特開2015-187340(P2015-187340A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-187340(P2015-187340A)
(43)【公開日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】除雪機
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/04 20060101AFI20151002BHJP
【FI】
   E01H5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-64725(P2014-64725)
(22)【出願日】2014年3月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
【テーマコード(参考)】
2D026
【Fターム(参考)】
2D026CB02
2D026CB03
(57)【要約】
【課題】排雪板の強度を充分確保可能で、雪をブロワーによって投雪する除雪作業や排雪板による作業がそれぞれ効率よく行える性能の良い除雪機を提供する。
【解決手段】排雪板6がオーガーハウジングの上方に位置する排雪板被作業状態のとき、左右の回動アーム60の前方へ向いた端縁600部は、オーガーハウジングの左右側板前端部より前方に位置し、回動アーム60の端縁外側からオーガーハウジング内側且つ進行方向後方側に向け傾斜している傾斜面601を有していることを特徴とした除雪機による。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に向かって開口するオーガーハウジングを設け、オーガーハウジング内の回転するオーガーによって中央部に集雪した雪を、その後方で回転駆動されるブロワーで投雪する除雪部を機体前部に設けた除雪機において、除雪部の前方部に除雪用排雪板が配置可能となっていて、排雪板は、除雪部前方に位置した排雪板作業状態と、オーガーハウジングの上方部に位置する排雪板被作業状態とに切換え可能で、切換は、排雪板から左右それぞれ延設され、オーガーハウジングの左右側板外側部に上下回動自在に取付けられた回動アームにより回動され切換えられる構造であり、排雪板がオーガーハウジングの上方に位置する排雪板被作業状態のとき、左右の回動アームの前方へ向いた端縁部は、オーガーハウジングの左右側板前端部より前方に位置し、回動アームの端縁部外側からオーガーハウジング内側且つ進行方向後方側に向け傾斜している傾斜面を有していることを特徴とした除雪機。
【請求項2】
排雪板被作業状態時の左右回動アームの前方へ向いた端縁が外側からオーガーハウジング内側且つ後方側に向け傾斜した内側の頂部又は端部の左右方向位置は、オーガーハウジングの側板前端縁とほぼ同一又はそれより内側に位置していることを特徴とした請求項1記載の除雪機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の前部に雪の掻き込みオーガーや掻き込んだ雪をブロワーによって投雪する除雪部を設け、除雪部のさらに前方に排雪板を配置可能にした除雪機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、雪の掻き込みオーガーを設けブロワーによって投雪する除雪部を設けた除雪機は公知である。また、除雪部の前方にさらに排雪板を配置できる除雪機も公知となっている。例えば、特開2007−126860号公報の「除雪機」や、実開平3−46519号公報の「自走式小型除雪機」が公知である。これらの除雪機は、投雪場所等が十分に確保できる場所での作業には除雪部のブロワーによって投雪し除雪作業を効率よく行うことが可能であり、投雪場所等が十分確保できない場合や積雪量が少ない場合には排雪板により雪を押し出す作業に切換えると効率よく除雪作業が行えるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−126860号公報
【特許文献2】実開平3−46519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のようにブロワーによって投雪する除雪部の前方にさらに排雪板を配置できる除雪機によって効率よく作業が可能であるが、排雪板によって雪を押し出すには排雪板に雪の大きな重量が作用することになり、排雪板の雪の受け面であるブレード部をはじめ、除雪機本体側にブレード部を支えるアームの強度が十分確保されている必要がある。このため、ブレードを支えるアームはある程度の強度を持たせた部材や形状に構成されているが、ブロワーによって投雪する除雪作業を行う場合に、掻き込みオーガーが内設されるオーガーハウジングの上方に排雪板を位置させると、ブレード部を支えるアームがオーガーハウジングの左右側方に突設して位置するため、突設部によって除雪されていない雪により進行方向の抵抗が作用することとなり、ブロワーによって投雪する除雪作業時にエンジン等に余分な負荷が作用する問題があった。
このため本発明は、排雪板の強度を充分確保可能で、雪をブロワーによって投雪する除雪作業や排雪板による作業がそれぞれ効率よく行える性能の良い除雪機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1記載の除雪機は、前方に向かって開口するオーガーハウジングを設け、オーガーハウジング内の回転するオーガーによって中央部に集雪した雪を、その後方で回転駆動されるブロワーで投雪する除雪部を機体前部に設けた除雪機において、除雪部の前方部に除雪用排雪板が配置可能となっていて、排雪板は、除雪部前方に位置した排雪板作業状態と、オーガーハウジングの上方部に位置する排雪板被作業状態とに切換え可能で、切換は、排雪板から左右それぞれ延設され、オーガーハウジングの左右側板外側部に上下回動自在に取付けられた回動アームにより回動され切換えられる構造であり、排雪板がオーガーハウジングの上方に位置する排雪板被作業状態のとき、左右の回動アームの前方へ向いた端縁部は、オーガーハウジングの左右側板前端部より前方に位置し、回動アームの端縁部外側からオーガーハウジング内側且つ進行方向後方側に向け傾斜している傾斜面を有していることを特徴とした除雪機である。
【0006】
また、請求項2記載の除雪機は、排雪板被作業状態時の左右回動アームの前方へ向いた端縁が外側からオーガーハウジング内側且つ後方側に向け傾斜した内側の頂部又は端部の左右方向位置は、オーガーハウジングの側板前端縁とほぼ同一又はそれより内側に位置していることを特徴とした除雪機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、オーガーハウジング左右側板の外側に位置して強度を充分確保した構造のブレード部を支える回動アームであっても、左右の回動アームの前方へ向いた端縁が外側からオーガーハウジング内側且つ後方に向け傾斜している傾斜面を有する構造によって、進行方向の回動アームに当接する雪が傾斜面によってオーガーハウジング内に誘導され、進行方向の抵抗が軽減してエンジン等の負荷も軽減され作業が効率よく行える性能の良い除雪機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一例を示す歩行型ブレード除雪機の排雪板被作業状態時の左側面図である。
図2】本発明の一例を示す歩行型ブレード除雪機の排雪板作業状態時の左側面図である。
図3】本発明の一例を示す歩行型ブレード除雪機の排雪板被作業状態時の進行方向前方から見た作業時の正面図である。
図4】本発明の歩行型ブレード除雪機の回動アームの断面図である。
図5】本発明の一例の排雪板の斜視図である。
図6】本発明の一例の排雪板の断面した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の一形態を、図1乃至図6に基づいて説明する。
【0010】
本発明の一例を示す除雪機1は、走行用として機体左右に走行クローラベルト4を設け、これを駆動して前後に走行する。機体前方部に除雪部5を設け、機体後方に機体を操作する操作部3を設け、機体中央部に走行部や除雪部5の動力源であるエンジンを収納したエンジン部2を設けている。
【0011】
操作部3には、作業者が握って操作するハンドル30が左右に設けられ、その中央部に機体の各部を作動させるための各操作レバーやスイッチ類が設けられていて、作業者はこれらを操作して除雪作業を行う。
【0012】
機体前方部に設けた除雪部5は、進行方向と直行する水平回転軸に設けたオーガー51によって中央部に雪を掻き集め、中央部後方に設けたブロワーで上方に向けたシューター52より雪を投雪する。投雪する方向はシューター52を水平回動させて方向を変更できる。また、投雪角度はシューター52上端部のデフレクター520の角度を変更することで可能となっている。オーガー51は前方部が開口したオーガーハウジング50により覆われていて、オーガー51の雪の掻き込みを誘導するとともに、巻き込まれ防止等の安全のため設けられている。
【0013】
除雪部5前方には、機体を前進させることにより雪を押し出す排雪板6が配設可能で、排雪板6は、除雪部5前方に位置した図2に示す排雪板作業状態と、オーガーハウジング50の上方部に位置する図1に示す排雪板被作業状態とに切換え可能で、切換は、排雪板6から左右それぞれ延設され、オーガーハウジング50の左右端部のオーガーハウジング側板500外側部に上下回動自在に取付けられた回動アーム60により回動され切換えられる構造となっている。排雪板6がオーガーハウジング50の上方部に位置する排雪板被作業状態では、除雪部5を駆動し雪を投雪する除雪作業が可能である。
【0014】
除雪作業は、投雪場所等が十分に確保できる場所での作業には除雪部5のブロワーによって投雪する除雪作業が可能であり、投雪場所等が十分確保できない場合や積雪量が少ない場合には排雪板6により雪を押し出しての作業に切換えると効率よく除雪作業が行える。排雪板6による作業のときは、除雪部5の駆動を停止して行う。
【0015】
排雪板6は、オーガーハウジング50の幅よりも広く、雪を押すための断面が後方に向け膨らんだ弓形の形状のブレード61と、ブレード61下方端部に設けられ雪を掻き込むスクレ−パー62と、ブレード61の側方端から雪が漏れないように設けたブレード側板63と、排雪板6を上下回動自在に除雪部5に連結している回動アーム60と、回動アーム60をオーガーハウジング50に保持するためのサポートアーム64で構成されている。
【0016】
回動アーム60は、ブレード61後面部からオーガーハウジング50の左右側方のオーガーハウジング側板500外側部にそれぞれ延設され、サポートアーム64を介してオーガーハウジング側板500外側部に回動自在に取付けられる。図6は、ブレード61が前方に位置する排雪板作業状態の断面図を示したもので、本例における回動アーム60は、板金製で側面視上方に角部を有する略不等辺三角形状となっていて、前方角部にブレード61の後面部が固着され、前方から上方に伸びた上辺と後方側の辺の一部は内方にL状に折り曲げられて剛性を持たせている。下方辺部は板の端面が下方を向いた切りっぱなし状態である。下方辺部は、排雪板6が排雪板被作業状態のとき、上方に回動されて進行方向の前方を向いた状態となり、オーガーハウジング50のオーガーハウジング側板500の前方端縁より前方に位置する。
【0017】
下方辺部近傍の内側面には図4に示す断面形状の補強材602が溶接等により固着し設けられていて、補強材602は、排雪板6が排雪板被作業状態のとき回動アーム60の端部である端縁600近傍からオーガーハウジング50の内側且つ進行方向後方側に向け傾斜している傾斜面601を有している。傾斜面601は、排雪板6が排雪板被作業状態のとき、回動アーム60の内側面からオーガーハウジング50のオーガーハウジング側板500の前方端縁部に向け傾斜して延設され、頂部又は端部はその近傍又はオーガーハウジング側板500より内側に位置する。本例においては、オーガーハウジング側板500に段差があるため、その端縁部に沿った形状に傾斜面601頂部が2段に設けられている。補強材602は鉄板製でその断面は、傾斜面601の頂部から回動アーム60側に曲げられた断面V字状となっている。
【0018】
排雪板被作業状態で除雪部5により除雪作業を行う場合は、オーガーハウジング50の左右オーガーハウジング側板500より左右外側にそれぞれ回動アーム60が突設した状態となり、図3に示す斜線部Aの突設部が未除雪部の雪Sに当接し進行方向の抵抗となる。しかし、本例の回動アーム60の進行方向に向かう端縁600部に設けた補強材602が前記傾斜面601を有しているため、当接した雪が斜面によってオーガーハウジング50内に誘導され、進行方向の抵抗が軽減される。
【0019】
回動アーム60は、回動アーム60の側面視略不等辺三角形状の上方角部近傍に設けられ、進行方向と直行する水平方向の回動軸である回動アーム回動支点65によって上下に回動自在に保持される。回動アーム回動支点65は、オーガーハウジング50の左右側方のオーガーハウジング側板500外側部に設けられオーガー51回転軸のベアリング保持部と共締めして保持されたサポートアーム64のオーガー51回転軸中心より後方の上方にオフセットした位置に設けられ連結されている。
【0020】
サポートアーム64は、オーガー51回転軸のベアリング保持部と共締めするためのボルト孔を有した円形の取付座641と回動アーム回動支点65の円弧状外周とを接線で結んだ卵状で、ブレード61が前方に位置する排雪板作業状態のとき回動アーム60の上面の折り曲げ部が当接して下方への回動を規制する板状のストッパー640が上面の一部に固着されていて、排雪板6の下方への食い込み量を一定に保持する。
【0021】
排雪板6が排雪板被作業状態のときは、回動アーム60の上面の折り曲げ部に上方を向いて設けたストッパーピン66がオーガーハウジング50側に設けたストッパーブラケット53の係合孔に嵌合され、ストッパーピン66に設けたピン孔に抜け止めピン(図示せず)を差し込んで保持される。排雪板6の上下の回動は、左右のブレード側板63の上方部に設けた取手部630を把持して回動させる。
【0022】
前方部に位置する雪の押し出し部は、雪を押し出すメインのブレード61と、その下端部に位置するスクレーパー62と、左右側部に位置してブレード61で押出す雪を側方に逃がさないためのブレード側板63で構成されている。ブレード61は、前方に開口部を向けた弓形でオーガーハウジング50の外端と同等又はこれより幅が広く設けられている。ブレード61の下方端部にはブレード61のほぼ全幅にわたってスクレーパー62が取付けられている。スクレーパー62は前端部から後方に向け鋭角に傾斜していてブレード61を雪面に押し付けて食込ませるためのもので、前進することにより雪をブレード61の前面の凹部面に沿って誘導して上昇させ前方に湾曲した上方部から前方に順次落とし込んで集めていく。
【0023】
本例の除雪機1によって除雪作業を行うには、比較的積雪量の多い場合は除雪部5を駆動して雪を投雪して除雪を行う。この場合、排雪板6はオーガーハウジング50上方に回動され、回動アーム60のストッパーピン66をストッパーブラケット53の係合孔に嵌合させ抜け止めピンを差し込んで保持させる。オーガーハウジング側板500外側部に突設して設けられた回動アーム60の前方端部は、傾斜面601を有している補強材602が設けられているため、当接した雪が斜面によってオーガーハウジング50内に誘導され、除雪部5により投雪される。これによって進行方向の抵抗が軽減されるので、エンジン等の負荷も軽減され作業が効率よく行える。
【0024】
比較的積雪量が少ない場合や投雪場所が無い場合等のときは除雪部5を駆動せずに、排雪板6によって雪を押し出して除雪を行う。排雪板6を使用するときは、ブレード側板63の取手部630を持ってストッパーピン66の係合を解除して、オーガーハウジング50上方から回動させ除雪部5前方部に位置させる。走行部を駆動して前進させると、排雪板6のスクレーパー62によって掻き出された雪がブレード61に沿ってせり上がり、上方部から前方に落とされブレード61部前方に順次雪が盛り上げられ除雪を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、クローラベルトやタイヤ等による走行部を有し、機体の前部に雪の掻き込みオーガーや掻き込んだ雪をブロワーによって投雪する除雪部を設け、除雪部のさらに前方に排雪板を配置可能にした除雪機に適用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 除雪機
2 エンジン部
3 操作部
30 ハンドル
4 走行クローラベルト
5 除雪部
50 オーガーハウジング
500 オーガーハウジング側板
51 オーガー
52 シューター
520 デフレクター
53 ストッパーブラケット
6 排雪板
60 回動アーム
600 端縁
601 傾斜面
602 補強材
61 ブレード
62 スクレーパー
63 ブレード側板
630 取手部
64 サポートアーム
640 ストッパー
641 取付座
65 回動アーム回動支点
66 ストッパーピン
S 雪
図1
図2
図3
図4
図5
図6