特開2015-188411(P2015-188411A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015188411-米糠配合膨化食品 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-188411(P2015-188411A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】米糠配合膨化食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 1/10 20060101AFI20151006BHJP
【FI】
   A23L1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-69545(P2014-69545)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 漣
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LC09
4B023LE30
4B023LG10
4B023LK05
4B023LK08
4B023LP07
4B023LP20
4B023LQ01
4B023LQ02
(57)【要約】
【課題】米糠に含まれる機能性成分が多く含まれ、しかも食感が良好である膨化食品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】脱脂米糠及びデンプンを含み、前記デンプンの90質量%以上がアミロペクチンであり、かつデンプン1質量部に対し、脱脂米糠を0.3〜1.2質量部含有する、膨化食品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱脂米糠及びデンプンを含み、
デンプンの90質量%以上がアミロペクチンであり、かつ
デンプン1質量部に対し、脱脂米糠を0.3〜1.2質量部含有する、
膨化食品。
【請求項2】
脱脂米糠を5〜50質量%含む、請求項1に記載の膨化食品。
【請求項3】
デンプンを30質量%以上含む、請求項1又は2に記載の膨化食品。
【請求項4】
デンプンが、もち種デンプンである、請求項1〜3のいずれかに記載の膨化食品。
【請求項5】
もち種デンプンが、ワキシーコーンスターチ及びもち米粉からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の膨化食品。
【請求項6】
さらに、水溶性食物繊維を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の膨化食品。
【請求項7】
水溶性食物繊維を30質量%未満含む、請求項6に記載の膨化食品。
【請求項8】
水溶性食物繊維が、難消化性デキストリン及びイヌリンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6又は7に記載の膨化食品。
【請求項9】
さらに、米糠油を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の膨化食品。
【請求項10】
米糠油を1〜15質量%含む、請求項9に記載の膨化食品。
【請求項11】
脱脂米糠及びデンプンを含む混合物であって、前記デンプンの90質量%以上がアミロペクチンであり、かつデンプン1質量部に対し、脱脂米糠を0.3〜1.2質量部含有する混合物を押し出し成形する工程、
押し出し成形した混合物の水分含量を10〜15質量%に調整する工程、及び
前記工程により水分含量を調整した混合物を膨化させる工程
を含む、膨化食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米糠配合膨化食品に関する。より詳細には、脱脂米糠及びデンプンを含有する膨化食品に関する。
【背景技術】
【0002】
米糠には、γ−オリザノール、イノシトール、ビタミンB群、ミネラルなどの機能性成分が豊富に含まれていることが知られている。しかしながら、米糠は精米後数時間で変臭が生じるため、食品素材としては米油、飼料などの限られた範囲において利用されているだけであり、米糠の多くは廃棄されているのが現状である。
【0003】
このような機能性成分を多く含有する米糠を食品素材として利用すべく、米糠臭を抑えた脱臭米糠を製造する方法(特許文献1等参照)などの技術が知られている。また、米糠を配合した食品としては人造米(特許文献2等参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−185156号公報
【特許文献2】特開2011−211929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、米糠を配合した新たな食品として膨化食品に着目した。膨化食品は、米、麦、トウモロコシ、大豆などを原料とする多孔質な食品であり、サクサクとした軽い食感を有する。通常、膨化食品は、高温高圧下でデンプンと水を混練しデンプンを糊化させた後、急減圧によって生地中に含まれる水分を気化膨張させることにより製造される。
【0006】
本発明者らは、うるち粉に米糠を配合し、膨化食品の製造を試みたところ、生地が十分に膨化せず、得られた膨化食品は、厚みが薄く、バリバリとした硬い食感を有するものとなってしまった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされてものであり、その主な目的は、米糠に含まれる機能性成分が多く含まれ、しかもサクサクとした軽い食感を有する膨化食品及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、驚くべきことに、膨化食品に通常用いられるうるち粉ではなく、ある特定のデンプンを用いることにより、米糠を多く配合した場合であっても良好に膨化し、しかもサクサクとした軽い食感を有する膨化食品を製造できることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づき、さらなる研究を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、代表的には、以下の項に記載の膨化食品及びその製造方法を提供するものである。
項1.
脱脂米糠及びデンプンを含み、
デンプンの90質量%以上がアミロペクチンであり、かつ
デンプン1質量部に対し、脱脂米糠を0.3〜1.2質量部含有する、
膨化食品。
項2.
脱脂米糠を5〜50質量%含む、上記項1に記載の膨化食品。
項3.
デンプンを30質量%以上含む、上記項1又は2に記載の膨化食品。
項4.
デンプンが、もち種デンプンである、上記項1〜3のいずれかに記載の膨化食品。
項5.
もち種デンプンが、ワキシーコーンスターチ及びもち米粉からなる群から選択される少なくとも1種である、上記項4に記載の膨化食品。
項6.
さらに、水溶性食物繊維を含む、上記項1〜5のいずれかに記載の膨化食品。
項7.
水溶性食物繊維を30質量%未満含む、上記項6に記載の膨化食品。
項8.
水溶性食物繊維が、難消化性デキストリン及びイヌリンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記項6又は7に記載の膨化食品。
項9.
さらに、米糠油を含む、上記項1〜8のいずれかに記載の膨化食品。
項10.
米糠油を1〜15質量%含む、請求項9に記載の膨化食品。
項11.
脱脂米糠及びデンプンを含む混合物であって、デンプンの90質量%以上がアミロペクチンであり、かつデンプン1質量部に対し、脱脂米糠を0.3〜1.2質量部含有する混合物を押し出し成形する工程、
押し出し成形した混合物の水分含量を10〜15質量%に調整する工程、及び
前記工程により水分含量を調整した混合物を膨化させる工程
を含む、膨化食品の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
一般的に、膨化食品は、生地中にデンプン以外の成分が配合されると膨化しにくくなることが知られているが、本発明の膨化食品は、脱脂米糠を多く含むにもかかわらず、生地が良好に膨化する。しかも、本発明の膨化食品は、風味が良く、サクサクとした軽い食感を有する。そのため、本発明の膨化食品を美味しく食することができ、米糠に含まれる機能性成分を手軽に摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】膨化処理工程の概略を示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
膨化食品
本発明の膨化食品は、脱脂米糠を含む。脱脂米糠は、玄米を搗精(精白)する際に副生される玄米の果皮、種皮、外胚乳、澱粉層等である米糠を脱脂処理することにより得ることができる。米糠を脱脂処理する方法は特に限定されず、例えば、機械的な圧搾法、有機溶媒抽出法、超臨海脱脂法などの方法が挙げられ、脱脂処理の方法により脱脂効率は異なる。
【0014】
通常、有機溶媒抽出法による脱脂処理では、n−ヘキサンなどの有機溶媒を用いることから、機械的な圧搾法による脱脂処理と比較して脱脂効率が高い。換言すると、有機溶媒抽出法による脱脂処理では、圧搾法による脱脂処理と比較して、米糠に含まれる油溶性成分が多く除かれてしまう。本発明では、玄米に含まれる機能性成分をできる限り多く配合することを目的としているため、本発明の膨化食品に含まれる脱脂米糠は、圧搾法により脱脂処理を行った米糠(圧搾脱脂米糠)であることが好ましい。
【0015】
圧搾脱脂米糠を製造する方法について具体的な例を挙げて説明すると、まず玄米を搗精(精白)することにより米糠(生米糠)を得る。生米糠ではリパーゼによる油の酸化が急速に進むため、得られた生米糠を70〜130℃程度で加熱焙煎することによりリパーゼの失活処理を行う。その後、加熱焙煎処理された米糠を圧搾機により圧搾することにより、圧搾脱脂米糠を製造することができる。
【0016】
また、脱脂米糠は、取り扱い易さの観点から、粉末状のものであることが好ましい。
【0017】
なお、脱脂米糠は上記した方法などにより製造されたものに限定されず、市販品を利用してもよい。市販品としては圧搾脱脂米糠粉であるサンブラン株式会社製の「ハイブレフ」、「ネオハイブレフ」などを例示することができる。
【0018】
本発明の膨化食品における脱脂米糠の含有量は、玄米由来の機能性成分を十分に配合することができ、かつ生地を良好に膨化させることができる範囲であれば特に限定されず、約5〜50質量%とすることが好ましく、約15〜45質量%とすることがより好ましい。
【0019】
本発明の膨化食品は、デンプンを含む。本発明の膨化食品に含まれるデンプンは、デンプン中の約90質量%以上がアミロペクチンであるデンプンであればよく、約95質量%以上がアミロペクチンであるデンプンが好ましく、100質量%がアミロペクチンであるデンプンが特に好ましい。
【0020】
通常、デンプンは、アミロースとアミロペクチンの比率に応じて、ハイアミロース種デンプン、うるち種デンプン、及びもち種デンプンに分類される。各デンプン種における(アミロース:アミロペクチン)の質量比は、ハイアミロース種デンプンでは約(70:30)、うるち種では約(20:80)〜(30:70)、もち種デンプンでは約(0:100)であることが知られている。本発明の膨化食品に含まれるデンプンは、デンプン中の90質量%程度以上がアミロペクチンである限り、ハイアミロース種デンプン、うるち種デンプン及びもち種デンプンを任意に混合したものであってもよいが、中でも、もち種デンプンであることが好ましい。
【0021】
もち種デンプンは、もち種の植物から得ることができる。もち種の植物の種類は特に限定されず、例えば、もちとうもろこし(ワキシーコーン)、もち米、もちオオムギ、もちアワ、もちキビ、もちモロコシ、もちアマランサス、もちハトムギなどが挙げられる。もち種の植物の品種についても特に限定されず、例えば、もちとうもろこし(ワキシーコーン)であれば、白もちとうもろこし、黒もちとうもろこし、黄もちとうもろこし、赤もちとうもろこし、赤紫とうもろこしなどの品種が挙げられ、もち米であれば、オトメモチ、カグヤモチ、カグラモチ、喜寿糯、クスタマモチ、クレナイモチ、こがねもち、ココノエモチ、コトブキモチ、サイワイモチ、羽二重糯、新大正糯、タカサゴモチ、たつこもち、タンチョウモチ、トヨハタモチ、ハワトモチ、ヒデコモチ、ひみこもち、ヒメノモチ、マンゲツモチ、峰の雪もち、恵糯、ヤシロモチ、ゆめのはたもち、わたぼうしなどの品種が挙げられる。
【0022】
もち種デンプンは、上記したもち種の植物から得られるデンプンであれば特に限定されないが、市場での流通度、入手コスト等の観点から、もちとうもろこし(ワキシーコーン)から得られるワキシーコーンスターチ、もち米から得られる米粉(もち米粉)であることが好ましい。なお、もち米粉はその製法に応じて、もち粉、白玉粉、寒梅粉、らくがん粉、みじん粉、だんご粉、道明寺粉、上南粉などの種類に分類されるが、その種類は特に限定されない。
【0023】
本発明の膨化食品におけるデンプンの含有量は、生地を良好に膨化させることができる範囲であれば特に限定されず、約30質量%以上とすることが好ましく、約40質量%以上とすることがより好ましく、約45質量%以上とすることが特に好ましい。
【0024】
本発明の膨化食品に含まれる脱脂米糠とデンプンとの割合は、玄米由来の機能性成分を十分に配合することができ、かつ生地を良好に膨化させることができる観点から、デンプン1質量部に対して脱脂米糠が0.3〜1.2質量部程度であり、0.3〜1.1質量部程度であることが好ましく、0.3〜1質量部程度であることがより好ましく、0.35〜1質量部程度であることが特に好ましい。
【0025】
一般的に、膨化食品は、生地中にデンプン以外の成分が配合されると膨化しにくくなることが知られているが、本発明の膨化食品は、水溶性食物繊維を含んでいてもよい。
【0026】
水溶性食物繊維の種類は特に限定されず、例えば、難消化性デキストリン、イヌリン、ペクチン、ヘミセルロース、グルコマンナン等が挙げられる。中でも、使いやすさの観点から、難消化性デキストリン、イヌリンが好ましい。
【0027】
本発明の膨化食品における水溶性食物繊維の含有量は、生地を良好に膨化させることができる範囲であれば特に限定されず、約30質量%未満とすることが好ましく、約25質量%未満とすることがより好ましく、約20質量%未満とすることが特に好ましい。なお、水溶性食物繊維の含有量が約30質量%未満である場合には、原料のべたつきなどを抑えることができるため好ましい。
【0028】
さらに、本発明の膨化食品は、玄米由来の機能性成分をさらに配合するため、米糠油(米油)を含んでいてもよい。本発明の膨化食品における米糠油の含有量は、生地を良好に膨化させることができる範囲であれば特に限定されず、約1〜15質量%とすることが好ましく、約1〜10質量%とすることがより好ましい。
【0029】
また、米糠油の含有量は、脱脂米糠に含まれる油分に応じて決定してもよい。脱脂米糠及び米糠油を混合した場合の油分が、脱脂米糠及び米糠油の合計質量に対して、好ましくは5〜40%程度となるよう、より好ましくは10〜25%程度となるように、米糠油の含有量を決定すればよい。
【0030】
油分の測定方法は特に限定されず、公知の方法により測定すればよい。一例としては、以下の方法が挙げられる。
【0031】
まず、試料10gを円筒ろ紙に秤取し、脱脂綿で軽く蓋をしてソックスレー抽出装置に入れる。次いで、抽出フラスコ(重量既知)にエチルエーテルを約100mL入れ、ソックスレー抽出装置に装着し、ウォーターバス上で5時間加熱抽出を行う。抽出速度は溶剤循環約12〜13回/時間となるように調整する。抽出完了後、抽出フラスコはロータリーエバポレーターに取り付け、エチルエーテルを完全に蒸発させる。抽出フラスコを室温まで放冷後、重量を秤量し、抽出した油分量(g)を求める。その後、下記式(1)により、油分を求めることができる。
【0032】
【数1】
【0033】
本発明の膨化食品は、本発明の効果を損なわない限り、その他の成分をさらに含んでいてもよい。例えば、ガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖が挙げられる。
【0034】
これらの成分の含有量は特に制限されず、目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、ガラクトオリゴ糖を添加する場合には、0〜10質量%程度とすることが好ましい。
【0035】
本発明の膨化食品の形状については、特に限定されず適宜決定すればよい。例えば、コイン状(円盤状)、三角状や四角状などの多角形状、俵状、スティック状などの形状とすることができる。
【0036】
膨化食品の製造方法
通常、膨化食品は、デンプンなどの原料と水を混合し、エクストルーダー等により、加圧加熱処理することによりデンプンを糊化させ、押し出し成形すると同時に膨化処理を行うことにより製造される。
【0037】
しかしながら、脱脂米糠及びデンプンを含有する混合物を原料とする場合、上記したように押し出し成形と膨化処理を同時に行うと、生地を十分に膨化させることができない。
【0038】
そのため、本発明の膨化食品の製造方法では、押し出し成形と膨化処理を同時に行うのではなく、これらを別の工程として行う。さらに、本発明の膨化食品の製造方法では、押し出し成形後、膨化処理工程の前に、押し出し成形した混合物の水分含量を調整する。
【0039】
即ち、本発明の膨化食品の製造方法は、脱脂米糠及びデンプンを含有する混合物を押し出し成形する工程、押し出し成形した混合物の水分含量を調整する工程、及び水分含量を調整した混合物を膨化させる工程を含む。
【0040】
脱脂米糠及びデンプンを含有する混合物を押し出し成形する方法は、押し出し成形と同時に膨化処理を行わない方法であれば特に限定されず、エクストルーダーなどの公知の機器を用いて、常法に従って行えばよい。
【0041】
成形する形状は、後述する水分含量を調整する工程及び/又は膨化処理を行う工程において支障をきたさない形状であれば特に限定されず、商品化する膨化食品の形状に応じて適宜決定すればよい。例えば、粒状、ペレット状、フレーク状、棒状などの形状とすればよい。
【0042】
また、押し出し成形した混合物は、後述する水分含量を調整する工程に先立って、乾燥させてもよい。混合物を乾燥させる方法は特に限定されず、乾燥機等の公知の機器を用いて、常法に従って行えばよい。
【0043】
押し出し成形した混合物の水分含量を調整する工程では、当該混合物の水分含量を10〜15質量%程度に調整する。水分含量を測定する方法は特に限定されず、公知の機器を用いて、常法に従って行えばよい。例えば、水分計を用いることにより、混合物の水分含量を測定することができる。
【0044】
水分含量を調整した混合物を膨化させる工程では、混合物の膨化処理を行う。膨化処理を行う方法は生地を十分に膨化させることができるものであれば特に限定されず、商品化する膨化食品に応じて公知の機器を用いて、常法に従って行えばよい。例えば、ポン煎製造機を用いることにより、水分含量を調整した混合物を膨化させることができる。
【0045】
本発明の膨化食品の製造方法について、具体的な例を挙げてより詳細に説明すると、まず、脱脂米糠及びデンプンを混合し、水を加えて15分程度混合する。この際、必要に応じて、上記した水溶性食物繊維、米糠油などの成分を加えてもよい。その後、1軸エクストルーダーを用いて混合物を粒状型に押し出し成形した後、粒状の混合物を乾燥機により乾燥させる。次いで、混合物の水分含量を14%程度に調整し、ポン煎製造機を用いて図1に示すように膨化処理を行うことにより膨化食品を製造することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0047】
膨化食品の製造
下記表1の製造例1〜21で示される配合量で各成分を混合し、水を加えて15分混合した。得られた混合物を、1軸エクストルーダー(エヌピー食品株式会社製)を用いて粒状型に押し出し成形した。次いで、粒状型に成形された混合物を、バンド型乾燥機(和泉光生所製)を用いて42℃で乾燥させた後、水分含量を測定し、ドラムミキサー(和泉光生所製)に混合物と水を加えて攪拌し、水分含量を14%に調整した。その後、ポン煎製造機(和泉光生所製、クリアランス=2.2)を用いてコイン状の膨化食品を製造した。なお、混合物の水分含量は赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所社製)を用いて測定した。
【0048】
以上の方法により製造した膨化食品について、以下の測定及び評価を行った。
【0049】
膨化食品の厚み測定
膨化食品を2分し、デジタルノギス(P01 110-120、アズワン株式会社製)を用いて中心部の厚みを測定した。膨化食品10個分の厚みを測定した平均値をとった。なお、食感を考慮して、厚みが1.8mm未満のものは生地の膨化が十分ではなく(膨化不良)、厚みが1.8mm以上のものは生地が十分に膨化したと判断した。
【0050】
膨化食品の硬度測定
木屋式デジタル硬度計(KHT-40N型、株式会社藤原製作所製、φ5mmブランジャー)を用いて、膨化食品の中心部の硬度を測定した。膨化食品10個分の硬度を測定した平均値をとった。なお、硬度が10kg未満の膨化食品は、食した際にサクサクとした軽い食感を有し、10kg以上15kg未満のものは食した際にやや硬い食感を有し、15kg以上のものは食した際にバリバリとした硬い食感を有するものと判断した。
【0051】
膨化食品の総合評価
上記した膨化食品の厚み測定及び硬度測定の結果に基づいて、以下の基準に従って、膨化食品の総合評価を行った。
【0052】
○ :膨化が良好であり、サクサクとした軽い食感を有する。
△ :膨化は良好であるものの、やや硬い食感を有する。
× :膨化が良好ではなく、バリバリとした硬い食感を有する。
××:膨化食品を製造できなかったもの。
【0053】
以上の測定及び評価結果を表1に示す。なお、表1中、「不可」と表記しているもの(製造例12)は、原料を混合する際にべたつき、膨化食品を製造できなかったことを示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表1の結果から明らかなように、うるち種デンプンであるコーンスターチ又はうるち粉を用いた場合(製造例6、7、19及び20)、並びにハイアミロース種デンプンであるハイアミローススターチを用いた場合(製造例21)には、生地が十分に膨化せず、厚みが薄く、硬い食感を有する膨化食品が得られた。これに対して、もち種デンプンであるワキシーコーンスターチ又はもち粉を用いた場合(製造例3、17及び18等)には、生地が十分に膨化し、厚みのある、軽い食感を有する膨化食品が得られることが確認できた。これらの結果から、脱脂米糠を配合する膨化食品を製造する際に用いるデンプンとしては、デンプン中に含まれるアミロペクチンの割合が大きいものが好ましいことが示唆された。
【0056】
また、デンプンに対する脱脂米糠の割合が大きい場合(製造例1、2等)には、生地が十分に膨化せず、硬い食感を有する膨化食品が得られることが確認できた。この結果から、デンプンと脱脂米糠の割合が、膨化の良否、膨化食品の硬さ(食感)等に影響を与えることが示唆された。
【0057】
さらに、難消化性デキストリンを用いた場合(製造例製造例8〜11及び16〜18)であっても、生地が十分に膨化することが確認できた。一方で、難消化性デキストリンの配合量が多い場合(製造例12)には、押し出し成形が困難となる程度に原料がべたつくことが確認された。これらの結果から、難消化性デキストリン等の水溶性食物繊維は、一定量未満であれば、生地に配合しても膨化に影響を及ぼさないことが示唆された。
【0058】
また、米糠油を添加した場合(製造例13〜15)であっても、生地が良好に膨化し、軽い食感を有する膨化食品が得られることが確認できた。
図1