特開2015-186273(P2015-186273A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015186273-配電線電圧調整装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-186273(P2015-186273A)
(43)【公開日】2015年10月22日
(54)【発明の名称】配電線電圧調整装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/12 20060101AFI20150925BHJP
【FI】
   H02J3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-57811(P2014-57811)
(22)【出願日】2014年3月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】大岩 正裕
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066DA01
(57)【要約】
【課題】配電線電圧を連続的に調整できる配電線電圧調整装置を提供する。
【解決手段】一端が中性点Nに接続されたタップ巻線Wtを備えた単巻変圧器3と、タップ巻線のタップを選択するタップ選択器5を備えたタップ切換器4と、タップ選択器と中性点Nとの間の電圧が分路巻線W1に入力されるとともに、直列巻線W2の一端が出力端子2に接続された誘導電圧調整器6と、直列巻線W2の他端とタップ巻線の素通しタップt4 との間に接続された第1のスイッチ7と、直列巻線の一端とタップ巻線の素通しタップとの間に接続された第2のスイッチ8とを設けて、第1のスイッチ7を投入し,第2のスイッチ8を開放した状態での誘導電圧調整器6による電圧微調整動作と、第1のスイッチ7を開放し,第2のスイッチ8を投入した状態でタップを切換えることにより行う電圧粗調整動作とを組み合わせて、調整対象電圧を目標電圧に正確に一致させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線の途中に設定された電圧調整点で配電線に対して直列に挿入されて配電線電圧を調整する配電線電圧調整装置であって、
前記電圧調整点よりも電源側の配電線に接続される入力端子と、
前記電圧調整点よりも負荷側の配電線に接続される出力端子と、
素通しタップを含む複数のタップを有して一端が中性点に接続されたタップ巻線を備えた単巻変圧器と、
前記入力端子に接続されたタップ選択器を有して該タップ選択器により前記単巻変圧器のタップ巻線のタップを選択するタップ切換器と、
分路巻線を有する回転子と直列巻線を有する固定子とを有して前記タップ選択器と中性点との間の電圧が前記分路巻線に入力されるとともに、前記直列巻線の一端が前記出力端子に接続された誘導電圧調整器と、
前記誘導電圧調整器の直列巻線の他端と前記単巻変圧器のタップ巻線の素通しタップとの間に接続された第1のスイッチと、
前記誘導電圧調整器の直列巻線の一端と前記単巻変圧器のタップ巻線の素通しタップとの間に接続された第2のスイッチと、
を三相の各相に備え、
各相の出力端子と中性点との間の電圧を調整対象電圧として、各相の第1のスイッチを開放し、第2のスイッチを投入した状態で前記調整対象電圧を目標電圧に近づけるように各相のタップ巻線の通電に用いるタップを切り換える電圧粗調整動作と、各相の第1のスイッチを投入し、第2のスイッチを開放した状態で前記目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように前記誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を微調整する電圧微調整動作とを行わせて、前記調整対象電圧を目標電圧に一致させるように、各相の第1及び第2のスイッチとタップ切換器と誘導電圧調整器とを制御する制御部が設けられていることを特徴とする配電線電圧調整装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記目標電圧と調整対象電圧との偏差が前記誘導線圧調整器の電圧調整範囲内にあるときに各相の第1のスイッチを投入し、第2のスイッチを開放した状態で前記目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を調整することにより前記調整対象電圧を目標電圧に一致させる電圧微調整動作を行わせ、前記目標電圧と調整対象電圧との偏差が前記誘導線圧調整器の電圧調整範囲の上限を超えているときには、各相の第1のスイッチを開放し、第2のスイッチを投入した状態で前記目標電圧と調整対象電圧との偏差を前記タップ間電圧以下とするように各相のタップ巻線の通電に用いるタップを切り換える電圧粗調整動作を行った後に、各相の第1のスイッチを投入し、第2のスイッチを開放した状態で前記目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を調整する電圧微調整動作を行わせるように、前記第1及び第2のスイッチとタップ切換器と誘導電圧調整器とを制御することを特徴とする請求項1に記載の配電線電圧調整装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記目標電圧と調整対象電圧との偏差が各相のタップ巻線のタップ間電圧以下であるときに各相の第1のスイッチを投入し、第2のスイッチを開放した状態で前記目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を調整することにより前記調整対象電圧を目標電圧に一致させる電圧微調整動作を行わせ、前記目標電圧と調整対象電圧との偏差が前記タップ巻線のタップ間電圧を超えているときには、各相の第1のスイッチを開放し、第2のスイッチを投入した状態で前記目標電圧と調整対象電圧との偏差を前記タップ間電圧以下とするように各相のタップ巻線の通電に用いるタップを切り換える電圧粗調整動作を行った後に、各相の第1のスイッチを投入し、第2のスイッチを開放した状態で前記目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を調整する電圧微調整動作を行わせるように、前記第1及び第2のスイッチとタップ切換器と誘導電圧調整器とを制御することを特徴とする請求項1に記載の配電線電圧調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電線の途中に設定された電圧調整点で配電線に対して直列に挿入されて配電線電圧を調整する配電線電圧調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電系統に設けられた配電線の電圧は、電源変電所側の端部から負荷側の末端に向かうに従って低下していく。従って、配電線の途中(通常は負荷中心点)に設定された電圧調整点に配電線電圧調整装置を設置して、電圧調整点の電圧を上昇させることにより、配電線の末端の電圧が許容範囲の下限値未満に低下するのを防止している。
【0003】
電圧を調整する手段としては、特許文献1に示されているように、負荷時タップ切換変圧器のタップを切り換えることにより配電線電圧を調整するタップ切換式の自動電圧調整器(SVR:Step Voltage Regulator)が用いられているが、タップ切換式の自動電圧調整器によった場合には、配電線電圧をステップ状にしか調整できないため、電圧調整を行うことができない不感帯が生じ、配電線電圧の調整をきめ細かく行うことができないという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献2に示されているように、誘導電圧調整器を用いて配電線電圧を調整する自動電圧調整装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−156317号公報
【特許文献2】実開昭50−22439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
誘導電圧調整器によれば,電圧調整を連続的に行うことができるが、誘導電圧調整器による場合、最大電圧調整幅を大きくとると機器が大型化するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、誘導電圧調整器の大型化を招くことなく、配電線電圧の調整を連続的に行うことができるようにした配電線電圧調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、配電線の途中に設定された電圧調整点で配電線に対して直列に挿入されて配電線電圧を調整する配電線電圧調整装置を対象とする。
本発明に係る配電線電圧調整装置は、電圧調整点よりも電源側の配電線に接続される入力端子と、電圧調整点よりも負荷側の配電線に接続される出力端子と、素通しタップを含む複数のタップを有して一端が中性点に接続されたタップ巻線を備えた単巻変圧器と、入力端子に接続されたタップ選択器を有して該タップ選択器により単巻変圧器のタップ巻線のタップを選択するタップ切換器と、分路巻線を有する回転子と直列巻線を有する固定子とを有してタップ選択器と中性点との間の電圧が分路巻線に入力されるとともに、直列巻線の一端が出力端子に接続された誘導電圧調整器と、誘導電圧調整器の直列巻線の他端と単巻変圧器のタップ巻線の素通しタップとの間に接続された第1のスイッチと、誘導電圧調整器の直列巻線の一端と単巻変圧器のタップ巻線の素通しタップとの間に接続された第2のスイッチとを三相の各相に備えている。本発明においてはまた、各相の出力端子と中性点との間の電圧を調整対象電圧として、各相の第1のスイッチを開放し、第2のスイッチを投入した状態で前記調整対象電圧を目標電圧に近づけるように各相のタップ巻線の通電に用いるタップを切り換える電圧粗調整動作と、各相の第1のスイッチを投入し、第2のスイッチを開放した状態で前記目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように前記誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を微調整する電圧微調整動作とを行わせて、前記調整対象電圧を目標電圧に一致させるように、各相の第1及び第2のスイッチとタップ切換器と誘導電圧調整器とを制御する制御部が設けられている。
【0009】
本発明の一態様では、上記制御部が下記の(1)及び(2)の制御を行うように第1及び第2のスイッチと誘導電圧調整器とタップ切換器とを制御する。
(1)目標電圧と調整対象電圧との偏差が誘導線圧調整器の電圧調整範囲内にあるときに各相の第1のスイッチを投入し、第2のスイッチを開放した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を調整することにより調整対象電圧を目標電圧に一致させる電圧微調整動作を行わせる。
(2)目標電圧と調整対象電圧との偏差が前記誘導線圧調整器の電圧調整範囲の上限を超えているときには、各相の第1のスイッチを開放し、第2のスイッチを投入した状態で前記目標電圧と調整対象電圧との偏差を前記タップ間電圧以下とするように各相のタップ巻線の通電に用いるタップを切り換える電圧粗調整動作を行った後に、各相の第1のスイッチを投入し、第2のスイッチを開放した状態で前記目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を調整する電圧微調整動作を行わせる
【0010】
本発明の他の態様では、上記制御部が下記の(1)′及び(2)′の制御を行うように第1及び第2のスイッチと誘導電圧調整器とタップ切換器とを制御する。
(1)′目標電圧と調整対象電圧との偏差が各相のタップ巻線のタップ間電圧以下であるときに各相の第1のスイッチを投入し、第2のスイッチを開放した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を調整することにより調整対象電圧を目標電圧に一致させる電圧微調整動作を行わせる。
(2)′目標電圧と調整対象電圧との偏差がタップ巻線のタップ間電圧を超えているときには、各相の第1のスイッチを開放し、第2のスイッチを投入した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差を前記タップ間電圧以下とするように各相のタップ巻線の通電に用いるタップを切り換える電圧粗調整動作を行った後に各相の第1のスイッチを投入し、第2のスイッチを開放した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を調整する電圧微調整動作を行わせる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タップ巻線を有する単巻変圧器と、通電に用いるタップ巻線のタップを選択するタップ選択器を有するタップ切換器と、タップ選択器と中性点との間の電圧が分路巻線に入力され、直列巻線の一端が出力端子に接続された誘導電圧調整器と、誘導電圧調整器の直列巻線とタップ巻線の素通しタップとの間の回路をオンオフする第1及び第2のスイッチとを設けて、タップ巻線のタップの切換により配電線電圧の粗調整を行い、誘導電圧調整器により配電線電圧の微調整を行うことにより、配電線電圧を目標電圧に一致させることができるようにしたため、不感帯をなくして、きめの細かい電圧調整を行うことができる。また誘導電圧調整器は、最低限タップ巻線の1タップ間の電圧に相当する電圧調整幅を有していればよいため、誘導電圧調整器の大形化を招くことなく、きめの細かい電圧調整を行うことができる配電線電圧調整装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の1相分の構成を示した回路図である。
図2】本発明の実施形態で用いる制御部の構成例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明に係る配電線電圧調整装置の一相分の構成を示したものである。同図において、1は、配電系統の電圧調整点よりも電源側の配電線に接続される入力端子、2は電圧調整点よりも負荷側の配電線に接続される出力端子、Nは中性点である。
【0014】
また、3は素通しタップt4を含む複数のタップt1〜t7を有して一端が中性点Nに接続されたタップ巻線Wtを備えて、三相のタップ巻線(図には1相分のタップ巻線のみが示されている。)が星形結線された単巻変圧器、4は、入力端子1に接続されたタップ選択器5を有して、該タップ選択器により単巻変圧器3のタップ巻線Wtの通電に用いるタップを選択するタップ切換器である。
【0015】
また6は、分路巻線W1を有する回転子6Aと、直列巻線W2を有する固定子6Bとを備えた誘導電圧調整器である。誘導電圧調整器6の分路巻線W1の一端及び他端はそれぞれ入力端子1及び中性点端子に接続され、タップ選択器5と中性点Nとの間に印加された配電線電圧が分路巻線W1に入力されている。また誘導電圧調整器の直列巻線W2の一端は出力端子2に接続されている。本実施形態では、誘導電圧調整器6の回転子6Aを操作する電動機11が設けられていて、電動機11を制御して回転子6Aの回転角度を調整することにより、直列巻線W2の両端の電圧を調整することができるようになっている。
【0016】
誘導電圧調整器6の直列巻線W2の他端と単巻変圧器のタップ巻線Wtの素通しタップt4との間に第1のスイッチ7が接続され、誘導電圧調整器6の直列巻線W2の一端と単巻変圧器のタップ巻線Wtの素通しタップt4との間に第2のスイッチ8が接続されている。出力端子2と中性点Nとの間には、該出力端子2と中性点Nとの間の電圧を調整対象電圧として検出する、計器用電圧変成器等の電圧検出器9が接続され、電圧検出器9により検出される調整対象電圧を目標に一致させるように第1及び第2のスイッチ7及び8と、タップ切換器4と、誘導電圧調整器6とを制御する制御部10が設けられている。
【0017】
制御部10は、各相の出力端子と中性点との間の電圧を調整対象電圧として、各相の第1のスイッチ7を開放し、第2のスイッチ8を投入した状態で電圧検出器9により検出される調整対象電圧を設定された目標電圧に近づけるように各相のタップ巻線の通電タップ(通電に用いるタップ)を切り換える電圧粗調整動作と、各相の第1のスイッチ7を投入し、第2のスイッチ8を開放した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように誘導電圧調整器6の回転子6Aを操作する電動機11を制御して、誘導電圧調整器6の直列巻線W2の両端の電圧を微調整する電圧微調整動作とを行わせて、調整対象電圧を目標電圧に一致させるように、各相の第1及び第2のスイッチ7及び8とタップ切換器4と誘導電圧調整器6とを制御する。
【0018】
上記制御部10は、例えば、設定された目標電圧と電圧検出器9により検出された調整対象電圧との偏差が誘導線圧調整器6の電圧調整範囲内にあるときに各相の第1のスイッチ7を投入し、第2のスイッチ8を開放した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように,各相の誘導電圧調整器6の回転子を操作する電動機11を制御して、各相の誘導電圧調整器6の直列巻線W2の両端の電圧を調整することにより調整対象電圧を目標電圧に一致させる電圧微調整動作を行わせ、目標電圧と調整対象電圧との偏差が誘導線圧調整器6の電圧調整範囲の上限を超えているときには、各相の第1のスイッチ7を開放し、第2のスイッチ8を投入した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差をタップ間電圧以下とするように各相のタップ巻線の通電タップを切り換える電圧粗調整動作を行った後に、各相の第1のスイッチ7を投入し、第2のスイッチ8を開放した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように,各相の誘導電圧調整器の直列巻線の両端の電圧を調整する電圧微調整動作を行わせるように構成される。
【0019】
上記制御部は、例えば、図2に示したように、電圧検出器9により検出される調整対象電圧と目標電圧との偏差ΔVを演算する偏差演算手段10Aと、偏差演算手段10Aが演算した偏差を誘導電圧調整器6の電圧調整範囲と比較する電圧比較手段10Bと、電圧比較手段10Bにより目標電圧と調整対象電圧との偏差が誘導電圧調整器の電圧調整範囲以下であると判定されたときに各相の第1のスイッチ7を投入するとともに第2のスイッチ8を開放し、電圧比較手段10Bにより目標電圧と調整対象電圧との偏差が誘導電圧調整器6の電圧調整範囲を超えていると判定されたときに各相の第1のスイッチ7を開放するとともに第2のスイッチ8を投入するように第1のスイッチ7及び第2のスイッチ8を制御するスイッチ制御部10Cと、電圧比較手段10Bにより目標電圧と調整対象電圧との偏差が誘導電圧調整器6の電圧調整範囲以下であると判定されたときに目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器6の回転子を操作する電動機11を制御する誘導電圧調整器制御部10Dと、電圧比較手段10Bにより、目標電圧と調整対象電圧との偏差がタップ巻線Wtのタップ間電圧を超えていると判定された時に、目標電圧と調整対象電圧との偏差をタップ間電圧以下とするように各相のタップ巻線の通電に用いるタップを切り換えて、タップ切換動作を完了したときに誘導電圧調整器制御部に制御指令を与えるタップ切換制御部10Eとを備えることにより構成することができる。これらの各部は、マイクロプロセッサに所定のプログラムを実行させることにより実現することができる。
【0020】
上記のように構成すると、タップ巻線3のタップの切換により配電線電圧の粗調整を行い、誘導電圧調整器6により配電線電圧の微調整を行って、配電線電圧を目標電圧に一致させることができるため、不感帯をなくして、きめの細かい電圧調整を行うことができる。
【0021】
上記の制御部はまた、目標電圧と調整対象電圧との偏差が各相のタップ巻線のタップ間電圧以下であるときに各相の第1のスイッチ7を投入し、第2のスイッチ8を開放した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器6の直列巻線W2の両端の電圧を調整することにより調整対象電圧を目標電圧に一致させる電圧微調整動作を行わせ、目標電圧と調整対象電圧との偏差がタップ巻線Wtのタップ間電圧を超えているときには、各相の第1のスイッチ7を開放し、第2のスイッチ8を投入した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差をタップ間電圧以下とするように各相のタップ巻線の通電に用いるタップを切り換える電圧粗調整動作を行った後に、各相の第1のスイッチ7を投入し、第2のスイッチ8を開放した状態で目標電圧と調整対象電圧との偏差を零にするように各相の誘導電圧調整器6の直列巻線W2の両端の電圧を調整する電圧微調整動作を行わせるように構成してもよい。
【0022】
上記のように構成すると、誘導電圧調整器6は、タップ巻線Wtの1タップ間の電圧に相当する電圧調整幅を有していればよい。例えば、配電線電圧が6600[V]で、タップ巻線のタップ間電圧が100[V]である場合,誘導電圧調整器6の電圧調整範囲は100[V]でよい。従って、誘導電圧調整器6の大形化を招くことなく、きめの細かい電圧調整を行うことができる配電線電圧調整装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 入力端子
2 出力端子
3 単巻変圧器
4 タップ切換器
5 タップ選択器
6 誘導電圧調整器
7 第1のスイッチ
8 第2のスイッチ
9 電圧検出器
10 制御部
11 誘導電圧調整器の回転子を操作する電動機
Wt タップ巻線
t4 素通しタップ
N 中性点
図1
図2