012】
上記有機溶媒は、沸点が70℃以上であれば良い。
【0013】
上記有機溶媒は、アセトニトリル、ニトロエタン、メチルエチルケトン及びエチルアセテートのうち一つ以上を含むことができる。
【0014】
上記酸化剤は、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、水酸化第二銅、酢酸第二銅、塩化第二鉄、臭化第二鉄、ヨウ化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄及び酢酸第二鉄のうち一つ以上を含むことができる。
【0015】
上記添加酸は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸及びスルホン酸のうち一つ以上を含むことができる。
【0016】
上記エッチング水溶液は、過酸化水素(H)及び塩素酸ナトリウム(NaClO)のうち一つ以上をさらに含むことができる。
【0017】
本発明の他の形態によれば、金属層を設ける段階と、上記金属層の一面にレジスト層を形成する段階と、上記レジスト層を露光及び現像してレジストパターンを形成する段階と、上記金属層の一面にエッチング液をノズル噴射して金属層をエッチングする金属パターン形成段階と、上記レジストパターンを除去する段階と、を含み、上記エッチング液は、酸化剤、添加酸及び水を含むエッチング水溶液100重量部、及び水より低い粘度を有する有機溶媒5〜40重量部を含む金属のエッチング方法が提供される。
【0018】
上記有機溶媒の粘度は、0.8cP以下であれば良い。
【0019】
上記金属層をエッチングして形成された金属パターンのエッチングファクターは4以上であれば良い。
【0020】
上記エッチング水溶液に含まれた酸化剤の濃度は、上記エッチング水溶液を基準に50〜200g/Lであれば良い。
【0021】
上記エッチング水溶液に含まれた添加酸の濃度は、上記エッチング水溶液を基準に0.1〜5mol/Lであれば良い。
【0022】
上記有機溶媒は、沸点が70℃以上であれば良い。
【0023】
上記有機溶媒は、アセトニトリル、ニトロエタン、メチルエチルケトン及びエチルアセテートのうち一つ以上を含むことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、高いエッチングファクターを有する金属パターンの製造が可能なエッチング液組成物及び上記エッチング液組成物を用いた回路パターンの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法を示すフローチャートである。
図2a】本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法の各段階を示す図である。
図2b】本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法の各段階を示す図である。
図2c】本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法の各段階を示す図である。
図2d】本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法の各段階を示す図である。
図2e】本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法の各段階を示す図である。
図2f】本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法の各段階を示す図である。
図3】エッチングファクターを説明するための金属パターンの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0027】
本発明の一実施形態によるエッチング液組成物は、エッチング水溶液と、有機溶媒と、を含む。
【0028】
上記エッチング水溶液は、酸化剤、添加酸、及び溶媒として水を含む。上記水は、脱イオン水であれば良い。上記水は、回路パターンの形成用であり、例えば、18MΩ/cm以上の脱イオン水であれば良い。
【0029】
本発明の一実施形態によるエッチング液組成物は、銅を含む金属層をエッチングする方法で製造される金属パターンの形成に用いられることができるが、これに制限されるものではない。
【0030】
例えば、本発明の一実施形態によるエッチング液組成物は、金属層上にレジストパターンを形成し、レジストパターンが形成されていない部分の金属層をエッチングして金属パターンを形成する場合に用いられることができる。
【0031】
上記酸化剤は、被エッチング物に含まれた金属の電子を得て被エッチング物を溶かすことができる。例えば、銅で形成された金属層に含まれた銅金属の電子を得て銅層をエッチングすることができる。
【0032】
上記酸化剤は、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、水酸化第二銅、酢酸第二銅、塩化第二鉄、臭化第二鉄、ヨウ化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄及び酢酸第二鉄のうち一つ以上を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、上記エッチング水溶液に含まれた酸化剤の濃度は、エッチング水溶液を基準に50g/L〜200g/Lであれば良い。
【0034】
上記エッチング水溶液に含まれた酸化剤の濃度が50g/L未満の場合は、銅を含む金属層がエッチングされないか又はエッチング速度が遅くなり、200g/Lを超える場合は、エッチング液の粘度が増加しエッチング速度が速くなって工程速度を制御するのが困難になるという問題がある。
【0035】
上記添加酸は、金属層のエッチングのための補助酸化剤として機能することができる。
【0036】
上記添加酸は、通常用いられるものであれば特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸及びスルホン酸のうち一つ以上を含むことができる。
【0037】
上記エッチング水溶液に含まれた添加酸の濃度は、エッチング水溶液を基準に0.1mol/L〜5mol/Lであることが好ましい。上記エッチング水溶液に含まれた添加酸の濃度が0.1mol/L未満の場合は、金属層のエッチング速度が低下してエッチングプロファイルの不良及び残渣が発生する可能性があり、5mol/Lを超える場合は、過エッチングが発生して金属層又はレジストパターンに化学的アタック(attack)が加わる可能性がある。
【0038】
上記有機溶媒は、水(HO)の粘度より低い粘度を有する。本発明の一実施形態によるエッチング液組成物は、上記有機溶媒を上記エッチング水溶液100重量部に対して5〜40重量部含むことができる。
【0039】
上記エッチング液組成物がエッチング水溶液100重量部に対して低粘度有機溶媒を5〜40重量部含むことにより、エッチング液の粘度及び表面張力を低くし、ノズルを用いてエッチング液を噴射するときに噴射されるエッチング液の粒子サイズを減らすことができる。
【0040】
レジストパターンが形成された金属層をエッチングして金属パターンを形成する場合は、レジストパターンの下部に配置された金属層の一部が溶解される側面エッチングが発生する可能性がある。即ち、レジストパターンでカバーされることにより、除去されてはならない部分が側面エッチングによって除去されるため、回路パターンの幅が不均一に形成されるという問題が発生する可能性がある。側面エッチングが発生する場合は、回路パターンの幅が上部に向かって狭くなる形で形成され、回路パターンが微細であるほど側面エッチングの影響が大きくなる可能性がある。
【0041】
垂直方向エッチングに対する側面エッチングの比率は、ノズルから噴射されるエッチング液の粒子サイズが大きくなるほど増加する。
【0042】
しかしながら、本発明の一実施形態によるエッチング液組成物の場合、エッチング液の粘度及び表面張力の減少によりノズルから噴射されるエッチング液の粒子サイズを減少させることができるため、側面エッチングの比率を減少させ、エッチング液の垂直方向打撃による垂直方向エッチングの比率を増加させることができる。
【0043】
上記有機溶媒の含量は、上記エッチング水溶液100重量部に対して5〜40重量部である。上記有機溶媒の含量がエッチング水溶液100重量部を基準に5重量部未満の場合は、有機溶媒の混合効果が小さくて側面エッチング減少率が大きくなく、上記有機溶媒の含量がエッチング水溶液100重量部を基準に40重量部を超える場合は、エッチング速度が減少しエッチング性能が低下するという問題が発生する可能性がある。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、エッチング液組成物におけるエッチング水溶液に対する有機溶媒の混合効果を大きくするために、上記有機溶媒は0.8cP以下の粘度を有することが好ましい。有機溶媒が0.8cP以下の粘度を有する場合、水を溶媒とするエッチング水溶液との混合時にエッチング液の粘度及び表面張力を減少させる効果に優れる。
【0045】
本発明の一実施形態によるエッチング液組成物は、0.8cP以下の粘度を有する有機溶媒を含むことにより、金属層のエッチング時に垂直方向への異方エッチング比率を増加させることができ、形成される金属パターンの高直進性を具現することができる。また、金属層のエッチング時に側面エッチングを減少させて高いエッチングファクター値を有する金属パターンを形成することができる。
【0046】
上記有機溶媒の沸点は50℃以上であれば良い。上記有機溶媒の沸点が50℃未満の場合は、エッチング工程で有機溶媒が蒸発してエッチング液の粘度が上昇するという問題が発生する可能性がある。好ましくは、上記有機溶媒の沸点は70℃以上であれば良い。
【0047】
上記有機溶媒は、粘度が0.8cP以下、沸点が70℃以上であれば特に制限されず、例えば、アセトニトリル、ニトロエタン、メチルエチルケトン及びエチルアセテートのうち一つ以上を含むことができる。
【0048】
アセトニトリルは約0.37cPの粘度と約82℃の沸点を有し、ニトロエタンは約0.68cPの粘度と約114℃の沸点を有する。メチルエチルケトンは約0.43cPの粘度と約80℃の沸点を有し、エチルアセテートは約0.47cPの粘度と約77℃の沸点を有する。
【0049】
有機溶媒のうち低粘度特性を有するが沸点の低い溶媒は、本発明の有機溶媒として用いられるのに適さない。一般にエッチング液を用いた金属層のエッチング工程では、工程効率及び品質問題を考慮してエッチング液を約40℃〜50℃内外に加熱して用いることが多く、この際、沸点の低い有機溶媒が先に蒸発してエッチング液の組成を変化させる可能性がある。また、エッチング液を常温で用いる場合にも、沸点の低い溶媒はエッチング液の保管安定性の面で適さない。
【0050】
上記エッチング液組成物は、用いたエッチング液を再生して再使用するための再生添加剤を選択的にさらに含むことができる。
【0051】
上記再生添加剤は、金属層のエッチング過程で金属層から電子を得て酸化数が減少した酸化剤の酸化数を再度増加させる役割をし、例えば、過酸化水素(H)及び塩素酸ナトリウム(NaClO)のうち一つ以上を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0052】
エッチング液組成物が再生添加剤を含む場合、再生添加剤の濃度は、エッチング水溶液を基準に0.01g/L〜5g/Lであれば良い。
【0053】
上記エッチング液組成物は、アゾール化合物を選択的にさらに含むことができる。
【0054】
アゾール化合物は、分子内に電子を提供できる窒素原子があるため、金属の表面への弱い配位結合が可能である。したがって、形成された回路パターンの側面に存在し且つ側面エッチングを抑制して異方性エッチングを促進させることにより、エッチングファクターをより増加させることができる。上記アゾール化合物は、イミダゾール、トリアゾール及びテトラゾールのうち一つ以上を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0055】
上記アゾール化合物は、特に制限されず、例えば、5‐アミノテトラゾール(aminotetrazole)、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール、4‐アミノ‐4H‐1,2,4‐トリアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾール(imidazole)、インドール(indole)、プリン(purine)、ピラゾール(pyrazole)、ピリジン(pyridine)、ピリミジン(pyrimidine)、ピロール(pyrrole)、ピロリジン(pyrrolidine)、ピロリン(pyrroline)のうち一つ以上を含むことができる。
【0056】
エッチング液組成物がアゾール化合物を含む場合、アゾール化合物の濃度は、エッチング水溶液を基準に0.001g/L〜5g/Lであれば良い。アゾール化合物の濃度が0.001g/L未満の場合は、アゾール化合物の添加効果が現れず、アゾール化合物の濃度が5g/Lを超える場合は、金属エッチング時にエッチング速度が遅くなってエッチング反応が抑制されるため、最終的に形成された回路パターンに短絡が発生する可能性がある。
【0057】
上記エッチング液組成物は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレンオキサイド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリエーテルのうち一つ以上を含む有機物を選択的にさらに含むことができる。上記有機物は、側面エッチングを抑制して異方性エッチングを促進させることができ、好ましくは、エッチング水溶液を基準に0.001g/L〜5g/Lの濃度で含まれることができる。
【0058】
本発明の一実施形態によるエッチング液組成物は、界面活性剤、アミノ酸類化合物、ピリミジン類化合物、チオウレア類化合物、アミン類化合物、アルキルピロリドン類化合物、有機キレート剤化合物、ポリアクリルアミド類化合物、過酸化水素、過硫酸塩のうち一つ以上を含む添加剤を選択的にさらに含むことができる。上記添加剤は、側面エッチング抑制作用が可能であり、好ましくは、エッチング水溶液を基準に0.01g/L〜50g/Lの濃度で含まれることができる。
【0059】
また、上記エッチング液組成物は、金属イオン封鎖剤又は腐食防止剤をさらに含むことができる。
【0060】
次に、本発明の他の実施形態による回路パターンの製造方法について説明する。
【0061】
図1は、本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法を示すフローチャートである。
【0062】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法は、金属層を設ける段階S1と、上記金属層の一面にレジスト層を形成する段階S2と、上記レジスト層を露光及び現像してレジストパターンを形成する段階S3と、上記金属層の一面にエッチング液をノズル噴射して金属層をエッチングする金属パターン形成段階S4と、上記レジストパターンを除去する段階S5と、を含む。
【0063】
図2a〜図2fは、本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法の各段階を示す。
【0064】
図2a〜図2fを参照すると、まず、ベース基板10上に被エッチング材である金属層11を設ける(図2a)。上記金属層11は、ベース基板10の一面又は両面に設けられることができる。次に、上記金属層11の一面にレジスト層12を形成する(図2b)。次に、上記レジスト層12を露光及び現像してレジストパターンを形成する(図2c)。上記レジスト層12の露光は、光源20から出た光を露光マスク13を介して照射して行われることができる。次に、露光によって感光されたレジスト層を現像液を用いて現像してレジストパターン112を形成する(図2d)。
【0065】
次に、レジストパターン112が形成された金属層11を、エッチング液を用いて選択的にエッチングする(図2e)。エッチング液40は、ノズル30を用いて噴射されることができる。噴射されたエッチング液は、レジストパターン112が配置されずに露出した金属層の領域を選択的にエッチングして回路パターンである金属パターン111を形成することができる。
【0066】
次に、金属パターン111を形成した後に上記レジストパターン112を除去する(図2f)。
【0067】
上記エッチング液は、酸化剤、添加酸及び水を含むエッチング水溶液100重量部と、水より低い粘度を有する有機溶媒5〜40重量部と、を含むことができる。
【0068】
上記有機溶媒は、粘度が0.8cP以下であることが好ましく、例えば、アセトニトリル、ニトロエタン、メチルエチルケトン及びエチルアセテートのうち一つ以上を含むことができる。上記有機溶媒の沸点は50℃以上、好ましくは、70℃以上であれば良い。
【0069】
上記エッチング液は上述した本発明の一実施形態によるエッチング液組成物であるため、本実施形態では重複を避けるために詳細な説明を省略する。
【0070】
また、本発明の一実施形態による回路パターンの製造方法により形成された金属パターンのエッチングファクターは4以上であれば良い。
【0071】
図3は、エッチングファクターを説明するための金属パターンの概略断面図である。
【0072】
図3を参照すると、金属パターンの上面の幅をT、金属パターン下面の幅をB、金属パターンの高さをHとしたとき、金属パターンのエッチングファクター(E.F)は、2×H/(B−T)で定義される。或いは、エッチングファクター(E.F)は、上記金属パターンの下面と側面がなす角をθとしたとき、tanθで定義される。
【0073】
上述したように、上記エッチング液は、低い粘度及び表面張力を有するため、ノズルから噴射される時に小さなサイズのエッチング液粒子で噴射されることができる。これにより、垂直方向打撃による異方エッチングを増加させて側面エッチング比率を減少させ、形成される金属パターンの高直進性を具現することができる。
【0074】
実験例1
下記表1は、エッチング液組成物に含まれた有機溶媒の種類によるエッチング液の粘度、及びエッチング液組成物を用いて形成された金属パターンのエッチングファクターを測定した結果を示したものである。
【0075】
まず、銅金属層の厚さが12μmの印刷回路基板(PCB)の基材(100mm×100mm)上にレジストを塗布し乾燥させた後、露光、現像及び洗浄を行って15μmの幅を有するレジストパターンを形成した。上記レジストパターンにおいて隣接したレジストパターン間の間隔は15μmであった。
【0076】
次に、下記表1の組成のようなエッチング液組成物を製造した。
【0077】
サンプル1は、塩化銅(CuCl)、塩酸(HCl)、及び溶媒として残部の水を含むエッチング水溶液を含むが、有機溶媒を含まない比較例である。上記エッチング水溶液には、上記塩化銅が150g/Lの濃度で含まれ、塩酸が50g/Lの濃度で含まれ、溶媒として水(脱イオン水)が用いられた。以下では、サンプル1のエッチング水溶液を第1のエッチング水溶液と称する。
【0078】
サンプル2〜6は、上記第1のエッチング水溶液に有機溶媒をさらに含む実施例である。具体的には、サンプル2は、第1のエッチング水溶液100重量部に対して有機溶媒としてアセトニトリルを20重量部含み、サンプル3は、第1のエッチング水溶液100重量部に対して有機溶媒としてニトロエタンを20重量部含み、サンプル4は、第1のエッチング水溶液100重量部に対して有機溶媒としてメチルエチルケトンを20重量部含み、サンプル5は、第1のエッチング水溶液100重量部に対して有機溶媒としてエチルアセテートを20重量部含む。
【0079】
サンプル6は、150g/Lの塩化銅、50g/Lの塩酸、1g/Lのベンゾトリアゾール、1g/Lのポリエチレングリコール及び溶媒として残部の水を含む第2のエッチング水溶液100重量部と、有機溶媒としてアセトニトリル20重量部と、を含む。
【0080】
製造されたエッチング液組成物を0.2MPaの条件下でスプレーノズルを用いて噴射して金属層のエッチングを行った。エッチングが終わった後、レジストパターンを除去して金属パターン(回路パターン)を得て、各サンプルの粘度とエッチングファクター(E.F)を測定して垂直異方エッチング程度を比較した。
【0081】
【表1】
*:比較例
【0082】
表1を参照すると、0.8cP以下の粘度及び70℃以上の沸点を有する有機溶媒を含むサンプル2〜6は、サンプル1に比べてエッチングファクター(E.F)が約1.7倍以上増加することが確認できる。また、側面エッチングを抑制するベンゾトリアゾールとポリエチレングリコールをそれぞれ1g/Lの濃度でさらに含む第2のエッチング水溶液を用いたサンプル6は、エッチングファクターがさらに向上することが確認できる。
【0083】
したがって、エッチング液のノズル噴射による金属層のエッチング時、サンプル2〜6のエッチング液組成物を用いると、サンプル1に比べ、噴射されるエッチング液の粒子サイズの減少により、高いエッチングファクター値を有する金属パターンを形成することができる。
【0084】
実験例2
下記表2は、エッチング液組成物に含まれた有機溶媒の含量によるエッチング液の粘度、及びエッチング液組成物を用いて形成された金属パターンのエッチングファクターを測定した結果を示したものである。
【0085】
実験例1と同様に、銅金属層の厚さが12μmの印刷回路基板(PCB)の基材(100mm×100mm)上にレジストを塗布し乾燥させた後、露光、現像及び洗浄を行って15μmの幅を有するレジストパターンを形成した。上記レジストパターンにおいて隣接したレジストパターン間の間隔は15μmであった。
【0086】
次に、下記表2の組成のようなエッチング液組成物を製造した。
【0087】
サンプル7は、塩化銅(CuCl)、塩酸(HCl)、ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコール、及び溶媒として水(脱イオン水)を含むエッチング水溶液を含むが、有機溶媒を含まない比較例である。上記エッチング水溶液には、上記塩化銅が150g/Lの濃度で含まれ、塩酸が50g/Lの濃度で含まれ、ベンゾトリアゾールが1g/Lの濃度で含まれ、ポリエチレングリコールが1g/Lの濃度で含まれた。以下では、サンプル7のエッチング水溶液を第3のエッチング水溶液と称する。
【0088】
サンプル8〜13は、上記第3のエッチング水溶液100重量部に対し、有機溶媒を表2に記載の組成でさらに含む。
【0089】
表2の組成で製造されたエッチング液組成物を0.2MPaの条件下でスプレーノズルを用いて噴射して金属層のエッチングを行った。エッチングが終わった後、レジストパターンを除去して金属パターン(回路パターン)を得て、各サンプルの粘度とエッチングファクター(E.F)を測定して垂直異方エッチング程度を比較した。
【0090】
アセトニトリルは、約0.37cPの粘度と約82℃以上の沸点を有する。
【0091】
【表2】
*:比較例
【0092】
表1を参照すると、第3のエッチング水溶液100重量部に対してアセトニトリルを5重量部未満含むサンプル7は、エッチングファクターが4未満であるが、アセトニトリルを5〜40重量部含むサンプル8〜12は、エッチングファクターが4以上と高いことが確認できる。また、サンプル13を参照すると、有機溶媒であるアセトニトリルが40重量部を超える場合はエッチングファクターが再度減少して4未満のエッチングファクターを有することが確認できる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0094】
10 ベース基板
11 金属層
12 レジスト層
13 露光マスク
20 光源
30 ノズル
40 エッチング液
111 金属パターン
112 レジストパターン
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3