(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-188857(P2015-188857A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】ナノバブル水素水・水素フォーム生成システム
(51)【国際特許分類】
B01F 5/06 20060101AFI20151006BHJP
B01F 3/04 20060101ALI20151006BHJP
B01F 5/10 20060101ALI20151006BHJP
B01F 7/16 20060101ALI20151006BHJP
B01F 7/28 20060101ALI20151006BHJP
C02F 1/68 20060101ALI20151006BHJP
B01F 13/08 20060101ALI20151006BHJP
B01F 15/02 20060101ALI20151006BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20151006BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20151006BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20151006BHJP
C01B 3/08 20060101ALN20151006BHJP
【FI】
B01F5/06
B01F3/04 A
B01F3/04 Z
B01F5/10
B01F7/16 F
B01F7/28
C02F1/68 510Z
C02F1/68 520B
C02F1/68 530B
B01F13/08 Z
B01F15/02 A
B01F15/02 C
A61K33/00
A61K9/72
A61P39/06
C01B3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-69530(P2014-69530)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】501409463
【氏名又は名称】門脇 俊行
(71)【出願人】
【識別番号】514078885
【氏名又は名称】マリーナ リンチェック
(71)【出願人】
【識別番号】514078896
【氏名又は名称】ジェイ ペンスキー
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】門脇 俊行
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4G035
4G036
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4C076AA93
4C076BB27
4C086AA01
4C086AA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA56
4C086ZC37
4G035AB08
4G035AB24
4G035AC26
4G035AC31
4G035AE05
4G035AE13
4G036AC27
4G037AA01
4G037AA11
4G037EA01
4G037EA05
4G078AA04
4G078AB01
4G078BA05
4G078CA01
4G078DA16
4G078DA30
4G078EA10
4G078EA20
(57)【要約】
【課題】ナノバブル水素水や水素フォームを効率よく、かつ軽便な装置で生成させる。
【解決手段】所定の金属などの水素ガス発生部材と所定の溶液とを接触させて水素ガスを発生させる水素ガス発生器と、内部に水もしくは所定の溶液である液体を配置し、その液体に前記水素ガスを多孔質板31を介して吹き込む吹き出し口30を備えた密閉容器20と、前記水素ガスの気泡を含む前記液体もしくは前記水素ガスを前記液体に吹き込むことにより生じた水素気泡を前記密閉容器20内で撹拌することにより微細化する撹拌手段29と、前記密閉容器20の上部に残留する水素ガスを前記密閉容器20の下部から前記液体もしくは水素気泡に戻す循環管路とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の金属などの水素ガス発生部材と所定の溶液とを接触させて水素ガスを発生させる水素ガス発生器と、
内部に水もしくは所定の溶液である液体を配置し、その液体に前記水素ガスを多孔質板を介して吹き込む吹き出し口を備えた密閉容器と、
前記水素ガスの気泡を含む前記液体もしくは前記水素ガスを前記液体に吹き込むことにより生じた水素気泡を前記密閉容器内で撹拌することにより微細化する撹拌手段と、
前記密閉容器の上部に残留する水素ガスを前記密閉容器の下部から前記液体もしくは水素気泡に戻す循環管路と
を備えていることを特徴とするナノバブル水素水・水素フォーム生成システム。
【請求項2】
前記撹拌手段は、縦型の円形断面の内筒と、その内筒の内周面との間の隙間で前記液体に剪断力を付与するように縦型モータによって回転させられるロータとを有し、
前記水素ガスの気泡を含む前記液体を前記内筒の内部で前記ロータによって撹拌することにより前記気泡を微細化するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のナノバブル水素水・水素フォーム生成システム。
【請求項3】
前記内筒の内周部と前記ロータの外周部とに永久磁石が配置され、
前記内筒の内周面と前記ロータの外周面との間に前記永久磁石によって形成される磁場中を前記水素ガスの気泡を含む液体が通過するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のナノバブル水素水・水素フォーム生成システム。
【請求項4】
前記撹拌手段は、モータによって回転させられる撹拌ブラシを有し、
前記水素気泡に対して前記密閉容器の内部で前記撹拌ブラシにより剪断力を付与して前記水素気泡を微細化するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のナノバブル水素水・水素フォーム生成システム。
【請求項5】
前記水素ガス発生器は、水素ガスを直接取り出せるガス取出口を備え、
前記循環管路は、その内部を流通する前記水素ガスの気泡を含む液体を取り出せる液取出口を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のナノバブル水素水・水素フォーム生成システム。
【請求項6】
底板と、その周囲に立設された側板とからなる開放容器を更に備え、
前記液取出口から前記開放容器内に前記水素ガスの気泡を含む液体を満たして該液体中に顔を漬けることができるように構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載のナノバブル水素水・水素フォーム生成システム。
【請求項7】
前記開放容器は、前記ガス取出口に接続されるノズルを備え、
前記開放容器内の前記液体に顔を漬けた場合に前記ノズルをくわえて水素ガス含有空気を吸入できるよう構成されている
ことを特徴とする請求項6に記載のナノバブル水素水・水素フォーム生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガスを水などの液体中にナノメートルオーダーの微細気泡として分散させたナノバブル水素水や水素ガスによって微細気泡を生成させた水素フォームを生成するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
身体に有害とされる体内の活性酸素を除去するためには、体内に水素ガスを取り込み、酸素と反応させることが有効である。特許文献1には、板状の金属マグネシウムとクエン酸等の食用酸を水容器内に投入して水素ガスを発生させ、これを水中に溶解させて酸化還元電位を零ミリボルト以下にするようにした酸性還元水製造装置が記載されている。また特許文献2には、金属マトリックス中にアルミニウムを微細に分散させた組織を有する水素ガス発生部材を水と接触させ、表面から発生する水素ガスを外部に供給して貯蔵タンクに貯蔵する水素ガス製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−10865号公報
【特許文献2】特開2009−51714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこれらの文献には、発生した水素ガスをどのようにして体内に取り込むかについては、単に「飲用する」などの示唆しか記載されていない。
【0005】
本発明者らの実験によれば、水などの液体中に水素ガスを吹き込むことにより水素ガスがその液体中に溶存するだけでなく、気泡を微細化することにより水素ガスをその溶液中に分散させて長時間保持できることが判った。また石鹸水などの界面活性剤溶液中に水素ガスを吹き込んで水素気泡を生成させるだけでなく、その気泡を微細化することによりいわゆるフォームもしくはムースと称される形態で長時間、水素ガスを保持することができ、これらの水素水やフォームなどが皮膚のマッサージや洗顔などに有効であることが判った。
【0006】
本発明は、上記の事情を背景としてなされたものであって、飲料としてだけでなく美容液として使用できるナノバブル水素水を容易に得ることができるのみならず、美容あるいは洗顔などに使用するフォームを容易に生成でき、しかも構成が簡単で取扱いの容易なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、所定の金属などの水素ガス発生部材と所定の溶液とを接触させて水素ガスを発生させる水素ガス発生器と、内部に水もしくは所定の溶液である液体を配置し、その液体に前記水素ガスを多孔質板を介して吹き込む吹き出し口を備えた密閉容器と、前記水素ガスの気泡を含む前記液体もしくは前記水素ガスを前記液体に吹き込むことにより生じた水素気泡を前記密閉容器内で撹拌することにより微細化する撹拌手段と、前記密閉容器の上部に残留する水素ガスを前記密閉容器の下部から前記液体もしくは水素気泡に戻す循環管路とを備えていることを特徴とするナノバブル水素水・水素フォーム生成システムである。
【0008】
本発明においては、前記撹拌手段は、縦型の円形断面の内筒と、その内筒の内周面との間の隙間で前記液体に剪断力を付与するように縦型モータによって回転させられるロータとを有し、前記水素ガスの気泡を含む前記液体を前記内筒の内部で前記ロータによって撹拌することにより前記気泡を微細化するように構成することができる。
【0009】
その場合、前記内筒の内周部と前記ロータの外周部とに永久磁石が配置され、前記内筒の内周面と前記ロータの外周面との間に前記永久磁石によって形成される磁場中を前記水素ガスの気泡を含む液体が通過するように構成されていてよい。
【0010】
また、本発明では、前記撹拌手段は、モータによって回転させられる撹拌ブラシを有し、前記水素気泡に対して前記密閉容器の内部で前記撹拌ブラシにより剪断力を付与して前記水素気泡を微細化するように構成することができる。
【0011】
さらに、本発明は、前記水素ガス発生器が、水素ガスを直接取り出せるガス取出口を備え、前記循環管路が、その内部を流通する前記水素ガスの気泡を含む液体を取り出せる液取出口を備えた構成とすることができる。
【0012】
その場合、底板と、その周囲に立設された側板とからなる開放容器を更に備え、前記液取出口から前記開放容器内に前記水素ガスの気泡を含む液体を満たして該液体中に顔を漬けることができるように構成されていてもよい。
【0013】
本発明では、さらに、前記開放容器は、前記ガス取出口に接続されるノズルを備え、前記開放容器内の前記液体に顔を漬けた場合に前記ノズルをくわえて水素ガス含有空気を吸入できるよう構成されていてよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ごく簡単な装置でナノバブル水素水や水素フォームを生成することができ、その後これを直接洗顔や入浴に使用してもよいし、微細なバブルは長時間消えることがないのでフォームを保湿目的の化粧水として使用するなど、さまざまな使用形態に合わせて利用することができる。
【0015】
また、顔を漬けることのできる開放容器である洗顔ボウルなどを接続することで多種多様な美容・健康術に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るナノバブル水素水生成チャンバの一実施例を断面で示す正面図である。
【
図2】本発明のナノバブル水素水・水素フォーム生成システムの一実施例を示すシステムの構成図である。
【
図3】
図2に示したナノバブル水素水生成システムで使用できる洗顔ボウルの一実施例を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示した洗顔ボウルの底板に設けた吹き出し口付近を示す断面図である。
【
図5】
図3に示した洗顔ボウル内に置いて使用する顔載せ台を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係るナノバブル水素水生成システムにおいて使用するハンドセットの実施例を示す斜視図である。
【
図7】水素フォームを作るための本発明に係るフォームジェネレータの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の望ましい実施例を図面により説明する。
【0018】
1.水素ガスの生成
これは前記の特許文献1や2に開示されている内容で、公知の技術であるから、ここでの説明は省略する。水素ガス発生部材としては水酸化マグネシウムやアルミニウム−スズ合金のアトマイズ粉末などを使用する。水素ガス発生部材を投入する液は通常の水でよい。なお、反応速度は温度に依存しているから、水素ガスの発生量は温度によって制御できる。
【0019】
2.ナノバブル水素水の生成
ナノバブル水素水は、水素ガスを水に溶存させるだけでなく、ナノメートルサイズの微細気泡として水中に分散させたものである。特に本発明では、溶解している水素およびナノバルブとして分散している水素との全体としての溶存水素濃度が2ppm以上の水素水である。水素ガスのナノバブルは、水素ガスを水中に導入するとともに、その水を撹拌して剪断力を付与することにより得ることができる。
図1に示す例は、微細な空隙から水素ガスの吹き出しと、機械的撹拌による剪断とによってナノバブル水素水を生成するように構成した装置の例である。ナノバブル水素水生成チャンバと名付けるこの装置は、全体が縦型の円筒形をした密閉容器であり、外筒33は液体と気体とを収容する容器本体で、上蓋34、底板35により気密構造となっている。これは、内容物の漏洩に異物の混入を防止するだけでなく、内圧を高くして溶存水素濃度を2ppm以上にするためである。その中には同じく筒状のケーシング20に収められた撹拌装置が置かれており、上半分はこれを駆動するモータである。中には純水やイオン水などの清浄な水が入れられており、液面の下に水素水取出口が、頂部付近に水素ガス取出口がそれぞれ配置され、液が減少した場合はポンプを接続して適宜、水を補充する。
【0020】
ケーシング20の内側に略円形断面の内筒28が嵌め込まれており、その内側に円柱形のロータ29があって上下を上蓋21にある上軸受24、底板22にある下軸受25でそれぞれ回転自在に支持され、さらにロータ29と上下軸受24,25との間には上インペラ26および下インペラ27が配置されている。特に図示しないが、内筒28の内面には多数の細かい縦溝が形成され、またロータ29の表面には螺旋溝が形成されている。その螺旋溝は、ロータ29が所定の方向に回転した場合に、周囲の水に対して下向きの推力を作用させる向きに形成されている。ロータ29はケーシング20の中蓋21に置かれた縦型のDCモータ23で駆動される。ケーシング20の下部には吸入口30が、またケーシング2の頂部には吐出口32がそれぞれ設けられている。さらに、ロータ29の中心部には、特には図示しないが、上下両端側に開口した貫通路が形成されている。これは、ロータ29の外周部に対して回転中心側の部分の圧力が低くなることにより、内筒28の内部の水を下向きに流すための流路となっている。すなわち、ロータ29の外周部では上昇流が生じ、貫通路では下降流が生じるように構成されている。
【0021】
吸入口30には、戻りの水素水と、ベンチュリにより取り込まれた水素ガスの混合液とが吸い込まれるが、この段階ではまだ水素ガスは微細な気泡ではない。
【0022】
DCモータとしてブラシレスモータを使用し、毎分5000回転程度で回転させると、容器内の混合液は上下インペラ26,27の共同作用によってロータ29の外周側を上方へ押し上げられ、内筒28とロータ29との隙間を通って上昇する。両者の溝(突起)間の隙間は500μm程度に設定してあり、非常に狭い流路を通過するため、撹拌と同時に剪断を受けることになる。またロータ29の螺旋溝は上昇の流れに逆らう方向にしてあるので乱流が生じる。さらに、ロータ29の中心軸付近に貫通路を設けてあるため、上下インペラ26,27の手前で液体の一部は下方に吸い戻され、この過程でも撹拌と剪断とを受けながら循環する。
【0023】
さらに内筒28の内周部とロータ29の外周部とのいずれにも永久磁石(図示せず)が取り付けられている。したがって、通過する混合液はこれらの永久磁石による磁界の影響を受け、気泡が微細化するばかりでなく、気泡に極性を与えることができ、液のイオン化が促進され、気泡が安定する。本発明者の観察によれば、この気泡は前記の焼結フィルタによるものよりも一層微細で、いわゆるナノバブルとなって水中に分散して滞留し、水素の実質的な溶存量が増大していることが認められた。すなわち、ナノバブル水素水が得られる。
【0024】
3.ナノバブル水素水生成システム
上記のナノバブル水素水生成チャンバを中心として構成したシステムについて説明する。
図2はそのシステムの回路図であり、破線は水素ガス取出管路4を示し、実線はナノバブル水素水取出管路5を示す。水素ガス発生器1からは水素ガスをそのまま使用する各種アダプタに向けて供給管路4aが伸びているほか、ナノバブル水素水生成チャンバ2に向けて供給管路4bが出ている。水素ガスは主として水素ガス発生器1内で発生し、したがってナノバブル水素水生成チャンバ2を含む管路系統の内圧が高くなる。このような圧力の上昇により水素ガスの溶存濃度が高められる。さらに、ナノバブル水素水生成チャンバ2の頂部に溜まった余剰の水素ガスは戻り管路4cにより水素ガス発生器1に戻るようになっており、消費する以外の水素ガスは循環する。戻り管路4cにはリリーフ弁41が設けられ、圧力が所定値、例えば100Kpaを超えると安全のため内部のガスを外部に放出する。リリーフ回路を低い位置に下げるようにすれば、放出されるのは主として空気であり、水素は消費されない。供給管路4aは取出口8a,8bのほか、この図では後述する洗顔ボウル6に接続され、適宜、絞り弁42、切替弁43等により切り換えて水素ガスを取り出すことができる。
【0025】
ナノバブル水素水生成チャンバ2の上部吐出口には供給管路5aが、また底部の吸入口30には戻り管路5bがそれぞれ接続され、供給管路5aから洗顔ボウル6にナノバブル水素水が供給されるほか、余剰の水素水は戻り管路5bによりナノバブル水素水生成チャンバ2に戻り、循環する。また戻り管路5bの吸入口近くにベンチュリ54を設け、水素ガス発生器1からの配管を接続しているので、戻りの水素水に水素ガスが吸い込まれる。さらに、戻り管路5bの中間には混入した異物を除去するフィルタ51、放熱させるラジエータ52、紫外線等の殺菌手段53などが設けられ、循環する水素水を浄化する。使い捨てタイプのアダプタによって水素水が減少した場合は、ナノバブル水素水生成チャンバ2内に適宜溶液を補充する。なお、水素ガスの溶存濃度を更に高くするために、ナノバブル水素水生成チャンバ2を含む管路系統の内圧を高くしてもよい。具体的には、ナノバブル水素水や水素ガスを使用する箇所に対する管路のバルブを閉じる。その場合、管路系統の圧力は、設定圧力が前記リリーフ弁41が開いて解放されるので、設定次第でポンプの性能及び管路ならびに容器の耐圧限界まで圧力を高めることができ、それに伴い水素水の溶存水濃度を高めることができる。
【0026】
4.洗顔ボウル
上記水素ガス発生器1およびナノバブル水素水生成チャンバ2で生成される水素水ガスおよびナノバブル水素水を実際に美顔や健康のための洗顔に応用するアダプタの一例として、洗顔ボウルを説明する。
図3は実施例の洗顔ボウル6を示す斜視図で、底板61と側板62からなる外径300mm程度の洗面器状の容器60を備えている。その底板61の中央部分に水素ガスの吹き出し口66が設けられている。容器6内に石鹸水を入れ、吹き出し口66から液中に水素ガスを吹き込む。
図4はこの吹き出し口66周辺部分の断面図である。下面に水素ガスの入るガス入口64があり、吹き出し口66内に開口している。そして開口にはフィルタ65が嵌められている。このフィルタは樹脂、セラミック、金属等の粒径2〜5μmの粉末を焼成した多孔質板である。水素ガスはこの多孔質板の隙間から液中に噴出するので、微細な気泡となる。吹き出し口66の外側に樹脂ホースの吸引ノズル67、邪魔にならない位置にナノバブル水素水の吐出管68、吸引ノズル67の反対側にはLEDの光源69が設けられている。吐出管68は回路の切り替えによりナノバブル水素水の供給と、余剰ナノバブル水素水の排出の両方を行うことができる。
【0027】
この洗顔ボウル6を使用するときは、容器60内に適量のナノバブル水素水を供給した後、吹き出し口66から水素ガスを含む空気を供給し、ボウル6内のナノバブル水素水を水素ガスでバブリングする。そのバブリングされているナノバブル水素水に顔を浸して洗顔もしくはマッサージを行う。その間、ボウル6内には水素水の供給を続け、液を循環させる。
【0028】
このとき、
図5に示す顔載せ枠7を使用する。顔載せ枠7は例えば四辺形の枠で、1辺に額載せ部71、その対辺にあご載せ部72を設けてあるので、長時間、例えば10分程度顔を載せたままでいることができる。しかし容器60は水素水で満たされているので、この間に呼吸をするため吸引ノズル67をくわえ、水素ガスの混じった空気を吸い込んでいることが必要である。また、底板61にはLEDによる光源69が設けられており、目を閉じていても明暗がわかるので、光源69の点滅に合わせて口呼吸を行うようにする。光源69は睡眠を防止する効果もある。
【0029】
なお、フィルタ65に石鹸を塗りつけ、また少量の水を容器60の内部に入れた状態で水素ガスをフィルタ65から噴き出させると、容器60の内部を水素気泡で満たすことができる。その水素気泡に顔や手を浸すことにより皮膚の洗浄やマッサージを行うことができる。また、その水素気泡をすくい取って健康洗剤として使用してもよい。
【0030】
軽量化とメンテナンスフリーを実現するため、底板61および側板62等はアクリル等の樹脂やアルミニウム合金製とするのがよい。また、底板61の上面および内側の側板62の内面は超撥水性塗料で塗装するとよい。底板61は液溜まりを考慮して中央に向けてゆるい下り勾配とする。
【0031】
5.その他のアダプタ
その他各種のアダプタを
図2における取出口8a,8bなどに接続することによりさまざまな作業を行うことができる。
【0032】
図6の(a)は手持ち式の撹拌機である。エアモータなどを内蔵した握り部71の先に多数の樹脂棒や針金などを植えた回転ブラシを取り付け、これを例えば
図6のボウル6内に挿入して中の水素気泡を撹拌すれば、気泡を微細化していわゆる水素フォームもしくはこれに近い洗浄剤もしくは美容剤を得られる。
【0033】
図6の(b)はバキュームツールで、握り部71の先端に吸盤76が取り付けてある。水素水戻り管路などに真空ポンプを介してこれを接続し、使用後の残存フォームや水素水を吸引する。また、吸盤76に替えてガラスノズル(図示せず)を取り付けることにより、毛穴の汚れを吸引することもできる。
【0034】
図6の(c)はスプレイツールである。握り部71の先端に首振り自在のスプレイノズルが取り付けてあり、液体の場合は温度を調整した水素水、気体の場合は水素ガスを任意の方向に噴射させる。圧力噴射を行うには、適宜管路内に水ポンプを設置する。
【0035】
図6の(d)は高温と低温の磁気内蔵マッサージヘッドを備える双頭式のマッサージツールである。握り部71の先端の両面に低温、加熱のコンタクト部が設けられており、頸動脈などを温めて発汗を促したり、クールダウンしたりする。ペルチェ素子などを使用すれば温度の切り替えが迅速にできる。本発明ではこれに水素水スプレイを併用することができるし、ペルチェ用電源部のICや変圧器を始め各放熱部分の冷却にも水素水を使用してツールをコンパクトにすることができる。
【0036】
この他、フォームをフォームジェネレータからすくい出すのに使用するスプーンノズルは、バキュームツール、ガス噴霧ツールとしても使用できるなど、さまざまなアダプタを使用することにより本発明は一層便利なものとなる。
【0037】
6.水素フォーム生成システム
本発明が特徴とする点は、水素ガスを液体に吹き込んで得られる水素気泡を含む物質を撹拌して剪断作用を付与することによりナノバブル化することである。その撹拌あるいは剪断の対象物は、本発明では水素水に限られないのであり、本発明は、石鹸などの界面活性剤を含む液体もしくは溶解させた液体に水素ガスを吹き込んで得られる気泡を更に微細化してフォームとする場合にも用いることができる。その例を以下に説明する。
【0038】
図7は簡易タイプのフォームジェネレータ10を示し、ボウル11の底部に設けた孔に焼結材などからなる多孔質のフィルタ13が嵌め込まれている。そのボウル11の下にカップ状の容器12が取り付けられ、またボウル11には蓋14が被せられて密閉状態とするように構成されている。符号19はボウル11を載せるスタンドである。容器12は、水と共に水素化マグネシウム粉末などの水素発生部材が入れられて、水素発生器として機能するものである。その底部には、バルブ12Vが接続された排出口12Dが設けられている。
【0039】
蓋14には、下向きに縦型のモータ16が取り付けられ、その回転軸に撹拌ブラシ15が取り付けられている。この撹拌ブラシ15は、水素ガスの泡を撹拌して剪断力を与えることにより水素気泡を微細化するためのものであり、
図7に示す例では、回転板の下面周縁部から下向きに延びた縦棒と、回転板の下面中心部に設けられている軸部から半径方向に突出した複数の横棒とを備えている。これらのモータ16および撹拌ブラシ15が本発明における撹拌手段に相当している。
【0040】
水素ガスを有効利用して水素気泡もしくは水素フォームの生成を促進するために、循環管路が設けられている。すなわち、ボウル11の外部には、その上端部と前記容器12もしくは底部とを連通させる戻り管17が設けられている。その戻り管17の途中にダイヤフラムポンプなどのポンプ18が設けられている。したがって、ボウル11内の上部に溜まった水素ガスや水素気泡をポンプ18によって、水素ガス発生器である前記容器12やボウル11の底部に戻してボウル11の内部に再度吹き込むように構成されている。
【0041】
水素フォームを作る場合、先ず、ボウル11に適量の石鹸水を入れ、もしくはフィルタ13の表面に石鹸をこすりつけるなどした上で少量の水を入れる。一方、容器12で水と水素ガス発生部材との反応によって水素ガスを発生させる。その水素ガスはフィルタ13を通ってボウル11内の液に入り、水素ガスの気泡が発生する。ボウル11の内部が次第に泡で満たされるので、モータ16を駆動して撹拌ブラシ15を回転させると、上記の縦棒および横棒が水素気泡を撹拌しかつ剪断する。すなわち、泡立て作用が生じ水素気泡は微細化され、いわゆる水素フォームとなる。
【0042】
泡を含む液は容積が増加して戻り管17に入るので、ダイアフラム形などのポンプ18を作動させて容器12に戻す。その場合、液体によるフィルタ13の閉塞を回避するために、容器12の高さを高くし、容器12内の液面より上側に戻すようにする。所定時間撹拌、剪断、循環を続けると泡は次第に微細化され、メレンゲのようなクリーミーな状態となり、水素フォームが得られる。このようにして得られる水素フォームは、微細な気泡からなるものであるために、塊として手にとることもできるし、長時間消えずにその状態を持続する。したがって、蓋14を開いてスプーン等でフォームを適宜すくい取り、皮膚にこすりつけたり、洗顔したりすると水素が皮膚に吸収され、美容効果を得ることができる。このフォームジェネレータ10は小型で電力消費も少ないので家庭でも浴室や洗面所に置いて手軽に使用し、水素を体内に取り込み、健康増進を図ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1…水素ガス発生器、 2…ナノバブル水素水生成チャンバ、 4…水素ガス取出管路、 5…水素水取出管路、 6…洗顔ボウル、 10…フォームジェネレータ…、 11…ボウル、 12…容器、 13…フィルタ、 14…蓋、 15…撹拌ブラシ、 16…モータ、 17…戻り管、 18…ポンプ、 20…ケーシング、 23…DCモータ、 28…内筒、 29…ロータ、 30…吸入口、 31…フィルタ、 33…外筒。