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特開2015-187273ブロックコポリマーとブロックの一つの(コ)ポリマーのブレンドから得られる形態を特徴付ける周期の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-187273(P2015-187273A)
(43)【公開日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】ブロックコポリマーとブロックの一つの(コ)ポリマーのブレンドから得られる形態を特徴付ける周期の制御方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/00 20060101AFI20151002BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20151002BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20151002BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20151002BHJP
【FI】
   C08J7/00 301
   C08J3/20 ZCET
   C08J5/18
   C08F293/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-90880(P2015-90880)
(22)【出願日】2015年4月27日
(62)【分割の表示】特願2014-149212(P2014-149212)の分割
【原出願日】2014年7月22日
(31)【優先権主張番号】1357333
(32)【優先日】2013年7月25日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】61/879,899
(32)【優先日】2013年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1451490
(32)【優先日】2014年2月25日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァロ, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュバリエ, ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】ニコレ, セリア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ブロックコポリマーとブロックの一つの(コ)ポリマーのブレンドから得られる形態を特徴付ける周期を制御する方法を提供する。
【解決手段】ブロックコポリマーの合成であって、前記合成の産物が、ブロックコポリマー及びブロックの一つの(コ)ポリマーを含むようにする合成と、ブロックコポリマーと(コ)ポリマーのブレンドの溶液の、表面上への堆積と、溶媒の蒸発と、アニーリングとを含む方法により周期を制御するブロックコポリマーの組成物の合成方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックコポリマーとブロックの一つの(コ)ポリマーのブレンドから始まって得られる形態を特徴付ける周期を薄膜中で制御する方法であって、以下の段階:
− 前記ブロックコポリマーの合成であって、前記合成の産物が、前記ブロックコポリマーおよび前記ブロックの一つの(コ)ポリマーを含むようにする、合成と、
− 前記ブロックコポリマーと前記(コ)ポリマーの前記ブレンドの溶液の、表面上への堆積と、
− 溶媒の蒸発と、
− アニーリングと
を含む方法。
【請求項2】
配向の、配位数の、または距離の欠陥が最小であり、かつ単結晶表面が大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記合成は、制御ラジカル重合によって行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記合成は、アニオン重合によって行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記重合は、第1ブロックの前記合成についてはバッチ式に行われ、第2ブロックの前記合成についてはマイクロミキサーを連続的に用いて行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1活性ブロックの割合は、温度の調整によって調整される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(コ)ポリマーの量を減らすことを対象とする精製段階をさらに含む、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーであり、該ブロックの重量比は、50/50から95/5である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
ブロックコポリマー/(コ)ポリマー比は、99/1から50/50である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
コポリマーのブレンドは、一方では、ジブロックコポリマーであって、その一方のブロックがスチレンを含み、その他方のブロックがメチルメタクリレートを含むジブロックコポリマーと、他方では、スチレンを含む(コ)ポリマーのブレンドからなる、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
コポリマーの前記ブレンドは、PS−b−PMMAジブロックコポリマーのブレンド、およびPSホモポリマーのブレンドからなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
PSホモポリマーの割合は、滞留時間と温度の組み合わせによって調整される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ブロックコポリマーのピーク分子量、および前記(コ)ポリマーのピーク分子量は、別々に取られて、2500から300000であり、分散指数は1.02から2.5である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
前記膜の厚さは、40nmを超え、400nm未満である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
前記表面はフリーである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項16】
前記表面はガイダンス構造を示す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項17】
前記アニーリングは、熱処理によって行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項18】
前記アニーリングは、溶媒蒸気中の処理によって行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
前記アニーリングは、熱処理と溶媒蒸気処理の組み合わせによって行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項20】
リソグラフィマスクを生成するための、請求項1から19の何れか一項に記載の方法の使用。
【請求項21】
請求項20に従って得られたリソグラフィマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックコポリマーとブロックの一つの(コ)ポリマーのブレンドから得られる形態を特徴付ける周期を、ブロックコポリマーとブロックの一つの(コ)ポリマーのブレンドの合成を実施する特定の方法を用いて表面上で制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「周期(period)」なる用語は、異なる化学組成のあるドメインによって離間している同じ化学組成の二つの隣接ドメインを分離する最小距離を意味すると理解される。
【0003】
ナノ構造を開発することができるため、エレクトロニクスまたはオプトエレクトロニクスの分野においてブロックコポリマーを使用することが、現在よく知られている。この新たな技術は、数ナノメートルのオーダーのドメインサイズの解像度を持つ進んだナノリソグラフィ方法へのアクセスを可能とする。
【0004】
特に、50nmをはるかに下回るスケールでコポリマーを構成するブロックの配置を構造化することが可能である。
【0005】
所望の構造化(例えば、表面に直交してのドメインの生成)は、特定の条件、例えば表面の調製等を必要とするが、ブロックコポリマーの組成もしかりである。ブロックの化学的性質、ブロックの重量比または長さがどうであれ、産業要件にできるだけ近い形態を、欠陥なく、そして再現可能に得るための最適化が一般に必要とされる。実際は、産業上の視点から、そのようなブロックコポリマーの合成を正確に再現することは非常に困難であり、実のところ不可能でさえあることが知られている。Proc.of SPIE,Vol.8680,Alternative Lithographic Technologies V,86801Z,2013において、Lawson等は、ある合成から別の合成までの10−15%までの分子量変動に言及しており、分子量の10%変動で、形態を特徴付ける周期に関して最大6%の差異をもたらし、これは、エレクトロニクス産業が意図するリソグラフィ用途にとって産業的に容認され得ない。
【0006】
一部の著者は、一又は複数のホモポリマーをブロックコポリマーに加えることによって得られるかも知れない効果を研究している。
【0007】
Macromolecules,1991,24,6182−6188において、Winey K.等は、ホモポリスチレンの存在下でのポリスチレン−b−ポリイソプレン系において、ラメラ形態、特に層およびラメラの厚さに及ぼすその効果を検討している。
【0008】
Macromolecules,1995,28,5765−5773において、Matsen M.は、SCFT(自己無撞着場理論)シミュレーションによって、ブロックコポリマーの(コ)ポリマーとのブレンドの挙動を研究している。これらのシミュレーションは、ホモポリマーの添加が、ブレンドの最終形態に影響を与えて、六方晶系形態の安定化にまで及び得ることを示している。
【0009】
Macromolecules,1997,30,5698−5703において、Torikai N.等は、やはりラメラ形態において、加えられるホモポリマーの分子量によって備わり得た効果を示す類似の研究を提示している。研究された系は、ポリスチレンまたはポリビニルピリジンの存在下でのポリスチレン−b−ポリビニルピリジンである。
【0010】
Adv.Mater.,2004,16,No.6,533−536において、Russel等は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の、ポリスチレン−b−ポリメチルメタクリレートコポリマー(PS−b−PMMA)(ポリメチルメタクリレートホモポリマーのサイズは、対応するブロックコポリマーのポリメチルメタクリレートブロックのサイズよりも、僅かに大きい)への添加により、膜の厚さから独立した、直角なシリンダー形態を得ることが可能となることを実証している。
【0011】
さらに最近では、Langmuir,2007,23,6404−6410において、Kitano H.等は、ポリスチレンホモポリマーの、ポリスチレン−b−ポリメチルメタクリレートへの添加による、シリンダードメインの好ましい直角制御を報告している。著者らは、この性質が、ポリスチレンの添加中の、六方対称性のストレスの低下に由来すると示唆している。同じ効果が、ポリメチルメタクリレートの添加によって実証されている。
【0012】
Soft Matter,2008,1454−1466において、Up Ahn D.等はまた、ブロックコポリマーに加えられるホモポリマーの分子量の、シリンダーサイズ、安定性および周期性に及ぼす影響に研究を集中させることによって、類似の議論を提示している。
【0013】
最後に、Macromolecules,2009,42,5861−5872において、Su−Mi Hur等は、ブロックコポリマーとホモポリマーのブレンドに由来する形態のシミュレーションを研究している。著者らは、コポリマーの添加により、安定した正方対称性を達成することが可能となり、純粋なブロックコポリマーではこのようなことはないと実証している。
【0014】
これらの研究を組み合わせると、ブロックコポリマーとホモポリマーのブレンドの周期および形態を調整することが可能であることが示される。しかしながら、この知識を産業規模で使用することは困難であるように思われる。というのも、特に、ブロックコポリマーは、ある合成から別の合成までで僅かに異なり、また各ブロックコポリマーについて、周期の調整を可能とするホモポリマーのサイズが制御されなければならず、合成により、所望の調整を可能とする目的物が得られることが保証されないためである。さらに、対応するブロックのサイズよりも小さいかまたは大きいサイズのホモポリマーが加えられると、所定の形態を可能とする組成物ウィンドウがかなり縮小する。
【0015】
結果的に、表面上に堆積して、検討中であるブレンドの形態の周期性を再現的に保証する、ブロックコポリマー/ホモポリマーまたはブロックの一つの(コ)ポリマーの組成物を得ることを可能とする、かなり単純な方法を利用可能とすることが、依然所望されている。
【0016】
この困難は現在、ブロックコポリマーおよびブロックの一つの(コ)ポリマーの合成を可能とするポリマー合成方法を、好ましくは連続的または半連続的に、同一方法内で使用することによって、回避される。本出願人会社によって発見されたこの方法は、ブロックコポリマーに対応するブロックの一つの分子量と同じ分子量の(コ)ポリマーを合成する利点をさらに示すものであり、これにより、与えられた形態内での組成物ウィンドウが拡張する。また、方法が連続的または半連続的に使用される場合、分子量のずれを生じるプロセス中のドリフトが、(コ)ポリマー/ブロックコポリマー比に対する変更によって、容易に補正され得る。結局のところ、表面上でのブレンドの形態の確立中に、特徴的周期が同じである形態が常に得られる。また、本発明の方法を用いることによって、数nmから最大60nmを超える、形態を特徴付ける周期の範囲にアクセスすることが可能である。他の利点として、このアプローチは、自己組織化(self-assembly)構造内のポリマー鎖の張力の低下によって、形態の非常に良好な安定化を可能にすること、そして(コ)ポリマーの、ブロックコポリマーと組み合わせた可塑化作用によって、集合の可能性を増大させることがある。例えば、大きな膜厚に関して、六方対称性(平方対称性等)とは異なるテンプレートにおいて、欠陥の数の低下も観察される。最後に、選択されたアプローチにより、ブレンドを得ることが可能となり、この(コ)ポリマーの分子量は、ブロックコポリマーのブロックの一つの分子量と同じであるため、極端に高い重量の(コ)ポリマーによるマクロ的相分離、または極端に低い重量の(コ)ポリマーによる、形態を特徴付ける周期の減少が防止される。本発明の主題である方法において、(コ)ポリマーは、ブロックコポリマーに対して小さくなり過ぎたり大きくなり過ぎたりすることは決してない。本発明の主題である方法において、(コ)ポリマーとブロックコポリマーの各重量の比は一定であり、ブロックコポリマーの対象とする分子量が何であれ、形態を特徴付ける周期の変化は等しいままである。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、ブロックコポリマーとブロックの一つの(コ)ポリマーのブレンドから始まって得られる形態を特徴付ける周期を薄膜において制御する方法であって、以下の段階:
− ブロックコポリマーの合成であって、合成の産物が、前記ブロックコポリマーとブロックの一つの(コ)ポリマーを含むようにする、合成と、
− ブロックコポリマーと(コ)ポリマーのブレンドの溶液の、表面上への堆積と、
− 溶媒の蒸発と、
− アニーリングと
を含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】重合用装置を示す概略図である。
図2】不活性化鎖%と温度の関係を示す図である。
図3】純粋なPS−b−PMMAジブロックコポリマーの場合の膜を示す画像である。
図4】混合物の場合の膜を示す画像である。
図5】膜厚と周期との関係を示す図である。
図6】ポリマーのPS総量と周期との関係を示す図である。
図7】最終溶液中に存在するホモポリマーの含有量と周期との関係を示す図である。
図8】ブロックコポリマー単独で得たSEM像及び二値化像である。
図9】配位数の欠陥及び距離の欠陥を示す図である。
図10】ブロックコポリマー/PSホモ混合物で得たSEM像及び二値化像である。
図11】配位数の欠陥及び距離の欠陥を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
さらに周期を制御するために、本発明は、配向、配位数または距離欠陥が最小で、単結晶表面が大きな膜製造を可能とする。
【0020】
本発明の方法によって処理される表面のブロックコポリマーのナノ構造化は、シリンダー(ヘルマン−モーガン記号に従う六方対称性(基本六方格子対称性「6mm」)、または正方対称性(基本正方格子対称性「4mm」))、球状(六方対称性(基本六方格子対称性「6mm」または「6/mmm」)、正方対称性(基本正方格子対称性「4mm」)、または立方体対称(格子対称性「mm」))、ラメラまたはらせん(gyroidal)の形態を取ることができる。好ましくは、ナノ構造化が取る好ましい形状は、六方シリンダータイプのものである。
【0021】
本発明に従って処理される表面上でのブロックコポリマーの自己組織化方法は、熱力学の法則に支配される。自己組織化がシリンダータイプの形態をもたらす場合、各シリンダーは、欠陥がなければ6本の等距離に隣接するシリンダーによって包囲される。従って、いくつかのタイプの欠陥が識別され得る。第1タイプは、ブロックコポリマーの配置を構成するシリンダーの周りの隣接体の数の評価に基づく(配位数欠陥としても知られている)。5本または7本のシリンダーが検討中のシリンダーを包囲する場合、配位数欠陥が存在するとみなされる。第2タイプの欠陥は、検討中のシリンダーを包囲するシリンダー間の平均距離を考える[W.Li,F.Qiu,Y.Yang及びA.C.Shi,Macromolecules,43,2644(2010);K.Aissou,T.Baron,M.Kogelschatz及びA.Pascale,Macromol.,40,5054(2007);R.A.Segalman,H.Yokoyama及びE.J.Kramer,Adv.Matter.,13,1152(2003);R.A.Segalman,H.Yokoyama及びE.J.Kramer,Adv.Matter.,13,1152(2003)]。2つの隣接体間のこの平均距離が、2つの隣接体間の平均距離の2%を超える場合、欠陥が存在するとみなされる。これら2タイプの欠陥を判定するために、関連するボロノイ構造およびデロネー三角形分割が従来通り使用される。画像の二値化後、各シリンダーの中心が識別される。続いて、デロネー三角形分割により、第1オーダの隣接体数を識別すること、そして2つの隣接体間の平均距離を算出することが可能となる。こうして、欠陥数を判定することが可能である。
【0022】
この計数方法は、Tiron等による論文(J.Vac.Sci.Technol.B,29(6),1071−1023,2011)に記載されている。
【0023】
最後のタイプの欠陥が、表面上に堆積するブロックコポリマーのシリンダーの角度に関する。ブロックコポリマーがもはや表面に対して直角ではなく平行に横たわる場合、配向の欠陥が生じたとみなされる。
【0024】
ブロックコポリマーの合成は、逐次合成である。ラジカル、カチオンまたはアニオン重合の何れであれ、第1タイプのモノマーによる第1ブロックが最初に合成され、続いて、第2ステップにおいて、他のブロックのモノマーが導入される。本発明において、たとえブロックコポリマーのブロック数に制限がなくとも、特にトリブロックまたはジブロックコポリマーの合成、好ましくはジブロックコポリマーの合成が検討される。
【0025】
原理は、当業者に知られている任意の化学的方法によって第1段階において合成される第1ブロックの一部の不活性化を制御することからなる。このようにして、以降のブロックの合成中に、第1段階の活性ブロックのみがブロックコポリマーを形成することとなり、不活性化ブロックは(コ)ポリマーの形態で残る。
【0026】
本発明の代替形態に従えば、第1段階において調製されるブロックの一部を分離することも、そのブロックの一部を不活性化することも、最終ブレンド中に導入することも可能である。しかしながら、この代替形態はさらなる処理操作を必要とするので、産業スケールで実施するのは最も容易ではない。
【0027】
本発明の方法が連続的、または半連続的に行われる場合、プロセスを通して行われる分析により、合成されるポリマーの分子量を判定することが可能となるであろう。ブレンドが表面上に堆積すると、組成物と、形態を特徴付ける周期との関係を判定することを可能とするグラフを用いて、最終ブレンドにおける(コ)ポリマーの含有量を、活性中心の不活性化についてパラメータを変えることによって、または第1段階のブロックの一部を、バイパスラインを介して、最終ブレンド中に噴射することによって、変更することが可能であるので、得られるブレンドは、不変の表面上にブレンドが堆積すると、形態を特徴付ける周期をもたらす。
【0028】
重合方法が制御ラジカル経路を介して行われる場合、任意の制御ラジカル重合技術が用いられ得、NMP(「窒素酸化物媒介重合」)、RAFT(「可逆的付加断片化移動」)、ATRP(「原子移動ラジカル重合」)、INIFERTER(「イニシエータ−移動−ターミネーション」)、RITP(「逆ヨウ素移動重合」)またはITP(「ヨウ素移動重合」)がある。好ましくは、制御ラジカル経路による重合方法は、NMPによって行われる。
【0029】
より詳細には、安定したフリーラジカルから派生するアルコキシアミンに由来する窒素酸化物(1)が好ましく、
基Rは、15.0342g/molよりも大きいモル質量を示す。基Rは、ハロゲン原子(塩素、臭素またはヨウ素等)、飽和もしくは不飽和および直鎖状、分枝状もしくは環状炭化水素基(アルキルまたはフェニル基等)、またはエステル−COOR基、アルコキシル−OR基もしくはホスホネート−PO(OR)基であり得るが、15.0342よりも大きいモル質量を示す場合に限る。基R(一価である)は、ニトロキシドラジカルの窒素原子に対してβ位にあると言われる。式(1)における炭素原子の残りの価電子、および窒素原子の残りの価電子は、種々の基(水素原子または炭化水素基(アルキル、アリールまたはアリールアルキル基等、1から10の炭素原子を含む)等)に結合してよい。式(1)における炭素原子および窒素原子が、二価基を介して互いに結合して環が形成されることは、除外されない。しかしながら、好ましくは、式(1)の炭素原子の残りの価電子、および窒素原子の残りの価電子は、一価基に結合する。好ましくは、基Rは、30g/molよりも大きなモル質量を示す。基Rは、例えば、モル質量が40から450g/molであってよい。一例として、基Rは、ホスホリル基を含む基であってよく、前記基Rは、式:
によって表されることが可能であり、式中、RおよびRは、同じであっても異なってもよく、アルキル、シクロアルキル、アルコキシル、アリールオキシル、アリール、アラルキルオキシル、ペルフルオロアルキルまたはアラルキル基から選択されてよく、そして1から20の炭素原子を含んでよい。Rおよび/またはRは、ハロゲン原子(塩素、臭素、フッ素またはヨウ素原子等)であってもよい。基Rはまた、少なくとも一つの芳香族環を含んでもよく、フェニル基またはナフチル基等について、後者は、例えば、1から4つの炭素原子を含むアルキル基によって置換されることが可能である。
【0030】
より詳細には、以下の安定ラジカルから派生するアルコキシアミンが好ましい:
−N−(tert−ブチル)−1−フェニル−2−メチルプロピルニトロキシド、
−N−(tert−ブチル)−1−(2−ナフチル)−2−メチルプロピルニトロキシド、
−N−(tert−ブチル)−1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、
−N−(tert−ブチル)−1−ジベンジルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、
−N−フェニル−1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド、
−N−フェニル−1−ジエチルホスホノ−1−メチルエチルニトロキシド、
−N−(1−フェニル−2−メチルプロピル)−1−ジエチルホスホノ−1−メチルエチルニトロキシド、
−4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、
−2,4,6−トリ(tert−ブチル)フェノキシ。
【0031】
好ましくは、N−(tert−ブチル)−1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシドから派生するアルコキシアミンが用いられる。
【0032】
ポリマーの構成モノマーは、以下のモノマーから選択される:少なくとも一つのビニル、ビニリデン、ジエン、オレフィン、アリルまたは(メタ)アクリルモノマー。このモノマーは、より詳細には、ビニル芳香族モノマー(スチレンまたは置換スチレン、特にα−メチルスチレン等)、アクリルモノマー(アクリル酸もしくはこの塩、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールアクリレート(メチル、エチル、ブチル、エチルヘキシルまたはフェニルアクリレート等)、ヒドロキシアルキルアクリレート(2−ヒドロキシエチルアクリレート等)、エーテルアルキルアクリレート(2−メトキシエチルアクリレート等)、アルコキシ−もしくはアリールオキシポリアルキレングリコールアクリレート(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアクリレートまたはこれらの混合物等)、アミノアルキルアクリレート(2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(ADAME)等)、フルオロアクリレート、シリル化アクリレート、リン含有アクリレート(アルキレングリコールアクリレートホスフェート等)、グリシジルアクリレートまたはジシクロ−ペンテニルオキシエチルアクリレート等)、メタクリルモノマー(メタクリル酸またはこの塩等)、アルキル、シクロアルキル、アルケニルもしくはアリールメタクリレート(メチル(MMA)、ラウリル、シクロヘキシル、アリル、フェニルまたはナフチルメタクリレート等)、ヒドロキシアルキルメタクリレート(2−ヒドロキシエチルメタクリレートまたは2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等)、エーテルアルキルメタクリレート(2−エトキシエチルメタクリレート等)、アルコキシ−もしくはアリールオキシポリアルキレングリコールメタクリレート(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールメタクリレートまたはこれらの混合物等)、アミノアルキルメタクリレート(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(MADAME)等)、フルオロメタクリレート(2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート等)、シリル化メタクリレート(3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルシラン等)、リン含有メタクリレート(アルキレングリコールメタクリレートホスフェート等)、ヒドロキシエチルイミダゾリドンメタクリレート、ヒドロキシエチルイミダゾリジノンメタクリレートもしくは2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミドもしくは置換アクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、メタクリルアミドもしくは置換メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、グリシジルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、イタコン酸、マレイン酸もしくはこの塩、マレイン酸無水物、アルキル、アルコキシ−もしくはアリールオキシポリアルキレングリコールマレエートもしくはヘミマレエート、ビニルピリジン、ビニルピロリジノン、(アルコキシ)ポリ(アルキレングリコール)ビニルエーテルもしくはジビニルエーテル(メトキシポリ(エチレングリコール)ビニルエーテルまたはポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル等)、オレフィンモノマー(このうち、言及され得るのは、エチレン、ブテン、ヘキセンおよび1−オクテンである)、ジエンモノマー(ブタジエンまたはイソプレンが挙げられる)、ならびにフルオロオレフィンモノマーおよびビニリデンモノマー(このうち、言及され得るのは、ビニリデンフルオリドである)から単独で、または上述のモノマーの少なくとも2つの混合物として、選択される。
【0033】
好ましくは、ポリマーは、一方では、ジブロックコポリマー(この一方のブロックはスチレンを含み、この他方のブロックはメチルメタクリレートを含む)の、そして他方では、スチレンを含む(コ)ポリマーのブレンドからなる。
【0034】
より好ましくは、ポリマーは、PS−b−PMMAジブロックコポリマーとPSホモポリマーのブレンドからなる。
【0035】
第1ブロックの形成が終結すると直ぐに、このブロックの一部が、例えば、制御した量の例えば酸を導入することによって、不活性化されてよい。続いて、不活性化第1ブロックの一部を保持しながら、他のブロックの合成が続けられてよい。
【0036】
重合方法が、本発明において用いられる好ましい経路であるアニオン経路によって行われる場合、任意のアニオン重合機構が考えられ得、配位アニオン重合または開環アニオン重合がある。用いられる各方法について、第1段階において合成されるブロックの一部を不活性化することによって、(コ)ポリマー/ブロックコポリマーブレンド中の(コ)ポリマーの量を調整するには、注意を要する。
【0037】
本発明の好ましい背景において、欧州特許第0749987号明細書に記載されるように、非極性溶媒、好ましくはトルエン中でのアニオン重合方法が使用されることとなり、これはマイクロミキサーを必要とする。以下のものから選択されるモノマーが優先される:少なくとも一つのビニル、ビニリデン、ジエン、オレフィン、アリルまたは(メタ)アクリルモノマー。これらモノマーは、より詳細には、ビニル芳香族モノマー(スチレンまたは置換スチレン、特にα−メチルスチレン等)、アクリルモノマー(アルキル、シクロアルキルもしくはアリールアクリレート(メチル、エチル、ブチル、エチルヘキシルまたはフェニルアクリレート等)、エーテルアルキルアクリレート(2−メトキシエチルアクリレート等)、アルコキシ−もしくはアリールオキシポリアルキレングリコールアクリレート(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアクリレートまたはこれらの混合物等)、アミノアルキルアクリレート(2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(ADAME)等)、フルオロアクリレート、シリル化アクリレート、リン含有アクリレート(アルキレングリコールアクリレートホスフェート等)、グリシジルアクリレートまたはジシクロ−ペンテニルオキシエチルアクリレート等)、アルキル、シクロアルキル、アルケニルもしくはアリールメタクリレート(メチル(MMA)、ラウリル、シクロヘキシル、アリル、フェニルまたはナフチルメタクリレート等)、エーテルアルキルメタクリレート(2−エトキシエチルメタクリレート等)、アルコキシ−もしくはアリールオキシポリアルキレングリコールメタクリレート(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシ−ポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレートまたはこれらの混合物等)、アミノアルキルメタクリレート(2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(MADAME)等)、フルオロメタクリレート(2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート等)、シリル化メタクリレート(3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルシラン等)、リン含有メタクリレート(アルキレングリコールメタクリレートホスフェート等)、ヒドロキシエチルイミダゾリドンメタクリレート、ヒドロキシエチルイミダゾリジノンメタクリレートもしくは2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチルメタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミドもしくは置換アクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、メタクリルアミドもしくは置換メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、グリシジルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、マレイン酸無水物、アルキル、アルコキシ−もしくはアリールオキシポリアルキレングリコールマレエートもしくはヘミマレエート、ビニルピリジン、ビニルピロリジノン、(アルコキシ)ポリ(アルキレングリコール)ビニルエーテルもしくはジビニルエーテル(メトキシポリ(エチレングリコール)ビニルエーテルまたはポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル等)、オレフィンモノマー(このうち、言及され得るのは、エチレン、ブテン、ヘキセンおよび1−オクテンである)、ジエンモノマー(ブタジエンまたはイソプレンが挙げられる)、ならびにフルオロオレフィンモノマーおよびビニリデンモノマー(このうち、言及され得るのは、ビニリデンフルオリドである)から単独で、または上述のモノマーの少なくとも2つの混合物として、選択される。
【0038】
本発明の代替形態に従えば、(コ)ポリマーおよびブロックコポリマーのブレンドが考慮され、この一方のブロックは、スチレンおよび少なくとも一つのコモノマーXを含み、他方のブロックは、メチルメタクリレートおよび少なくとも一つのコモノマーYを含み、Xは、以下のもの:水素化されている、または部分的に水素化されているスチレン、シクロヘキサジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサン、1つもしくは複数のフルオロアルキル基によって置換されているスチレン、またはこれらの混合物から、スチレンを含むブロックに対して、1%から99%、好ましくは10%から20%に及ぶXの重量割合で、選択され;Yは、以下のもの:フルオロアルキル(メタ)アクリレート、特にトリフルオロエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、球状の(メタ)アクリレート(イソボルニル(メタ)アクリレートまたはハロゲン化イソボルニル(メタ)アクリレート等)、ハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(メタ)アクリレート(フッ化基を含んでよい)、またはこれらの混合物から、メチルメタクリレートを含むブロックに対して、1%から99%、好ましくは10%から20%に及ぶYの重量割合で、選択され、(コ)ポリマーは、ブロックコポリマーのブロックの1つと同じとなると理解される。これは、合成の第1段階において得られるブロックの部分的不活性化に由来するためである。
【0039】
欧州特許第0749987号明細書に記載されるようなアニオン重合方法の背景では、第1ブロックの一部の不活性化は、温度を調整することによって、媒体の極性を変更することによって、もしくは滞留時間を変更することによって、またはこれらのパラメータの組み合わせによって、得られる。不活性化はまた、モノマーまたは選択モノマーの関数として、第2段階において部分的に、第2ブロックの再開始(reinitiation)中に生じてもよい。例えば、メチルメタクリレートとの再開始(合成の第2段階)中に、第1ブロックの鎖のおよそ80%のみが再開始される。このパラメータは、モノマーのある一対で固定されたままである。所望の調整は、合成の第1段階で行われる。
【0040】
第1ブロックの合成中の温度の増大が、不活性化ブロックの割合の増大を伴う。
【0041】
第1不活性化ブロックの割合はまた、滞留時間が増大するにつれ、増大する。
【0042】
また、最後に、極性により、不活性化ブロックの割合を制御することも可能となる。極性溶媒(THF、アニソールもしくはジオキサン、または任意の他の環状エーテル等、好ましくはTHF)が、非極性溶媒に加えられる。
【0043】
好ましくは、第1ブロックの割合は、ある滞留時間の温度を調整することによって、制御される。PS−b−PMMAジブロックの場合では、不活性化鎖の微調整が、10分の滞留時間の第1ブロック(PSブロック)の合成温度を変えることによって、行われ得ることが示されており、以下の等式に従う:
【0044】
不活性化鎖%=−0.015T+2.45T−83(式中、Tは温度であり、℃で表される)。
【0045】
モノマーの別の対、または別の滞留時間について、事前の較正によりこの等式の定数を確定することが可能となる。
【0046】
不活性化ブロックの割合を制御する別の方法として、プロトン性溶媒、典型的には、アルコール、水または酸、好ましくはアルコールを加えるものがあり、各プロトンは、ある鎖を不活性化するプロトン供与体に由来する。しかしながら、対象とする不活性化の正確な制御にとって反応が激しいために、このように操作することは好ましくない。
【0047】
不活性化ブロックの割合を調整することを可能とするパラメータは、選択モノマーの関数として決定されることとなり、グラフがこの目的のために構築される。
【0048】
好ましくは、ポリマーは、一方では、ジブロックコポリマー(この一方のブロックは、スチレンを含み、この他方のブロックは、メチルメタクリレートを含む)の、そして一方では、スチレンを含む(コ)ポリマーのブレンドからなる。
【0049】
より好ましくは、ポリマーは、PS−b−PMMAジブロックコポリマーのブレンド、およびPSホモポリマーのブレンドからなる。
【0050】
ブロックAおよびブロックBを含むブロックコポリマーについて、ブロック間の重量比は、50/50から95/5、好ましくは50/50から80/20となる(主なブロックが何であれ、限界が含まれる)。
【0051】
ブロックコポリマー/(コ)ポリマーの重量比は、最終ブレンドの100/0から30/70、より好ましくは99/1から50/50、より好ましくは90/10から70/30、さらにより好ましくは80/20から70/30となる。
【0052】
ブロックコポリマーのピーク分子量、および(コ)ポリマーのピーク分子量(別々に取られる)は、ポリスチレン標準を用いるSECによって測定されて、2500から300000g/mol、好ましくは25000から170000g/molとなる。ブロックコポリマーの分散指数、および(コ)ポリマーの分散指数(別々に取られる)は、1.02から2.5、好ましくは1.1から1.5となる。
【0053】
本発明の代替形態に従えば、さらなる段階が、ポリマーのブレンドの合成が終結して直ぐに行われ、この段階は、(コ)ポリマーの一部を抽出する(extracting)ことを目的とする。この特定の場合では、合成に由来するブレンドは、(コ)ポリマー用の溶媒、およびブロックコポリマー用の非溶媒からなる溶液中に注がれる。この操作は、第1ブロックの(コ)ポリマーの割合が高過ぎる場合に、必要とされてよい。PS−b−PMMAの合成、およびPSホモポリマーの合成の場合では、容量比が80/20のシクロヘキサン/ヘプタン混合物が、ブロックコポリマーPS−b−PMMAを沈殿させる溶媒として選択される。PSホモポリマーは、適切であれば、その後再利用されてよい。
【0054】
ポリマーのブレンドは、種々の用途方法(リソグラフィ(リソグラフィマスク)、膜の製造、表面の機能化およびコーティング、インクおよび複合体の製造、表面のナノ構造化またはトランジスタの製造、有機性のダイオードまたはメモリ点等)に用いられ得る。
【0055】
本発明は、特に、リソグラフィマスクを製造する本発明の主題である方法の使用に、そしてまた、得られるマスクに関する。
【0056】
本発明の方法は、堆積するブロックコポリマーの配向の欠陥にせよ、配位数の欠陥にせよ、距離の欠陥にせよ、欠陥がより少ない膜を得ることを可能とする。従って、本発明の方法は、ブロックコポリマー単独で得られた分散度が低い(典型的には1.1未満)膜と比較して、より大きな単結晶表面の膜の製造を可能とする。用語「単結晶表面」は、堆積したブロックコポリマー(ブロックの一つのホモポリマーの存在下で適切である場合)の形態が、配向の欠陥も、距離の欠陥も、配位数の欠陥もない、完全に秩序正しい表面を意味するものと理解される。これは、長範囲の周期的または準周期的な並進秩序を、表面の選択された方向が何であれ、ブロックコポリマー(ブロックの一つのホモポリマーの存在下で適切である場合)の固有の周期/単位セルについて、典型的には複数回示し、そしてその境界は、配向の、距離の、または配位数の欠陥によって区切られる。
【0057】
リソグラフィの場合では、所望の構造化(例えば、表面に対して直角なドメインの生成)は、しかしながら、表面エネルギーを制御する目的で、ポリマーのブレンドが堆積する表面の調製を必要とする。既知の可能性の中で、ランダムコポリマー(このモノマーは、全てまたは一部が、堆積することが所望されるブロックコポリマーに用いられるものと同じであってよい)が、表面上に堆積する。先駆的な論文において、Mansky et al.(Science,Vol.275,pages 1458−1460,1997)が、この技術を明確に記載しており、現在当業者によく知られている。
【0058】
好ましい表面の中で、シリコンからなる表面が言及され得、シリコンは、自然または熱的酸化物層、リソグラフィで用いられるゲルマニウム、白金、タングステン、金、窒化チタン、グラフェン、BARC(底部の反射防止コーティング)または任意の他の反射防止層を示す。
【0059】
表面は、「フリー」である(組織分布的視点、および化学的視点の双方から、平坦かつ均質な表面)と言われてもよく、またはブロックコポリマー「パターン」のガイダンスのための構造を示すことができる。このガイダンスは、化学的ガイダンスタイプ(「化学エピタクシーによるガイダンス」として知られている)または物理的/組織分布的ガイダンスタイプ(「グラフォエピタクシーによるガイダンス」として知られている)の何れかである。
【0060】
表面が調製されると、ポリマーブレンドの溶液が堆積し、その後溶媒は、当業者に既知の技術(例えば、スピンコーティング、ドクターブレード、ナイフ系またはスロットダイ系技術等)に従って蒸発するが、任意の他の技術(乾燥堆積(すなわち、事前の溶解(predissolution)を伴わない堆積)等)が使用されてもよい。
【0061】
続いて、熱処理または溶媒蒸気による処理(この処理により、ポリマーのブレンドが正確に組織化され得る)、この2つの処理の組み合わせ、または混合物を正確に組織化させ得る当業者に既知の任意の他の処理が行われる。
【0062】
PSホモポリマーを有するPS−b−PMMAからなる系の場合では、出願人の企業は、20%を超すホモポリマーを含むブレンドを用いることが好ましいことを見出した。これにより、ブロックコポリマーを単独で用いて得られるよりも厚い膜厚(典型的には、40nm以上400nm未満、好ましくは40から150nm)の直角なアセンブリ(例えば、直角なシリンダー)を欠陥なく得ることが可能となる。これにより、リソグラフィ方法のより良好な制御が可能となる。というのも、エッチング(乾燥または湿式)によるナノ構造化パターンの基質中への移動は、マスクとして用いられる膜の厚さに強く依存的であるためである:40nm未満の厚さの膜では、基質中への効率的な移動が可能とならず、より厚い膜ではより大きなアスペクト比となるであろう。
【0063】
以下の実施例は、本発明の範囲を説明するものであり、暗示の限定ではない。
【実施例】
【0064】
実施例1
PS−b−PMMAジブロックコポリマーとPS−b−PMMAジブロックコポリマーのPSホモポリマーとのブレンドの合成。
【0065】
用いる重合用装置を、図1において概略的に表す。マクロ開始系の溶液を、ベッセルC1内で、そしてモノマーの溶液をベッセルC2内で調製する。ベッセルC2からのストリームをエキスチェンジャEに送り、最初の重合温度にする。続いて、2つのストリームを、ミキサーM(この実施例では、欧州特許出願公開第0749987号明細書に記載されるようなマイクロミキサーである)に、その後重合リアクタR(従来の管状リアクタである)に送る。産物をベッセルC3内に受け、続いてベッセルC4中に移し、この中で沈殿させる。
【0066】
45℃のマクロイニシエータ系ポリ(スチリル)CHC(Ph)Li/CHOCHCHOLiの21.1重量%トルエン溶液(モル比は、9.8×10−2molのポリ(スチリル)CHC(Ph)Liに対して、1/6)(欧州特許第0749987号明細書および欧州特許第0524054号明細書に記載される)を、ベッセルC1において調製する。
【0067】
分子篩を通過したMMAの9重量%トルエン溶液を、ベッセルC2内にて−15℃で貯蔵する。
【0068】
対象とする最終コポリマー含有量は、16.6重量%である。ベッセルC1を−20℃に冷却し、マクロイニシエータ系の溶液のストリームを60kg/hに調整する。ベッセルC2からのMMA溶液のストリームをエキスチェンジャに送り、その中で温度を−20℃に下げ、MMA溶液のストリームを34.8kg/hに調整する。続いて、2つのストリームをスタティックミキサー内で混合してから、ベッセルC3内に回収し、そこでコポリマーを、メタノール溶液の添加により不活性化する。
【0069】
転化率(固体含有量を測定することによって判定する)は、99%を越える。この段階で、ホモポリマーの量を変えてよい。この特定の場合では、25%である。
【0070】
PSホモポリマーの量は、C1における10分の滞留時間についての温度の関数として調整してよく、以下の関係に従う:
【0071】
不活性化鎖%=−0.015T+2.45T−83(式中、Tは温度であり、℃で表される);不活性化鎖%は、調整可能なPSホモポリマーの分数に相当する。この量は、メチルメタクリレートによって再開始されない量まで加えられる。
【0072】
この関係は、図2の実験曲線から作成される。
【0073】
PSホモポリマーの含有量が高過ぎる場合、ベッセルC3の内容物を滴下によりベッセルC4内で撹拌しながら沈殿させる。ベッセルは、シクロヘキサン/ヘプタンの80/20(容量)混合物を含有する。ベッセルC3の内容物の、C4の内容物に対する容量比は、1/7である。ベッセルC3からの溶液の添加終了後、撹拌を停止し、ブロックコポリマーが沈降する。続いてブロックコポリマーを、上清の除去および濾過によって回収する。シクロヘキサン/ヘプタン比は、ブレンド中のホモポリマーの量を調整することを可能とする。この特定の場合では、僅かなPSホモポリマーしか含まないポリマーのブレンドが、沈殿部分において得られる。
【0074】
乾燥後、ブロックコポリマーの特性は、以下の通りである:
Mn=61.4kg/mol
Mw/Mn=1.09
PS/PMMA重量比=66.3/33.7
【0075】
測定は、ポリスチレン標準を用いるSECによって、二重検出(屈折計およびUV)することで行い、UV検出により、PSの割合を算出することが可能となる。
【0076】
実施例2
表面の中和を可能とするコポリマーの合成。
【0077】
市販のアルコキシアミンBlocBuilder(登録商標)MA(Arkemaから入手可能)から始まるヒドロキシ−官能化アルコキシアミンの調製:
【0078】
以下を、窒素によりパージされる1lの丸底フラスコ中に導入する:
−226.17gのBlocBuilder(登録商標)MA(1当量)
−68.9gの2‐ヒドロキシエチルアクリレート(1当量)
−548gのイソプロパノール
【0079】
反応混合物を4h間還流させながら加熱し(80℃)、その後イソプロパノールを真空下で蒸発させる。297gのヒドロキシ−官能化アルコキシアミンを、非常に粘性のある黄色の油の形態で得る。
【0080】
ヒドロキシ−官能化アルコキシアミンから始まるポリスチレン/ポリメチルメタクリレートランダムコポリマーの調製。
【0081】
トルエン、モノマー(スチレンおよびメチルメタクリレート(MMA)等)、およびヒドロキシ−官能化アルコキシアミンを、機械的スターラを備えたジャケット付きステンレス鋼リアクタ中に導入する。種々のモノマー(スチレンおよびメチルメタクリレート(MMA))間の重量比を、表1において記載する。トルエンの重量チャージを、反応媒体に対して30%にセットする。反応混合物を撹拌し、窒素によるバブリングによって周囲温度にて30分間脱気する。
【0082】
続いて、反応媒体の温度を115℃にする。周期t=0を、周囲温度にて誘発する。モノマーの変換が約70%達成されるまで、重合の全体を通じて温度を115℃に維持する。サンプルを定期的に引き出して、重量分析(固体含有量の測定)によって重合動力学を判定する。
【0083】
70%の変換が達成されると、反応媒体を60℃に冷却し、溶媒および残存モノマーを真空下で蒸発させる。蒸発後、メチルエチルケトンを、ポリマー溶液が約25重量%生成されるような量で、反応媒体に加える。
【0084】
続いて、このポリマー溶液を、非溶媒(ヘプタン)を含有するビーカー中に滴下により導入し、ポリマーを沈殿させる。溶媒の、非溶媒に対する重量比(メチルエチルケトン/ヘプタン)は、約1/10である。沈殿ポリマーは、濾過および乾燥後に白色の粉末形態で回収される。
【0085】
【0086】
(a)立体排除クロマトグラフィによる判定。ポリマーを、BHT−安定化THF中に1g/lにて溶解させる。較正を、単分散ポリスチレン標準によって行う。屈折率および254nmのUVによる二重検出により、ポリマー中のポリスチレンのパーセンテージを判定することが可能となる。
【0087】
実施例3
SiOへのグラフト。
【0088】
シリコンウエハ(結晶配向{100})を3×4cmのピースに手動で裁断し、ピラニア処理(HSO/H2:1(v:v))によって15分間クリーニングしてから脱イオン水でリンスし、官能化の直前に窒素のストリーム下で乾燥させる。手順の続きは、Mansky et al.(Science,1997,1458)によって記載されるものであるが、1つだけ変更がある(アニーリングを、真空下ではなく周囲雰囲気下で行う)。ランダムポリマーをトルエン中に溶解させ、1.5重量%の溶液を得る。実施例2で調製したランダムコポリマーの溶液を、新たにクリーニングしたウエハ上に手で分配してから、700rpmのスピンコーティングによって広げ、およそ90nmの厚さの膜を得る。続いて、基質を、加熱プレート上に簡単に堆積させ、周囲雰囲気下で可変周期、予め所望の温度にする。
【0089】
続いて、基質を、いくつかのトルエンバス内で数分間の音波処理によって洗浄し、非グラフトポリマーを表面から除去し、その後窒素のストリーム下で乾燥させる。
【0090】
実施例4
実施例3で処理した表面上へのブロックコポリマーの堆積。
【0091】
堆積するポリマーブレンドを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に、1.5重量%の濃度で溶解させる。
【0092】
この溶液を、スピンコーティングによって、実施例4由来の処理表面上に堆積させてから、熱的アニーリングを230℃で少なくとも5分間行い、溶媒を蒸発させ、かつ形態が確立される周期、そのままにする。
【0093】
実施例5
堆積膜の厚さに及ぼすブレンドの組成の影響。
【0094】
この実施例では、ピーク分子量Mpが86.2g/molの純粋なPS−b−PMMAジブロックコポリマー、または変わらないPS組成(プロトンNMRによって測定して、それぞれ69.5%および69.2%である)を有するピーク分子量Mpが71.7g/molのPS−b−PMMAジブロックコポリマーとPSホモポリマーとのブレンドの、何れか一方により得られた膜の厚さ間で、比較を行う。
【0095】
何れの場合とも、シリンダーの形態が得られ、周期はそれぞれ43.2nmおよび43.07nmであるが、ブレンドの場合では、欠陥フリー膜の厚さが47nmであるのに対し、純粋なPS−b−PMMAジブロックコポリマーでは30nmである(図3および図4)。
【0096】
実施例6
PS−b−PMMAブロックコポリマーおよびPSホモポリマーのブレンドにおける、PSホモポリマーの量の影響。
【0097】
実施例1に従って調製したPSホモを異なる含有量で含むPS−b−PMMAジブロック、および実施例5に従うブレンドの堆積から始まって、図5図6および図7において、形態L0を特徴付ける周期に関して、PSホモポリマーの含有量の関数、および堆積膜の厚さの関数として得られた結果を視覚化することが可能である。PSホモポリマーの含有量が増大するにつれ大きくなり、かつ堆積膜の厚さの関数としてあまり変わらない周期変化が観察される(図5)。
【0098】
図6および図7は、同じ結果の異なる表示である。図6は、異なる膜厚(34、40、47および52nm)およびその多項回帰(ポリ.34nm、ポリ.40nm、ポリ.47nmおよびポリ.52nm)についての、ポリマーのブレンド中に存在するPS総量の関数として、周期の変化を示す。
【0099】
図7は、同じ結論であるが、最終溶液中に存在するホモポリマーの含有量(%PSh)の関数として示す。
【0100】
実施例7
この実施例は、膜の欠陥に及ぼす、PSホモの存在の影響を説明する。周期が32.2nmの純粋なブロックコポリマーと、10%のPSホモを混合したブロックコポリマーとの間で比較をすると、混合物は、非常に類似した周期(典型的には33.5nm)を示す。ブレンドを、ブロックコポリマーの溶液、およびPSホモの溶液から調製する。典型的には、この実施例では、9容量/1容量のブロックコポリマー/PSホモである。
【0101】
配位数の異なる欠陥、および距離の異なる欠陥の測定についての記載において、記載した技術に従うことによって、図8は、ブロックコポリマー単独で得たSEMおよび二値化像を示し、図9は、配位数の欠陥、および距離の欠陥を、そして図8に関連するそれらの数も示す。この場合では、配位数の140の欠陥および距離の16の欠陥を計数する。
【0102】
図10は、ブロックコポリマー/PSホモブレンドで得たSEMおよび二値化像を説明し、図11は、配位数の欠陥、および距離の欠陥を、そして図10に関連するそれらの数も示す。この場合では、配位数の54の欠陥および距離の14の欠陥を計数する。
【0103】
ブロックコポリマー/PSホモブレンドに及ぼすPSホモの存在の影響は、配位数の欠陥における非常に有意な低下、また、距離の欠陥における低下によって、明確に証明される。
【0104】
特性評価
走査型電子顕微鏡によって得た画像を、日立製作所のCD−SEM H9300上に記録した。
【0105】
膜厚測定を、Prometrix UV1280エリプソメータで行った。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2015年6月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックコポリマーとブロックの一つの(コ)ポリマーのブレンドから始まって得られる形態を特徴付ける周期を薄膜中で制御する方法であって、以下の段階:
− 前記ブロックコポリマーのブレンドの合成であって、前記合成の産物が、前記ブロックコポリマーおよび前記ブロックの一つの(コ)ポリマーを含むようにする、合成と、
− 前記ブロックコポリマーと前記(コ)ポリマーの前記ブレンドの溶液の、表面上への堆積と、
− 溶媒の蒸発と、
− アニーリングと
を含む方法であって、
前記ブロックコポリマーのピーク分子量、および前記(コ)ポリマーのピーク分子量は、別々に取られて、2500から300000であり、分散指数は1.02から2.5であり、
配向の、配位数の、または距離の欠陥を減少させ、かつ単結晶表面が大きい、方法。
【外国語明細書】
2015187273000001.pdf
2015187273000002.pdf
2015187273000003.pdf
2015187273000004.pdf