【課題】 高くなるであろう洪水時の水位をより安全な低い水位に制御できるようにすることで集中豪雨時の安全性の向上を図ることができるようにした河川氾濫防止装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 河川水が流れる川床内に上流側から下流側へと長手を向けた流路を形成し、この流路の上流側の導入口を必要時に開くシャッターで開閉自在としたことを特徴とする。
河川水が流れる川床内に上流側から下流側へと長手を向けた流路を形成し、この流路の上流側の導入口を必要時に開くシャッターで開閉自在としたことを特徴とする河川氾濫防止装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の一実施形態を
図1ないし
図3に従って説明する。
図1は国内のある地域を上の上流側1から下の下流側2へ流れる河川3とその周辺の様子を鳥瞰的に示すものである。河川3は主たる河川でその途中に低い堰4を備え、その下流側は
図2に示すように平時は少ない水量の流れ5とされる川床6とされているとともに、上方には橋脚を備えて第1橋梁7が装架されている。河川3は主なる河川であってその側脇には分岐河川8がつながり、その河川8にも第2の橋梁9が渡されている。河川3は右岸10と左岸11を有するとともに右岸10側には三角州状の州地12を有する。
【0010】
こうした河川3には、その川床6の堰4よりやや上流側2個所を介して立坑状の導入路15が形成されている。この導入路15は一端(上端)を開放し下半剖一側(下流側)を開放状とした縦長状角型竪カルバート16の内部空間により形成されている。この竪カルバート16には、前記下半部一側(下流側)の開放個所に連通するようにして下流方向に伸びる複数個の角型横カルバート17…が埋設状態で連接されてその下流側は
図1に示すように第1橋梁7よりさらに下流側に対応する川床6程度でなく数百メートルないし数キロメートルに達する長い主流路18を形成するものになっている。19は副流路で、主流路18の中途から同じ程度の開口径をもって分岐する流路となっている。この副流路19は主流路18からの流れの一部を誘引して主流路18内での流れを軽減する役目をもっているが設けないこともある。
【0011】
前記竪カルバート16の中段位置には、同カルバート16の口径を平時において水平横断状に閉止し得る内部シャッター21が油圧あるいは水圧などの流体圧源(開閉駆動源)22の遠隔切換操作により進退可能に装備されるとともに、導入口23に平時閉止状態で設けられた外部シャッター24を上下端が固着された連動部材25を介して
図3のように同調的に開閉連動させ得るように構成されている。
尚、導入口23周りには、屋形舟などの遊覧舟26…や流れ石などの漂流物が入り込んで塞がないように複数の防護杭27…や遮蔽スクリーン28などを配備することができる。
前記河川氾濫防止装置は、分岐河川8を対象にして設けることができる。
前記河川氾濫防止装置において、
図2に示すように、電動による軸流ファン式あるいはスクリュウ軸式などによる加速装置30によって水流速度を加速するようにしてもよい。この加速装置30は、
図2の下欄に示すように横カルバート17のうち更に太径にした径大胴部31内にセットしてより低い回転速度での加速を可能にする構成をとることができる。
【0012】
河川の流れ5が集中豪雨により増水状態になりその水位を低減させる必要が出たとき、流体圧源22を作動させて内部シャッター21を
図3のように引き込むとともに外部シャッター24も同時に開くようにすることで矢印のように河川水が導入口23を通じて河川氾濫防止装置内に誘導することができ、その誘導水を河川内とは別の経路でもって下流側に誘導することができることから水位を下げることができる。
【0013】
尚、竪カルバート16は、
図2に仮想線で示すように、上流側の立面が前上り状をなすように形成しておくことで導入口23が広い口径になって多くの流れを持ち込むことができるようになり、それによって内部を流れる水流が増速化することができるようにしてもよい。
また、
図1および同図の左上図(
図1のI−I線断面図)のように、州地12の分岐河川8に面する横側面個所には、PC製囲い部11aによってその内部に河川水誘引凹所11bを形成して、その凹所11bより下寄りに平時の水位があるようにまた凹所11bの上寄り高さに洪水時の水位にくるような位置関係を決めてあり、さらにこの凹所11bの分岐河川8に向く開口には平時に凹所11bの開口を閉止している一方洪水時にはシリンダなどの開閉駆動部11cとガイドレール11dにより開口を開くことができる垂直ゲート11eが設けられている。
これら垂直ゲート11e付き凹所11bは、洪水時の水嵩を減らすための補助的な河川氾濫防止装置の取込み部分であって、その凹所11b内の下流側端面には、縦長矩形状開口である取水口11fが開けられて凹所11bの開口から取り込んだ洪水時の濁流を導入するための口となっているとともに、この取水口11fに続くものとして角型の補助横カルバート17a…が下流に向けて直列式に埋設されている。補助横カルバート17a…は、そのまま下流側へ伸びて分岐河川8を含む河川3の下流側へと取り込んだ濁流を誘導して嵩を低くするために機能するのであるが、ここでは、補助横カルバート17aの途中複数個所から左右斜め向きに分流用カルバート13…を分岐させてその各端部が河川3側の横カルバート17側および分岐河川8側の横カルバート17側に連通するように接続されてなる。この分岐した分流用カルバート13は、分岐河川8内の洪水流を河川3下および分岐河川8下の横カルバート17,17に斜流として導いてこれらカルバート17,17内で螺旋流を起こすようにしてある。その螺旋流をより積極的に起こすため、カルバート17内には、
図3の下欄に示すように、分流用カルバート13の出口13aに向く内隅部17aに対応する個所に螺旋流起生材14を備えてなる。螺旋流起生材14は、外周が角形で内周が1/4円となった中実部材でなり、横カルバート17の長手方向内周に適合して設けられていて斜流として前記内周に添って案内されながら矢印Xのように旋回して横カルバート17の長手方向下流向きに流れるようにされる。横カルバート17内には
図3の矢印方向に洪水流が流れてくるので、この流れに前記螺旋流Xが合流作用する結果、横カルバート17内では洪水流とともに流れくる砂礫などが溜まることなく下流方向に排出されることになる。また、平時あるいは氾濫に至らない河川流が発生している場合に、外部シャッター24を閉止したままで
図1の垂直ゲート11eのみを開いて取水口11fから補助横カルバート17aに流れを導きさらに分流用カルバート13を通じて河川3下の横カルバート17内に螺旋流を導くことで同横カルバート17内に残された砂礫類を除去することが可能になり、そうした洪水前の事前除去が可能になることで現実に洪水が発生したときには横カルバート17内はきれいな状態になっているので取り込まれた洪水流は詰まることなく流れ出すことになる。尚、分流用カルバート13内にも螺旋流起生材14と同じような部材を内装しておいてより強い螺旋流として横カルバート17内に螺旋流を導くようにすることができる。
図2の内部および外部両シャッター21,24の構成は、
図4および
図5に示すように、内部シャッター21の方を省略して外部シャッター24のみで開閉自在に構成してもよい。
その場合、外部シャッター24は、下流側に配置したヒンジ34を介して流体圧シリンダ35により開閉自在に構成して開いた外部シャッター24が
図5の仮想線のように前上り状にストップするようにすることで流れ5が入り込みやすくなるようにしてもよい。
竪カルバート16は、
図6に示すように、川床6上面より高く、平時の流れ5よりも外部シャッター24が上方にくるように突き出した状態にしてもよく、この場合、外部シャッター24が流れ来るものによって埋め込まれにくくなる。この場合、外部シャッター24は、右欄のように、上からみて三角形をしたものやマンホールのように丸形をしたもの、その他幾何学形状をしたものでもよい。
【0014】
竪カルバート16は、
図7に示すように、上流側に斜め上り状の斜向カルバート37にして流れを取り込みやすくしかも抵抗なく内部に流れ込むようにしてもよい。仮想線のようにさらに傾斜したものにしてもよい。各上欄に示すものは導入口23の開口形状を示すもので、特に右上欄のように大きく開口する導入口23によれば、そこに洪水時の水流が多量に集中して流れ込むことで主流路18内へは水圧が大きく掛かって加速して流れることになり、その結果、河川3内の水位は効果的に低減されることになる。
【0015】
図8および
図9は他の実施形態を示すもので、この実施形態は、導入口23にヒンジ34を介して閉止された外部シャッター24がウエイト40付きのものとされるとともに、同シャッター24の下流側端から立てられたスタンド41上部に受圧板42を取り付けたものとされている。
仮想線のように洪水が発生すると、その水圧が受圧板42に掛かって外部シャッター24はウエイト40に抗して開かれ、流れを導入するように作用する。一方、平時はウエイト40により外部シャッター24が押し付けられて閉止状態を確実に保ち容易には開かないものとなる。
尚、43は牽き材で、ロープやリンクチェーンなどでなり、その一端はスタンド41にまた他端は橋梁側につながれていて、洪水時にはこの牽き材43を適宜牽くことによって確実に外部シャッター24を開けることができるようにするものである。
【0016】
図10および
図11は、竪カルバートに代わる竪筒46を川床6内に埋め込む一方川床6よりも数m高く立ち上がらせて平時には流れが流入せず洪水時のみ導入させるタイプの河川氾濫防止装置についてのものである。この竪筒46は、平時の流れ5が入らないように多くすることでシャッターの入らない常時開放型の導入口47として非常時にシャッターが開かないという問題をなくすとともに、導入口47は危険水位よりは低いが洪水時には高さに応じて次第に多くの量の水を導入可能として水位低減が図られるようにしたものである。
そのうち
図10の実施形態の場合、竪筒46を三角筒状にして複数個所に配備し各1つの稜を前へ向けて姿勢とするとともにその前部には流れ来るものが滞留しないように三角板48を装着して対応してある。
図11の実施形態の場合、竪筒46を丸筒型とし、その右欄のように扁平四角筒とすることもあることを示している。
【0017】
図12は付加的な提案例の一つを示す。この例は、歩道や公園、アーケードなど避難必要度の高い場所に特設され竜巻や火災旋風などの非常事態時に利用される安全避難設備についてのもので、路盤(避難スペース)52内に基部が埋め込まれた4本の支柱53とこれらの上端同士を矩形をなすように繋ぐ天枠部材54およびその天枠部材54より少し低い高さにおいて支柱53同士を繋ぐ補枠部材55とを備えるとともに、アンカー56に先端を結合した牽引材57…により四方から引っ張られて安定強固に支持されている。
【0018】
天枠部材54と補枠部材55との上下間には、竜巻や火災旋風などの非常事態時に路盤52上に避難する人が巻揚げられないようにするための樹脂あるいはワイヤー製などの側面ネット59…が四面に亘って張設されている。
この側面ネット59は、矢印のように伸ばして長く広い面を形成するように安全対策をしてもよい。側面ネット59を四面に張設した例は
図13にも示してある。天枠部材54…で形成された枠状部分の面内には、樹脂あるいはワイヤー製などの天面ネット60が張設されている。
これら側面ネット59および天枠部材54で形成される5面に外部から適合するようにして逆受皿型の防雨シート61を被せて図示されない止着具により止め付けるようにすれば雨雪対策になる。このような防雨シート61は、
図13に示すような屋根型にすることもでき、その場合、天枠部材54上にシート受枠63を受け止めのために突設するものとする。
図13の避難施設は、支柱53…間に形成される四面に周面ネット64を張設するとともにその外面にさらに周面シート65を張設して適宜避難口扉66を付して安全快適な避難空間を提供できるようにしてある。このような避難設備は、
図14のように対象を車両68とした車庫としても利用される。
【0019】
図15および
図16は津波流Xに対して車両72を護るための付加的な提案例を示す。
図15の提案例は、車道の側脇に津波高さ以上の防護杭73を数本立設配備しておいて、各防護杭73には、アンカーリング75を掛け付けそのリング75に牽引ロープ(あるいはチェーン)76を付けておいて車両72のフック77にその一端を係合できるようにしておく。防護杭73の上端にはアンカーリング75が抜け出ないように脱着可能なストッパ78を設けておくものとする。津波流Xに先立って牽引ロープ76の一端の係脱金具をフック77に引っ掛けて車両72を係留しておくことでその後に津波流Xが襲ってきても車両72は流されないため他への二次被害のおそれがなくまた仮に乗っている人があっても助かるものである。防護杭73それ自体が立設されていることにより対抗部材として流れくる車両72を受け留めて二次災害を防止する。
【0020】
図16の提案例は、車道の側脇などの前後にアンカー金具81,81を固定してそれぞれに牽引ロープ82を取り付けておくことで牽引ロープ82の一端を車両83のフック84に引っ掛けることで津波襲来時に車両83を係留可能としたものである。
【0021】
図17も付加的な提案例を示すもので、各種自動車道88の適所には、自動車道88の側方から上方を取り囲むようにワイヤー製防護ネット89付きの防護フレーム90を固定設置しておき、これにより走行中に竜巻などの突風が発生した場合でも同防護フレーム90内に避難するようにすれば安全が確保されるようにしてある。
【0022】
図18ないし
図20は対津波用防護ネットNについての付加的な提案例を示すもので、
図18および
図19はその平時の設置状態を示し、
図20は津波流(押し波)Xが襲来した際の作用状況説明図を示すもので、
図18の右下側でありかつ
図19、
図20の右側である海側から津波流(押し波)Xが襲来するものと想定している。
図18および
図20における矢印Yはその逆方向の引き波である。
【0023】
図18の100A、100Bは海側と山側にそれぞれ横並び状に配列された複数の住宅を示す。これらの住宅100A,100Bの前後間には図示しない道路通されているが、この車路脇(中央分離帯も含む)や歩道脇などを利用して複数の対津波用防護ネットNがそのネット面を津波流Xに直交する関係にして断続状あるいは連続状に設置されている。
【0024】
102はネット本体で、上下辺の太目のワイヤー間に膨らみ変形可能なワイヤーメッシュを張設したものでなり、左右の縦辺にもワイヤーメッシュの左右端部を連結してまとめるためのワイヤーを備えたタイプにしてもよい。
このネット本体102の左右の辺(メッシュの縦辺部あるいは前記縦辺のワイヤー)は、左右の端末支柱103に連結されている。このネット本体102の中間部分は中間支柱104に連結されている。
【0025】
端末支柱103と中間支柱104は、基部が埋設固定されて垂直に立設されるとともに、その設置地盤106上に対応する高さとなる基部と上端にはそれぞれ前後一対をなすように備えた受リング107には、基部引張材109と上端斜め引張材110とが前後それぞれに設けられ、これら引張材109,110の端部は前後アンカー(ワイヤー)111に引っ張られるようにして連結されている。
【0026】
支柱103,104自体は、合成ゴム製の肉厚チューブあるいは中実ロッドなどにより曲げ変形可能な材料が使用され、例えば、強風を含む平時は
図19のように立直した状態を保つに十分な強さをもつ一方、津波流Xに伴う瓦礫Gを取り込んだ囲み込んだ際の負荷によりネット本体102が膨らみ変形した際の力に応じて
図20のように大きく弓なりに曲がり変形し得るようになっている。
【0027】
このように先行して襲来する瓦礫Gが立体的に膨らみ変形するネット本体102に取り込まれることによりこれら瓦礫Gの塊が堤防となりそれゆえその後に流れ来る津波流Xはその堤防によって大きな抵抗を受けて減衰されるとともに堤防を越えたとしても時間差をもった流れと化すものである。従って、その間に避難する時間を稼げるだけでなく津波流X自体も減衰した形となって被害の軽減につなげることができるものである。
【0028】
尚、端末支柱103には、端部をアンカー固定した端末引張材113の上端を連結しておいてもよい。
防護ネットNは
図18のように津波流Xに直交する方向に間隔をおいて複数設置してあるが、その手前や奥側に数段階設置してもよい。
また、防護ネットNは、
図18に示すように、hの高さであるが、それより高い津波対策には仮想線で示すように上段ネットN′を設けて対処するようにしてもよい。
前記基部引張材109は省略することがある。
前記支柱102,103、前後アンカー111などは打ち込みあるいは埋め込み式などの簡易固定方法として表示してあるが、コンクリートブロックを含む基礎コンクリートで施工する強固な固定方法を選んでもよい。
【0029】
図21ないし
図27は車路あるいは歩道脇などに添って設置される津波対策(瓦礫等の捕捉・津波流の減衰遅延化)を兼ねたワイヤロープ式防護柵についての付加的な提案例を示すもので、
図21ないし
図25は平時の状態図、
図26・
図27は津波襲来時の対応状態図をそれぞれ示すものである。117は設置地盤でその地盤117の
図21における左右の方向には一定間隔を置いて複数本の支柱118…がコンクリート基礎119を介して垂直に立設されている。図示した支柱118は端末支柱でなく中間支柱を示している。
【0030】
支柱118は丸い金属製ポールでなってその一側に突設の複数個の通しブラケット121に止着具(U字アンカー)122を介して通すことにより上下数段の車両防護用のガードロープ123が張設されている。こうした防護柵はこれまでにも設置されていたものであるが、この提案例では、その上部に津波専用の防護柵を付加した点に特徴がある。
【0031】
支柱118の上端には、ボルトの締め込みにより支柱118側に脱着可能な上蓋125が取り付けられており、この上蓋125の前後2個所の孔を通じて1m程度のガイドロッド126の一対が前後にあるように挿通固定されている。このガイドロッド126の基部間には上部ロープ127が通されて側片128により上から押さえることで固定された状態とされている。ガイドロッド126の側片128より上には
図24のような外周が円形で中央が長円形の孔130aになったフロートスペーサ130がガイドロッド128に沿って浮上により上昇可能な形で嵌め込まれ、そのフロートスペーサ130の上を他の上部ロープ127が昇降可能に通され、さらに、他のフロートスペーサ130を介して他の上部ロープ127が当初所定の上下間隔を保たせたあと上昇可能に通されている。
【0032】
上部ロープ127の上下のものはチェーンやゴム紐、細ロープなどの牽きストッパ材131で結ばれている。この牽きストッパ131は、津波により2つのフロートスペーサ130が浮上した際、2本の上部ロープ127が同じ上下間隔となるように浮上させるとともに
図26および
図27に示すように最も上部の上部ロープ127が上端の抜け止めプレート132よりも下側に止められるように一定の制限を加えるためのものである。
尚、
図27に示すように、ガイドロッド126の上端近くには「津波想定高さ5m」と記した標示プレート133を取り付けたり、前記抜け止めプレート132を利用して警光灯134を付しておいてもよい。抜け止めプレート132は高さ調節可能にしておけば設置条件に合わせてストッパ機能を発揮させ得るようになる。ガイドロッド126は支柱118に高さ調節自在で止着具aで固定するようにして設置条件の津波想定高さに応じて高くも低くも設定できるようにしてもよい。
【0033】
図21ないし
図25は平時の状態を示し、この状態では上2本の上部ロープ127が下がって下側の上部ロープ127とともに低く畳まれた状態にあってこの状態では下側のガードロープ126…とともに車両防護用として機能するようになっている。この状態では上部ロープ127間は各フロートスペーサ130の存在により一定の上下間隔のもとに置かれているので津波流Xが来た場合に絡みなどなく上昇しやすい元にある。
【0034】
図26および
図27に示すように装置の一側方から津波流Xが襲来してくると、フロートスペーサ130…に浮力が作用して上部ロープ127を浮上させて
図27のような想定高さ以下において大きな上下間隔を置いて対抗する1つのガードロープを形成するようになる。ガイドロッド126は前後に一対配備されているので津波流Xによる上部ロープ127から加わる負荷に強く抵抗し得る。
尚、
図21に示すように、上部ロープ127周りには大きな浮力を発生し津波流Xに抵抗する主フロート136…を付しておいて浮上しやすくすることができる。このガードロープ123は引き波Yにも機能する。
【0035】
図28(平時)および
図29(津波襲来浮上時)に示すように、支柱118は前後一対でその間を連結片138でつなぎ合わせた負荷に強いタイプにしてもよく、この場合、各支柱118からそれぞれガイドロッド126を立設して脱着交換自在に固定しておく。このガイドロッド126は支柱118に対して高さ調節自在であるとともに止着具aをロック・解除可能にすることで設置条件により高くも低くもできるようにしてもよい。
尚、支柱118は根元などが応力集中で折れ易い傾向にあるので、単にパイプを埋め込み立設するのでなく、その中に
図28の右欄に示す十字型などの補強芯材139を一体溶接して折損しにくくすることができる。
【0036】
図30ないし
図32は他の付加的な提案例を示すものである。この提案例は、河川流のもつエネルギーを利用して発電するとともにその発電をする水車装置に観覧車を付設して演出効果が高く利用価値のある装置を提供することができるようにしたものである。
これらの図において150は河川(
図30におけるaは右岸、bは左岸)、151は河川150に掛装された橋梁を示し、河川150の
図30下側である河口付近150aの川床152の中央位置には、地中複数個所に打設されたコンクリートパイル154…を介して平面矩形で一定厚をしたPC製地中基盤155が水平姿勢に埋設されてなる。
この地中基盤155の四隅には昇降シリンダ156が固定立設されていてそのシリンダ本体156aは地中を通じて河川水157内に垂直に臨むようにされるとともに、シリンダ本体156aに進退駆動自在なロッド156bの方は河川水157上に突き出して水位検知装置に応じた自動制御により全てが同期的に昇降駆動されるようになっている。157aは河川水157の水面である。
【0037】
160は四角枠状でその内部が中空型をした軽量金属製の基部フレームで、その四隅に前記ロッド156bがそれぞれ結合されているとともに、同フレーム160の枠内には、
図30における河川流Yの流れ方向に対応する前後の方向に一対をなす受枠161が結合一体化されている。この受枠161付き基部フレーム160は、河川水157の水面157aよりも常に上位にあって河川水157の流れを阻害しないように制御されるものとなっている。尚、基部フレーム160の周りには安全柵162が適宜設けられている。
【0038】
基部フレーム160の受枠161からは、河川150の左右の方向に対向状をなすようにして立ち上がりフレーム164が固定されており、これら立ち上がりフレーム164の上部に通された支持軸165を介して駆動水車166が回転自在に取り付けられている。支持軸165は、河川150の流れ方向に対して直交する左右に向けられ、駆動水車166は、支持軸165により立ち上がりフレーム164に回転支持される中央軸受体168と、同軸受体168から放射方向に伸びるくも手169と、内輪や左右の輪板さらに複数枚の受板などでなる水輪170などで構成され、下回りが河川水157内に没して河川流Yの流れエネルギーを受けて
図31の矢印方向に駆動される下掛水車タイプとされている。
【0039】
前記基部フレーム160の水輪170に対面する個所には、回転受動体を備えた発電装置172が設置されて送電可能になっている。
こうした駆動水車166の左右両側あるいは一側には、支持軸165に取り付けられて駆動水車166の回転と同期して回転し得る観覧車174が設けられている。この観覧車174は、芯体175と放射支持材176および外輪177で構成されるとともに多数の搭乗ゴンドラ178…を備えてなる。これらのゴンドラ178に乗降するための乗降ステップ180は、基部フレーム160の内側に左右対称式に設けられている。
【0040】
尚、前記放射支持材176…や外輪177さらに搭乗ゴンドラ178…、くも手169などの表面には、夜間に遠方から確認できるようなLEDなどの演出表示手段を設けることができる。
また、河川150の本発電装置より上流側には同装置へ異物が絡まないように予め取り除く捕捉スクリーン182が設けられている。
さらに、その下流側で同装置の直前位置には、支持杭183周りに回転自在に支持されるとともにシリンダ184により平行状に対向したり
図30の実線のように逆ハの字をなすように角度変更可能な集水制御板185の一対を配備しておけば、駆動水車166への誘導水量をY1(
図30)のように多くしたりあるいは少なく制御したりすることができる。なお、集水制御板185は、多孔板や網状材などで作製してもよい。
また、基部フレーム160と河川右岸a(あるいは左岸b)との間にはゴンドラ178を利用する人を誘導するための階段187および浮き歩廊188がつながれて設けられている。189は浮体、190はガイド杭で、これらにより基部フレーム160が上下した場合でも浮き歩廊188をその高さ変動に合わせて上下させることができるようになっている。
【0041】
図33は発電装置をシリンダで昇降制御するのでなく基部フレーム160の底面に設けたフロート193…により自動で昇降できるようにした他の提案例を示している。フロート193は、基部フレーム160の四隅に対応する底面に取り付けられて川床152に埋設され立設されたガイド支柱194に添って案内されるようにしてあることで水位が変動しても発電装置がそれに追従変動し得るようになっている。