【解決手段】(a)β‐アミラーゼ、(b)ジグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはトリグリセリン脂肪酸エステル、(c)アルカリ性塩類を含有することを特徴とする水産練り製品用品質改良剤。
(a)β‐アミラーゼ、(b)ジグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはトリグリセリン脂肪酸エステル、(c)アルカリ性塩類を含有することを特徴とする水産練り製品用品質改良剤。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いられるβ‐アミラーゼとしては、食品加工用に市販されている品質のものであれば特に制限はない。該β‐アミラーゼとしては、例えばβ‐アミラーゼ#1500S(ナガセケムテックス社製)、β‐アミラーゼ(東京化成工業社製)などが商業的に製造・販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0009】
本発明で用いられるジグリセリン脂肪酸エステルは、ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応など自体公知の方法で製造される。
【0010】
上記ジグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられるジグリセリンとしては、通常グリセリンに少量の酸またはアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば約180℃以上の温度で加熱し、重縮合反応させて得られるグリセリンの平均重合度が約1.5〜2.4、好ましくは平均重合度が約2.0のジグリセリン混合物が挙げられる。また、ジグリセリンはグリシドールまたはエピクロルヒドリンなどを原料として得られるものであっても良い。反応終了後、必要であれば中和、脱塩、脱色などの処理を行ってよい。
【0011】
本発明においては、上記ジグリセリン混合物を、例えば蒸留またはカラムクロマトグラフィーなど自体公知の方法を用いて精製し、グリセリン2分子からなるジグリセリンを約50質量%以上、好ましくは約85質量%以上に高濃度化した高純度ジグリセリンが、好ましく用いられる。
【0012】
上記ジグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられる脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸など)または不飽和脂肪酸(例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ‐リノレン酸、α‐リノレン酸、アラキドン酸、リシノール酸、縮合リシノール酸など)が挙げられ、好ましくは炭素数12〜18の飽和または不飽和脂肪酸から選ばれる1種または2種以上の脂肪酸の混合物である。
【0013】
本発明で用いられるジグリセリン脂肪酸エステルの好ましい製法の概略は次の通りである。例えば、撹拌機、加熱用のジャケット、邪魔板などを備えた通常の反応容器に、ジグリセリンと脂肪酸とをモル比で約1:0.8〜1:1.6、好ましくは約1:1で仕込み、触媒として水酸化ナトリウムを加えて撹拌混合し、窒素ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で加熱する。反応温度は通常、約180〜260℃の範囲、好ましくは約200〜250℃の範囲である。また、反応圧力条件は減圧下または常圧下で、反応時間は約0.5〜15時間、好ましくは約1〜3時間である。反応の終点は、通常反応混合物の酸価を測定し、酸価約12以下を目安に決められる。
得られた反応液は、未反応の脂肪酸、未反応のジグリセリン、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル、ジグリセリンジ脂肪酸エステル、ジグリセリントリ脂肪酸エステル、ジグリセリンテトラ脂肪酸エステルなどを含む混合物である。反応終了後、得られた反応液を約120℃以上180℃未満、好ましくは約130〜150℃に冷却し、次いで酸を加えて触媒を中和し、好ましくは約15分間〜1時間放置し、未反応のジグリセリンを含むポリオールが下層に分離した場合はそれを除去し、ジグリセリン脂肪酸エステルが得られる。
【0014】
該ジグリセリン脂肪酸エステルは、モノエステル体の含有量が通常約30%以上50%未満のものであるが、所望により、該ジグリセリン脂肪酸エステルを、例えば流下薄膜式分子蒸留装置または遠心式分子蒸留装置などを用いて分子蒸留するか、またはカラムクロマトグラフィーもしくは液液抽出など自体公知の方法を用いて精製することにより、モノエステル体の含有量が約50%以上、好ましくは約70%以上のジグリセリン脂肪酸エステルを得ることができる。
【0015】
本発明で用いられるジグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポエムDO‐100V(商品名;理研ビタミン社製:モノエステル体含有量約80%)が商業的に製造・販売されており、本発明ではこれを用いることができる。
【0016】
本発明で用いられるトリグリセリン脂肪酸エステルは、トリグリセリンと脂肪酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応など自体公知の方法で製造される。
【0017】
上記トリグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられるトリグリセリンとしては、通常グリセリンに少量の酸またはアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば約180〜260℃の温度で加熱し、重縮合反応させて得られるグリセリンの平均重合度が約2.5〜3.4、好ましくは平均重合度が約3.0のトリグリセリン混合物が挙げられる。また、トリグリセリンはグリシドールまたはエピクロルヒドリンなどを原料として得られるものであっても良い。反応終了後、所望により中和、脱塩、または脱色などの処理を行ってよい。
【0018】
本発明においては、上記トリグリセリン混合物を、例えば蒸留またはカラムクロマトグラフィーなど自体公知の方法を用いて精製し、グリセリン3分子からなるトリグリセリンを約50質量%以上、好ましくは約85質量%以上に高濃度化した高純度トリグリセリンが、好ましく用いられる。
【0019】
上記トリグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられる脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸など)または不飽和脂肪酸(例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ‐リノレン酸、α‐リノレン酸、アラキドン酸、リシノール酸、縮合リシノール酸など)が挙げられ、好ましくは炭素数12〜18の飽和または不飽和脂肪酸から選ばれる1種または2種以上の脂肪酸の混合物である。
【0020】
本発明で用いられるトリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい製法の概略は次の通りである。例えば、撹拌機、加熱用のジャケット、邪魔板などを備えた通常の反応容器に、トリグリセリンと脂肪酸とをモル比で約1:0.8〜1:1.6、好ましくは約1:1で仕込み、触媒として水酸化ナトリウムを加えて撹拌混合し、窒素ガス雰囲気下で、エステル化反応により生成する水を系外に除去しながら、所定温度で加熱する。反応温度は通常、約180〜260℃の範囲、好ましくは約200〜250℃の範囲である。また、反応圧力条件は減圧下または常圧下で、反応時間は約0.5〜15時間、好ましくは約1〜3時間である。反応の終点は、通常反応混合物の酸価を測定し、酸価約12以下を目安に決められる。得られた反応液は、未反応の脂肪酸、未反応のトリグリセリン、トリグリセリンモノ脂肪酸エステル、トリグリセリンジ脂肪酸エステル、トリグリセリントリ脂肪酸エステル、トリグリセリンテトラ脂坊酸エステルなどを含む混合物である。反応終了後、得られた反応液を約120℃以上180℃未満に冷却し、次いで酸を加えて触媒を中和し、好ましくは約15分間〜1時間放置し、未反応のトリグリセリンを含むポリオールが下層に分離した場合はそれを除去するのが好ましい。
【0021】
次に、上記反応液を、必要なら冷却して、約60℃以上180℃未満、好ましくは約120℃以上180℃未満、更に好ましくは約130〜150℃に保ち、反応仕込み時のトリグリセリンと脂肪酸の合計質量の約0.5〜10倍量、好ましくは約0.5〜5倍量のグリセリンを添加する。反応液とグリセリンを良く混合した後、その温度で約0.5時間以上、好ましくは約1〜10時間放置し、二相に分離した下層(未反応のトリグリセリンを含むグリセリン相)を抜き取るか、または遠心分離し、未反応のトリグリセリンを含むグリセリン相を除去するのが好ましい。反応液に対するグリセリンの添加量が少ないと未反応のトリグリセリンの除去が不十分となる。また、グリセリンの添加量が多すぎると、グリセリン相の分離と除去に時間がかかり、生産性の低下を招き好ましくない。
【0022】
上記処理により得られたトリグリセリン脂肪酸エステルは、モノエステル体の含有量が通常約30%以上50%未満のものであるが、所望により、該トリグリセリン脂肪酸エステルを、例えば流下薄膜式分子蒸留装置または遠心式分子蒸留装置などを用いて分子蒸留するか、またはカラムクロマトグラフィーもしくは液液抽出など自体公知の方法を用いて精製することにより、モノエステル体の含有量が約50%以上、好ましくは約70%以上のトリグリセリン脂肪酸エステルを得ることができる。
【0023】
本発明で用いられるトリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポエムTRP‐97RF(商品名;理研ビタミン社製:モノエステル体含有量約80%)が商業的に製造・販売されており、本発明ではこれを用いることができる。
【0024】
ここで、本発明で用いられるジリグリセリン脂肪酸エステルおよびトリグリセリン脂肪酸エステルについてモノエステル体の含有量は、下記分析条件にてHPLCを用いて分析することにより求められる。具体的には、ジリグリセリン脂肪酸エステルまたはトリグリセリン脂肪酸エステルを下記HPLC分析条件で分析後、データ処理装置によりクロマトグラム上に記録された被検試料の各成分に対応するピークについて、積分計を用いてピーク面積を測定し、測定されたピーク面積に基づいて、面積百分率としてモノエステル体の含有量を求めることができる。
【0025】
[HPLC分析条件]
装置 島津高速液体クロマトグラフ
データ処理ソフトウェア(型式:LCsolution ver.1.0;島津製作所社製)
ポンプ(型式:LC‐20AD;島津製作所社製)
カラムオーブン(型式:CTO‐20A;島津製作所社製)
オートサンプラ(型式:SIL‐20A;島津製作所社製)
検出器 RI検出器(型式:RID‐10A;島津製作所社製)
カラム GPCカラム(型式:SHODEX KF‐801;昭和電工社製)
カラム GPCカラム(型式:SHODEX KF‐802;昭和電工社製)
2本連結
移動相 THF(テトラヒドロフラン)
流量 1.0mL/min
カラム温度 40℃
サンプル濃度 0.01g/1mLTHF
サンプル注入量 20μL(in THF)
【0026】
本発明で用いられるアルカリ性塩類としては、アルカリ性を呈する物質であって食品添加物として使用可能な塩類であれば特に制限はなく、アルカリ性を呈する有機酸または無機酸の塩類が好ましく用いられる。アルカリ性塩類としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウムなどが挙げられ、好ましくは、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムである。これらアルカリ性塩類は、1種または2種以上を組合わせて用いることができる。
【0027】
本発明の水産練り製品用品質改良剤に配合される(a)β‐アミラーゼ、(b)ジグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはトリグリセリン脂肪酸エステル、(c)アルカリ性塩類の量に特に制限はなく、例えば水産練り製品用品質改良剤100質量%中の配合量は、(a)β‐アミラーゼは力価15000AuN/g(1AuN/gは試料1gにおいて40℃、10分間の反応で1mgのグルコースに相当する還元力を生成するに要する量)として約0.001〜50質量%、好ましくは約0.2〜40質量%であり、(b)ジグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはトリグリセリン脂肪酸エステルは約0.01〜5質量%、好ましくは約0.2〜2質量%であり、(c)アルカリ性塩類は約0.1〜99.9質量%、好ましくは約5〜90質量%である。
【0028】
本発明の水産練り製品用品質改良剤には、本発明の目的を阻害しない範囲で他の任意の成分を含んでも良く、動植物性蛋白(粉末卵白、大豆蛋白など)、増粘安定剤(アラビアガム、アルギン酸など)、糖類(ブドウ糖、ショ糖など)、でん粉(コーンスターチ、タピオカでん粉など)、酵素(リジルオキシダーゼ、グルコアミラーゼなど)などを配合することができる。
【0029】
本発明の水産練り製品用品質改良剤の製造方法としては、(a)β‐アミラーゼ、(b)ジグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはトリグリセリン脂肪酸エステル、(c)アルカリ性塩類と、所望により用いる動植物性蛋白、増粘安定剤、糖類、でん粉、酵素などのその他の原材料を均一に混合できる方法であれば特に制限はない。混合する方法としては例えば、60℃以上に加熱して溶解した(b)ジグリセリン脂肪酸エステルおよび/またはトリグリセリン脂肪酸エステルを、他の原材料と混合する方法が挙げられる。当該方法で混合する際、他の原材料を約40〜50℃に加温したものを用いることが好ましい。
【0030】
本発明の水産練り製品用品質改良剤を含有する水産練り製品も、本発明の形態の一つである。該水産練り製品とは、魚肉すり身、その他副原料を用いて製造される食品であり、例えばかまぼこ、ちくわ、さつま揚げ、なると、魚肉ソーセージなどが挙げられる。
【0031】
本発明の水産練り製品の製造方法としては特に制限はなく、例えば水産練り製品用品質改良剤を添加した魚肉すり身または魚肉すり身と副原料を、練り合わせて最終商品の形態に合わせて成形し、所望により座り工程をとった後、蒸煮、焙焼、湯煮、油ちょうなどの加熱をすることにより水産練り製品が得られる。
【0032】
本発明の水産練り製品に用いられる魚肉すり身の魚種としては、例えば、スケソウタラ、グチ、パシフィックホワイティング、タチウオ、キントキダイ、イトヨリダイ、ヒメジ、エソ、ヒレコダイ、ホッケなどが挙げられる。
【0033】
本発明の水産練り製品に用いられる副原料としては、一般に水産練り製品に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、動植物性蛋白、増粘安定剤、糖類、でん粉、酵素、調味料(アミノ酸、有機酸、発酵調味料、魚介エキス、食塩など)、食用油脂などが挙げられる。
【0034】
本発明の水産練り製品用品質改良剤の水産練り製品への添加量は、魚肉すり身に対し、約0.001〜10.0質量%、好ましくは約0.05〜2.0質量%である。
【0035】
斯くして得られた水産練り製品は、弾力に優れている。特に、座り工程が充分に取られないかにかまぼこ、ちくわ、さつま揚げの製造に有効である。
【0036】
以下に本発明を実施例で説明するが、これは本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0037】
<水産練り製品用品質改良剤の作製>
(1)水産練り製品用品質改良剤の原材料
β‐アミラーゼ(商品名:β‐アミラーゼ#1500S;ナガセケムテックス社製 酵素の力価15000AuN/g)
ジグリセリン脂肪酸エステル(商品名:ポエムDO‐100V;理研ビタミン社製)
トリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:ポエムTRP‐97RF;理研ビタミン社製)
炭酸ナトリウム(商品名:炭酸ナトリウム;高水製薬社製)
クエン酸ナトリウム(商品名:クエン酸ナトリウム;ナガセサンバイオ社製)
コーンスターチ(商品名:コーンスターチ;キリン協和フーズ社製)
【0038】
(2)水産練り製品用品質改良剤の配合
上記原材料を用いて作製した水産練り製品用品質改良剤の配合組成を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
(3)水産練り製品用品質改良剤の作製
表1に示した配合の2倍量の各原材料をフードプロセッサー(型式:MK‐K48P:パナソニック社製)を使用して2分間混合して、水産練り製品用品質改良剤(実施例品1〜4、比較例品1〜6)を作製した。なお、原材料のうち、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステルについては、ステンレスビーカーを使用して湯煎をおこない、60℃に加温して溶解したものを用いた。β-アミラーゼ、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよびコーンスターチについては、各原材料を混合し、恒温槽で当該混合物の品温が50℃に達するまで加温したものを用いた。
【0041】
<水産練り製品用品質改良剤の評価>
水産練り製品用品質改良剤を用いてケーシングかまぼこを作製し、得られたケーシングかまぼこの官能評価を行った。
(1)ケーシングかまぼこの原材料
スケソウタラのすり身(商品名:冷凍すり身;広瀬水産社製、陸上2級)
馬鈴薯でん粉(商品名:松谷かめ;松谷化学社製)
食塩
冷水
【0042】
(2)ケーシングかまぼこの作製
[試作品1、3]
スケソウタラのすり身200gを−5℃に調温後、フードプロセッサー(型式:MK‐K48P;パナソニック社製)にて粗ずりを行い、その後、食塩4gと水産練り製品用品質改良剤(実施例品1または3のいずれか)0.12gを加え1分間塩ずりを行った。次いで馬鈴薯でん粉4g、冷水80gを加え、10℃になるまで本ずりを行った。本ずり後、混合物をビニール袋にとり、真空包装機(型式:V‐380G;東静電気社製)で脱気を行いかまぼこ用生地を作製した。かまぼこ用生地240gを直ちにそれぞれ直径約20mmの塩化ビニリデンのケーシングに充填した。座り工程を取らずに充填後すぐに蒸煮釜(型式:ESH‐40HC型;アイディー技研社製)を用いて95℃45分間蒸煮し、蒸煮終了後冷水中で30分間冷却し、ケーシングかまぼこ(試作品1、3)を得た。
【0043】
[試作品2、4〜10]
水産練り製品用品質改良剤(実施例品1または3のいずれか)0.12gに代えて、水産練り製品用品質改良剤(実施例品2または4もしくは比較例品1〜6のいずれか)0.6gを加えた以外は試作品1,3と同様の処理を行い、ケーシングかまぼこ(試作品2、4〜10)を得た。
【0044】
(3)官能評価の方法
得られたケーシングかまぼこ(試作品1〜10)の食感(弾力)についての官能評価を、下記表2に示す評価基準に従い10名のパネラーでおこなった。また、結果はそれぞれ10名の評価点の平均値として求め、下記基準にて記号化した。結果を表3に示す。
記号化
◎ : 平均値2.5以上
〇 : 平均値2.0以上2.5未満
△ : 平均値1.5以上2.0未満
× : 平均値1.5未満
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
結果より、実施例品を用いた試作品の食感は、弾力があった。特に、実施例品1および2を用いた試作品1および2は、優れた弾力であった。一方、比較例品を用いた試作品の食感は、弾力が得られなかった。