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特開2015-188065オゾンプラズマを用いた酸素ラジカル強化原子層蒸着
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-188065(P2015-188065A)
(43)【公開日】2015年10月29日
(54)【発明の名称】オゾンプラズマを用いた酸素ラジカル強化原子層蒸着
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20151002BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20151002BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20151002BHJP
【FI】
   H01L21/316 X
   C23C16/40
   H01L21/31 C
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-22812(P2015-22812)
(22)【出願日】2015年2月9日
(31)【優先権主張番号】61/970,820
(32)【優先日】2014年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/601,944
(32)【優先日】2015年1月21日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】502400304
【氏名又は名称】ウルトラテック インク
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】ザフィロポウロ、ダブリュー、アーサー
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030BA10
4K030BA17
4K030BA22
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA44
4K030BA46
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA01
4K030FA04
4K030KA09
4K030KA41
4K030KA46
5F045AA15
5F045AB31
5F045AB32
5F045AC07
5F045AC11
5F045BB08
5F045BB09
5F045EH11
5F058BA06
5F058BA11
5F058BA20
5F058BC02
5F058BC03
5F058BF02
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF36
5F058BG01
5F058BG02
5F058BJ04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体製造ラインにおける処理基板(ウエハ)のスループットを向上する酸素ラジカル強化原子層蒸着処理を実行する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】RE(ラジカル強化)−ALD(原子層蒸着)システム10は、頂壁22、底壁23及び円筒形状の側壁24を有する反応チャンバ20を含む。ステージ30は、RE−ALD処理により酸化膜142が上面42に形成される基板40を支持する。オゾンプラズマシステム100は、オゾンプラズマを形成し、オゾンプラズマは酸素ラジカルO*を生成する。酸素ラジカルO*は、反応チャンバ内部26に入り、酸化前駆体ガス116を構成する。オゾンプラズマは、酸素プラズマよりも1/3だけ多くの単原子酸素ラジカルO*を作り出す。増加した酸素ラジカル密度は、酸化膜142の成長速度を増大させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバの内部に存在する基板の表面においてラジカル強化原子層蒸着処理を実行する方法であって、
オゾンプラズマを形成して酸素ラジカルを生成させる工程と、
酸素ラジカル及び前駆体ガスを前記反応チャンバの内部に連続供給して、前記基板表面に酸化膜を形成する工程と
を備える方法。
【請求項2】
前記オゾンプラズマは、プラズマチューブ内に誘導的に形成され、前記プラズマチューブは、前記反応チャンバの内部に空気圧で接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前駆体ガスは、金属有機前駆体を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属有機前駆体は、ケイ素、アルミニウム、ハフニウム、チタニウム、ジルコニウム、タンタル、イットリウム及びマグネシウムよりなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化膜は金属酸化物を含む、請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記金属酸化物は、SiO、Al、HfO、TiO、ZrO、Ta、Y及びMgよりなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応チャンバの内部にパージガスを導入して、前記酸素ラジカルまたは前記前駆体ガスの何れかの前記反応チャンバの内部を清浄化することを補助することをさらに備える、請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸素ラジカルを生成することは、オゾン分子を開裂させて、二原子の酸素分子及び第1の酸素ラジカルを形成する工程と、その後、前記二原子の酸素分子を開裂させて、第2及び第3の酸素ラジカルを形成する工程とを含む、請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記基板はシリコンウエハを含む、請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
反応チャンバの内部に存在する基板の表面においてラジカル強化原子層蒸着処理を実行する方法であって、
プラズマチューブ内でオゾンガスからオゾンプラズマを形成することによって、酸素ラジカルを含む第1の前駆体ガスを供給する工程であって、前記プラズマチューブは、前記反応チャンバの内部に空気圧で接続している工程と、
前記反応チャンバの内部に空気圧で接続しているガス源から第2の前駆体ガスを供給する工程と、
前記第1の前駆体ガスと前記第2の前駆体ガスを前記反応チャンバの内部に連続導入し、前記基板の表面に酸化膜を形成する工程と
を備える方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の前駆体ガスの一つは、ケイ素、アルミニウム、ハフニウム、チタニウム、ジルコニウム、タンタル、イットリウム及びマグネシウムの少なくとも一つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化膜は、SiO、Al、HfO、TiO、ZrO、Ta、Y及びMgのうちの一つを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応チャンバの内部にパージガスを導入して、前記第1の前駆体ガスまたは前記第2の前駆体ガスの何れかの前記反応チャンバの内部を清浄化することを補助することをさらに備える、請求項10から12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記基板はシリコンウエハを含む、請求項10から13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記プラズマチューブは石英で形成されている、請求項10から14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記オゾンプラズマを形成することは、前記プラズマチューブ内の前記オゾンを誘導結合させることを含む、請求項10から15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記酸素ラジカルを形成することは、オゾン分子を開裂させて、二原子の酸素分子及び第1の酸素ラジカルを形成する工程と、前記二原子の酸素分子を開裂させて、第2及び第3の酸素ラジカルを形成する工程とを含む、請求項10から16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
基板の表面上でラジカル強化原子層蒸着処理を実行するためのシステムであって、
前記基板を支持するように構成された内部を有する反応チャンバと、
前記反応チャンバの内部に空気圧で接続され、酸素ラジカルを生成するオゾンプラズマを形成するように構成されたオゾンプラズマシステムと、
前記反応チャンバの内部に空気圧で接続され、ガスを含むガス源と、
前記反応チャンバの内部に空気圧で接続された真空ポンプと、
前記オゾンプラズマシステム、前記真空ポンプ及び前記ガス源に操作可能に接続された制御部であって、前記酸素ラジカル及び前記ガスを、前記反応チャンバの内部に連続導入し、前記基板の表面に酸化膜を形成するように構成されている制御部と
を備えるシステム。
【請求項19】
前記オゾンプラズマシステムは、オゾン分子を開裂させて、二原子の酸素分子及び第1の酸素ラジカルを形成すること、及び、その後、前記二原子の酸素分子を開裂させて、第2の及び第3の酸素ラジカルを形成することによって、前記酸素ラジカルを形成する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ガスは、ケイ素、アルミニウム、ハフニウム、チタニウム、ジルコニウム、タンタル、イットリウム及びマグネシウムの少なくとも一つを含む、請求項18または19に記載のシステム。
【請求項21】
前記オゾンプラズマシステムは、誘導的に接続されたプラズマ源を含む、請求項18から20の何れか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記基板はシリコンを含む、請求項18から21の何れか1項に記載のシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
この出願は、米国特許法(35 U.S.C.)第119条(e)の下で、2014年3月26日に出願された米国仮出願第61/970,820号の優先権の利益を主張する。また、当該米国仮出願第61/970,820号は、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本開示は、原子層蒸着(ALD)、特に、酸素ラジカル強化ALDに関する。ここでは、オゾンプラズマは、酸素ラジカルを生成するために用いられる。
【0003】
本明細書中で言及されたあらゆる刊行物または特許文献の全体的な開示は、参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
原子層蒸着(ALD)は、非常に制御された方法で、基板上に薄膜を蒸着する方法である。蒸着工程は、2以上の化学物質(「前駆体」)を蒸気の形態で用いて、それらを連続的に、基板表面上に自己限定的な方法で反応させることによって制御される。連続した工程は繰り返され、層ごとに薄膜を形成する。ここで、これらの層は、原子スケールである。
【0005】
ALDは、相互接続バリア及びキャパシタ電極用の金属系化合物だけでなく、最先端ゲート及びキャパシタ誘電体用の、例えば、二元酸化物、三元酸化物、四元酸化物などの幅広い種類の薄膜を形成するために使用される。ALDプロセスの概説は、Georgeによる、「原子層蒸着:概説」という表題の記事(Chem.Rev.2010、110、111−113頁、2009年11月20日にウエブ上で公開)に示されている。
【0006】
ALDの一種は、ラジカル強化ALD(RE−ALD)と呼ばれる。RE−ALDは、プラズマによって生成されたラジカルを利用して、前駆体ガスの一つを形成する。ラジカル化前駆体は、そのラジカル化されていない同等物よりも反応性が高い傾向にあるため、薄膜層を形成するときに、反応を誘導する助けとなる。
【0007】
RE−ALDで使用されるプラズマの種類は、プラズマを形成するために使用される供給ガスの名称で呼ばれる。例えば、「酸素プラズマ」は、酸素(O)を供給ガスとして利用して、酸素ラジカル前駆体を生成するプラズマを作り出す。酸素ラジカル前駆体は、単原子の酸素を含み、単原子の酸素は、その反応性を非常に高くする2つの不対電子を有する。酸素ラジカルは、第2前駆体(例えば、Si)とともに使用される補助反応剤として機能する。2つの前駆体は、反応チャンバに連続的に供給され、薄膜成長(例えば、SiO)に導く連続した層を作り出す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ALDは、多数の利点を有しているが、他の薄膜成長プロセス(例えば、化学蒸着またはCVD)と比較したときの大きな欠点の一つは、速度が非常に遅いことである。例えば、従来のALDリアクターは、オングストローム(Å)/分で測定された成長速度を有している。一方、CVDは、ミクロン(μ)/分で測定された成長速度を有している。成長速度の遅さは、優れた薄膜品質をもたらすが、半導体製造ラインにおける処理基板(ウエハ)のスループットを制限する。したがって、酸素プラズマが、酸素系RE−ALD用の酸素ラジカル前駆体を供給するのに有効であるが、酸素系RE−ALDプロセスの速度及び/又は効率を上昇させることが、常に要求される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一局面は、基板の表面においてラジカル強化原子層蒸着(RE−ALD)処理を実行する方法である。当該基板は、反応チャンバの内部に存在する。本方法は、オゾンプラズマを形成して酸素ラジカル(O)を生成する工程と、酸素ラジカル及び前駆体ガスを反応チャンバの内部に連続供給して、前記基板の表面に酸化膜を形成する工程とを含む。
【0010】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記オゾンプラズマは、プラズマチューブ内に誘導的に形成される。プラズマチューブは、反応チャンバの内部に操作可能に(例えば、空気圧で)接続される。
【0011】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記前駆体ガスは、金属有機前駆体を含む。
【0012】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記金属有機前駆体は、ケイ素、アルミニウム、ハフニウム、チタニウム、ジルコニウム、タンタル、イットリウム及びマグネシウムよりなる群から選択される。
【0013】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記酸化膜は金属酸化物を含む。
【0014】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記金属酸化物は、SiO、Al、HfO、TiO、ZrO、Ta、Y及びMgよりなる群から選択される。
【0015】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、反応チャンバの内部にパージガスを導入して、前記酸素ラジカルまたは前記前駆体ガスの何れかを含む前記反応チャンバの内部を清浄化することを補助することをさらに含む。
【0016】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記酸素ラジカルOを生成することは、オゾン分子を開裂させて、二原子の酸素分子O及び第1の酸素ラジカルOを形成する工程と、その後、前記二原子の酸素分子Oを開裂させて、第2の及び第3の酸素ラジカルOを形成する工程とを含む。
【0017】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記基板はシリコンウエハを含む。
【0018】
本開示の他の局面は、基板の表面においてRE−ALD処理を実行する方法である。当該基板の表面は、反応チャンバの内部に存在する。本方法は、プラズマチューブ内でオゾンガスからオゾンプラズマを形成することによって、酸素ラジカルOを含む第1の前駆体ガスを供給する工程であって、前記プラズマチューブは、前記反応チャンバの内部に空気圧で接続している工程と、前記反応チャンバの内部に空気圧で接続しているガス源から第2の前駆体ガスを供給する工程と、前記第1の前駆体ガスと前記第2の前駆体ガスを前記反応チャンバの内部に連続導入し、前記基板の表面に酸化膜を形成する工程とを含む。
【0019】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記第1及び第2の前駆体ガスの一つは、ケイ素、アルミニウム、ハフニウム、チタニウム、ジルコニウム、タンタル、イットリウム及びマグネシウムの少なくとも一つを含む。
【0020】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記酸化膜は、SiO、Al、HfO、TiO、ZrO、Ta、Y及びMgのうちの一つを含む。
【0021】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記反応チャンバの内部にパージガスを導入して、前記第1の前駆体ガスまたは前記第2の前駆体ガスの何れかを含む前記反応チャンバの内部を清浄化することを補助する工程をさらに含む。
【0022】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記基板はシリコンウエハを含む。
【0023】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記プラズマチューブは石英で形成されている。
【0024】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記オゾンプラズマを形成することは、前記プラズマチューブ内の前記オゾンを誘導結合させることを含む。
【0025】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、酸素ラジカルOを形成することは、オゾン分子を開裂させて、二原子の酸素分子O及び第1の酸素ラジカルOを形成する工程と、前記二原子の酸素分子Oを開裂させて、第2及び第3の酸素ラジカルOを形成する工程とを含む。
【0026】
本開示の他の局面は、基板の表面上でRE−ALD処理を実行するためのシステムである。本システムは、前記基板を支持するように構成された内部を有する反応チャンバと、前記反応チャンバの内部に空気圧で接続され、酸素ラジカルOを生成するオゾンプラズマを形成するように構成されたオゾンプラズマシステムと、前記反応チャンバの内部に空気圧で接続され、ガスを含むガス源と、前記反応チャンバの内部に空気圧で接続された真空ポンプと、前記オゾンプラズマシステム、前記真空ポンプ及び前記ガス源に操作可能に接続された制御部とを備える。前記制御部は、前記酸素ラジカル及び前記ガスを、前記反応チャンバの内部に連続導入し、前記基板の表面に酸化膜を形成するように構成される。
【0027】
本開示の他の局面は、上述のシステムであって、前記オゾンプラズマシステムは、オゾン分子を開裂させて、二原子の酸素分子O及び第1の酸素ラジカルOを形成すること、及び、その後、前記二原子の酸素分子Oを開裂させて、第2の及び第3の酸素ラジカルOを形成することによって、前記酸素ラジカルOを形成する。
【0028】
本開示の他の局面は、上述のシステムであって、前記ガスは、ケイ素、アルミニウム、ハフニウム、チタニウム、ジルコニウム、タンタル、イットリウム及びマグネシウムの一つを含む。
【0029】
本開示の他の局面は、上述のシステムであって、前記オゾンプラズマシステムは、誘導的に接続されたプラズマ源を含む。
【0030】
本開示の他の局面は、上述のシステムであって、前記基板はシリコンを含む。
【0031】
さらなる特徴点及び利点は、以下の詳細な説明に明記される。また、それらの一部は詳細な説明の記載内容から当業者にとって直ちに明白となるか、詳細な説明、特許請求の範囲、添付図面に記載された実施形態を実施することによって認識されるであろう。上記の概要及び下記の詳細な説明に関する記載は、単なる例示であって、特許請求の範囲に記載されている本発明の本質及び特徴を理解するための概略または枠組みを提供するものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
添付図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、本明細書の一部を構成すると共に本明細書の一部に組み込まれる。図面は、1または複数の実施形態を示しており、詳細な説明と共に種々の実施形態の原理や動作を説明する役割を担う。このように、本開示は、添付図面と共に以下に示す詳細な説明からより完全に理解されることになるであろう。
図1図1は、本明細書中に開示され、単原子の酸素ラジカルを有する前駆体ガスを生成するオゾンプラズマを採用したRE−ALD法を実施するために使用される一例のRE−ALDシステムの模式図である。
図2図2は、図1のRE−ALDシステムのオゾンプラズマシステムの詳細な断面図であって、オゾン分子Oが、オゾンプラズマシステム内でどのように3つの単原子の酸素ラジカル(3O)に開裂するかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以降、本開示の様々な実施形態、および、添付の図面に示される複数の例について詳述する。可能な限り、同一または類似の部分の図では、同一または類似の参照番号および参照符号が用いられる。図面には決まった縮尺がなく、当業者であれば、図面は本発明の主要な部分を説明するために簡略化されていることに気づくであろう。
【0034】
下記の特許請求の範囲の記載は、発明の詳細な説明に組み込まれると共にその一部を構成する。
【0035】
本明細書中の説明では、酸素ラジカルは、Oで示され、単原子の酸素を表す。単原子の酸素は、全部で6個の電子を有し、そのうち2個が不対の電子である。不対電子は、Oの反応性を非常に高くする。すなわち、不対電子は、Oの反応性をオゾン(O)よりも高める。なお、オゾン(O)は、二原子の酸素(O)よりも高い反応性を有する。
【0036】
以下の説明では、酸素ラジカルOは、酸化前駆体として機能する第1の前駆体ガスを構成する。一方、第2の前駆体ガスは、前記第1の前駆体ガスとともに、基板の表面上に薄膜酸化化合物を形成する非酸化物ガスである。
【0037】
図1は、一例のRE−ALDシステム10を示す模式図である。様々な構成のRE−ALDシステム10が可能であり、図1のRE−ALDシステム10は、採用され得る基本的な一構成を示す。RE−ALDシステム10は、反応チャンバ20を含む。反応チャンバ20は、頂壁22、底壁23及び円筒形状の側壁24を有している。頂壁22、底壁23及び円筒形状の側壁24は、反応チャンバ内部26を規定する。ステージ30は、反応チャンバ内部26内に存在する。ステージ30は、上面42を有する基板40を支持する。上面42上には、後述するRE−ALD処理により酸化膜142が形成される。一例の基板40は、半導体製造で使用されるシリコンウエハである。真空ポンプ46は、反応チャンバ内部26に空気圧で接続され、反応チャンバ内部26の圧力を(例えば、約100mTorrから約500mTorrの範囲内に)制御するための役割を担う。
【0038】
RE−ALDシステム10は、前駆体ガス源50も含む。前駆体ガス源50は、反応チャンバ内部26に空気圧で接続されており、RE−ALD処理の一環として反応チャンバ内部26に前駆体ガス52を供給する。一例では、前駆体ガス52は、酸素と結合して基板40の上面42に酸化膜142を形成するあらゆるガスである。例示的な第1の前駆体ガスは、ケイ素(例えば、SiOを形成するため)、アルミニウム(例えば、Alを形成するため)、ハフニウム(例えば、HfOを形成するため)、チタニウム(例えば、TiOを形成するため)、ジルコニウム(例えば、ZrOを形成するため)、タンタル(例えば、Taを形成するため)、イットリウム(例えば、Yを形成するため)及びマグネシウム(例えば、Mgを形成するため)を含む。
【0039】
RE−ALDシステム10は、任意の第2のガス源60を含む。第2のガス源60は、反応チャンバ内部26に空気圧で接続されており、反応チャンバ内部26に不活性ガス62を供給する。不活性ガス62は、酸化膜142を形成するときに、連続的な積層処理を迅速化するために、異なる前駆体ガスを導入する工程間で、パージガスとしての役割を果たす。第2のガス源60は、前駆体ガス52及び不活性ガス62が、同一の導管を通って反応チャンバ内部26に流れ込むことができるように、前駆体ガス源50と結合し得ることに留意すべきである。
【0040】
RE−ALDシステム10は、オゾンプラズマシステム100も含む。オゾンプラズマシステム100は、反応チャンバ内部26に空気圧で接続されている。図2は、一例のオゾンプラズマシステム100の一部を示す詳細断面図である。オゾンプラズマシステム100は、オゾンガス112を供給ガスとして受け取るように構成され、オゾンプラズマ114を形成する。オゾンプラズマ114は酸素ラジカルOを生成する。酸素ラジカルOは、反応チャンバ内部26に入り、酸化前駆体ガス116を構成する。
【0041】
一例のオゾンプラズマシステム100は、オゾンガス源110を含む。オゾンガス源110は、オゾンガス112を含んでいる。オゾンガス源110は、プラズマチューブ120の入口端122に空気圧で接続されている。プラズマチューブ120は、出口端123、外側表面124及び内部126も有している。一例のプラズマチューブ120は、石英で作られており、実質的に円筒形状である。無線周波数(RF)コイル130は、プラズマチューブ120の外部表面124の周りに存在し、RF源134に操作可能に接続されている。RE−ALDシステム10は、複数の弁150を含み得る。複数の弁150は、反応チャンバ内部26への真空ポンプ46の空気圧での接続と同様に、前駆体ガス52、不活性ガス62、オゾンガス112の流れを制御するために使用される。反応チャンバ20と隣接するオゾンガス源110の出口端における弁150は、任意であり、反応チャンバ内部26を規定の低圧にすることを要求されないかもしれない。
【0042】
RE−ALDシステム10は、オゾンプラズマシステム100及び弁150に操作可能に接続された制御部200も含んでいる。制御部200は、RE−ALDシステム10の操作を制御するように構成され、基板40の上面42に酸化膜142を形成する。特に、制御部200は、必要に応じて、弁150の開閉を制御するように構成され、他方の前駆体ガスを導入する前に一方の前駆体ガス116及び52を除去することを含み、反応チャンバ内部26への前駆体ガス116及び52の連続的な導入を実行する。一例では、制御部200は、不活性ガス62の導入を制御し、反応チャンバ内部26に一方の前駆体ガス(前駆体ガス116又は52の一方)を導入する前に、反応チャンバ内部26から前駆体ガス116又は52の他方を除去するのに役立つ。
【0043】
図2を参照すると、オゾンガス112は、プラズマチューブ120の入り口端122から入り、プラズマチューブ120の内部126を移動する。その間に、RF源134はRF周波数信号とともにRFコイル130を供給する。RF周波数信号は、プラズマチューブ120の内部126にオゾンプラズマ114を誘導的に形成する。より具体的には、オゾンガス112が出口端123の方へ流れるに従って、RFコイル130からのRFエネルギーは、(希薄化された)オゾンガス112中に方位角電流を駆動する。オゾンガス112は、オゾンプラズマ114の形成を開始する。初期オゾンプラズマ114は、オゾンOの二原子酸素O及び一つの酸素ラジカルOへの開裂(解離)によって形成される。オゾンプラズマ114が、プラズマチューブ120の出口端123の方へ流れ続けるとき、方位角電流は二原子酸素Oを開裂させて、2つの追加の酸素ラジカルOにする。例えば、Vandenbroukeらの「非熱プラズマでのTCE減少及びオゾン形成のモデリング及び実験的検証」、非熱的/熱的プラズマ汚染防止技術及び持続可能エネルギー会議における第8回国際シンポジウム(ISNTP−8、2012)、2012年6月参照。プラズマチューブ120の出口端123は、反応チャンバ内部26に空気圧で接続されているため、また、反応チャンバ内部26は、比較的低圧であるため、オゾンプラズマ114は、酸化前駆体ガス116として反応チャンバ内部26へ引き込まれる。
【0044】
したがって、オゾンガス112中の一つのオゾン原子は、最終的には、3つの酸素ラジカルO(すなわち、3O)を形成する。3つの酸素ラジカルOは、酸化前駆体ガス116として反応チャンバ内部26に入る。この点は、酸素プラズマを利用する従来技術のRE−ALDシステムとは対照的である。従来技術のRE−ALDシステムでは、二原子酸素Oが供給ガスである。一つの二原子分子Oは、2つの酸素ラジカルOを生成し得るのみであろう。したがって、オゾンプラズマ114は、酸素プラズマよりも1/3だけ多くの単原子酸素ラジカルOを作り出すことができる。増加した酸素ラジカル密度は、酸化膜142の成長速度を増大させる。
【0045】
さらに、オゾンOは二原子酸素Oよりも反応性が高いため、酸素ラジカルOを生成するのに要するエネルギー量は、酸素プラズマの平均よりもオゾンプラズマ114の平均のほうが小さい。つまり、O+e→O+Oという開裂反応による酸素ラジカルOの形成は、O+e→2Oという開裂反応によって形成される酸素ラジカルの形成よりも、要するエネルギー量が小さい。また、O+e→O+Oの反応は、1.9×10−9cm/sの速度で起こる。一方、O+e→2Oの反応は、8.6×10−10cm/sの速度で起こる。オゾンから3つの酸素ラジカルOへの完全な開裂は、酸素のみを開裂させる場合の速度と比較して2倍の速度よりも早い速度で酸素ラジカルを作り出す。
【0046】
したがって、引き続き図1及び図2を参照して、一例の方法では、RE−ALDはRE−ALDシステム10を用いて実施される。RE−ALDシステム10において、オゾンプラズマ114は、第1の(酸化)前駆体ガス116を構成する酸素ラジカルOを生成する。本方法は、その後、第1の(酸化)前駆体ガス116及び第2の前駆体ガス52を反応チャンバ内部26へ連続導入して、基板40の上面42上に酸化膜142を形成することを含む。前駆体ガス116及び52の連続導入は、酸化膜142として所望とする厚さを得るのに必要とされる程度まで繰り返される。上述したように、不活性ガス62は、一方の前駆体ガスを導入する前に、他方の前駆体ガス116又は52が入った反応チャンバ内部26をパージ(清浄化)する手助けをするために採用され得る。説明を容易にするために、図1では、不活性ガス62に加えて、前駆体ガス116及び52の両方が、反応チャンバ20の反応チャンバ内部26に同時に導入されるように示される。
【0047】
当業者には明白であるが、添付される特許請求の範囲で規定された本開示の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載された本開示の好ましい実施形態に対して様々な変更を加えることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等範囲内で行われる本開示の修正及び変更を包含する。


図1
図2
【外国語明細書】