【解決手段】ECU1はシフトレバー22の操作状態に応じて無線通信部12の通信相手を切り替える。シフトレバー22がパーキングである場合、ECU1は無線通信部12の無線通信の相手に無線キー3を選択する。シフトレバー22がパーキング以外である場合、ECU1は無線通信部12の無線通信の相手を無線キー3又はセンサユニット6に交互に切り替える。なおECU1は、シフトレバー22の操作状態に代えて、パーキングブレーキ23の作動/解除状態に応じて切り替えを行ってもよい。またIGスイッチ21がオン状態であるか否かの条件をさらに加えて切り替えを行ってもよい。
前記切替制御手段は、前記通信手段による前記車輪側通信器との無線通信に不具合が発生した場合に、前記通信手段の通信相手を前記可搬型通信器に切り替えるようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の通信システムでは、ユーザにとって車両の通常の使用態様では(即ちID登録モードでない場合には)、IGスイッチのオン/オフ状態に応じて受信機の通信相手がセンサユニット又は電子キーのいずれか一方に切り替えられる。このためユーザがIGスイッチをオン状態に切り替えた後は、電子キーとの通信を行うことができなくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、遠隔ロックシステム及びTPMSにて車両に搭載された無線通信器を共用することができ、TPMSの動作中であっても遠隔ロックシステムを動作させることができる通信システム及び車体側通信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る通信システムは、車両の車輪に設けられてタイヤの空気圧を検知する空気圧検知手段、及び、該空気圧検知手段の検知結果を無線送信する空気圧送信手段を有する車輪側通信器と、前記車両の車体に搭載され、可搬型通信器又は前記車輪側通信器との無線通信を行う通信手段、該通信手段の無線通信の結果に基づいて前記車両のドアの施錠/解錠制御を行う錠制御手段、前記車両のトランスミッションに係る操作を受け付けるシフト操作部の操作状態を取得するシフト状態取得手段、及び、該シフト状態取得手段が取得した前記シフト操作部の操作状態に応じて前記通信手段による無線通信の通信相手を切り替える制御を行う切替制御手段を有する車体側通信器とを備え、前記切替制御手段は、前記シフト操作部の操作状態がパーキング以外である場合に、前記通信手段が断続的に前記可搬型通信器又は前記車輪側通信器との通信を交互に行うよう切り替えを行い、前記シフト操作部の操作状態がパーキングである場合に、前記通信手段の通信相手を前記可搬型通信器に切り替えるようにしてあることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る通信システムは、前記車体側通信器が、前記車両のイグニッションスイッチのオン/オフ状態を取得する取得手段を有し、前記切替制御手段は、前記シフト操作部の操作状態がパーキング以外であり、且つ、前記イグニッションスイッチがオン状態である場合に、前記通信手段が断続的に前記可搬型通信器又は前記車輪側通信器との通信を交互に行うよう切り替えを行い、前記シフト操作部の操作状態がパーキングである場合、又は、前記イグニッションスイッチがオフ状態である場合に、前記通信手段の通信相手を前記可搬型通信器に切り替えるようにしてあることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る通信システムは、車両の車輪に設けられてタイヤの空気圧を検知する空気圧検知手段、及び、該空気圧検知手段の検知結果を無線送信する空気圧送信手段を有する車輪側通信器と、前記車両の車体に搭載され、可搬型通信器又は前記車輪側通信器との無線通信を行う通信手段、該通信手段の無線通信の結果に基づいて前記車両のドアの施錠/解錠制御を行う錠制御手段、前記車両のパーキングブレーキの作動/解除状態を取得するブレーキ状態取得手段、及び、該ブレーキ状態取得手段が取得した前記パーキングブレーキの作動/解除状態に応じて前記通信手段による無線通信の通信相手を切り替える制御を行う切替制御手段を有する車体側通信器とを備え、前記切替制御手段は、前記パーキングブレーキが解除状態である場合に、前記通信手段が断続的に前記可搬型通信器又は前記車輪側通信器との通信を交互に行うよう切り替えを行い、前記パーキングブレーキが作動状態である場合に、前記通信手段の通信相手を前記可搬型通信器に切り替えるようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る通信システムは、前記車体側通信器が、前記車両のイグニッションスイッチのオン/オフ状態を取得する取得手段を有し、前記切替制御手段は、前記パーキングブレーキが解除状態であり、且つ、前記イグニッションスイッチがオン状態である場合に、前記通信手段が断続的に前記可搬型通信器又は前記車輪側通信器との通信を交互に行うよう切り替えを行い、前記パーキングブレーキが作動状態である場合、又は、前記イグニッションスイッチがオフ状態である場合に、前記通信手段の通信相手を前記可搬型通信器に切り替えるようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る通信システムは、前記切替制御手段が、前記通信手段による前記車輪側通信器との無線通信に不具合が発生した場合に、前記通信手段の通信相手を前記可搬型通信器に切り替えるようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る車体側通信器は、車両の車体に搭載されており、前記車両の車輪に設けられて該タイヤの空気圧を検知する空気圧検知手段及び該空気圧検知手段の検知結果を無線送信する空気圧送信手段を有する車輪側通信器、又は、可搬型通信器との無線通信を行う通信手段と、該通信手段の無線通信の結果に基づいて前記車両のドアの施錠/解錠制御を行う錠制御手段と、前記車両のトランスミッションに係る操作を受け付けるシフト操作部の操作状態を取得するシフト状態取得手段と、該シフト状態取得手段が取得した前記シフト操作部の操作状態に応じて前記通信手段による無線通信の通信相手を切り替える制御を行う切替制御手段とを備え、前記切替制御手段は、前記シフト操作部の操作状態がパーキング以外である場合に、前記通信手段が断続的に前記可搬型通信器又は前記車輪側通信器との通信を交互に行うよう切り替えを行い、前記シフト操作部の操作状態がパーキングである場合に、前記通信手段の通信相手を前記可搬型通信器に切り替えるようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る車体側通信器は、車両の車体に搭載されており、前記車両の車輪に設けられて該タイヤの空気圧を検知する空気圧検知手段及び該空気圧検知手段の検知結果を無線送信する空気圧送信手段を有する車輪側通信器、又は、可搬型通信器との無線通信を行う通信手段と、該通信手段の無線通信の結果に基づいて前記車両のドアの施錠/解錠制御を行う錠制御手段と、前記車両のパーキングブレーキの作動/解除状態を取得するブレーキ状態取得手段と、該ブレーキ状態取得手段が取得した前記パーキングブレーキの作動/解除状態に応じて前記通信手段による無線通信の通信相手を切り替える制御を行う切替制御手段とを備え、前記切替制御手段は、前記パーキングブレーキが解除状態である場合に、前記通信手段が断続的に前記可搬型通信器又は前記車輪側通信器との通信を交互に行うよう切り替えを行い、前記パーキングブレーキが作動状態である場合に、前記通信手段の通信相手を前記可搬型通信器に切り替えるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、遠隔ロックシステムのための可搬型通信器と、TPMSのための車輪に設けられた車輪側通信器とが、車体に設けられた車体側通信器との間でそれぞれ無線通信を行う。車体側通信器は、可搬型通信器との通信により車両のドアの施錠/解錠制御を行う。車体側通信器は、車輪側通信器との通信により車輪の装着位置を判定し、空気圧の検知結果に応じた警告などを行うことができる。なお本通信システムでは車体側通信器の無線通信機能を遠隔ロックシステム及びTPMSで共用する。このため車体側通信器は、可搬型通信器又は車輪側通信器のいずれか一方と無線通信を行うことができ、両機器と同時に無線通信を行うことはできない。そこで車体側通信器は、無線通信の通信相手を適宜に切り替える処理を行う。
【0016】
本発明の車体側通信器は、車両に設けられたシフト操作部の操作状態を取得する。シフト操作部は、車両のトランスミッションに関する操作を受け付けるためのものであり、いわゆるシフトレバーなどである。シフト操作部の操作状態は、例えばオートマチックトランスミッションの車両においてパーキング、ニュートラル、ドライブ又はリバース等で表現されるものである。シフト操作部の操作状態がパーキングである場合、車体側通信器は、可搬型通信器との無線通信を行い、車輪側通信器との無線通信は行わない。シフト操作部の操作状態がパーキングである場合、車両は走行開始することはないため、タイヤの空気圧などの情報は不要である場合が多い。これに対してシフト操作部の操作状態がパーキング以外である場合、車体側通信器は、可搬型通信器との無線通信及び車輪側通信器との無線通信を交互に切り替えて行う(いわゆる時分割処理)。これにより遠隔ロックシステムとTPMSとを並列的に動作させることが可能となる。
即ち本システムでは、遠隔ロックシステムは常時的に利用可能であり、TPMSはシフト操作部がパーキング以外に操作された後に利用可能となる。シフト操作部がパーキング以外に操作された後にTPMSを動作させる構成とすることにより、TPMSを常時的に動作させる場合と比較して低消費電力化を実現できる。またシフト操作部がパーキング以外に操作された後にTPMSのみを動作させるのではなく、並列的に遠隔ロックシステムを動作させる構成とすることにより、TPMSの動作時に遠隔ロックシステムが利用不可能となることを回避できる。
また本システムでは、TPMSを動作させるか否かをシフト操作部の操作状態に応じて切り替える。シフト操作部の操作状態がパーキング以外である場合、ユーザは車両の走行を開始しようとしていると判断でき、TPMSによるタイヤの空気圧を通知するなどの処理を行うのに適している。シフト操作部の操作状態がパーキングである場合、車両が走行開始することはなく、タイヤの空気圧を通知するなどの処理を行う必要はない。よってシフト操作部の操作状態に応じて切り替えを行うことによって、適切なタイミングでTPMSを動作させることができる。またシフト操作部は車両に必ず設けられるものであるため、新たなハードウェア資源を追加することなく制御を実現することができる。
【0017】
また本発明においては、シフト操作部の操作状態がパーキング以外であり、且つ、IGスイッチがオン状態である場合に、車体側通信器は可搬型通信器及び車輪側通信器との交互通信を行う。シフト操作部の操作状態の条件にIGスイッチがオン状態という条件を加えることによって、より車両の走行開始の可能性が高いことを判断でき、適切なタイミングでTPMSを動作させることができる。
【0018】
また本発明の車体側通信器は、車両に設けられたパーキングブレーキ(サイドブレーキなど)の作動/解除状態を取得する。パーキングブレーキが作動状態である場合、車体側通信器は、可搬型通信器との無線通信を行い、車輪側通信器との無線通信は行わない。パーキングブレーキが作動状態である場合、車両は走行開始することはないため、タイヤの空気圧などの情報は不要である場合が多い。これに対してパーキングブレーキが解除状態である場合、車体側通信器は、可搬型通信器との無線通信及び車輪側通信器との無線通信を交互に切り替えて行う。これにより遠隔ロックシステムとTPMSとを並列的に動作させることが可能となる。
即ち本システムでは、遠隔ロックシステムは常時的に利用可能であり、TPMSはパーキングブレーキが解除された後に利用可能となる。パーキングブレーキが解除された後にTPMSを動作させる構成とすることにより、TPMSを常時的に動作させる場合と比較して低消費電力化を実現できる。またパーキングブレーキが解除された後にTPMSのみを動作させるのではなく、並列的に遠隔ロックシステムを動作させる構成とすることにより、TPMSの動作時に遠隔ロックシステムが利用不可能となることを回避できる。
また本システムでは、TPMSを動作させるか否かをパーキングブレーキの作動/解除状態に応じて切り替える。パーキングブレーキが解除状態である場合、ユーザは車両の走行を開始しようとしていると判断でき、TPMSによるタイヤの空気圧を通知するなどの処理を行うのに適している。パーキングブレーキが作動状態である場合、車両が走行開始することはなく、タイヤの空気圧を通知するなどの処理を行う必要はない。よってパーキングブレーキの作動/解除状態に応じて切り替えを行うことによって、適切なタイミングでTPMSを動作させることができる。またパーキングブレーキは車両に必ず設けられるものであるため、新たなハードウェア資源を追加することなく制御を実現することができる。
【0019】
また本発明においては、パーキングブレーキが解除状態であり、且つ、IGスイッチがオン状態である場合に、車体側通信器は可搬型通信器及び車輪側通信器との交互通信を行う。パーキングブレーキの作動/解除状態の条件にIGスイッチがオン状態という条件を加えることによって、より車両の走行開始の可能性が高いことを判断でき、適切なタイミングでTPMSを動作させることができる。
【0020】
また本発明においては、可搬型通信器及び車輪側通信器との交互通信を行っている状態で、車輪側通信器との無線通信に不具合が発生した場合、車体側通信器は、車輪側通信器との無線通信を停止し、通信相手を可搬型通信器のみに切り替える。車輪側通信器との無線通信の不具合によって、車体側通信器と可搬型通信器との無線通信が阻害されることを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による場合は、シフト操作部の操作状態がパーキング以外とされた後、車体側通信器が可搬型通信器及び車輪側通信器との無線通信を交互に行う構成とすることにより、TPMSが必要となる適切なタイミングで車輪側通信器との無線通信を開始することができ、遠隔ロックシステム及びTPMSによって車体側通信器の無線通信機能を共用することができる。本通信システムでは、TPMSの動作中であっても、遠隔ロックシステムを動作させることができる。
【0022】
また本発明による場合は、パーキングブレーキが解除された後、車体側通信器が可搬型通信器及び車輪側通信器との無線通信を交互に行う構成とすることにより、TPMSが必要となる適切なタイミングで車輪側通信器との無線通信を開始することができ、遠隔ロックシステム及びTPMSによって車体側通信器の無線通信機能を共用することができる。本通信システムでは、TPMSの動作中であっても、遠隔ロックシステムを動作させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本実施の形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。図において100は車両であり、本実施の形態に係る車両100は前後左右に4つの車輪(タイヤ、ホイール)が装着されている。本実施の形態に係る通信システムは、車両100の車体に搭載されたECU(Electronic Control Unit)1と、車両100の各車輪に搭載されたセンサユニット6と、車両100の所有者などが所持する可搬型の無線キー3とを備えて構成されている。また車両100の車体には、各車輪の近傍に車輪速センサ5がそれぞれ搭載されており、各車輪速センサ5が検知した車輪速がECU1へ通知される。本通信システムは、ECU1がセンサユニット6又は無線キー3との無線通信を行うことによって、TPMS及び遠隔ロックシステムを実現するものである。
【0025】
図2は、本実施の形態に係るECU1の構成を示すブロック図である。ECU1は、制御部11、無線通信部12、記憶部13、入力I/F(インタフェース)部14及び出力I/F部15等を備えて構成されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を用いて構成され、記憶部13などに記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、TPMSに関する演算処理、遠隔ロックシステムに関する演算処理及び両システムの切替処理等を行う。
【0026】
無線通信部12は、車両100の適所に配設されたアンテナ12aを用いて、無線キー3又はセンサユニット6との無線通信を行うものである。無線通信部12は、無線キー3又はセンサユニット6から受信した無線信号を2値の情報に変換して制御部11へ与えると共に、制御部11から与えられた送信用の情報を無線信号に変換して無線キー3又はセンサユニット6へ送信する。また本実施の形態に係る無線通信部12は、制御部11により無線通信の通信相手の選択がなされている。記憶部13は、フラッシュメモリなどの不揮発性のメモリ素子で構成されており、制御部11にて実行される制御プログラム及び実行に必要な各種のデータ等が記憶されている。本実施の形態において記憶部13には、無線キー3との間で認証処理を行うための認証情報が記憶されている。
【0027】
入力I/F部14は、車両100に搭載された各種の機器から入力される信号を取得し、2値の情報として制御部11へ与える。本実施の形態においてECU1には、車輪速センサ5、IGスイッチ21、シフトレバー22及びパーキングブレーキ23からの信号が入力I/F部14へ入力されている。本実施の形態において車両100には各車輪に対応付けて4つの車輪速センサ5が搭載されている。車輪速センサ5は、例えば車輪の位相角度を検知し、位相角度に応じた電気信号を出力する。ECU1の制御部11は、各車輪速センサ5から入力された電気信号をサンプリングして各車輪の位相角度を取得し、取得した位相角度の変化を算出することで、車両100の各車輪の回転速度(車輪速)を取得することができる。
【0028】
IGスイッチ21は、例えば車両100のエンジン始動などの際に運転者によって切り替えられるスイッチであり、IGスイッチ21がオン状態の場合には車両100に搭載された各種の電子機器へバッテリなどからの電力供給がなされる。IGスイッチ21は、オン/オフ状態を示す2値信号をECU1へ入力する。シフトレバー22は、車両100のトランスミッションに関する操作を受け付けるための操作部であり、運転者が運転の際などに切り替えを行う。シフトレバー22は、例えば「P(パーキング)」、「D(ドライブ)」及び「N(ニュートラル)」等の複数の状態に切り替え操作がなされる。シフトレバー22は、切り替え操作の状態を示す信号をECU1へ入力する。パーキングブレーキ23は、運転者が駐車の際などに操作するブレーキであり、ブレーキのオン(作動)/オフ(解除)状態を示す信号をECU1へ入力する。
【0029】
出力I/F部15は、制御部11から与えられた制御情報に基づいて、表示装置24又はドアロック機構25に対する制御信号を生成して出力する。表示装置24は、例えばカーナビゲーション装置などと共用の液晶ディスプレイなどであってもよく、報知のためのLEDランプなどであってもよい。表示装置24は、ECU1の制御に応じて、車両100の運転者などに対する報知を行う。ドアロック機構25は、車両100の各ドアのロック(施錠)/アンロック(解錠)を行うものである。ドアロック機構25は、ドアのロック/アンロックを行うための機械機構、及び、この機械機構を動作させるためのアクチュエータ等を含む。ドアロック機構25は、ECU1から与えられた制御信号に応じて、ドアのロック/アンロックを行う。
【0030】
図3は、本実施の形態に係る無線キー3の構成を示すブロック図である。無線キー3は、制御部31、無線通信部32、記憶部33及び操作部34等を備えて構成されている。制御部31は、操作部34に対する操作に応じて、車両100のECU1との無線通信を行って情報交換を行うことにより、車両100のドアをロック/アンロックするための処理を行う。無線通信部32は、アンテナ32aを用いて、車両100に搭載されたECU1との無線通信を行うものである。無線通信部32は、ECU1から受信した無線信号を2値の情報に交換して制御部31へ与えると共に、制御部31から与えられた送信用の情報を無線信号に変換してECU1へ送信する。記憶部33は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性のメモリ素子を用いて構成され、ECU1との間で認証処理を行うための認証情報などが記憶されている。操作部34は、例えばプッシュ式のスイッチなどで構成され、車両100のドアのロック/アンロック操作を受け付けるためのものである。操作部34は、ユーザによる操作がなされた場合に制御部31への通知を行う。
【0031】
図4は、本実施の形態に係るセンサユニット6の構成を示すブロック図である。センサユニット6は、制御部61、無線通信部62、空気圧センサ63及び車輪速センサ64等を備えて構成され、車両100の各車輪にそれぞれ1つずつ搭載される。制御部61は、空気圧センサ63が検知する車輪の空気圧及び車輪速センサ64が検知する車輪速を取得して、無線通信により車両100のECU1へ送信する処理を行う。無線通信部62は、アンテナ62aを用いて、車両100に搭載されたECU1との無線通信を行うものである。無線通信部62は、ECU1から受信した無線信号を2値の情報に交換して制御部61へ与えると共に、制御部61から与えられた送信用の情報を無線信号に変換してECU1へ送信する。
【0032】
空気圧センサ63は、車輪(タイヤ)のエアバルブなどに設けられ、車輪の空気圧に応じて電気信号を出力するセンサである。制御部61は、空気圧センサ63が出力する電気信号をサンプリングして車輪の空気圧を取得し、ECU1へ送信する。車輪速センサ64は、車輪の位相角度に応じた電気信号を出力する。制御部61は、車輪速センサ64が出力する電気信号をサンプリングして車輪の位相角度を取得し、ECU1へ送信する。
【0033】
<TPMS>
本実施の形態に係るECU1は、車両100の各車輪に設けられたセンサユニット6から無線により受信した情報に基づいて、各車輪の空気圧を監視し、空気圧に異常が発生した場合に表示装置24による警告を行う。これはいわゆるTPMSの機能であり、ECU1は、センサユニット6から受信した情報に含まれる空気圧センサ63の検知結果に基づき、車輪の空気圧が許容範囲外である場合に警告を行う。
【0034】
車両100は4つの車輪を有しているが、ECU1は、いずれの車輪の空気圧が許容範囲外であるかをユーザが区別可能なように警告を行う。このためECU1は、4つのセンサユニット6から受信した情報が、いずれの車輪に関するものであるかを区別する処理を行う必要がある。本実施の形態に係るECU1は、各センサユニット6からの受信情報に車輪の空気圧と共に含まれる車輪の位相角度と、車両100の車体に設けられた各車輪速センサ5が検知した車輪の位相角度との相関関係に基づいて、センサユニット6からの受信情報がいずれの車輪に関するものであるかを区別する。
【0035】
例えばECU1は、センサユニット6にて検出された車輪の位相角度について、時刻t1における位相角度と所定時間経過後の時刻t2における位相角度との差分を算出する(又は、センサユニット6がこの差分を送信してもよい)。またECU1は、車輪速センサ5が検知した位相角度についても同様に、時刻t1における位相角度と時刻t2における位相角度との差分を算出する。これによりECU1は、4つのセンサユニット6にて検知された車輪の位相角度の4つの差分値と、4つの車輪速センサ5にて検知された車輪の位相角度の4つの差分値とを取得することができる。ECU1は、センサユニット6による4つの差分値と、車輪速センサ5による4つの差分値とを比較し、その値が最も近い差分値の組み合わせを4組決定する。ECU1は、車輪速センサ5の配置を把握しているため、対応する差分値からセンサユニット6の受信情報がいずれの車輪に関するものであるかを区別することができる。
【0036】
なお本実施の形態においては、センサユニット6にて検知された車輪の位相角度と、車輪速センサ5にて検知された位相角度とに基づいて、車両100の各車輪の装着位置を判定する構成とするが、車輪の装着位置の判定方法はこれに限らず、その他の種々の方法を採用してよい。また車輪の装着位置の判定を行わない構成であってもよく、この場合にはセンサユニット6が車輪速センサ64を備えない構成であってもよい。
【0037】
<遠隔ロックシステム>
また本実施の形態に係るECU1は、無線キー3との間で無線通信を行い、その結果に応じて車両100のドアのロック/アンロックの制御を行う。これはいわゆる遠隔ロックシステムの機能であり、ECU1は、記憶部13に記憶した認証情報を用いて無線キー3との間で認証処理を行い、認証処理に成功した場合に無線キー3からの要求に応じたドアのロック/アンロックを行う。
【0038】
例えば無線キー3の操作部34には、車両100のドアのロックスイッチ及びアンロックスイッチが設けられている。これらのスイッチに対してユーザが操作を行った場合、操作部34から制御部31へ操作がなされた旨の通知が与えられる。この通知に応じて、制御部31は記憶部33に記憶された認証情報を読み出し、読み出した認証情報に基づき暗号化などの処理を行った送信用情報を生成し、生成した情報を無線通信部32にて無線信号に変換して車両100へ送信する。無線キー3から車両100への送信情報には、無線キー3に対して付された識別情報及びロック/アンロックの要求情報等が含まれる。
【0039】
車両100のECU1は、無線通信部12にて無線キー3からの無線信号を受信した場合、記憶部13に記憶した認証情報を読み出し、読み出した認証情報に基づき受信情報の復号などの処理を行う。ECU1は、受信情報に含まれる識別情報などの情報に基づいて、受信情報に係る無線キー3が正当なものであるか否かを判定する認証処理を行う。無線キー3が正当なものであると判定した場合、ECU1は、受信情報に含まれるロック/アンロックの要求に従い、ドアロック機構25に車両100のドアのロック/アンロックを行わせる。
【0040】
<通信切替>
上記のように、本実施の形態に係るECU1は、TPMSに関する処理と、遠隔ロックシステムに関する処理とを行う。ECU1は、TPMSに関してセンサユニット6との無線通信を行う必要があり、遠隔ロックシステムに関して無線キー3との無線通信を行う必要があるが、これらを共に無線通信部12を用いて行う。ただし無線通信部12は、センサユニット6との無線通信と、無線キー3との無線通信とを同時に行うことはできず、いずれか一方との無線通信を行う。このためECU1の制御部11は、無線通信部12の通信相手を切り替える処理を行う。
【0041】
図5は、実施の形態1に係る通信システムが行う通信切替処理を説明するための模式図である。実施の形態1に係るECU1の制御部11は、車両100のシフトレバー22の操作状態を入力I/F部14にて取得する。制御部11は、シフトレバー22の操作状態がパーキングである場合、無線通信部12の無線通信の相手を無線キー3のみに切り替える。この場合、無線通信部12とセンサユニット6との間で無線通信は行われない。このため、遠隔ロックシステムは動作しているが、TPMSは動作していない状態となる。
【0042】
シフトレバー22の操作状態がパーキング以外である場合、制御部11は、無線キー3との無線通信とセンサユニット6との無線通信とを交互に行うべく、無線通信部12の通信相手を交互に切り替える。例えば制御部11は、シフトレバー22の操作状態がパーキング以外であると判断した後、所定時間(例えば100msなど)に亘ってセンサユニット6との無線通信を無線通信部12に行わせる。所定時間が経過した場合、制御部11は、無線通信部12の通信相手を無線キー3に切り替える。制御部11は、所定時間(例えば100msなど)に亘って無線キー3との無線通信を無線通信部12に行わせる。所定時間が経過した場合、制御部11は、無線通信部12の通信相手をセンサユニット6に切り替える。このようにして制御部11は、無線通信部12の無線通信相手を所定時間毎に切り替える。
【0043】
制御部11は、所定時間毎に無線通信部12の通信相手を切り替える処理を、シフトレバー22の操作状態がパーキング以外である場合に継続して行う。この間にユーザは車両100の走行を開始することができる。車両100の走行中なども、制御部11は、無線キー3及びセンサユニット6との無線通信を交互に行う。その後、車両100の走行を終えてシフトレバー22をパーキングに切り替える操作を行った場合、制御部11は、無線通信部12の通信相手を無線キー3のみに切り替える。
【0044】
また制御部11は、センサユニット6との無線通信に関して不具合が発生した場合、シフトレバー22の操作状態に関わりなく、無線通信部12の通信相手を無線キー3のみに切り替える。例えば制御部11は、センサユニット6から所定時間以上に亘って応答が得られない場合、及び、センサユニット6から受信した情報から誤りが検出された場合等に不具合が発生したと判断することができる。以後、制御部11は、所定の復帰条件が満たされるまで、センサユニット6との無線通信を行わない。例えば復帰条件は、IGスイッチ21がオフ状態となること、車両100のバッテリが取り外されること、又は、外部機器から復帰命令が与えられること等とすることができる。
【0045】
<フローチャート>
図6は、実施の形態1に係る通信システムのECU1が行う通信相手の切替処理の手順を示すフローチャートである。ECU1の制御部11は、車両100のシフトレバー22の操作状態を入力I/F部14にて取得する(ステップS1)。制御部11は、取得したシフトレバー22の操作状態がパーキングであるか否かを判定する(ステップS2)。シフトレバー22の操作状態がパーキングである場合(S2:YES)、制御部11は、無線通信部12の無線通信相手に無線キー3を選択し(ステップS3)、ステップS1へ処理を戻す。
【0046】
シフトレバー22の操作状態がパーキングでない場合(S2:NO)、制御部11は、内部のタイマ(図示は省略する)を用いた計時を開始する(ステップS4)。このときに制御部11は、必要に応じてタイマをリセットした後に計時を開始する。制御部11は、計時開始から所定時間を経過したか否かを判定し(ステップS5)、所定時間を経過していない場合には(S5:NO)、無線通信部12の無線通信相手に無線キー3を選択し(ステップS6)、ステップS5へ処理を戻す。
【0047】
所定時間が経過した場合(S5:YES)、制御部11は、タイマをリセットした後に、新たな計時を開始する(ステップS7)。制御部11は、計時開始から所定時間を経過したか否かを判定し(ステップS8)、所定時間を経過していない場合には(S8:NO)、無線通信部12の無線通信相手にセンサユニット6を選択し(ステップS9)、ステップS8へ処理を戻す。所定時間が経過した場合(S8:YES)、制御部11は、ステップS1へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。
【0048】
図7は、実施の形態1に係る通信システムのECU1が行う通信不具合発生時の処理の手順を示すフローチャートである。ECU1の制御部11は、交互通信を行っている際に、無線通信部12の通信相手としてセンサユニット6が選択されているか否かを判定する(ステップS21)。通信相手がセンサユニット6でない場合(S21:NO)、制御部11は、通信相手がセンサユニット6となるまで待機する。通信相手がセンサユニット6である場合(S21:YES)、制御部11は、センサユニット6との無線通信を行う(ステップS22)。
【0049】
制御部11は、センサユニット6との無線通信において通信エラーが発生したか否かを判定する(ステップS23)。通信エラーが発生していない場合(S23:NO)、制御部11は、ステップS21へ処理を戻す。通信エラーが発生した場合(S23:YES)、制御部11は、無線通信部12の通信相手を無線キー3に固定して(ステップS24)、処理を終了する。
【0050】
<まとめ>
以上の構成の本実施の形態に係る通信システムは、遠隔ロックシステムのための無線キー3と、TPMSのためのセンサユニット6とが、車両100の車体に設けられたECU1の無線通信部12との間でそれぞれ無線通信を行う。ECU1は、無線キー3との通信により車両100のドアの施錠/解錠を行う。ECU1は、センサユニット6との通信により車両100の車輪の装着位置を判定し、タイヤの空気圧の検知結果に応じた警告などを行う。本通信システムは、ECU1の無線通信部12による無線通信機能を、遠隔ロックシステムとTPMSとで共用する。ECU1の無線通信部12は、無線キー3又はセンサユニット6のいずれか一方と無線通信を行うことができ、両機器と同時に無線通信を行うことはできない。そこでECU1の制御部11は、無線通信部12による無線通信の相手を適宜に切り替える処理を行う。
【0051】
ECU1は、車両100に設けられたシフトレバー22の操作状態を入力I/F部14にて取得する。シフトレバー22の操作状態がパーキングである場合、ECU1の制御部11は、無線通信部12の無線通信の相手に無線キー3を選択する。この場合、ECU1は無線キー3との無線通信を行い、センサユニット6との無線通信を行わない。これに対してシフトレバー22の操作状態がパーキング以外である場合、制御部11は、無線通信部12の無線通信の相手を交互に切り替えることにより、無線キー3との無線通信とセンサユニット6との無線通信とを交互に行う。これにより遠隔ロックシステムとTPMSとを同時的に動作させることが可能となる。
【0052】
即ち本通信システムでは、遠隔ロックシステムは常時的に利用可能であり、TPMSはシフトレバー22がパーキング以外に操作された後に利用可能となる。シフトレバー22がパーキング以外に操作された後にTPMSを動作させる構成とすることにより、TPMSを常時的に動作させる場合と比較して低消費電力化を実現できる。またシフトレバー22がパーキング以外に操作された後にTPMSのみを動作させるのではなく、並列的に遠隔ロックシステムを動作させる構成とすることにより、TPMSの動作時に遠隔ロックシステムが利用不可能となることを回避できる。
【0053】
また本通信システムでは、TPMSを動作させるか否かをシフトレバー22の操作状態に応じて切り替える。シフトレバー22の操作状態がパーキング以外である場合、ユーザが車両100を走行開始させる可能性が高いと判断でき、TPMSによるタイヤの空気圧を通知するなどの処理を行うのに適している。シフトレバー22の操作状態がパーキングである場合、車両100が走行開始することはなく、タイヤの空気圧を通知するなどの処理を行う必要はない。よってシフトレバー22の操作状態に応じて切り替えを行うことによって、適切なタイミングでTPMSを動作させることができる。またシフトレバー22は車両100に必ず搭載されるものであるため、新たなハードウェア資源を追加することなく制御を実現することができる。
【0054】
また無線キー3及びセンサユニット6との無線通信を交互に行っている状態で、センサユニット6との無線通信に不具合が発生した場合、ECU1は、センサユニット6との無線通信を停止し、無線通信部12の通信相手を無線キー3のみとするよう切り替えを行う。センサユニット6との無線通信の不具合によって、ECU1及び無線キー3の無線通信が阻害されることを防止できる。
【0055】
なお本実施の形態においては、車両100に4つの車輪が装着される構成としたが、これに限るものではなく、3つ以下又は5つ以上の車輪を車両に装着する構成であってもよい。またECU1が遠隔ロックシステムに関する処理及びTPMSに関する処理等をすべて行う構成としたが、これに限るものではなく、これらを複数の装置にて分散処理する構成としてもよい。例えばロック制御用ECU、TPMS用ECU及び無線通信装置等の複数の装置が車内ネットワークなどを介して情報交換を行うことで、本実施の形態に係るECU1が行う処理を分散して行う構成としてもよい。またECU1は、車輪速センサ5、IGスイッチ21、シフトレバー22及びパーキングブレーキ23からの信号を入力I/F部14を介して取得する構成としたが、これに限るものではなく、例えば車内ネットワークなどを介して取得する構成としてもよい。またシフト操作の受付を行うシフト操作部をシフトレバー22としたが、これに限るものではなく、プッシュスイッチ又はダイヤルスイッチ等のようにレバー形状以外の操作部にてシフト操作の受付を行う構成としてもよい。またECU1は、IGスイッチ21及びパーキングブレーキ23等からの入力信号が必要でなければ、これを取得しない構成としてもよい。またECU1は、無線通信部12の無線通信相手を交互に無線キー3又はセンサユニット6に切り替える構成とし、切り替えを行う所定時間を100msとしたが、これは一例であって、所定時間は適宜に設定してよい。
【0056】
また
図5に示した無線通信相手の切り替えは一例であって、これに限るものではない。また
図6及び
図7のフローチャートに示した処理手順は一例であって、これに限るものではない。例えば
図6においては、無線キー3との通信を行う所定時間及びセンサユニット6との無線通信を行う所定時間が経過する毎にシフトレバー22の操作状態を判定している。しかしながら例えばシフトレバー22の操作状態を常に監視しており、操作状態が変化した場合には所定時間の経過に関係なく切り替えを行う構成とすることもできる。
【0057】
(変形例)
実施の形態1の変形例に係る通信システムは、シフトレバー22の操作状態に加えて、車両100のIGスイッチ21の状態を判定して無線通信部12の通信相手を切り替える処理を行う構成である。変形例に係るECU1の制御部11は、入力I/F部14にてシフトレバー22の操作状態を取得すると共に、IGスイッチ21のオン/オフ状態を取得する。制御部11は、シフトレバー22の操作状態がパーキングである場合、又は、IGスイッチ21がオフ状態である場合、無線通信部12の無線通信の相手を無線キー3のみに切り替える。これら場合、無線通信部12とセンサユニット6との間で無線通信は行われない。このため、遠隔ロックシステムは動作しているが、TPMSは動作していない状態となる。
【0058】
シフトレバー22の操作状態がパーキング以外であり、且つ、IGスイッチ21がオン状態である場合、制御部11は、無線キー3との無線通信とセンサユニット6との無線通信とを交互に行うべく、無線通信部12の通信相手を所定時間毎に交互に切り替える。制御部11は、所定時間毎に無線通信部12の通信相手を切り替える処理を、シフトレバー22の操作状態がパーキング以外であり、且つ、IGスイッチ21がオン状態である場合に継続して行う。その後、シフトレバー22がパーキングへ操作された場合、又は、IGスイッチ21がオフ状態に切り替えらえた場合、制御部11は、無線通信部12の通信相手を無線キー3のみに切り替える。
【0059】
図8は、実施の形態1の変形例に係る通信システムのECU1が行う通信相手の切替処理の手順を示すフローチャートである。なお本フローチャートは、
図6に示したフローチャートにおける所定時間の計時に関する処理を省略し、記載を簡略化してある。変形例に係るECU1の制御部11は、車両100のシフトレバー22の操作状態を入力I/F部14にて取得する(ステップS31)。制御部11は、取得したシフトレバー22の操作状態がパーキングであるか否かを判定する(ステップS32)。シフトレバー22の操作状態がパーキングである場合(S32:YES)、制御部11は、無線通信部12の無線通信相手に無線キー3を選択し(ステップS33)、ステップS31へ処理を戻す。
【0060】
シフトレバー22の操作状態がパーキングでない場合(S32:NO)、制御部11は、車両100のIGスイッチ21のオン/オフ状態を取得する(ステップS34)。制御部11は、IGスイッチ21がオン状態であるか否かを判定する(ステップS35)。IGスイッチ21がオフ状態である場合(S35:NO)、制御部11は、無線通信部12の無線通信相手に無線キー3を選択し(ステップS33)、ステップS31へ処理を戻す。
【0061】
IGスイッチ21がオン状態である場合(S35:YES)、制御部11は、内部のタイマなどによる計時を行い、所定時間に亘って無線通信部12の無線通信相手に無線キー3を選択する(ステップS36)。所定時間の経過後、制御部11は、所定時間に亘って無線通信部12の無線通信相手にセンサユニット6を選択し(ステップS37)、ステップS31へ処理を戻して上述の処理を繰り返し行う。
【0062】
このように変形例に係る通信システムは、シフトレバー22の操作状態がパーキング以外であり、且つ、IGスイッチ21がオン状態である場合に、ECU1が無線キー3及びセンサユニット6との無線通信を交互に行う。シフトレバー22の操作状態の条件に対してIGスイッチ21がオン状態という条件を加えることにより、より車両100の走行開始の可能性が高いことを判断でき、ECU1は適切なタイミングでTPMSを動作させることができる。
【0063】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る通信システムは、シフトレバー22の操作状態に代えて、パーキングブレーキ23の状態を判断する。
図9は、実施の形態2に係る通信システムが行う通信切替処理を説明するための模式図である。実施の形態2に係るECU1の制御部11は、車両100のパーキングブレーキ23の状態を入力I/F部14にて取得する。制御部11は、パーキングブレーキ23が作動状態である場合、無線通信部12の無線通信の相手を無線キー3のみに切り替える。この場合、無線通信部12とセンサユニット6との間で無線通信は行われない。このため、遠隔ロックシステムは動作しているが、TPMSは動作していない状態となる。
【0064】
パーキングブレーキ23が解除状態である場合、制御部11は、無線キー3との無線通信とセンサユニット6との無線通信とを交互に行うべく、無線通信部12の通信相手を交互に切り替える。例えば制御部11は、パーキングブレーキ23が解除状態であると判断した後、所定時間に亘ってセンサユニット6との無線通信を無線通信部12に行わせる。所定時間が経過した場合、制御部11は、無線通信部12の通信相手を無線キー3に切り替える。制御部11は、所定時間に亘って無線キー3との無線通信を無線通信部12に行わせる。所定時間が経過した場合、制御部11は、無線通信部12の通信相手をセンサユニット6に切り替える。このようにして制御部11は、無線通信部12の無線通信相手を所定時間毎に切り替える。
【0065】
制御部11は、所定時間毎に無線通信部12の通信相手を切り替える処理を、パーキングブレーキ23が解除状態である場合に継続して行う。この間にユーザは車両100の走行を開始することができる。車両100の走行中なども、制御部11は、無線キー3及びセンサユニット6との無線通信を交互に行う。その後、車両100の走行を終えてユーザがパーキングブレーキ23を作動状態に切り替える操作を行った場合、制御部11は、無線通信部12の通信相手を無線キー3のみに切り替える。
【0066】
また制御部11は、センサユニット6との無線通信に関して不具合が発生した場合、パーキングブレーキ23の状態に関わりなく、無線通信部12の通信相手を無線キー3のみに切り替える。以後、制御部11は、所定の復帰条件が満たされるまで、センサユニット6との無線通信を行わない。
【0067】
図10は、実施の形態2に係る通信システムのECU1が行う通信相手の切替処理の手順を示すフローチャートである。ECU1の制御部11は、車両100のパーキングブレーキ23の状態を入力I/F部14にて取得する(ステップS41)。制御部11は、取得したパーキングブレーキ23の状態が解除状態であるか否かを判定する(ステップS42)。パーキングブレーキ23が解除状態でない場合(S42:NO)、制御部11は、無線通信部12の無線通信相手に無線キー3を選択し(ステップS43)、ステップS41へ処理を戻す。
【0068】
パーキングブレーキ23が解除状態である場合(S42:YES)、制御部11は、内部のタイマを用いた計時を開始する(ステップS44)。このときに制御部11は、必要に応じてタイマをリセットした後に計時を開始する。制御部11は、計時開始から所定時間を経過したか否かを判定し(ステップS45)、所定時間を経過していない場合には(S45:NO)、無線通信部12の無線通信相手に無線キー3を選択し(ステップS46)、ステップS45へ処理を戻す。
【0069】
所定時間が経過した場合(S45:YES)、制御部11は、タイマをリセットした後に、新たな計時を開始する(ステップS47)。制御部11は、計時開始から所定時間を経過したか否かを判定し(ステップS48)、所定時間を経過していない場合には(S48:NO)、無線通信部12の無線通信相手にセンサユニット6を選択し(ステップS49)、ステップS48へ処理を戻す。所定時間が経過した場合(S48:YES)、制御部11は、ステップS41へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。
【0070】
以上の構成の実施の形態2に係る通信システムは、ECU1が車両100に設けられたパーキングブレーキ23の状態を入力I/F部14にて取得する。パーキングブレーキ23が作動状態である場合、ECU1の制御部11は、無線通信部12の無線通信の相手に無線キー3を選択する。この場合、ECU1は無線キー3との無線通信を行い、センサユニット6との無線通信を行わない。これに対してパーキングブレーキ23が解除状態である場合、制御部11は、無線通信部12の無線通信の相手を交互に切り替えることにより、無線キー3との無線通信とセンサユニット6との無線通信とを交互に行う。これにより遠隔ロックシステムとTPMSとを同時的に動作させることが可能となる。
【0071】
即ち本通信システムでは、遠隔ロックシステムは常時的に利用可能であり、TPMSはパーキングブレーキ23が解除された後に利用可能となる。パーキングブレーキ23が解除された後にTPMSを動作させる構成とすることにより、TPMSを常時的に動作させる場合と比較して低消費電力化を実現できる。またパーキングブレーキ23が解除された後にTPMSのみを動作させるのではなく、並列的に遠隔ロックシステムを動作させる構成とすることにより、TPMSの動作時に遠隔ロックシステムが利用不可能となることを回避できる。
【0072】
また本通信システムでは、TPMSを動作させるか否かをパーキングブレーキ23の状態に応じて切り替える。パーキングブレーキ23が解除状態である場合、ユーザが車両100を走行開始させる可能性が高いと判断でき、TPMSによるタイヤの空気圧を通知するなどの処理を行うのに適している。パーキングブレーキ23が作動状態である場合、車両100が走行開始することはなく、タイヤの空気圧を通知するなどの処理を行う必要はない。よってパーキングブレーキ23の状態に応じて切り替えを行うことによって、適切なタイミングでTPMSを動作させることができる。またパーキングブレーキ23は車両100に必ず搭載されるものであるため、新たなハードウェア資源を追加することなく制御を実現することができる。
【0073】
なお、
図9に示した無線通信相手の切り替えは一例であって、これに限るものではない。また
図10のフローチャートに示した処理手順は一例であって、これに限るものではない。例えば
図10においては、無線キー3との通信を行う所定時間及びセンサユニット6との無線通信を行う所定時間が経過する毎にパーキングブレーキ23の状態を判定している。しかしながら例えばパーキングブレーキ23の状態を常に監視しており、状態が変化した場合には所定時間の経過に関係なく切り替えを行う構成とすることもできる。また実施の形態2に係るECU1は、IGスイッチ21及びシフトレバー22等からの入力信号が必要でなければ、これを取得しない構成としてもよい。
【0074】
(変形例)
実施の形態2の変形例に係る通信システムは、パーキングブレーキ23の状態に加えて、車両100のIGスイッチ21の状態を判定して無線通信部12の通信相手を切り替える処理を行う構成である。変形例に係るECU1の制御部11は、入力I/F部14にてパーキングブレーキ23の状態を取得すると共に、IGスイッチ21のオン/オフ状態を取得する。制御部11は、パーキングブレーキ23の状態が作動状態である場合、又は、IGスイッチ21がオフ状態である場合、無線通信部12の無線通信の相手を無線キー3のみに切り替える。これら場合、無線通信部12とセンサユニット6との間で無線通信は行われない。このため、遠隔ロックシステムは動作しているが、TPMSは動作していない状態となる。
【0075】
パーキングブレーキ23が解除状態であり、且つ、IGスイッチ21がオン状態である場合、制御部11は、無線キー3との無線通信とセンサユニット6との無線通信とを交互に行うべく、無線通信部12の通信相手を所定時間毎に交互に切り替える。制御部11は、所定時間毎に無線通信部12の通信相手を切り替える処理を、パーキングブレーキ23が解除状態であり、且つ、IGスイッチ21がオン状態である場合に継続して行う。その後、パーキングブレーキ23が作動状態へ切り替えられた場合、又は、IGスイッチ21がオフ状態に切り替えらえた場合、制御部11は、無線通信部12の通信相手を無線キー3のみに切り替える。
【0076】
図11は、実施の形態2の変形例に係る通信システムのECU1が行う通信相手の切替処理の手順を示すフローチャートである。なお本フローチャートは、
図10に示したフローチャートにおける所定時間の計時に関する処理を省略し、記載を簡略化してある。変形例に係るECU1の制御部11は、車両100のパーキングブレーキ23の状態を入力I/F部14にて取得する(ステップS51)。制御部11は、取得したパーキングブレーキ23の状態が解除状態であるか否かを判定する(ステップS52)。パーキングブレーキ23が解除状態でない場合(S52:NO)、制御部11は、無線通信部12の無線通信相手に無線キー3を選択し(ステップS53)、ステップS51へ処理を戻す。
【0077】
パーキングブレーキ23が解除状態である場合(S52:YES)、制御部11は、車両100のIGスイッチ21のオン/オフ状態を取得する(ステップS54)。制御部11は、IGスイッチ21がオン状態であるか否かを判定する(ステップS55)。IGスイッチ21がオフ状態である場合(S55:NO)、制御部11は、無線通信部12の無線通信相手に無線キー3を選択し(ステップS53)、ステップS51へ処理を戻す。
【0078】
IGスイッチ21がオン状態である場合(S55:YES)、制御部11は、内部のタイマなどによる計時を行い、所定時間に亘って無線通信部12の無線通信相手に無線キー3を選択する(ステップS56)。所定時間の経過後、制御部11は、所定時間に亘って無線通信部12の無線通信相手にセンサユニット6を選択し(ステップS57)、ステップS51へ処理を戻して上述の処理を繰り返し行う。
【0079】
このように変形例に係る通信システムは、パーキングブレーキ23が解除状態であり、且つ、IGスイッチ21がオン状態である場合に、ECU1が無線キー3及びセンサユニット6との無線通信を交互に行う。パーキングブレーキ23の条件に対してIGスイッチ21がオン状態という条件を加えることにより、より車両100の走行開始の可能性が高いことを判断でき、ECU1は適切なタイミングでTPMSを動作させることができる。
【0080】
なお実施の形態2に係る通信システムのその他の構成は、実施の形態1に係る通信システムの構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。