特開2015-187989(P2015-187989A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-187989(P2015-187989A)
(43)【公開日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】電気化学セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/64 20060101AFI20151002BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20151002BHJP
   H01G 11/70 20130101ALI20151002BHJP
   H01G 11/68 20130101ALI20151002BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20151002BHJP
   H01M 2/06 20060101ALI20151002BHJP
【FI】
   H01M4/64 A
   H01M4/66 A
   H01G11/70
   H01G11/68
   H01M2/02 K
   H01M2/06 K
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-97078(P2015-97078)
(22)【出願日】2015年5月12日
(62)【分割の表示】特願2013-247113(P2013-247113)の分割
【原出願日】2013年11月29日
(31)【優先権主張番号】12194883.0
(32)【優先日】2012年11月29日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・スタルダー
(72)【発明者】
【氏名】フレディ・チューリヒ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ヘック
(72)【発明者】
【氏名】クロシュ・ソヒ
(72)【発明者】
【氏名】イヴ・レテリエ
(72)【発明者】
【氏名】ジェリコ・リン・モール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−バティスト・レラン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン−アンデシュ・マンソン
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H017
【Fターム(参考)】
5E078AA10
5E078AA13
5E078AA14
5E078AA15
5E078CA03
5E078CA06
5E078CA11
5E078CA21
5E078FA07
5E078FA12
5E078FA14
5E078FA15
5E078FA23
5E078FA25
5E078FA26
5E078HA23
5E078KA07
5E078LA07
5E078LA08
5E078ZA11
5H011CC02
5H011CC05
5H011CC06
5H011FF02
5H011GG01
5H011HH02
5H017AS06
5H017DD03
5H017EE01
5H017EE07
5H017HH03
(57)【要約】
【課題】体積的に増大したエネルギ密度を有し、屈曲又は折り畳み動作を繰り返しにくく、かつ屈曲又は折り畳み動作の繰り返しに対して繊細でない、電気化学セルを提供する。
【解決手段】本発明は、
−負極集電体(16)と接触する負極(20);
−正極集電体(18)と接触する正極(22);及び
−負極(20)と正極(22)との間に配置されるセパレータ(24)であって、負極(20)はセパレータ(24)と負極集電体(16)との間に配置され、正極(22)はセパレータ(24)と正極集電体(18)との間に配置される、セパレータ(24)
を備える、電気化学セルであって、
−負極集電体(16)及び正極集電体(18)は、負極(20)、正極(22)及びセパレータ(24)のためのカプセル化ハウジング(28)を形成する、電気化学セルに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体(16)と接触する負極(20);
正極集電体(18)と接触する正極(22);及び
前記負極(20)と前記正極(22)との間に配置されるセパレータ(24)であって、前記負極(20)は前記セパレータ(24)と前記負極集電体(16)との間に配置され、前記正極(22)は前記セパレータ(24)と前記正極集電体(18)との間に配置される、セパレータ(24)
を備える、電気化学セルにおいて、
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)は、前記負極(20)、前記正極(22)及び前記セパレータ(24)のためのカプセル化ハウジング(28)を形成し、
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の少なくとも一方は、繊維補強プラスチック材料を含む、
電気化学セル。
【請求項2】
前記負極(20)の細孔、前記正極(22)の細孔及び前記セパレータ(24)を充填する電解質を更に備える、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の外側縁部の間に延在する密封材(26)を用いて、前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)を相互に接着する、請求項1又は2に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記繊維補強プラスチック材料の繊維は、炭素繊維である、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の少なくとも一方は、100μm未満の厚さを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記繊維補強プラスチック材料を、金属層又は他の導電性コーティング材料で少なくとも部分的にコーティングする、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項7】
前記導電性コーティング材料は導電性酸化物又は導電性ポリマーである、請求項6に記載の電気化学セル。
【請求項8】
前記導電性酸化物はインジウム亜鉛酸化物であり、又は導電性ポリマーはPEDOTである、請求項7に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負極集電体と接触する負極及び正極集電体と接触する正極を備える電気化学セルに関する。本発明は特に、高いレベルの機械的可撓性を備えるフィルム状バッテリに関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの異なるタイプのバッテリの中には、いわゆるフィルム状バッテリが存在する。このようなバッテリは厚さ数マイクロメートルの薄型材料からなり、バッテリ全体の厚さを1mm未満とすることができる。これによりこのようなバッテリは小さな寸法を有するものとすることができ、従って異なる広範な応用例に適用できる。一般にこのようなバッテリ又は電気化学セルはいずれの任意の形状に形成できる。これらは積層して並列使用でき、一般に比較的高いエネルギ密度を生み出すことができる。
【0003】
フィルム状電気化学セルはまた、顕著な機械的可撓性を提供できる。従ってこれらは典型的には、特定の角度まで屈曲可能かつ弾性変形可能である。この特性は、スマートカード等、機械的応力を受ける携帯用製品の信頼性にとって最も重要なものである。
【0004】
電気化学セルは典型的には負極、負極集電体、正極、正極集電体、負極と正極との間に延在するするセパレータ、及び電解質を備える。そして更に、所望の機械的可撓性を提供するために、負極集電体及び正極集電体は対応する柔軟特性を提供する必要がある。集電体は典型的には負極及び正極の外向き部分に配設されるため、電気化学セルを屈曲させる際、これら集電体が特に機械的応力を受けることになり得る。
【0005】
実際の応用例において、また特に多数の屈曲又は折り畳み動作の後に、例えば約100回又は500回の屈曲動作の後に、従来の集電体は亀裂構造を呈するか、又は少なくともその表面に損傷部分を示し得る。従って、典型的には金属箔をベースとして形成されるこのような集電体は、屈曲動作の繰り返しによって劣化する傾向がある。
【0006】
更に、従来のあらゆる電気化学セルは、負極集電体、負極、セパレータ、電解質、正極及び正極集電体の組立体を受承して格納するための、例えばポリマー/アルミニウム/ポリマー積層体等のハウジング又はカプセルを備える。ハウジングを通って延在するコネクタタブに集電体を接触させるために、集電体とコネクタタブとの相当に精巧な相互接続を設ける必要がある。更に、コネクタタブは例えばポリマー製スリーブを用いてカプセル又はハウジングを貫通しなければならない。コネクタタブと集電体との相互接続は相当な空間を消費し、電気化学セルの空間的エネルギ密度を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、体積的に増大したエネルギ密度を有する、改良された電気化学セルを提供することである。本発明の別の目的は、屈曲又は折り畳み動作を繰り返しにくく、かつ屈曲又は折り畳み動作の繰り返しに対して繊細でない、可撓性電気化学セルを提供することである。更に、電気化学セルの内部構造は寧ろ単純であり、空間を節約でき、また製造時の採算性が高いものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、本発明は電気化学セルに関する。この電気化学セルは負極集電体と接触する負極を備え、更に正極集電体と接触する正極を備える。この電気化学セルは更に、負極と正極との間に配置されるセパレータ及び電解質を備える。特に、セパレータは負極と正極との間に挟まれており、負極集電体及び正極集電体は負極及び正極の、それぞれセパレータと反対を向いた側に隣接して配置される。言い換えると、負極はセパレータと負極集電体との間に配置される。これに対応して、正極もセパレータと正極集電体との間に配置される。上述のように、液体、ゲル状又は固体タイプの電解質も設けられ、これは正極と負極との間のセパレータの細孔を効果的に充填する。
【0009】
負極集電体及び正極集電体は、負極、正極及びセパレータの機械的組立体のためのカプセル化ハウジングを形成する。このようにして、電気化学セルの従来のハウジング又はカプセルを、負極及び正極で効果的に置き換えることができる。特に、電気化学セルのハウジングが、相互接続した負極集電体及び正極集電体で構成される。こうして、負極集電体及び正極集電体はその導電性能の他に、電気化学セルに機械的安定性及び機械的保護ももたらす。
【0010】
負極集電体及び正極集電体が電気化学セルのカプセル化ハウジングを直接形成するため、電気化学セルのカプセル化ハウジング内でコネクタタブを負極集電体及び/又は正極集電体と相互接続させる必要はもはや無い。代替として、負極集電体及び正極集電体を各コネクタタブに直接設けてよく、又は各コネクタタブと一体として形成してよい。このようにして、コネクタタブと集電体との相互接続に従来必要であった体積を節約できる。実際にはこれに伴って、電気化学セルの外部寸法を増大させることなく、正極及び負極のサイズを増大させることができる。実際には、電気化学セルの貯蔵性能及びそれに伴ってエネルギ密度を、著しく向上させることができる。
【0011】
更に、電気化学セルのハウジング又はカプセルを負極集電体及び正極集電体で置換することにより、電気化学セル全体の厚さを削減できる。更に、セル全体の厚さを一定とした場合の電気エネルギ密度を更に増大させることができる。しかしながら、厚さの削減は電気化学セルの可撓性の増大を伴い得る。
【0012】
更なる実施形態によると、負極集電体の外側縁部と正極集電体の外側縁部との間に延在する密封材を用いて、負極集電体及び正極集電体を相互に接着する。典型的には、この密封材は負極集電体の外側縁部と正極集電体の外側縁部との間に挟まれるか、又は圧迫される。典型的には、正極集電体及び負極集電体は互いに対して同一平面上にあり、またこれらの間に配置された密封材に対しても同一平面上にあってよい。
【0013】
密封材は、正極集電体と負極集電体を電気的に分離するために、実質的に電気絶縁性の材料からなる。典型的には、密封材は接着剤、例えばポリビニルアセテート(PVA)等のホットメルト接着剤又は同等の接着剤を含む。電気化学セル内に配置された電解質材料の蒸発又は漏れを防止するために、及びセル内に空気が侵入するのを防止するために、密封材並びに集電体及び集電体間の相互接続は気密性及び液密性である。
【0014】
密閉されたカプセル化ハウジングを提供するために、負極集電体及び正極集電体をそれらの外周全体に沿って密封材を用いて相互に接着する。
【0015】
別の実施形態によると、負極集電体及び正極集電体の少なくとも一方は、非晶質金属材料を含む。負極集電体及び正極集電体の両方が非晶質材料を含むことが好ましい。
【0016】
更なる、別の好ましい実施形態では、負極集電体及び正極集電体の少なくとも一方は、少なくとも部分的に非晶質金属材料からなる。負極集電体及び正極集電体の両方の少なくとも一部又は実質的に全体が、非晶質金属材料、好ましくは非晶質金属合金からなることが好ましい。
【0017】
従って、負極集電体及び/又は正極集電体は、大容積の非晶質金属材料を含んでよい。好ましくは、このような非晶質金属材料は10-5Ω・mの最大電気抵抗率を有する。更に、この最大電気抵抗率は10-6Ω・mの範囲でさえあってよい。結果として、非晶質金属材料は良好な、又は極めて優れてさえいる導電性を提供できる。更に、非晶質金属材料は、結晶質金属材料に比べて高いレベルの可撓性を特徴とする。特に、非晶質金属材料の弾性限界は一般に、結晶質金属材料の弾性限界に比べて極めて大きい。典型的には、非晶質金属材料の弾性限界は、結晶質金属材料の弾性限界の2〜4倍である。
【0018】
従って、非晶質金属材料を含む、又は非晶質金属材料からなる集電体を用いることにより、負極集電体及び正極集電体に優れた弾性特性を与える。
【0019】
更に好ましい実施形態によると、負極集電体及び正極集電体の少なくとも一方は、25μm未満、15μm未満、更には10μm未満の厚さを有する。集電体を比較的薄くできるにも関わらず、これら集電体はなお、電気化学セルのための比較的堅固なカプセル化ハウジングを形成するのに十分な機械的安定性を示す。更に、集電体の厚さは典型的には集電体及び電気化学セルの可撓性に影響する。更に、集電体の厚さが限定されることにより、小型化することができ、かつ空間を節約できる電気化学セルの設計が可能となる。
【0020】
更なる実施形態によると、非晶質金属材料はNi、Cr、Fe、Si、C、Bの合金を含む。更に又は代替として、非晶質金属材料は以下の材料:Ti、Zr、Cu、Mn、V、W、Alの少なくとも1つ又は複数を含んでよい。
【0021】
好ましい実施形態では、合金は7〜19重量%のCr、4〜5重量%のFe、4.5〜7.5重量%のSi、0.1重量%未満のC、1.4〜4.0重量%のB、及び71〜92重量%のNiを含む。非晶質金属材料の典型的な実施形態は、80.74重量%のNi、7.0重量%のCr、4.5重量%のFe、4.5重量%のSi、0.06重量%のC及び3.2重量%のBを含む。
【0022】
更なる態様、すなわち別の実施形態によると、負極集電体及び正極集電体の少なくとも一方は繊維補強プラスチック材料を含む。負極集電体及び正極集電体の両方が繊維補強プラスチック材料を含むことが好ましい。典型的には、負極集電体及び正極集電体は一種の炭素繊維補強ポリマー箔を含む。特に、繊維補強プラスチック材料は、熱安定性エポキシ樹脂系に含浸させた一方向炭素繊維テープを含んでよい。この繊維は例えばToray T800Hであるが、これと同等のいずれのタイプの繊維も使用可能である。このような繊維補強プラスチック材料の単位面積あたりの繊維重量は、25〜300g/m2であってよい。更に、標準繊維含有量は60〜65重量%であってよい。繊維補強プラスチック材料の曲げ弾性率の平均値は2000〜5000MPaであってよく、約3500MPaであることが好ましい。曲げ強度の平均値は80〜180MPaであってよく、約130MPaであることが好ましい。更に、最大荷重における変形の平均値は約5〜10%であってよく、約7%であることが好ましい。
【0023】
例えば[0°/90°/0°]積層物に対応する、一方向薄片を互いに直交するように配向したもの等、このような一方向テープを3重に積層したものを用いるのがよい。従って、このような3層積層物の単位面積あたりの密度は75〜900 g/m2となるが、150g/m2未満であるのがよい。このような3重積層物の最大荷重における変形は約2.5%である。
【0024】
更なる好ましい実施形態では、繊維補強プラスチック材料製の少なくとも1つの集電体は、100μm未満、50μm未満、好ましくは45μm未満の厚さを有する。このようにして繊維補強材料を、機械的強度と高いレベルの可撓性とを共にもたらす比較的薄い箔として提供する。
【0025】
更に、別の実施形態によると、繊維補強プラスチック材料を金属層で少なくとも部分的にコーティングする。この金属層は結晶質金属構造又は非晶質金属構造を備えてよい。金属層の材料としてNiを用いる場合、金属層の厚さは典型的には1μm未満であり、200〜400nmであることが好ましい。
【0026】
金属層又は金属コーティングを用いて繊維補強プラスチック材料を少なくとも部分的にコーティングすることで、集電体の導電性を高めることができる。更に、金属層によって各集電体の透過性を実質的に無くすことができ、これによって電解質の漏れ又は蒸発及びセル内への空気の拡散を防止できる。
【0027】
別の態様によると、負極集電体又は正極集電体の材料の選択に関わらず、負極集電体及び正極集電体の少なくとも一方は弾性変形可能である。本明細書の文脈において弾性変形とは、各集電体の、復元力の作用に対向するような一時的な変形を意味する。各集電体に対する外力の影響が存在しなくなると、各集電体を形成する材料の弾性特性によって復帰力又は復元力が即座に発生し、これを用いて各集電体の初期形状及び初期構成を得ることができる。
【0028】
集電体又は電気化学セル全体に関して考えられるいずれの変形又は屈曲も、集電体を形成する材料の弾性限界を超えないことが特に有利である。各集電体の表面又は構造を劣化させないまま、そしてセルの機能を保持したまま、集電体及び電気化学セル全体を繰り返し屈曲又は折り畳み操作に供することができるようになるのは、集電体の弾性特性のためである。負極集電体及び/又は正極集電体を形成できる繊維補強プラスチック材料及び非晶質金属材料の両方は、500回又はそれ以上にも及ぶ屈曲又は折り畳み動作の後でも、実質的に劣化しない構造又は表面を提供できる。
【0029】
更に好ましい実施形態によると、負極集電体及び正極集電体の少なくとも一方は、20mm、15mm、更には10mm以下の曲げ半径まで、実質的にねじれることなく屈曲させることができる。このような比較的小さい曲げ半径は特に、負極集電体及び/又は正極集電体の材料として使用される、上述の非晶質金属材料又は繊維補強プラスチック材料を用いて得ることができる。
【0030】
これらの特定の材料はほぼねじれることなく屈曲させることができるため、集電体の弾性特性又は電気的特性にいずれの損耗又は測定可能な劣化をもたらすことなく、屈曲及び折り畳み動作を複数回繰り返して実施できる。ねじれがないことによって得られる極めて好都合な結果は、電気化学セルの内部層が完全な状態に保たれることである。ねじれは、曲げ半径が局所的に極めて小さくなることと考えることができ、これは正極層及び負極層を劣化させることになる。
【0031】
別の実施形態によると、電気化学セルは更に、負極コネクタタブ及び正極コネクタタブを備える。ここで、負極コネクタタブ及び正極コネクタタブの少なくとも一方は、それぞれ負極集電体又は正極集電体と一体として形成される。集電体は電気化学セルのカプセル化ハウジングを形成するため、電気化学セルのハウジング内でコネクタタブと集電体を別個に相互接続する必要はもはや無い。更に、コネクタタブを各集電体と一体化することによって、電気化学セルの、相当な空間を節約できる構成及び直感的で容易な組み立てをもたらすことができる。
【0032】
別の実施形態では、負極と正極との間に配置されたセパレータは、負極及び/又は正極の外側縁部を越えて延在する外側縁部を備える。セパレータはその外側縁部によって、密封材並びに/又は負極集電体及び正極集電体の少なくとも一方と係合し得るか、又は相互接続され得る。密封材と、負極集電体又は正極集電体の一方との間でセパレータが圧迫される又は締め付けられるのが好ましい。このようにして、セパレータの組み付け及び固定を、密封材を用いた負極集電体及び正極集電体との相互組み付け及び相互接続と共に、1つのステップで得ることができる。
【0033】
更なる実施形態では、電気化学セルを一次バッテリ又は二次バッテリとして設計する。電気化学セルを特に、様々な応用目的で設計してよい。特に、電気化学セルは時計若しくは腕時計、スマートカード、又は携帯電話に応用できるものであってよい。
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、電気化学セルの概略側面図である。
図2図2は、図1による電気化学セルの長手方向断面図である。
図3図3は、図1による電気化学セルの、線B−Bに沿った平面における断面図 である。
図4図4は、図1による電気化学セルの、線C−Cに沿った平面における断面図 である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1〜4に示す電気化学セルは、正極22と接触する実質的に平坦な形状の正極集電体18を備える。正極集電体18と反対側において、正極22はセパレータ24と接触し、これによって正極22を負極20から分離する。こうして、正極22及び負極20はこれらの間にセパレータ24を挟む。図2に示すように、負極20は更に負極集電体16と接触する。電気化学セルは更に、負極20の細孔、正極22の細孔及びセパレータ24の細孔を充填する電解質を備える。電解質は例えば炭酸エチレンと六フッ化リチウムとの混合物で形成できる。典型的には、セパレータ24は多孔性ポリプロピレン製とすることができる。
【0037】
図1、2から更に明らかとなるように、負極集電体16及び正極集電体18は、電気化学セル10のカプセル化ハウジング28を直接形成する。このようにして、負極集電体16又は正極集電体18を受承するための別個のカプセル又はハウジングはもはや必要ない。更に、負極集電体16は、コネクタタブ12と一体として形成できる。従って、図2の断面図から明らかとなるように、正極集電体18もこれと対応する正極コネクタタブ14と一体として形成できる。
【0038】
正極集電体18、正極22、セパレータ24、負極20及び負極集電体16のサンドイッチ構造及び組立体は、負極集電体16及び正極集電体18の外側縁部28、30の全周にわたって延在する密封材26を用いて一体に保持される。図3による断面図は、負極集電体16の下側縁部28のみを示す。
【0039】
図4では、正極集電体18の対応する下側縁部30は、密封材26又は封止材料で完全に覆われる。図4による断面図から更にわかるように、正極22の周囲はセパレータ24でカプセル化され、このセパレータ24は負極20と正極22との間に延在する。更に、図2に示すように、セパレータ24は正極22の側縁部を越えて延在し、正極22を支持する正極集電体18と直接相互接続される。図2に示すように、セパレータ24の外側縁部24を、密封材26と正極集電体18との間で圧迫するか又は締め付ける。
【0040】
密封材26は典型的にはPVA等のホットメルトを含み、負極集電体16と正極集電体18との間に密閉密封材をもたらす。更に、集電体16、18の間に配置される電解質の蒸発又は漏れを防止するために、負極集電体16及び正極集電体18は液密性及び気密性でもあり、従って実質的に侵入不可能である。
【0041】
コネクタタブ12、14は一体として形成され、カプセル化ハウジング28に一体化されるため、電気化学セルのカプセルを通してコネクタタブをガイドする必要はない。更に、負極集電体16、正極集電体18、セパレータ24及び密封材26のカプセル化によって形成される内側空間のほぼ全体を、負極20及び正極22を形成する電気化学活性材料で実質的に充填できる。このようにして、電気化学セル10のエネルギ密度及び電力密度を増大させることができる。
【0042】
負極集電体16及び正極集電体18は、弾性変形可能な材料、好ましくは非晶質金属合金からなる。代替として、負極集電体16及び正極集電体18は、繊維補強プラスチック材料を含んでよいか、又は繊維補強プラスチック材料からなってよく、この繊維補強プラスチック材料は、その導電性を高めるために、例えばNiの金属層、又はグラフェン若しくは何らかの酸化物(IZO等)若しくは何らかの導電性ポリマー(PEDOT等)のような他の導電性材料で最終的にコーティングしてよい。
【0043】
負極集電体16及び/又は正極集電体18を製造するために使用する材料を上述のように選択すると、集電体及び/又は電気化学セル全体の可撓性により、20mm、15mm、更には10mm以下の曲げ半径まで、ねじれることなく屈曲させ、折り畳むことができるようになる。このような小さい曲げ半径でさえ、集電体16、18の電気的又は機械的特性を実質的に劣化させることなく、最低500回以上の多数の屈曲又は折り畳み動作を行うことができる。
【0044】
なお、この明細書に開示した技術の態様を列挙すれば次のようである。
(付記1)
負極集電体(16)と接触する負極(20);
正極集電体(18)と接触する正極(22);及び
前記負極(20)と前記正極(22)との間に配置されるセパレータ(24)であって、前記負極(20)は前記セパレータ(24)と前記負極集電体(16)との間に配置され、前記正極(22)は前記セパレータ(24)と前記正極集電体(18)との間に配置される、セパレータ(24)
を備える、電気化学セルにおいて、
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)は、前記負極(20)、前記正極(22)及び前記セパレータ(24)のためのカプセル化ハウジング(28)を形成する、電気化学セル。
(付記2)
前記負極(20)の細孔、前記正極(22)の細孔及び前記セパレータ(24)を充填する電解質を更に備える、付記1に記載の電気化学セル。
(付記3)
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の外側縁部(28、30)の間に延在する密封材(26)を用いて、前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)を相互に接着する、付記1又は2に記載の電気化学セル。
(付記4)
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の少なくとも一方は、非晶質金属材料を含む、付記1〜3のいずれか1項に記載の電気化学セル。
(付記5)
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の少なくとも一方は、少なくとも部分的に前記非晶質金属材料からなる、付記4に記載の電気化学セル。
(付記6)
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の少なくとも一方は、25μm未満、15μm未満、更には10μm未満の厚さを有する、付記4又は5に記載の電気化学セル。
(付記7)
前記非晶質金属材料はNi、Cr、Fe、Si、C、Bの合金を含む、付記4〜6のいずれか1つに記載の電気化学セル。
(付記8)
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の少なくとも一方は、繊維補強プラスチック材料を含む、付記1〜3のいずれか1つに記載の電気化学セル。
(付記9)
前記繊維補強プラスチック材料の繊維は、炭素繊維である、付記8に記載の電気化学セル。
(付記10)
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の少なくとも一方は、100μm未満の厚さを有する、付記8又は9に記載の電気化学セル。
(付記11)
前記繊維補強プラスチック材料を、金属層又は他の導電性コーティング材料で少なくとも部分的にコーティングする、付記8〜10のいずれか1項に記載の電気化学セル。
(付記12)
前記導電性コーティング材料は導電性酸化物又は導電性ポリマーである、付記11に記載の電気化学セル。
(付記13)
前記導電性酸化物はインジウム亜鉛酸化物であり、又は導電性ポリマーはPEDOTである、付記12に記載の電気化学セル。
(付記14)
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の少なくとも一方は、10mmの曲げ半径まで弾性変形可能である、付記1〜13のいずれか1項に記載の電気化学セル。
(付記15)
前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の少なくとも一方は、20mm、15mm、又は10mm以下の曲げ半径まで、ねじれることなく屈曲させることができる、付記14に記載の電気化学セル。
(付記16)
負極コネクタタブ(12)及び正極コネクタタブ(14)を更に備え、
前記負極コネクタタブ(12)及び前記正極コネクタタブ(14)の少なくとも一方は、それぞれ前記負極集電体(16)又は前記正極集電体(18)と一体として形成される、付記1〜15のいずれか1つに記載の電気化学セル。
(付記17)
前記セパレータ(24)は、前記負極(20)及び/又は前記正極(22)の外側縁部を越えて延在する外側縁部(32)を備え、これによって、前記密封材(26)並びに/又は前記負極集電体(16)及び前記正極集電体(18)の少なくとも一方と係合する、付記1〜16のいずれか1つに記載の電気化学セル。
(付記18)
一次バッテリ又は二次バッテリとして設計される、付記1〜17のいずれか1つに記載の電気化学セル。
【符号の説明】
【0045】
10 電気化学セル
12 コネクタタブ
14 コネクタタブ
16 集電体
18 集電体
20 負極
22 正極
24 セパレータ
26 密封材
28 縁部
30 縁部
32 縁部
図1
図2
図3
図4