特開2015-186564(P2015-186564A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 久保 一雄の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-186564(P2015-186564A)
(43)【公開日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】建物用清掃具
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/24 20060101AFI20151002BHJP
   A47L 13/256 20060101ALI20151002BHJP
【FI】
   A47L13/24 A
   A47L13/256
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-256932(P2014-256932)
(22)【出願日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-50953(P2014-50953)
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514064660
【氏名又は名称】久保 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】久保 一雄
【テーマコード(参考)】
3B074
【Fターム(参考)】
3B074AA01
3B074AA02
3B074AA07
3B074AB01
3B074EE01
(57)【要約】
【課題】不用意に上部回転体が回転して拭布がたるまないこと。
【解決手段】拭布を上部回転体から下部回転体に順次送って該拭布の拭取り面を変える建物用清掃具であって、下部回転体は、その重心が上下方向に変位する断面形状であり、上部回転体は下部回転体が拭布の巻取り動作に連動して又は手動で回転可能であり、下部回転体が拭布で拭取り対象面を拭取る時には、上部回転体に設けられた係止手段又はラチェット手段のいずれかによって該上部回転体の自由回転が阻止され、一方、拭布の拭取り面を変える際に、下部回転体から拭布を介して所定以上の回転トルクが上部回転体に加わった場合に係止手段の係合が解かれ又は上部回転体を手動で軸方向へ引くことによりラチェット手段の係合が解かれる建物用清掃具。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の下端部側に下部横軸を介して軸支され、かつ拭取り対象面に対して選択的に面接触する複数の水平接触面を有する下部回転体と、この下部回転体に対して所要の間隙を有して前記支持体の上端部側に上部横軸を介して軸支された上部回転体と、前記支持体の上壁部に設けられたハンドルとから成り、拭布を前記上部回転体から前記下部回転体に順次送って該拭布の拭取り面を変える建物用清掃具であって、
前記下部回転体は、その重心が上下方向に変位する断面形状であり、また前記上部回転体は前記下部回転体が前記拭布の巻取り動作に連動して回転可能であり、前記下部回転体が拭布で前記拭取り対象面を拭取る時には、前記上部回転体に設けられた係止手段によって該上部回転体の自由回転が阻止され、一方、前記拭布の拭取り面を変える際に、前記下部回転体から前記拭布を介して所定以上の回転トルクが上部回転体に加わった場合に前記係止手段の係合が解かれる建物用清掃具。
【請求項2】
請求項1に於いて、下部回転体も上部回転体と同様に係止手段を備え、該下部回転体が拭布で拭取り対象の面を拭取る時には、前記係止手段によって該下部回転体の自由回転が阻止され、一方、前記拭布の拭取り面を変える際に、前記下部回転体に所定以上の回転トルクが加わった場合に前記係止手段の係合が解かれることを特徴とする建物用清掃具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に於いて、下部回転体の断面形状の外郭線が、略正三角形、略正四角形、略トラック形状の楕円形のいずれかであることを特徴とする建物用清掃具。
【請求項4】
請求項1に於いて、少なくとも上部横軸は支持体から取外し可能に横設軸架されていることを特徴とする建物用清掃具。
【請求項5】
支持体の下端部側に下部横軸を介して軸支され、かつ拭取り対象面に対して選択的に面接触する複数の水平接触面を有する下部回転体と、この下部回転体に対して所要の間隙を有して前記支持体の上端部側に一体的に設けられた横長筒状の上部横軸を介して軸支された上部回転体と、前記支持体の上壁部に設けられたハンドルとから成り、拭布を前記上部回転体から前記下部回転体に順次送って該拭布の拭取り面を変える建物用清掃具であって、前記下部回転体は、その重心が上下方向に変位する断面形状であり、また前記上部回転体は前記下部回転体が前記拭布の巻取り動作に連動して回転可能であり、前記下部回転体が拭布で前記拭取り対象面を拭取る時には、前記上部回転体に設けられた一方の係止手段と、該一方の係止手段に係合する他方の係合手段によって該上部回転体の自由回転が阻止され、一方、前記拭布の拭取り面を変える際に、前記横長筒状の上部横軸に貫通状態に嵌挿されていると共に前記他方の係合手段を有し、かつ前記支持体の一側壁から突出する長杆状操作棒の操作端部を付勢手段の付勢力に抗してプッシュすると、前記他方の係合手段と前記一方の係止手段との係合が解かれ、前記上部回転体は前記拭布を送り出すことができる建物用清掃具。
【請求項6】
支持体の下端部側に下部横軸を介して軸支され、かつ拭取り対象面に対して選択的に面接触する複数の水平接触面を有する下部回転体と、この下部回転体に対して所要の間隙を有して前記支持体の上端部側に上部横軸を介して軸支された上部回転体と、前記支持体の上壁部に設けられたハンドルとから成り、拭布を前記上部回転体から前記下部回転体に順次送って該拭布の拭取り面を変える建物用清掃具であって、前記下部回転体は、その重心が上下方向に変位する断面形状であり、また前記上部回転体はラチェット歯と係合爪とから成るラチェット手段を備え、前記下部回転体が拭布で前記拭取り対象面を拭取る時には、前記ラチェット手段により該上部回転体の回転が完全に阻止され、一方、前記拭布の拭取り面を変える際に、前記上部回転体を付勢手段の付勢力に抗して軸方向に位置変位させることにより、前記ラチェット歯と係合爪との係合状態が解かれ、該上部回転体を自由に回転させることができる建物用清掃具。
【請求項7】
支持体の下端部側に下部横軸を介して軸支され、かつ拭取り対象面に対して選択的に面接触する複数の水平接触面を有する下部回転体と、この下部回転体に対して所要の間隙を有して前記支持体の上端部側に上部横軸を介して軸支された上部回転体と、前記支持体の上壁部に設けられたハンドルとから成り、拭布を前記上部回転体から前記下部回転体に順次送って該拭布の拭取り面を変える建物用清掃具であって、前記下部回転体は、その重心が上下方向に変位する断面形状であり、また前記上部回転体は前記支持体側に設けた一方の係合手段と係脱可能な他方の係合手段を有し、前記下部回転体が拭布で前記拭取り対象面を拭取る時には、前記両者の係合手段の係合状態により該上部回転体の回転が完全に阻止され、一方、前記拭布の拭取り面を変える際に、前記上部回転体を付勢手段の付勢力に抗して軸方向に位置変位させることにより、前記両者の係合手段の係合状態が解かれ、該上部回転体を自由に回転させることができる建物用清掃具。
【請求項8】
請求項1、請求項5、請求項6、請求項7のいずれかに於いて、支持体に上部回転体と下部回転体との間に位置する拭布の非巻装部位のたるみを防止するために、前記非巻装部位の外面を押付ける指先状又は水平棒状のいずれかに形成された押圧体を備える「たるみ防止用手段」を設けたことを特徴とする建物用清掃具。
【請求項9】
請求項1、請求項5、請求項6、請求項7のいずれかに於いて、支持体に上部回転体と下部回転体との間に位置する拭布の非巻装部位のたるみを防止するために、前記非巻装部位の外面を押付ける棒状或いはパイプ状の押圧体を備える「たるみ防止用手段」を設け、該たるみ防止用手段は、支持体に基端部がそれぞれ軸支された左右一対の突出腕と、これらの突出腕の先端部の突起部分にその下端部が連結された上下或いは傾斜方向を指向する左右一対の支持棒と、これらの支持棒の上端部側に嵌合する左右一対の嵌合筒と、これらの嵌合筒に回転自在に軸支されていると共に、前記拭布の非巻装部位を略水平接触状態で押圧する前記棒状或いはパイプ状の押圧体と、一端部が前記支持体に取付けられ、その他端部が前記突出腕の先端部側に取付けられていていると共に、該突出腕を前記拭布の非巻装部位の方向へと付勢する左右一対の第1付勢手段とから成ることを特徴とする建物用清掃具。
【請求項10】
請求項1、請求項5、請求項6、請求項7のいずれかに於いて、支持体に上部回転体と下部回転体との間に位置する拭布の非巻装部位のたるみを防止するために、前記非巻装部位の外面を押付ける指先状に形成された押圧部位を備える「たるみ防止用手段」を設け、該たるみ防止用手段は、支持体に基端部がそれぞれ軸支された左右一対の突出腕と、これらの突出腕の先端部の突起部分にその下端部が連結された上下或いは傾斜方向を指向する左右一対の支持棒と、これらの支持棒の上端部側に嵌合する左右一対の嵌合筒と、これらの嵌合筒の上端部の内面に形成された前記押圧部位と、一端部が前記支持体に取付けられ、その他端部が前記突出腕の先端部側に取付けられていていると共に、該突出腕を前記拭布の非巻装部位の方向へと付勢する左右一対の第1付勢手段とから成ることを特徴とする建物用清掃具。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に於いて、嵌合筒の下端部に支持棒の上端部側がスライド可能に嵌挿し、前記嵌合筒の下端部と突出腕の先端部の突起部分との間には第2付勢手段が設けられ、下部回転体で拭取り対象面を拭取る時に於いて、ハンドルを拭取り対象面側へ押下げることによって前記突出腕の先端部側が拭布の非巻装部位側に位置変位し、該位置変位量に対応して支持棒の上端部側が前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記嵌合筒の下端部にさらに入り込むことを特徴とする建物用清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の床面や壁面を拭取る建物用清掃具に関し、例えば棒状、枠状、T字形状等のハンドルを握って、雑巾に相当する拭布を前後に操作しながら前記建物の床面の雑巾がけを楽にすることができる建物用清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「横三角柱状の拭き取り体の両端の中央部に穴を設け、前記穴に角形状の支軸を嵌挿すると共に、該支軸の頂部に柄を設け、前記拭き取り体を回転させることにより、該拭き取り体の外周の三面を利用する掃除用三角モップ」が開示されている。
この特許文献1は、汚れた床面を拭くときに、拭き取り体の停止面である外周の三面をそれぞれ利用することができるので、汚れた雑巾の洗う回数を減らすことができるという優れた効果があるものの、その構造は、あくまでもモップ形式なので、例えば長尺状拭布の拭取り面を順次拭き取り体の拭取り面(床面に接触する面)に対して変えることができないという問題点があった。
【0003】
特許文献2は、「拭き布Fを順次送って拭き取り面を変える清掃用具であって、棒状のハンドル部材2と、多角柱形状の拭き布台30と、該ハンドル部材の前面側に位置し、拭き布Fを狭持できる第1狭持部材20と、該ハンドル部材の背面側に位置し、拭き布Fを狭持できる第2狭持部材25とを備え、前記拭き布台30は、柱軸がハンドル部材2の伸延方向に略直交するように、かつ、柱軸を中心に回転可能なように、該ハンドル部材の先端近傍に取り付けられており、該ハンドル部材2は、長手方向にそれぞれ伸延する第1ガイド6と第2ガイド7とを有し、該第1狭持部材20は、該拭き布台30と略平行に延びるとともに、該第1ガイド6に沿ってスライド可能であって、該第2狭持部材25は、該拭き布台30と略平行に延びるとともに、該第2ガイド7に沿ってスライド可能な清掃用具」が開示されている(符号は特許文献2のもの)。
【0004】
この特許文献2は、特許文献1の問題点を解消し、拭き布Fを順次送って拭き取り面を変えることができる。しかしながら、前記拭き布Fは、例えばタオルの如く所定長であり、第1狭持部材20をハンドル部材2の上方方向へ位置変位させることにより、該拭き布Fの拭取り面が変わる形式なので、床面を拭取った後の汚れた拭取り面が常に拭き布台30の前方側に露出して見た目が良くない、汚れた拭取り面から汚れが落ちる、拭き布Fの長さや拭取り面の範囲が、紐状の連結部材35を案内するスリーブ部材9の上下動の範囲に限定される等の問題点があった。
【0005】
特許文献3には、水平床部2及び該水平床部の先端部並びに後端部に設けられた前後一対の垂直土手部3、3を有する上向きコ字形状のベース板(台本体)1と、該ベース板1の前記前方の垂直土手部3の前面に配設され、かつロール状の拭取り布の一端部側を巻装する前方巻取り軸、一方、前記ベース板1の後方の垂直土手部3の内面側に配設され、かつ前記拭取り布の他端部側を巻装する後方送り出し軸、前記ベース板1の前記水平床部2の略中央部の上方に位置し、前記前方巻取り軸に巻装されている状態の拭取り布の上部外周及び前記後方送り出し軸に巻装されている状態の拭取り布の上部外周の両方を同時に押え付ける枠状の押え部材とから成る清掃具」が開示されている(符号は特許文献3のもの)。
【0006】
この特許文献3は、前方巻取り軸と後方送り出し軸(合計2つの拭取り軸)とを備えているので、ロール状の拭取り布を使用することができるという利点を有するものの、拭取り布の拭取り面積が必要以上に大きくなる、拭取り時に枠状の押え部材を操作してロール状の拭取り布を固定しなければならない、清掃時に2つの拭取り軸を同時にスライドさせる操作力が必要である、拭取り布の拭取り面を変えるのが面倒である、拭取り布をセットするのが面倒である等の問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−88842号公報
【特許文献2】特開2008−12154号公報
【特許文献3】実用新案登録第3042237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の主たる目的は、拭き取り体が転がり位置によって位置エネルギーに変化するという特許文献1の利点(本願発明では、拭取り時における下部回転体の回転防止)及びハンドルを操作する際に拭布がたるむのを係止機構により防止するという特許文献2の利点(本願発明では、ハンドルの操作時における上部回転体の回転防止)、その他、清掃時に下部回転体のみをスライドさせる操作力で足りる、ハンドルの引き操作の際、下部回転体にその一部が巻装されている拭布の引張力によって上部回転体が拭布を送り出す方向へ回転しないようにする等の利点を得ながら、芯材としての下部回転体の抜布の接触面を連続的に巻取りながら、清掃時、抜布を交換しながら或いは抜布を芯材から外さなくても、幅広い面積を容易に清掃することができることである。また、上部回転体に巻き付けられた拭布の回転終了時まで該拭布を雑巾として最大限に活用することができることである。
本願発明の第2目的は、ハンドルを前後に操作した時、位置エネルギーに変化のみならず、係止機構(摩擦機構も含む)により下部回転体に所定以上の回転トルクが掛からない限り、該下部回転体も容易に回転しないようにすることである。また拭布を容易に送り出すことができることであること。その他の目的は、従属項の構成要件が請求項1の構成に加味された時、例えば拭布巻装の上部回転体を支持体に簡単に脱着することができること、上部回転体にロール状に巻装された拭布を該上部回転体が回転可能な範囲まで使用すること、拭布の非巻装部位のたるみを確実に防止し得ること等が発明の課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の建物用清掃具は、支持体の下端部側に下部横軸を介して軸支され、かつ拭取り対象面に対して選択的に面接触する複数の水平接触面を有する下部回転体と、この下部回転体に対して所要の間隙を有して前記支持体の上端部側に上部横軸を介して軸支された上部回転体と、前記支持体の上壁部に設けられたハンドルとから成り、拭布を前記上部回転体から前記下部回転体に順次送って該拭布の拭取り面を変える建物用清掃具であって、前記下部回転体は、その重心が上下方向に変位する断面形状であり、また前記上部回転体は前記下部回転体が前記拭布の巻取り動作に連動して回転可能であり、前記下部回転体が拭布で前記拭取り対象面を拭取る時には、前記上部回転体に設けられた係止手段によって該上部回転体の自由回転が阻止され、一方、前記拭布の拭取り面を変える際に、前記下部回転体から前記拭布を介して所定以上の回転トルクが上部回転体に加わった場合に前記係止手段の係合が解かれることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
また本発明の建物用清掃具は、支持体の下端部側に下部横軸を介して軸支され、かつ拭取り対象面に対して選択的に面接触する複数の水平接触面を有する下部回転体と、この下部回転体に対して所要の間隙を有して前記支持体の上端部側に一体的に設けられた横長筒状の上部横軸を介して軸支された上部回転体と、前記支持体の上壁部に設けられたハンドルとから成り、拭布を前記上部回転体から前記下部回転体に順次送って該拭布の拭取り面を変える建物用清掃具であって、前記下部回転体は、その重心が上下方向に変位する断面形状であり、また前記上部回転体は前記下部回転体が前記拭布の巻取り動作に連動して回転可能であり、前記下部回転体が拭布で前記拭取り対象面を拭取る時には、前記上部回転体に設けられた一方の係止手段と、該一方の係止手段に係合する他方の係合手段によって該上部回転体の自由回転が阻止され、一方、前記拭布の拭取り面を変える際に、前記横長筒状の上部横軸に貫通状態に嵌挿されていると共に前記他方の係合手段を有し、かつ前記支持体の一側壁から突出する長杆状操作棒の操作端部を付勢手段の付勢力に抗してプッシュすると、前記他方の係合手段と前記一方の係止手段との係合が解かれ、前記上部回転体は前記拭布を送り出すことができることを特徴とする(請求項5)。
【0011】
また本発明の建物用清掃具は、支持体の下端部側に下部横軸を介して軸支され、かつ拭取り対象面に対して選択的に面接触する複数の水平接触面を有する下部回転体と、この下部回転体に対して所要の間隙を有して前記支持体の上端部側に上部横軸を介して軸支された上部回転体と、前記支持体の上壁部に設けられたハンドルとから成り、拭布を前記上部回転体から前記下部回転体に順次送って該拭布の拭取り面を変える建物用清掃具であって、前記下部回転体は、その重心が上下方向に変位する断面形状であり、また前記上部回転体はラチェット歯と係合爪とから成るラチェット手段を備え、前記下部回転体が拭布で前記拭取り対象面を拭取る時には、前記ラチェット手段により該上部回転体の回転が完全に阻止され、一方、前記拭布の拭取り面を変える際に、前記上部回転体を付勢手段の付勢力に抗して軸方向に位置変位させることにより、前記ラチェット歯と係合爪との係合状態が解かれ、該上部回転体を自由に回転させることができることを特徴とする(請求項6)。
【0012】
さらに、本発明の建物用清掃具は、支持体の下端部側に下部横軸を介して軸支され、かつ拭取り対象面に対して選択的に面接触する複数の水平接触面を有する下部回転体と、この下部回転体に対して所要の間隙を有して前記支持体の上端部側に上部横軸を介して軸支された上部回転体と、前記支持体の上壁部に設けられたハンドルとから成り、拭布を前記上部回転体から前記下部回転体に順次送って該拭布の拭取り面を変える建物用清掃具であって、前記下部回転体は、その重心が上下方向に変位する断面形状であり、また前記上部回転体は前記支持体側に設けた一方の係合手段と係脱可能な他方の係合手段を有し、前記下部回転体が拭布で前記拭取り対象面を拭取る時には、前記両者の係合手段の係合状態により該上部回転体の回転が完全に阻止され、一方、前記拭布の拭取り面を変える際に、前記上部回転体を付勢手段の付勢力に抗して軸方向に位置変位させることにより、前記両者の係合手段の係合状態が解かれ、該上部回転体を自由に回転させることができることを特徴とする(請求項7)。
【0013】
上記構成に於いて、支持体に上部回転体と下部回転体との間に位置する拭布の非巻装部位のたるみを防止するために、前記非巻装部位の外面を押付ける指先状又は水平棒状のいずれかに形成された押圧体を備える「たるみ防止用手段」を設けたことを特徴とする(請求項8)。そして、好ましくは、前記たるみ防止用手段は、支持体に基端部がそれぞれ軸支された左右一対の突出腕と、これらの突出腕の先端部の突起部分にその下端部が連結された上下或いは傾斜方向を指向する左右一対の支持棒と、これらの支持棒の上端部側に嵌合する左右一対の嵌合筒と、これらの嵌合筒に回転自在に軸支されていると共に、前記拭布の非巻装部位を点的或いは指面的、或いは又略水平線的のいずれかで押圧する前記嵌合筒に直接形成された押圧部位或いは前記嵌合筒とは別体の押圧体と、一端部が前記支持体に取付けられ、その他端部が前記突出腕の先端部側に取付けられていていると共に、該嵌合筒の下端部に支持棒の上端部側がスライド可能に嵌挿し、前記嵌合筒の下端部と突出腕の先端部の突起部分との間には第2付勢手段が設けられ、下部回転体で拭取り対象面を拭取る時に於いて、ハンドルを拭取り対象面側へ押下げることによって前記突出腕の先端部側が拭布の非巻装部位側に位置変位し、該位置変位量に対応して支持棒の上端部側が前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記嵌合筒の下端部にさらに入り込むことを特徴とする突出腕を前記拭布の非巻装部位の方向へと付勢する左右一対の第1付勢手段とから成ることを特徴とする(請求項9、請求項10)。さらに、好ましくは、嵌合筒の下端部に支持棒の上端部側がスライド可能に嵌挿し、前記嵌合筒の下端部と突出腕の先端部の突起部分との間には第2付勢手段が設けられ、下部回転体で拭取り対象面を拭取る時に於いて、ハンドルを拭取り対象面側へ押下げることによって前記突出腕の先端部側が拭布の非巻装部位側に位置変位し、該位置変位量に対応して支持棒の上端部側が前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記嵌合筒の下端部にさらに入り込むことを特徴とする(請求項11)。
【発明の効果】
【0014】
(a)請求項1に記載の発明は、拭き取り体としての下部回転体の外観形状が転がり位置によって位置エネルギーに変化するように形状なので、ハンドルを前後に操作しても容易に回転しない。付言すると、下部回転体の縦断面形状が、該下部回転体の下部横軸の軸芯(重心)が上下運動するような形状なので、容易に回転しない。また上部回転体が係止機構を備えているので、不用意に上部回転体が回転して拭布がたるむことがない。加えて、清掃時に下部回転体のみをスライドさせる操作力で足りる、上部回転体に巻き付けられた拭布の回転終了時まで該拭布を雑巾として最大限に活用することができる等の効果がある。付言すると、芯材としての下部回転体の抜布の接触面を連続的に巻取りながら、清掃時、抜布を交換しながら或いは抜布を芯材から外さなくても、幅広い面積を容易に清掃することができる。
(b)請求項2に記載の発明は、下部回転体も上部回転体と同様に係止手段を備えているので、下部回転体は容易に回転しない。しかしながら、ハンドルを前後に操作することが望ましいので、下部回転体の前記係止手段は、摩擦やクリック状態となるような係合状態が望ましい。
(c)請求項3に記載の発明は、下部回転体の断面形状の外郭線が、略正三角形、略正四角形、略トラック形状のいずれかであるから、上記(a)の効果を得ることができる実施形態として最も望ましい。
(d)請求項4に記載の発明は、少なくとも上部横軸は支持体から取外し可能に横設軸架されているので、拭布巻装の上部回転体を支持体に簡単に脱着することができる。もちろん、下部回転体も上部回転体と同様に支持体から取り外すことができる実施形態の場合には、汚れた拭布を簡単に洗濯することができる。
(e)請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明と同様の効果があると共に、上部回転体に巻装されている拭布を送り出す場合には、操作棒の操作端部を付勢手段の付勢力に抗してプッシュすると、該上部回転体用の係合手段の係合が簡単に外れるので、係合解消の状態を保持しながら上部回転体を回し、該上部回転体の拭布を容易に送り出すことができる。
(f)請求項6に記載の発明は、拭き取り体としての下部回転体の外観形状が転がり位置によって位置エネルギーに変化するように形状なので、ハンドルを前後に操作しても容易に回転しない。付言すると、下部回転体の縦断面形状が、該下部回転体の下部横軸の軸芯(重心)が上下運動するような形状なので容易に回転しない。またハンドルを引いた時における上部回転体の回転を完全に阻止する手段(例えばラチェット手段)を備えているので、清掃時のみならず運搬時に於いても、上部回転体に巻装されている拭布が全くたるむことがない。加えて、上部回転体に巻き付けられた拭布の回転終了時まで該拭布を雑巾として最大限に活用することができる。
(g)請求項7に記載の発明は、上部回転体を付勢手段の付勢力に抗して軸方向に引くと、固定側部材に相当する支持体に一体的な設けられた一方の係合手段としての係合爪(34B)から、可動側部材としての外筒に軸受けを介して一体的に設けられた他方の係合手段としてのラチェット歯(35A)が離れるので、該外筒を引いたままの状態で拭布を送り出すことができる。その他、請求項1に記載の発明と同様の効果がある。
(h)請求項8乃至請求項10に記載の発明は、たるみ防止用手段の指先状形態の押圧部位又は水平棒状形態の押圧体によって、拭布の非巻装部位の外面をその内面方向へと押圧するので、例えばハンドルを手前に倒し、前記拭布の非巻装部位が曲面状にたるむ状態になっても、該拭布の非巻装部位の「たるみ」を確実に防止することができる。また押圧体が、好ましくは水平棒の形態の場合には、拭布の非巻装部位の外面を横一端から横他端に至るまで略均等状態に押え付けることができる。
(i)請求項11に記載の発明は、拭布の非巻装部位yが内側に「曲面状にたるんでも」、拭布の非巻装部位yに十分な張力を与えることができる。すなわち、ハンドルを床面方向に下方に押下げた場合、突出腕の先端部側が拭布の非巻装部位側に位置変位し、該位置変位量に対応して支持棒の上端部側が前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記嵌合筒の下端部にさらに入り込むので、拭布の非巻装部位に十分な張力を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1乃至図12は本発明の第1実施形態を示す各説明図、図13乃至図16は本発明の第2実施形態を示す各説明図(上部回転体の回転防止手段)、図17は本発明の第3実施形態を示す説明図(上部横軸)、図18は本発明の第4実施形態を示す説明図(ハンドル)、図19は本発明の第5実施形態を示す説明図(下部回転体)、図20は本発明の第6実施形態を示す説明図(下部回転体)、図21及び図22は本発明の第2実施形態の設計変形例を示す各説明図(第7実施形態)。図23乃至図27は本発明の第8実施形態を示す各説明図。図28乃至図30は本発明の第9実施形態を示す各説明図、図31乃至図33は本発明の第10実施形態を示す各説明図である。
図1】正面図。
図2】右側面図。
図3図1の3−3線概略断面説明図。
図4図1の4−4線断面図。
図5図1の5−5線断面図。
図6】支持体を含む下部回転体の分解説明図。
図7】支持体を含む上部回転体の分解説明図。
図8】斜視図。
図9】要部(下部回転体と上部回転体の要部の外観構成)の説明図。
図10】使用状態(ハンドルを押し操作して下部回転体を前方方向に移動させた状態)の説明図。
図11】使用状態(ハンドルを引き操作して下部回転体を後方方向に移動させた状態)の説明図。
図12】下部回転体を時計回転させて拭布を巻き取る説明図。
図13】第2実施形態の図5と同様の断面図。
図14図13の14−14線断面図。
図15】ラチェット歯の概略説明図。
図16】係止爪がラチェット歯の単数又は複数の係合歯を乗り越える概略説明図。
図17】本発明の第3実施形態を示す説明図(上部横軸)。
図18】本発明の第4実施形態を示す説明図(ハンドルの脱着)。
図19】本発明の第5実施形態を示す説明図(下部回転体)。
図20】本発明の第6実施形態を示す説明図(下部回転体)。
図21】本発明の第2実施形態の設計変形例を示す図5と同様の断面図(係合爪がラチェット歯に係合)。
図22図21に於いて、上部回転体を軸方向に移動させて係合爪とラチェット歯との係合を解いた概略断面説明図。
図23】本発明の第8実施形態の右側面視からの下部回転体を含む要部を示す説明図。
図24】背面視からの下部回転体を含む要部を示す説明図。
図25】裏返した状態の下部回転体を含む要部を示す説明図。
図26】要部(たるみ防止用手段)の説明図。
図27】ハンドルを拭取り対象面側へ押下げた場合の要部の説明図。
図28】本発明の第9実施形態を示す図24と同様の説明図。
図29】本発明の第9実施形態を示す図25と同様の説明図。
図30】要部(たるみ防止用手段)の説明図。
図31】本発明の第10実施形態を示す概略断面説明図。
図32図31の32−32線断面図。
図33】操作棒の操作端部をプッシュし、係合手段の係合状態を解いた状態の概略断面説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1乃至図12は、本発明の第1実施形態である。これらの図に於いて、Xは建物の床面、壁面、ガラス面等の拭取り対象面の汚れを拭取る際に用いられる建物用清掃具、1はハンドル部材を構成する支持体(支持部)、2はハンドル部材を構成するハンドル、3はハンドル部材の前記支持体(支持部)1の下端部側に軸架された下部横軸、4は前記下部横軸に設けられた下部回転体、5は所要の間隙、6は前記支持体1の上端部側に軸架された上部横軸、7は前記上部横軸に設けられた上部回転体、8は前記下部回転体に設けられた下方固定手段、9は前記上部回転体に設けられた上方固定手段である。図1は正面図、図2は右側面図であるが、ここでは図8の斜視図を参照にして、実施形態の基本的構成態様を説明する(意匠上の基本的構成態様)。
【0017】
建物用清掃具Xの全体が、下向き「コ」字状の支持体1の上壁部1aの中央部に棒状のハンドル2を垂直に設け、前記支持体1の上壁部1aの左右端部に下方に連設する一対の支持腕1b、1bの下端部に下方横軸3を介して略三角柱の下部回転体4を横設し、この下部回転体4に対して拭布が回転できるように所要の間隙5を有して前記一対の支持腕1b、1bの上端部側に上部横軸6を介して略円柱の上部回転体7を平行状態に横設したものである。
【0018】
上記基本的構成態様は、意匠自体としても新規な外観構成であるが、該基本的構成態様に内在する技術的思想は次の通りである。すなわち、本発明の建物用清掃具Xは、「支持体1の下端部側に下部横軸3を介して軸支され、かつ拭取り対象面Fに対して選択的に面接触する複数の水平接触面4a、4b、4cを有する下部回転体4と、この下部回転体に対して所要の間隙5を有して前記支持体1の上端部側に上部横軸6を介して軸支された上部回転体7と、前記支持体1の上壁部1aに設けられたハンドル2とから成り、拭布Yを前記上部回転体7から前記下部回転体4に順次送って該拭布の拭取り面を変えるもの」である(例えば図3を参照)。
【0019】
したがって、支持体1の外観形状が下向き「コ」字状であること、ハンドル2が棒状であること、下部回転体4の外観形状が略三角柱であること、上部回転体7の外観形状が略円柱であること、さらには下部回転体4及び上部回転体7の内部構造は、発明の課題を逸脱しない範囲で任意に設計変更することができる事項である。付言すると、例えば支持体1の上壁部1aを屋根形状にする、ハンドル2の握り部分に相当する上端部を「T」字形状にする、ハンドル2の取付け基端部に相当する下端部を二股状にする、ハンドル2を折り畳み式にする、ハンドル2を分割式にする、ハンドル2を伸縮式にする、下部回転体4の外観形状を多角形ではなく、適当な楕円形状にする、上部回転体7の外観形状を略円柱ではなく、略多角形にする等に設計変更しても、本発明の課題を達成することができる限り、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0020】
また、本発明の基本的に考え方は、次の通りである。すなわち、建物用清掃具Xは、いわゆる雑巾がけをする際、清掃面に対して、例えば大人の胸付近まで延びるハンドル2の上端部側を両手でもって該ハンドルを前後にプッシユ・プルするものであるから、該ハンドルの操作力によって下部回転体4が容易に回転しては役に立たないものである。そこで、下部回転体4が容易に回転しないように、その断面形状における中心軸から該断面形状の前記水平接触面の中央部に相当する一点までの距離と前記水平接触面の端部に相当する他の一点までの距離とが相違する。このような考え方は、特許文献1や特許文献2に開示されているように公知事項である。しかしながら、本発明は、該公知事項を特定事項として、さらに、支持体1の左右の支持腕の間に係止手段(摩擦手段も含む)を備えた上部回転体7を設け、例えば該上部回転体7は下部回転体4が拭布Yの巻取り動作に連動して回転可能である点(第1実施形態)、又は該上部回転体7は、運搬時や清掃時にはラチェット手段によって拭布を送り出す方向へは全く回転せず、前記拭布を下部回転体で巻き取る時のみ、上部回転体を付勢手段の付勢力に抗して軸方向に位置変位させることにより、前記ラチェット手段のラチェット歯と係合爪との係合状態が解かれ、該上部回転体を自由に回転させることができる点(第2実施形態)にそれぞれ特徴がある(特徴点1)。
【0021】
付言すると、上部回転体7が係止手段を備えた第1実施形態と、上部回転体7がラチェット手段を備えた二つの発明が存在し、これらの発明は、「上部回転体7の自由な回転を阻止する点」で、発明の課題が共通する。
【0022】
そこで、図3図4図5等の各図を参照にして、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。まず下部回転体4の構成を説明する。
【0023】
これらの図に於いて、1b、1bは、それぞれ円形の軸孔11を有する左右一対の支持腕で、これらの支持腕の一方、実施形態では左側支持腕(側板)1bの内面には、横向き凹所状被嵌合部12が形成され、該凹所状被嵌合部12は前記円形軸孔11と連通している。13は固定側のオス14と可動側のメス15から成る下方の係止手段である。実施形態では、該係止手段13は、いわゆるクラッチ機能又はクリック機能或いは又ブレーキ機能を有するもので、例えば一方の支持腕1bと下部回転体4の軸受け(係止手段13と対向する側の一方の軸受部分16a)16に亘って設けられている。
【0024】
しかして、固定側のオス14は中心部に不番の軸孔を有する縦型の円盤状に形成され、その一側面には、左側支持腕1bの凹所状被嵌合部12に嵌合する角軸状嵌合部14aが突出形成されている。一方、固定側のオス14の他側面には、周方向に所定間隔を有して複数個(例えば3個)の係合突起14bが設けられている。したがって、係止手段13のオス14は、その角軸状嵌合部14aが左側支持腕1bの凹所状被嵌合部12に嵌合すると、固定側或いは非回転側の係合部材と成る。
【0025】
可動側のメス15も、上記固定側のオス14と同様に円盤状に形成されているものの、全体としては、縦型・肉厚状の環状部材であり、その中心部には、やや大径の真円状嵌合孔15aが形成されている。そして、オス14の一側面には、固定側の係合突起14bと係脱する複数個(例えば3個)の係合孔15bが適宜に形成されている。係合突起14bと係合孔15bの「数」は特に限定しないものの、下部回転体4の回転力を考慮して適宜に設定される。
【0026】
不番の軸孔を有する軸受け16は、実施形態では横倒の略三角柱として「一つ」に形成されているが、もちろん、左右に対向する一対の略三角形状の軸受け16a、16bであっても良い。ここでは、図6で示すように、可動側のメス15と対向する左側の軸受部分に符号16aを付し、その反対側である右側の軸受部分に符号16bを付して区別する。
【0027】
前記左側の軸受部分16aの端面には、略中心部に真円の短筒状嵌合部17が突出形成され、該短筒状嵌合部17の外周面を取り囲むように周方向に所定間隔を有して複数個(例えば3個)の短係合棒18が固定的に設けられている。軸受部分16aの短筒状嵌合部17は、可動側のメス15の嵌合孔15aに嵌入し、同時に軸受部分16aの短係合棒18は、それぞれメス用付勢手段19を巻装した状態で可動側のメス15の係合孔15bに係入する。したがって、可動側のメス15は前記係合孔15b及び短係合棒18を介して下部回転体4を構成する軸受け16と共働する。
【0028】
20は、左右の支持腕1b、1bの間に位置し、かつ前述した軸受け16に固定的に外嵌合する所定長・略三角筒状の外筒で、該略三角筒状の外筒20の内部に下部横軸3を貫通した状態で、前述した係合手段13のオス14とメス15、軸受け16が組み込まれている。下部横軸3は、左右の支持腕1b、1bに回転自在に横設軸架され、例えば端部に形成したオネジ部21と該オネジ部に螺合する小ナット22により、前記左右の支持腕1b、1bから取外し可能になるように構成する。23は軸受け用付勢手段で、該軸受け用付勢手段は右側の軸受部分16bと右支持腕(右側壁)1bの間に位置するように下部横軸3の端部寄りの部位に巻装されている。軸受け用付勢手段23は、右側の軸受部分16bが三角筒状外筒20の右端縁部から食み出ないように係止手段13の方向に付勢する。なお、下部回転体4の内部構造は、一例に過ぎないので、次に説明する上部回転体7の内部構造を採用しても良い。したがって、下方の係止手段13は任意に設計変更可能である。
【0029】
次に、図3図5及び図7を参照にして、上部回転体7の構成を説明する。なお、上部回転体7は「拭布Yのたるみ防止」という発明の課題から、支持体1の一側壁1bないし上部回転体7の内部に上方の係止手段33を備えている。上方の係止手段33の構成は、例えば図6図7を比較すると明らかなように、下方の係止手段13とは若干相違するものの、基本的な考え方(自由回転防止)は同一であることから、同一の部分は同様の用語を用いて重複する説明を割愛する。それ故に、上方の係止手段33も下方の係合手段13と同様に任意に設計変更可能である。
【0030】
これらの図に於いて、1b、1bは支持体の左右の支持腕、6は上部横軸、31は前記支持腕1b、1bに形成された軸孔、32は左支持腕1bの内壁面に固定的に設けられた複数のガイド棒、33は水平移動可能なオス34と、軸受け36と共働回転するメス35とから成る上方の係止手段、40は軸受けに固定的に外嵌合する外筒、39はオス用付勢手段、43は軸受け用付勢手段である。
【0031】
しかして、前記一方(左側)の支持腕1bの内壁面には複数本(例えば2本)のガイド棒32が水平方向に固定されている。一方、不番の軸孔を有する前記オス34の一側面には、前記ガイド棒32が係入するガイド溝34aが複数個(例えば2個)形成され、反対側の他側面には複数個(例えば3個)の係合突起34bが設けられている。
したがって、上方の係止手段33のオス34は、そのガイド溝34aに左支持腕1bのガイド棒32が係入するので回転せず、その位置に於いて、付勢手段39の付勢力に抗して左支持腕1bの内壁面側に後退動可能である。この点、下方の係止手段13とは多少異なる構成となっている。
【0032】
しかしながら、メス35は、下方の可動側のメス15同様に円盤状に形成され、全体としては、縦型・肉厚状の環状部材である。そして、その中心部には、やや大径の真円状嵌合孔35aが形成され、その一側面には、オスの係合突起34bと係脱する複数個(例えば3個)の係合孔35bが適宜に形成されている。係合突起34bと係合孔35bの「数」は特に限定しないものの、上部回転体7の回転力を考慮して適宜に設定される点は下部回転体4と同様である。その他、軸受け36の左軸受け部分36aに形成した真円の短筒状の嵌合部37、短係合棒38等の構成は下方の軸受け16と同様である。なお、この実施形態では、上部横軸6の突出端部は、止め具(例えばE−リング)50で適宜に止められているものの、上部横軸6は下部横軸3と同様に左右の支持腕1b、1bに回転自在に横設軸架されている。
【0033】
図9は下部回転体4と上部回転体9の要部の外観構成(外筒)を示す説明図である。すなわち、20は下部回転体4の外筒、40は上部回転体の外筒であり、各外筒20,40には、前述したように固定手段8、9が横方向或いは周方向に設けられている。なお、固定手段8、9は、角部(稜線部分)に設けるのが望ましい。
【0034】
しかして、前記下方の外筒20は、例えば水平床面Fに対して選択的に面接触する合計3面の水平接触面4a、4b、4cを有し、望ましくは前記各水平接触面4a、4b、4cに拭布Yの外端部を固定する下方の固定手段8を備えている。下方の固定手段8には、例えばマジックテープ(登録商標)を用いることができる。前記拭布Yは長尺布であり、該長尺布が上部回転体9にロール状に巻装され、その外端部が下部回転体4の外筒20の外周面に設けられた前記固定手段8に着脱自在に固定される。
【0035】
図10は、ハンドル2を押し操作して下部回転体4を前方方向に移動させた使用状態を示す。使用時(清掃時)、下部回転体4の重心は下部横軸3の軸芯である。したがって、清掃時、今仮に、一つの水平面4aが床面Fに拭布Yの拭取り部分を介して面接触すると、下部回転体4の重力(自重)は、矢印で示すとおり、重心の真下に掛かるので、ハンドル2からの矢印で示す操作力(軸力)が下部回転体4の前方の角(図面上、左側の角)aの稜線を超えるようなものでない限り、物理的に(ベクトルの法則により)回転せず、例えばハンドル2をプッシュすると、前記操作力(軸力)は摩擦力となって、下部回転体4は矢印Aの方向へと滑る。この時、ハンドル2の操作力如何(位置エネルギーの増加如何)によっては、下部回転体4は反時計方向に回転しようとして、その前方の角(図面上、左側の角)aの稜線を超えようとするが、実施形態では、下部回転体4も上部回転体7と同様に係止手段13を備えているので、該下部回転体4が拭布Yで拭取り対象の面Fを拭取る時には、前記係止手段13によって該下部回転体4の自由回転が阻止される。 図11は、ハンドル2を引き操作して下部回転体4を後方方向に移動させた使用状態を示す。ハンドル2をプルする場合は、ハンドル2をプッシュする場合とは相違し、下部回転体4は時計方向に回転しようとして、その後方の角(図面上、右側の角)bの稜線を超えようとするが、実施形態では、上部回転体7は、下部回転体4と同様に上方の係止手段33を備えているので、仮に拭布Yが下方方向へ引っ張られても、前記下部回転体4から前記拭布Yを介して所定以上の回転トルクが上部回転体7に加わらない限り、前記上方の係止手段33の係止力が作用して上部回転体7は時計方向へ回転しない。したがって、ハンドル2をプルしても拭布Yがたるまない。本発明は、特にこの点に特徴がある(不完全ながらも、上部回転体7の自由回転の阻止)。
【0036】
図12は下部回転体4を時計回転させて拭布Yを巻き上る説明図である。下部回転体4に巻装状態の拭布Yの拭取り面を変える際に、下部回転体4に所定以上の回転トルクを、例えば段差を利用して、或いは手を利用して加える必要がある。下部回転体4に所定以上の回転トルクが加わった場合に、実施形態では上下の係止手段(33、13)の各オス・各メスの係合がそれぞれ同時に解かれるので、下部回転体4は拭布Yを所定量巻取り、一方、上部回転体7は連動して拭布Yを所定量送り出す。
【0037】
したがって、「拭布Yのたるみ防止」という発明の課題との関係から発明の特定事項を把握すると、上下の係止手段(33、13)の内、上方の係止手段33が重要であり、下方の係止手段13は従属的な構成要件である。
【実施例】
【0038】
次に、図13乃至図33を参照にして、本発明の他の実施形態を説明する。なお、他の実施形態の説明に当って、第1実施形態と同一の部分には同一又は同様の符号を付して重複する説明を割愛する。また実施形態如何によっては、先行する実施形態と同一の部分には同一又は同様の符号を付して重複する説明を割愛する。
【0039】
まず、図13乃至図16は本発明の第2実施形態を示す各説明図である。この第2実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、発明の課題が「上部回転体7の拭布送出方向への完全回転阻止」ということである。
【0040】
第1実施形態は、各回転体(7、4)がそれぞれ備える上下の係止手段(33、13)は、各オス(14、33)・各メス(14、34)の係脱であるが、少なくとも上方の係脱は、「ラチェット手段33A」で行うものである。なお、下方の係脱のための、ラチェット手段や係止手段は必要ではない。
【0041】
したがって、第2実施形態は、下部回転体4が拭布Yで拭取り対象面Fを拭取る時には、支持体1ないし上部回転体7に設けられた上方のラチェット手段33Aによって該上部回転体7の自由回転が完全に阻止され、一方、前記拭布Yの拭取り面を変える際に、上部回転体を付勢手段の付勢力に抗して軸方向に位置変位させることにより、ラチェット歯35Aと係合爪34Bとの係合状態が解かれ、該上部回転体を自由に回転させることができる。
【0042】
図13は第2実施形態の図5と同様の断面図、図14図13の14−14線断面図、図15はラチェット歯の概略説明図、図16は係止爪34Bがラチェット歯35Aの単数又は複数の係合歯を乗り越える概略説明図である。図13を参照にすると、ラチェット手段33Aを構成する係止爪34Bは、上部横軸6(左支持腕1bの上方軸孔31)に対して偏心する部位(図面上、左下部)に配設され、左支持腕1bの収納部44に内装された係止爪用付勢手段45の付勢力により、常時、軸受け16の一方(図面上、左)の軸受部分16aの側面に環状に形成されたラチェット歯35Aに係合するように付勢されている。
【0043】
ところで、符号46は係止爪用付勢手段45の外端部を支持するバネ端支軸具で、該バネ端支軸具46は前記収納部44に形成されたネメジと螺合するオネジを有する螺合体である。
【0044】
なお、第2実施形態では、ラチェット手段33Aを軸受部分16aの側面に形成したが、該ラチェット手段33Aを固定側の部材である支持体1の一方の支持腕(側壁)に形成しも良い。この場合には、望ましくは、前記一方の支持腕に横向き凹所を形成し、該横向き凹所の内壁面にラチェット手段33Aを形成し、一方、前記ラチェット手段33Aに係脱する単数又は複数の係合爪34Bを有し、かつ、外拡変位する弾性係合腕の基端部を軸受部分16aの側面に一体的に設ける。
【0045】
図17は本発明の第3実施形態を示す説明図で、上部横軸6が支持体の左右の支持腕1b、1bから取外し可能に横設軸架されていることを示す。また図18は本発明の第4実施形態を示す説明図で、ハンドル2が支持体1の上壁部1aから取り外し可能に設けられていることを示す。もちろん、ハンドル2は支持体1の上壁部1aに一体成形しても良い。
【0046】
図19は本発明の第5実施形態を示す説明図で、下部回転体4Aの断面形状の外郭線が略正四角形であることを示す。一方、図20は本発明の第6実施形態を示す説明図で、下部回転体4Bの断面形状の外郭線が略トラック形状の楕円形であることを示す。
【0047】
最後に、図21及び図22は、本発明の第2実施形態の設計変形例を示す実施形態(第7実施形態)であり、図21図5と同様の断面図(係合爪がラチェット歯に係合)。一方図22は、図21に於いて、上部回転体7を軸方向に移動させて係合爪34Bとラチェット歯35Aとの係合を解いた概略断面説明図である。なお、説明の便宜上、「ラチェット手段33A」、「係合爪34B」及び「ラチェット歯35A」の各符号は第2実施形態のものを用いる。その他の符号は図5で示すものを用いる。
【0048】
この第7実施形態は、(a)ラチェット手段33Aの全てを上部回転体7の中に設けた点、(b)上方横軸6の一端部寄りの部位に鍔状のストッパー49を設け、或いは上方横軸6を一端部乃至一端部寄りの部位を小径部分とし、該一端部寄りの部位から他端部まで大径部分にして、上部回転体7を握って或いは指で操作し、付勢手段43の付勢力に抗して図22の矢印A方向に引き、該上部回転体7の軸受け36の端面に設けたラチェット歯35Aをガイド棒32に案内される係合爪34Bから引き離すと、一方の係合手段である支持体側の係合爪34Bと、他方の係合手段である外筒側のラチェット歯35Aとの係合状態が解かれ、例えば前記係合爪34Bが前記ストッパー49或いは環状段差面49に受け止められ、その位置に留まる。
【0049】
したがって、この第7実施形態は、基本的構成は、第1実施形態と同一であるが、上部回転体7はラチェット歯35Aと係合爪34Bとから成るラチェット手段33Aを備え、下部回転体4が拭布Yで拭取り対象面Fを拭取る時には、前記ラチェット手段33Aにより上部回転体7の拭布Yの送り出す方向の回転が完全に阻止され、一方、前記拭布Yの拭取り面を変える際に、手で上部回転体7の外筒40を握って軸受け16の上部回転体7を付勢手段43の付勢力に抗して軸方向に位置変位させることにより、前記ラチェット歯35Aと係合爪34Bとの係合状態が解き、その状態で該上部回転体7を自由に回転させる(図22参照)。これによって、下部回転体7を巻取り方向へ所定量回転させると、拭布Yを介して上部回転体7が送り出し方向へ所定量回転し、拭布Yの拭取り面及び水平接触面が選択的に変わる。
【0050】
図23乃至図27は本発明の第8実施形態を示す各説明図である。この第8実施形態の発明の課題は、例えば第1実施形態では、ハンドル2を所定角度から拭取り対象面Fへと下げた場合に、上部回転体7の外周面が下部回転体4の後方側の水平接触面に接近することにより、拭布Yの非巻装部位が内側に曲面状にたるむという問題点があるので、これを解消するために、前記拭布Yの非巻装部位yの外面に、いわば一種のテンションを掛けることである。
【0051】
そこで、この第8実施形態の建物用清掃具Xは、支持体1に上部回転体7と下部回転体4との間に位置する拭布Yの非巻装部位yのたるみを防止するたるみ防止用手段Zを設け、該たるみ防止用手Z段は、前記支持体1に一端部51aが取付けられた第1付勢手段51と、該第1付勢手段51の他端部51bが直接に又は左右一対の間接保持部材52、52を介して間接的に取付けられており、かつ前記第1付勢手段51の付勢力によって前記拭布Yの非巻装部位yの外面をその内面方向へと押圧する棒状或いはパイプ状の押圧体61とから成り、前記棒状或いはパイプ状の押圧体61は、少なくとも前記下部回転体4で拭取り対象面Fを拭取る時、前記拭布の非巻装部位yを略水平接触状態で押圧する。また棒状或いはパイプ状の押圧体61は、左右一対の嵌合筒56に横軸(水平軸)57を介して設けられているので、左右一対の嵌合筒56、押圧体61等は左右方向に揺れない(ガタガタしない)。
【0052】
実施形態のたるみ防止用手段Zは、上方の係止手段(33、33A、33B)有する上部回転体7と、下方の係止手段13を有しない空転可能な下部回転体4との間に、そのパイプ状の押圧体61が略水平状態に位置するように左右一対の間接保持部材52、52を介して支持体1の左右の支持腕1b、1bに間接的に取付けられている。ここでは「一方の間接保持部材52」のみ説明する。
【0053】
しかして、前記間接保持部材52は、例えば図26で示すように、その基端部53aが支持体1の支持腕1bの下端部に横軸を介して軸支された長板状の突出腕53と、この長板状突出腕53の先端部53bの内側に横短円柱状或いは横短角柱状に突出する突起部分54と、該突起部分にその下端部が連結された上下或いは傾斜方向を指向する支持棒55と、この支持棒55の上端部側に、その下端部側のパイプ部分56aが外嵌合する嵌合筒56と、この嵌合筒56の上端部56bの内側に一体的に設けられた横軸57とから成り、前述したパイプ状の押圧体61は、前記横軸57を介して前記嵌合筒56に回転自在に軸支されている。
【0054】
そして、実施形態では、前記嵌合筒56のパイプ部分56aの下端部と突出腕53の先端部53bの突起部分54との間には第2付勢手段(例えばコイルバネ)58が設けられ、例えば図24で示すように、下部回転体4で拭取り対象面Fを拭取る時に於いて、ハンドル2を拭取り対象面F側へ押下げることによって、前記突出腕53の先端部53b側が拭布Yの非巻装部位y側に位置変位し、該位置変位量に対応して支持棒55の上端部側が前記第2付勢手段58の付勢力に抗して前記嵌合筒56のパイプ部分56aの下端部にさらに入り込む。その結果、前記の非巻装部位yが内側に「曲面状にたるんでも」、拭布の非巻装部位yに十分な張力を与えることができる。
【0055】
なお、実施形態では、前述した横短円柱状或いは横短角柱状の突起部分54は、突出腕53の先端部53bに固定的に設けられ、該突起部分54の上面にはやや斜め上方を指向する支持穴59が形成され、該支持穴59に支持棒55の下端部が入り込んで状態で固定され、しかも、第2付勢手段58としてのコイルバネは、前記支持棒55に巻装された状態で、その下端部は前記支持穴59に支持されている。また、本発明の限定要件ではないが、横短円柱状或いは横短角柱状の突起部分54の内側には、支軸を介して滑車60が回転自在に軸支されている。
【0056】
図28乃至図30は本発明の第9実施形態を示す各説明図である。この第9実施形態も前記第8実施形態と同様にたるみ防止用手段Z1を備えている。しかして、この第9実施形態が前記第8実施形態と主に異なる事項は、たるみ防止用手段Z1を構成する押圧体61Aである。この押圧体61Aに相当する押圧部位は、左右一対の間接保持部材52の各嵌合筒56の内面、望ましくはその上端部の内面に親指状、人差し指状等の指部分を形成した点である。実施形態では、各嵌合筒56の上端部56bの内面を親指状の指面に形成している。
【0057】
したがって、前記押圧体61Aは、少なくとも下部回転体4で拭取り対象面Fを拭取る時、拭布Yの非巻装部位yを指先的な接触状態で押圧する。この第9実施形態の押圧体61Aは、拭布Yの非巻装部位yの左右両端部の外面を、いわば指圧の如く押圧するものであるが、指先的な接触状態は、縦方向、斜め方向、横方向に押圧することができるように、例えば各嵌合筒56に横方向に突出する押圧体61Aを形成する。このように発明の課題を逸脱しない範囲で押圧体61Aの形態を任意に設計変更することができる。なお、この第9実施形態も、左右一対の嵌合筒56が揺れないように、該左右一対の嵌合筒56は横軸57で一体的に連結されている。
【0058】
図31乃至図33は本発明の第10実施形態を示す各説明図である。この第10実施形態の発明の課題は、第1実施形態と同様の効果を得ながら、さらに、上部回転体7に巻装されている拭布Yを送り出す際の利便性を図ることである。この第10実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、(a)支持体1の一側壁1bから操作端部65aが突出する長杆状の操作棒65を特定要件に加味した点、(b)上方横軸6Bを横長筒状或いはパイプ状に形成し、該横長筒状の上方横軸6Bの一端部を前記支持体1の一側壁1bに一体的に設け、或いは一体成形した点、(c)前記長杆状の操作棒65を前記横長筒状の上方横軸6Bに貫通状態に嵌挿し、図面右側の一端部を前記一側壁1bから突出させて、操作入力スイッチとしての操作端部65aとし、一方、他側壁1bから突出する突出端部に止め具50としてのE−リングを取付けた点、(d)上部回転体用の係止手段33Bを構成する一方の係止手段35bを外筒40の内周壁に一体的に設けた筒状の軸受け36Bの内端部に直接形成し、これに対して、前記一方の係止手段35bと係脱する他方の係止手段34bを前記長杆状の操作棒65の外周壁に一体的に設けた、或いは一体成形した鍔状部分34Bの内端面に設けた点、そして、例えば前記一方の係止手段35bは、周方向に所定間隔を有して形成された係合凹所としての窪みであり、一方、他方の係止手段34bは前記窪みに係脱可能な単数又は複数の小突起である点、(e)上部回転体側の一方の係止手段35bに長杆状の操作棒65側の他方の係止手段34bを係合させるための付勢手段39Bを、例えば支持体の前記止め具50がある方の一側壁1bの内面と長杆状の操作棒65の前記鍔状部分34Bの外端面との間に配設し、しかも、前記長杆状の操作棒65に巻装した点等である。
【0059】
したがって、第10実施形態の建物用清掃具Xは、支持体1の下端部側に下部横軸3を介して軸支され、かつ拭取り対象面に対して選択的に面接触する複数の水平接触面を有する下部回転体4と、この下部回転体に対して所要の間隙5を有して前記支持体1の上端部側に一体的に設けられた横長筒状の上部横軸6Bを介して軸支された上部回転体7Bと、前記支持体1の上壁部1aに設けられたハンドル2とから成り、拭布Yを前記上部回転体7Bから前記下部回転体4に順次送って該拭布Yの拭取り面を変える建物用清掃具であって、前記下部回転体4は、その重心が上下方向に変位する断面形状であり、また前記上部回転体7Bは前記下部回転体4が前記拭布Yの巻取り動作に連動して回転可能であり、前記下部回転体4が拭布で前記拭取り対象面を拭取る時には、前記上部回転体7Bに設けられた一方の係止手段35bと、該一方の係止手段に係合する他方の係合手段34bによって該上部回転体7Bの自由回転が阻止され、一方、前記拭布Yの拭取り面を変える際に、前記横長筒状の上部横軸6Bに貫通状態に嵌挿されていると共に、前記他方の係合手段34bを有し、かつ前記支持体1の一側壁1bから突出する長杆状操作棒65の操作端部65aを付勢手段39Bの付勢力に抗してプッシュすると、前記他方の係合手段34bと前記一方の係止手段35bとの係合が解かれ、前記上部回転体7Bは前記拭布を送り出すことができる。
【0060】
付言すると、第10実施形態の建物用清掃具Xは、上部回転体7Bに巻装されている拭布Yを送り出す場合には、長杆状操作棒65の操作端部65aを適宜箇所に設けられた付勢手段39Bの付勢力に抗してプッシュすると、該上部回転体用の係合手段の一例としての係合突起と係合凹所(34b、35b)の係合が簡単に外れるので、係合解消の状態を保持しながら上部回転体7Bを回し、該上部回転体7Bの拭布Yを下部回転体4側へ容易に送り出すことができる。なお、たるみ防止用手段(Z、Z1)は、第1実施形態乃至第第10実施形態のいずれにも加味することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、建物の床面等を清掃する際に用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
X…建物用清掃具、Y…拭布、Z、Z1…たるみ防止用手段、
1…支持体、2…ハンドル、
3…下部横軸、4…下部回転体、
4a、4b、4c…水平接触面(拭布を介して床面に接触)、
5…所要の間隙、
6…上部横軸、7、7B…上部回転体、
8、9…固定手段、
13…下方の係止手段、
33、33B…上方の係止手段、
34B…鍔状部分、
33A…ラチェット手段、
35A…ラチェット歯、34B…係合爪、
36、36B…軸受、
49…ストッパー、
51…第1付勢手段、
52…間接保持手段、
56…嵌合筒、
58…第2付勢手段、
61…押圧体、
61A…嵌合筒に設けられた押圧部位、
65…長杆状操作棒、
65a…操作端部、
34b、35b…係合突起と係合凹所(逆態様であっても良い)、
34B…鍔状部分、
39B…付勢手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33