特開2015-187095(P2015-187095A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-187095(P2015-187095A)
(43)【公開日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】固形製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4535 20060101AFI20151002BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20151002BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20151002BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20151002BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20151002BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20151002BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20151002BHJP
【FI】
   A61K31/4535
   A61K31/192
   A61K47/32
   A61K47/38
   A61K9/48
   A61K9/20
   A61K9/14
   A61K9/16
   A61P29/00
   A61P29/00 101
   A61P19/00
   A61P1/02
   A61P11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-41966(P2015-41966)
(22)【出願日】2015年3月4日
(31)【優先権主張番号】特願2014-49627(P2014-49627)
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】桑田 亜矢
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭子
(72)【発明者】
【氏名】土屋 裕里
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076CC04
4C076CC09
4C076CC15
4C076CC16
4C076DD29
4C076DD41
4C076EE16
4C076EE31
4C076EE32
4C076FF06
4C076FF09
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086GA01
4C086GA04
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086NA20
4C086ZA59
4C086ZA67
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB15
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA23
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA61
4C206MA63
4C206NA20
4C206ZA59
4C206ZA67
4C206ZA96
4C206ZB11
4C206ZB15
(57)【要約】
【課題】
本発明の目的は、ロキソプロフェンとチペピジンを配合し、製剤の崩壊性とチペピジンの溶出性を改善した固形製剤を提供することである。
【解決手段】
(a)ロキソプロフェン又はその塩、(b)チペピジンまたはその塩、及び(c)クロスポビドン及び/又はカルメロースカルシウムを含有することを特徴とする固形製剤。
本発明の固形製剤は、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤又は錠剤として提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ロキソプロフェン又はその塩、(b)チペピジンまたはその塩、及び(c)クロスポビドン及び/又はカルメロースカルシウムを含有することを特徴とする固形製剤。
【請求項2】
固形製剤が、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤又は錠剤である請求項1に記載の固形製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロキソプロフェンとチペピジンを含有し、製剤の崩壊性及びチペピジンの溶出性が優れた固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ロキソプロフェンは、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種であり、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛、急性上気道炎や、手術後・外傷後・抜歯後等の消炎・鎮痛・解熱に有効なものとして知られている(非特許文献1)。
ロキソプロフェンは、その優れた薬理作用から、様々な薬物と配合された検討が既になされている。例えば、ケトチフェンフマル酸塩との配合による解熱作用の増強(特許文献1)や、チキジウム臭化物の配合による胃障害の軽減(特許文献2)、プソイドエフェドリン塩酸塩との配合によるくしゃみ防止(特許文献3)などが挙げられる。
【0003】
一方、チペピジンは、咳中枢の抑制による鎮咳作用を示すことや去痰作用を示すこと等が知られている。チペピジンはこれらの作用に基づき、かぜ薬や鎮咳去痰薬に用いられる薬物である(非特許文献2)。
【0004】
本発明者らは、ロキソプロフェンとチペピジンを固形製剤として利用すべく検討したところ、これらを含有する固形製剤の崩壊性が悪くなってしまうことがわかった。一般的に、製剤の崩壊性を改善するためには、崩壊剤を配合して改善させることが考えられるが、ロキソプロフェンとチペピジンを含有する製剤においては、一般的な崩壊剤であるクロスカルメロースナトリウムとカルボキシメチルスターチナトリウムを配合したところ、製剤の崩壊性は改善されたものの、チペピジンの溶出性は十分な効果が得られなかった。そのため、この問題を解決し、製剤の崩壊性とチペピジンの溶出性を改良する技術として、先に、本出願人は、ロキソプロフェン又はその塩、チペピジン又はその塩、及びL−カルボシステインを含有する医薬組成物を提案した(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004―83579号公報
【特許文献2】特開2000―26313号公報
【特許文献3】特開2004−2362号公報
【特許文献4】特願2013−189069号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】第十六改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−5359−5364頁
【非特許文献2】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第290頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4に記載の医薬組成物において、製剤の崩壊性とチペピジンの溶出性は大幅に改善されるに至ったが、今日、なお一層の改善が望まれており、またL−カルボシステインを含まなくても解決できる製剤も望まれている。
したがって、本発明の目的は、L−カルボシステインを配合しなくても、製剤の崩壊性とチペピジンの溶出性を改善した固形製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するためにさらに検討を進めた結果、クロスポピドン及びカルメロースカルシウムは、製剤の崩壊性を改善しかつチペピジンの溶出性も改善できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は
(1)(a)ロキソプロフェン又はその塩、(b)チペピジン又はその塩、及び(c)クロスポビドン及び/又はカルメロースカルシウムを含有することを特徴とする固形製剤、
(2)固形製剤が、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤又は錠剤である(1)に記載の固形製剤、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ロキソプロフェン及びチペピジンを配合し、製剤の崩壊性及びチペピジンの溶出性が優れた固形製剤の提供が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の固形製剤に用いられるロキソプロフェン又はその塩には、ロキソプロフェンの
みならず、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらには水やアルコール等との溶媒
和物が含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販
のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェン又はその塩としては、
ロキソプロフェンナトリウム2水和物が好ましい。ロキソプロフェン又はその塩の含有量は、その薬効を示す量であれば特に限定されるものではないが、固形製剤全質量に対して0.1〜30質量%、好ましくは、6〜15質量%である。
【0012】
本発明の固形製剤におけるチペピジン又はその塩としては、チペピジンそのもののほか、チペピジンの薬学上許容される塩が含まれる。当該チペピジン又はその塩の好適な具体例としては、チペピジン、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩等が挙げられる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、チペピジン又はその塩としては、チペピジンヒベンズ酸塩がより好ましい。また、チペピジン又はその塩の含有量は、その薬効を示す量であれば特に限定されるものではないが、固形製剤全質量に対してチペピジン又はその塩を0.1〜35質量%、好ましくは0.15〜25質量%、より好ましくは0.2〜15質量%である。
【0013】
本発明における(c)成分のクロスポビドンとカルメロースカルシウムは崩壊剤として公知のものである。本発明におけるクロスポビドンの配合量は、固形製剤全質量に対して0.1〜30質量%、好ましくは1.0〜10.0質量%である。本発明におけるカルメロースカルシウムの配合量は、固形製剤全質量に対して0.1〜60質量%、好ましくは1.0〜30.0質量%、さらに好ましくは1.0〜10.0質量%である。
【0014】
本発明の固形製剤に含まれるロキソプロフェン又はその塩、及びチペピジン又はその塩の含有比は、ロキソプロフェン又はその塩を、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で1質量部に対し、チペピジン又はその塩を、0.025〜10質量部含有するものが好ましく、0.03〜5.0質量部含有するものがより好ましく、特に0.03〜1.25質量部が好ましい。
【0015】
また、本発明の固形製剤中にはロキソプロフェン又はその塩、チペピジン又はその塩の他に、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で、通常用いられる他の有効成分、賦形剤、崩壊剤、結合剤などを配合することができる。
【0016】
また本発明の固形製剤の剤形は特に限定されず、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、錠剤(フィルムコーティング錠、糖衣錠、積層錠を含む)、カプセル剤、ドライシロップ剤、トローチ剤等、服用時に固形の剤形のものであるが、特に錠剤が好ましい。
【実施例】
【0017】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。
表1に示すステアリン酸マグネシウム以外の各成分の分量を秤量し、水を使用し乳鉢で練合した後、十分乾燥させた。その後22メッシュの篩に通し、造粒物を製造した。得られた造粒物にステアリン酸マグネシウムを表1に示す分量を秤量し、混合した後、卓上簡易錠剤成型機(商品名:HANDTAB;市橋精機社製)を用いて15kNで打錠し、錠剤径9.5mmの錠剤を得た。
【0018】
(試験例)
<評価方法>
以下の各実施例及び比較例の錠剤について、以下の各試験方法により崩壊時間の測定、溶出試験を行った。
(1)崩壊時間の測定
日本薬局方第十六改正に記載されている崩壊試験法に従い測定した。それぞれの錠剤の崩壊時間を3回ずつ測定し、その平均値を求めた。結果を表2に示す。
(2)溶出試験
得られた錠剤1錠につき、第十六改正日本薬局方の溶出試験法パドル法に従い、37℃、パドル回転数50rpmの条件で60分間試験し、その後パドル回転数を200rpmの条件に変更し10分間試験した後のチペピジンヒベンズ酸塩及びロキソプロフェンナトリムの溶出率を算出した。その結果を表3に示す。なお試験開始70分後の溶出率が85%以上を許容とした。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
表2及び表3から明らかなように、比較例1の処方では、試験開始120分経っても完全な崩壊は認められず、極めて崩壊が遅い錠剤であり、溶出に関してもロキソプロフェン及びチペピジンの両者とも十分な溶出が認められなかった。チペピジンとロキソプロフェンに崩壊剤を加えることにより、30分以内の崩壊時間を示したが(比較例2〜4)、比較例2〜4の処方では、チペピジンは十分に溶出しなかった。
一方、実施例1、2の処方は、比較例1〜4と比較して、ロキソプロフェン及びチペピジンの両者に良好な溶出性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、ロキソプロフェン又はその塩とチペピジン又はその塩を含有し、製剤の崩壊性及びロキソプロフェン及びチペピジンの両者の溶出性が優れた固形製剤の提供が可能となる。