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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-186784(P2015-186784A)
(43)【公開日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】固液分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/11 20060101AFI20151002BHJP
   C02F 11/12 20060101ALI20151002BHJP
   B01D 29/90 20060101ALI20151002BHJP
【FI】
   B01D29/10 510C
   B01D29/10 530D
   C02F11/12 D
   B01D29/42 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-64955(P2014-64955)
(22)【出願日】2014年3月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工メカトロシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】河越 勝
(72)【発明者】
【氏名】金田 則夫
(72)【発明者】
【氏名】増澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】北川 博一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】津田 充徳
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059AA07
4D059AA09
4D059BE02
4D059BE15
4D059BE51
(57)【要約】
【課題】ロッドが傾くことを抑制できるようにしてシリンダーの負担を軽減できるようにした固液分離装置を提供する。
【解決手段】固液分離装置は、円筒状の回転体と、回転体の外周面に設けられた凹部と、凹部内に設けられて凹部の開口部と凹部の底面との間を移動可能な押体44を備えた押圧機構41と、押体と凹部の開口部との間で形成された収容部と、回転体を回転可能に収容し、固体と液体とが混在した固液混合物の入口部と出口部と入口部の一端と出口部の一端とに連接されて回転体の外周面を所定角度範囲で覆う脱水孔付きの脱水板とを有したケーシングとを備え、押圧機構41は、シリンダーと、ロッド43と、ピストンと、シリンダー外に突出するロッド43の先端部に設けられた前記押体44とを備え、押体44がロッド43の中心軸43Aを中心として揺動可能なようにロッド43の先端部に取付けられたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の回転体と、回転体の外周面に外周面より窪むように設けられた凹部と、凹部内に設けられて回転体の外周面に相当する位置にある凹部の開口部と凹部の底面との間を移動可能な押体を備えた押圧機構と、押体と凹部の開口部との間で形成された収容部と、回転体を回転可能に収容し、固体と液体とが混在した固液混合物の入口部と出口部と入口部の一端と出口部の一端とに連接されて回転体の外周面を所定角度範囲で覆う脱水孔付きの脱水板とを有したケーシングとを備え、収容部に収容された固液混合物を押体により脱水板の方向に押圧して固液混合物中から液体を脱水する固液分離装置において、
押圧機構は、シリンダーと、ロッドと、シリンダー内を移動するロッドの基端部に設けられたピストンと、シリンダーの他端に設けられたロッド貫通孔を介してシリンダー外に突出するロッドの先端部に設けられた前記押体とを備えて、シリンダー内への流体の供給及びシリンダー内からの流体の排出によって押体をシリンダーに沿って移動させる構成であって、押体がロッドの中心軸を中心として揺動可能なようにロッドの先端部に取付けられたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
押体は、押体の内面側がロッド挿入孔となるように形成され、押体の外面側がロッド抜け防止材挿入孔となるように形成された貫通孔を備え、
ロッド抜け防止材挿入孔に挿入されてロッド挿入孔を貫通したロッドの先端側に固定されたロッド抜け防止材の底面とロッド抜け防止材挿入孔の底面との間の隙間、当該ロッド抜け防止材の周面とロッド抜け防止材挿入孔の内周面との間の隙間、ロッド挿入孔の内周面とロッドの外周面との間の隙間、押体の外周面と凹部の内壁面との間の隙間が設けられたことによって、押体がロッドの中心軸を中心として揺動可能にロッドに取付けられたことを特徴とする請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
ロッドがシリンダー側に縮退する際には、ロッド抜け防止材の底面とロッド抜け防止材挿入孔の底面とが接触した状態で、押体がシリンダー側に移動し、ロッドを伸長して押体を脱水板に近づける際には、ロッド抜け防止材挿入孔の底面とロッド抜け防止材の底面とが接触した状態で、押体が脱水板に近づく方向に移動するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の固液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体と液体とが混在した固液混合物を固体と液体とに分離する固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固液混合物を固体と液体とに分離する固液分離装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。当該固液分離装置は、円筒状の回転体と、回転体の外周面に設けられた凹部と、凹部内に設けられて回転体の外周面に相当する位置にある凹部の開口部と凹部の底面との間を移動可能な押体を備えた押圧機構と、押体と凹部の開口部との間で形成された収容部と、回転体を回転可能に収容し、固体と液体とが混在した固液混合物の入口部と出口部と入口部の一端と出口部の一端とに連接されて回転体の外周面を所定角度範囲で覆う脱水孔付きの脱水板とを有したケーシングと、回転体を回転させるモーターとを備えた構成であり、収容部に投入された固液混合物が押体によって脱水板の方向に押圧されることにより固液混合物中の液体が脱水孔から脱水され、固体と液体とが分離される。尚、押圧機構は、シリンダーと、ロッドと、シリンダー内を移動するロッドの基端部に設けられたピストンと、シリンダーの他端に設けられたロッド貫通孔を介してシリンダー外に突出するロッドの先端部に設けられた前記押体とを備えて、シリンダー内への流体の供給及びシリンダー内からの流体の排出によって押体をシリンダーに沿って移動させる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−152322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した固液分離装置では、ロッドの先端部に押体が固定されて押体とロッドとが一体の構成であるため、収容部に収容された固液混合物を押体で押す場合に、収容部に収容された固液混合物の種類が不均一であったり、収容部に収容された固液混合物の収容状態が不均一であること等に起因して、押体全体に均一な重量が加わらない場合、押体の一部に固液混合物の重量が偏って加わることにより、押体とロッドとが一緒に傾きやすくなり、ロッドが傾いた場合にはロッドを移動可能に支持するシリンダーに負担が掛かり、押圧機構が正常に動作しなくなる可能性があった。
本発明は、押圧機構の押体がロッドの中心軸を中心として揺動可能となるように構成し、ロッドが傾くことを抑制できるようにしてシリンダーの負担を軽減できるようにした固液分離装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による固液分離装置は、円筒状の回転体と、回転体の外周面に外周面より窪むように設けられた凹部と、凹部内に設けられて回転体の外周面に相当する位置にある凹部の開口部と凹部の底面との間を移動可能な押体を備えた押圧機構と、押体と凹部の開口部との間で形成された収容部と、回転体を回転可能に収容し、固体と液体とが混在した固液混合物の入口部と出口部と入口部の一端と出口部の一端とに連接されて回転体の外周面を所定角度範囲で覆う脱水孔付きの脱水板とを有したケーシングとを備え、収容部に収容された固液混合物を押体により脱水板の方向に押圧して固液混合物中から液体を脱水する固液分離装置において、押圧機構は、シリンダーと、ロッドと、シリンダー内を移動するロッドの基端部に設けられたピストンと、シリンダーの他端に設けられたロッド貫通孔を介してシリンダー外に突出するロッドの先端部に設けられた前記押体とを備えて、シリンダー内への流体の供給及びシリンダー内からの流体の排出によって押体をシリンダーに沿って移動させる構成であって、押体がロッドの中心軸を中心として揺動可能なようにロッドの先端部に取付けられたので、収容部に収容された固液混合物を押体で押す場合に、収容部に収容された固液混合物の種類が不均一であったり、収容部に収容された固液混合物の収容状態が不均一であること等に起因して、押体全体に均一な重量が加わらない場合、押体の一部に固液混合物の重量が偏って加わったとしても、押体がロッドの中心軸を中心として揺動することで、押体とロッドとが一緒に傾いてしまうことを抑制できる。即ち、ロッドが傾く前に押体がロッドの中心軸を中心として揺動し、ロッドが傾き難くなるので、ロッドを移動可能に支持するシリンダーの負担が軽減される固液分離装置を得ることができる。
また、押体は、押体の内面側がロッド挿入孔となるように形成され、押体の外面側がロッド抜け防止材挿入孔となるように形成された貫通孔を備え、ロッド抜け防止材挿入孔に挿入されてロッド挿入孔を貫通したロッドの先端側に固定されたロッド抜け防止材の底面とロッド抜け防止材挿入孔の底面との間の隙間、当該ロッド抜け防止材の周面とロッド抜け防止材挿入孔の内周面との間の隙間、ロッド挿入孔の内周面とロッドの外周面との間の隙間、押体の外周面と凹部の内壁面との間の隙間が設けられたことによって、押体がロッドの中心軸を中心として揺動可能にロッドに取付けられたので、ロッドが傾き難くく、ロッドを移動可能に支持するシリンダーの負担が軽減される固液分離装置となる。
また、ロッドがシリンダー側に縮退する際には、ロッド抜け防止材の底面とロッド抜け防止材挿入孔の底面とが接触した状態で、押体がシリンダー側に移動し、ロッドを伸長して押体を脱水板に近づける際には、ロッド抜け防止材挿入孔の底面とロッド抜け防止材の底面とが接触した状態で、押体が脱水板に近づく方向に移動するように構成されたので、収容部に固液混合物を容易に取り込めるとともに、収容部に収容された固液混合物を押体で脱水板に近づく方向に容易に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】ロッド先端部に対する押体の取付構造を示す断面図(実施形態1)。
図2】固液分離装置の縦断面図(実施形態1)。
図3】固液分離装置の分解斜視図(実施形態1)。
図4】固液分離装置の回転体の内部構造を示す斜視図(実施形態1)。
図5】固液分離装置の脱水部及び収容部の拡大図(実施形態1)。
図6】固液分離装置の回転駆動制御機構を示す図(実施形態1)。
図7】固液分離装置を回転駆動制御機構側から見て示す斜視図(実施形態1)。
図8】固液分離装置の回転力付与機構としての油圧ジャッキ、爪車、押体の動作関係を示す表(実施形態1)。
図9】回転駆動制御機構の動作説明図(実施形態1)。
図10】固液分離装置の縦断面図(実施形態2)。
図11】固液分離装置の分解斜視図(実施形態2)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1の固液分離装置は、図2に示すように、円筒状の回転体1、回転体の外周面に設けられた凹部36、凹部内に設けられた押体44と、泥水土砂や食品などのような固液混合物を収容する収容部51と、回転体1を回転可能に収容したケーシング2と、押体44の押圧駆動制御機構99と、回転体1の回転軸10を回転させるための回転駆動制御機構3とを備える。
【0008】
回転体1は、回転軸10、回転ドラム部11を備える。回転ドラム部11は、筒部12、円形の塞板13を備える。回転ドラム部11は、筒部12の両端と塞板13;13とが連結されたことによって、筒部12の両端の開口がそれぞれ塞板13;13で塞がれた構成である(図3参照)。回転軸10は、筒部12の筒中心及び筒部12の両端の塞板13;13の円中心を通過して塞板13;13に対して回転不能に連結される(図3参照)。これにより、回転駆動制御機構3による動力で回転する回転軸10の回転力が塞板13;13を経由して筒部12に伝達される。即ち、回転軸10と回転ドラム部11とが一緒に回転する回転体1が形成される。
【0009】
筒部12は、内壁部15、仕切壁体16を備える。内壁部15は、断面が略正八角形の筒状に形成される。仕切壁体16は、断面が扇状の棒材により形成される。仕切壁体16は、内壁部15の外周における略正八角形の角部17に相当する位置において、内壁部15の筒の延長する方向(以下、「筒長方向」という)に沿って棒が延長するように設けられる。つまり、8個の仕切壁体16が、内壁部15の外周囲に沿った方向(以下、「周方向」という)において互いに45°の角度を隔てて配置され、かつ、1つ1つの仕切壁体16が、内壁部15の筒長方向に沿って延長するように設けられる。
【0010】
内壁部15は、8枚の平板21の両端とこれら両端に対応する塞板13;13とが図外の止ねじで互いに連結されたことによって断面略正八角形の筒状に形状される(図2参照)。平板21と平板21との間には隙間25が設けられる。この隙間25内に、断面扇形状の仕切壁体16の2つの面26;26で挟まれた扇の基部分27が挿入された状態で該仕切壁体16の両端とこれら両端に対応する塞板13;13とが図外の止ねじで互いに連結されたことによって、回転軸10の回転中心を筒の中心とする断面略正八角形の筒状体からなる内壁部15と、この内壁部15の周方向において互いに45°の角度を隔てて内壁部15の外周に配置された8個の仕切壁体16とからなる筒部12が形成される。内壁部15の断面略正八角形の1辺を形成する平板21の外面31と当該平板21の両側に配置される仕切壁体16の面26;26とは互いに直角をなす。
【0011】
つまり、平板21の両側に配置される2つの仕切壁体16の互いに向かい合う面26;26は互いに平行であり、これら面26;26と平板21の外面31とが直角をなす。筒部12の仕切壁体16の外面33は、筒部12の外周面、すなわち、回転体1の外周面32上に位置される。平板21の両側の位置する仕切壁体16;16の平行に相対峙する面26;26と塞板13;13の内面34;34とによって凹部36が区画形成される。即ち、回転体1は、回転体1の外周面32に外周面32より窪むように設けられた凹部36を8つ備える。8つの凹部36は、回転体1の筒長方向に沿って延長する矩形状の凹部であり、回転体1の周方向において等間隔を隔てて間欠的に設けられる。回転体1の外周面32は、凹部36の開口部35(=収容部51の開口部35)を塞ぐような仕切壁体16の外面33と外面33とを繋いで円筒面を形成する仮想の弧面と、仕切壁体16の外面33とにより形成される。
【0012】
図5に示すように、平板21には、押圧機構41が取り付けられる。
押圧機構41は、シリンダー42、ロッド43、押体44、ピストン45を備えた流体圧ピストンシリンダー装置(例えば油圧ピストンシリンダー装置、又は、水圧ピストンシリンダー装置、又は、空気圧ピストンシリンダー装置など)により構成される。
シリンダー42内を移動するロッド43の基端部(一端部)にはピストン45が設けられ、シリンダー42の他端に設けられたロッド貫通孔43aを介してシリンダー42外に突出するロッド43の先端部には押体44が取り付けられる。
押圧機構41は、油送ケーブル53を介してシリンダー42内に供給及びシリンダー42内から排出される流体(例えば油、又は、水、又は、空気など)によりピストン45をシリンダー42内で移動させることによってロッド43を伸縮させ、押体44を移動させる装置である。
シリンダー42の一端部の周囲には取付フランジ41aが設けられる。平板21には、平板21を貫通するシリンダー設置孔37が、筒部12の筒の延長する方向に沿って所定の間隔を隔てて複数箇所(例えば3箇所(図4参照))に形成される。筒部12の外側から内側方向にシリンダー42をシリンダー42の他端側からシリンダー設置孔37に通して取付フランジ41aと平板21の外面31とを接触させてこれらが互いに図外のねじで固定される。
押体44は、平板21の両側に位置する仕切壁体16;16の平行に相対峙する面26;26と塞板13;13の内面34;34とに接触して平板21の外面31を外側から塞ぐ大きさに形成される。つまり、押体44は、平板21の外面31の面積に合せた面を備えた板材により形成され、凹部36の4つの内壁面(面26;26、内面34;34)に接触する周面47を備える。即ち、後述する収容部51を形成する凹部36の内壁面を、押体44の移動方向に沿って平行な面により形成したので、押体44としては、凹部36の内壁面と平行で内壁面と互いに接触した状態で移動可能な周面47を備えたものを用いれば良く、板材のような簡単な構成の押体44により密閉状態の収容部51を形成できるようになる。
押体44の外面46の曲率は回転体1の外周面32の曲率と同じ曲率に形成される。押体44は、押圧機構41による流体圧駆動によって、回転軸10の回転中心と回転体1の外周面32とを繋ぐ半径線上を移動可能である。すなわち、押体44は、凹部36内に、回転体1の外周面32に相当する位置にある凹部36の開口部35と平板21の外面31で形成される凹部36の底面との間を移動可能である。1つの収容部51に収容された押体44を3つの押圧機構41により駆動するように構成したので、小型の押圧機構41を使用できて装置の小型化が図れ、また、押体44をスムーズに移動させることが可能となる。
【0013】
次に、図1に基づいて、ロッド43の先端部に対する押体44の取付構造について説明する。
押体44には、押体44の内面46Aと押体44の外面46とを貫通する貫通孔100が形成される。この貫通孔100は、押体44の内面(シリンダー42側の面)46A側がロッド挿入孔101となるように形成され、押体44の外面(収容部51に収容された固液混合物に接触して固液混合物を押圧する面)46側がロッド抜け防止材挿入孔としてのヘッドナット挿入孔102となるように形成される。当該ロッド挿入孔101とヘッドナット挿入孔102とが同一の中心軸を中心とした孔により形成され、ヘッドナット挿入孔102の孔径がロッド挿入孔101の孔径よりも大きい寸法に形成されている。ロッド43の先端部の周面にはねじ部103が形成されている。ロッド43の先端部側の外周面には押体受部104が固定されている。当該押体受部104は、例えばロッド43が挿入されてロッド43の外周面に緩み止め部材又は溶接等の固定手段によって固定されたナットにより形成される。当該押体受部104は、所謂ダブルナットにより構成されていても良い。
105はロッド抜け防止材としてのヘッドナットであって、当該ヘッドナット105とロッド43とが同一の中心軸を中心とした円柱体により形成され、ヘッドナット105の柱径がロッド43の柱径よりも大きい寸法に形成されている。ヘッドナット105は、外面106となる一端面が押体44の外面46に対応した曲面状に形成されるとともにヘッドナット挿入孔102の底面114と対向する底面107となる他端面が平面状に形成され、当該底面107の中央にはロッド43の先端部に形成されたねじ部103が螺着されるねじ孔108が形成されている。
ロッド43の先端部をロッド挿入孔101側からロッド挿入孔101に通し、押体受部104を押体44の内面46Aに接触させた状態においてヘッドナット挿入孔102内に位置されるロッド43の先端部のねじ部103にヘッドナット105のねじ孔108が螺着される。
ヘッドナット105は、ヘッドナット緩み防止手段によって緩まないようにロッド43の先端部のねじ部103に固定される。ヘッドナット緩み防止手段は、例えば2つ以上のねじ止め構造部110;110により構成される。ねじ止め構造部110は、例えば、ヘッドナット105の外面106とねじ孔108の底面とに貫通する固定ねじ挿通孔111と、ロッド43の先端面に形成されねじ孔112と、固定ねじ挿通孔111に挿通されてねじ孔112に締結された固定ねじ113とにより構成される。
【0014】
ヘッドナット105がロッド43の先端部のねじ部103に螺着されてロッド43の先端部に固定された状態において、ヘッドナット105の底面107とヘッドナット挿入孔102の底面114との間には隙間115が形成される。また、ロッド挿入孔101の内周面とロッド43の外周面との間にも隙間116が形成される。即ち、ロッド挿入孔101の孔径寸法はロッド43の軸径寸法よりも隙間116の寸法の2倍大きい大きさに形成される。
さらに、ヘッドナット105の周面117とヘッドナット挿入孔102の内周面119との間にも隙間120が形成され、また、押体44の周面47と凹部36の4つの内壁面(面26;26、内面34;34)との間にも隙間121が形成される。
当該隙間115;116;120;121が形成されていることにより、押体44がロッド43の中心軸43Aを中心として揺動可能となる。即ち、押体44がロッド43の中心軸43Aを中心として揺動可能なようにロッド43の先端部に取付けられた取付構造となっている。
つまり、隙間116;120;121は、ロッド43の中心軸43Aを中心とした押体44の揺動が可能となるのに必要十分な隙間に形成され、隙間115は、ロッド43の中心軸43Aに沿った方向に押体44が移動できかつ押体44が揺動可能となるのに必要十分な隙間に形成されたので、押体44がロッド43の中心軸43Aを中心として揺動可能となる。
従来構造では、押体の移動を可能とするための上述の隙間121が設けられていたが、上述の隙間116;120;115が設けられておらず、ロッドに対して押体が動かないように押体がロッドの先端に固定状態に取付けられていたため、押体の一部に固液混合物の重量が偏って加わると押体がロッドと一緒に傾く可能性があった。言いかえれば、上述の隙間121が設けられていたために、押体が傾く可能性があり、かつ、押体とロッドとが固定状態に連結されていたため、押体とロッドとが一緒に傾く可能性があり、押体とロッドとが一緒に傾いた場合にはシリンダーに負担が掛かり、押圧機構が正常に動作しなくなる可能性があった。
一方、実施形態では、押体44とロッド43との連結部分に上述した隙間116;120;115が設けられているので、押体44の一部に固液混合物の重量が偏って加わった場合、押体44がロッド43の中心軸43Aを中心として揺動可能となり、ロッド43が傾き難くなるので、ロッド43を移動可能に支持するシリンダー42への負担が軽減されるようになる。
そして、ロッド43がシリンダー42側に縮退する際には、ヘッドナット105の底面107とヘッドナット挿入孔102の底面114とが接触した状態で、押体44がシリンダー42側に移動し、ロッド43を伸長して押体44を脱水板71に近づける際には、ヘッドナット挿入孔102の底面114とヘッドナット105の底面107とが接触した状態で、押体44が脱水板71に近づく方向に移動するので、収容部51に固液混合物を容易に取り込めるとともに、収容部51に収容された固液混合物を押体44で脱水板71に近づく方向に容易に移動させることができる。
また、仕切壁体16と対向する押体44の周面47には当該周面47を一周するようにシール材48が設けられ、押体44が移動する際、シール材48が仕切壁体16に接触しながら移動することで水密性が維持される。
さらに、ヘッドナット挿入孔102の内周面119と対向するヘッドナット105の周面117には当該周面117を一周するようにシール材118が設けられ、シール材118と内周面119との接触が維持されることによって、押体44の外面46側から前記隙間115;116内に土砂や水が流入することを防止して、前記隙間115;116が維持されるように構成されている。
【0015】
尚、仮に、押体44の内面46Aと押体44の外面46との間の寸法である押体の厚さ寸法を厚くした押体を設ければ、押体自体が傾き難くなるので、ロッド43も傾き難くなるが、このようにした場合、押体の重量が重くなるため、駆動能力の大きい押圧機構を用いなくてはならず、また、押体のコストも高くなるので、押圧機構に係るコストが増大してしまうという問題がある。
そこで、実施形態1のように、押体44がロッド43の中心軸43Aを中心として揺動可能なようにロッド43の先端部に取付けられた取付構造を採用することで、厚さ寸法の薄い押体44を使用できて、押圧機構41に係るコストを抑制できるとともに、ロッド43が傾くことを抑制できてシリンダー42の負担を軽減できるようにして押圧機構41が正常に動作しなくなるような不具合の発生を抑制できるようにした固液分離装置を得ることができるようになった。
尚、シリンダー42の負担とは、ロッド43が傾くことにより、シリンダー42のロッド貫通孔43aが変形したり、ピストン45が傾いてピストン45が移動しにくくなるようなこと等をいう。このようなシリンダー42の負担が大きくなると、押圧機構41が正常に動作しなくなるので、好ましくない。実施形態1の押圧機構41の構造によれば、シリンダー42の負担を軽減でき、押圧機構41の正常動作を維持できるようになる。
【0016】
押体44の外面46と相対峙する仕切壁体16;16の互いに平行な面26;26と相対峙する塞板13;13の互いに平行な内面34;34とで囲まれた空間によって収容部51が形成される。即ち、収容部51は、押体44と凹部36の開口部35との間で形成される。回転体1は、回転体1の外周面32において筒長方向に沿って延長する矩形状の8つの収容部51を、回転体1の周方向において等間隔を隔てて間欠的に備える。収容部51は、回転体1の筒の延長方向に沿った方向に延長するとともに回転体1の外周面32に沿って延長する形状であり、外周面32に沿った長さが、筒の延長方向に沿った長さより短い。このため、回転体1の外周面32に沿った方向に収容部51を複数設けることができ、かつ、1つ1つの収容部51の収容容量も多くできる。
【0017】
押圧機構41のシリンダー42と油タンク52とが油送ケーブル53;54;55及び油圧制御弁56を経由して互いに接続される(図2;3参照)。尚、図2;3では、油送ケーブル53;54;55及び油圧制御弁56は油供給系と油排出系とを1つでまとめて図示している。回転軸10にはロータリージョイントと呼ばれるようなケーブル中継器57が設けられ、シリンダー42に接続された内部の油送ケーブル53とケーブル中継器57とが接続され、ケーブル中継器57に接続された外部の油送ケーブル54と油圧制御弁56とが接続され、タンクに接続されたタンク側の油送ケーブル55と油圧制御弁56とが接続される。ケーブル中継器57を用いたことにより、油送ケーブル53;54が回転軸10の回転によっても捻れないように接続されて、油送ケーブル53;54とケーブル中継器57とにより、シリンダー42と油圧制御弁56とを互いに繋ぐ油送路が形成される。即ち、押体44が、油圧駆動の押圧機構41により移動可能に形成されたので、押体44の移動をスムーズにでき、また、制御も容易となる。
【0018】
ケーシング2は、前連結部61、後壁部62、胴壁部63を備える。胴壁部63は、前壁部64、後連結部65、入口部66、脱水部67、出口部68、待機部69を備える(図3参照)。1つ1つの収容部51における回転体1の周方向の幅Tは同じである。この幅Tは、入口部66の入口孔66a、脱水部67、出口部68の出口孔68a、待機部69における回転体1の周方向に沿った部分の幅よりも小さい。脱水部67は、脱水板71、外板72を備える。脱水板71は、回転体1の外周面32に沿って配置される。脱水板71は、回転体1の外周面32に沿って形成された複数の収容部51の開口部35を覆える大きさに形成される。例えば、図2のように、脱水板71は、5個の収容部51を覆える角度範囲の断面弧状に形成されて回転体1の筒長方向に沿って延長し、回転体1の外周面32を上記角度範囲で覆う。脱水板71には固液混合物の液体を回転体1の外周面32側から外板72側に通過させる脱水孔73が形成される。即ち、脱水板71は、パンチングメタルのような孔開板により形成される(図5参照)。脱水孔73は、脱水板71の内面71a側から外面71b側にかけて漸次大径となるように形成される。例えば、内面71aの径が2mm、外面71bの径が3mmに設定された細孔である。外板72は、脱水板71と同様に、5個の収容部51を覆える角度範囲の断面弧状に形成されて回転体1の筒の延長する方向に沿って延長し、回転体1の外周面32を上記角度範囲で覆う板であるが、脱水板71の外面71bに沿って対向するように脱水板71の外側に配置されるため、脱水板71より径が大きい。脱水板71と外板72とが支柱74及び図外の止ねじにより互いに連結される。脱水板71と外板72とで囲まれた空間により排水空間77が形成される。脱水板71の他端と外板72の他端とが封止板70により互いに連結され、脱水板71の一端と外板72の一端とが封止板60により互いに連結され、排水空間77の前端開口部77aに前連結部61が連結され、排水空間77の後端開口部77bに後連結部65が連結されることによって、脱水板71と外板72と前連結部61の内面75(図3参照)と後連結部65の内面76(図3参照)と封止板60;70とで密閉状態に囲まれた排水空間77が形成される。封止板60は排水空間77と入口部66とを区切る板、封止板70は排水空間77と出口部68とを区切る板である。排水空間77の下部における外板72には排水孔78が形成され、この排水孔78には排水管79が連結される。排水管79には排水ポンプ80が連結され、排水空間77に排出された水が排水ポンプ80により吸引されて図外の貯水部に送られる。即ち、収容部51を、回転体1の外周囲に沿った方向において所定間隔を隔てて複数設け、この複数の収容部51の開口部35を覆える大きさに脱水板71を形成したので、脱水区間を長くでき、脱水時間の長い連続脱水処理が可能となる。また、外板72に排水空間77と繋がる排水孔78を設けたので、排水処理を効率的に行える。
【0019】
入口部66は、脱水部67の一端部81と連接される。出口部68は、脱水部67の他端部82と連接される。出口部68の出口孔68aにおける回転体1の周方向に沿った部分の幅の長さaは、1個の収容部51における開口部35の全てが出口孔68aと対応している間は、その他の収容部51における開口部35が出口孔68aと対応しないような長さに設定される。具体的には、収容部51の開口部35における回転体1の周方向に沿った部分の幅の長さをTとし、回転体1の外周面32を構成する仕切壁体16の外面33における回転体1の周方向に沿った部分の幅の長さをbとすると、T<a<(T+b)に設定される。このように設定すれば、出口部68以外の部分、特に、脱水部67の範囲を長くできることから、脱水を効率的に行えるようになる。
【0020】
待機部69は、入口部66の他端部83と出口部68の他端部84とに連接され、入口部66と出口部68とを区切る。待機部69と出口部68との境界を形成する出口部内面85が、出口部68を通過する押体44の外面46に付着した固体を掻き落とす残余固体掻き落とし部を形成する。よって、出口部68を通過した収容部51が入口部66に到達する前に押体44の外面46に付着した固体が残余固体掻き落とし部により掻き落とされるので、入口部66に到達する収容部51にその都度決まった定量分の固液混合物を収容できることから、処理効率を向上できる。
【0021】
図3に示すように、前壁部64と後壁部62とには、回転軸10を回転可能に支持する軸受90;91が設けられる。回転体1の回転軸10の両端部が前壁部64の軸受90と後壁部の軸受91とに回転可能に支持される。後壁部62の内面76とケーシング2の後連結部65とが図外の止ねじにより連結され、前連結部61の内面75と前壁部64の外面64aが図外の止ねじにより連結され、脱水部67が後壁部62の内面76と前連結部61の内面75とに図外の止ねじにより連結されることによって、回転体1を回転可能に収容して回転体1を囲むケーシング2が組み立てられる。
【0022】
油圧制御装置96と油圧制御弁56とが制御信号線98により互いに接続される。
押圧駆動制御機構99が、油圧制御装置96、油タンク52、油送ケーブル53;54;54及び油圧制御弁56による油圧制御機構と、押圧機構41とにより構成される。
【0023】
図6に示すように、回転駆動制御機構3は、爪車(ラチェット)301と、回転力付与機構302と、油圧制御機構303とを備える。
爪車301は、円板304の周面307に周方向に沿って等間隔隔てて設けられた複数の歯305を備えたものであり、円板304の中心に取付孔306を備える。例えば、後壁部62より突出する回転軸10の一端部10aが爪車301の取付孔306に嵌め込まれて、爪車301と回転軸10とが一緒に回転可能なように、爪車301が回転軸10に回転不能に固定される。
また、前壁部64より突出する回転軸10の他端部10bには、回転軸10が軸受90より抜けるのを防止するための抜け止め308が取り付けられている(図3参照)。
以上により、爪車301を回転させると軸受90;91により回転可能に支持された回転軸10及び回転体1も一緒に回転するように構成される。
【0024】
回転力付与機構302は、シリンダー310と押体311とを有した油圧ジャッキを備える。油圧ジャッキとしては、例えば、爪車301においてケーシング2の上方側に到来する爪車301の歯305を押圧する上側の油圧ジャッキ302Aと、爪車301においてケーシング2の下方側に到来する爪車301を押圧する下側の油圧ジャッキ302Bとを備える。このように上下の油圧ジャッキ302A;302Bを用いれば、爪車301を一方向にスムーズに回転させることができる。
尚、上下又は左右に2個1組の油圧ジャッキを用いれば、爪車301を一方向にスムーズに回転させることができる。例えば、2個1組の油圧ジャッキは、押体311が最大に伸長している場合(図6参照)において、押体311同士が互いに平行に位置し、かつ、押体311の先端位置同士が、爪車301の円板304の周面307上において爪車301の回転中心を通る一直線上に位置するように設けられる。
油圧ジャッキ302A;302Bは、押体311の伸縮方向(押体の中心軸の延長方向)と円板304の周面307に接する円の接線とが平行となるように配置され、ヒンジ312により押体311が爪車301に近付く方向、及び、爪車301から離れる方向に回転可能なようにベースフレーム313に取り付けられている。このベースフレーム313により固液分離装置を設置面に安定に設置できる。
【0025】
ヒンジ312は、爪318を爪車301の回転中心に近付く方向及び爪318を爪車301の回転中心から離れる方向に回転可能に支持するものであり、例えば、中心軸が回転軸10の中心軸と同一方向を向くようにベースフレーム313に取り付けられたピン314を回転中心としてシリンダー310がベースフレーム313に回転可能に取り付けられた構成である。
また、押体311を爪車301の回転中心に近付く方向に付勢するための付勢手段としてのコイルバネ315を備える。コイルバネ315は、一端がシリンダー310に連結され、他端が固液分離装置の静止部に連結される。即ち、コイルバネ315の他端は、例えば図6に示すように後壁部62の外面62aやベースフレーム313等の静止部に連結される。
【0026】
押体311は、押体軸316と、押体軸316の軸径よりも大径の押圧キャップ317とを備える。
押圧キャップ317は、棒状体の中心軸を中心とした図外の有底孔が棒状体の一端面から他端面に向けて形成されて、押体軸316の先端側が有底孔内に嵌め込まれて押体軸316の先端部に固定されたものである。
押圧キャップ317の先端側には、爪車301に近付く方向に突出して爪車301の互いに隣り合う歯305と歯305との間の谷間に入り込んで歯305を押圧する爪318を有し、この爪318における押圧キャップ317の先端面が押圧面320として機能し、爪318の突出方向先端面が摺動面321として機能する。
【0027】
爪車301の歯305は、受圧面325と滑面326とを備える。受圧面325は、円板304の周面307より立ち上がって例えば押体311の最大伸長時において押圧面320と平行な面となるように形成される。受圧面325は、例えば、周面307とのなす角度が90°よりも小さい角度でかつ直角に近い角度を持つ斜面により形成される。また、滑面326は、受圧面325と連続する面であり、受圧面325の突出先端側328の面縁と円板304の周面307とを繋ぐ緩斜面(受圧面325よりも周面307とのなす角度が緩い角度の斜面)により形成される。即ち、爪車301の複数の歯305は、周面307より立ち上がる受圧面325と受圧面325の突出先端側328の面縁より周面307に向けて立ち下がる滑面326とが円板304の周面307に沿って所定間隔隔てて繰り返して設けられることにより形成され、例えば、円板304の周面307に8個〜12個程度設けられる。歯305は、滑面326が周面307から受圧面325側に傾斜して立ち上がる方向と爪車301の回転方向とが反対方向となるように形成される。
【0028】
押体311における押圧キャップ317の爪318の突出長さは、押体311が伸長して1つの歯305を押す際に、爪車301の回転方向に対して直後の歯305が押圧キャップ317の周面329に接触して押体311の押圧面320と歯305の受圧面325との接触が解除されて爪車301に回転力が伝達されないようなことを防止できるように決められる。即ち、押体311は、押体311が伸びる際に押体311が直後の歯305に当たらないように構成されている。
【0029】
油圧制御機構303は、油タンク330と、シリンダー310と油タンク330とを接続し、油タンク330からシリンダー310への油供給路及びシリンダー310から油タンク330への油帰還路となる油給排用ケーブル331と、油給排用ケーブル331の油供給路及び油帰還路にそれぞれ設けられた油圧制御弁332と、油圧制御弁332を制御する油圧制御装置333とを備える。油圧制御装置333と油圧制御弁332とが制御信号線334により互いに接続される。
尚、油タンク330;油給排用ケーブル331;油圧制御弁332からなる油圧給排機構は、上側の油圧ジャッキ302A、下側の油圧ジャッキ302B毎に対応して設けられ、上側の油圧ジャッキ302A及び下側の油圧ジャッキ302Bを統括して制御する油圧制御装置333は、例えば、上下の油圧ジャッキ302A;302Bの押体311の伸長動作及び縮退動作を同時に行わせたり(図9参照)、あるいは、上下の油圧ジャッキ302A;302Bの押体311の伸長動作を交互に行わせる。上下の油圧ジャッキ302A;302Bの押体311の伸長動作及び縮退動作を同時に行わせた場合、爪車301を回転させるための力が大きくなり、爪車301を回転させやすくなる。上下の油圧ジャッキ302A;302Bの押体311の伸長動作を交互に行わせた場合、上下の油圧ジャッキ302A;302Bの押体311の伸長動作及び縮退動作を同時に行わせた場合に比べて、爪車301をより連続的に回転させることができ、収容部51内の固体が出口部68より排出されるまでの作業時間を短くできる。
【0030】
尚、本願では脱水板71と固液混合物との摩擦力が大きく、爪車301が逆方向に回転しにくいので、爪車301の逆方向への回転を防止する図外の逆回転防止爪を設けても良いし、設けなくても良い。
また、上側の回転力付与機構302の場合、押体311を縮めて押体の摺動面321が滑面326を超えた場合に重力によって回転力付与機構302がヒンジ312を回転中心として下方に回転して爪318が直後の歯305の後方の周面307に落下するので、コイルバネ315を設けても良いし、設けなくても良い。
【0031】
固液分離装置の動作を説明する。例えば、爪車301の歯305が円板304の周面307に沿って所定間隔隔てて例えば12個設けられていて、上下の油圧ジャッキ302A;302Bの押体311;311を爪車301の円板304の周面307に接する円の接線と平行に直線運動させて歯305;305をそれぞれ1回押圧する毎、即ち、押体311が最大縮退状態から最大伸長状態になるまでの動作(以下、押体311の1ストローク動作という)毎に回転体1が45°づつ回転する場合を想定して説明する。
図2に示すように、収容部51が入口部66を介して投入された固液混合物を受け入れ可能なように位置されている状態において押体44のロッド43を最大縮退状態として収容部51内に固液混合物を収容し、図9(a)に示すように、油圧ジャッキ302A;302Bの押体311の押圧面320を爪車301の歯305の受圧面325側に接触させる。そして、図9(b)に示すように、油圧ジャッキ302A;302Bの押体311を1ストローク動作させて爪車301の歯305を押圧することによって、図2に示すように、当該収容部51の押体44と脱水板71とが向かい合うように回転体1を45°回転させる。固液混合物を収容した収容部51が入口部66に対応した位置から回転体1を最初に回転させる際には、押体44のロッド43を最大縮退状態としておく。これにより、回転体1の回転時における固液混合物と脱水板71との摩擦を少なくできる。
回転体1を45°回転させた後に、押体44のロッド43を伸長させて押体44により収容部51内の固液混合物を脱水板71の方向に押圧することにより脱水作業が行われる。つまり、油圧制御装置96が、押圧機構41のシリンダー42に油圧を供給し始めるよう油圧制御弁56を制御することにより、押圧機構41の押体44の先端に設けられた押体44が回転体1の外周面32の方向に移動し、押体44によって固液混合物が脱水板71の方向に押圧されて固液混合物中の水が脱水孔73を経由して排水空間77に排出される。
このような脱水作業を所定時間(例えば数秒間又は数十秒間)行った後、図9(c)に示すように、油圧ジャッキ302A;302Bの押体311を縮退させると、押体311の爪318の摺動面321が滑面326を滑って爪318が爪車301の回転方向に対して直後の歯305の後に位置する。つまり、押体311を縮めて押体311の摺動面321が滑面326を超えた場合に、油圧ジャッキ302A;302Bがヒンジ312を回転中心として下方に回転して爪318が直後の歯305の後方の周面307と接触する。油圧ジャッキ302A;302Bの押体311を縮退させる際には、押体44を回転体1の外周面32の方向に移動させる動作を続行又は停止した状態としておけば、固液混合物と脱水板71との摩擦力を大きくでき、回転体1の逆方向回転を防止できる。尚、上述した逆回転防止爪を備えている場合においては、油圧ジャッキ302A;302Bの押体311を縮退させる際に、押体44のロッド43を縮退させた状態としても良い。
そして、爪318を直後の歯305の後方(回転体1の回転方向に対する後方)に位置させ、かつ、押体44による脱水動作を停止状態に設定した後、油圧ジャッキ302A;302Bの押体311を1ストローク動作させて回転体1をさらに45°回転させる。以後、油圧ジャッキ302A;302Bの押体311を1ストローク動作させて回転体1を回転させる場合には、押体44による脱水動作を停止状態に設定してから回転体1を回転させる。
ここで、押体44による脱水動作を停止状態に設定するとは、押体44により収容部51内の固液混合物を脱水板71の方向に押圧する動作、即ち、押体44を回転体1の外周面32の方向に移動させる動作を停止した状態に設定すること、又は、押体44のロッド43を縮退させた状態、即ち、押体44を回転体1の外周面32の方向に移動させる動作を停止した状態からさらに押体44を凹部36の底面(平板21の外面31)に近づく方向に移動させた状態に設定することを言う。
そして、回転体1を回転させた後、上記押体44による脱水動作を行う。
即ち、油圧ジャッキ302A;302Bと爪車301と押体44との関係は図8に示したように、油圧ジャッキ302A;302Bの押体311を1ストローク動作させたときは回転体1が回転し、このとき、押体44による脱水動作は停止する。また、押体44による脱水動作を行っている場合は、油圧ジャッキ302A;302Bの駆動を停止し、回転体1を回転させない。つまり、押体311を1ストローク動作させて回転体1を回転させた後に回転体1を回転させないで脱水動作を行うという作業を繰り返し行う。
【0032】
以後、同様に、回転体1を回転させる動作と脱水動作とを繰り返し、収容部51が出口部68に到達したら、出口部68より脱水後の固体が排出される。
このように、回転体1を回転させる動作と脱水動作とを時間をずらして別々に行うことにより、所定時間の脱水動作を複数回行う。つまり、脱水板71が存在する区間において、回転体1が回転していないときに所定時間の脱水動作を行うことで、固液混合物を十分に脱水できるとともに、回転体1の回転動作中は脱水動作を行わないので、固液混合物と脱水板71との摩擦を小さくできる。即ち、回転体1の回転中は、固液混合物と脱水板71との摩擦を小さくするために、押体44による脱水動作を停止し、回転体1が停止している時に脱水動作を行うようにしたので、回転体1を容易に回転させることができて、かつ、摩擦による脱水板71の摩耗を少なくできる。
【0033】
尚、図2に示すように、脱水動作を終えた押体44が出口部68に到達した場合には、油圧制御装置96が油圧制御弁56を制御して押圧機構41のロッド43を最大限伸ばして押体44の外面46が回転体1の外周面32の位置にくるまで押体44を移動させる。そして、当該押体44が待機部69に到達した場合には、油圧制御装置96が油圧制御弁56を制御して押圧機構41のロッド43を縮めて押体44を凹部36の底面(平板21の外面31)の方向に下げ始めるよう制御する。これにより収容部51が形成され、入口部66からの固液混合物が収容部51に収容される。各押圧機構41はそれぞれ個別に上述したように制御される。
【0034】
実施形態1では、押体44がロッド43の中心軸43Aを中心として揺動可能なようにロッド43の先端部に取付けられた押圧機構41を備えたので、収容部51に収容された固液混合物を押体44で押す場合に、収容部51に収容された固液混合物の種類が不均一であったり、収容部51に収容された固液混合物の収容状態が不均一であること等に起因して、押体44全体に均一な重量が加わらない場合、押体44の一部に固液混合物の重量が偏って加わったとしても、押体44がロッド43の中心軸43Aを中心として揺動することで、押体44とロッド43とが一緒に傾いてしまうことを抑制できる。即ち、ロッド43が傾く前に押体44がロッド43の中心軸43Aを中心として揺動し、ロッド43が傾き難くなるので、ロッド43を移動可能に支持するシリンダー42への負担が軽減される固液分離装置を得ることができる。
また、厚さ寸法の薄い押体44を使用できて、押圧機構41に係るコストを抑制できるとともに、ロッド43が傾くことを抑制できてシリンダー42への負担を軽減できる固液分離装置を得ることができる。
【0035】
また、回転体1の回転中心軸に回転中心軸を回転中心として回転中心軸と一緒に回転可能に設けられた爪車301と、爪車301の歯305に接触して爪車301に一方方向の回転力を付与する2つの油圧ジャッキ302A:302Bとを備えたので、油圧ジャッキ302A:302Bによる油圧によって直線運動を行う押体311の爪318で爪車301の歯305を直接に押すので、小さな力で回転体1を回転させるための大きな回転トルクを得ることができるようになる。よって、回転体1を回転させるための大きな回転トルクを得るために大容量のモーターを使用することなく、固液分離装置を小型化できるようになる。
また、回転体1の回転中は押体44による脱水動作を停止するようにしたので、回転体1の回転時における固液混合物と脱水板71との摩擦による脱水板71の摩耗を少なくでき、固液分離装置の脱水性能を良好に維持できるようになる。
また、押体44を回転体1の外周面32の方向に移動させる動作を停止することによって押体44による脱水動作を停止した後に、回転体1を回転させた場合には、回転体1の回転中における固液混合物と脱水板71との摩擦を小さくできるとともに、押体44の駆動制御を簡単にできる。
【0036】
押体44を回転体1の外周面の方向に移動させる動作を停止した状態からさらに押体44を凹部36の底面に近づく方向に移動させた状態に設定することによって押体44による脱水動作を停止した後に、回転体1を回転させた場合には、回転体1の回転中における固液混合物と脱水板71との摩擦をより小さくできる。
【0037】
また、回転力付与機構302が、爪318と、爪318を爪車301の回転中心に近付く方向に回転可能に支持するヒンジ312と、爪318を爪車301の回転中心に近付く方向に付勢して爪車301の周面307上で互いに隣り合う歯305と歯305との間に係合させる付勢手段としてのコイルバネ315とを備えたので、ヒンジ312及びコイルバネ315によって爪318を歯305と歯305との間に確実に係合させることができるようになるとともに、コイルバネ315によって当該係合状態を確実に維持できるようになり、回転体1を確実に回転させることが可能となる。
【0038】
また、実施形態1では、円筒状の回転体1と、回転体1の外周面32に外周面32より窪むように設けられた凹部36と、凹部36内に設けられて回転体1の外周面32に相当する位置にある凹部36の開口部35と凹部36の底面(平板21の外面31)との間を移動可能な押体44と、押体44と凹部36の開口部35との間で形成された収容部51と、回転体1を回転可能に収容したケーシング2と、押体44の押圧駆動制御機構99とを備え、ケーシング2が、固体と液体とが混在した固液混合物の入口部66と、出口部68と、入口部66の一端と出口部68の一端とに連接されて回転体1の外周面32を所定角度範囲で覆う脱水部67とを備え、脱水部67が、回転体1の外周面32に沿って配置された脱水板71を備え、脱水板71が、脱水孔73を備え、入口部66に位置した収容部51が入口部66からの固液混合物を収容してから回転体1の回転に伴って脱水板71に対応する位置に到達した場合に、押圧駆動制御機構99が押体44を脱水板71の方向に移動させることによって、固液混合物中の液体が脱水板71の脱水孔73を経由して脱水板71の外面側に排出され、回転体1の回転に伴って脱水部67を通過した収容部51が出口部68に到達した場合に、押圧駆動制御機構99が押体44を回転体1の外周面32の方向に移動させることによって、収容部51内の固体が押体44で押されて出口部68より排出され、回転体1の回転に伴って出口部68を通過した収容部51が入口部66に到達した場合に、当該収容部51に入口部66からの固液混合物が収容される構成とした。すなわち、回転体1の外周面32に設けた収容部51に固液混合物を収容し、回転体1を回転させるとともに収容部51に収容された固液混合物を回転体1の外周面32に沿って配置された脱水板71の方向に押体44で押して固液混合物を脱水処理する構成としたので、固液混合物を押圧するためや固液混合物を搬送するために長い筒体を設ける必要がなくなり、装置を小型化できる。
また、実施形態1では、回転体1の外周囲に沿った方向において所定間隔を隔てて複数の収容部51を設け、この複数の収容部51の開口部35を覆える大きさの脱水板71を備えたので、回転体1の回転に伴って複数の収容部51に連続的に固液混合物を収容させ、複数の収容部51に収容された固液混合物を連続的に脱水処理できる。即ち、脱水処理を効率的に行える。
【0039】
付勢手段としては、爪318を爪車301の回転中心に近付く方向に付勢しておくための錘を用いても良い。また、油圧ジャッキ302A;302Bが自重で回転して爪318が爪車301の回転中心に近付く方向に付勢されるようにヒンジ312の位置を設定するようにしても良い。
また、実施形態1では、ロッド抜け防止材としてヘッドナット105を用いた例を示したが、ロッド抜け防止材は、ロッド43がロッド挿入孔101から抜けないようにすることができる部材であればよい。
【0040】
実施形態2
図10;11に示すように、回転駆動制御機構3を、回転体1の回転軸10を回転させるための回転力付与機構としてモーター350と、モーター制御機構351とを備えた構成としても良い。モーター350は、例えば、後壁部62に形成されたモーター取付部360に取り付けられ、モーター350のモーター軸352と回転軸10とに回転伝達ベルト353が掛け回され、モーター軸352の回転力が回転伝達ベルト353を介して回転軸10に伝達される。回転軸10の一端には角度センサ(エンコーダ)354が取り付けられており、角度センサ354とモーター制御装置355とが信号線356により互いに接続され、モーター350とモーター制御装置355とが信号線357により互いに接続される。角度センサ354は、回転軸10の中心と何れか1つの仕切壁体16の断面の中心とを結ぶ線と交わる回転軸10の外周面の位置が角度検出基準(原点)となるよう回転軸10に取り付けられる。モーター制御装置355が角度センサ354からの角度信号を入力してモーター350の駆動及び停止を制御する。モーター制御機構351は、角度センサ354とモーター制御装置355とにより構成される。
そして、実施形態1と同じように、回転体1を所定角度回転する毎に停止し、回転体1の回転中は、固液混合物と脱水板71との摩擦を小さくするために、押体44による脱水動作を停止し、回転体1が停止している時に脱水動作を行うことにより、実施形態1と同じように、脱水板71の摩耗を少なくできて、固液分離装置の脱水性能を良好に維持できるようになる。
【0041】
油圧ジャッキは1つでも良い。
回転体1の外周面32に設ける収容部51の数は、1つ以上であれば良い。この場合、複数の収容部51は、回転軸10を中心とした周回りに(360/n)度の間隔で配置される。尚、nは2以上の収容部51の数である。
油圧駆動の押圧機構41の代わりに、水圧駆動や空気圧駆動の押圧機構、あるいは、カムとばねを用いた押圧機構を使用しても良い。
また、回転体1の回転軸10側から外周面32に近くなるにつれて幅広となる収容部、即ち、収容部を仕切る仕切壁体の壁面が回転体の半径線と平行な面に形成されて、壁面が末広がりとなった収容部を形成し、押体として、ばね機構などで幅が可変に構成されたものを使用することも可能である。
【0042】
回転力付与機構302としては、例えば、ラックアンドピニオン機構によって円板304の周面307に接する円の接線と平行に移動可能なように構成された進退棒を備えた機構を用いても良い。
爪車(ラチェット)301と回転力付与機構302とを前壁部64の外面64aに設けても良い。
【0043】
爪車の歯の数Aと収容部の数Bとの関係は、特に限定されない。即ち、A=B、又は、A>B、又は、A<Bとすれば良い。
【0044】
また、実施形態1では、油圧ジャッキの押体311が最大縮退状態から最大伸長状態になる毎、即ち、油圧ジャッキの押体311を1ストローク動作させて爪車301が一定角度回転する毎に脱水動作を行う例を示したが、油圧ジャッキの押体311による複数回(例えば、2〜3回程度)のストローク動作が終了する毎に脱水動作を行ったり、油圧ジャッキの押体311の1ストローク動作の間に、脱水動作を間欠的に行うようにしても良い。
【0045】
本発明の固液分離装置によれば、例えば、シールド掘削土砂、食品かす、浚渫土、ダムの堆砂、下水堆積土、沈殿物、汚泥等の固液混合物を脱水できる。
【符号の説明】
【0046】
1 回転体、2 ケーシング、3 回転駆動制御機構、32 回転体の外周面、
35 収容部の開口部、36 凹部、41 押圧機構、42 シリンダー、
43 ロッド、43A ロッドの中心軸、43a ロッド貫通孔、44 押体、
51 収容部、66 入口部、67 脱水部、68 出口部、71 脱水板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11