【課題】エジェクトピンの振れに起因するスリーブ孔の経時的な拡大による蒸気漏れを抑制でき、かつ金型交換時の作業負担を軽減できるエジェクトピンを提供することを目的とする。
【解決手段】長尺のピン本体16aと、該ピン本体16aの先端に設けられた押出部16bとを有し、発泡成形型の雌型14から成形品を押し出すエジェクトピン16において、雌型14の背面から突出した部分の1m当たりの質量が800g以下である、エジェクトピン16。
前記ピン本体の全長に対する、該ピン本体の後端から1/2の部分の1m当たりの質量が、該ピン本体の先端から1/2の部分の1m当たりの質量よりも軽い、請求項1に記載のエジェクトピン。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン系樹脂発泡成形品等の熱可塑性樹脂発泡成形品の型内発泡成形に用いられる発泡成形機としては、例えば、型締めした状態で内部に高温蒸気を供給可能な一対の型からなる発泡成形型を有するものが知られている。該発泡成形機では、成形後に型開きし、型本体からエジェクトピンにより成形品を押し出せるようになっている。
【0003】
型本体から成形品を押し出すエジェクトピンとしては、例えば、以下のものが知られている。
(1)長尺の軸部と、該軸部の先端に設けられた押出し板を有し、固定型及び移動型からなる成形型の固定型に、該固定型の背面から軸部が突出するように取り付けられ、軸部の途中に屈曲可能な屈曲部が形成されたエジェクトピン(特許文献1)。
(2)水平移動する雄金型及び上下動する雌金型を有する発泡成形機における、雌金型に取り付けられたエジェクトピン(特許文献2)。
(3)ピン本体内に軸方向に延びる貫通孔が形成され、かつピン本体の先端面に、該貫通孔と連通し、発泡樹脂ビーズの粒径よりも小さな幅又は径の通気部が形成されたエジェクトピン(特許文献3)。
【0004】
(1)〜(3)のようなエジェクトピンは、通常ステンレスで形成されている。該エジェクトピンは、キャビティを形成する凹部が形成された型(雌型)に、該型に固定されたスリーブ内を通し、エジェクトピンの先端面がキャビティ面と面一となるように取り付けられる。また、型に取り付けられたエジェクトピンの後端は、固定されず自由端とされる。発泡成形後には、エジェクトピンの軸方向に移動するエジェクト板によりピンの後端が軸方向に押されることで、エジェクトピンの先端が型の凹部内に突出し、該型から成形品を押し出す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<発泡成形機>
以下、本発明のエジェクトピンを備える発泡成形機の一例を示して説明する。
本実施形態の発泡成形機100は、
図1及び
図2に示すように、雄型12及び雌型14からなる発泡成形型10と、雌型14に取り付けられるエジェクトピン16と、エジェクトピン16に取り付けられるスプリング18及びスプリング止めカラー20と、エジェクトピン16の後端16cを軸方向に押すエジェクト板22と、雌型14から押出された成形品を受ける受け台24,24と、を有する。
【0013】
雄型12は、雄型保持体26により保持されている。この例の発泡成形型10では、雄型12が雌型14に接近又は離間するように水平移動することで、型閉め又は型開きが可能になっている。
雌型14は、雄型12と対向する正面に凹部28aが形成された雌型本体28と、雌型本体28に固定されたスリーブ30と、を有している。雄型12と雌型14を型締めすることで、雌型本体28の凹部28a内に目的の成形品と相補的な形状のキャビティが形成されるようになっている。
【0014】
雄型12及び雌型14には、それぞれ多数の蒸気孔(図示略)が設けられている。また、それぞれの蒸気孔は、雄型12及び雌型14の内部に形成された蒸気室(図示略)と連通している。発泡成形型10では、蒸気室に供給された蒸気が蒸気孔を通じてキャビティ内に供給されるようになっている。
また、図示していないが、雄型12及び雌型14の適所には、キャビティ内に予備発泡粒子を充填するための供給管路と接続された予備発泡粒子供給口が設けられている。
【0015】
雌型14の雌型本体28には、背面28bから凹部28aに通じる貫通孔28cが形成されている。
スリーブ30は、貫通孔28cの内径と同等の外径を有しており、雌型本体28に形成された貫通孔28cに一部が挿入され、残りの部分が雌型本体28の背面28b側に突出した状態で固定されている。また、スリーブ30は、筒状であり、内部の軸方向の中央部分に内径が拡径された拡径部30aが形成されている。スリーブ30は、雌型本体28に着脱可能に設けられていてもよく、雌型本体28と一体に形成されていてもよい。
スリーブ30の軸方向の長さは、100〜400mmが好ましく、150〜350mmがより好ましい。スリーブ30の軸方向の長さが長いほど、エジェクトピンの突出部分の長さが短くなるためエジェクトピンが振れにくくなる。また、スリーブ30の軸方向の長さが短いほど発泡成形時の熱損失が小さくなる。
スリーブ30の材質としては、特に限定されず、公知の材質を採用できる。例えば、アルミニウム、真鍮等が挙げられる。
【0016】
エジェクトピン16は、発泡成形型10の雌型本体28から成形品を前方に押し出すためのピンであり、長尺のピン本体16aと、ピン本体16aの先端に設けられた押出部16bとを有する。
エジェクトピン16は、押出部16bがスリーブ30よりもキャビティ側となるようにピン本体16aの一部がスリーブ30内に通され、スリーブ30の後端、すなわち雌型14の背面からピン本体16aの残りの部分が突出するように取り付けられている。
ピン本体16aの全長の目安は、500〜2000mmである。
ピン本体16aの太さ(外径)の目安は、10〜30mmである。
【0017】
この例では、スリーブ30の内部に拡径部30aが形成されていることで、エジェクトピン16のピン本体16aは、スリーブ30の先端部30bと後端部30cと接触しているものの、それ以外の部分ではスリーブ30と接触していない。これにより、スリーブ30とピン本体16aとの摩擦抵抗が小さくなるため、スリーブ30内でエジェクトピン16を軸方向に摺動させることが容易になる。
押出部16bの形状はこの例では板状であるが、板状には限定されない。押出部16bの先端面の形状は、雌型本体28に形成された貫通孔28cの凹部28a側の開口形状と同じになっている。また、ピン本体16aの後端がエジェクト板に押されていない状態において、押出部16bの先端面は雌型本体28のキャビティ面28dと面一となっている。
【0018】
エジェクトピン16のピン本体16aにおける雌型14の背面から突出した部分は、螺旋状のスプリング18内に通された状態になっている。ピン本体16aが螺旋内に通されたスプリング18の両端は、スリーブ30の後端部30cと、ピン本体16aの後端16c近傍に装着されたスプリング止めカラー20にそれぞれ当接している。
スプリング止めカラー20は、従来公知のものを用いることができ、例えば、
図7(A)に示すように、円環の一部が欠けた形状で、内径がエジェクトピン16のピン本体16aの外径と同等であり、内周面の幅方向の両側において周方向に凹条20a,20bが並んで形成されたスプリング止めカラー20が挙げられる。エジェクトピン16のピン本体16aにおけるスプリング止めカラー20を取り付ける部分に、スプリング止めカラー20の凹条20a,20bに対応する凸条を形成しておくことで、
図7(B)に示すように、その部分にスプリング止めカラー20をワンタッチで簡便に取り付けることができる。なお、スプリング止めカラーとしては、ネジ等によってエジェクトピンに固定するものを用いてもよい。
【0019】
エジェクトピン16のピン本体16aの後端16cがエジェクト板22により軸方向に押されることで、
図6に示すように押出部16bが雌型本体28の凹部28a内に突き出され、雌型本体28の凹部28a内から成形品が押し出される。また、エジェクトピン16の押出部16bが雌型本体28の凹部28a内に突き出されたときには、スプリング18がスリーブ30の後端部30cとスプリング止めカラー20によって圧縮された状態となる。そのため、成形品を押し出した後、エジェクト板22が後退すると、圧縮されたスプリング18が伸びる力によってエジェクトピン16も後退し、押出部16bの先端面は雌型本体28のキャビティ面28dと面一となる位置まで戻る。
【0020】
エジェクトピン16における、スリーブ30の後端から突出した部分、すなわち雌型14の背面から突出した部分の1m当たりの質量(WP)は、800g以下である。これにより、成形時にエジェクトピン16の雌型14の背面から突出した部分が振れることが抑制される。その結果、スリーブ30の先端部30b及び後端部30cとピン本体16aとの摩擦が低減されるため、スリーブ30の先端部30b及び後端部30cのスリーブ孔が摩耗により拡大して蒸気が漏れることが抑制される。
エジェクトピン16における前記の1m当たりの質量(WP)は、蒸気漏れを抑制しやすい点から、800g以下であり、700g以下が好ましく、550g以下がより好ましく、300g以下が最も好ましい。
また、エジェクトピン16における前記の1m当たりの質量(WP)は、強度の点から、100g以上が好ましく、150g以上がより好ましい。
【0021】
エジェクトピン16のピン本体16aの全長に対する、ピン本体16aの後端16cから1/2の部分の1m当たりの質量は、ピン本体16aの先端から1/2の部分の1m当たりの質量よりも軽いことが好ましい。これにより、成形時にエジェクトピン16の雌型14の背面から突出した部分が振れることがさらに抑制されるため、蒸気漏れがより抑制される。
【0022】
エジェクトピン16の周囲に備えられるスプリング18の総質量(WS)に対するエジェクトピン16の総質量(WE)の比(WE/WS)は、1.0〜5.0が好ましく、1.5〜4.0がより好ましい。前記比(WE/WS)が下限値以上であれば、強度に優れるエジェクトピンとなる。前記比(WE/WS)が上限値以下であれば、成形時にエジェクトピン16の雌型14の背面から突出した部分が振れることが抑制されやすくなるため、蒸気漏れを抑制することがより容易になる。
【0023】
エジェクトピン16における前記の1m当たりの質量(WP)、及び前記比(WE/WS)を調節する態様は、特に限定されない。例えば、この例のようにエジェクトピン16におけるピン本体16aの内部を削り、内部が中空の筒状とすることで1m当たりの質量(WP)、及び前記比(WE/WS)を調節する態様が挙げられる。また、エジェクトピン16の材質の選択によって前記の1m当たりの質量(WP)、及び前記比(WE/WS)を調節する態様であってもよい。
【0024】
エジェクトピン16の材質としては、特に限定されず、例えば、ステンレス、真鍮、アルミニウム、樹脂等が挙げられる。
エジェクトピン16は、軽量化が容易な点では、一部又は全部を樹脂製とすることが好ましい。樹脂としては、耐熱性、耐摩耗性の点では、ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。また、コスト面ではポリ塩化ビニルが好ましい。
スリーブ30よりも先にピン本体16aが摩耗することでスリーブ30の摩耗を抑制できる点では、エジェクトピン16のピン本体16aにおける少なくともスリーブ30と接触する部分を樹脂製とすることが好ましい。エジェクトピン16の交換はスリーブ30の交換に比べて容易であるため、スリーブ30よりも先にエジェクトピン16が摩耗するようにすればエジェクトピン16だけの交換で済み、発泡成形機100のメンテナンスが容易になる。
【0025】
エジェクトピン16は、別の材質のピンをつなぎ合わせて形成したものであってもよい。例えば、全長に対して後端16cから1/3の部分がポリ塩化ビニル製で、先端から2/3の部分がステンレス製のエジェクトピン16、全長に対して後端16cから1/3の部分がポリエーテルエーテルケトン製で、先端から2/3の部分がステンレス製のエジェクトピン16等が挙げられる。エジェクトピン16の後端16cから少なくとも1/3を樹脂製、残りの部分をステンレス製とすれば、エジェクトピン16の振れが抑制されやすくなり、蒸気漏れがより抑制される。
【0026】
雌型14においては、蒸気漏れを抑制しやすい点から、スリーブ30の先端面(エジェクトピン16の押出部16b側の面)を中心に向かって滑らかに窪むテーパー形状とし、スリーブ30の先端部30bとエジェクトピン16の押出部16bとの間にパッキンを設けることが好ましい。
【0027】
以下、発泡成形機100の作用について説明する。
発泡成形機100によりポリスチレン系樹脂発泡成形品等の成形品を製造する際には、
図3に示すように、雄型12と雌型14とを接近させて発泡成形型10を閉じ、その内部に形成されたキャビティ内に予備発泡粒子P’を充填した後、発泡成形型10のキャビティ内に高温蒸気を供給し、加熱して発泡させながら予備発泡粒子P’同士を融着させて型内発泡成形する。
蒸気により型内発泡成形する方法としては、特に限定されず、例えば、雌型14から雄型12に向かって、又は雄型12から雌型14に向かって蒸気を流す工程(i)と、工程(i)と逆向きに蒸気を流す工程(ii)と、雄型12と雌型14の両方からキャビティ内に蒸気を供給し、キャビティ内に保持させた蒸気で保熱する工程(iii)と、を行う方法が挙げられる。
【0028】
次いで、発泡成形型10を冷却した後、
図4に示すように、雌型14から離間するように雄型12を水平移動させることで発泡成形型10を開き、雌型14を受け台24,24の位置まで下降させる。次いで、
図5及び
図6に示すように、エジェクト板22によりエジェクトピン16の後端16cを軸方向に押し込み、エジェクトピン16の押出部16bを雌型本体28の凹部28a内に突き出すことで、成形品Pを離型させて受け台24,24上に押し出す。成形品Pを押し出した後、エジェクト板22を後退させる。このとき、エジェクトピン16は圧縮されたスプリング18が伸びる力によって後退し、押出部16bの先端面は雌型本体28のキャビティ面28dと面一となる位置まで戻る。その後、雌型14を雄型12と対向する高さまで上昇させ、次の型内発泡成形を行う。
【0029】
従来のステンレス製のエジェクトピンでは、エジェクトピンの自重が重いために、特に雌型を上昇及び下降させたときにエジェクトピンにおける雌型の背面から突出した部分が大きく振れやすい。そのため、特にスリーブの軸方向の端部で経時的にスリーブ孔が楕円状に摩耗して拡大し、スリーブとエジェクトピンとの間に隙間が生じて型内に供給された蒸気が漏れやすい。これに対して、エジェクトピン16を用いた発泡成形機100の場合では、エジェクトピン16における雌型14の背面から突出した部分の1m当たりの質量(WP)が800g以下であることで、エジェクトピン16における雌型14の背面から突出した部分の振れが抑制される。その結果、スリーブの摩耗によるスリーブ孔の拡大が抑制され、蒸気漏れが抑制される。また、金型を交換する際にも、エジェクトピンが軽量化されていることで作業負担も軽減される。
【0030】
本発明は、振れが生じやすい全長が500〜2000mmのエジェクトピンに有効であり、750〜1500mmのエジェクトピンにより有効である。
また、本発明は、振れが生じやすい、雌型の背面から突出した部分の長さが100〜1900mmのエジェクトピンに有効であり、該長さが600〜1350mmのエジェクトピンにより有効である。
【0031】
以上説明した本発明のエジェクトピンを用いれば、エジェクトピンにおける雌型の背面から突出した部分の振れに起因するスリーブ孔の拡大による蒸気漏れが抑制され、また金型交換時の作業負担も軽減される。
本発明のエジェクトピンは、発泡成形機100のように、型内発泡成形後に雌型を下降させて成形品を受け台上に押し出すタイプの発泡成形機に特に有効である。該発泡成形機は、雌型を上昇及び下降させるうえ、受け台まで成形品を押し出すためにエジェクトピンを長くする必要があり、エジェクトピンの振れが起きやすい傾向がある。そのため、該発泡成形機に本発明のエジェクトピンを用いることで、エジェクトピンの振れに起因する蒸気漏れの抑制効果がより有効に働く。
なお、本発明のエジェクトピンは、前記した発泡成形機100に備えられるものには限定されない。例えば、本発明のエジェクトピンは、受け台を有さず、型開きした状態でそのまま雌型を上昇及び下降させずに、エジェクトピンの先端を雌型本体の凹部内に押し込んで成形品を離型させる発泡成形機に用いてもよい。該発泡成形機の場合でも、成形時にエジェクトピンを軸方向に繰り返し動かす際にエジェクトピンが振れることで同様の蒸気漏れが起きることがあるため、本発明のエジェクトピンを用いることでピンの振れに起因する蒸気漏れを抑制できる。また、金型交換時の作業負担も軽減される。
【0032】
また、本発明のエジェクトピンを用いる発泡成形機では、
図8に示すように、スリーブ30の後端部30cと、スリーブ30の後端部30c近傍のピン本体16aの突出した部分とを覆う保護部材40を設けてもよい。この保護部材40を設けることで、エジェクトピン16の突出部分が多少振れたとしても、スリーブ30の後端部30c近傍でのピン本体16aの振れが低減されるため、スリーブ30の後端部30cとエジェクトピン16のピン本体16aを保護でき、それらの摩耗をより抑制できる。
保護部材40の材質は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド等の樹脂が挙げられる。なかでも、耐熱性、耐摩耗性の点から、ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
後端から60mmがアルミニウム製で、残りがステンレス製であり、内部を削って中空の筒状とすることで雌型の背面から突出した部分の1m当たりの質量を670gとした全長1mのエジェクトピン16を、
図1に例示した発泡成形機100の雌型14に取り付け、型内発泡成形を3000回実施した。スリーブ30としては、エジェクトピン16と接触する部分のみが真鍮製であり、残りがアルミニウム製であり、軸方向の長さが300mm、スリーブ孔の口径が15.0mmのものを用いた。エジェクトピン16における雌型14の背面から突出した部分の長さを700mmとした。スプリング18の質量は135gであり、スプリング18の総質量(WS)に対するエジェクトピン16の総質量(WE)の比(WE/WS)は、5.0であった。
型内発泡成形の実施後、雌型14からスリーブ30を取り外し、スリーブ孔の口径を測定したところ、摩耗による口径の拡大は見られなかった。
【0034】
[実施例2]
ポリエーテルエーテルケトン製で、雌型の背面から突出した部分の1m当たりの質量を240gとした全長1mのエジェクトピン16を、
図1に例示した発泡成形機100の雌型14に取り付け、型内発泡成形を3000回実施した。スリーブ30としては、アルミニウム製であり、軸方向の長さが205mm、スリーブ孔の口径が15.0mmのものを用いた。エジェクトピン16における雌型14の背面から突出した部分の長さを795mmとした。スプリング18の質量は135gであり、スプリング18の総質量(WS)に対するエジェクトピン16の総質量(WE)の比(WE/WS)は、1.8であった。
型内発泡成形の実施後、雌型14からスリーブ30を取り外し、スリーブ孔の口径を測定したところ、摩耗による口径の拡大は見られなかった。
【0035】
[実施例3]
内部が中空のポリ塩化ビニル製筒状体の内部に、ステンレス製の棒状体を複合したものであり、雌型の背面から突出した部分の1m当たりの質量を520gとした全長1mのエジェクトピン16を、
図1に例示した発泡成形機100の雌型14に取り付け、型内発泡成形を3000回実施した。スリーブ30としては、アルミニウム製であり、軸方向の長さが205mm、スリーブ孔の口径が15.0mmのものを用いた。エジェクトピン16における雌型14の背面から突出した部分の長さを795mmとした。スプリング18の質量は135gであり、スプリング18の総質量(WS)に対するエジェクトピン16の総質量(WE)の比(WE/WS)は、3.9であった。
型内発泡成形の実施後、雌型14からスリーブ30を取り外し、スリーブ孔の口径を測定したところ、摩耗による口径の拡大は見られなかった。
【0036】
[比較例1]
ステンレス製で、雌型の背面から突出した部分の1m当たりの質量が822gの全長1mのエジェクトピン16を、
図1に例示した発泡成形機100の雌型14に取り付け、型内発泡成形を3000回実施した。スリーブ30としては、アルミニウム製であり、軸方向の長さが205mm、スリーブ孔の口径が15.0mmのものを用いた。エジェクトピン16における雌型14の背面から突出した部分の長さを795mmとした。スプリング18の質量は135gであり、スプリング18の総質量(WS)に対するエジェクトピン16の総質量(WE)の比(WE/WS)は、6.1であった。
型内発泡成形の実施後、雌型14からスリーブ30を取り外し、スリーブ孔の口径を測定したところ、口径の最大値は15.3mmであり、摩耗によるスリーブ孔の拡大が見られた。