特開2015-186692(P2015-186692A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-186692MRIまたはMEG用皮膚抵抗測定装置
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  • 特開2015186692-MRIまたはMEG用皮膚抵抗測定装置 図000003
  • 特開2015186692-MRIまたはMEG用皮膚抵抗測定装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-186692(P2015-186692A)
(43)【公開日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】MRIまたはMEG用皮膚抵抗測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/05 20060101AFI20151002BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20151002BHJP
【FI】
   A61B5/05 C
   A61B5/05 390
   A61B5/05 320
   A61B5/05 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-148819(P2015-148819)
(22)【出願日】2015年7月28日
(62)【分割の表示】特願2011-51034(P2011-51034)の分割
【原出願日】2011年3月9日
(71)【出願人】
【識別番号】501193218
【氏名又は名称】株式会社 清原光学
(74)【代理人】
【識別番号】100087446
【弁理士】
【氏名又は名称】川久保 新一
(72)【発明者】
【氏名】清原 元輔
(72)【発明者】
【氏名】大出 孝博
(72)【発明者】
【氏名】清原 耕輔
【テーマコード(参考)】
4C027
4C096
【Fターム(参考)】
4C027AA07
4C027AA10
4C027DD01
4C027EE01
4C027GG15
4C096AA18
4C096AA20
4C096DD01
4C096FC05
4C096FC10
(57)【要約】
【課題】被験者の脳をMRIまたはMEGで測定した場合、被験者が緊張に影響される度合いを判断することができるMRIまたはMEG用皮膚抵抗測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】磁気遮蔽室内に設けられるMRIまたはMEGとともに、上記磁気遮蔽室に設けられる皮膚抵抗測定装置本体であって、上記MRIまたは上記MEGによって脳の活動状態を検出する対象である被験者の皮膚の抵抗を計測する皮膚抵抗測定装置本体と、上記被験者の脳をMRIまたはMEGで測定中に、緊張を生じさせるシーンの映像を上記被験者に見せる手段とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気遮蔽室内に設けられるMRIまたはMEGとともに、上記磁気遮蔽室に設けられる皮膚抵抗測定装置本体であって、上記MRIまたは上記MEGによって脳の活動状態を検出する対象である被験者の皮膚の抵抗を計測する皮膚抵抗測定装置本体と;
上記被験者の脳をMRIまたはMEGで測定中に、緊張を生じさせるシーンの映像を上記被験者に見せる手段と;
を有することを特徴とするMRIまたはMEG用皮膚抵抗測定装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記被験者は、スポーツ選手、音楽、芸能等、スポーツ以外の発表会で発表する人、相手方との交渉の担当者のいずれか1つの人であることを特徴とするMRIまたはMEG用皮膚抵抗測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MRIまたはMEGを使用して被験者の脳の活動状態を測定するMRIまたはMEG用皮膚抵抗測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被験者に所定の映像を見せる等、種々の刺激を与えた状態で、MRIによって被験者の脳の活動状態を検査することが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−160086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例において、上記被験者に種々の刺激を与えると、その刺激に応じて上記被験者の手が汗を帯びる。この場合、被験者の手のひらの所定の2点間の電気抵抗を、皮膚コンダクタによって測定することが考えられる。これによって、上記刺激の内容と、被験者の精神状態とに応じて、電気抵抗の値が変化する。
【0005】
上記従来例において、被験者に種々の刺激を与えながら、被験者の手のひらの2点間の電気抵抗を測定する場合、具体的には、磁気遮蔽室内に設けられているMRIに被験者が横たわり、被験者の手に皮膚コンダクタの端子を接続し、被験者の手の電気抵抗を測定する。上記皮膚コンダクタの電源として、商用電源から導いた電源ケーブルを皮膚コンダクタに接続し、皮膚コンダクタ内で交流を直流に変換することが考えられる。しかし、商用電源が50または60Hzの周波数を有するので、電源ケーブル等からノイズが放出され、このノイズによって、MRIの測定結果にもノイズが混入し、測定結果である脳の断層写真が不鮮明になるという問題がある。この問題は、MRIの代わりにMEG(脳磁計)を使用した場合も、同様に生じる。
【0006】
一方、上記ノイズの発生を阻止するためには、皮膚コンダクタの電源として乾電池を使用し、皮膚コンダクタに乾電池を内蔵させることが考えられる。しかし、このようにすると、乾電池が磁性体で構成され、また、MRIが電磁石と同じ機能を有するので、内蔵した乾電池がMRIに強い力で吸着され、皮膚コンダクタから乾電池が飛び出し、皮膚コンダクタが正常に動作しないという問題がある。
【0007】
また、被験者の脳をMRIまたはMEGで測定する場合、精神的には比較的安定した環境で測定するので、被験者が緊張に影響される度合いを判断することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、被験者の脳をMRIまたはMEGで測定した場合、被験者が緊張に影響される度合いを判断することができるMRIまたはMEG用皮膚抵抗測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のMRIまたはMEG用皮膚抵抗測定装置は、磁気遮蔽室内に設けられるMRIまたはMEGとともに、上記磁気遮蔽室に設けられる皮膚抵抗測定装置本体であって、上記MRIまたは上記MEGによって脳の活動状態を検出する対象である被験者の皮膚の抵抗を計測する皮膚抵抗測定装置本体と、上記被験者の脳をMRIまたはMEGで測定中に、緊張を生じさせるシーンの映像を上記被験者に見せる手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被験者の脳をMRIまたはMEGで測定中に、緊張を生じさせるシーンの映像をその被験者に見せるので、被験者が緊張に影響される度合いを判断することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1であるMRI装置100を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例2であるMRI装置200を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明を実施するための形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1であるMRI装置100を示すブロック図である。
【0014】
MRI装置100は、MRI室10と、MRI20と、皮膚コンダクタ30と、電源ケーブル40と、太陽電池50と、光源60とを有する。
【0015】
MRI室10は、磁気シールドされている磁気遮蔽室であり、オペレータP2がMRI室10の内部の状態を透視するための窓ガラス11を有する。
【0016】
MRI室10内に、f−MRIといわれるMRI20と、皮膚コンダクタ30と、電源ケーブル40と、太陽電池50とが設けられている。
【0017】
MRI20は、被験者P1の脳の断層写真を撮影し、この断層写真を視認することによって、被験者P1の脳の活動状態を検出する。
【0018】
皮膚コンダクタ30は、被験者P1の手等の皮膚の抵抗を計測する測定器であり、皮膚コンダクタ本体31と電源回路32とを内蔵し、皮膚コンダクタ31の入力端子(図示せず)にリードLが接続されている。リードLの反対端は、被験者P1の手に接触する接触端子(図示せず)を有する。
【0019】
太陽電池50は、皮膚コンダクタ30の電源として使用され、電源ケーブル40を介して、電源回路32に接続されている。太陽電池50の受光面が窓ガラス11に向いている。窓ガラス11の外側には、台61が設けられ、台61の上に光源60が設置され、光源60が、窓ガラス11を介して、太陽電池50に対向している。つまり、太陽電池50は、MRI室10の内部に設けられ、また、MRI室10の窓ガラス11を介して、光源60が発する光を受光する。
【0020】
次に、上記実施例の動作について説明する。
【0021】
まず、MRI室10にMRI20と、皮膚コンダクタ30と、電源ケーブル40と、太陽電池50とが設けられている。そして、被験者P1がMRI20に横たわり、被験者P1の手Hに、リードLの先端に設けられている2つの接触端子(図示せず)が接続される。また、太陽電池50は、窓ガラス11に向けて設置され、窓ガラス11の向こうには光源60が設置されている。つまり、窓ガラス11を挟んで、太陽電池50の受光面と光源60とが向き合っている。光源60のスイッチ(図示せず)をオンすると、光源60が点灯し、この光が窓ガラス11を介して、太陽電池50の受光面に達し、太陽電池50が直流電圧を出力し、電源ケーブル40を介して、発生した直流電圧が電源回路32に印加される。電源回路32に直流電圧が印加されると、皮膚コンダクタ30が、被験者P1の手Hにおける2つの測定点間における抵抗値を測定する。
【0022】
皮膚コンダクタ30が測定したデータを、MRI室10の外部に転送する。MRI20が測定したデータをMRI室10の外部に転送する方法と同様の方法で、皮膚コンダクタ30が測定したデータを転送し、所定の方法でデータ処理する。
【0023】
実施例1において、商用電源がMRI室10の内部に存在しないので、商用電源によるノイズ発生の余地がない。また、皮膚コンダクタ30の電源として磁性体を使用していないので、皮膚コンダクタ30の電源部品がMRI20に吸引されることがなく、したがって、皮膚コンダクタ30が正常に動作する。
【0024】
なお、実施例1において、MRI20の代わりに、MEG(脳磁計)を使用するようにしてもよい。また、実施例1において、窓ガラス11の代わりに、プラスチック等の光透過手段を使用するようにしてもよい。
【実施例2】
【0025】
図2は、本発明の実施例2であるMRI装置200を示すブロック図である。
【0026】
MRI装置200は、基本的には、MRI装置100と同じであり、太陽電池50が窓ガラス11を介してMRI室10の外部の光源60から光を受光する代わりに、太陽電池50aと光源60aとの間に光ファイバ63が設けられ、光ファイバ63がMRI室10の壁の穴12を介して設置されている実施例である。
【0027】
また、光源60aからの光が効率よく光ファイバ63の端面632に達するように、凸レンズ62が設けられている。
【0028】
図2に示すMRI装置200における上記以外の構成は、図1に示すMRI装置100の構成と同様である。
【0029】
MRI装置200の動作は、MRI装置100の上記動作と基本的には同じであるが、太陽電池50aに光を供給する手法が異なる。つまり、光ファイバ63のMRI室10a外側の端面632と、光源60aとが対向し、太陽電池50aの受光面と、光ファイバ63のMRI室10a内側の端面631とが対向している。
【0030】
したがって、光源60aを発光させると、光源60aが発する光がレンズ62で集光され、光ファイバ63を介して、太陽電池50aの受光面に到達し、太陽電池50aが直流電圧を出力する。この直流電圧は電源ケーブル40を介して、電源回路32に送られる。
【0031】
MRI装置200において、商用電源がMRI室10の内部に存在しないので、商用電源によるノイズ発生の余地がない。また、皮膚コンダクタ30の電源として磁性体を使用していないので、皮膚コンダクタ30の電源部品がMRI20に吸引されることがなく、したがって、皮膚コンダクタ30が正常に動作する。また、光ファイバ63が貫通する穴12をどこかに設けさえすれば、太陽電池50aと光源60aとの間をフレキシブルな光ファイバ63で接続できるので、太陽電池50aをMRI室10a内のどの位置に設けてもよく、また、光源60aをMRI室10aの外のどの位置に設けてもよい。つまり、実施例2では、太陽電池50aの設置位置、光源60aの設置位置が制限されない。
【0032】
実施例2において、MRI20の代わりに、MEG(脳磁計)を使用するようにしてもよい。また、実施例2において、窓ガラス11の代わりに、プラスチック等の光透過手段を使用するようにしてもよい。
【0033】
上記各実施例によれば、被験者に種々の刺激を与えながら、MRIまたはMEGによって被験者の脳の状態を測定する際に、被験者の手のひらの2点間の電気抵抗を皮膚コンダクタで測定する場合、測定結果である脳の断層写真が不鮮明になることがなく、また、皮膚コンダクタが正常に動作する。
【0034】
特に、上記各実施例において、スポーツ選手等の脳をMRIまたはMEGで測定中に、緊張を生じさせるシーンの映像をそのスポーツ選手に見せた場合、測定された皮膚抵抗の値に基づいて、そのスポーツ選手の緊張の度合いを的確に判断することができる。したがって、競技会本番で、そのスポーツ選手が実力を充分に発揮できるかどうかを判断する重要な材料を、上記各実施例から得ることができる。また、音楽、芸能等、スポーツ以外の発表会で発表する人を選考する場合、相手方との交渉の担当者を選考する場合の判断材料を得る装置として、上記各実施例を使用すると、好適な結果を得ることができる。
【符号の説明】
【0035】
100、200…MRI装置、
10、10a…磁気遮蔽室としてのMRI室、
20…MRI、
30…皮膚コンダクタ、
31…皮膚コンダクタ本体、
31…電源回路、
50、50a…太陽電池、
60、60a…光源、
63…光ファイバ。
図1
図2