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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-188906(P2015-188906A)
(43)【公開日】2015年11月2日
(54)【発明の名称】ノックアウト装置
(51)【国際特許分類】
   B21J 13/14 20060101AFI20151006BHJP
【FI】
   B21J13/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-67390(P2014-67390)
(22)【出願日】2014年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000238360
【氏名又は名称】武蔵精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】村田 真一
【テーマコード(参考)】
4E087
【Fターム(参考)】
4E087EE02
4E087EE06
4E087FA01
(57)【要約】
【課題】ロアプレートの剛性が確保できると共に構造がより簡単なノックアウト装置を提供することを課題とする。
【解決手段】多ステージプレス機10は、中央に、ノックアウトプレート32が水平方向に振れないで昇降するように案内するガイド機構40を内蔵している。このガイド機構40は、ノックアウトプレート32の中央から上へ延びるポスト41と、このポスト41を案内するブッシュ42とを主要素とする。
【効果】ロアプレート14に側面へ貫通する空洞部を設ける必要はなく、ロアプレート14の剛性を維持することができる。加えて、ガイド機構40が筒状のブッシュ42とポスト41からなり、構成が極めて簡単である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の成形型が設置されている多ステージプレス機に設けられ、前記成形型の各々から成形品を突き上げるノックアウト装置であって、
前記多ステージプレス機の底部中央に設けられ昇降するピストンと、このピストンの上方に配置され前記ピストンで押し上げられるノックアウトプレートと、このノックアウトプレートから上に延びて前記成形品を突き上げる複数本のノックアウトピンと、前記ノックアウトプレートが水平方向に振れないで昇降するように案内するガイド機構とを備えているノックアウト装置において、
前記多ステージプレス機は、上下に移動しない静止要素を含み、
前記ガイド機構は、前記ノックアウトプレートの中央から鉛直に延びるポストと、前記静止要素に取付けられ前記ポストを支える筒状のブッシュとを備えていることを特徴とするノックアウト装置。
【請求項2】
前記ブッシュは、ブッシュホルダに嵌め込まれ、このブッシュホルダが着脱可能に前記静止要素に取付けられていることを特徴とする請求項1記載のノックアウト装置。
【請求項3】
前記ブッシュホルダは、前記ブッシュを囲うブッシュ支持部と、このブッシュ支持部から延び前記ノックアウトプレートの両側を通過する形態で前記ブッシュ支持部から延びている脚部とを備え、前記脚部が前記静止要素に取付けられていることを特徴とする請求項2記載のノックアウト装置。
【請求項4】
前記ポストは、前記ノックアウトプレートが最下位置にあるときであっても、上端が前記ブッシュから上に突出するように、長さが設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のノックアウト装置。
【請求項5】
前記ノックアウトプレートは、水平方向で中央に貫通穴を有し、前記ポストは前記貫通穴に嵌合され、前記ポストの一端面が前記ピストンの端面に当接するように、前記ピストンが位置決めされ、前記ピストンの外径より前記ポストの外径が小さく設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のノックアウト装置。
【請求項6】
前記ノックアウトプレートは、前記ポストより硬度が高いことを特徴とする請求項5記載のノックアウト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の成形型が設置されている多ステージプレス機に設けられ、成形型の各々から成形品を突き上げるノックアウト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成形型により素材を塑性変形させて成形品を得ることが広く実施されている。成形型に成形品が貼り付くため、強制的に成形品を成形型から外す(ノックアウトと呼ばれる。)必要がある。そのためのノックアウト装置が各種提案されてきた(例えば、特許文献1(図1図6)参照。)。
【0003】
特許文献1の図6には、ノックアウトロッド(20)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)と、このノックアウトロッド(20)の上に配置され且つダイホルダ(2)に昇降可能に収納されノックアウトロッド(20)で押し上げられるT字ノックアウト部材(18)と、このT字ノックアウト部材(18)の上に配置されるノックアウトピン(15〜17)とを備えるノックアウト装置が開示されている。
【0004】
T字ノックアウト部材(18)が水平に対して傾く心配があるため、対策が必要である。そこで、特許文献1の図1が提案された。
【0005】
特許文献1の図1では、ノックアウトバー(30)は、両端部がダイホルダ(2)から突出している。そして両端部に、各々揺動レバー(32、32)が連結されている。揺動レバー(32、32)の案内ガイドにより、ノックアウトバー(30)が傾くことなく、上下移動するというものである。
【0006】
しかし、ノックアウトバー(30)を収納する空洞がダイホルダ(2)を横断して側面まで貫通しているため、ダイホルダ(2)の剛性が損なわれる虞がある。また、揺動レバー(32、32)は、可動部位が多く構造が複雑であるため、繰り返し使用すると、作動不良が発生し易い。
ダイホルダ(2)は、重要な部品であるため、剛性の確保が求められる。加えて、構造がより簡単なノックアウト装置が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平7−19644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ダイホルダ(静止要素)の剛性が確保できると共に構造がより簡単なノックアウト装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、複数の成形型が設置されている多ステージプレス機に設けられ、前記成形型の各々から成形品を突き上げるノックアウト装置であって、前記多ステージプレス機の底部中央に設けられ昇降するピストンと、このピストンの上方に配置され前記ピストンで押し上げられるノックアウトプレートと、このノックアウトプレートから上に延びて前記成形品を突き上げる複数本のノックアウトピンと、前記ノックアウトプレートが水平方向に振れないで昇降するように案内するガイド機構とを備えているノックアウト装置において、
前記多ステージプレス機は、上下に移動しない静止要素を含み、前記ガイド機構は、前記ノックアウトプレートの中央から鉛直に延びるポストと、前記静止要素に取付けられ前記ポストを支える筒状のブッシュとを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、ブッシュは、ブッシュホルダに嵌め込まれ、このブッシュホルダが着脱可能に静止要素に取付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明では、ブッシュホルダは、ブッシュを囲うブッシュ支持部と、このブッシュ支持部から延びノックアウトプレートの両側を通過する形態でブッシュ支持部から延びている脚部とを備え、脚部が静止要素に取付けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、ポストは、ノックアウトプレートが最下位置にあるときであっても、上端がブッシュから上に突出するように、長さが設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明では、ノックアウトプレートは、水平方向で中央に貫通穴を有し、ポストは貫通穴に嵌合され、ポストの一端面がピストンの端面に当接するように、ピストンが位置決めされ、ピストンの外径よりポストの外径が小さく設定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明では、ノックアウトプレートは、ポストより硬度が高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、ノックアウトプレートが水平方向に振れないで昇降するように案内するガイド機構を備えているため、ノックアウトプレートが傾く心配はない。
そして、ガイド機構は、ノックアウトプレートの中央から延びているため、ダイホルダに相当する静止要素に側面へ貫通する空洞部を設ける必要はなく、静止要素の剛性を維持することができる。加えて、ガイド機構が筒状のブッシュとポストからなり、構成が極めて簡単である。
よって、本発明によれば、従来のダイホルダに相当する静止要素の剛性が確保できると共に構造がより簡単なノックアウト装置が提供される。
【0016】
請求項2に係る発明では、ブッシュは、ブッシュホルダに嵌め込まれ、このブッシュホルダが着脱可能に静止要素に取付けられる。ブッシュが摩耗したときにはブッシュホルダ毎交換すればよい。ブッシュホルダの形状は任意であるため、交換が容易な形状にすることができる。よって、ブッシュを交換するよりは、ブッシュホルダを交換する方が交換作業が容易となる。
【0017】
請求項3に係る発明では、ブッシュホルダは、ブッシュを囲うブッシュ支持部と、ブッシュ支持部から下へ延びる脚部とを備え、脚部が静止要素に取付けられる。脚部を備えているため、ブッシュを静止要素から十分に上へ離した位置に配置することができる。ブッシュホルダが傾斜しようとするとポストに曲げモーメントが掛かり、この曲げモーメントがブッシュに加わる。曲げモーメントは、力と長さの積となるため、ポストを長くすればブッシュに加わる力が小さくなり、ブッシュの摩耗を低減することができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、ポストは、ノックアウトプレートが最下位置にあるときであっても、上端がブッシュから上に突出するように、長さが設定されている。すなわち、ブッシュの筒長さ全域にポストが、常時接触するため、ブッシュに偏荷重が加わる心配が無く、面圧を下げることができる。
【0019】
請求項5に係る発明では、ノックアウトプレートは、水平方向で中央に貫通穴を有し、ポストは貫通穴に嵌合されている。ノックアウトプレートとポストを異なる材料で構成することができる。
また、ポストの一端面がピストンの端面に当接するように、ピストンが位置決めされ、ピストンの外径よりポストの外径が小さく設定されている。ピストンの軸力を、ノックアウトプレートに掛けることができ、ポストの摩耗を防止することができる。
【0020】
請求項6に係る発明では、ノックアウトプレートは、ポストより硬度が高い。仮にポストの下面が摩耗しても硬いノックアウトプレートが残るため、ピストンの軸力を硬度が高いノックアウトプレートにより確実に掛けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るノックアウト装置を備えている多ステージプレート機の断面図である。
図2図1の2−2線断面図である。
図3】ガイド機構の分解図である。
図4】ノックアウト装置の作用を説明する図である。
図5】ノックアウトプレートとポストの連結形態を示す図である。
図6】ノックアウトプレートとポストの別の連結形態を示す図である。
図7】別の多ステージプレート機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0023】
図1に示すように、多ステージプレス機10は、機台11に載せられ中央に上に開口する凹部12及びこの凹部12の底から下へ延びる第1中央穴13を有するロアプレート14と、このロアプレート14に載せられ第2中央穴15及び複数のピン穴16を有するロアホルダ17と、このロアホルダ17に載せられ第3中央穴18及び複数のリング収納穴19、19を有するベースプレート21と、このベースプレート21に載せられ複数のリング収納穴22、22及び成形凹部23、23を有するダイプレート24と、このダイプレート24を機台11に対して固定するダイホルダ25と、ダイプレート24に向かって下降するパンチ26、26とを備えている。
【0024】
ダイプレート24の成形凹部23と、パンチ26とで1つの成形型が構成される。多ステージプレス機10では、成形凹部23及びパンチ26が各々複数(多ステージ)であるため、一度に複数個の成形品51、51を得ることができる。
【0025】
ダイホルダ25は、機台11に連結されロアプレート14、ロアホルダ17、ベースプレート21及びダイプレート24を囲うホルダ本体27と、ダイプレート24に掛けるダイ掛止部材28と、このダイ掛止部材28をホルダ本体27に係止する係止部材29とからなる。係止部材29はボルトやクランパである。
【0026】
多ステージプレス機10は、更にノックアウト装置30を備えている。
ノックアウト装置30は、多ステージプレス機10の底部中央に設けられ昇降するピストン31と、このピストン31の上方にて凹部12に収納されピストン31で押し上げられるノックアウトプレート32と、このノックアウトプレート32から上に延びてピン穴16を貫通するノックアウトピン33と、このノックアウトピン33の上に配置されリング収納穴22を貫通して上に延びるノックアウトリング34と、ノックアウトプレート32が水平方向に振れないで昇降するように案内するガイド機構40とを備えている。
【0027】
ガイド機構40は、多ステージプレス機10の中央に収納され、ガイド機構40の要部は、第2中央穴15及び第3中央穴18に収納される。
【0028】
図2に示すように、ガイド機構40は、ノックアウトプレート32から上に延びるポスト41と、このポスト41に嵌合する筒状のブッシュ42と、このブッシュ42を支えるブッシュホルダ43と、ポスト41の上面を下方へ付勢する付勢部材44と、この付勢部材44を支えるキャップ部材45と、このキャップ部材45及びブッシュホルダ43を静止部材としてのロアプレート14に締結するボルト46、46とを備えている。付勢部材44は、圧縮コイルばねが好適であるが、トーションばね、ゴムブロックであってもよい。
【0029】
キャップ部材45は、上部中央に通孔47を有する。この通孔47は、ポスト41が上下する際に空気が出入りするエア通路の役割を果たすと共に鍛造時に使用する作動油を落下させてブッシュ42に注油する役割を果たす。
【0030】
図3に示すように、ブッシュホルダ43は、ブッシュ42を支えるブッシュ支持部48と、このブッシュ支持部48から下に延び、図2に示すようにノックアウトプレート32の両側を通過する脚部49、49とを備えている。ブッシュ42はブッシュ支持部48に圧入されている。ブッシュ42が摩耗などにより寿命を迎えたときには、ブッシュホルダ43を単位にして交換する。
【0031】
ブッシュ42を引き抜いて、新しいブッシュ42を圧入するというブッシュ交換を現場で実施することは差し支えないが、交換時間が延びるため、生産計画に影響が出る。この点、本実施例のように、ブッシュホルダ43を単位にして交換するようにすると、交換時間がごく短くなり、生産性の低下を抑制することができる。
【0032】
図1にて、ダイプレート24に複数個(本例では2個)の素材を置き、パンチ26、26を下げることで成形品51、51を得る。
次に、図4に示すように、ピストン31を上げ、このピストン31でノックアウトプレート32を上げる。すると、ノックアウトピン33が上がり、これらのノックアウトピン33によりノックアウトリング34、34が上がり、これらのノックアウトリング34、34により、成形品51、51がダイプレート24から上に外される。
【0033】
この際に、ノックアウトプレート32は、中央から上に延びるポスト41が、ブッシュ42で案内されるため、傾くことなく、水平状態を保ちつつ上下する。
上下に移動する点に着目すると、ピストン31、ノックアウトプレート32、ポスト41、ノックアウトピン33及びノックアウトリング34が、移動要素となる。
その他の機台11、ロアプレート14、ロアホルダ17、ベースプレート21、ダイプレート24、ノックアウトリング34、ダイホルダ25、ブッシュ42及びキャップ部材45等は、静止要素となる。
【0034】
そして、ガイド機構40は、ノックアウトプレート32の中央から延びるため、静止要素(ロアプレート14)に側面へ貫通する空洞部を設ける必要はなく、静止要素の剛性を維持することができる。加えて、ガイド機構40が筒状のブッシュ42とポスト41からなり、構成が極めて簡単である。
【0035】
また、図2において、ブッシュホルダ43は、脚部49、49を備えているため、ブッシュ42を静止要素(ロアプレート14)から十分に上へ離した位置に配置することができる。ブッシュホルダ43が傾斜しようとするとポスト41に曲げモーメントが掛かり、この曲げモーメントがブッシュ42に加わる。曲げモーメントは、力と長さの積となるため、ポスト41を長くすればブッシュ42に加わる力が小さくなり、ブッシュ42の摩耗を低減することができる。
【0036】
図1に示すように、ポスト41は、ノックアウトプレート32が最下位置にあるときであっても、上端がブッシュ42から上に突出するように、長さが設定されている。すなわち、ブッシュ42の筒長さ全域にポスト41が常時接触するため、ブッシュ42に偏荷重が加わる心配が無く、面圧を下げることができる。面圧が下がるとブッシュ42の摩耗を低減することができると共にノックアウトプレート32及びノックアウトピン33の円滑な昇降が可能となる。
【0037】
次に、ノックアウトプレート32の構造を詳しく説明する。
図5に示すように、ノックアウトプレート32は、水平方向で中央に貫通穴52を有し、ポスト41は貫通穴52に嵌合され、ポスト41の一端面(下端面)がピストン31の端面(上端面)に当接するように、ピストン31が位置決めされ、且つピストン31の外径Dよりポスト41の外径dが小さく設定されている
【0038】
ピストン31の外径Dよりポスト41の外径dが小さく設定されているため、ピストン31の軸力を、ノックアウトプレート32に掛けることができ、ポスト41の下端面の摩耗を防止することができる。
【0039】
また、ポスト41はノックアウトプレート32に圧入されるため、ノックアウトプレート32とポスト41を異なる材料で構成することができる。例えば、ノックアウトプレート32を、ポスト41より硬度が高くすると、ノックアウトプレート32の摩耗を抑えることができる。
【0040】
さらには、ピストン31をポスト41に当てない構造としては、図6(a)、(b)に示すように、ピストン31の上端面とポスト41の下端面との間に、所定の隙間cを確保する構造が推奨される。
図6(a)では、ポスト41の下端面をノックアウトプレート32の下面より上げる。図6(b)では、ピストン31の上部に凹部53を設ける。
【0041】
次に、多ステージプレス機10の変更例を説明する。
図7に示す多ステージプレス機10Bは、図4に示す多ステージプレス機10にサブガイド機構55、55を追加したものである。その他の要素は同一であるため、図4の符号を流用し、詳細な説明は省略する。
サブガイド機構55は、ノックアウトプレート32に圧入した筒状のサブブッシュ56と、このサブブッシュ56を貫通して上下に延び一端がロアプレート14で支持され他端がロアホルダ17で支持されるサブポスト57とからなる。
【0042】
図1の構造では、ノックアウトプレート32がポスト41を中心に旋回する場合、この旋回はロアホルダ17とノックアウトピン33の嵌合で抑制される。この際にノックアウトピン33に僅かではあるが曲がる心配がある。
この点、図7の構造であれば、サブガイド機構55、55がノックアウトプレート32の旋回を抑制するため、ノックアウトピン33が曲がる心配ない。
結果、より円滑にノックアウトプレート32及びノックアウトピン33を昇降させることができる。
【0043】
尚、ガイド機構40は、実施例では、ロアプレート14に着脱可能に取付けたが、ロアホルダ17に取り付けることも可能である。また、ロアプレート14、ロアホルダ17、ベースプレート21及びダイプレート24に分割し、これらを積層したが、分割の数を増減することは任意である。
【0044】
また、実施例では、成形品51とノックアウトピン33との間に、ノックアウトリング34を介在させたが、ノックアウトリング34を省いて、ノックアウトピン33で直接成形品51をノックアウトするようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、型鍛造を行う多ステージプレス機に装備されるノックアウト装置に好適である。
【符号の説明】
【0046】
10、10B…多ステージプレス機、24…成形型の一構成要素であるダイプレート、26…成形型の一構成要素であるパンチ、30…ノックアウト装置、31…ピストン、32…ノックアウトプレート、33…ノックアウトピン、40…ガイド機構、41…ポスト、42…ブッシュ、43…ブッシュホルダ、48…ブッシュ支持部、49…脚部、51…成形品、52…ノックアウトプレートに設けた貫通穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7