【課題】 本発明は排出規制が強化されつつある水処理技術の高性能化として期待される、オゾンを使用する高度化技術が検討されているが、オゾン酸化法の更なる高効率、オゾン注入量の削減が必要である。遷移金属酸化物超微粒子内で、有害物質のオゾンによる酸化が促進される現象を利用して、難分解成分を処理する方法及び装置を提供する。
【解決手段】遷移金属含有多孔質体に、オゾンと有害物質を接触することにより有害物質をオゾンで高効率に酸化せしめ、未反応のオゾンは無害な酸素に変換する方法および装置を提案する。
有害物質含有液に溶存オゾンを添加、混合し、前記含有液を、遷移金属含有酸化物多孔質体と接触させて、有害物質のオゾンによる促進酸化で、高効率な分解を行なうことを特長とする有害物質含有液の処理方法。
請求項1記載の有害物質のオゾンによる促進酸化で使用する、オゾン酸化反応用遷移金属含有酸化物多孔質体としてCo、Mn、Cuを含む酸化物を単独または複数から選択して調製する酸化物超微粒子を使用する、有害物質含有液の処理方法。
請求項1または2に記載のオゾン酸化反応用遷移金属含有酸化物多孔質体向け酸化物超微粒子の調製法として、Co、Mn、Cuの金属塩から1種類以上を選び混合水溶液を作り、アルカリ溶液と混合することにより沈殿物を生成させて濾過、水洗、乾燥した後、熱処理を施すことを特徴とする酸化物超微粒子の製造方法。
請求項1または2記載の有害物質のオゾンによる促進酸化で使用する、オゾン酸化反応用遷移金属含有酸化物超微粒子の上流または後流に高シリカゼオライトを充填して使用する、有害物質含有液の処理方法。
請求項1〜2または請求項5記載の少なくとも一種の吸着剤層を設けた吸着剤充填塔と、上記吸着剤充填塔に有害物質を含有する液を供給する供給管と、上記供給管に接続され、液中に溶存オゾンを添加する混合溶液発生器と、前記吸着剤充填塔から処理済みの処理液を排出する排出管とを備えてなることを特長とする有害物質含有液の処理装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明においては、(A)有害物質含有液に溶存オゾンを添加、混合し、(B)溶存オゾンを吸着し、かつ有害物質も吸着する特定の吸着剤を充填した充填塔に流過させ、(C)液中の有害物質を溶存オゾンの作用により無害化する。
上記有害物質含有液として、環境庁指定のCOD規制値に該当する(chemical oxygen demand)有害物質を高値に示す排水の処理が対象となる。
溶存オゾンを供給するための溶存オゾンの混合溶液発生器(オゾナイザー)としては、公知の無声放電方式、紫外線ランプ方式、水電解方式などいずれの方式のものでも適用できる。溶存オゾン添加する方法として、上流に配置したエジェクターに溶存オゾンを吸引して処理液に混合する方法と、液相に挿入した気相オゾンの散気管でマイクロバブルを発生させて気−液接触により注入する方法が一般的である。溶存オゾンの混合溶液の添加量は処理液中の有害物質の種類、濃度等によって適宜設定すればよいが、通常の汚水液処理においては有害物質1モルに対し1〜20モル、好ましくは3〜10モル程度である。
【0007】
本発明で使用する吸着剤は、溶存オゾンを吸着し、かつ有害物質を吸着するものでなければならない。このような本発明の吸着剤としては、遷移金属含有酸化物多孔質体としてCo、Mn、Cuを含む酸化物を単独または複数から選択して調製する酸化物超微粒子である。
従って、本発明に有効な吸着剤としては、溶存オゾンと有害物質を同時吸着して吸着剤中でオゾン、有害物質が濃縮され、吸着剤の結晶(または非晶質)構造内でオゾンが分解されることなく吸着されて有害物質が効率良く酸化分解される効果を奏する。
このように、本発明の吸着剤は、溶存オゾンからのオゾンの吸着能力が高く、しかも吸着した溶存オゾンの混合溶液の分解率が低く、かつ有害物質を吸着する特性を有する為液相での安定した処理が可能である。
【0008】
Co、Mn、Cuを含む酸化物を単独または複数から選択して調製する酸化物超微粒子の調製法は、Co、Mn、Cu酸化物超微粒子とCo酸化物超微粒子について記述する。Co、Mn、Cu酸化物超微粒子の調製は、Co、Mn、Cuの金属塩水溶液とアルカリ水溶液を水媒体中に滴下し、各金属の共沈物を析出させる。得られた共沈物を濾過、水洗、乾燥した後100〜500℃の範囲で熱処理を行い、目的とするCo、Mn、Cu含有超微粒子酸化物を得た。この際に使用する各金属の塩は、市販の金属塩であればいずれも使用可能で、硫酸塩、硝酸塩、塩化物などが使用可能である。また使用するアルカリは苛性ソーダ、ソーダ゛灰、重曹などの一般的なアルカリが使用可能である。混合する金属塩の割合は各金属の全体に対するモル比でCoは40モル%以下、Mnは30〜70モル%、Cuは25〜45モル%の範囲が好適である。また、金属塩水溶液の濃度は概ね5〜50重量%の範囲が適当である。沈殿条件としては、沈殿pHは遷移金属が沈殿する範囲のpH領域にあれば微細な沈殿が析出でき、概ね5〜14の範囲が適当である。また、この際に液相での酸化を促進することにより、後段の熱処理時における反応特性を有利にすることができるため、エアーレーションによるバブリングや酸化剤の添加も効果があり、使用できる酸化剤としては塩素酸ソーダ、次亜塩素酸ソーダやそれらのカリ塩、過酸化水素などが使用できる。得られた沈殿物は無定形に近いが、特性の安定化のためには熱処理が有効で、処理温度は100〜500℃の範囲が良好である。熱処理温度が高いと比表面積が減少し、吸着サイトが減少するため処理能力が低下する。この際の平均粒子径は0.1μm以下が適当で、BET比表面積は80m
2/g以上であることが望ましい。
また、Co酸化物超微粒子の調製は、Coの金属塩溶液とアルカリ水溶液を水媒体中に滴下し、Coの沈殿物を析出させる。得られた沈殿物を濾過、水洗、乾燥した後100〜800℃の範囲で熱処理を行い、目的とするCo含有微粒子酸化物を得た。この際に使用するCo金属の塩は、市販の金属塩であればいずれも使用可能で、硫酸塩、硝酸塩、塩化物などが使用可能である。また使用するアルカリは苛性ソーダ、ソーダ゛灰、重曹などの一般的なアルカリが使用可能である。また金属塩の濃度は概ね5〜50重量%の範囲が適当である。沈殿条件としては、沈殿pHはCo金属が沈殿する範囲のpH領域にあれば微細な沈殿が析出でき、概ね5〜14の範囲が適当である。得られた沈殿物は無定形に近いが、一部結晶化しており、さらに特性の安定化のためには熱処理が有効で、100〜800℃の範囲が良好である。熱処理温度が高いと比表面積が減少し、吸着サイトが減少するため処理能力が低下する。この際の平均粒子径は0.1μm以下が適当で、BET比表面積は80m
2/g以上が望ましい。
このような上記記載の、「湿式法」による遷移金属含有酸化物多孔質体の製造は、各金属の酸化物や炭酸塩、塩基性炭酸塩、シュウ酸塩などを組み合わせて乾式混合し焼成する、所謂「乾式混合法」でも製造可能であるが、各金属の酸化物などの混合原料は1次粒子が大きく、焼成して得られる粉末の粒子径はサブミクロンが限界で、それ以下の粒子径を作ることは難しい。従って、比表面積も数m
2程度で、吸着サイトの少ない粉末になる。それに対し、上記記載の湿式法によって製造された粉末は、場合により100m
2を超えるサンプルを作ることができるため、当該有害物質除去に極めて有用である。
【0009】
本発明は、発明者等が溶存オゾンの吸着試験を行う中で特定の吸着剤が、溶存オゾンを効率よく吸着し、しかも供給有害物質を溶存オゾンにより高効率で無害化し得ることを見出した結果に基づくものである。
このように本発明の吸着剤存在下で有害物質と溶存オゾンの混合溶液とを共存させると、液中の有害物質の溶存オゾンの混合溶液酸化が効率よく進行する。本発明を制限するものではないが、アンモニアのオゾンによる促進反応で例示すると下記のような、酸化分解機構が考えられる。
液中の溶存オゾンの液相酸化分解反応が、溶存オゾンの混合溶液濃度〔O
3〕と有害物質濃度〔NH
4OH〕の積〔O
3〕・〔NH
4OH〕に比例して進行する。一方、本発明の吸着剤相には溶存オゾンと有害物質が選択的且つ同時に吸着されるため、単なる液相に比べて吸着剤内での溶存オゾン濃度〔O
3〕及び有害物質濃度〔NH
4OH〕はそれぞれ10〜100倍程度に達する。従って、吸着剤表面での〔O
3〕・〔NH
4OH〕は液相中での100〜10,000倍に達すると予想される。
又本発明の特筆すべき特長としては、消化菌を使用したNH
4OHの酸化で生成するHNO
3 、HNO
2が本遷移金属超微粒子材料上のNH
4OH‐O
3反応では殆ど生成しないことである。
これは高シリカゼオライト上での反応が、
NH
4OH+5/6O
3→1/2N
2+5/2H
2O‐‐‐(1)
2NH
4OH+7/3O
3→2NO+5H
2O‐‐‐(2)
NH
4OH+4/3O
3→HNO
3+2H
2O‐‐‐(3)
NH
4OH+O
3→HNO
2+2H
2O‐‐‐(4)
から構成されるが、(1)、(2)>>(3)、(4)の反応の選択性を有し、HNO
3 、HNO
2が殆ど生成しないことが確認されたことである。
【0010】
本発明の吸着剤は、それぞれ使用目的に応じて単独又は混合物の形で、粒状、ペレット状、ラシヒリング状、ハニカム状など任意の形状に成形して使用できる。
本発明に使用される吸着剤量は、使用目的に応じて異なるが、通常汚染物質1〜1000ppm(w/w)、水溶性酸化剤又は水溶性酸化剤と溶存オゾンの混合溶液量1〜10,000ppm(w/w)の条件で吸着剤1m
3当たりSV値1〜250(1/h)程度である。
本発明の吸着剤の性能は、使用目的に応じて異なるが、80%以上の非常に高い除去率を示す。
【0011】
また、液相では溶存オゾンは有害物質以外の第三物質との衝突により無害化に寄与することなく分解してしまう頻度が多くなり、溶存オゾンによる無害化効率に限界がある。しかし、本発明の吸着剤表面での溶存オゾンによる有害物質の無害化においては、吸着剤に溶存オゾン及び有害物質が選択的に吸着されることから、第三物質との衝突による溶存オゾンの分解の確率は大幅に低減され、溶存オゾンは有害物質の無害化のために効率的に消費される。
【0012】
液相での有害物質の無害化処理効率の悪い従来法(消化菌を使用した生物活性処理)では装置容量が大きく、液組成の変動、競合する微生物の侵入で消化菌の活性が大幅に低下する懸念が常に存在し、経済性、保守性についての改善のニーズが強かった。有害物質水溶性酸化剤又は水溶性酸化剤と溶存オゾンの混合溶液酸化反応の均一液相反応による排水処理は効率が非常に低いことから単独では採用されていないが、一般的なCOD成分の低減としては生物活性処理の後流処理として採用されている。しかし生物活性処理の上流への本装置の設置はリーク溶存オゾンによる生物活性槽の性能低下から採用されていない。しかし、本発明において、通常の液処理の場合、未反応溶存オゾンは吸着剤に吸着されたまま滞留するため後流へのリークの恐れはほとんどなく、リーク溶存オゾン濃度は従来の1/10以下である。
しかし、本発明でも特殊な細菌の殺菌など多量の溶存オゾンを添加する場合や、何らかの理由によりリークした場合の対策としては、溶存オゾンによる無害化処理を行う吸着剤充填塔の処理液出口部分にリークする溶存オゾンを分解する分解剤層を設けることによって未反応の溶存オゾンを分解することができる。上記溶存オゾンの混合溶液分解剤としては、リーク溶存オゾンと接触して自らはCO
2へと酸化される消耗型吸着剤である活性炭やアルミナ系化合物などが挙げられる。なお、分解剤層は吸着剤充填塔の出口部分の内側に設けてもよく、また、充填塔の外側に別途設けてもよい。本発明では、リーク溶存オゾンの濃度が低いため溶存オゾンの交換頻度も従来の10倍程度と大幅な延長が達成できる。
【0013】
なお、必要により有害物質含有液ヘの溶存オゾンの混合溶液注入点の上流側及び/又は溶存オゾンの混合溶液吸着反応器の後流側にダストを除去するろ過材層を設けることができる。ろ過材層の設置の有無、設置位置等は装置の状況有害物質含有液の性状等により適宜定めればよい。
【0014】
次に図面を参照して本発明の処理装置を説明する。
図1に工場排水からの排液処理に本発明を適用した有害物質含有液の処理フローの1例を示す。
図1において主プラント1からの有害物質含有液は排液輸送ポンプ3により排液導出配管2を経て混合器4に送られ、オゾン発生器5からオゾンが注入されて溶存オゾン含有排水として、吸着剤充填塔6に導入される。吸着剤充填塔6には本発明の特定の吸着剤が充填されており、導入液中の有害物質及び溶存オゾンが吸着剤に共吸着し、高濃度の状態で反応して有害物質が分解される。通常は処理液排出配管7から排出される処理済の液ヘの溶存オゾンのリークはないが、必要により吸着剤充填塔6内の処理液出口側あるいは吸着剤充填塔6の後流に活性炭などの溶存オゾンの分解剤層を設けてもよい。なお、
図1には吸着剤充填塔6内の吸着剤層6aの処理液出口側に仕切6cを介して溶存オゾン分解剤層6bを設けた例を示した。
[実施例]
【0015】
以下に実施例に基づき更に詳しく記述するが、本文中記載の「部」及び「%」は特に断らない限り重量基準である。
実施例1;
図1のフローの試験装置(溶存オゾンの分解剤層は設けず)を用いて溶存オゾンによるトリクロロベンゼンの処理試験を行った。使用した吸着剤を表1に、試験条件等を表2に示す。
トリクロロベンゼン10ppmを含有する排液を表2の条件で処理し、
図1の処理液排出配管7の部分でサンプリングした液中の有害物質濃度(出口トリクロロベンゼン濃度)及び溶存オゾン濃度を測定した。
使用した吸着剤は、(S−1)Ultra Stable Y−type Zeolite(以下USYと記載)(SiO
2/Al
2O
3比200)のハニカム基材担持品、(S−2)Co酸化物超微粒子(粒子径0.02μm、比表面積100m
2/g)のハニカム基材担持品、(S−3)Co、Mn、Cuの複合酸化物超微粒子(Co:Mn:Cu=0.2:0.7:0.4組成(モル比))のハニカム基材担持品、(S−4)前方(S−1)、後方(S−2)(体積比1:1)で充填、(S−5)前方(S−1)、後方(S−3)(体積比1:1)で充填の5種類であり、それ以外に参照として未充填の吸着塔を(S−6)とした。溶存オゾンとトリクロロベンゼンの重量比を1.5に設定した。
(S−2)Co酸化物超微粒子の調製は、まず硫酸コバルト56.8部を100部の溶解水に溶解した硫酸コバルト水溶液を調製した。次いでアルカリ溶液としてソーダ灰25部を溶解水100部に溶解したアルカリ水溶液を調製した。これらをあらかじめ用意した沈殿用水210部中に撹拌しながら滴下し、滴下後のpHを7に調整して、目的とするCo酸化物前駆体を作成した。得られたCo酸化物前駆体は、その後水洗、乾燥し300℃で熱処理を行い目的とするCo酸化物超微粒子を得た。
(S−3)Co、Mn、Cuの酸化物超微粒子(Co:Mn:Cu=0.2:0.7:0.4組成(モル比))の調製法は、(S−2)の調製と同様に行い、混合塩水溶液は硫酸銅34.9部、硫酸マンガン44部、硫酸コバルト18.3部を300部の溶解水に溶解し調整した。沈殿財としてのアルカリ水溶液は42.6部の苛性ソーダを320部の溶解水に溶解し調整した。これらはあらかじめ用意した沈殿水270部中に撹拌しながら滴下し、滴下後のpHを12.5に調整して、目的とするCo、Mn、Cuの酸化物超微粒子前駆体を作成した。この際、液相での酸化を促進するため、35%に薄めた過酸化水素を24部添加した。得られた前駆体は水洗、乾燥し、300℃で熱処理を行い目的とするCo、Mn、Cuの酸化物超微粒子を得た。
このようにして得られた(S−2)、(S−3)サンプルは(S−1)USYとあわせて性能評価試験に供した。
試験結果として、出口/入口トリクロロベンゼン濃度比、出口/入口O
3濃度比及び従来法との比較結果を下記表3に示す。サンプル((S−1)USYハニカム)、(S−6未充填)と比べて優れた結果の場合「○」とした。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
処理液のトリクロロベンゼン10ppm、溶存オゾン濃度15ppm当該発明による促進酸化を実施した。
【0019】
表3より、トリクロロベンゼンの溶存オゾンによる分解では、(S−1)〜(S−5)のいずれも未充填のトリクロロベンゼン分解率30%を大きく上回っているが、既に公知の促進酸化法である高シリカゼオライトによる分解ではその上限は70%程度で有る。その点で、遷移金属超微粒子担持ハニカムである(S−2)、(S−3)では75%、80%とゼオライトに対する優位性が見いだされた。更に、高シリカゼオライト(S−1)の後流に(S−2)、(S−3)を充填する高シリカゼオライトと遷移金属超微粒子2種類を充填する部分充填では、(S−4)では90%、(S−5)では95%に分解性能が更に向上する。
【0020】
実施例2;
最も高いトリクロロベンゼン除去率を示した(S−5)前方(S−1)、後方(S−3)(体積比1:1)をハニカム化して、吸着剤形状−ハニカム(板厚0.2mm、ピッチ2mm)、反応温度25℃、溶存オゾン/処理物質重量比1.5(w/w)でSV値を1〜40で変更してトリクロロベンゼン除去率を評価した。
図2に示すように、SV値1〜40の全領域で有害物質除去率90%以上の高効率であることが確認された。
【0021】
実施例3;
最も高いトリクロロベンゼン除去率を示した(S−5)前方(S−1)、後方(S−3)(体積比1:1)をハニカム化して、SV値は10一定として、溶存オゾン/処理物質重量比(w/w)を0.5〜3で変更してトリクロロベンゼン除去率を評価した。
図3に示すように、溶存オゾン/処理物質重量比(w/w)1〜3の全領域でトリクロロベンゼン除去率90%以上の高効率であることが確認された。重量比0.7でもトリクロロベンゼン除去率80%は維持される。
【0022】
実施例4;
同じく、
図1のフローの試験装置(溶存オゾンの分解剤層は設けず)を用いて溶存オゾンによるアンモニアの処理試験を行った。使用した吸着剤は実施例表1と同一で有り、試験条件等を表2にも実施例も同一である。
アンモニア10ppmを含有する排液を表2の条件で処理し、
図1の処理液排出配管7の部分でサンプリングした液中の有害物質濃度(出口アンモニア濃度)及び溶存オゾン濃度を測定した。
【0023】
【表4】
処理液のアンモニア10ppm、溶存オゾン濃度15ppm当該発明による促進酸化を実施した。
【0024】
表4より、アンモニアの溶存オゾンによる分解では、(S−1)〜(S−5)のいずれも未充填のアンモニア分解率10%を大きく上回っているが、既に公知の促進酸化法である高シリカゼオライトによる分解ではその上限は85%程度で有る。その点で、遷移金属超微粒子担持ハニカムである(S−2)、(S−3)では88%、90%とゼオライトに対する優位性が見いだされた。更に、高シリカゼオライト(S−1)の後流に(S−2)、(S−3)を充填する高シリカゼオライトと遷移金属超微粒子2種類を充填する部分充填では、(S−4)では95%、(S−5)では98%に分解性能が更に向上する。