【解決手段】本発明の一実施形態は、導電性粒子と、上記導電性粒子の表面に形成され、ガラスを含むコーティング層と、を含み、上記導電性粒子の表面のうちコーティング層が最も厚くコーティングされた地点Aでのコーティング層の厚さをa、上記導電性粒子の中心を基準として上記導電性粒子の表面のうちAと90度を成す地点Bでのコーティング層の厚さをbとするとき、0.1≦b/a≦0.7を満たす複合導電性粉末を提供することができる。
前記コーティング層の厚さは最も薄くコーティングされた地点から最も厚くコーティングされた地点まで漸次増加する、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は複合導電性粉末、それを含む外部電極用導電性ペースト及び上記外部電極用導電性ペーストを利用する積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態は、導電性粒子と、上記導電性粒子の表面に形成され、ガラスを含むコーティング層と、を含み、上記導電性粒子の表面のうちコーティング層が最も厚くコーティングされた地点Aでのコーティング層の厚さをa、上記導電性粒子の中心を基準として上記導電性粒子の表面のうちAと90度を成す地点Bでのコーティング層の厚さをbとするとき、0.1≦b/a≦0.7を満たす複合導電性粉末を提供することができる。
【0011】
上記導電性粒子の粒径をdとするとき、a/d<0.2を満たすことができる。
【0012】
上記コーティング層の厚さは、最も薄くコーティングされた地点から最も厚くコーティングされた地点まで漸次増加してもよい。
【0013】
上記ガラスは、導電性粒子の100重量部に対して1〜20重量部含まれてもよい。
【0014】
上記ガラスの密度は、1.5g/cc〜5.0g/ccであってもよい。
【0015】
上記導電性粒子の平均粒径は、0.5μm〜2.0μmであってもよい。
【0016】
上記導電性粒子は、球形であってもよい。
【0017】
本発明の他の形態は、導電性粒子と、上記導電性粒子の表面に形成され、ガラスを含むコーティング層と、を含み、上記導電性粒子の表面のうちコーティング層が最も厚くコーティングされた地点Aでのコーティング層の厚さをa、上記導電性粒子の中心を基準として上記導電性粒子の表面のうちAと90度を成す地点Bでのコーティング層の厚さをbとするとき、0.1≦b/a≦0.7を満たす外部電極用導電性ペーストを提供することができる。
【0018】
本発明のさらに他の形態は、複数のセラミックグリーンシートを設ける段階と、上記セラミックグリーンシートに内部電極パターンを形成する段階と、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、上記セラミック積層体を焼成してセラミック本体を形成する段階と、上記内部電極と電気的に連結されるように外部電極用導電性ペーストを塗布する段階と、上記外部電極用導電性ペーストを焼結して外部電極を形成する段階と、を含み、上記外部電極用導電性ペーストは導電性粒子と、上記導電性粒子の表面に形成され、ガラスを含むコーティング層とを含み、上記導電性粒子の表面のうちコーティング層が最も厚くコーティングされた地点Aでのコーティング層の厚さをa、上記導電性粒子の中心を基準として上記導電性粒子の表面のうちAと90度を成す地点Bでのコーティング層の厚さをbとするとき、0.1≦b/a≦0.7を満たす積層セラミックキャパシタの製造方法を提供することができる。
【0019】
上記外部電極用導電性ペーストの焼結は、600℃〜800℃で行われてもよい。
【0020】
上記導電性粒子の粒径をdとするとき、a/d<0.2を満たすことができる。
【0021】
上記コーティング層の厚さは、最も薄くコーティングされた地点から最も厚くコーティングされた地点まで漸次増加してもよい。
【0022】
上記ガラスは、導電性粒子の100重量部に対して1〜20重量部含まれてもよい。
【0023】
上記ガラスの密度は、1.5g/cc〜5.0g/ccであってもよい。
【0024】
上記導電性粒子の平均粒径は、0.5μm〜2.0μmであってもよい。
【0025】
上記導電性粒子は、球形であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、外部電極の緻密度を向上させ、セラミック本体のクラックを防止しながら、高容量を確保することができる複合導電性粉末、それを含む外部電極用導電性ペースト及び上記外部電極用導電性ペーストを利用する積層セラミックキャパシタの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0029】
図1は本発明の実施形態による複合導電性粉末の一部を切断して概略的に示した斜視図であり、
図2は
図1のC−C’断面図であり、
図3は本発明の実施形態による複合導電性粉末の断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0030】
図1〜
図3を参照すると、本発明の実施形態による複合導電性粉末は、導電性粒子1と、上記導電性粒子の表面にガラスをコーティングして形成したコーティング層2と、を含んでもよい。
【0031】
上記導電性粒子1は外部電極に適用でき、且つ導電性を帯びる粒子であれば、特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上であってもよい。
【0032】
上記導電性粒子1は、本発明の目的に応じて、多様な粒子サイズを有することができ、例えば、平均粒径は0.5〜2.0μmであってもよい。また、上記導電性粒子は、球形の粒子であってもよい。
【0033】
上記コーティング層2は、上記導電性粒子1の表面にガラスをコーティングして形成してもよい。
【0034】
図4aは本発明の実施形態による複合導電性粉末を示す走査電子顕微鏡(SEM)であり、
図4bは比較形態による導電性粉末とガラス粉末を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0035】
積層セラミックキャパシタの外部電極は導電性ペーストを用いて製造することができ、通常、外部電極用ペーストは導電性粉末、ガラスフリット、ベース樹脂及び有機ビヒクルなどを混合して製作し、上記ペーストの構成物であるガラスフリットは、
図4bに示されたように、1.0〜3.0μm水準の不均一な形状の粒子形態で混合される。
【0036】
しかし、本発明は、ガラスを導電性粒子の表面にコーティングして使用するため、
図4aに示されたようにガラス成分がペースト内で均一に分散することができ、外部電極を形成する場合、外部電極の緻密度を向上させることができる。
【0037】
上記コーティング層は厚さが変化する形状であってもよい。即ち、上記コーティング層2は、上記導電性粒子1の表面に、均一な厚さではなく、特定部分は厚く、特定部分は薄くコーティングされることができる。
【0038】
また、上記コーティング層2の厚さは、最も厚い地点から最も薄い地点まで漸次変化することができる。即ち、上記コーティング層は、最も薄くコーティングされた地点から最も厚くコーティングされた地点まで漸次厚くなるように形成されてもよい。
【0039】
言い換えると、上記導電性粒子1の中心を通るように上記複合導電性粉末10を切断した断面からみて、上記導電性粒子1は上記コーティング層2の中心ではなく、一方向に偏って存在するように形成されてもよい。
【0040】
一方、上記コーティング層が均一な厚さで形成される場合、外部電極の焼成過程で内部電極との接合が良好でないか、外部電極の導電性が低下する問題が発生する恐れがある。
【0041】
しかし、本発明のように、コーティング層が導電性粒子に不均一な厚さで形成される場合、薄くコーティングされた部分は焼成過程で導電性粒子を露出させて内部電極に含まれた金属との合金形成を可能にし、外部電極内に含まれた導電性粒子間の連結性も確保することができる。
【0042】
特に、上記コーティング層は、導電性粒子の表面のうち最も厚くコーティングされた地点Aでのコーティング層の厚さをa、上記導電性粒子の中心を基準として上記導電性粒子の表面のうちAと90度を成す地点Bでのコーティング層の厚さをbとするとき、0.1≦b/a≦0.7を満たすことができる。
【0043】
b/aが0.1未満では、コーティングされるガラスの量を制御することが困難であり、b/aが0.1未満の複合導電性粉末を含んで外部電極用導電性ペーストを形成すると、外部電極用導電性ペースト内に含まれたガラス成分の分布が不均一となる。外部電極用導電性ペースト内でのガラス成分の分布が不均一な場合、外部電極の緻密度が低下し、ガラスのビーディング(beading)及びブリスター(blister)などが発生する恐れがある。
【0044】
また、b/aが0.7を超えると、内部電極との接触性が確保されないため、容量が減少したり、外部電極の導電性が低下するという問題が発生する。
【0045】
さらに、上記導電性粒子とコーティング層は、上記導電性粒子の厚さをd、上記コーティング層の最も厚い地点での厚さをaとするとき、a/d<0.2を満たすように形成されてもよい。
【0046】
上記a/dが0.2以上では、コーティング層が厚すぎて、厚い領域と薄い領域を有するコーティング層を製造することが困難となる。
【0047】
上記コーティング層に含まれるガラスの密度は、用途に応じて適宜変更でき、これに制限されないが、1.5g/cc〜5.0g/ccであってもよい。
【0048】
コーティング層に含まれたガラスの密度が1.5g/cc未満では、単位重さ当たりの高い体積比により導電性粒子の表面のガラスコーティング量を一定に調整することが困難で、これにより、外部電極用導電性ペーストの物性のばらつきが誘発されることがある。また、外部電極を形成する際、外部電極の緻密度低下、ブリスター(blister)などの不良が発生する恐れがある。さらに、コーティング層に含まれたガラスの密度が5.0g/ccを超えると、ガラス成分内のケイ素(Si)またはホウ素(B)の含量が激減する組成であり、ガラス網目構造の主な構成物質であるケイ素(Si)及びホウ素(B)の含量が減少することにより、後に外部電極上にメッキ層を形成する時、ニッケル(Ni)またはすず(Sn)めっき液に対する耐酸性が低くて積層セラミックキャパシタの信頼性が低下する恐れがある。
【0049】
さらに、上記ガラスは、導電性粒子100重量部に対して1〜20重量部含まれてもよい。
【0050】
上記ガラスの含量が、導電性粒子100重量部に対して20重量部を超えて含まれると、外部電極が過度に速く焼結され、ブリスター(blister)、ガラス(glass)ビーディング(beading)の問題を誘発する恐れがある。また、内部電極に含まれた導電性金属と外部電極用導電性ペーストに含まれる導電性粒子との合金形成を妨げ、積層セラミックキャパシタの接触性不良を発生させる可能性がある。
【0051】
本発明のように、ガラスがコーティングされた導電性粉末の場合、ガラスの分散性を向上させて、外部電極を形成する際に電極内の気孔形成を防止することができ、外部電極の緻密度を向上させることができる。
【0052】
これと同時に、上記ガラスを非対称にコーティングすることで、均一にコーティングした時に発生し得る問題である接続不良による容量低下を防止することができる。
【0053】
図5は本発明の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を示すフローチャートであり、
図6は本発明の実施形態により製造された積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図であり、
図7は
図6のP−P’断面図である。
【0054】
図5を参照すると、本発明の実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法は、複数のセラミックグリーンシートを設ける段階(S1)と、上記セラミックグリーンシートに内部電極パターンを形成する段階(S2)と、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階(S3)と、上記セラミック積層体を焼成してセラミック本体を形成する段階(S4)と、上記内部電極と電気的に連結されるように外部電極用導電性ペーストを塗布する段階(S5)と、上記外部電極用導電性ペーストを焼結して外部電極を形成する段階(S6)と、を含んでもよい。
【0055】
以下では、
図5〜
図7を参照し、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法について説明するが、これに制限されない。
【0056】
また、本実施形態の積層セラミックキャパシタの製造方法に関する説明のうち、上述した複合導電性粉末に関する説明と重なる内容に対する説明は省略する。
【0057】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法は、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末を含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数個のセラミックグリーンシートを用意する。これを用いて誘電体層及びカバー層を形成することができる。
【0058】
上記セラミックグリーンシートはセラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作することができる。
【0059】
次に、ニッケル粉末を含む内部電極用導電性ペーストを用意することができる。
【0060】
上記セラミックグリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷工法で塗布して内部電極を形成した後、内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを複数積層し、積層体の上下面に内部電極が印刷されていないセラミックグリーンシートを複数積層してから焼成してセラミック本体110を作製することができる。上記セラミック本体は内部電極121、122、誘電体層111及びカバー層を含み、上記誘電体層は内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを焼成して形成したものであり、上記カバー層は内部電極が印刷されていないセラミックグリーンシートを焼成して形成したものである。
【0061】
上記内部電極は第1及び第2内部電極で形成されてもよい。
【0062】
その後、セラミック本体を、水及び研磨媒体を含むバレル(barrel)内で処理して表面研磨することができる。
【0063】
上記セラミック本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としてのアクティブ層と、上下マージン部としてアクティブ層の上下部にそれぞれ形成された上部及び下部カバー層と、を含んでもよい。上記アクティブ層は、誘電体層111と内部電極121、122を含み、誘電体層111を介して複数の第1及び第2内部電極121、122が交互に形成されてもよい。
【0064】
本発明の一実施形態において、セラミック本体110の形状は特に制限されず、実質的に六面体であってもよい。チップ焼成時のセラミック粉末の焼成収縮と内部電極パターンの有無による厚さの差及びセラミック本体の角部の研磨のため、セラミック本体110は完全な六面体ではないが、実質的に六面体に近い形状を有することができる。
【0065】
上記内部電極は第1及び第2内部電極121、122からなり、第1及び第2内部電極は上記誘電体層111を介して対向配置されてもよい。第1及び第2内部電極121、122は異なる極性を有する一対の電極であって、誘電体層111の積層方向に沿ってセラミック本体の両端面に通じて交互に露出するように形成されてもよく、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁されることができる。
【0066】
即ち、第1及び第2内部電極121、122は、セラミック本体110の両端面を通じて交互に露出する部分を通じて、後に形成される第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0067】
従って、第1及び第2外部電極131、132に電圧を印加すると、対向する第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積され、このとき、積層セラミックキャパシタ100の静電容量は、第1及び第2内部電極121、122が重畳する領域の面積と比例する。
【0068】
このような第1及び第2内部電極121、122の厚さは、用途に応じて決まるが、例えば、セラミック本体110の大きさを考慮し、0.2〜1.0μmの範囲内とすることができ、本発明はこれに限定されない。
【0069】
また、第1及び第2内部電極121、122に含まれる導電性金属はニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金であってもよく、本発明はこれに限定されない。
【0070】
このとき、誘電体層111の厚さは、積層セラミックキャパシタの容量設計に合わせて任意に変更してもよく、1層の厚さは焼成後0.1〜10μmになるように構成することが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0071】
また、誘電体層111は高い誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系粉末を含んでもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0072】
上部及び下部カバー層は内部電極を含まないことを除き、誘電体層111と同じ材質及び構成を有することができる。上部及び下部カバー層は、単一誘電体層または2個以上の誘電体層をアクティブ層の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成されたものであり、基本的に物理的または化学的ストレスによる第1及び第2内部電極121、122の損傷を防止する役割を担うことができる。
【0073】
次に、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結されるようにセラミック本体の外部面に外部電極用導電性ペーストを塗布した後焼結することで、第1及び第2外部電極131、132を形成することができる。
【0074】
上記外部電極用導電性ペーストは、上述した実施形態による複合導電性粉末10を含んでもよく、ベース樹脂、有機ビヒクル(vehicle)及びその他添加剤をさらに含んでもよい。
【0075】
特に、上記複合導電性粉末10は、導電性粒子1と、上記導電性粒子の表面に形成され、ガラスを含むコーティング層2とを含み、上記導電性粒子の表面のうちコーティング層が最も厚くコーティングされた地点Aでのコーティング層の厚さをa、上記導電性粒子の中心を基準として上記導電性粒子の表面のうちAと90度を成す地点Bでのコーティング層の厚さをbとするとき、0.1≦b/a≦0.7を満たすことができる。
【0076】
上記ベース樹脂、有機ビヒクル(vehicle)及びその他添加剤は、通常、外部電極用導電性ペースト組成物の製造時に用いられるものであれば、特に制限されず、その含量も本発明の目的に応じて多様に適用してもよい。
【0077】
従来のように、外部電極用導電性ペーストが導電性粉末とガラス粉末をそれぞれ含む場合、粗大なガラス粒子がペースト内に存在するようになり(
図4b参照)、電極を焼成する過程で粗大なガラス粒子が液状に相変異した後、導電性粉末の粒界に移動し、ガラス粉末が存在していた空間が大きな気孔として存在するようになる。
【0078】
このような気孔は、最終電極焼成が完了した時点でも完全に除去されず、外部電極の緻密度を低下させる。
【0079】
このような外部電極の緻密度低下の問題を解決するためには、高温での焼成による十分な原子の拡散が必要である。しかし、高温で外部電極を焼成すると、外部電極内の導電性原子が内部電極に拡散したり、体積が膨脹してセラミック本体内のクラックを誘発するという問題がある。
【0080】
本発明の外部電極用導電性ペーストを適用した外部電極を焼結する場合、外部電極用導電性ペースト内のガラスが液状に変化し、液状に変異したガラスは、導電性粉末の周辺に分布されて導電性粉末粒子を再配列させ、導電性粉末間の液状焼結を誘導して焼結を助ける。また、ガラスは導電性粉末間の空間を充填させて、焼結後の外部電極の緻密度を上げる役割をする。
【0081】
このとき、外部電極内に不均一な形状の粗大なガラス粉末が存在すると、外部電極用導電性ペースト内の導電性粉末とガラス粒子の最密充填(close packing)が不可能で、気孔率が高くなり、外部電極の緻密度の具現を阻害する。これと共に、外部電極用導電性ペースト内に粗大なガラス粒子が存在すると、焼結温度で液状に変異したガラス相によって、その周りの粒子だけが瞬間的に液状焼結し、外部電極の緻密度の具現を妨害する。
【0082】
しかし、外部電極用導電性ペーストが導電性粉末とガラス粉末をそれぞれ含まず、本発明のように導電性粉末の表面にガラスがコーティングされた複合導電性粉末を含むと、別途のガラス粉末を使用する場合より焼結速度が速く、低い温度でも緻密な外部電極を具現することができる。
【0083】
また、本発明が提供する一実施形態のように、球形の導電性粒子を使用すると、コーティング層に含まれたガラスの移動が容易であり、緻密度をさらに向上させることができる。
【0084】
図8a〜
図10bは、比較形態と本発明の実施形態により製造された積層セラミックキャパシタの外部電極を示す写真である。
【0085】
導電性粉末とガラス粉末をそれぞれ含む外部電極用導電性ペーストを使用して外部電極を形成した場合を比較形態、本発明の複合導電性粉末を含む外部電極用導電性ペーストを使用して外部電極を形成した場合を実施形態と称する。
【0086】
具体的には、
図8aは本発明の実施形態により製造された積層セラミックキャパシタの外部電極の表面を示す写真であり、
図8bは比較形態による積層セラミックキャパシタの外部電極の表面を示す写真であり、
図9a及び
図9bはそれぞれ
図8a及び
図8bの外部電極の表面を拡大した写真であり、
図10aは本発明の実施形態により製造された積層セラミックキャパシタの外部電極の断面を示す写真であり、
図10bは比較形態による積層セラミックキャパシタの外部電極の断面を示す写真である。
【0087】
図8a、
図9a及び
図10aに示したように、本発明による複合導電性粉末を含む外部電極用導電性ペーストを使用すると、外部電極内の気孔量が著しく減少し、外部電極の緻密度も向上したことが分かる。
【0088】
また、比較形態の場合、800℃以上の温度で焼成するとき、外部電極が緻密に形成されるため、高温焼成により外部電極を緻密に形成すると、高温焼結によりセラミック本体内にクラックを誘発したが、本発明の実施形態は、約720℃の低温で外部電極の緻密度を具現することができ、セラミック本体にクラックが殆ど発生しないことが分かる。
【0089】
従って、本発明によると、積層セラミックキャパシタに適用される外部電極用導電性ペーストを製造する時、ガラス成分が表面にコーティングされた複合導電性粉末を使用することで、低温でも緻密な外部電極を具現することができ、外部電極に含まれた導電性粉末のセラミック本体内への拡散を制御することで、セラミック本体の内部に発生するクラックを抑制することができる。
【0090】
さらに、上記ガラス成分のコーティングを非対称にすることで、コーティング層による連結性低下の問題を解消し、容量が確保された積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0091】
実験例
下記表1は、外部電極用導電性ペーストに含まれた導電性粒子及び上記導電性粒子にコーティングされたコーティング層の厚さによる内部電極と外部電極間の接触性及び外部電極の緻密度特性をテストした結果を示すデータである。
【0092】
具体的には、上記導電性粒子の表面のうちコーティング層が最も厚くコーティングされた地点Aでのコーティング層の厚さをa、上記導電性粒子の中心を基準として上記導電性粒子の表面のうちAと90度を成す地点Bでのコーティング層の厚さをbとするとき、b/aを測定してテストを行った。
【0093】
【表1】
*:比較例
○:接触性及び緻密度良好、×:接触性及び緻密度不良1%以上
【0094】
上記表1に示したように、b/aが0.7を超えると、コーティング層が全体的に厚く形成されて複合導電性粉末内の導電性粒子と内部電極に含まれた導電性物質との接合が困難となり、接触性が具現されない接触不良が発生し、また、b/aが0.1未満では、コーティングされたガラスの含量が少なすぎて外部電極用導電性ペースト内のガラスの絶対量分布にばらつきが発生し、外部電極の緻密度低下を誘発することが分かる。
【0095】
従って、コーティング層は、導電性粒子の表面で0.1≦b/a≦0.7を満たすように製作されることが好ましい。
【0096】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。