【解決手段】測定装置1は、前回の測定時と同じ設定条件で被測定物の繰り返し測定を行うときに、前回の測定時に使用した測定ハードウェア5aに対する設定条件に加え、使用通信方式とレートの情報、測定アプリケーション11毎の必要ポート数の情報、使用した測定ポート5bの情報を含む設定ファイル12と、複数の測定ハードウェア5aの種類と個々の測定ポート5bの能力及び空き状態、使用者を特定する情報を含む測定開始直前の資源の使用状態とを突き合わせることにより測定ハードウェア5aや測定アプリケーション11の競合の有無を検出する資源管理部14を備える。
被測定物の測定内容に応じて装置本体のスロット(S)に着脱可能に装着され、個々に異なる有線系の通信規格に基づく前記被測定物の測定を行うための複数の測定ハードウェア(5a)と、設定内容に応じて前記複数の測定ハードウェアを任意に組み合わせて制御する複数の測定アプリケーション(11)とを備えた測定装置(1)に採用される測定時の競合検出装置であって、
前回の測定時と同じ設定条件で前記被測定物の繰り返し測定を行うときに、前記前回の測定時に使用した前記測定ハードウェアに対する設定条件に加え、使用通信方式とレートの情報、前記測定アプリケーション毎の必要ポート数の情報、使用した測定ポートの情報を含む設定ファイル(12)と、前記複数の測定ハードウェアの種類と個々の測定ポートの能力及び空き状態、使用者を特定する情報を含む測定開始直前の資源の使用状態とを突き合わせて前記測定ハードウェアと前記測定アプリケーションの競合の有無を検出する資源管理部(14)を備えたことを特徴とする測定時の競合検出装置。
前記資源管理部(14)は、前記設定ファイル(12)で使用された測定ハードウェア(5a)が前記スロット(S)に存在して測定ポート(5b)に空きポートがあり、その測定ポートに前記設定ファイルで使用された測定アプリケーション(11)で要求される能力がないと判断したときに、他の全ての空きポートの中に前記測定アプリケーションで要求される能力を有する測定ポートがあれば、その測定ポートの測定ハードウェアを前記測定アプリケーションにより制御して前記被測定物の繰り返し測定を開始することを特徴とする請求項1記載の測定時の競合検出装置。
前記資源管理部(14)は、前記他の全ての空きポートの中に前記設定ファイル(12)で使用された測定アプリケーション(11)で要求される能力を有する測定ポート(5b)がなく、他の全ての使用ポートの中に前記測定アプリケーションで要求される能力を有する測定ポートがあると判断したときに、その使用ポートの測定ハードウェア(5a)により前記設定ファイルに代替する繰り返し測定が可能な旨を表示部(6)に表示することを特徴とする請求項2記載の測定時の競合検出装置。
被測定物の測定内容に応じて装置本体のスロット(S)に着脱可能に装着され、個々に異なる有線系の通信規格に基づく前記被測定物の測定を行うための複数の測定ハードウェア(5a)と、設定内容に応じて前記複数の測定ハードウェアを任意に組み合わせて制御する複数の測定アプリケーション(11)とを備えた測定装置に採用される測定時の競合検出方法であって、
前回の測定時と同じ設定条件で前記被測定物の繰り返し測定を行うときに、前記前回の測定時に使用した前記測定ハードウェアに対する設定条件に加え、使用通信方式とレートの情報、前記測定アプリケーション毎の必要ポート数の情報、使用した測定ポートの情報を含む設定ファイル(12)と、前記複数の測定ハードウェアの種類と個々の測定ポートの能力及び空き状態、使用者を特定する情報を含む測定開始直前の資源の使用状態とを突き合わせて前記測定ハードウェアと前記測定アプリケーションの競合の有無を検出するステップを含むことを特徴とする測定時の競合検出方法。
前記設定ファイル(12)で使用された測定ハードウェア(5a)が前記スロット(S)に存在して測定ポート(5b)に空きポートがあり、その測定ポートに前記設定ファイルで使用された測定アプリケーション(11)で要求される能力がないと判断したときに、他の全ての空きポートの中に前記測定アプリケーションで要求される能力を有する測定ポートがあれば、その測定ポートの測定ハードウェアを前記測定アプリケーションにより制御して前記被測定物の繰り返し測定を開始するステップをさらに含むことを特徴とする請求項4記載の測定時の競合検出方法。
前記他の全ての空きポートの中に前記設定ファイル(12)で使用された測定アプリケーション(11)で要求される能力を有する測定ポート(5b)がなく、他の全ての使用ポートの中に前記測定アプリケーションで要求される能力を有する測定ポートがあると判断したときに、その使用ポートの測定ハードウェア(5a)により前記設定ファイルに代替する繰り返し測定が可能な旨を表示部(6)に表示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5記載の測定時の競合検出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した測定装置のユーザは、同じ設定条件で被測定物の測定を繰り返し行い、この繰り返し測定による測定結果から被測定物の評価を行っている。このため、測定内容に関する設定条件をファイル形式の設定ファイルとして作成し、作成した設定ファイルを保存管理している。尚、設定ファイルは、測定の終了・開始とは無関係に、ユーザの操作により任意のタイミングで生成される。但し、ユーザが必要な設定操作を済ませたことを前提とする。
【0007】
そして、この種の複数の測定ハードウェアと複数の測定アプリケーションを1台の装置に備えた測定装置では、測定アプリケーション毎の測定ハードウェアに対する設定条件に加え、測定アプリケーションと測定ハードウェアとの組合せをどのように設定したかを示す情報を設定ファイルに含める必要があった。
【0008】
また、この種の測定装置の使用形態は、一人のユーザに限定されるものではなく、複数のユーザが共用して個々に所望の測定を行うことが可能であり、測定ハードウェアの増設、取り外し、組み換えも測定内容に応じて自由に行われる。このため、設定ファイルを保存した時と設定ファイルの読み出した時における測定ハードウェアの構成の違い、すなわち、設定ファイルの読み出した時点における測定装置の使用状況によっては、測定アプリケーション間や測定ハードウェア間で競合が起こり得るという問題があった。
【0009】
そして、上述した1台の測定装置により、同じ設定条件で被測定物の測定を繰り返し行う際には、測定装置が設定ファイルを読み出した後、ユーザが測定開始キーを押下することで設定ファイルに設定されている測定アプリケーションが起動して繰り返し測定を開始することになる。
【0010】
しかしながら、上述したように、測定アプリケーション間や測定ハードウェア間で競合があると、設定ファイルの設定内容に基づく測定を行うことができない。このため、個々のユーザは、同一設定条件による被測定物の繰り返し測定を行うに際に、設定ファイルの設定内容と測定ハードウェアの現在の使用状態とを測定前に一つ一つ照らし合わせて確認する必要があった。しかも、測定ハードウェアの現在の使用状態によっては全く同じ設定条件で測定することが困難な場合もある。その場合には、設定ファイルの設定内容を代替できる設定条件に変更する必要があり、測定を再開するまでに時間と手間を要するという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、被測定物の繰り返し測定を開始する前に測定アプリケーション間や測定ハードウェア間の競合の有無を確実に検出することができる測定時の競合検出装置及び競合検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された測定時の競合検出装置は、被測定物の測定内容に応じて装置本体のスロットSに着脱可能に装着され、個々に異なる有線系の通信規格に基づく前記被測定物の測定を行うための複数の測定ハードウェア5aと、設定内容に応じて前記複数の測定ハードウェアを任意に組み合わせて制御する複数の測定アプリケーション11とを備えた測定装置1に採用される測定時の競合検出装置であって、
前回の測定時と同じ設定条件で前記被測定物の繰り返し測定を行うときに、前記前回の測定時に使用した前記測定ハードウェアに対する設定条件に加え、使用通信方式とレートの情報、前記測定アプリケーション毎の必要ポート数の情報、使用した測定ポートの情報を含む設定ファイル12と、前記複数の測定ハードウェアの種類と個々の測定ポートの能力及び空き状態、使用者を特定する情報を含む測定開始直前の資源の使用状態とを突き合わせて前記測定ハードウェアと前記測定アプリケーションの競合の有無を検出する資源管理部14を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載された測定時の競合検出装置は、請求項1の測定時の競合検出装置において、
前記資源管理部14は、前記設定ファイル12で使用された測定ハードウェア5aが前記スロットSに存在して測定ポート5bに空きポートがあり、その測定ポートに前記設定ファイルで使用された測定アプリケーション11で要求される能力がないと判断したときに、他の全ての空きポートの中に前記測定アプリケーションで要求される能力を有する測定ポートがあれば、その測定ポートの測定ハードウェアを前記測定アプリケーションにより制御して前記被測定物の繰り返し測定を開始することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載された測定時の競合検出装置は、請求項2の測定時の競合検出装置において、
前記資源管理部14は、前記他の全ての空きポートの中に前記設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11で要求される能力を有する測定ポート5bがなく、他の全ての使用ポートの中に前記測定アプリケーションで要求される能力を有する測定ポートがあると判断したときに、その使用ポートの測定ハードウェア5aにより前記設定ファイルに代替する繰り返し測定が可能な旨を表示部6に表示することを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載された測定時の競合検出方法は、被測定物の測定内容に応じて装置本体のスロットSに着脱可能に装着され、個々に異なる有線系の通信規格に基づく前記被測定物の測定を行うための複数の測定ハードウェア5aと、設定内容に応じて前記複数の測定ハードウェアを任意に組み合わせて制御する複数の測定アプリケーション11とを備えた測定装置に採用される測定時の競合検出方法であって、
前回の測定時と同じ設定条件で前記被測定物の繰り返し測定を行うときに、前記前回の測定時に使用した前記測定ハードウェアに対する設定条件に加え、使用通信方式とレートの情報、前記測定アプリケーション毎の必要ポート数の情報、使用した測定ポートの情報を含む設定ファイル12と、前記複数の測定ハードウェアの種類と個々の測定ポートの能力及び空き状態、使用者を特定する情報を含む測定開始直前の資源の使用状態とを突き合わせて前記測定ハードウェアと前記測定アプリケーションの競合の有無を検出するステップを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載された測定時の競合検出方法は、請求項4の測定時の競合検出方法において、
前記設定ファイル12で使用された測定ハードウェア5aが前記スロットSに存在して測定ポート5bに空きポートがあり、その測定ポートに前記設定ファイルで使用された測定アプリケーション11で要求される能力がないと判断したときに、他の全ての空きポートの中に前記測定アプリケーションで要求される能力を有する測定ポートがあれば、その測定ポートの測定ハードウェアを前記測定アプリケーションにより制御して前記被測定物の繰り返し測定を開始するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載された測定時の競合検出方法は、請求項5の測定時の競合検出方法において、
前記他の全ての空きポートの中に前記設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11で要求される能力を有する測定ポート5bがなく、他の全ての使用ポートの中に前記測定アプリケーションで要求される能力を有する測定ポートがあると判断したときに、その使用ポートの測定ハードウェア5aにより前記設定ファイルに代替する繰り返し測定が可能な旨を表示部6に表示するステップをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、繰り返し測定の開始が指示されると、前回の測定時の設定ファイルと測定開始直前の資源の使用状態とを突き合わせる競合検出処理により、被測定物の繰り返し測定を開始する前に測定ハードウェアや測定アプリケーションの競合の有無を確実に検出することができる。
【0019】
また、本願請求項2,4に係る発明によれば、測定ハードウェアや測定アプリケーションの競合があった場合でも、その解決案として、設定ファイルと同等の設定条件で被測定物の繰り返し測定を行うことができる。
【0020】
さらに、本願請求項3,6に係る発明によれば、測定ハードウェアや測定アプリケーションの競合があった場合でも、被測定物の繰り返し測定が可能な代替案を表示部に表示してユーザに提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
本発明に係る測定時の競合検出装置及び競合検出方法は、特定の信号方式(例えば、SDH(Synchronous Digital Hierarchy ),PDH(plesiochronous digital hierarchy),OTN(Optical Transport Network ),Ethernet(登録商標)などの有線系の各種通信規格)に基づく被測定物の複数種類の測定を行う機能を1台の装置に備えた測定装置に適用されるものである。
【0024】
そして、本発明が適用される1台の測定装置1は、装置本体をなす筐体に対し、
図1に示すように、操作部2、入出力部3、記憶部4、測定ハードウェア部5、表示部6、処理制御部7を備えている。
【0025】
測定装置1は、装置本体をなす筐体に複数のスロットS(
図1の例では、3つのスロットS1,S2,S3)が設けられており、測定ハードウェア部5の複数の測定ハードウェア5a(測定ハードウェアA、測定ハードウェアB、測定ハードウェアC)が被測定物の測定内容に応じて各スロットS1,S2,S3に対し、任意に着脱交換可能に装着される。
【0026】
操作部2は、装置本体をなす筐体に設けられ、例えば各種キー、スイッチ、ボタンなどで構成される。操作部2は、表示モード時の表示部6の設定画面上において、後述する設定ファイル12の各種設定を行う際に適宜操作される。
【0027】
入出力部3は、例えば外部端末(PCなど)や外部記憶媒体(USBメモリ、外付けハードディスクなど)と接続される外部インターフェースで構成される。入出力部3は、処理制御部7により外部端末や外部記憶媒体との間の情報のやり取りが制御され、後述する設定ファイル12や測定結果ファイル13の入力や出力を行っている。
【0028】
記憶部4は、被測定物の各種測定に必要不可欠な測定アプリケーション11(
図1の例では、2つの測定アプリケーション11a,11b)、設定ファイル12、測定結果ファイル13を記憶している。
【0029】
測定アプリケーション11は、処理制御部7が複数の測定ハードウェア5aを任意に組み合わせて制御する際の被測定物の所定種類の測定(例えば、誤り検出測定、遅延測定、パケット損失測定、スループット測定など)を行うための一連の処理プログラムからなるソフトウェアで構成される。測定アプリケーション11は、測定装置1で測定可能な測定内容の種類毎に設けられる。
図1の例では、測定アプリケーション11(11a,11b)として、測定アプリケーションαと測定アプリケーションβを図示しているが、その数が限定されるものではない。
【0030】
設定ファイル12は、被測定物に対してどんな測定を行いたいかを示すファイルであり、測定装置1によって被測定物の測定を行う際に、被測定物の測定内容に応じて操作部2の操作により適宜設定される情報からなり、記憶部4に一時的に保存記憶される。尚、設定ファイル12は、測定の終了・開始とは無関係に、ユーザの操作により任意のタイミングで生成される。但し、ユーザが必要な設定操作を済ませたことを前提とする。
【0031】
さらに説明すると、設定ファイル12は、基本設定情報、使用通信方式・レート情報、ポート数情報、使用ポート情報から構成される。
【0032】
基本設定情報は、測定ハードウェア5aによる被測定物の測定に必要な測定アプリケーション11(11a,11b)毎の基本的な設定情報からなる。基本設定情報の具体例としては、信号生成基準クロックの選択(内部水晶、又は外部信号取り込み)、SDH/OTNにおける信号多重化階梯の選択、試験用Ethernet(登録商標)フレームのプロトコルスタック構成(例えば、Ethernet(登録商標)の中にIPv4を載せるかIPv6を載せるか、VLANタグを付与するか否か、MPLSラベルを付与するか否かなど)、試験用Ethernet(登録商標)フレームに含まれる各種プロトコルヘッダの内容(例えば、IPアドレスを何にするか、VLANダグやMPLSラベルのIDの値など)、試験用OTN/SDHフレームに含まれる各種オーバーヘッドバイトの内容(例えば、通信事業者コードの付与など)、試験用送信Ethernet(登録商標)フレームの転送レートの設定(例えば、フルワイヤレートに対して何%で送信するか、どのような周期で送信を繰り返すかなど)、試験用疑似ランダムビットシーケンス信号の選択(例えば、PRBS7/PRBS9など)、試験合否判定の閾値、測定結果取得のサンプリング周期などがある。
【0033】
使用通信方式・レート情報は、使用される通信方式(例えば、SDH,PDH,OTN,Ethernet(登録商標)などの有線系の通信規格)と、使用される通信方式のレートに関する情報である。
【0034】
ポート数情報は、使用される測定アプリケーション11で必要とするポート数に関する情報である。
【0035】
使用ポート情報は、使用される測定アプリケーション11により制御される測定ハードウェア5aの各測定ポート5bと紐付けされる論理ポート番号と、使用されるコネクタおよび光トランシーバの種類に関する情報である。
【0036】
尚、上述した設定ファイル12は、同じ設定条件で被測定物の繰り返し測定を行う場合、例えば図示しない外部端末や外部記憶媒体から入出力部3を介して読み出され、記憶部4に一時的に保存記憶される。
【0037】
測定結果ファイル13は、設定内容に基づく測定アプリケーション11により測定ハードウェア5aを制御して実行される被測定物の測定結果に関するファイルであり、設定ファイル12の設定内容に基づく所定サンプリング周期の被測定物の測定結果を示す履歴情報(被測定物の測定結果によるグラフや表の情報を含む)である。
【0038】
測定結果ファイル13は、測定終了時に作成され、被測定物の測定結果に関する情報を測定時の設定ファイル12と紐付けて記憶部4に一時的に保存記憶される。
【0039】
測定ハードウェア部5は、複数の測定ハードウェア5a(
図1の例では、3つの測定ハードウェア5a1,5a2,5a3)を備えている。
【0040】
個々の測定ハードウェア5a(5a1,5a2,5a3)は、測定対象となる被測定物と有線接続される測定ポート5bを備えており、装置本体をなす筐体のスロット1aに対し、測定内容に応じて個々に組み合わせて任意に着脱交換可能に装着される。
【0041】
表示部6は、液晶などの表示装置で構成される。表示部6は、処理制御部7の制御により、操作部2の操作により設定ファイル12の設定内容を適宜設定する際の設定画面の表示、設定ファイル12の設定内容に基づく測定結果の表示などを行っている。
【0042】
処理制御部7は、例えばCPU(Central Processing Unit )やROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等のプロセッサで構成され、操作部2、入出力部3、記憶部4、測定ハードウェア部5、表示部6を統括制御し、ユーザが所望する被測定物の測定を行うように、操作部2からの操作信号の設定や設定ファイル12に基づいて測定ハードウェア部5の測定ハードウェア5aを制御している。
【0043】
また、処理制御部7は、
図1に示すように、後述する
図2のフローチャートに基づく競合検出処理を行う資源管理部14を備えている。資源管理部14は、被測定物に対してどんな測定が行えるかを示す情報として、測定装置1の資源(測定ハードウェア5a、測定ポート5b、使用者などの情報)の使用状況を管理している。
【0044】
資源管理部14は、操作部2の操作により測定開始が指示されると、スロットS(S1,S2,S3)毎の測定ポート5bの空き状態、測定ポート5b毎の使用者情報(IPアドレス)、設定ファイル12の測定アプリケーションに対する各測定ポート5bの能力(アビリティ)情報、スロットS(S1,S2,S3)毎の測定ハードウェア5aの種類を測定装置1における測定開始直前の資源の使用状況として取得し、この取得した資源の使用状況と設定ファイル12の設定内容とを突き合わせて後述する競合検出処理を行っている。
【0045】
尚、
図1において、操作部2と処理制御部7との間、ならびに表示部6と処理制御部7との間はLANで接続される。このLAN接続は、HUB機構により測定装置1の外からも接続可能な構成となっている。また、PCを使ってLAN経由で接続することにより、測定装置1を遠隔操作することができる。そして、使用者情報としてのIPアドレスとは、この外部PCのIPアドレスを意味する。
【0046】
ところで、
図1の例では、操作部2と表示部6を機能的に別々の構成として図示して説明したが、タッチパッドなどの位置入力装置(操作部2に相当)と液晶パネルなどの表示装置(表示部6に相当)を一体化した電子部品からなるタッチパネルで構成すれば、操作部2と表示部6を一つにまとめた構成とすることができる。
【0047】
また、
図1の例では、2つの測定アプリケーション11a,11bと3つの測定ハードウェア5a1,5a2,5a3を備えた構成について図示したが、その数が限定されるものではない。
【0048】
次に、上記のように構成される測定装置1において、被測定物の繰り返し測定を行う際に処理制御部7の資源管理部14が実行する競合検出処理について
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0049】
(競合検出処理)
まず、ユーザは、被測定物の繰り返し測定を行うにあたって、前回測定したときの設定ファイル12が記憶された外部端末や外部記憶媒体を入出力部3に接続する。これにより、処理制御部7は、入出力部3を介して外部端末や外部記憶媒体から設定ファイル12を読み出し(ST1)、読み出した設定ファイル12に基づく測定アプリケーション11を起動し、表示モードに移行する。この表示モードでは、処理制御部7が測定アプリケーション11による測定ハードウェア5aの制御を行わない。
【0050】
そして、資源管理部14は、被測定物の繰り返し測定を行うため、ユーザの操作部2の操作により繰り返し測定の開始が指示されると(ST2)、現在の資源の使用状況により、スロットS(S1,S2,S3)への装着位置に関係なく設定ファイル12で使用された測定ハードウェア5aがスロットS(S1,S2,S3の何れか)に存在するか否かを判別する(ST3)。すなわち、資源管理部14は、設定ファイル12で使用された測定ハードウェア5aがスロットSに物理的に装着されているか否かを判別する。
【0051】
そして、資源管理部14は、設定ファイル12で使用された測定ハードウェア5aがスロットSに存在すると判断すると、存在する測定ハードウェア5aの測定ポート5bとして、設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11で必要な数の空きポートがあるか否かを判別する(ST4)。
【0052】
これに対し、資源管理部14は、設定ファイル12で使用された測定ハードウェア5aがスロットSに存在しないと判断すると、必要な測定ハードウェア5aがスロットSに存在しないことが原因で設定ファイル12の設定条件による測定が不可能である旨を表示部6に警告表示してユーザに知らせる(ST5)。
【0053】
次に、資源管理部14は、存在する測定ハードウェア5aの測定ポート5bに必要数の空きポートがあると判断すると、その空きポートの測定ポート5bが設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力があるか否かを判別する(ST6)。
【0054】
これに対し、資源管理部14は、存在する測定ハードウェア5aの測定ポート5bに必要数の空きポートがないと判断すると、使用している測定ポート5b毎のユーザのIPアドレスを表示部6に表示し、設定ファイル12による測定で必要な測定ハードウェア5aの測定ポート5bが使用中である旨をユーザに知らせる(ST7)。
【0055】
次に、資源管理部14は、空きポートの測定ポート5bが設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力があると判断すると、現在の資源の使用状況が設定ファイル12と同じ設定条件で被測定物の測定が可能であると判断し、その測定アプリケーション11で対象の測定ハードウェア5aを制御して被測定物の繰り返し測定を開始する(ST8)。そして、被測定物の測定が終了すると、そのときの設定ファイル12と測定結果ファイル13を記憶部4に一時的に保存記憶する。この記憶部4に記憶された設定ファイル12と測定結果ファイル13は、操作部2の操作に基づく処理制御部7の制御により、入出力部3を介して外部端末や外部記憶媒体に保存記憶することができる。
【0056】
これに対し、資源管理部14は、空きポートの測定ポート5bが設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力がないと判断すると、別の測定ハードウェア5aにおける必要数の空きポートの測定ポート5bが設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力があるか否かを判別する(ST9)。
【0057】
次に、資源管理部14は、別の測定ハードウェア5aにおける必要数の空きポートの測定ポート5bが設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力があると判断すると、現在の資源の使用状況が設定ファイル12の設定条件を代替する設定条件で被測定物の測定が可能であると判断し、その測定アプリケーション11で対象の測定ハードウェア5aを制御して被測定物の繰り返し測定を開始する(ST8)。そして、被測定物の測定が終了すると、そのときの設定ファイル12と測定結果ファイル13を記憶部4に一時的に保存記憶する。この記憶部4に記憶された設定ファイル12と測定結果ファイル13は、操作部2の操作に基づく処理制御部7の制御により、入出力部3を介して外部端末や外部記憶媒体に保存記憶することができる。
【0058】
これに対し、資源管理部14は、別の測定ハードウェア5aにおける必要数の空きポートの測定ポート5bが設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力がないと判断すると、必要数の使用ポートの測定ポート5bを有する測定ハードウェア5aにおける測定ポート5bが設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力があるか否かを判別する(ST10)。
【0059】
次に、資源管理部14は、必要数の使用ポートの測定ポート5bを有する測定ハードウェア5aにおける測定ポート5bが設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力があると判断すると、必要数の使用ポートの測定ポート5bを有する使用中の測定ハードウェア5aによる被測定物の測定が可能な旨を表示部6に表示し、代替案がある旨をユーザに知らせる(ST11)。
【0060】
これに対し、資源管理部14は、必要数の使用ポートの測定ポート5bを有する測定ハードウェア5aにおける測定ポート5bが設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力がないと判断すると、測定ハードウェア5aの測定ポート5bが設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力がないことが原因で設定ファイル12や代替案による測定が不可能である旨を表示部6に警告表示してユーザに知らせる(ST5)。
【0061】
次に、上述した競合検出処理の具体例について
図3(a)〜(d)を参照しながら説明する。尚、前回の測定では、
図3(a)に示すように、スロットS2に装着された測定ハードウェアBの測定ポート5b(ポート番号1)にSFPの光トランシーバを介して被測定物を接続し、測定アプリケーションαにより1GbpsのEthernet(登録商標)のパケット損失測定を行ったものとする。
【0062】
また、前回の設定ファイル12は、使用通信方式・レート情報が1GbpsのEthernet(登録商標)、ポート数情報がポート数2、使用ポート情報の論理ポート番号(各測定ハードウェア5aの測定ポート5bと仮想的に紐付けされる番号)が1、使用光トランシーバがSFPの光トランシーバに設定されているものとする。
【0063】
さらに、
図3において、測定ハードウェアA,C,Dの各測定ポート5b(ポート番号1,2)は、測定ハードウェアBの測定ポート5b(ポート番号1)に測定アプリケーションαの繰り返し測定で要求される能力と同等以上の能力があるものとする。
【0064】
以上の条件の元に、資源の使用状態が
図3(a)に示す前回の測定時から
図3(b),(c),(d)の何れかに示す状態に変化したときに、前回の測定と同じ設定条件で被測定物の繰り返し測定を行う場合を例にとってそれぞれ説明する。
【0065】
図3(b),(c),(d)の何れかに示す資源の使用状態で前回の測定と同じ設定条件(設定ファイル12)で繰り返し測定を行う場合には、前回の測定時の設定ファイル12と測定開始直前の資源の使用状態(
図3(b),(c),(d)の何れかに示す資源の使用状態)との突き合わせを行い、上述した
図2の競合検出処理を実行する。
【0066】
まず、
図3(b)に示す資源の使用状態では、スロットS1に測定ハードウェアBが装着され、ポート番号1の測定ポート5bが空きポート、ポート番号2の測定ポート5bが使用ポートとなっている。また、スロットS2に測定ハードウェアAが装着され、ポート番号1,2の全ての測定ポート5bが使用ポートとなっている。さらに、スロットS3に測定ハードウェアCが装着され、ポート番号1,2の測定ポート5bが使用ポート、ポート番号3,4の測定ポート5bが空きポートとなっている。
【0067】
図3(b)に示す資源の使用状態では、上述した
図2の競合検出処理の実行により、スロットSの位置が前回の測定と異なるが、設定ファイル12で使用された測定ハードウェアBがスロットS1に装着され、前回の測定で使用したポート番号1の測定ポート5bが空きポートであり、この測定ハードウェアBのポート番号1の測定ポート5bは設定ファイル12の測定アプリケーションαの繰り返し測定で要求される能力があると判断し、設定ファイル12と同じ設定条件で被測定物の繰り返し測定を開始する。
【0068】
次に、
図3(c)に示す資源の使用状態では、スロットS1に測定ハードウェアBが装着され、ポート番号1の測定ポート5bが使用ポート、ポート番号2の測定ポート5bが空きポートとなっている。また、スロットS2に測定ハードウェアDが装着され、ポート番号1,2の全ての測定ポート5bが空きポートとなっている。さらに、スロットS3に測定ハードウェアAが装着され、ポート番号1,2の全ての測定ポート5bが使用ポートなっている。
【0069】
この
図3(c)に示す資源の使用状態では、上述した
図2の競合検出処理により、スロットSの位置が前回の測定と異なり、設定ファイル12で使用された測定ハードウェアBがスロットS1に装着されているが、前回の測定で使用したポート番号1の測定ポート5bが使用ポートであり、このポート番号1の測定ポート5bを使用することができないと判断する。そして、スロットS2に装着されている測定ハードウェアDのポート番号1の全ての測定ポート5bが空きポートとなっており、測定ハードウェアDのポート番号1の測定ポート5bは設定ファイル12の測定アプリケーションαの繰り返し測定で要求される能力があると判断し、代替案として、測定ハードウェアDの何れかのポート番号1の測定ポート5bを使用し、設定ファイル12の設定条件と同様に被測定物の測定が可能である旨を表示部6に表示してユーザに知らせる。
【0070】
図3(d)に示す資源の使用状態では、スロットS1に測定ハードウェアAが装着され、ポート番号1,2の全ての測定ポート5bが使用ポートとなっている。また、スロットS2に測定ハードウェアCが装着され、ポート番号1,2の全ての測定ポート5bが使用ポートとなっている。さらに、スロットS3に測定ハードウェアBが装着され、ポート番号1,2の全ての測定ポート5bが使用ポートとなっている。
【0071】
この
図3(d)に示す資源の使用状態では、上述した
図2の競合検出処理により、スロットSの位置が前回の測定と異なり、設定ファイル12で使用された測定ハードウェアBがスロットS3に装着されているが、前回の測定で使用したポート番号1の測定ポート5bが使用ポートであり、このポート番号1の測定ポート5bを使用することができないと判断する。そして、各スロットS1,S2,S3に装着された測定ハードウェアA,B,Cの全てのポート番号1の測定ポート5bが使用ポートとなっているため代替案がないと判断する。このため、使用中のポート番号1の測定ポート5bを検索し、スロットS1に装着された測定ハードウェアAのポート番号1の測定ポート5b、スロットS2に装着された測定ハードウェアCのポート番号1の測定ポート5b、スロットS3に装着された測定ハードウェアBのポート番号1の測定ポート5bの何れかを使用ポートから空きポートに変更すれば設定ファイル12と同じか同等の設定条件で被測定物の測定が可能である旨を表示部6に表示してユーザに知らせる。
【0072】
尚、
図3(c)に示す資源の使用状態の説明では、機種の違いよりもスロット位置(S2)の違いを優先し、機種は違うが同じ能力なので、前回の測定と同じ場所の測定ハードウェアとして、代替案をユーザに提供しているが、これに限定されるものではない。例えば、スロット位置を優先するか機種を優先するかをユーザが操作部2で選択できるようにし、
図3(c)に示す資源の使用状態の説明において、スロット位置の違いよりも機種の違いを優先して代替案をユーザに提供することもできる。
【0073】
このように、本発明の測定時の競合検出装置及び競合検出方法によれば、有線系の各種通信規格に基づく被測定物の複数種類の測定が可能な1台の測定装置に採用され、同じ設定条件で被測定物の測定を繰り返し行うにあたって、繰り返し測定の開始を指示したときに、前回の測定時の設定ファイル12と、測定開始直前の資源の使用状態とを突き合わせる競合検出処理により、測定ハードウェア5a(5a1,5a2,5a3)や測定アプリケーション11(11a,11b)の競合の有無を確実に検出することができる。そして、競合検出処理の結果が表示部6に表示されるので、測定開始直前に前回の測定時の設定ファイル12によって被測定物の繰り返し測定が可能か否かをユーザに知らせることができる。
【0074】
また、資源管理部14は、設定ファイル12で使用された測定ハードウェア5aがスロットSに存在して測定ポート5bに空きポートがあり、その測定ポート5bに設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力がないと判断したときに、他の全ての空きポートの中に設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力を有する測定ポート5bがあれば、その測定ポート5bの測定ハードウェア5aを測定アプリケーション11により制御して被測定物の繰り返し測定を開始する。これにより、測定ハードウェア5aや測定アプリケーション11の競合があった場合でも、その解決案として、設定ファイル12と同等の設定条件で被測定物の繰り返し測定を行うことができる。
【0075】
さらに、資源管理部14は、他の全ての空きポートの中に設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力を有する測定ポート5bがなく、他の全ての使用ポートの中に設定ファイル12で使用された測定アプリケーション11の繰り返し測定で要求される能力を有する測定ポート5bがあると判断したときに、その測定ポート5bの測定ハードウェア11により設定ファイル12に代替する測定が可能な旨を表示部6に表示する。これにより、測定ハードウェア5aや測定アプリケーション11の競合があった場合でも、被測定物の繰り返し測定が可能な代替案を表示部6に表示してユーザに提供することができる。
【0076】
また、資源管理部14は、前回の測定時の設定ファイル12と、測定開始直前の資源の使用状態とを突き合わせる競合検出処理により、上述した解決案や代替案がなく、被測定物の繰り返し測定が不可能なときに、その原因を表示部6に表示してユーザに知らせることができる。
【0077】
以上、本発明に係る測定時の競合検出装置及び競合検出方法が適用される測定装置の最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。