特開2015-187094(P2015-187094A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-187094(P2015-187094A)
(43)【公開日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20151002BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20151002BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20151002BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 47/44 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20151002BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61K8/36
   A61K8/86
   A61K31/506
   A61P17/14
   A61K9/08
   A61K47/12
   A61K47/34
   A61K47/10
   A61Q7/00
   A61K47/44
   A61K47/14
   A61K47/26
   A61K47/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-41964(P2015-41964)
(22)【出願日】2015年3月4日
(31)【優先権主張番号】特願2014-49628(P2014-49628)
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有泉 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 亜衣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康之
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD08E
4C076DD09E
4C076DD26Z
4C076DD38
4C076DD39E
4C076DD41
4C076DD44E
4C076DD46E
4C076DD68E
4C076DD70E
4C076EE23E
4C076EE48E
4C076EE53E
4C083AB032
4C083AB282
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC251
4C083AC252
4C083AC261
4C083AC262
4C083AC302
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD221
4C083AD222
4C083AD491
4C083AD492
4C083BB04
4C083CC37
4C083DD23
4C083EE07
4C083EE22
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA63
4C086ZA92
(57)【要約】
【課題】
本発明は低級アルコールを含有せずにミノキシジルを溶解でき、安定なミノキシジル含有外用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
ミノキシジル、液状の高級脂肪酸及び非イオン性界面活性剤を含有する液剤は、通常ミノキシジルを溶解させるために必要な低級アルコールを含有せずにミノキシジルを溶解でき、さらに安定性にも優れることを見出した。
すなわち、ミノキシジル、液状の高級脂肪酸、非イオン性界面活性剤を含有し、実質的に低級アルコールを含有しないことを特徴とする外用液剤である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミノキシジル、液状の高級脂肪酸、非イオン性界面活性剤を含有し、実質的に低級アルコールを含有しないことを特徴とする外用液剤。
【請求項2】
液状の高級脂肪酸が、イソステアリン酸及び/またはオレイン酸である請求項1に記載の外用液剤。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の外用液剤。
【請求項4】
液状の高級脂肪酸1質量部に対して0.25質量部以上の非イオン性界面活性剤を含有する請求項1に記載の外用液剤。
【請求項5】
pHが2.5より大きく9以下である請求項1〜4のいずれかに記載の外用液剤。
【請求項6】
pHが6.5未満である請求項5に記載の外用液剤。
【請求項7】
さらに多価アルコールを含有する請求項1〜6のいずれかに記載の外用液剤。
【請求項8】
多価アルコールが、プロピレングリコールである、請求項7に記載の外用液剤。
【請求項9】
プロピレングリコールの含量が10質量%以上である、請求項8に記載の外用液剤。
【請求項10】
ミノキシジル1質量部に対して0.75質量部以上の液状の高級脂肪酸を含有する、請求項1に記載の外用液剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジルを含有する外用液剤に関する。更に詳しくは、ミノキシジルの溶解性及び製剤の安定性に優れたミノキシジル含有液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは化学名を6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン−3−オキサイドと称し、発毛剤としての適応が知られている(特許文献1参照)。ミノキシジルは、外用塗布により優れた育毛・発毛効果を発揮する薬剤であり、ローション又はエアゾールタイプのミノキシジル含有外用剤が国内外で市販されている。
しかしながら、ミノキシジルは水にほとんど溶解せず、アルコールに溶解しやすい性質を有するため、国内外で市販されているミノキシジル含有外用組成物には多量のアルコールが含有されている。したがって、アルコールに過敏な人たちも安心して使用できるミノキシジル含有製品が望まれている。
【0003】
低級アルコールを配合せず、ミノキシジルの溶解性を確保し、製剤の安定性が良好な外用液剤については知られていない。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4139619号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ミノキシジル含有外用液剤に関し、低級アルコールを実質的に含有せずにミノキシジルを溶解でき、かつ,安定なミノキシジル含有外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ミノキシジル、液状の高級脂肪酸及び非イオン性界面活性剤を含有する外用液剤は、通常ミノキシジルを溶解させるために必要な低級アルコールを含有せずにミノキシジルを溶解でき、さらに安定性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)ミノキシジル、液状の高級脂肪酸、非イオン性界面活性剤を含有し、実質的に低級アルコールを含有しないことを特徴とする外用液剤、
(2)液状の高級脂肪酸が、イソステアリン酸及び/またはオレイン酸である(1)に記載の外用液剤、
(3)非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の外用液剤、
(4)液状の高級脂肪酸1質量部に対して0.25質量部以上の非イオン性界面活性剤を含有する(1)に記載の外用液剤、
(5)pHが2.5より大きく9以下である(1)〜(4)のいずれかに記載の外用液剤、
(6)pHが6.5未満である(5)に記載の外用液剤、
(7)さらに多価アルコールを含有する(1)〜(6)のいずれかに記載の外用液剤、
(8)多価アルコールが、プロピレングリコールである、(7)に記載の外用液剤、
(9)プロピレングリコールの含量が10質量%以上である、(8)に記載の外用液剤、
(10)ミノキシジル1質量部に対して0.75質量部以上の液状の高級脂肪酸を含有する、(1)に記載の外用液剤、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、これまでに必要であった皮膚刺激性の原因ともなりうる多量の低級アルコールを含有せずにミノキシジルを溶解でき、かつ製剤の安定性に優れるミノキシジル含有外用液剤を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明におけるミノキシジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。ミノキシジルの含有量は、本発明のローション剤中0.1〜5w/v%であり、好ましくは0.1〜2w/v%であり、更に好ましくは0.1〜1w/v%であり、最も好ましくは0.25〜1w/v%である。
【0010】
本発明における液状の高級脂肪酸は、融点30℃以下の高級脂肪酸であり、油性成分である。例えば、イソステアリン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。そのうち、炭素数18のものが好ましく、特にイソステアリン酸又はオレイン酸が好ましい。これら液状の高級脂肪酸は組み合わせて使用しても良い。なお、本願発明の液状の高級脂肪酸には、高級脂肪酸エステルは含まれない。液状の高級脂肪酸の含有量は、本発明の効果の点からミノキシジル1質量部に対して0.75質量部以上が好ましく、より好ましくは1.5質量部以上であり、更に好ましくは2質量部以上であり、更に好ましくは2.5質量部以上、最も好ましくは3質量部以上である。また、液状の高級脂肪酸の含有量は、本発明の外用液剤中0.15〜7.5w/v%であり、好ましくは0.15〜6w/v%であり、より好ましくは1〜6w/v%であり、更に好ましくは2〜6w/v%である。
【0011】
本発明における界面活性剤は、非イオン性界面活性剤が好ましく、特にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが好ましい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)が好ましい。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとして、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.)が好ましい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(20E.O.)(4P.O)が好ましい。ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(40E.O.)が好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.)が好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸ポリグリセリル-10が好ましい。ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステルが好ましい。ポリオキシエチレンステロールとしては、PEG-30フィトステロールが好ましい。また、非イオン性界面活性剤の配合量は、本発明の効果の点から高級脂肪酸1質量部に対して0.25質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。また、非イオン性界面活性剤の含有量は、本発明の外用液剤中0.075〜15w/v%であり、好ましくは0.2〜10w/v%であり、更に好ましくは0.25〜10w/v%、更に好ましくは0.5〜10w/v%、更に好ましくは1.5〜10w/v%である。
【0012】
本発明の外用液剤には、実質的に低級アルコールは含まない。本発明のミノキシジル含有外用液剤は、低級アルコールを含まなくとも、ミノキシジルを溶解でき、かつ、安定性に優れる。「実質的に低級アルコールを含有しない」とは、低級アルコールが配合されていないか、もしくはミノキシジルを溶解できない程度の量であれば含むでもよいことを意味する。具体的には、本発明の外用液剤中の低級アルコールの含量は、5.0w/v%以下であり、好ましくは1.0w/v%以下であり、特に好ましくは0%である。低級アルコールとしては、エタノール、イソプロパノールが挙げられる。本発明の低級アルコールには、多価アルコールは含まれない。
【0013】
本発明の外用液剤のpHは、pH2〜9の範囲、好ましくはpH2.5〜9の範囲に調整することが好ましい。pHが高くなるほどミノキシジルの溶解性への課題が大きくなる。溶解性の課題がより大きいのはpH6より高い範囲、さらにはpH6.2以上であり、さらには7.0以上の範囲である。
また、本発明の外用液剤は、pH5〜6.5未満の範囲、より好ましくはpH5.9〜6.5未満の範囲において、ミノキシジルの安定性がより向上するという効果も有する。
【0014】
pH調節剤は、特に制限されないが、通常の医薬品や化粧品に配合される酸や塩基性の化合物を使用することができる。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられる。酸としては、例えば塩酸、リン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、ホウ酸を挙げることができる。pH調節の際には、これらのpH調節剤を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
本発明の外用液剤には、使用感向上の点から、更に多価アルコールを配合するのが好ましい。そのような多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン及びプロピレングリコール等が挙げられ、2種以上配合してもよい。多価アルコールの含有量は、使用感の点から本発明の外用液剤中3〜30w/v%が好ましく、より好ましくは5〜30w/v%である。また、プロピレングリコールを配合する場合は、本発明の外用液剤中、10w/v%以上が好ましい。
【0016】
本発明の外用液剤の例としては、ローション剤、エアゾール剤、ゲル剤、トニック剤などが挙げられる。本発明の外用液剤は、エマルション型の製剤、またはミセル型の製剤である。
【0017】
本発明の外用液剤は、外用液剤の特性を損なわない範囲で、外用液剤の粘度を上げ、乳化安定性を良くする増粘剤を配合しても良い。
本発明における増粘剤は、例えばカルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム等が挙げられる。
【0018】
本発明の外用液剤においては、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、通常外用剤に用いられる種々の成分を配合することができる。例えば、育毛成分(6−ベンジルアミノプリン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、何首鳥、竹節人参等)、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、トウガラシチンキ等)、抗ヒスタミン剤(塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル等)、抗炎症剤(グアイアズレン等)、角質溶解剤(尿素、サリチル酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ等)の抽出物、ビタミン類(酢酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、トコフェロール酢酸エステル、ビオチン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、油分(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、炭化水素類等)、代謝賦活剤(パンテノール等)、香料、清涼化剤(l-メントール、ハッカ油、カンフル等)及び着色剤等の通常使用される成分を配合することができる。
【0019】
本発明の外用液剤の調製は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0020】
かくして得られる本発明の外用液剤は、頭髪用剤、睫毛用剤、眉毛用剤などの皮膚適用製剤等として使用することができる。
【0021】
以下に、実施例、比較例及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 3g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40 1.5g
1,3−ブチレングリコール 5g
リン酸水素二ナトリウム 適量
精製水 全100mL
ミノキシジル1g、イソステアリン酸3g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40 1.5g、1,3−ブチレングリコール5gを70〜80℃に加温し、撹拌した。これにリン酸水素二ナトリウム適量と精製水を加え100mLとし、撹拌しながら室温まで冷却し、製剤を得た。
【0023】
(実施例2)
ミノキシジル 1g
オレイン酸 6g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 4g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100mL
ミノキシジル1g、オレイン酸6g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 4gを70〜80℃に加温し、撹拌した。これに水酸化ナトリウム水溶液適量と精製水を加え100mLとし、撹拌しながら室温まで冷却し、製剤を得た。
【0024】
(実施例3)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 2g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50 3g
グリセリン 7.5g
クエン酸ナトリウム 適量
精製水 全100mL
ミノキシジル1g、イソステアリン酸2g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50 3g、グリセリン7.5gを70〜80℃に加温し、撹拌した。これにクエン酸ナトリウム適量と精製水を加え100mLとし、撹拌しながら室温まで冷却し、製剤を得た。
【0025】
(実施例4)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 2.5g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40 6g
グリセリン 3.5g
クエン酸ナトリウム 適量
精製水 全100mL
ミノキシジル1g、イソステアリン酸2.5g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40 6g、グリセリン3.5gを70〜80℃に加温し、撹拌した。これにクエン酸ナトリウム適量と精製水を加え100mLとし、撹拌しながら室温まで冷却し、製剤を得た。
【0026】
(実施例5)
ミノキシジル 2g
イソステアリン酸 6g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 8g
1,3−ブチレングリコール 15g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100mL
ミノキシジル2g、イソステアリン酸6g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 8g、1,3−ブチレングリコール15gを70〜80℃に加温し、撹拌した。これに水酸化ナトリウム水溶液適量と精製水を加え100mLとし、撹拌しながら室温まで冷却し、製剤を得た。
【0027】
(比較例1)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 3g
塩化ベンザルコニウム 1.5g
1,3−ブチレングリコール 5g
リン酸水素二ナトリウム 適量
精製水 全100mL
ミノキシジル1g、イソステアリン酸3g、塩化ベンザルコニウム1.5g、1,3−ブチレングリコール5gを70〜80℃に加温し、撹拌した。これにリン酸水素二ナトリウム適量と精製水を加え100mLとし、撹拌しながら室温まで冷却し、製剤を得た。
【0028】
(比較例2)
ミノキシジル 1g
ミリスチン酸イソプロピル 6g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 4g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100mL
ミノキシジル1g、ミリスチン酸イソプロピル6g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 4gを70〜80℃に加温し、撹拌した。これに水酸化ナトリウム水溶液適量と精製水を加え100mLとし、撹拌しながら室温まで冷却し、製剤を得た。
【0029】
(比較例3)
ミノキシジル 1g
ステアリン酸 3g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40 1.5g
1,3−ブチレングリコール 5g
リン酸水素二ナトリウム 適量
精製水 全100mL
ミノキシジル1g、ステアリン酸3g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40 1.5g、1,3−ブチレングリコール5gを70〜80℃に加温し、撹拌した。これにリン酸水素二ナトリウム適量と精製水を加え100mLとし、撹拌しながら室温まで冷却し、製剤を得た。
【0030】
実施例1〜5及び比較例1〜3の外用液剤の処方を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
試験例1:ミノキシジルの溶解性
実施例1〜5及び比較例1〜3の調製直後のミノキシジルの溶解性を評価した。ミノキシジルが溶解したものを○、ミノキシジルが溶解しなかったものを×とした。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2の結果から、本発明の液状の高級脂肪酸を含有する外用液剤(実施例1〜5)は、ミノキシジルが溶解した。一方、高級脂肪酸エステルであるミリスチン酸イソプロピルを含有する比較例2の外用液剤は溶解しなかった。
【0035】
試験例2:製剤の乳化安定性
ミノキシジルが溶解した実施例1〜5及び比較例1、3を調製直後及び65℃条件下3日後の外観を確認した。分離が生じなかったものを○、分離が生じていたものを×とした。結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
表3の結果から、実施例1〜5の外用液剤は製剤が分離せず、安定であった。一方、非イオン性の界面活性剤以外の界面活性剤を含有する比較例1、及び固形の高級脂肪酸を含有する比較例3の外用液剤は直後に分離し、不安定であった。
【0038】
(実施例6〜28及び比較例4〜6)
実施例6〜28及び比較例4〜6の処方を表4〜6に示す。表4〜6に記載の主薬、高級脂肪酸又は油性成分、界面活性剤及び多価アルコールを70〜80℃に加温し、撹拌した。これにpH調節剤と精製水を加え100mLとし、撹拌しながら室温まで冷却し、製剤を得た。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
実施例6〜28及び比較例4〜6の調製直後のミノキシジルの溶解性を試験例1と同様の方法で評価した。結果を表7に示す。
【0043】
【表7】
【0044】
表7の結果から、本発明の外用液剤(実施例6〜28)は、ミノキシジルが溶解した。一方、液状の高級脂肪酸を含有しない比較例6の外用液剤は溶解しなかった。
【0045】
ミノキシジルが溶解した実施例6〜28及び比較例4、5について、製剤の乳化安定性について試験例2と同様の方法で試験し、評価した。結果を表8に示す。
【0046】
【表8】
【0047】
表8の結果から、実施例6〜28の外用液剤は製剤が分離せず、安定であった。一方、高級脂肪酸でない別の液状油であるスクワランを含有する比較例4及び流動パラフィンを含有する比較例5の外用液剤は直後に分離し、不安定であった。
【0048】
試験例3:ミノキシジルの安定性試験(ミノキシジル含量)
実施例26〜28の製剤を65℃の恒温槽で2週間保管した後、製剤中のミノキシジル含量を、HPLC法で測定した。ミノキシジル含量は、調製時の製剤中のミノキシジルの仕込み量に対する保管後の製剤中のミノキシジルの量の割合として算出した。結果を表9に示す。
【0049】
【表9】
【0050】
エタノールを含有する場合は、pH6.5未満の範囲はミノキシジルの含量は経時的に低下することが知られているが(WO2014/119186)、pH6.5未満であってもエタノールを含有しない実施例26〜28の製剤は、ミノキシジル含量の低下は認められず、ミノキシジルは安定であった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明により、低級アルコールを用いず、ミノキシジルを溶解でき、かつ安定性に優れたミノキシジル含有外用液剤を提供することが可能となった。